西武松坂は5回を4安打1失点に抑えた。最速148キロの速球と、絶妙のチェンジアップで李から2三振を奪うなど、毎回の7奪三振。フェルナンデスも古巣から左中間場外へ本塁打した。ロッテはミンチーが安定していた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 4 | 0 | x | 7 |
西武との開幕第2戦に先発が予想されるミンチーが、5回1失点と好投した。松坂が5回で87球を費やしたのに対し、ミンチーは49球。全面解禁したナックルも交え、投球術で翻弄した。唯一の失点も、5回1死一、三塁から一−遊−投の併殺を狙って一塁へ走り、打者走者の柴田に走り負けたものだけ。試合後は「一生懸命走ったんだけど、柴田の方が速かったよ」と笑顔で振り返っていた。
「徹底したい」とバレンタイン監督が話していた守備シフト。しかし、サインの間違い、見落としが重なり大量失点につながった。フェルナンデスのツーランで1−3とリードされた7回裏、セラフィニが連続四球を与え、一、二塁とピンチを招く。ここでバッターは代打・平尾。この平尾に対し、1−0から福浦が猛然とダッシュ。平尾は一塁に叩きつける打球を放つと、ボールはワンバウンドして前進した福浦の頭を越え、ライトまで達するゴロとなり、1点を失い、平尾は二塁まで到達。二、三塁とピンチを大きく広げてしまった。
ボールがライトに達したとき、バレンタイン監督は落胆した表情で帽子を取って頭をかいたが、実はこのプレー、サインプレーだった。しかし、2つのミスが重なり、ピンチを広げてしまった。このプレー、本来は福浦がダッシュし、ピッチャーはボール球を投げ、一塁にセカンドがカバーに入ってキャッチャーが牽制するというプレーだった。ところが、セラフィニがストライクに投げ、浜名がカバーに入らないというミスが重なった。バレンタイン監督は試合後「あの場面は思ったことが出来ずに無様だった」と厳しい表情。セラフィニは2軍でプレーしていたが、「ファームのサインと1軍のサインが違うということを知らなかったようだ。そのためにプレーが雑になった」と失敗の要因を説明した。「もう失敗はないだろう」と話したが、重要視する守備のサインプレーでの単純なミスに、バレンタイン監督の表情は最後まで厳しいままだった。
何度振っても、バットは空をきる。4番・一塁で先発出場した李承Yだが、3打数3三振で途中交代。シドニー五輪以来の対戦となった松坂には2三振を喫した。
「(対戦した)当時よりよくなっていますね。全ての球種が素晴らしいです」。4年前は本塁打を放つなど“松坂キラー”と呼ばれたが、初めてのチェンジアップにタイミングを狂わされた。これで規定打席到達ではトップの14三振。「今後は、球をもっとよく見極めてスイングしていきたいです」と気合を入れ直したが、それにはワケがある。
15日、バレンタイン監督も対面を熱望する21歳の美人妻、松靜さんが来日予定。最愛の妻とのひとときを気分転換にするつもりだ。
開幕戦の相手に連勝を4で止められたとあって、バレンタイン監督はガックリ。特に、投内連係のミスも重なり4失点した7回の守りについて「これまでで最悪な、ぶざまなイニングだった」。一方で散々だった中継ぎ陣には「いいときもあれば、悪いときもあります」と奮起を期待。
西武松坂は、4年の重さを李にぶつけた。00年のシドニー五輪以来の対決で、アジアの大砲を、試した。初回2死二塁では縦の変化と緩急だった。インハイの直球でカウント0−2とし3球目、真ん中低めのチェンジアップを空振りさせ感覚をつかむ。内角高めの148キロ直球で空振りを奪えば、迷わない。見逃せばボールの、低めチェンジアップで三振に仕留めた。
次は横の変化だ。最終的には直球で空振り三振に取った2打席目だった。カウント1−1から投じた3球目のカットボールを、ファウルされる。「縦の揺さぶりは使っていけるなと。横は強いんじゃないかな。これから何打席か、ビデオを見ると思う」。開幕でも対戦する李対策に手ごたえを感じた。5回7奪三振1失点と、仕上がりも上々だ。
4年前の五輪では予選リーグで直球を2ランされ、同3位決定戦でも153キロ直球を決勝二塁打。メダルを逃し、悔し涙を流した。だが4年という時は松坂に投球術をもたらした。「(李は)ストレスとか疲れがあると思う。今日は(打ちそうな)雰囲気はなかったと思う」と気遣う余裕すらあった。
登板前は、ペナントレース本番に備えて「えさ」をまこうとしていた。李への配球を「低め。そういう意味では自分の投球ではないかもしれない」と話していた。相手の好きなコースを確認するのも手だった。だが試合直前、女房役の野田と話し合い、いろんなコースに投げて李の対応を確認することにした。1打席目で見せたインハイ攻めも、弱点と踏んでのものだった。伊東監督は松坂の投球に「新戦力に対しても探りを入れてやってたみたいだから」とうなずいた。松坂も期待を痛いほど理解している。「求められているモノも高いし、しっかり応えていきたい」。次回21日の横浜戦(西武ドーム)が開幕への最終調整になる。李攻略の手本を見せただけでは、エースの証明にならない。
西武・松坂大輔投手がシドニーのリベンジを果たした。李承Y内野手と2000年のシドニー五輪以来の対決となった松坂は、李を2打席連続三振に斬った。投球内容も5回を4安打1失点、7奪三振。ミスターの早期回復を願う怪物が4年前より進化していることを証明し、ロッテとの開幕戦にも弾みをつけた。
負ける訳にはいかない。松坂の気迫は、韓国NO.1スラッガーに、打球を前に飛ばすことさえも許さなかった。初回。カウント0−2から、チェンジアップ、直球、チェンジアップと続け、3球連続で空振りを奪った。4回に迎えた第2打席では、1−1からカットボールをファウルされた直後、高めの直球で空振り三振に仕留めた。
勝負にこだわる一方で、シーズンに向け冷静な分析を欠かさなかった。「高め、低め、変化球への対応など特徴を見ながら投げました。打たれて知ることも必要だと思うけど、(捕手の)野田さんも抑えにいってましたから」あくまでシーズンへの準備段階としながらも、結果を残して今季の“李斬り”に手応えをつかんだ。
シドニー五輪以来となる対決で、苦い記憶を払拭した。2000年、日本のエース、韓国の主砲という立場で相まみえた両者。予選リーグでは152キロの直球を右中間へ運ばれ、3位決定戦では決勝の2点二塁打を献上した。4年ぶりに訪れた雪辱の舞台で見事にリベンジした。
だが、エースに慢心はない。「雰囲気?今日はあまり感じませんでした。疲れがあるんじゃないですかね」と分析するように、現在の李が本調子にあるとは考えていない。2三振を奪ってなお「今後、チェンジアップにどうやって対応してくるかでしょう」と警戒を強めた。3・27の開幕戦で再び対戦する両雄。新たな名勝負がパ・リーグの開幕を彩る。
完敗だった。むしろ、前哨戦で2連続空振り三振を喫したことで、悔しさを通り越して、李は淡々としていた。「松坂の球はとてもよかった。シドニーの時よりもいい」シドニー五輪では銅メダルを決める局面で日本のエース右腕を打ち砕いたが、4年を経た怪物の進化は予想以上だった。
それでもバレンタイン監督の見方は違った。「日本の投手に慣れるまでは、彼には多く三振してもらおうと思っている」と三振を奨励。さらに「今日はミンチーの方が直球は多かった。松坂はファストボールがいいと聞いていたからガッカリ。(李は)遅い球に戸惑ったが開幕では大丈夫だろう」と“口撃”も忘れなかった。
第1打席はシドニーでは投げていなかったチェンジアップにタイミングを崩された。第2打席では一転して、外角高めの直球を空振り。「内角と思っていたが読み違えた。もっと見極めないと」と気を引き締めたが、日本の野球には1歩ずつ適応している。周囲には「日本にも対応できるはず」と漏らすなど、27日の本番には、アジアの大砲も進化を見せつける。
開幕カードの前哨戦は完敗だった。李承Y内野手は松坂のチェンジアップと速球のコンビネーションにほんろうされ2三振。「全ての球種が、非常によかった」と、シドニー五輪の再現となる注目の対決を振り返った。
ただ、外角高めの速球を空振りした2打席目の三振については「読み違えた」と、意地を感じさせる発言も。今後の松坂対策についても「球をよく見て打ちにいく」と、ごくあっさりと話した。
「アジアの本塁打王」李承Y(千葉ロッテマリーンズ)が日本の“怪物”投手、松坂大輔(西武ライオンズ)に完敗した。李承Yは14日、日本の西武ドームで行われた西武とのオープン戦で先発の松坂に2三振を奪われるなど、3打席連続三振に終わった。4番・一塁で先発出場した李承Yは1回表、2死一塁の場面で、ストレートを中心にした真っ向勝負を挑んだ松坂を相手にカウント2−2から低めのフォークボールを空振りし、三振に倒れた。