小宮山は6試合目の登板で日本球界復帰後初勝利を飾った。小宮山は7回1/3を投げ、4回までノーヒットに抑えるなど3安打1失点の内容。チームの連敗は5でストップ。ロッテは4回ベニーが8号ソロを放ち先制、5回にはフランコの2点適時打で追加点を挙げ、4人の継投で逃げ切った。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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大阪近鉄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | x | 3 |
1年の浪人生活を経て、今年再びユニホームに袖を通したベテランが、見事に復活した。小宮山悟投手が8日、千葉マリンでの近鉄戦で7回までわずか1安打、毎回3人ずつで片付ける快投。8回につかまって降板したが、7回1/3を3安打1失点に抑え、今季6試合目の先発で1勝目を挙げた。白星は横浜時代の01年10月5日(阪神戦)以来3年、946日ぶりだ。チームの連敗も5で止めた小宮山が、この1勝にこめた熱い思いを日刊スポーツに独白した。
久々の勝利というより、連敗を止めたのが嬉しい。今日はどんな卑怯な手を使ってもというぐらいの気持ちでしたから。昨日、直(清水)が素晴らしい投球をしたけど、1球で負けて。必死な気持ち半分、とにかく冷静に丁寧にというピッチングを心がけました。7回まで3人ずつで、27人で終わるのをオレも期待していたんだけど。でも8回を何とか抑えれば、9回も「0」でという欲を持てるレベルになってきました。最後に出した四球もほぼ狙ったところだし、問題ないですよ。
ここまで勝利がなくても焦りはなかったです。勝てない時も普段通りの投球ができてましたから。1つでも多くのアウトを効率良く取るということしか考えてませんでした。あと今日は、キャンプや開幕直後にはなかった、直球の力強さが出てきたから、変化球も生きるんでしょう。毎試合ビデオを見て、フォームを理想に近づけてますから。でもこれで終わりじゃない。家に帰ってまたビデオを見直します。
7回まで安打1、四球1、併殺2。最速は139キロの直球と、最遅102キロカーブのコンビネーション、制球ともほぼ完璧。バレンタイン監督は「とにかく素晴らしかった。捕手の橋本と2人で、本当によくやってくれた。95年にはなかったチェンジアップ、カッター、シュートも決まっていた」と絶賛した。
02年にメッツでプレー(1年で退団)した後も、まだ野球をやれると感じてました。だから昨年は母校(早大)で練習させてもらっていました。とりあえず秋の全早慶戦で投げられるように。でも先輩の横で堂々と後輩が投球練習していたり。オレたちの時代では考えられなかった世代間のギャップはありましたよ。
今日は家族が観戦に来てたんです。長男の将(今年9歳)は前回バレンタイン監督が指揮を執った最終戦の95年9月28日生まれ。メッツ時代にシェイスタジアムに連れて行ったら、ボビーが「年取ったな」って。でも(年齢を克服するために)試合に全てを賭けるんです。今までの経験で腹の中でいろいろ計算してね。そうすれば打者の方が「どういうふうにくるんだろう」と余計な事を考えるじゃないですか。あと(現役を長く続けるには)練習し過ぎないこと。それですね。
次に黒木が勝てばこれで言うことなしですけどね。こないだ黒木が「先に勝つわけにはいかない」って言い訳してましたから。そういう意味では、次ふざけた投球したら、きつくしかってやります。でもカムバック賞の資格があるのは僕だけ。彼はユニホーム着てましたからね。
ロッテも2、3年後に本当に強くなるチームだと思います。正直、現在の雰囲気は良くないですが、どうすればいいのかを真剣にみんなが考えないと。もちろん全員必死でやってます。でもその必死さが相手より足りないわけですから。勝った(優勝)ことのあるダイエーや西武なんかは、ズルズルいった時の危機感がものすごい。それが長年勝ってないチームの足りないところだと思います。
ベンチで見届けた。右翼・サブローが近鉄・礒部の打球を捕球すると、笑みを浮かべてナインと握手。バレンタイン監督と抱き合った。横浜時代の01年10月以来946日ぶりの勝利。今季6度目の登板で小宮山が壁を越えた。
「年をとってもやれるところを見せたかった。本当に1試合1試合頑張ってます」。最速139キロながら切れのいい球を持ち味の制球力で生かし7回まで1安打。走者2人はいずれも併殺で残塁ゼロの“27人投球”さえ予感させた。8回1死から四球を挟んだ連打で1点を失い交代したが、指揮官が「あれ以上求めるものはない」と称えた。
前日まで5連敗で最下位。「僕が勝ったことより連敗が止まったことが大きい」。かつて捨てられたチームを救った。5年ぶりの古巣。「わだかまりはあった」という。99年オフに戦力外通告を受けた。小宮山は「オレは1度首根っこをつかまれて“いらない”って言われた人間なんだ」と漏らす。だからこそ昨年12月の入団会見で「奇跡が起こった」と言った。重光オーナー代行から「戻ってもらえませんか」と直々の電話。直接出馬の意味を重く受け止めて過去を水に流した。その決断がロッテでは99年7月7日、ファンに「七夕首位」と語り継がれる日本ハム戦以来1767日ぶりの勝利に結びついた。
試合後、ボビーの95年最終戦が行われた9月28日生まれの長男・将くんとグラウンドでキャッチボールをした。「あの時の子が大きくなって…」。ロッテ退団から横浜移籍、メッツを1年で離れて浪人生活。波瀾万丈の野球人生を送ってきた小宮山が、108個目の白星を積み上げた。
ロッテの守護神・小林雅が3試合ぶりに救援成功。2点差の9回に登板すると、2死から四球も、無失点で7セーブ目を挙げた。「落ちるところまで落ちた。あとは上がるだけ」。3日のオリックス戦(ヤフーBB)で2戦続けて救援に失敗し、バレンタイン監督とビデオでフォームチェック。気分転換のため登場時のテーマ曲も変更し「どんどん取り返したい」と意欲的だった。
久しぶりに上がるお立ち台で、最高の笑顔がひろがった。小宮山が復帰6戦目で今季初勝利。横浜時代の平成13年10月5日阪神戦(横浜)以来946日ぶりの白星は、チームの連敗を5で止める二重の美酒となった。
MAXは139キロながら、変化球を交え、7回まで全て三者凡退。完封を意識した8回に四球が絡んで降板したが、終わってみれば7回1/3を3安打1失点。観戦に訪れた家族の前で見事に結果を出し「年をとっててもやればできるってところを見せたかったんだ」。2年前のメッツ移籍、昨年の浪人生活を経て3年ぶり、ロッテでは5年ぶりとなる勝利に、38歳のベテランから白い歯がこぼれた。
試合後には誰もいなくなったグラウンドで、長男の将君と約束していたキャッチボールを楽しんだ。バレンタイン監督が前回指揮を執った平成7年、その最終戦の日に誕生した将君。メッツ時代には6歳になった将君の姿を見て「お互い年をとったなぁ」とバレンタイン監督と2人で笑い合ったこともあった。
今季は、メッツ退団後もメールのやりとりを続けていた“恩師”との3度目のタッグ。最下位に低迷し連敗が続く中、何とか力になりたかった。「素晴らしい内容だった。あれ以上求めるものは何もないよ」。愛弟子の活躍に指揮官も最大級の賛辞を贈る。「1試合1試合必死に頑張ります」。尊敬するボビーを胴上げする日まで、まだまだ小宮山は勝利を積み重ねていく。
ロッテ先発陣の中でここまで勝利がなかったのは、バレンタイン第1次政権を知る小宮山と黒木の2人だけ。黒木は前回5月1日の西武戦(千葉マリン)で5失点降板した際に「(年上の小宮山より)先に勝つ訳にはいかないですから」と冗談を飛ばしていた。それもこの日の勝利で「オレが勝った訳だし、次もふざけた投球をしたら叱り飛ばしてやりますよ」。ジョークまじりにジョニーにエールを送った。
救援失敗が続いていた小林雅が、9回を無失点に抑え7セーブ目を挙げた。「落ちるところまで落ちたので、後は上がるだけです」。先月28日以来のセーブにホッとした表情。前回登板後、一緒に昨年のビデオを見て、アドバイスを送ったバレンタイン監督も「球が前よりシャープに見えたね」と守護神の復調に胸をなで下ろした。
今季6度目の先発でようやく小宮山コールを浴びた。ロッテでの勝利は、99年7月7日の日本ハム戦(東京ドーム)で首位に立った「七夕首位」以来。「今まで勝てなかったことは気にならなかった。むしろ周囲の方が気にしていたんじゃないかな。いつか勝てると思ってましたよ」今季最長の7回1/3を投げ1失点で降板したが、7回まで3人ずつの1安打。2併殺を奪う完璧な内容に、冷静沈着な小宮山節もさえわたった。
「ボビーも心配してくれてましたからね」バレンタイン監督が就任した95年を主力として戦い、大リーグ挑戦時も「あの人のところでやりたい」とメッツに入団。球界復帰も、指揮官のロッテ復帰が決め手の1つだった。「復帰の勝利も飾ったし、今後も彼らしさを出して欲しい」と、指揮官も右腕の勝利を喜んだ。
試合後のグラウンドで、95年のロッテ最終戦(9月28日)に生まれた長男・将君とキャッチボールをした。月日は感じる。だが、小宮山は“浪人中”も母校・早大などで練習を重ね、「まだやれる」ことを信じて疑わなかった。「あとは1年でも長く、イメージ通りに投げられれば…」チームも5連敗から脱出。ベテラン右腕とともに、上昇気流に乗る。
小宮山悟投手が、02年のメッツ移籍、昨年の“浪人生活”を経ての3年ぶり、ロッテのユニホームでは5年ぶりの復活白星を挙げた。それでも「いつかどっかで勝つだろうと思っていた」。38歳の表情は、素っ気ないまでに普通だった。
過去5度の先発では、打線の援護にも恵まれなかった。加えて、1年間のブランク、そして年齢がもたらす疲労。1勝が遠かった。だが、手応えはあった。「このままいったら2ケタ勝てる」とまで、うそぶいていた。
この日もカーブ、チェンジアップとの絶妙のコンビネーションが、凡打の山を築く。「1つでも多く、そして効率よくアウトを取る」。8回途中までは完封ペース。持ち味は存分発揮された。それでも「普通に投げられた」と振り返るベテラン。「本当の意味でカムバック賞資格があるのは自分だけ」と真顔で話す小宮山にとって、この1勝はあくまでも復活の第1歩にすぎない。