わたしはかもめ2004年鴎の便り(3月)

便

3月27日

西武3−5千葉ロッテ(西武ドーム)

ロッテは1回に李の適時二塁打とベニーの適時打で2点を先制、3回に堀の1号2ラン、9回には波留の犠牲フライで着実に加点、粘る西武を振り切り開幕戦3年ぶりの勝利。清水直は7回1/3を3失点。2本塁打を許したが、緩急をつけた内容で危なげなかった。抑えの小林雅も無安打で切り抜けた。

123456789R
千葉ロッテ2020000015
西武0100000203
バレンタイン監督
「波留初球ヒットを放ってからいいゲームとなった。ファビュラス(ものすごい)なゲームだった。これだけエキサイティングなゲームは中々ない。小林雅からボールをもらって感動した。リトルリーグ時代の初勝利のボール、ワールドシリーズ1勝目のボールと同じ価値があるボールだ。」
西村コーチ
「波留のヒットで行けるというムードが出来た。今日のポイントは松坂から李が打ってくれたところだったが、堀も2死から良く走ってくれた。あれで流れを引き寄せた。ピッチャーも良く投げたし、全員の勝利だね。」
清水直
「前半肩が軽い感じだった。開幕は初なので、4〜5回までバタバタしないように気をつけた。和田選手に1発を食らって、しっかりしようと気を入れ直した。低目を丁寧に突けて良かったですよ。最後はクリーンアップだったから力が入ってしまった。完投にこだわってはいなかったが、球数が少なかったので行けると思ったけれど。まあ、しょうがないですね。普通に投げることがこんなに難しいとは思わなかった。本当にホッとしましたよ。」
波留
「使ってもらっているのでいい結果が出て良かった。今日の勝ち負けは紙一重だったが、うちに小さな神様が微笑んでくれた。小坂選手も堀選手も抜けそうな当たりを防いだこともそういう理由。今日は本当に全員でつかんだゲームだよ。」
小坂
「打ったのはストレート。打席では塁に出ることしか考えていなかった。その前の打席までタイミングが合っていなかったので、打てて良かったです。(ファインプレーは)清水直投手が粘っていたので、何とかしたかった。アウトにできて良かったです。」
「最初の打席は、とにかく、余計な事は考えないようにした。エンドランの失敗も意識しなかった。1打席1打席集中するように言われているので、それが出来た結果。2打席目のホームランは、少しこすり気味だったので『入ってくれ』と思いながら打席に立ちました。(オープン戦でも松坂から打っているが)関係ない。たまたま。それよりもチームの勢いを潰さないためにも明日が勝負。」
バレンタイン監督
「先制2点のきっかけのヒット、守備、ホームランと素晴らしい活躍だった。リーグ屈指の名選手だ。」
小林雅
「8回からもあると言われていたので、準備はしっかりやっていました。まさか、ホームランを打たれるとは思っていなかったのですが。まあ、マウンドでは大丈夫だとは思ったけど…。自分のセーブよりも、チームが勝ったことのほうが大きいですよ。」
バレンタイン監督
「バッターが和田だったから。清水直もいいピッチングをしてくれたからね。小林雅は最初から準備をさせていた。(今後も)本当の意味でセーブがつく場面だったら投げさせる。」

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李承Y、開幕松坂討ち[ニッカン]

◇初回初打席いきなりV打

新生ロッテが熱パ到来を予感させた。ロッテは27日、西武ドームで行われた西武との開幕戦で松坂大輔投手を打ち崩して5−3と快勝。9年ぶりに復帰したボビー・バレンタイン監督が3103日ぶりの白星を挙げた。初回2死一塁から4番の李承Y内野手が右翼線へ先制二塁打と松坂を攻略した。プレーオフ制の導入で混戦必至の熱パにロッテが旋風を巻き起こす。

◇ボビー「感動」

三塁ベンチにボビーの雄叫びが響き渡る。オープン戦から恒例となった終了直後の即席ミーティングが、この日は祝勝会へ早変わり。小林雅から受け取ったウイニングボールを右手に掲げ「最後の1球まで素晴らしい試合をしてくれた。まだまだたくさん勝つけど、これからパーティーだ!」。ナインが歓声で応え喜びの握手が交わされる。とにかく明るい。暗く、長い低迷期に沈んでいたロッテが生まれ変わった。

新生ロッテを象徴したのは、やはりこの男。初回2死一塁から先制の右翼線二塁打を放った李だった。「日本で最高の投手である松坂から、安打と打点を挙げられて満足しています」。1死一塁からエンドラン失敗で波留が盗塁死。2死無走者から右前打でつないだ堀の努力を無駄にしなかった。カウント2−1から真ん中高めへ甘く入ったチェンジアップを強打。試合の流れを決定づけた。

昨年リーグ5位のチーム打率、同最下位の本塁打の打線で変革の軸として期待される。開幕戦で4番・DHに入り、打つべき相手から打った。シドニー五輪は韓国の3位を決める決勝二塁打などで攻略したが、オープン戦は2打席連続三振。切れと球種が増した怪物に翻ろうされたが、通常より30グラム軽い920グラムの軽量バットで対応した。故郷大邱でテレビ中継を見守った、父・春光さんは近々来日する予定で、千葉・浦安市内の自宅でテレビ観戦した現役女子大生モデルの松静夫人も「嬉しいです」と声を弾ませた。

もちろん、毎日打てる訳ではない。オープン戦で見せた好不調の波は今後も予想されるが、バレンタイン監督の後押しがある。オープン戦観戦に訪れた韓国サムスン時代の監督・白仁天氏に「打てなくても先発は外しません。慣れるには時間が必要ですから」と確約。連日行われる韓国報道陣への取材対応にも「負担になるなら控えるよう言ってみる」と提案したという。「とてもやりやすい監督」と李。初打席初安打は自らの立場で考えてくれる指揮官への恩返しでもあった。

李の先制打が導いた9年ぶりの復帰初勝利。バレンタイン監督は「とても感動した。ウイニングボールはワールドシリーズ初勝利のボールと一緒に大事にしたい」と笑ったが、これで終わりではない。30年ぶりの悲願へ、バレンタイン・ロッテが大きな1歩をしるした。

李承Yが初回、来日初打席で松坂からV打となる適時二塁打。ロッテの新外国人打者が開幕戦で勝利打点を挙げたのは68年のロペス(当時東京)以来36年ぶり2人目。ロペスは8回第4打席で放った先制の2点三塁打。初打席でいきなりは李承Yが初めてだ。

◇韓国報道殺到

李の日本デビュー戦とあって約30人の韓国報道陣が殺到。衛星局OSBなどテレビ2局が韓国で試合を中継した。スポーツ紙・スポーツグッディの特派員・ヤン・ジョンソク氏は李の先制打に「初打席で初打点。凄くうれしい」と取材にも力が入っていた。

◇雰囲気づくり大切にする指揮官

開幕前日、ある球団関係者が「こんなに気分いい開幕は初めて」と漏らした。25日に決起集会が行われ、裏方も含めて69人が参加。地元・幕張で行う案もあったが「パーティーなのに車の選手は飲めない」というバレンタイン監督の言葉で遠征先の東京・立川へ変更された。全出席者へビールを注ぎ「ガンバッテ」。ある選手は「やる気になる」と漏らした。雰囲気づくりを大切にする指揮官。開幕セレモニー後、ベンチへ戻った西武ナインに対し、ロッテナインは左翼席のファンへ挨拶に向った。予想外の行動に喜ぶファンの姿が印象的だった。

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清水直だ小林雅だ、必勝リレー[ニッカン]

エースと守護神。ロッテの誇る両輪が開幕戦勝利の原動力となった。初の大役にも動じない。清水直は2回に和田に1発を浴びたが、7回まで1失点投球。「いやあ、普通に投げるのがこんなに難しいとは思わなかった。嬉しいというよりホッとしました」。松坂にも投げ勝ち「相手はNo.1の投手。とにかく先に崩れないようにと思った」と表情に充実感を漂わせた。

8回1死一塁でフェルナンデスに1発。1点差になると、バレンタイン監督は即座に小林雅をつぎ込む。打者5人をパーフェクト。「(イニングの)途中から?そのつもりで準備していた。開幕戦セーブは気持ちいい。でも自分のセーブよりチームの勝利がね。相手も大輔だったし」。強敵を倒しての価値ある勝利。ロッテの強さは本物だ。

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小坂、攻守で魅了

小坂が攻守で見せた。1点差に迫られた2回2死二塁で、野田の中堅に抜けようかという打球を好捕。「最低でも止めようと。みんなで守備位置を話していたお陰」。同点のピンチを防ぎ、バレンタイン監督も「最高のプレー。(続く3回の)2点も呼び込んでくれた」と手放しで褒めた。9回には中越え三塁打。5点目のホームを踏み「(清水)直が頑張っていたから」と笑顔で話していた。

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堀3本目開幕弾

堀が98、00年に続く、自身3本目の開幕戦アーチ。3回無死一塁から、松坂の128キロのチェンジアップを左中間に運ぶ1号2ラン。貴重な中押し点を叩き出した。「次の打者にいい形でつなごうと、余計なことを考えずに打った」。初回1死一塁ではエンドランのサインで空振り。それでも直後に意地で右前打を放って先制点につなげるなど、1発と合わせ2安打2打点の活躍だった。

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東尾修氏が見た監督の開幕采配[ニッカン]

◇動いて勝った

一瞬のためらいもなかった。8回1死、フェルナンデスの2ランが飛び出して1点差。バレンタイン監督は、先発の清水直から小林雅にスイッチした。投手の分業化が進んだ現在、日本でも抑えは1イニング限定が定石となっているが、中継ぎを挟まず一気にジョーカーを抜いたのである。

9年ぶりとなるロッテ復帰。まだ中継ぎ陣の本当の実力は把握できていない。継投パターンは手探りで開幕し、結果を見ながら個々の力を見極めて構築していくものだ。未知数の中継ぎを挟むより、いきなり抑えの方が確実。絶対に落とせないという思いが攻めの継投を決断させたに違いない。

攻撃面でも動いた。まずは用兵。2、3番を入れ替えた。3年連続3割を打っている福浦を2番に入れ、3番にはベテランの堀。オープン戦で堀が好調で4、5番に新外国人の李とベニーが控えているからこそ決断できたのかもしれないが、攻める姿勢を鮮明に打ち出したのである。

その指揮官の積極性が初回の攻撃につながる。先頭の波留がいきなり右前打で出塁。福浦が普通に打って中飛に倒れた1死後、バレンタイン監督は仕掛けた。堀のカウントが1−2となったところでヒットエンドランのサイン。堀は外角ボールになるスライダーを空振りし、波留は二盗失敗という形で2死無走者となった。普通ならシュンとなるところだ。

ところが、ここから3連打で2点先制。ヒットエンドラン失敗を引きずっていたら、こんな結果は得られない。攻めた上での失敗はOKという指揮官のポジティブな考え方が選手に浸透している証拠だ。1点を返されて迎えた3回には先頭の福浦が四球で出て堀の2ランで貴重な追加点を挙げる。失敗が成功、その成功がさらなる成功を生んだのである。

試合の流れという点では2回2死二塁、抜ければ同点という、野田の二遊間の打球を止めた小坂のファインプレーも大きかった。開幕戦の緊張感の中、自分が敷いたレールに選手がイメージ通りに乗ってくれての白星発進。李、ベニーの新戦力も結果を出した。攻めのバレンタイン監督、会心のスタートとなった。

◇動けず負けた

一方の伊東監督は動くに動けなかった。松坂が先に点を取られ、仕掛けたのは3回1死から柴田が四球で出塁した場面だけ。小関のカウント0−1から柴田を走らせたが、小関は左飛に終わり、これ以外はサインを出す場面はなかった。

だが、敵将の“動”に対して“静”ながら捕手出身の監督らしい采配があった。松坂を完投させたことだ。6回で122球、7回で135球。野手出身の監督なら球数を考えて代えていたかもしれない。しかし、球数は問題ないタイプということを知った上で松坂に「今年1年、勝負が決まるまでお前に任せる」というメッセージを送ったのだ。松井稼が抜け、カブレラも右手尺骨骨折でいない。得点力が落ち、松坂以外の先発投手も不安なチーム事情。苦しいシーズンを暗示する開幕戦となってしまったが、これで監督とエースの信頼関係が築ければ松坂の164球完投は無駄にならない。

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松坂潰した、ボビー「パーティーだ」[ニッカン]

◇3年ぶり天敵退治、9年ぶり日本1勝

パ・リーグは開幕からエキサイティングだ。ロッテのボビー・バレンタイン監督が、9年ぶりの日本1勝を挙げた。しかも、チームとして01年の開幕戦以来勝っていない、苦手の西武松坂大輔投手を攻略しての価値ある勝利だ。オープン戦で同投手に2三振を喫していた主砲・李承Y内野手も、公式戦初打席で初打点となる先制の適時二塁打を放ち、チームを乗せた。カリスマ監督のもと、主軸が期待通りに働いた新生ロッテが、今季のパの主役になる!

◇小坂美技

試合後も、三塁側ベンチ、そしてファンで埋まった左翼スタンドの熱気は冷めなかった。オープン戦から恒例となっていたゲーム後のミーティング。「今日は135試合のうちの1試合。これからもどんどん勝っていこう!」。バレンタイン監督が叫ぶと、興奮気味のナインも力強く「オー!」と応じた。常勝チームのような雰囲気がベンチに充満していた。

バレンタイン監督にとって9年ぶりの日本開幕戦。ブランクは全くなかった。試合前からボビーのペースだった。両軍がグラウンドの中央に整列し、君が代を終えた直後。先導した女性に従ってベンチに戻る西武とは対照的に、ロッテナインはちゃめっ気たっぷりに、スタンドめがけて駆け出した。ファンの喝采を浴び、西武ドームで主役の座を奪った。これが、ボビースタイルだった。

試合も、ロッテの勢いはそのままだった。初回、アジアの大砲として新加入した注目の李が先制の適時二塁打。公式戦初打席での初安打初打点。04年のプロ野球初打点となる一打が、一気に波を呼び込んだ。その後も、堀の2ラン、波留の犠飛と効果的に追加点を挙げた。2回裏2死二塁のピンチには「今日のベストプレー」と監督が評価する小坂の二遊間横っ跳びファインプレー。01年の開幕戦で勝って以来、10試合で7勝を挙げられていた「天敵」松坂を攻め続けた。

◇準備周到

バレンタイン監督はシーズン前から「開幕の結果が、そのまま今季の成績に結び付くとは思わない」と語ってきた。実際、メッツでワールドシリーズに進出した00年には、カブスとの日本開幕戦に敗れている。米マイナー時代は「5安打を打った翌日でも違うバットで打っていたよ」というだけに、特別なげんかつぎもない。この日の朝もいつも通り散歩にでかけた。ただ、開幕への準備だけは周到に行ってきた。

鹿児島キャンプの早い段階で清水直を先発に指名。3月27日から逆算しての調整を許可した。また、不調の李にも「どんな成績でも主軸を打たせる」と公言してきた。打順降格の不安を感じさせず、スランプ脱出に専念させた。その結果が「悪い状態なら空振りしていた。よく体がたまったね。相手が松坂だけに1打点以上の価値があるよ」(佐野1、2軍巡回コーチ)という先制打につながった。

試合後、バレンタイン監督は小林雅からウイニングボールを手渡された。95年9月28日の西武戦以来、9年ぶりの勝利。「このボールはリトルリーグ時代に無安打無失点を達成した時の球や、ワールドシリーズで1勝した時の球と同じように一生大事にしたいね」と喜んだ。そして、叫んだ。「今日はパーティだよ!」。

◇対松坂22戦で4点以上4度

ロッテが01年以来の開幕戦勝利。相手の松坂は昨年までロッテ戦の通算成績が14勝3敗、防御率2.45。01年6月26日からロッテ戦は7連勝中で、ロッテが松坂に黒星をつけたのは01年3月24日(開幕戦)以来、3年ぶり。これまで21度対戦して1試合4点以上取ったのは3度しかなかった苦手投手をいきなり攻略した。02年のロッテは開幕から11連敗、昨年も開幕5試合は●○●●●。開幕直後につまづいたロッテだが、今年はどうなるか。

◇バレンタイン監督のメジャー時代の開幕戦成績

85年途中から92年途中までレンジャーズを指揮。96年途中からメッツ監督に就任し、02年シーズンまで務めた。開幕戦は13度指揮を執り、8勝5敗と勝ち越している。初の開幕戦となった86年は、プロ経験が少ない若手チームでブルージェイズに6−3で勝利。前評判を覆し、関係者を驚かせた。00年に東京ドームで行った開幕のカブス戦は3−5で敗れている。

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森祇晶「1勝以上の価値ある勝利」[ニッカン]

ロッテは松坂を攻略して1勝以上の価値を持つ勝利をものにした。バレンタイン監督も手応えをつかんだろうが、何よりも選手が「去年とは違う、俺達もできる」と感じたことの方が大きい。

この開幕戦、どっちがより負けられない試合だったかといえば、間違いなく西武だった。伊東監督には自身のデビュー戦、松井(メッツ)が抜け、カブレラも骨折でいない。頼みのエース松坂に全てを託した試合。そんな相手をバレンタイン野球が崩した。

ロッテは得点力の落ちた西武打線を気にすることなく、松坂攻略に集中した。1回1死一塁。堀の4球目に早々ヒットエンドランを仕掛ける。空振りで、走者波留は刺されたが、マウンドの松坂は、常にクイックを余儀なくされた。負けられない、の気持ちも余裕を奪った。

例えば、自分が優位に立ってもそれを生かせない。2死走者なしとしながら、3連打で2点を失った。3回には先頭福浦をカウント2−0と追い込みながら歩かせ、堀の3球目に2ランを浴びた。2球目、堀がバントの構えを見せた直後の1発。余裕のない松坂をしっかりと揺さぶった。

最後に小坂の守りを付け加えたい。2回、2死二塁で野田の中前に抜けようとする打球を好捕した。抜けていれば同点。松坂の気持ちも切り替わったはず。この守りが3回の2点を導いたとさえいえた。松坂攻略の1勝は対西武開幕連勝につながってくる。

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清水直“初の大役”期待に応えた

◇村田以来の○

ロッテがエースから守護神のリレーで打線の援護を守り抜いた。先発清水直は7回まで1失点の力投。8回にフェルナンデスに2ランを浴び小林雅にマウンドを譲ったが、開幕勝利をバレンタイン監督にプレゼントした。清水直は「ボビー(監督)に開幕白星を贈りたかった。この試合に勝ったのは大きいです」と口元を緩めた。

5年目で初の開幕投手の大役だった。そして相手はライバル松坂。「相手はNO.1投手ですから、こっちが先に崩れないように投げた。大輔(松坂)は意識したけど、勝負してるのは相手の打線ですから」と投球に集中。ロッテでは75年の村田兆治氏(日刊スポーツ評論家)以来の初の開幕投手で白星を飾った。

清水直の後を受けた守護神小林雅は、8回途中から打者5人を抑えて完璧リリーフ。「1回限定もないんで、準備はしてた。さすがに開幕勝利は気持ちいいです」とキッチリ役目を果たした。

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黒木手応え142キロ

開幕を2軍で迎えた黒木が、イースタン開幕戦の日本ハム戦に先発し、完全復活間近を予感させた。2回には最速142キロをマークするなど6回5安打1失点、7奪三振。変化球のキレもよく、持ち前の気迫も表に出た。「順調に仕上がっています。1歩1歩前進です。必ず1軍に行きますよ」と、明るい表情で話した。

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ロッテ“破顔一勝”

◇選手一丸、執念の松坂攻略

バレンタイン監督がベンチを飛び出した。8回1死、リードはわずか1点。続く打者は2回にソロを打たれている4番の和田だ。「もう1発出れば同点、出塁させると逆転につながる」。昨年まで1イニング限定の起用が多かった小林雅の投入に迷いはなかった。

強い意志は9回の追加点を生み出した。打者5人を完璧に抑えた守護神も「僕の使い方は監督の決めること。開幕セーブは気持ちがいいし、松坂を相手に勝ったことが大きい」と納得の表情をみせた。

長いペナントレースからみれば135試合のうちの1試合にすぎない。バレンタイン監督も前日まで「開幕戦での勝ち負けにはこだわらない」と話していた。だが、選手達のプレーが勝利への執念をたぎらせた。

1回、先頭の波留が松坂の初球をいきなり右前にはじき返し、「あれがエキサイティングな試合の幕開けだった」。2回に中前へ抜けそうな打球に飛びつき、一塁で刺してピンチを救った小坂の好守には「今日最高のプレーだ」とうなった。

試合前の開幕セレモニーが終わると、指揮官は本塁近くに整列していた選手を引きつれ、ロッテファンで埋まった左翼席へ駆け寄った。応援よろしく−。ホームの西武も驚きのパフォーマンスで雰囲気を盛り上げた。

新戦力の李承Yとベニーも打点をあげるなど、新風を送り込みそうな今年のロッテ。日本では9年ぶりとなる公式戦勝利に、ウイニングボールを手にしたバレンタイン監督は「ワールドシリーズのときのボールと一緒に、一生大切にするよ」と子供のように顔をほころばせた。

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李先制打!ボビーに3103日ぶり白星[スポニチ]

新生ロッテが熱パ到来を予感させた。ロッテは27日、西武ドームで行われた西武との開幕戦で松坂大輔投手を打ち崩して5−3と快勝。9年ぶりに復帰したボビー・バレンタイン監督が3103日ぶりの白星を挙げた。初回2死一塁から4番の李承Y内野手が右翼線へ先制二塁打と松坂を攻略した。プレーオフ制の導入で混戦必至の熱パにロッテが旋風を巻き起こす。

三塁ベンチにボビーの雄叫びが響き渡る。オープン戦から恒例となった終了直後の即席ミーティングが、この日は祝勝会へ早変わり。小林雅から受け取ったウイニングボールを右手に掲げ「最後の1球まで素晴らしい試合をしてくれた。まだまだたくさん勝つけど、これからパーティーだ!」。ナインが歓声で応え喜びの握手が交わされる。とにかく明るい。暗く、長い低迷期に沈んでいたロッテが生まれ変わった。

新生ロッテを象徴したのは、やはりこの男。初回2死一塁から先制の右翼線二塁打を放った李だった。「日本で最高の投手である松坂から、安打と打点を挙げられて満足しています」。1死一塁からエンドラン失敗で波留が盗塁死。2死無走者から右前打でつないだ堀の努力を無駄にしなかった。カウント2−1から真ん中高めへ甘く入ったチェンジアップを強打。試合の流れを決定づけた。

昨年リーグ5位のチーム打率、同最下位の本塁打の打線で変革の軸として期待される。開幕戦で4番・DHに入り、打つべき相手から打った。シドニー五輪は韓国の3位を決める決勝二塁打などで攻略したが、オープン戦は2打席連続三振。切れと球種が増した怪物に翻ろうされたが、通常より30グラム軽い920グラムの軽量バットで対応した。故郷大邱でテレビ中継を見守った、父・春光さんは近々来日する予定で、千葉・浦安市内の自宅でテレビ観戦した現役女子大生モデルの松静夫人も「嬉しいです」と声を弾ませた。

もちろん、毎日打てる訳ではない。オープン戦で見せた好不調の波は今後も予想されるが、バレンタイン監督の後押しがある。オープン戦観戦に訪れた韓国サムスン時代の監督・白仁天氏に「打てなくても先発は外しません。慣れるには時間が必要ですから」と確約。連日行われる韓国報道陣への取材対応にも「負担になるなら控えるよう言ってみる」と提案したという。「とてもやりやすい監督」と李。初打席初安打は自らの立場で考えてくれる指揮官への恩返しでもあった。

李の先制打が導いた9年ぶりの復帰初勝利。バレンタイン監督は「とても感動した。ウイニングボールはワールドシリーズ初勝利のボールと一緒に大事にしたい」と笑ったが、これで終わりではない。30年ぶりの悲願へ、バレンタイン・ロッテが大きな1歩をしるした。

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小林雅8回1死から5人斬り[スポニチ]

エースと守護神。ロッテの誇る両輪が開幕戦勝利の原動力となった。初の大役にも動じない。清水直は2回に和田に1発を浴びたが、7回まで1失点投球。「いやあ、普通に投げるのがこんなに難しいとは思わなかった。うれしいというよりホッとしました」。松坂にも投げ勝ち「相手はNo.1の投手。とにかく先に崩れないようにと思った」と表情に充実感を漂わせた。

8回1死一塁でフェルナンデスに1発。1点差になると、バレンタイン監督は即座に小林雅をつぎ込む。打者5人をパーフェクト。「(イニングの)途中から?そのつもりで準備していた。開幕戦セーブは気持ちいい。でも自分のセーブよりチームの勝利がね。相手も大輔だったし」。強敵を倒しての価値ある勝利。ロッテの強さは本物だ。

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李V二塁打!松坂撃ち[報知]

どっちがホームか分からない。そんな「スンヨプ・コール」がこだました。松坂の4球目、真ん中に入った128キロのチェンジアップを、李承Yは見逃さなかった。1回2死一塁。56発男が迎えた初打席は、右翼線へ抜ける先制適時二塁打。右翼手がもたつく間に三塁を陥れてガッツポーズ。注目の対決を制したこの一打で、ゲームの流れは決まった。

「あれは失投だったけど、日本で最高の投手と対戦できて嬉しかった。(その後は)2三振したけど満足です」自身が唯一迎えた好機できっちり結果を出した。14日のオープン戦では2三振と惨敗したものの、徹底したビデオ研究と、松坂対策で30グラム軽くした920グラムのバットで果たしたリベンジ。チームも2001年3月24日の開幕戦以来となる松坂からの勝利だった。

力強い味方がいた。韓国からの応援ツアーもあり、西武ファンをしのぐ応援団が韓国語で大合唱。「ナーリョボリョ(かっ飛ばせ)」の声が左翼席から飛んだ。松静夫人は浦安市内の自宅でテレビ観戦だったが、大声援が、日本での初公式戦ということを忘れさせた。

バレンタイン監督も「李の最初の打点から始まって、みんなが働いてくれた」と絶賛したチーム3年ぶりの開幕白星。オープン戦は3本塁打ながら2割2分2厘ともがいていたアジアの大砲が、いきなり松坂から勝利打点。「韓国のファンにも日本のファンにも、日ごとにレベルアップする自分を見せたい」と言い切る李に、もう不安は何もない。

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李が松坂から先制点!ボビー3103日ぶりの日本白星[サンスポ]

新主砲の一振りで、どの球場よりも、どの球団よりも早く、ロッテのスコアボードに『1』が刻まれた。今年のパ最初の得点は李承Yのバットから。1回2死一塁。西武・松坂の126キロチェンジアップを右翼線に二塁打してみせた。「(松坂の)失投だとは思うけど、運よくとらえることができました。安打が出て、打点もあげられ満足しています」。

23日のヤクルト戦(千葉マリン)で初観戦し、3号本塁打を放つ力となった美人妻・松靜さんの姿は、スタンドにはなかった。マウンドの松坂には14日の“プレ開幕戦”(西武ドーム)で2三振を喫し、00年シドニー五輪で本塁打や決勝二塁打を放った相性のいいイメージが、消えていた。韓国・三星で56本塁打をマークしたアジアの大砲も「変化球に対応するため」、韓国時代より30グラムも軽くした920グラムの軽量バットを使用。プライドの鎧を脱いでいた。

打率.222と低迷したオープン戦。「日本の投手に慣れるまで、たくさん機会を作りたい」と全試合に起用してくれたのが、バレンタイン監督。鹿児島キャンプ中、腰に張りを感じた際に「オーバーワークの必要はないよ」と休養を与えてくれるなど、慣れない環境で疲労が蓄積する体を気遣ってくれた。その指揮官に、勝利を贈りたかった。

「とてもエキサイティングなゲームだった。どの打者も素晴らしかったが、特に李承Yがよかった」。指揮官も心から喜んだ。「開幕といっても長いシーズンの中の1試合」。特に意識はせず、ゲンも担がない。この日の朝も、日課の散歩で汗を流したバレンタイン監督。それでも、ウイニングボールを渡されると「プレーオフで勝ったときやワールドシリーズで1勝を挙げたときなど、色々なボールを持ってますが、このボールはそれらに匹敵する価値があります」。平成7年9月28日以来、9年、3103日ぶりの日本での勝利の味は格別だった。

チームの対松坂の連敗も7でストップ。13年3月24日の対戦から、丸3年も苦杯を飲まされ続けた天敵を打ち崩した。新生ロッテが戦国パの主役へ、名乗りをあげた。

ボビー・バレンタイン(Bobby Valentine)
1950年5月13日、米コネティカット州生まれ、53歳。南カリフォルニア大から68年ドジャース入団。エンゼルス、パドレス、メッツ、マリナーズと渡り歩き、79年引退。85年途中から92年途中までレンジャーズを指揮。95年にロッテを率いてチームを10年ぶりのAクラス(2位)に導くも同年限りで退団。帰国後、96年途中からメッツ監督を務め、00年にはワールドシリーズ進出に導いた。
李承Y(イ・スンヨプ)
1976(昭和51)年8月18日、韓国生まれ、27歳。95年に慶北高から三星ライオンズに入団し、今季からロッテ。1メートル83、85キロ。左投げ左打ち。咋季韓国プロ野球で放った56本塁打は、王貞治氏やローズらの55本を抜くアジア新記録。ちなみに99年にも54本塁打を放っている。夫人は韓国で女子大生モデルとしてCMなどでも活躍する李松靜さん。その美貌にはバレンタイン監督もメロメロ。キャンプ中には「カゴシマニキテクダサイ!」とラブコールを送ったほど。98年、長野五輪の聖火ランナーとして来日した際、初めて口にしたカツ丼のおいしさに感激。その後、来日の際には必ず食する大好物となった。
データBOX
堀が3回、西武・松坂から本塁打を放ち、平成10年、12年に次いで自身3本目の開幕アーチ。チーム最多は有藤道世の4本。堀は葛城隆雄、アルトマン、リー(各3本)と並ぶ2位となった。ちなみに、パ・リーグの開幕戦最多本塁打は門田博光(南海)の9本、プロ野球最多は長嶋茂雄(巨人)の10本。
「次の打者につなぐことを考えて打席に入りました。入ってくれて本当によかったです。」
小林雅
「8回途中からになったが、準備はしていた。自分のセーブより勝ったことが嬉しいです。」

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清水直が初の大役果たしホッ[サンスポ]

初の開幕投手を務めた清水直が、7回1/3を5安打3失点。「普通に投げるのが、こんなに難しいとは思いませんでした。嬉しいというよりほっとしました」。次回登板は本拠地開幕戦となる4月2日のダイエー戦(千葉マリン)。「明日1日ゆっくり休んで、また頑張っていきたいです」と奮投を誓った。

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今年はパが熱い!観客動員13万7000人の新記録[サンスポ]

パ・リーグ開幕の3試合合計の観客動員数が13万7000人となり、同リーグが平成13年の開幕日(3月24日)にマークした1日の最多観客動員記録(13万6000人)を更新した。西武ドームが4万8000、大阪ドームは4万1000、福岡ドームも4万8000人。同じ3ドームで開幕した昨年は、計10万4000人だった。

◇西武では21世紀の応援

試合開始直前、ロッテ側が左翼スタンド全体が隠れるほどの巨大フラッグを掲げると、西武側も新ロゴマークが記された同サイズのフラッグで応戦。まるでサッカー場のような盛り上がり。始球式は俳優、徳重聡が行った。

◇大阪では完売続き

グッズに関しては昨年開幕戦の4割増。福袋100個が15分で完売。中村紀洋弁当、岩隈久志弁当もすぐ完売。新庄グッズもサインボール、下敷き、色紙などが用意され「ほとんど売れました」と販売関係者。

◇福岡ではナンちゃん

始球式を務めたタレント、ウッチャンナンチャンの南原清隆は、内角へ無難なストレート。が、村松に何とファウルされ「村松選手に対してストーリーが始まりました。カットボールを覚えます」と誓った。

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黒木、6回5安打1失点/ファーム[ニッカン]

ロッテが投手戦から延長にもつれこんだ開幕戦を制した。先発は1軍登録を外れた黒木知宏投手。6回で119球を投げ、5安打、4回の藤島の1号ソロによる1失点だけに抑えたが、結果以上に気迫のある投球が目立った。直球、スライダー、カーブ、フォークを制球よく投げ込み、2回には142キロもマークした。黒木は「調子もいいので1歩1歩頑張って1軍に行きます」と話した。

試合は3−3で延長戦に入ったが、ロッテは10回、阪神からテストを受けて入団した曽我部が、日本ハム井場から左中間に1号3ランを放って勝ち越し。その裏はドラフト1巡目入団の内竜也投手(18=川崎工)が1回で打者5人から2三振を奪う無失点投球で締めくくった。一、二塁のピンチを背負ったが、149キロの速球で切り抜けた。

日本ハムでは先発の江尻慎太郎投手が7回までノーヒットノーランの快投。8回先頭のユウゴーにこの試合72球目のスライダーをバックスクリーン左に打ち込まれて、記録が消えた。9回には大塚に同点本塁打を許し降板した。8回0/3を4安打(うち2本塁打)、3失点、2四球、4奪三振の成績だった。江尻は「気持ちよく投げられました。チャンスを大事にして1軍を目指します」と納得の表情だった。また、セ・リーグの豊蔵会長、大越事務局長がこの試合を観戦した。

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清水直、初の開幕大役果たす[ニッカン]

清水直行投手が初の開幕投手の大役を見事に務め上げた。最近2年間チームが黒星をつけることができなかった松坂を迎えても、バックを全面的に信頼した。「僕はいかにいいボールを投げるか。松坂は意識していなかった」。帽子に書かれた「BE PATIENT(我慢)」の言葉通り、自分を見失わず、冷静な投球に徹した。8回、フェルナンデスに1発を許して途中降板。完投こそならなかったが「勝つための投球をしてるだけから」。笑顔には一筋の曇りもなかった。

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李、松坂から先制二塁打[ニッカン]

韓国の本塁打王、李承Y内野手が松坂攻略の先陣を切る先制二塁打で、デビュー戦を飾った。

1回2死一塁、オープン戦では手が出なかった松坂のチェンジアップを鮮やかに右翼線に運んだ。「相手の失投かと思うけど、運よくとらえられた」と控えめながらも「打点を挙げられたことには満足」と笑顔も見せた。変化球に対応するため、普段より軽めの920グラムバットに持ち替えた。感触も上々なようで「もっとレベルアップした姿をお見せしたい」と、力強く話した。

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