阪神先発の前川は初回に3点を失ったが、2回以降はコースを丁寧につく投球が光った。新人の鳥谷は初安打、初盗塁を記録。5番に入った関本は3安打3打点の活躍だった。ロッテの李は初回に2点適時二塁打と勝負強さを見せた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
阪神 | 2 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | x | 8 |
進化する「ライオンキング」がいた。李承Y内野手が来日初長打初適時打をマーク。それは、課題に挙がる左投手を攻略したものだった。阪神前川は8球中7球を変化球、それも上下左右に揺さぶってきた。「フォーム、球種とも合わせづらい。相性は良くないタイプ」と、カウント2−1と追い込まれ手を焼いた。ただ、打席でタイミングを修正できる柔軟性があった。初回、1点を先制しなお無死一、二塁。フルカウントから胸元のスライダーに反応すると、右翼線を破る2点二塁打となった。
努力と準備も怠らない。ここまでオープン戦2試合で1安打。本来のスイングを見失っていた李は帰京後の2日、打開策をトレーニング方法に求めた。
の、3つの器具を使った練習を新たに導入。(1)で軸足に体重を残す意識付け、(2)でスイング時のスムーズな体重移動、(3)でインパクト時の瞬発力を養った。効果は明らかだった。李は「軸足にしっかり体重を残せた。成果はあった」と喜んだ。「状態はまだ30%」としながらも、「徐々に自分のスイングに戻っている感触はある」と初アーチへの期待は膨らむばかり。わずか2日でヒントをつかんだ適応力の高さは、やはりただ者でない。
オリックス伊原監督が、5日のロッテ戦で韓国の56発男・李承Yを丸裸にする。ヤフーでの練習後「色々試す。スコアラーを通じて報告が来るのでそれに基づいて」と話した。正捕手・日高も「実戦でしか分からないことがあるから」と徹底マークを宣言。昨季6勝21敗1分のロッテ攻略。まずは新主砲の弱点を暴く。
復活を期す黒木が5日、因縁の神戸で先発する。1軍レベルで先発マウンドに上がるのは、01年7月27日のオリックス戦(グリーンスタジアム神戸)以来、約2年半ぶり。その時、投球中に右肩の違和感を訴え、長期リハビリを余儀なくされるアクシデントに見舞われた。「覚えてますよ。どういう気持ちになるかはマウンドに上がってみないと分からないけど」と静かにテンションを高めていた。
小林宏が開幕への不安を口にした。オープン戦初先発は2回2失点。初回に不運な打球にも泣かされ、4連打を喫した。「ストレートは良くても、変化球がダメ。今日は抑えたかったけど…」と不満顔。例年と比べても仕上がりが遅く「この程度の調子ということ。自分でも原因が分からない」と首をひねっていた。
ロッテは4日、松山で阪神とオープン戦を行い、李承Yのバットがオープン戦3試合目で火を噴いた。右翼線の芝生に打球が弾んだ。二塁打だ。走者2人を還す初長打で初打点も記録。「球に逆らわず、進塁打を打つつもりでスイングしました」。初回無死一、二塁。フルカウントからの8球目、内寄りのスライダーを引きつけ鋭く振り抜いた。従来と違う。佐野1、2軍巡回コーチはカウント2−1から外角低めへボールになるカーブを見送った時点で確信した。「軸足に体重が残って、うまく見極めていた。打てると思った」。予想通りだった。「状態は30%ですけど徐々に自分のスイングができています」。3回の打席は中飛ながら感触は悪くなかった。初アーチをかける日も遠くはない。
打球は快音を残し、鋭く右翼線を破った。1回無死一、二塁。韓国からやってきた“アジアの大砲”李承Yが、阪神・前川のスライダーをフルスイングして適時二塁打。オープン戦初長打、初打点だ。
苦悩の日々が続いていた。ここまでオープン戦2試合で、6打数1安打&3三振。自分の打撃を取り戻すべく、2日に白坂コンディショニング担当に相談。初体験の調整法に取り組んだ。50センチ四方の木箱や、半球の上に軸足の左足で立つトレーニング。さらに3キロのメディスンボールを使って腰を回転させ、打席でのインパクトの感覚を取り戻した。この日も試合前の15分間、ワラをつかむ思いで汗を流した。
新メニューの効果は早速、会心の一撃を呼び込んだ。「体重移動に役立ちました。まだまだ30%の出来だが、徐々に自分のスイングはできてきています」。昨季は56発を放ち、メジャーからも注目された大砲が、ようやくお目覚めの気配だ。
先発の小林宏は、2回を4安打2失点と今一つ。今季は先発か中継ぎか、現段階では未定だが、チーム浮上の鍵を握る存在。感触を尋ねられた右腕は「全然…」と、さえない表情を見せた。ただ、ここまで「思うようにいかない」と話していた速球については「(調子が)上がってきている気がする」と収穫も口にした。
最高気温7度の中、14安打8失点の投壊劇だ。キャンプで好調だった加藤が2回を6安打3失点、藤田が1回を3安打2失点の惨状。バレンタイン監督は「今日は寒くて調整するのが難しかった」とかばったが、加藤は「全てが悪かった」と肩を落とした。
悪夢から2年半、ジョニーが神戸に戻る。5日のオリックス戦(ヤフーBB)で、黒木がオープン戦初先発。同球場は右肩痛で戦線離脱する直前、平成13年7月27日に“最後の1軍マウンド”を踏んだ因縁の場所。「あそこで1軍登録を抹消された、というのは覚えています。どういう気持ちでマウンドにあがるんでしょうかねえ」と心待ちにした。
阪神は先発の前川が初回に3点を失ったが、その後3イニングを無安打に抑える好投。打線も鳥谷が初安打をマークするなど14安打8点を奪い、効率的に加点した。ロッテは投手陣が調整不足を露呈。打線も初回以外はチャンスをつくれなかった。
アジアの大砲が迷いを吹き飛ばすオープン戦初長打に初打点だ。1回無死一、二塁。カウント2−3から前川の内角スライダーに、李承Y内野手のバットが反応した。「得意なコースではないけど、進塁打だけを考えていた」打球は右翼線を抜け、走者2人が生還。李は笑顔で二塁ベースに立った。
イメージトレでフォーム修正した。前の2試合では投手のモーションを意識するあまり上体が突っ込みすぎていた。そこで李は、2日と3日の練習で白坂トレーナーに師事していた。「50センチ角の木箱に軸足だけを乗せたり、『バランスパッド』という半球の上で構えて軸足に重心を置く。そのイメージを打席でも持つことで、ぼやけていた体のポイントを取り戻せる」と同トレーナーが助け舟を出していた。効果はてきめんだった。オープン戦8打席目にして初の適時打。「軸足に力を乗せるのが楽になった」と、韓国では試したことのないトレーニングで開眼した56発男。バレンタイン監督も「彼の場合は、あとはタイミングの問題」と話し、日本で見せる初アーチも、それほど遠くない。
李承Y内野手が、初回無死一、二塁からの2点二塁打を放ちオープン戦初長打、初打点をマークした。「スイングの状態はまだ30パーセント」と話すが、胸元寄りのスライダーを振り抜くと、打球は右翼線を鮮やかに破って行った。
29日のダイエー戦後、取り組んだイメージトレーニングの効果だった。軸足を中心に、打撃の際の体重移動を強く意識した強化トレーニングが、鈍っていた筋肉の感覚を覚せいさせた。これで、上体が突っ込みがちだったフォームも自然と修正され、気持ちの余裕も取り戻した李のバットに、もう硬さは見られなくなった。復調の予感を確かに感じさせる一打に「体が軸足に乗ってうまく回転した。自分のペースになってくるのが分かる」と、李の言葉にも力がこもった。