わたしはかもめ2002年鴎の便り(5月)

便

5月3日

千葉ロッテ4x−3西武(千葉マリン)

ロッテは、3−3の同点で迎えた延長10回裏、無死満塁から喜多が2試合連続となるサヨナラ打を放った。6回から投げた小林宏が4回2/3を無失点に抑える好リリーフをみせ、今季2勝目を挙げた。なお、5回に3ランを放ったロッテの渡辺正はプロ入り初ホームラン。

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西武00020100003
千葉ロッテ0000300001x4x

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喜多、またサヨナラ打

ドラ1巡目・喜多がリーグ8人目の2試合連続のサヨナラ打。新人の2試合連続サヨナラ打は、リーグ史上初めて。3−3の延長10回、サブローの二塁打と連続四球で無死満塁とし、左越え安打して試合を決めた。

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ルーキー喜多がまたサヨナラ![スポニチ]

空気が揺れる。はじけるような期待感が千葉マリンを包み込む。3−3で迎えた10回無死満塁、ルーキー喜多はいつもより5センチほど短く持ったバットを、森の150キロ速球に無心で叩きつけた。その喜多の勢いを象徴するような打球はグングンと伸びて左翼手の頭上を越えた。2戦連続のサヨナラ勝ち。それも2戦連続で喜多が決めた。

喜多
「お客さんが入っていたのであの場面は打つしかないと思った。1、2、3で思いっきりいきました。まさか2試合続けてサヨナラを打てるとは…。」

細い目がさらに細くなった。1日のダイエー戦でプロ入り初安打がサヨナラ打となった。華やかなデビューを飾った男はやはり強いものを持っている。ルーキーの2戦連続サヨナラ打はリーグ史上初。ロッテでも71年の江藤慎一氏以来、2人目の偉業だ。左くるぶしの故障で開幕から1ヶ月遅れで1軍に合流したが、お釣りが来る活躍だ。

1日の試合後、サヨナラの余韻に浸る間もなく2時間もティー打撃を行った。球場を出たのは深夜0時を過ぎていた。ドラフト1巡目の期待と重圧で80キロから76キロに落ちた体重を取り戻すために、とにかくバットを振り込もうと決めたからだ。その時、喜多と共に練習したのが97年のドラフト1位の渡辺正だった。喜多は智弁和歌山、渡辺正が上宮。近畿地区を代表するスラッガーとして凌ぎを削った同級生は互いの存在を刺激にし合った。そしてプロでは“先輩”となる渡辺正が5回にプロ初アーチとなる逆転1号3ラン。「この1本が自分にとっていい自信になる」という1発が反撃ののろしとなった。

若手の台頭で5月は2連勝スタート。4月はあれだけ苦しそうな表情だった山本監督も「(若手は)試合慣れしてきておる。このままでいきたいよ、簡単にはいかないと思うけどね」と本当に嬉しそうに話した。まさに上昇気流に乗ったロッテ。このまま一気に借金返済へ突っ走る。

清水直
「調子は悪くなかったし、ボールの切れもよかった。点を取ってもらった後、もう少し踏ん張らないといけませんね。」(先発で5回1/3を7安打3失点)

◇小林宏奮闘

中継ぎエースの小林宏が奮闘。サヨナラ劇のお膳立てをした。同点の6回1死二、三塁のピンチで登場し、伊東を空振り三振。さらに2死満塁から松井を一ゴロに封じると、延長10回1死一、二塁でも和田を遊ゴロ併殺打に仕留めた。「ここ何試合かピンチで投げていたので慣れてきました。最後の併殺打も計算通り」と小林宏。結局4回2/3を投げ1安打無失点。今季2勝目に笑顔満開だった。

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2連勝…喜多が新人で史上初の2試合連続サヨナラ打![サンスポ]

ライトから流れる6メートルのマリン風と3万人の大声援が後押しした。延長10回無死満塁。森の150キロ直球を弾き返した打球が左翼・和田の頭を越えたのを見届けると、新人・喜多が歓喜のガッツポーズだ。

喜多
「(森の)あんな速い球は見たことないからバットを短く持っていったんです。打球がよく伸びた?ライトから風も吹いてたから。この前よりお客さんが入っていて打つしかないと思った。」

奇跡のルーキーだ。1日のダイエー戦(千葉マリン)に次ぐ2試合連続のサヨナラヒット。パ・リーグでは平成10年に田中幸がマークして以来、史上8人目の快挙。新人ではもちろん史上初の大快挙だ。

喜多
「前回(1日)よりは落ち着いてプレーできました。でも2試合連続でサヨナラなんて…。運だけは持ってますから。」

勝利を呼び込む強運男の原動力は、スタンドの大声援だ。智弁和歌山の主軸として出場した平成9年夏の甲子園大会では、5万大観衆に気をよくして全国制覇。慶大へ進学したのも、早慶戦の華やかな大舞台に憧れたから。昨秋のリーグ戦では6大学史上最高の打率.535をマークしたが、それも自分自身への大コールが力を与えてくれたと思っている。だからこそ、12球団でNO.1の熱い声援を送ってくれるロッテファンに、思わず頭が下がった。

喜多
「『オォー!キタッ!』っていう声援、カッコいいですよね。チームの先輩達にもいいなあって言われます。2試合連続でサヨナラ打を打って、逆に期待されるから大変。これからも打ちまくってまぐれじゃないことを証明したい。」

強運と勝負強さ、そして謙虚さを兼ね備えたルーキーがいれば、ロッテの5月反攻も夢ではない。

喜多隆志(きた・たかし)
昭和55年2月6日、奈良県生まれ、22歳。智弁和歌山高から慶大を経て、平成14年にドラフト1位でロッテ入団。智弁和歌山高で甲子園優勝、慶大でもリーグ制覇を果たし、6大学新記録の打率.535で首位打者も獲得した。1メートル82、78キロ。左投げ左打ち。今季年俸は1500万円。
データBOX
喜多が1日のダイエー戦(千葉マリン)に続いて、2試合連続のサヨナラ安打を放った。2試合連続でサヨナラ打を放ったのは、日本ハム・田中幸雄(平成10年6月21日のロッテ戦、同23日のダイエー戦)以来でパ・リーグ8人目。ロッテでは昭和46年の江藤慎一(5月1、2日の東映戦)以来で31年ぶり2人目。もちろん、新人では初の快挙だ。

◇5年目・渡辺正がプロ初本塁打

5年目・渡辺正が嬉しいプロ初本塁打を放った。2点を追う5回1死一、二塁でスライダーを左翼席へ運ぶ逆転3ラン。「軽く振り抜いたら入っちゃいました。初本塁打をいいところで打つことができてよかった。自分にとっていい自信になります」と笑顔が絶えなかった。

小林宏
「ストレートにかなりスピードが出ていた。それを引き出してくれた清水将さんのおかげ。」(2試合連続で勝利投手)
山本監督
「スイングがいいよ。それに初球の見送り方もよかった。しっかり球が見えてるんだ。左足の故障がなければ開幕1軍も大丈夫だったんだ。今は万全だからね。2試合連続サヨナラで波に乗っていきたいね。」

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小林宏が2試合連続勝利

6回1死二、三塁から登板した小林宏が、伊東を三振。四球を挟んだ後、松井を1ゴロに仕留めてピンチを切り抜け、延長10回までわずか1安打に抑えた。

小林宏
「ストレートにかなりスピードが出ていた。それを引き出してくれた清水将さんのおかげ。」

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渡辺正プロ1号

喜多の同級生、5年目の渡辺正がプロ初アーチを放った。2点を追う5回に、三井のスライダーをレフトへ値千金の3ラン。

渡辺正
「軽く振ったら入っちゃいました。」

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