右肩痛で2年間1軍登板のない黒木知宏投手が、復活へ1歩前進した。11日鹿児島の鴨池ドーム(室内練習場)で、今キャンプ初のフリー打撃に登板。福浦ら打者3人に対して76球を投げ、空振りを3つ奪い、安打性の当たりを6本に抑えた。バレンタイン監督も「今日の彼はとても良かった」と評価。17日に予定されている紅白戦登板の可能性を示唆した。もう後戻りできないジョニーが、まずは最初のハードルを越えた。
黒木のフリー打撃内容 | ||||||
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打者 | 球数 | 安打 | S | B | F | 空振り |
福浦 | 25 | 4 | 15 | 6 | 4 | 1 |
初芝 | 26 | 1 | 13 | 12 | 5 | 0 |
渡辺正 | 25 | 1 | 20 | 4 | 6 | 2 |
計 | 76 | 6 | 48 | 22 | 15 | 3 |
投手の調整が打者より進んでいることを差し引いても、十分に期待の持てる内容だった。フリー打撃に初登板した黒木が、主砲福浦から1度、渡辺正からは2度の空振りを奪った。さらに初芝のバットをへし折ると、バックネット裏から見守っていたバレンタイン監督も「ナイスボール!」という掛け声を連発。球種を打者に教えていても、抑え込む力があった。
球の威力もさることながら、何より制球が安定していた。この日、投じた76球中、ボールになったのは3分の1以下の22球。視察していた大リーグ・メッツの大慈弥・環太平洋スカウト部長も「138キロくらいは出ていた感じだ。ボールもまとまっていたし、この時期としては十分じゃないかなあ」と感心した様子だった。
しかし、黒木は不満いっぱいだった。「今キャンプでワースト3の内容。肩が開いてボールが丸見えになっていたしね」。右打者の内角に抜けた球が何球かあったことが気に入らないようだ。「フリーで投げられたぐらいで満足はできないですよ。もっと高い次元で考えているんですから」。ちょっと憤慨したように言う。結果関係なく、調整をすべて任されていた時代とは違う。後戻りできない立場から、もう1度輝きを取り戻そうとしている。最初のハードルを越えたくらいでは喜べなかった。
だが、そんな姿こそが指揮官を魅了している。「彼はいるも自分に厳しいし、そこが気に入っている部分でもあるんだ」とはバレンタイン監督。第3クール初日となる17日には、紅白戦が予定されている。同監督は「10人くらいの投手を投げさせたいと思っている。もちろん黒木が投げる可能性もある」と登板を示唆した。
「2年半も投げていないので、昔の姿を忘れているんですよ」という黒木が目指すのは「新しいジョニー像」。「まだ投手の球をあまり見てないんだから勘弁してくれ」と初芝に断られたものの、この日早くもチェンジアップを試そうという意欲を見せた。
「今日は全く意味がなかったということではないんですよ。悪かった部分は自分で分かっているし、それを次に生かせればいい」。紅白戦で好投し、オープン戦、公式戦へ。復活の階段を1歩1歩、かつてのエースが登っていく。
李がフリー打撃で76スイング中19本のサク越えを放った。前日の休日でリフレッシュ。「昨日は12時間くらい寝たので、調子が良かったです」と笑顔を見せた。ブルペンでは審判をつけた投球練習の打席に立ち、日本のストライクゾーンを体験。「内角が狭くて、外角が広い感じ。早く生の投手の球を打ちたい」と話していた。
7日から急性胃腸炎で練習を休んでいたロッテのベニー・アグバヤニ外野手が復帰。
審判が合流したが、ブルペンで投げ込むベテランはマイペース。「戦う相手は審判じゃない。いかにして打者をアウトにするかが大事で、ストライクを取るということは二の次です」。
連日の100球超えでフォーム固めに着手。「もっと腕の位置を下げる。イメージ的には潮崎さんや高津さん。どんどん投げて早く固めたい」。
第1試合は、今日からスライダーの設定となったが、ファールチップが目立った。しかし、目がボールに慣れるにつれ、スピードアップしてもポンポンとヒットが出て、点の取り合いとなった。第2試合は、接戦が予想されたが、序盤からSAMURAIが爆発。
鴨池ドームのフリーバッティングには、ジョニー、薮田、戸部の3投手が登板。力のこもったピッチングを見せた。ジョニーは、初芝、福浦、渡辺正に対して76球を投げ、ヒット性の当たりはわずか5本に抑えた。初芝のバットを折り、福浦、渡辺正からは空振りも奪う力投。しかし、投げ終わったジョニー本人は「キャンプに入ってワースト3に入る悪い出来。下から2番目ぐらいかな」と満足には程遠いと憮然とした表情。
韓国の56発男、李承Yがフリー打撃で76スイング中、今キャンプ最多の19本のさく越えをマークした。久々の屋外での打ち込みに「昨日休んだのですごく調子がよかった」と笑顔を見せた。ロブソン打撃コーチは「どの方向にもいい打球が飛んでいる。順調そのものだよ」と高く評価。李は気持ちが乗ってきたのか「早く投手の生きた球を打ちたい。これまでブルペンでも見ているし、準備は問題ない」と意欲的だった。
右肩痛からの復活を目指す黒木が11日、フリー打撃に初登板。福浦、初芝、渡辺正を相手に76球でヒット性の当たりを5本に抑えたが「生涯でもワースト3のデキ。肩が開いていたよ」と顔をこわばらせた。ただ、そんな不満も逆に完全復調に自信があるからこそで、バレンタイン監督は「彼はいつも、自分に厳しいからね」とニヤリ。17日の紅白戦に登板させる可能性も示唆した。
李が5日ぶりに屋外フリーに臨み、76スイングで今キャンプ最多の19本のサク越え。「昨日はゆっくり休めたので、コンディションがよかった。少しずつ仕上がっています」と笑顔。返す刀で第3クールの目標に「コンパクトかつ前(ミート後)が大きいスイングを心掛けたい」と掲げた。
右肩痛から3年ぶりの復活を目指す黒木知宏投手が11日、室内練習場でフリー打撃に初登板し、厳しい内角攻めで初芝のバットを折るなど力強い投球を披露。「行けと言われれば行けると思う」と17日予定の紅白戦初戦に向け、好感触を口にした。
バレンタイン監督の視線が、黒木から1度も離れなかった。打球が前に飛ばない。初芝、福浦、渡辺正に投げ込んだ76球のうち、安打性はわずか5本。後ろに飛んだファウルは15球。福浦から1球、渡辺正からは2球の空振りも奪った。「体が早く開いて、生涯ワースト3に入るくらい悪かった」と自らを酷評したが、球威は嘘をつかない。「初球に内角を突かれて、かなり意識した。空振りはスゲェー悔しいですよ」と2001年の首位打者・福浦。これには指揮官も「自分に厳しいところが私は好きだ。紅白戦?もちろん、可能性はある」と黒木の実戦登板にOKの姿勢だ。
鹿児島キャンプは中盤に突入。気温の上昇とともに、黒木のペースも上がってきた。「今日は打者相手に投げただけで良かった。違った体の張りも出てくるだろうし、明日が楽しみ」。1つ1つ感触を確かめながら、ジョニーが前進を続ける。
李が今キャンプ最多となる19発のサク越えを見せた。鴨池球場のフリー打撃で、のびのびと76スイング。この日から審判がキャンプに合流し、ブルペンの打席に入って日本のストライクゾーンも確認した。「やはり、日本は韓国より高低が広く、左右に狭い。今日は外で調子よく打てたけど、早めに紅白戦もやりたいですね」と、すでに体は実戦モード。
右肩痛からの復活を期す黒木が、このキャンプ初のフリー打撃に登板したが、自身「生涯でワースト3」と振り返る投球に終わった。速球で福浦から空振りを奪う場面もあったが、制球は悪く、抜けた球が多く見られるなど球威もばらつき気味。ただ、ここまで調整は順調とあって「バッター相手に投げられたからいいでしょう」と余裕を見せる。バレンタイン監督も「最初の登板は難しいし、いい回転をしてる速球もあった」と評価していた。
鹿児島の寒さも手伝って、急性胃腸炎で2日間、練習を休んでいた新外国人ベニー・アグバヤニ外野手が復帰した。抜けるような晴天となった11日は体調も回復。アップ、キャッチボールと元気そうな姿を見せた。「もう大丈夫だよ」と、自慢の二の腕のタトゥーを見せながら笑っていた。