ロッテは2試合連続の2ケタ安打で最下位から5位に浮上した。一方、敗れた近鉄は、借金4で単独最下位に転落した。ロッテは2回1死一、三塁から橋本が2試合連続となる3ランを放ち3点を先制。3回に李が12試合ぶりの3号ソロ、6回には小坂の適時打で追加点を挙げ最後は小林雅で締め5セーブ目。先発小林宏は7回を被安打4、奪三振6、四球2、失点1と好投し、今季自己最多となる117球を投げ勝利投手となった。一方、近鉄の先発川尻は5失点。前日まで防御率トップだったが西武松坂に続き2位となった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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大阪近鉄 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
千葉ロッテ | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | x | 5 |
チームの連敗脱出とともに、アジアの大砲も長いトンネルを抜けた。ロッテ3点リードの3回。この回先頭の李は、川尻の内角スライダーを強振。5日以来、12試合ぶりの3号ソロを右翼ポール際に運んだ。「彼は日本に来て最初のスランプを脱出したんじゃないかな」とバレンタイン監督は大喜び。李はホームを踏んだ瞬間、松静(ソンジョン)夫人のイニシャル「SJ」をかたどったペンダントにそっと口をつけ、喜びを分かち合った。
簡単に打ったように見える一打に、驚異的な技術が隠されていた。第1打席で、110キロの内角カーブを一塁側2階席へ達する大ファウルにしていた。2打席目は同様の内角ギリギリのスライダーを本塁打にした。体を開かずに球を引きつけ、ボールの内側をたたく高等テクニック。「僕が本来の調子ならセンターに飛んでいたかも」。ファウルにならなかったのは、本来の打撃が戻りつつあることの証してもあった。
4日に右翼場外へ来日初アーチ、翌日に2試合連続本塁打を放ったが、その後、パタッとサク越えはなくなった。その間にチームは10連敗。前日、チームが連敗を止め、そして李の復活とともに5日以来久々の連勝。バレンタイン監督は「昨日は左翼線に二塁打。今日は引っ張って本塁打。彼らしい打撃になってきたね」と主砲の復調に満足そうだった。
実は17日の日本ハム戦から、ロッテの名物だった韓国語の応援がなくなった。この日も「イ・スンヨプ、ホームラン」という掛け声が中心。「ナルリョボリョ(かっとばせ)」が、「ナルボリョ(自分を殺せ)」という言葉に聞こえることから、李が応援団に提案したのが理由だった。この日は自分ではなく、見事に相手先発川尻をKO。チームを勝利に導いた。
渡辺正人内野手が近鉄4回戦(千葉マリン)で左手親指を骨折した。2回の打席で一塁ベースにヘッドスライディングした際に痛めたもので、3回の守備からベンチに退いた。千葉・習志野市内の病院で検査を受けた結果「左拇指基節骨剥離骨折」と診断された。全治などは不明。
右翼席へ吸い込まれた先制3ラン。最下位脱出へノロシを上げたのは、8番に入った橋本だった。「今までが悪過ぎたので取り返そうかなと」。お立ち台で振り返ったのは2回1死一、三塁。内角高めのスライダーを捉えた。前日の日本ハム戦(東京ドーム)から軸足のためを意識し「球を長く見られるようになった」という。清水将と里崎が故障離脱する中で2戦連発。正妻定着へ「これ以上ないチャンス。自分に重圧をかけて結果を出したい」と力説した。
3回には3番・李承Yが12試合50打席ぶりとなる右越え3号ソロ。前日の2安打に続く結果に「3番か5番の方がやりやすいね」と漏らしたという。久々の連勝にバレンタイン監督も「この打順はよく機能している」と満足げだった。
右翼スタンドへきれいな放物線が架かる。“アジアの大砲”李承Yに、12試合ぶりの1発が飛び出した。
勝利を第一に考える男らしい第一声だった。“監督に申し訳ない”。連敗中もいつも笑顔で明るい雰囲気をつくるバレンタイン監督に、主砲として人一倍責任を感じていた。前日18日の日本ハム戦(東京ドーム)で2安打を放ち、チームの連敗を10でストップ。ようやくその長いトンネルを抜け出すと、今度は待望の本塁打が生まれた。
本拠地・千葉マリンに戻り、再スタートとなったこの日のマウンドには“宿敵”川尻がいた。川尻は阪神時代の平成10年、当時中日に所属していた韓国出身の李鍾範(イ・ジョンボム)の右ひじに死球を当て、その後の野球人生に大きな影響を与えた。母国・韓国では“憎っくき相手”として非常に有名な投手だ。「投手が誰でも一生懸命やるだけですよ」。意識はしていないと言いながら、初対戦だった先月31日の試合でも3打数3安打。いつもの試合とは集中力が違う。見事、先輩の敵を取った。
主砲のバットに快音が戻りチームも最下位を脱出。「前向きな試合ができている。選手達を誇りに思うよ」。バレンタイン監督もご満悦だ。平成10年の18連敗の後は3連勝、14年の開幕11連敗後は、引き分けを挟み5連勝したロッテ。冬眠から目覚め、再び進撃を開始する。
この日の李承Yの打席で、開幕以来、右翼席から聞こえていた「ナーリョボリョ!(かっとばせ)」の大声援がなくなった。「グラウンドで聞いていると、ナルボリョと聞こえてしまうんです。それで、できれば違う言葉にして欲しいとお願いしました」とは李の通訳・金東勲(キム・ドンフン)氏。なんでも「ナルボリョ」だと、「私を捨てろ!」という意味になってしまうんだとか。耳障りな響きが消え、この日は打席に集中できた?
今季初めて2試合続けて同じオーダーを組んだバレンタイン監督は「とてもよい状態だからね」と勢いを持続させるためと説明した。これが的中し、橋本に2戦連発の3ランが生まれるなど10安打。橋本は「今まで悪過ぎたから取り返そうと思ってるんです」。清水将、里崎と捕手2人が負傷離脱中で、チャンスを生かそうと必死だ。
渡辺正人内野手が19日の近鉄4回戦(千葉マリン)の2回の打席で一塁にヘッドスライディングした際、左手親指を痛め、3回の守備から交代。習志野市内の病院で「左母趾基節骨剥離骨折」と診断された。全治などは不明。
2回1死一、三塁、橋本が先制となる右越え3ランを放つ 強風を切り裂いた。この試合、左翼から右翼への風速は8メートル。李の打球は右翼ポール際に舞い上がったが、そのまま真っすぐ伸びてスタンド中段で弾んだ。4日には場外の車を破壊する特大弾。そして、マリンスタジアム名物の強風も、主砲には関係なかった。
左足の内側に力をため込んだ。3点リードの3回無死。川尻のカウント1−1、131キロのスライダーを引きつけた。「失投をうまく打つことができた」と12試合ぶりの3号は緩い球を振り抜いた一打だった。「1球1球に集中した結果だ」と淡々と振り返った。
本拠地ファンが待ち望んだ1発だった。韓国語での「イ・スンヨプ。ホームラン」の発音が難しく「李を捨てろ」の意味に聞こえてしまうため、本人が応援団に「変えた方がいい」と伝えた李。英語で「ホームラン」と11日から言い換えたファンに1発で答えた。
10連敗を抜け出してすぐに、連勝で最下位も脱出した。今季初となる前試合と同じオーダーで臨んだ試合。2戦連続となる「3番」での活躍に、バレンタイン監督は「最初の低調さを抜け出したのではないかな」と復調の兆しを感じ取った。「まだ気に入らない部分はあるが、本調子にはなるだろう」と李。巻き返しに必要なのは、韓国の英雄のバットであることは間違いない。
小林宏は7回を1失点で2勝目。「速球がよかった分、変化球も生きた」と振り返った。前半は速球中心で押した。しかし、4点をリードした7回無死一、二塁では一転、スライダーを多用してピンチを切り抜ける投球術も見せた。中継ぎ陣の崩壊で、小林雅につなぐセットアッパーとしての起用案もあった。だが、この日の投球にバレンタイン監督は「常にいい投球を見せ続けてくれる」。先発としての信頼を、さらに高めたようだった。
渡辺正人内野手が19日の近鉄戦(千葉マリン)の2回の打席で、一塁にヘッドスライディングした際、左手親指を痛め、3回の守備から小坂と交代した。習志野市内の病院で検査を受けた結果「左母趾基節骨剥離骨折」と診断された。全治などは不明という。
巨人渡辺恒雄オーナーが19日都内で、ダイエーの人事騒動にクギを刺した。高塚球団社長の去就をめぐり、ダイエー本社と高塚社長らが対立。渡辺オーナーは本社の高木社長と先週末そしてこの日、連絡を取ったことを明らかにし、昨年10月30日のオーナー会議で交わされた確認書を取り出して「ダイエー本社のやってることは完全に確認書違反だ」と声を荒らげた。
確認書には、中内オーナーおよび高塚社長の現体制の堅持をうたっている。安易な球団売却の歯止めとして中内オーナーらを擁護してきた渡辺オーナーは「完全に違反してるんだ」と主張した。さらに「紳士と紳士の約束を勝手に破って、そういう協約に違反することをやるなら、協約の外に出て行ってください」と球界追放すらちらつかせた。
「今はシーズン中だから、今、ダイエー球団をつぶしたらファンに申し訳ないから、シーズンオフには考えなきゃいかんね。僕はオーナー会議の議長だから招集権がある。緊急会議を招集してはっきり決めるよ。それで嫌なら出ていってもらうしかない」とまで言い切った。