パ・リーグ今季最長となる4時間44分の試合をロッテが制した。1回ロッテはベニーの適時打などで3点を先制するが、その裏西武は3本の適時打で逆転。1点を追うロッテは3回に初芝の適時打で同点に追いつくと、両チームとも決め手に欠き延長戦に突入。11回、橋本がレフトオーバー5号ソロを放ち、ロッテが勝ち越しに成功するとその裏小林雅が抑え、リーグトップとなる11セーブ目を挙げた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | R | |
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千葉ロッテ | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 |
西武 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
途中出場の橋本が決めた。延長11回、森の直球を決勝5号ソロ。値千金の一打は「生まれて初めて」左翼席へ飛び込んだ。「直前のフォークを見送ったから、真っ直ぐを投げざるを得なかったでしょう」と、捕手らしい読みが当たった。8回の代打から出場してマスクをかぶり、9回1死満塁のサヨナラのピンチをしのいだ。「胃に3つ穴があきそうだった。踏ん張ってくれたピッチャーたちのおかげ。勝ててよかった」と話していた。
バレンタイン監督は、投手陣の踏ん張りを勝因に挙げた。「何より投手陣が頑張った」。この日も守備陣は足を引っ張ったが、先発小林宏が初回の4失点だけに食いとめ、9回1死満塁のピンチではこの日昇格させた川井がしのぐなど、救援陣も無失点でつないだ。同監督はこの日、同じ西武ドームでの2軍の試合も観戦して勝っており「この球場で連勝だ」とご機嫌だった。
アジアの大砲が、バレンタイン監督に“初カミナリ”を落とされた。2軍調整中の李承Y内野手が25日、イースタン・リーグの西武戦(西武ドーム)に出場。視察した指揮官は試合後、4打数1安打に終わった李を球団ブースに呼び「君はこんな選手じゃないはずだ。チームがいかに必要としているか分かって欲しい」と猛烈なゲキを飛ばした。バレンタイン監督は26日の同カードも視察予定で、李のコンディションを見極める。
延長11回、先頭の橋本が左翼席へ5号決勝ソロ。「何とか出塁しようと考えていました。本塁打になってびっくりしています」。4時間44分の熱戦を制したバレンタイン監督は「今日は投手陣だ。最後まで全力でいい投球を見せてくれたね」と、7人の継投で乗り切った投手陣の力投を称えた。
バレンタイン監督がイースタン・リーグ西武戦で2軍調整中の李承Yを視察した。4打数1安打の成績に「前回、観戦したとき(18日湘南戦)同様、リラックスしているように見えたね。しかし、まだまだ期待しているものにはなっていない」と不満顔。1軍復帰も未定のままで、試合後はベンチ裏で古賀2軍監督も交えて約10分間のミーティングを行った。
左翼席へ陣取るロッテファンの声援が打球を吸い寄せた。4−4で迎えた延長11回、橋本が決勝5号ソロ。今季パ・リーグ最長4時間44分の死闘にピリオドを打った。
悪夢を払拭する一撃だった。前日は守備の乱れから敗戦。この日も初回に3点を先制しながら、その裏に守乱で逆転された。小林宏が2死を取りながら四球から一、二塁とされると、小坂が牽制タッチミス。直後の連打で追いつかれ、左翼・井上が中島の打球を見失って勝ち越しを許した。
それでも2回以降は継投で無失点。8回からマスクをかぶった橋本はリードでも再三の危機をしのぎ「胃に3つぐらい穴が開きそう。2キロやせました」と苦笑い。敗れれば両リーグ最速の30敗到達というチームの危機を救った。里崎が左ひざ半月板手術から復帰秒読みの中、橋本にとっても貴重なアピールになった。「投手が踏ん張ってくれたお陰。みんなの勝利」とお膳立てしてくれた投手陣へ感謝を忘れなかった。
橋本が延長11回、決勝の5号ソロで熱戦に決着をつけた。「先頭打者だったから、何とか塁に出ようと思っていた」と森のフォークボール攻めを凌いで迎えた6球目。146キロの外角寄りの速球を力強くたたくと、ライナー性の打球が、ロッテファンが待つ左翼席に飛び込んだ。左方向へ流した本塁打は「生まれて初めて」とあって「びっくりした。初めて(左への本塁打)がファンのいるところでよかった」と、笑顔を見せた。
大阪近鉄バファローズの親会社である近鉄本社が25日、シーズン中としては異例ともいえる球団赤字額を発表した。近鉄本社はこの日、大阪市内で平成16年3月期の連結決算を発表。本社経理担当の岩田和弘専務取締役(60)が、当初、約30億円といわれていた球団の年間赤字額が40億円近いことを明かした。球団経営の惨状を訴える「SOS発信」だが、球団の売却についても言及。「そういうことも含めまして(近鉄グループとして)聖域を設けずに収支改善を図っていきたい」と今後に含みを持たす発言を行った。
こんな数字を明かして、現場の士気が下がりはしまいか。球団そのものに「お荷物」のイメージがつきまとわないか…。シーズン中のこの時期としては異例の赤字額発表は、そんな不安の声をも打ち消してしまうほど、近鉄の財政事情が火の車であることを露呈するものだった。
近鉄グループの16年3月期連結決算の中で、球団を含む「レジャー・サービス業部門」は赤字を計上。人件費の削減効果で102億円増の462億円の黒字を計上した「運輸業部門」などが営業利益を上げる中、唯一の不採算部門として公表された。中でも球団の赤字は「決算的なレベルでいくと、付帯費用を入れて40億円近い」と岩田専務。これまで約30億円といわれてきた赤字額を訂正した。本社の「レジャー・サービス業部門」の約59億円の営業損益のうち、約3分の2を球団が抱える計算だ。
各球団とも営業努力を続け、今季の観客動員数は飛躍的に伸びているパ・リーグだが、それでもほとんどの球団が赤字を抱え、親会社の「宣伝・広告費」で賄っているのが実情。ただ、その額が40億円ともなれば、親会社の、それも経理部門の責任者としては目をつぶっている訳にはいかない。球団経営の惨状ぶりの公表で、異例の「SOS発信」を送る形となった。
さらに岩田専務の発言は、球団の存続にかかわる問題にまで及んだ。身売りの可能性について「そういう(球団を売る)ことも含めまして、聖域を設けずに収支改善を図っていきたい。タブーを設けずにやっていく」と繰り返し語った。同専務は後に「収支の改善を考えてのことであって、『売る』ことが優先ではない」と発言の真意を説明したが、球団売却が収支を好転させるための選択肢の1つであることは否定しなかった。
近鉄球団は今年1月、球団名売却案を発表したが、球界の猛反発にあって断念せざるをえなかった。起死回生のアイデアを否定されたことで、台所は苦しいままだ。同専務は球団名売却に代わる経営改善策についても言及。「具体的には検討過程にあり、申し上げる段階ではない」と語り、水面下で新たな策を講じていることも認めたが、見通しは当然、立っていない。
これまでグループ約230社の経営の見直しを推進してきた近鉄本社は、赤字補填の必要な関連会社については、事業からの撤退、売却を断行しながら経営改善を図ってきた。ただイメージの問題もあり球団だけは例外、ともいわれたが…。「大阪に根付いているという要素を勘案する」と岩田専務は、球団売却の可能性の低さを示したが「40億円」の数字の前には、それも危うそうだ。