赤貧ルーキー、涙のバット物語…。ドラフト7巡目・丸山泰嗣内野手(武蔵大)が、連日紅白戦で奮闘中だ。この丸山、年俸500万円の薄給で1本2万円のバット購入にも四苦八苦。ところがこの貧乏性が思わぬ効果を呼んだのだから人生、分からない。
「必死に食らいついていくところがいい」。山本監督は走者がいると中堅から右方向に打球を飛ばすルーキーに目を細める。その丸山も「とにかく必死です」と監督同様のセリフ。しかし、こちらの“必死”は監督のものとは意味が違う。実は「バットを折らないように必死なんです」が真相だった。
2月1日のキャンプインに間に合わせるようにバット5本を発注。ところが1週間、10日が過ぎても届かない。そこで首脳陣に頼み込み、数少ない投手用のバットを拝借。打撃練習では「折ったら練習ができなくなる」と、芯に当てることだけに集中した。
これが幸運を呼ぶ。ボールに逆らわずにバットが出るようになり、選球眼もよくなった。紅白戦で紅組2番に抜擢され、巧打を見せている。
待ち望んでいたバットは、この日、ついに手元に届けられた。「1本2万円もするんです。届いたバットは試合用。練習は今までのを使います」。このちゃっかりぶりが成功の秘訣か…。
中継ぎの柱、藤田が20日、変化球の感触を確かめながら55球。「調子は日に日に良くなっている」と手応えを口にした。入団以来4年続けて50試合以上投げたタフな左腕は今年から、対右打者用にチェンジアップを多投したいとか。「体がもっとできてくれば、制球ももっと良くなる」と自信に溢れた口調だった。
ミンチーが新球ナックルのマスターに着手した。昨季はカーブ、カットボール、ナチュラルシュート、チェンジアップを駆使して12勝をあげたが、「球種を増やせば打者も戸惑うだろうしね」と、すでにフリー打撃でも挑戦。球速70〜80キロ程度の新球に、池野ブルペン捕手は、「大きな横揺れです。あれ以上早くなったら獲れません」と、その威力に目を丸くするほど。
初の1軍キャンプに抜擢された小林宏が、今度はオープン戦開幕となる24日の広島戦(都城)の先発に指名された。オープン戦の登板も初めてという6年目の右腕は「ボールにキレが出てきた感じはあります。緊張すると思いますが、高めに直球を投げ込みたいです」と意欲満々。山本監督も「今年はローテーションに入ってもらいたい」と期待していた。
黒木知がリタイヤした。20日の強化練習中に左の大腿二頭筋に違和感を訴え、ウォームをアップを中止し別メニュー。
諸積が、イエローカード王になると、堂々と宣言した。20日の鹿児島キャンプで、パ・リーグ審判員が今春オープン戦からのイエロカード導入を選手に通達。中村審判員が実際のカードを見せ、ナインに迅速なプレーへの協力を求めた。遅延行為にはその場で警告が発せられることになったが、不敵な笑みを見せたのはスロープレーの「常習者」諸積だった。
パ審判部が各球団に送った「プレーが遅い選手のブラックリスト」。このリストは非公開だが、諸積の名前は最上位に記されているという。プレーの進行には協力したいが、自分の打撃リズムも崩したくはない。どれぐらいが遅延行為と見なされるのか、イエローカード覚悟でテストするつもりなのだという。
落合博満氏が、ユウゴーを熱血指導。「教えてもらったフォームの方がいい打球が飛んだ。今まで何をやってきたんだ、という気持ちです」とユウゴーは感激した。