1点差で迎えた6回、ロッテは、無死満塁から立川がプロ初の満塁ホームランを放ち逆転に成功。7回には2死から福浦がソロを放つと、立川が2者連続、2打席連続となるソロを放ち試合を決めた。清水直は、8回9奪三振2失点の好投で、5月20日以来となる5勝目。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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オリックス | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 |
千葉ロッテ | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 2 | 0 | x | 7 |
ロッテが今季2度目の4連勝、開幕から92日目で初めて5位に浮上した。
6回無死満塁。24日の近鉄戦から4番に座っている立川が打席に入る。マウンド上には目下防御率1位(1.57)の具。空振りとファウルでアッという間にカウント2−0と追い込まれた。
試合前、山本監督は「今日は具の防御率(1点)しか点は取れないだろう」と、苦戦を覚悟。立川自身も打席に入る際、次打者の初芝に「後はお願いします」と、半ば腹をくくっていた。
ところが3球目、具の内角ストレートを「巧く打てた」という打球は、大きな弧を描いて左翼席に一直線。「ウソだろ?」と立川が走りながら呟けば、ベンチも全員が目をシロクロ。プロ9年目にして初の満塁弾は、本人もベンチもビックリの1発だった。
立川は7回の打席でもホームラン。即席4番の活躍で、ロッテは今季初の5位に浮上した。「打者みんながここにきて集中し始めた」と山本監督は遅まきながらも反攻への手応えを掴んだようだ。
一瞬の爆発力。これが立川の最大の魅力だ。1点を追う6回無死満塁、カウント2−0からの内角直球。迷いのないスイングが左翼へ、プロ初のグランドスラムを生み出した。7回には2打席連発の3号ソロ。これぞ4番の仕事でチームを最下位から救い出した。「何も考えず、何とかなると思って振った。気持ち良かった。あ〜あ、やっちゃったなあという感じ。僕もビックリしました」と喜んだ。
玉砕覚悟。次打者・初芝に「あとはお願いします」と告げて打席に向かった。オリックスの具台晟は、この試合までロッテ戦14イニング無失点。その自信から助っ人左腕は「負ければ最下位というプレッシャーはなかった」と話したが、雑念を振り払った立川が心理面で優位に立っていた。山本監督は4番抜擢を「集中力。アイツは責任を持たせたらやってくれる」と説明。2軍監督時代の経験を生かし、親分肌の男に最適のポジションを与えた。
今季は開幕11連敗。立川はその途中、4月8日に左ふくらはぎ痛で2軍落ちしたが、練習ができない状態でも必ず朝のミーティングから参加。復帰へ向け神経を研ぎ澄ましていた。24日の近鉄戦から4番に座り4試合連続安打。チームは4連勝で60試合目で最下位脱出だ。「4番?悪くないですね。でもこんな数字、他のチームにはいないですよ」。打率は.211。それでもこの男は油断ならない。
清水直が8回7安打2失点の好投。自身の連敗を3で止め、5月20日の日本ハム戦以来となる5勝目を挙げた。4回に高見沢の2ランで1度は逆転されたが「今まで勝てずに考え過ぎていた。コーチにももっと持ち味を出せと言われた」と清水直。「ビックリした」という同い年の立川の満塁弾に援護され、MAX148キロの直球を武器に攻めまくった。開幕からの連敗を11で止めた右腕が再び殊勲の白星を手にした。
16日の西武12回戦(秋田)で通算1500試合出場を達成した初芝の表彰式が、29日、オリックス12回戦(千葉マリン)前に行われた。