ロッテが西武戦連敗を6で止め、胴上げを阻止した。3回に小坂の三塁打を足場に先制し、4回は初芝の適時打、6回も初芝のソロなどで加点。ミンチーは8回無失点。西武は9回のカブレラのソロのみで連勝は4でストップ。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
千葉ロッテ | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 3 | 0 | 1 | x | 6 |
「こういう時のウチは強いんだよね」。試合前三塁側の西武ナインを見ながら、ベテラン選手がニヤついていた。そして「何しろ、2年前と7年前も阻止したからね」と付け加えた。
確かにそうだ。7年前の平成7年には、あと1勝のオリックスに待ったをかけ、平成12年はダイエーの自力優勝を阻んでいる。試合内容は、まさにその実績通りの展開となった。
先発のミンチーは「まるでワールドシリーズ第1戦のような盛り上がりだね」と、2メートル03の大きな体からアドレナリンを撒き散らし、西武打線を8回まで5安打に“零封”した。打線も「全員、胴上げは見たくないんだ。練習でも打てたことのないような当たりを打てた」と15号ソロを放った初芝がおどけたように、8安打で6点を入れた。
山本監督は「ミンチーも打線も良い所が随所に出た。明日?うちも4位がかかっているし、選手も個人成績があるので負けられないよ」。この3連戦、最後まで最強のかたき役を演じ続けるつもりだ。
「うちが勝ってダイエーさんも勝つ。そうなったら、最高なんですがねぇ」と試合前言っていたことが現実となり、球団の営業部はウハウハだ。「今日が3万ですから、明日(21日)は満員(3万5000人)になると思います。来年は他人のフンドシではなく、自力でこういう場面をつくるようみんなで頑張らないと…」と気持を引き締めるが、目尻は下がりっ放し。
これがロッテの伝統だ。目の前での胴上げ阻止。山本監督ははっきりとした口調で勝因を口にした。
この日まで打率3割台とカモにされていた西武打線の対策は万全だった。試合前のミーティングで袴田バッテリーコーチは「とにかくストライクからボールになる球で勝負しろ!」とミンチーに指示を与えていた。そして、0−0で迎えた3回1死二、三塁で小関を真ん中低めにボールとなる110キロのカーブで空振り三振。続く貝塚を内角に食い込む131キロのスライダーで詰まらせ二ゴロに仕留めた。中盤の得点機を確実にものにした打線に助けられて13勝目を挙げ「要所を締めることができた。ワールドシリーズの初戦のような雰囲気だった」とミンチーは汗を拭った。
88年、あの“伝説の10・19”の近鉄戦。マジック1で迎えたダブルヘッダーの第2試合でドローに持ち込んで近鉄の夢を断った。95年9月15日からのオリックスがマジック1で迎えたGS神戸での3連戦では全勝した。マジック1でダイエーを千葉マリンに迎えた、00年10月5日からの2連戦も2連勝。土壇場で強いのがマリーンズだ。
これで西武戦の連敗は6でストップ。2安打2打点と奮起したチームリーダー初芝が言い放った。「目の前には西武しかいないので大事に戦います」。勢いに乗るロッテがパ・リーグの灯を消すことはない。
なぜか、こういう試合には強い。ロッテが西武の胴上げを阻止した。西武のお株を奪うスキのない野球で6−1で快勝。一昨年の2000年も同じ千葉マリンでダイエーの胴上げを阻止するなど、相手の優勝がかかった試合では無類の強さを発揮する。今季ここまで西武には5勝17敗1分と大きく負け越し。数字をみれば西武ファンならずとも、ロッテファンですら伊原監督がここ千葉マリンで舞うことを想像したに違いない。だが、この日は違った。どっちがマジック1のチームか分からない試合だった。
1988年10月19日には近鉄と引き分け、近鉄のVを消滅させた。1995年にはオリックスに3連勝、2000年にはダイエーに快勝し目前胴上げを阻止した。
ミンチーが8回を5安打無失点の快投。「ワールドシリーズの初戦のようだった。」という3万人の大観衆。外野両翼で激しい応援合戦が繰り広げられた異様な雰囲気の中、カットボールとカーブを駆使。前半戦は5勝11敗と不本意だった成績を13勝13敗のイーブンに戻し、最多勝も射程圏に入れてきた。代理人との交渉が進展していないため、来季の去就は未定。しかし、中4日で投げるタフガイをチームが放っておく訳がない。この日、ロッテの重光昭夫オーナー代行が都内で取材に答え、ミンチーについて「これほどの投手ですから、残ってもらわないと困る。」と話し、残留へ全力を注ぐことを明かした。
意地を見せた胴上げ阻止に球団の営業サイドはえびす顔。この夜は3万人の観客を集め、21日からの週末はさらに多くの入場が見込めるからだ。もし西武が優勝していたら入場料で約2000万円、グッズ販売などで約5000万円の減収が予想されていた。手塚営業部長代理は「選手の頑張りはありがたい。本当はうちのチームが主役ならもっと嬉しいけれど」と話したが、当日券、外野席7200枚、内野自由席1万5000枚以上も完売しそうだ。
井上が試合前の練習中に打球を受け、習志野市内の病院にて検査を受けた結果、鼻骨骨折、右前頭前壁骨折と診断された。本日は入院し明日精密検査を受ける予定。