ロッテが先発全員安打となる毎回の16安打8得点を奪いダイエーを下した。1点を先制したロッテは5回、ダイエー先発・グーリンのワイルドピッチで1点を追加し、6回にもフランコの2ラン、さらに7回サブロー、フランコ、辻の連続適時打で4点を加えダイエーを突き放した。ロッテ先発小林宏が8回まで二塁を踏ませぬ好投で9回途中5安打1失点でマウンドを降りた。ロッテは連敗を3で止め、これでバレンタイン監督は95年から10年越しの対ダイエー王監督14連勝。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 | 4 | 0 | 0 | 8 |
福岡ダイエー | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
ボビー・ロッテは王ダイエーを前にすると、滅法強い。ロッテがダイエーに8−1と快勝。連敗を3で止めた。小林宏が8回まで無失点、9回1死まで1失点で踏ん張れば、打線も先発全員&毎回安打で援護した。これで今季のダイエー戦は4戦全勝、バレンタイン監督指揮下では95年から14連勝だ。昨年日本一の首位相手にこんなにも強ければ、借金3もまだまだペナントレースは分からない。
3連敗中だった4位ロッテが、首位ダイエーには付け入るスキを与えず快勝だ。「相性なんてないよ。どんな試合でも一生懸命戦っているんだから」。バレンタイン監督の言葉も、額面通りには聞こえない。
強い。3、5回に1点ずつを奪い2−0で迎えた6回。追加点が欲しいところで、7番フランコが右翼席へ130メートルの特大2ランを叩き込み、中押し。7回には2死一塁から4連打で4点を奪い、ダメを押した。投げては先発小林宏が完封ペースの力投。首位叩きで、連敗を止めた。
オリックスに3連敗を喫して、福岡ドームに乗り込んだ。昨年の日本一チームが相手だけに、ズルズルと連敗街道まっしぐらでもおかしくないところだった。だがフタを開けてみれば、当たってきたフランコが本塁打を含む3安打。8番辻も、プロ入り初の猛打賞。チーム全体でも先発全員&毎回安打となる猛攻撃で、王者を圧倒した。
これでダイエー戦は今季4勝0敗。バレンタイン監督にとっては、前回指揮を執った95年から実に14連勝だ。昨年までダイエーの球団代表を務め、今年からロッテに入団した瀬戸山代表は、こう分析する。「王監督はじっくりと時間をかけて自分の考えをナインに浸透させ、強いチームを作り上げてきた。バレンタイン監督は、すぐに結果を出すのがうまい監督なんじゃないのかな」と。現在、ロッテは里崎、清水将、渡辺正、井上らがケガで登録抹消中。ダイエーも故障者続出の状態だ。そんな中、ロッテはこの日、1番に起用した大塚が2得点。出場選手登録されたばかりのサブローも2安打2得点と活躍した。チームが満身創痍の状況では、バレンタイン監督の積極的な用兵が勝るということか。
これでバレンタイン監督は、日米通算1200勝まであと2勝(現在日本81勝、米1117勝)。ロッテ関係者は、今シリーズ3戦目の29日に達成した場合に備え、ダイエー側に福岡ドームでのセレモニー開催を要請している。同監督が「僕の年齢(53)を考えると、よくやってる方なんじゃないかな」という金字塔も、このまま連勝を伸ばし敵地で達成しそうな勢いだ。大型連敗あり、オリックスに今季6戦全敗と、ありがたくない数字もあるロッテ。しかし、ダイエーをカモにしている限りペナントレースはまだまだ分からないし、パ・リーグは面白くなる。
ボビー・ロッテvs王・ダイエーの全対決 | ||||
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年月日 | 球場 | 責任 | ロ−ダ | 責任 |
95-04-04 | 千葉マリン | ヒルマン | 1−2 | 渡辺秀 |
04-05 | 千葉マリン | 榎 | 4−3 | 広田 |
04-06 | 千葉マリン | 伊良部 | 2−7 | 吉武 |
04-25 | 福岡ドーム | ヒルマン | 11−4 | 渡辺秀 |
04-26 | 北九州 | 成本 | 8−7 | 木村 |
04-27 | 福岡ドーム | 小宮山 | 4−1 | 吉武 |
05-19 | 福岡ドーム | 岸川 | 3−4 | 田畑 |
05-20 | 福岡ドーム | ヒルマン | 4−1 | 工藤 |
05-21 | 福岡ドーム | 園川 | 2−1 | 若田部 |
06-06 | 仙台 | 園川 | 4−2 | 吉田豊 |
06-07 | 仙台 | 小宮山 | 6−2 | 吉武 |
06-24 | 福岡ドーム | 園川 | 1−0 | 渡辺秀 |
06-25 | 福岡ドーム | 伊良部 | 3−6 | 斎藤貢 |
07-07 | 千葉マリン | 小宮山 | 6−1 | 下柳 |
07-09 | 千葉マリン | ヒルマン | 13−4 | 吉田豊 |
07-19 | 千葉マリン | 黒木 | 5−1 | 吉武 |
07-20 | 千葉マリン | 小宮山 | 10−6 | 下柳 |
08-08 | 福岡ドーム | 河本 | 6−4 | 木村 |
08-09 | 福岡ドーム | 河本 | 4−3 | 渡辺秀 |
08-10 | 福岡ドーム | 前川 | 9−3 | 若田部 |
08-26 | 北九州 | ヒルマン | 11−0 | 吉田豊 |
08-27 | 北九州 | 伊良部 | 9−3 | 渡辺秀 |
09-12 | 千葉マリン | ヒルマン | 9−0 | 藤井 |
09-13 | 千葉マリン | 黒木 | 4−2 | 工藤 |
09-14 | 千葉マリン | 園川 | 11−1 | 渡辺智 |
04-04-02 | 千葉マリン | 小林雅 | 5−4 | 河野 |
04-03 | 千葉マリン | ミンチー | 5−2 | 斉藤 |
04-04 | 千葉マリン | 渡辺俊 | 11−4 | 新垣 |
04-27 | 福岡ドーム | 小林宏 | 8−1 | グーリン |
先発した小林宏が9回1死まで5安打1失点に抑え、3勝目(1敗)を挙げた。最速145キロの直球と、キレのあるフォークで、強打のダイエー打線から7三振を奪った。「直球も変化球も思ったところにいきました」と、チームの連敗を3で止める好投を振り返った。22日に佳世夫人と入籍。「彼女のためにも頑張りたい」と、スタンドで見守った夫人に捧げた1勝でもあった。
お立ち台の小林宏は苦笑いした。「最後はバテました。体が突っ込んで制球が乱れて…」。9回に1点を失い、プロ初完封どころか完投さえ逃したが、ヒーローは紛れもなく8年目の右腕だった。
「今日は直球も変化球も思ったところにいきました」。140キロ台の速球に加え、変化球が切れた。フォーク、スライダーに今季覚えたチェンジアップで面白いように空を切らせ、奪った7三振はすべて空振り。「振ってくれるのは切れている証拠」と笑い、強打のダイエーを8回1/3で5安打1失点に抑えた。
チーム最多に並ぶ3勝目で防御率2.52はリーグ4位。飛躍は精神面の充実が大きい。「昨年後半戦に先発を経験して普段通りの力が出せるようになった」。最速150キロという球速にこだわらず、制球と切れを重視。22日には佳世夫人と入籍した。18歳の新妻がスタンドで見守る中、夫婦になってからの初勝利。「支えてくれているのは分かる。彼女のためにも頑張らないと」とうなずいた。
打線も16安打8点と強力援護。バレンタイン・ロッテとしては95年の10連勝を含め、王ダイエーに14連勝となった。伊原オリックスに6連敗しているだけに指揮官は「相性はたまたま。どんな試合も全力を尽くしてやるだけ」と平常心を強調したが、3連敗で巡ってきた“お得意さま”との対戦で息を吹き返したことは確かだ。
先発全員の16安打で快勝。バレンタイン監督は「毎回ヒットを放って、常に相手にプレッシャーをかけ続けたね。いい試合だった」とニッコリ。これで王ダイエーには9年越しの14連勝となったが、「相性というものはないと思っている。どの試合でも全力を尽くすだけです」。お得意様相手でも手綱を緩めることはない。
バレンタイン監督のダイエー戦14連勝 | |||
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年月日 | 勝敗 | スコア | 球場 |
平07-07-18 | ● | 3−5 | 千葉マリン |
19 | ○ | 5−1 | 〃 |
20 | ○ | 10−6 | 〃 |
08-08 | ○ | 6−4 | 福岡ドーム |
09 | ○ | 4−3 | 〃 |
10 | ○ | 9−3 | 〃 |
26 | ○ | 11−0 | 北九州 |
27 | ○ | 9−3 | 〃 |
09-12 | ○ | 9−0 | 千葉マリン |
13 | ○ | 4−2 | 〃 |
14 | ○ | 11−1 | 〃 |
16-04-02 | ○ | 5x−4 | 〃 |
03 | ○ | 5−2 | 〃 |
04 | ○ | 11−4 | 〃 |
27 | ○ | 8−1 | 福岡ドーム |
小林宏が3勝目を挙げた。9回に連打を浴び、初完封を逃して降板したが、8回1/3を5安打1失点。この日は、22日に入籍したばかりの佳世夫人がスタンドに駆け付け、声援を送った。「料理もうまいし、支えてくれているのを感じます。彼女のためにも一生懸命、頑張りたいですね」。公私ともに充実のイケメン右腕が、チームに上昇気流をもたらす。
何でだろう…。不思議な相性としか言いようがない。ロッテが小林宏の好投と毎回の16安打で快勝。連敗を3で止めたのだが、ダイエーには今季4連勝。バレンタイン監督にとっては95年の前政権から10年越しで、なんと王ダイエーに14連勝となった。世界の王に、“天敵”出現だ。
さぞかし気持ちがいいだろう。首位を圧倒するゲーム展開に、ナインとハイタッチを交わすバレンタイン監督も自然と声が高くなる。「投手が抑えて、打線がつながった。完璧な試合だった」連敗は3で止まった。そして、ロッテ監督として95年から続く「対・王ダイエー」の連勝は、何と14にまで伸びた。
他球団が翻弄されているダイエーの軟投派左腕・グーリンが先発でも関係なかった。3回に4番・ベニーが左前適時打で先制点を奪うと、先発全員、毎回安打のおまけ付きで16安打8点の猛攻。先発・小林宏も終盤9回まで反撃の糸口すら与えないワンサイドで、6連勝と波に乗っていた強力打線を封じ込めた。
“相性”というものがあるならば、今年のロッテは昨年と正反対だ。昨季9勝19敗と大きく負け越したダイエーに負けなしの4連勝。そして同じく21勝6敗とカモにしたオリックスには、ここまで6戦全敗。だが、指揮官は言う。「それは野球につきもの。いいときもあれば、悪いときもある。相性というものは、ないと思う」。
その根拠は、指揮官の経験だった。自ら「自分は世界で唯一、メジャーの両リーグと日本のプロ野球の監督をし、そして解雇された男だ」と笑う。53歳にして、指揮官として日米通算1200勝にあと「2」に迫った名将にとって、それは些細な数字に過ぎない。そして、ナインを信頼する姿勢。10連敗したときも、報道陣には決して選手の不平を口にしなかった。「相性じゃないんだ。どんなゲームでも、全力を尽くすことさ」ナインを鼓舞し続けるボビーは、常に前しか向いていない。
幻惑投球が通じなかった。グーリンが6回途中で10安打を浴びて、4点を失い、来日初KO。自身の開幕連勝が3でストップした。「低めに投げることを意識しないといけない」と、チームの連勝を6で止め、反省した。これまでの4試合の先発で唯一、白星がつかなかったのも2日の同カード(千葉マリン)。
小林宏はプロ入り初完封を逃した。「滅多にないチャンスだったけど…」。だが、チームにとって、そして小林宏自身にとっても、大きな価値のある1勝だった。3連敗で迎えた重いムードが漂う試合序盤。しかし、押し潰される訳にはいかなかった。22日に婚姻届を提出したばかりの新妻、佳世さんがスタンドから見守る中、ダイエーの強力打線をねじ伏せた。
「速球、変化球とも思ったところに行った」という。圧巻は1回、2番の高橋から始まった4連続三振。井口と2回の松中はフォークボール、続く城島は144キロの速球に、バットが空を切った。力投に応えるように、連敗中は拙攻を繰り返した打線が再生する。援護をもらうと、あとは8回まで安定したピッチング。「最後、バテてしまった」という9回に1点を失うと、次回登板を見すえた球数制限で、マウンドを小林雅に譲った。だが、バレンタイン監督は「グレートだった」と、称賛を惜しまなかった。