わたしはかもめ2004年鴎の便り(4月)

便

4月4日

千葉ロッテ11−4福岡ダイエー(千葉マリン)

李の来日初本塁打などでロッテがダイエーに3連勝し、4年ぶりに貯金を4とした。ロッテは1点を追う4回、李の1号2ランを含む1イニング球団タイ記録となる8安打の猛攻で一挙8点を上げ逆転。その後も李の適時二塁打などで加点し大差を付けて逃げ切った。先発の渡辺俊は完投で開幕2連勝を飾った。一方ダイエーは、バルデスの3号2ランで先制するが、先発の新垣が9失点の乱調で試合を壊した。これでバレンタイン監督は、95年から続く対ダイエー戦の連勝記録を13に伸ばした。

123456789R
福岡ダイエー0200001014
千葉ロッテ01080020x11
渡辺俊
「コントロールを気にして丁寧に投げました。今は、チームの雰囲気がとてもいいんです。」

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李、千葉マリン場外弾[ニッカン]

◇逆転!決勝!衝撃の1号

ついに出たアジアの大砲の号砲は、千葉マリンの場外に消えた。昨季、韓国でシーズン56本塁打を放った李承Y内野手が、ダイエー戦の4回に来日1号となる逆転2ランを放った。相手バッテリーの徹底した内角攻めを克服。新垣から放った待望の1号は、右翼席の屋根を越え、乗用車を直撃した。チームに単独首位キープをもたらした特大弾は、来日中の父と故郷韓国で闘病中の母にささげる1発でもあった。

◇王監督の前で

打った李本人も、打球がどこに落ちたか分からなかった。ただ、チームに逆転をもたらしたのは、その手応えで分かっていた。ゆっくりと、走り出した。強い雨の中、打球はフェンスどころか高さ33メートルのところにある照明をも越え、右翼席後方の駐車場に停まっていたワゴン車のリアウインドーに穴をあけていた。

誰もが待ち侘びた1号は、8試合、31打席目に球場の外まで飛び出した。千葉マリンで場外にかっ飛ばしたのは、95年の近鉄スティーブンス、昨年の西武カブレラだけ。推定飛距離150メートルは同球場史上最長不倒だ。しかも、55発の日本記録を保持するダイエー王監督の目の前で打った。「王さんの前など関係ありません。ホームランは嬉しいけれど、チームの勝利に貢献したい」。試合後のお立ち台で「1発より勝利に貢献したい」と3度も繰り返すと、打球が頭上を越えたとき以上に右翼席が再びわき上がった。

絶対打てないコースがあると囁かれた。ロッテ入りが決まると、パ・リーグ各球団は李の弱点探しに躍起になった。研究した結果は、内角高めへの攻め。特にダイエーは徹底していた。例えば、無安打に封じた前日4打席に投じられた22球のうち17球が内角で、11球が高めだった。

迎えたこの日、1点を追う4回無死一塁。強振したのは、その内角高めを襲った145キロだった。新垣の快速球に、苦手だと感じられないほどスムーズにバットが出た。キャンプ中のティー打撃でも内角高めに投げてもらい、ボールゾーンなら見逃す訓練を繰り返した。慣れない環境で研究と鍛錬の日々。「今まで打った中で1番大きな当たり。苦労が払拭された」。苦手克服の手応えまでつかんでいた。この回、李の1発が口火となり、打者14人を送り込み、一気8点を奪い試合を決めた。

ダイエー・王監督
「すごかったね。球は高かったが、打つには難しい球だった。ファウルになるか、詰まりやすいところだったが、見事だった。内角への直球攻めが多かった?でも、今日は新垣の直球に1、2、3で合わせたかな。(韓国で)50本以上を2回打ってるし、球を遠くに飛ばす力はある。」

◇父親の前で

スタンドでは父春光さんが見守っていた。今日5日に帰国する父はメジャー行きどころか、日本球界入りに反対だった。01年、母の金美子さんが脳卒中で倒れた。できれば韓国で本塁打を量産して、病床の母を励まして欲しかった。

しかし、父の言葉は絶対的な儒教の国で、生まれて初めて素直になれなかった。ロッテと契約を結んでからもしばらく口論が続いた。偉大な野球選手になるため、両親をもっと喜ばせるために、新たな環境に進みたい。最後は熱意が父の心を動かした。

「父の前で打ちたい。恩返ししたい」。初めて招待した千葉マリンでその願いは実現した。春光さんは「よかったです」とだけつぶやいた。とびきり大きな1発なら、海を越えて母へも届く。「新しい野球人生が始まったと思います」。ファンを喜ばせ、チームに勝利をもたらし、家族に勇気を与える。心優しき大砲がロッテの一員になった。

◇記念球は李へ

李の1号を拾ったのは千葉市の角田匡優さん。熱心なロッテファンで試合後、直接手渡し李のサインボールと交換した。球団側は、窓が割れた車の修理費を負担するため、場内アナウンスでナンバーを連絡。すぐに、修理工場が手配された。

◇美人妻「嬉し」

スタンドで観戦した李の妻でモデルの松静さんも「本当に嬉しいです」と喜んだ。ただし、妻は控えめにするお国柄だけに、スタンド観戦することでマスコミやファンの視線には戸惑うようで「注目されるのは嬉しいですが、申し訳ありません」。李も妻を気遣い、今後は松静さんへの取材を遠慮してもらうよう球団広報を通じて依頼した。

◇日本の父の優しい配慮

李の1号はスタンドの父ともう1人、「日本の父」に贈ったものでもあった。バレンタイン監督だ。様々な配慮に、感謝の念を抱いてきた。

メジャー移籍の夢が破れての日本球界挑戦。ロッテでは、ほかにはない苦労があった。監督と話すには、韓国語担当の李東勲通訳と、英語担当の中曽根通訳の2人を介さなければならない。李は「野球選手はアイコンタクトで分かり合えますから」と話していたが、実際には「伝言ゲーム」状態となるため、意思の疎通を欠く可能性が出てくる。同監督は、そのことを心配。「互いをよく知ることで会話を円滑にし、李の精神的な負担が減るように」と、3月上旬に李と通訳2人の3人のために会食をセッティングしてくれたのだ。

鹿児島キャンプで腰に違和感を覚えれば、ベッドの部屋から畳の部屋へ移ってはと勧められ、また報道陣への対応がストレスになりはしないかと「インタビューを規制してもいいんだぞ」ともちかけられた。両案とも「大丈夫です」と断ったが、異国ではそんな配慮が心に染みた。「悩んでいる時も励ましてくれたり、とてもやりやすい環境をつくってくれてます」。チームのために−。李の口癖は、監督のそれでもある。

◇はやV打3度

ロッテが02年8月5〜7日以来のダイエー3連戦3連勝。李が来日1号の逆転弾を放ったが、李のV打は3月27日の西武線、29日の近鉄戦に次いで早くも3度目。この日は新垣をKO。開幕戦で黒星をつけた松坂(西武)は昨年のロッテ戦が3勝0敗で防御率1.29、この日の新垣は2勝0敗で防御率1.50。昨年防御率1点台に抑えられ1度も勝てなかった苦手投手を次々と攻略している。

◇無風だからすごい、最高に飛んだ1本

バレンタイン監督
「95年の近鉄のスチーブンスの場外弾を目撃したが、あの日は強風だった。今日は風邪がなかったからすごい。これからはファンの人はライトの後ろには駐車しない方がいいかもね。彼はすごいパワーを持っているから、メジャーでも同じ飛距離が出せるだろう。私の生涯でも最高に飛んだ1本だった。新しいユニホーム(日曜日用)のお披露目の日に、特別なものを見せることができてよかった。」

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日曜着も好発進

日曜用の新ユニホームも白星発進となった。ハッピをイメージしたデザインで、袖口の黒い三角模様には球団関係者から「新撰組みたいでしょう」の声もあった。上着が白地もズボンは縦じまのままなのがアンバランスだが、今後の変更を予感させて楽しみだ。

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李、驚きの初アーチ、ロッテ快勝[スポニチ]

李承Y内野手が、驚がくの来日1号を放った。4日、千葉マリンで行われたダイエー戦で4回無死一塁から、右翼場外へ推定飛距離150メートルの特大弾を記録。韓国56発男の初アーチは駐車場の車を破壊する豪快な一撃だった。李の2ランで逆転したロッテは昨年の覇者ダイエーに3連勝。開幕ダッシュにさらなる加速の予感が漂ってきた。

一塁を回ると打球が消えていた。騒然とするベンチ。右翼席の屋根を指さすファン。それでも主役は淡々とダイヤモンドを回った。「ファウルになるかと思ったら照明で見失って…」。強い雨に紛れ、打球は確かに消えたのだ。が、その先はスタンドではない。右翼場外の駐車場、車の後部ガラスにぽっかりとボール大の穴を開けていた。

衝撃の一撃は1点を追う4回無死一塁。新垣が1ストライクから内角高めに投じた145キロに反応した。安打狙いだったというが、鋭いスイングが高い弾道で滞空時間の長い打球を生む。868本塁打のダイエー・王監督でさえ「あれはフェアにするのが難しい球。見事だった」とうなった。

千葉マリンでは昨年6月14日に160メートル弾を記録した西武・カブレラに次ぐ3本目の場外弾。前回監督時代の95年4月9日に近鉄・スチーブンスの145メートル弾を目撃しているバレンタイン監督も絶賛した。「あの時は凄い強風。今回は風の助けなしだからね。ファンが新しいユニホームのお披露目で特別なものを見られてよかった」。4回は、これが呼び水となって一挙8点。李は1死満塁で回ってきた2度目の打席でも右中間二塁打でこの回4打点。法被をイメージした「サンデー・ユニホーム」で文字通りファンをお祭り騒ぎにした。

「打点を稼いで勝利に貢献したことの方が嬉しいけど、今までで1番飛ばした本塁打だと思う。」

韓国・サムスン時代の最長飛距離は135メートルだったが一気に更新した。ネット裏で松静夫人と観戦した父・春光さんは試合後の便で帰国。「いい姿を見せたかったので…」と振り返った孝行息子に春光さんは「本塁打を見るために来た。これで自慢できますよ」と笑った。ダイエーにも02年8月7日以来となる3連戦3連勝。首位に浮かれるのはまだ早いが初アーチに「これが最後ではありませんから」と強調した主砲がチームを引っ張る。

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出た!李、場外“車破壊”第1号[サンスポ]

快音を残した打球は、雨を切り裂き、右翼場外へ消えた。李承Yの来日第1号は、推定飛距離150メートルの超特大弾だった。

「うまく打つことができました。今までの野球人生の中で1番、飛んだと思います。」

昨季、韓国・三星で56本塁打の「アジアの大砲」が、4回無死一塁で新垣の145キロ速球をフルスイング。打球は右翼の28メートルの外壁“マリーン・モンスター”を越え、駐車場の車を直撃。平成7年のスチーブンス(近鉄)、昨年のカブレラ(西武)に続き千葉マリン史上3本目の場外弾だ。

「ファンの皆さんの期待に応えられず、申し訳なく思っていました。」

前日まで打率.280。本塁打が出ず、プレッシャーに悩んでいた。そんなとき、母国から支えてくれたのが、三星の玄在潤(ヒョン・チェユン)捕手。昨年まで遠征先で同室だった。来日後も毎日、国際電話で相談に乗ってくれた。その玄に頼み、三星時代の打撃フォームのビデオをとり寄せ、イメージトレーニング。その努力が開幕8試合目でついに実った。

しかもこの日は、三星時代から全試合を観戦してくれた父・春光さんが、帰国の前の最後の1戦。「本塁打を見に(日本へ)来たので、見られて良かったです」と春光さんに最高の土産を贈った。

「彼はすごいパワーを持っている。私が生涯、見た中でも、最高に飛んだ1本の1つだよ」。バレンタイン監督も主砲の仰天弾に上機嫌。平成14年8月5〜7日以来となるダイエー3タテ。“眠れる獅子”が目を覚まし、ロッテがさらに加速する。

◇“破壊”した車の前で記念撮影のファンも

李の打球が直撃した車は、リヤガラスがボール型にパックリと割れた。「修理費はこちらが負担します」という球団関係者の説明に、持ち主の千葉市内在住の男性も胸をなで下ろした。また、打球を追いかけて球場を飛び出し、ボールを拾った千葉市の会社員、角田匡優さんは試合後、李と対面。毎日、千葉マリンに足を運ぶ大のロッテファンの角田さんは「本当に光栄です」と感激しきり。

◇世界の王もビックリ

ロッテに3連敗で貯金を吐き出した。それでも王監督は「全て流れが向こうにいってしまったということ。まあ、9月なら大変だったけど」と前を向いた。驚いていたのは李承Yの一打。場外へ消えたアジアの大砲の1発に「すごかったね。やっぱり球を遠くに飛ばす力はある」と感心していた。

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はっぴユニホームでボビーもハッピー[サンスポ]

ロッテ主催ゲームの日曜日のみ着用する『サンデーユニホーム』がお披露目。自らデザインにかかわったバレンタイン監督は「特別な日にファンの方にいいものを見せられて良かったよ」と笑顔。「日本の伝統を取り入れたかった」とはっぴをモチーフにしたが、快勝でダイエーに3連勝し、試合後の球場はまさに“お祭り騒ぎ”となった。

◇ロッテ・3年ぶり単独首位!!

月日03-2703-2803-2903-3003-3104-0204-0304-04
相手西武西武近鉄近鉄近鉄ダイエーダイエーダイエー
勝敗
スコア5−32−37−04−30−35−45−211−4
責任投手清水直長崎渡辺俊田中充小宮山小林雅ミンチー渡辺俊

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李1号!車破壊場外弾![報知]

放物線ではない。地球の引力に逆らうかのように、打球は場外へ伸び続けた。李が右翼上段の照明に目を向ける。光と雨粒が視界の邪魔をして、白球は消えた。場外では“凶器”と化したボールが、駐車中の乗用車の後ろ側のガラスを直撃して破壊した。

推定飛距離150メートル。両翼99.5メートル、高さ33メートルの防球壁を打ち破った一打は、1点を追う4回無死一塁に飛び出した。新垣のカウント1−0、145キロの直球。「キレのいいストレートを頭に入れていた。失投を狙った」来日1号は逆転の値千金打だった。

忍耐力が失投を逃さなかった。この3連戦、城島が執ように内角高めで体を起こしにきた。「配球は常に変わる。それに、僕が対応しなければいけない」と平然。打者一巡で回ってきた3打席目も、サイド左腕の松から、右足を踏み込んでの2点適時二塁打だった。

千葉マリンでは95年・スティーブンス(近鉄)、03年・カブレラ(西武)に次ぐ3人目の場外本塁打。「私が見た生涯の1発の中でも、最高に飛んだ」とバレンタイン監督も仰天。「右翼席後方には車を止めない方がいい」と目を大きくしばたかせておどけた。

この1発で終わらないのが、今季のロッテだ。主砲が突破口を開くと、打線が集中砲火。4回は打者14人の猛攻で8安打8得点を奪った。これで、本拠地でのダイエー戦3連勝で、バレンタイン監督自身の対ダイエー連勝記録も13に伸びた。「結果は喜ばしいこと」と納得の笑みを浮かべた。日替わりヒーローの登場で首位固め。「今までは自分自身に負けていた。これからは少しずつレベルアップしていく」。この日、帰国する父・春光さんの前で雄姿をアピールできた。韓国の英雄が量産態勢に入ればロッテの開幕ダッシュ、逃げ切りも夢物語ではない。

鉄腕・サブマリンが115球、9回6安打4失点の粘投で、ダイエー打線の反撃を断った。「制球を気にしながら投げていかなければと思いました」という渡辺俊は、外角の緩いカーブを、ストライクゾーンの外と内に出し入れして、最後まで相手に的を絞らせなかった。

今季、チーム初完投となったが「チームの雰囲気がいい。勝つべくして勝った。スンヨプには逆転本塁打で助けられた」と謙虚な言葉を並べた。バレンタイン監督は「今日の彼は3つ素晴らしいことをしてくれた」と絶賛。「(1)悪天候で完投した。(2)40分の長い攻撃の後を0点で抑えた。(3)ペースを崩すことなく、リードを守った」と、丁寧に3ポイントを報道陣の前で力説して褒め上げた。

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李本領発揮!来日1号は場外弾[ニッカン]

アジアの大砲が本領を発揮した。李承Y内野手が来日初本塁打を放った。8試合、31打席目にして放った一打は、打った瞬間に分かる完璧な当たりで右翼場外へ消えた。

1点を追う4回無死一塁。新垣の145キロの速球をとらえた打球は、韓国国旗も振られる右翼席のはるか上空を通過して場外へ飛び出す逆転本塁打となった。李は「新たな野球人生の始まりだと思う。これまでで最も飛んだんじゃないかな。嬉しい」と普段より興奮気味だった。

千葉マリンスタジアム関係者によると右翼席後方の壁は高さ約30メートルあり、その上を越えた場外本塁打は昨年のカブレラら数例だという。3日までの得点圏打率は1割台だったが、この日は2点二塁打も加え計4打点。2シーズンぶりのダイエー3連戦3連勝に十分に貢献したヒーローは「本塁打より、チームのためにはもっと、打点を挙げていきたい」とフォア・ザ・チームを強調した。

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