わたしはかもめ2004年鴎の便り(6月)

便

6月17日

パ緊急理事会は合併了承

プロ野球のパ・リーグは17日、東京・銀座の連盟事務所で緊急理事会を開き、近鉄とオリックスの合併合意について、理解する方針で意見が一致した。約2時間の緊急理事会を終え、約230人の報道陣が待つ中、小池唯夫会長、近鉄小池哲也球団社長、オリックス小泉隆司球団社長らが会見した。

小池会長は「合併についてはパ・リーグとして事情を理解する。反対意見はなかった」と語った。小林社長は「前向きに考えていこうという話を伺って安心した」。小泉社長も「ご理解得られて嬉しく思います」と、安堵の表情を見せた。

両球団は「統合」という表現を使い

(1)
大阪(大阪ドーム)、兵庫(ヤフーBBスタジアム)のダブルフランチャイズ
(2)
加盟料(新参加球団は60億円)の免除
(3)
選手保有の優先権

の3点を希望。1、2についてはパとして理解を得られた。しかし、3は「強いチームをつくるために両球団の中心選手を優先的に保有したい」という要望で、これについては各球団で意見の相違も出た。大量の契約解除選手が出る問題に、小池会長は「他球団への配慮を実行委員会、オーナー会議で要請する」と救済の道を探す。

来季の運営について小池会長は「白紙」を強調。合併後に5球団で運営するのか、1リーグ制への移行を働きかけていくかの言及はなかった。具体的な合併の方式については詰めるべき点は多く、その期限のメドを7月末日、正式決定を11月末日と設定。今後、21日の12球団実行委員会、7月7日のオーナー会議で基本的に合併を了承する方向で議論が進められる予定。

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パ緊急理事会出席者の見解

◇近鉄・小林哲也球団社長

≫近鉄オリックス合併について。
小林社長
「緊急理事会で一応の理解が得られ、これから細部についても検討を進めていく段階。」
≫5球団でパ・リーグ存続について。
小林社長
「当該球団として態度を示せない。当事者であり、まな板のコイのようなもの。」
≫1リーグ制へ移行することについて。
小林社長
「当事者なので発言を控えなければならない。どうこう言える立場にないという認識。」
≫各チームとして。
小林社長
「これを機会に、球界全体がいい方向にいってくれれば。実行委員会、オーナー会議の承認を期待。」

◇オリックス小泉隆司球団社長

≫近鉄オリックス合併について。
小林社長
「パ・リーグ緊急理事会で他球団の理解を得られたので、実行委員会、オーナー会議の承認目指す。」
≫5球団でパ・リーグ存続について。
小林社長
「他球団の意向もあり、これから話し合わなければならない大きな問題の中の1つ。」
≫1リーグ制へ移行することについて。
小林社長
「考えられる選択肢の1つ。球界全体で考えていく必要がある今後の検討課題。」
≫各チームとして。
小林社長
「近鉄との合併が認められるよう、緊急理事会の内容をふまえて実行委員会、オーナー会議に諮る。」

◇ダイエー佐藤賢二球団代表

≫近鉄オリックス合併について。
佐藤代表
「球団の経営面を考えると(パ・リーグはどの球団も)厳しいというのはある。パ・リーグとして合意、承認したということ。」
≫5球団でパ・リーグ存続について。
佐藤代表
「統合を認めたというだけで、加盟料、保有選手問題など解決しなければいけないことが多い。」
≫1リーグ制へ移行することについて。
佐藤代表
「パ・リーグとしてどうするということを話し合っている段階なのでコメントできない。」
≫各チームとして。
佐藤代表
「オリックス、近鉄の2球団だけの問題としてだけでなく、球界全体の問題として捉えている。」

◇西武星野好男球団代表

≫近鉄オリックス合併について。
星野代表
「反対はしません。選手の身分保障など具体的な考えを21日の実行委員会までに、両球団で整理し12球団の理解を得ていただきたい。」
≫5球団でパ・リーグ存続について。
星野代表
「5球団でリーグ戦を行うことができるのか。セ・リーグも含めて話し合うべきだと思う。」
≫1リーグ制へ移行することについて。
星野代表
「5球団では当然、無理でしょう。1リーグ?それが1番いいんじゃないでしょうか。」
≫各チームとして。
星野代表
「今回のことは当事者だけの問題ではない。全体的に考えていかなければ、球界全体が大変なことになる。」

◇日本ハム小嶋武士オーナー代行

≫近鉄オリックス合併について。
小嶋オーナー代行
「2球団の言い分を理解しました。お互い配慮して協力しなければならないことは、十分理解している。うちとしては要望などない。」
≫5球団でパ・リーグ存続について。
小嶋オーナー代行
「合併の段階で強いチームとなるよう、協力して欲しいとは言われている。」
≫1リーグ制へ移行することについて。
小嶋オーナー代行
「セ・リーグの協力を仰がなければという問題が、現実として出てくると思う。野球界にかかわる問題だから。パ・リーグだけで決定できない問題がたくさんある。」
≫各チームとして。
小嶋オーナー代行
「(合併による新チーム編成に対し)ベストの70人でという訳にはいかない。選手配分は今後の問題になる。」

◇ロッテ瀬戸山隆三球団代表

≫近鉄オリックス合併について。
瀬戸山代表
「理解を示した。承認はこれからになるが、その方向で容認いたしました。可能な限り(ロッテとしても)協力されていただく。」
≫5球団でパ・リーグ存続について。
瀬戸山代表
「球団として、統合に理解を示した以上、来季5球団でのリーグ運営に反対はない。」
≫1リーグ制へ移行することについて。
瀬戸山代表
「(パ緊急理事会で)具体的な話し合いにはならなかったので…。オーナー、オーナー代行の意見を伺いながら、球団としての考えはこれから考えたいと思います。」
≫各チームとして。
瀬戸山代表
「球界全体で考えなければいけない。特に選手保有権の要請については、球団によって微妙な温度差があった。」

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根来コミッショナー「3段ロケットだ」[ニッカン]

根来泰周コミッショナーは冷静な反応ながら「根来節」で合併を表現した。理事会終了後、小池会長からコミッショナー事務局でセ・リーグ豊蔵一会長とともに緊急理事会の報告を受けた。「要するに3段ロケット。当事者がロケット置き場を置いて、今日の理事会が第1段。第2段は実行委員会、第3段はオーナー会議で、それでロケットは飛ぶ。オーナー会議が終わったら当事者の球団がきちっと相談する。それからの話」と語った。パが賛成したことに「反対する理由はないが、選手の契約などをうまくやってもらわないと困る」と注文をつけた。1リーグ制への移行については「パ・リーグで6チームが5チームになるという話であって、それが1リーグになるとは誰も言ってない」と慎重だった。

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パ緊急理事会、西武が“反旗”の1リーグ制支持[サンスポ]

パ・リーグ緊急理事会は17日、東京・銀座の同連盟で開かれ、近鉄とオリックスの合併問題について両球団から報告を受けた。合併は理解することで一致したが、理事会後、西武・星野好男代表が「(1リーグ制が)1番いいんじゃないか」と再編を積極的に進めたい意向を初めて明かした。パの他球団が来季、5球団でのリーグ維持を示唆するなか、西武だけがこれに反対。堤義明オーナーのかねてからの“悲願”でもある1リーグ構想を敢然と主張する格好となった。

巨人と並び球界で大きな発言力、影響力を持つ西武。その球団首脳がアクションを起こした。前夜、巨人・渡辺オーナーが示唆した来季の2リーグ制堅持の発言を牽制するように、西武による球界再編のビジョンが初めて公になった。

西武・星野球団代表
「(理事会で)1リーグの話は出ていない。でも(1リーグが)1番いいんじゃないですか。あくまでライオンズとしての考え方ですけど。」

理事会後、1リーグ制支持の立場を初めて明確にした星野球団代表。まるで周囲の反応を楽しむような口ぶりだった。近鉄、オリックスの合併合意を受けて、緊急招集されたパ・リーグ理事会。午後1時から約2時間の会議では両球団からの経過説明、今後の地域権、選手の契約問題について話し合われた。

1リーグ制については議題にこそならなかったが、巨人・渡辺オーナーが当面は合併問題の処理を優先させ、協約改正を含めた抜本改革は早くても2年を要するとの見解を示したこともあり、来季は変則5球団による2リーグ制維持で、ほぼ合意を見ていた。

これに敢然と異論を唱えたのが西武だ。星野代表は「パ5球団では(存続は)無理?当然そうでしょうね」とまで断言するのは、まさにそれが西武グループの総帥、堤義明オーナーの意向そのものだからだ。

堤オーナーは平成5年に当時、ドラフト制度撤廃を主張する巨人・渡辺オーナーと共に現機構を脱退、新リーグの結成で合意直前まで話を進めた過去がある。

結果的にこの新リーグ構想は頓挫。この後も西武ドーム建設、松坂の入団などのプラス要素にもかかわらず、平成3年をピークに観客動員は現在も頭打ちの状態が続いている。その意味でも巨人との公式戦開催は球団との長年の悲願だった。

交流試合もセ・リーグの反対で実現されず、ついに今回の合併で迎えたリーグ存続の危機。しかし、西武にとってはむしろ千載一遇のチャンス。この機に乗じてイッキに1リーグ制に持ち込もうというシナリオだ。星野代表は7月7日のオーナー会議に「今の段階では出るでしょう」と堤オーナー自ら出席することも明かした。昭和53年の球団買収以降、これまでオーナー代行が代理出席していただけに、異例の出席は悲願の実現に向けた、強い意欲のあらわれでもある。

1リーグ制を急ぐ西武の態度に、渡辺オーナーはこの日夜「(ずっと将来も)5球団でできると思っている人がいるかね?」と一定の理解を示しながらも「まあ、まだ分からん」と含みを持たせた。「これから球界全体で色々な動きが出てくる。(1リーグ制を含め)いかようにも対応するよう準備する」は小池唯夫パ・リーグ会長。いよいよ動き始めた堤・西武。その意向は球界に大きな影響を及ぼす。

◇1リーグ制の流れ

平成5年3月29日
巨人・渡辺オーナー(当時、読売新聞社社長)がドラフト制廃止を主張。却下の場合、ダイエー、西武と日本プロ野球機構を脱退し「新リーグ」発足をチラつかせた。
平成5年7月13日
これに対抗してロッテ・重光オーナー代行がオーナー会議で「12球団による1リーグ制移行」を提案。
平成6年1月18日
オーナー懇談会でパ・リーグが1リーグ制を支持。
平成15年9月10日
ダイエー本社が16年オフ以降に球団を売却する方針を決定。再び巨人・渡辺オーナーが、1リーグ制移行をチラつかせた“球界再編”を掲げる。
平成16年6月13日
近鉄・山口本社社長が経営難を理由にオリックスとの合併が基本合意したと発表。パが5球団になることで、阪神・久万オーナーが「1リーグ制検討の用意がある」と発言。
平成16年6月16日
巨人・渡辺オーナーは合併について「当面は両球団の問題処理に絞る」と、来季は2リーグ制を存続する考えを示唆。

◇セも反発必至

西武が主張する1リーグ制だが、巨人を除くセ・リーグ側も猛反発するのは必至だ。セのある球団首脳は「(合併による選手引き取りで)負担は増える、(1リーグ制で)巨人戦は減る、放映権料が入らない、では必ず音をあげる球団が出てくる」と指摘。巨人を除いて決してセ各球団も経営が楽な状況ではない。渡辺オーナーは「パは勝手にしろというセのオーナーもいるが、そういう世の中じゃない」と協力要請も示唆しているが、話し合いは難航しそうだ。

日本ハム・小嶋武士オーナー代行
「現段階では(来季も)5球団で行うと認識している。今後、セ・リーグにも協力してもらうことも出てくるかもしれない。」
ロッテ・瀬戸山隆三代表
「来季も5球団でリーグ存続?もちろんです。(1リーグ制については)今日は意見も聞かれなかった。」
ダイエー・佐藤賢二代表
「1リーグ制問題?具体的な話は一切出ていない。」
近鉄・足高圭亮球団代表
「今日は『試合数や、マスコミの扱いから、5球団ではしんどい』という声もあったが、うちとしては“まな板の鯉”で何もいえない。」
オリックス・宮内義彦オーナー
「1リーグ制?とにかく、色々なステップがあるから、分からない。私見はない。色々なアイデアがあるだろうし、球界で考えて欲しい。」
巨人・三山秀昭球団代表
「地域権については阪神の了承がいるだろうし、参加料については理解できる。保留選手については実行委員会でも議論が必要になるだろう。パが1リーグを視野?それは分からない。」
ヤクルト・倉島今朝徳常務
「合併で1球団減っても、他にチームを持ちたいところが出てくるかもしれないし、個人的には2リーグ制は堅持していきたい。セ、パで熾烈な競争をして日本一を決めて、共存共栄してきた。1リーグ制だと競争する相手がいなくなる。経営難に陥ったから1リーグ制というのでは、問題解決にならない。」
中日・伊藤一正球団代表
「事情があるので、経営が無理というものは仕方がない。ただ、早急に1リーグ制へというのは飛躍しすぎ。経営の根幹にかかわること。」
広島・松田元オーナー
「合併に反対するつもりはないが、問題をきちんと整理して解決することが先決。今の段階で1リーグ制の話は飛びすぎている。」
根来泰周コミッショナー
「現時点ではパは6球団が5球団になるということ。1リーグなどとは誰も言ってない。(球界再編については)残念ながらコミッショナーにその権限はない。ならば、現在起こっている(合併の)問題をまず解決するしかない」

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西武、1リーグ制移行支持[ニッカン]

◇7・7会議に堤オーナー出席

西武が、1リーグ制への移行を明確に支持した。星野好男球団代表は17日、東京・銀座のパ・リーグ連盟事務所で行われた緊急理事会後、1リーグ制による球界再編を球団として希望する意向を示した。西武は93年に堤義明オーナーが、巨人渡辺恒雄オーナーと1リーグ制実現への会談を持った経緯もある。堤オーナーが7月7日のオーナー会議に26年ぶりに出席する方針も明かされた。同会で了承された近鉄とオリックスの合併合意は、今後、21日の実行委員会を経て、オーナー会議で4分の3以上の同意が得られれば正式に決まる。

西武がついに沈黙を破った。オリックス、近鉄の合併合意発表後、初めて球団としての明確な意向を打ち出した。緊急理事会後に報道陣に囲まれた星野代表は、5球団によるパ・リーグ存続ではなく、1リーグ制への移行を、西武球団の考えとして支持した。

星野代表
「1リーグの話は全然出ていない。セ・リーグさんも一緒に考えてもらわなきゃ困る。各球団に考えがあるでしょうし、ライオンズの考えもある。5球団では無理?当然、そうでしょうね。1リーグ?それが1番いいんじゃないですか。」

5球団では、3連戦を2カード組むと、1チームが3、4日休みになるなど、興行的に難しい部分がある。今回、西武が1リーグ制支持を打ち出した背景には、それだけでなく、西武球団のトップ、堤オーナーの意向があると見られる。堤オーナーは93年には巨人渡辺オーナーが打ち出した新リーグ構想に賛同。その年の12月には水面下で渡辺オーナーと会談を持ち、9球団による1リーグ制移行という具体的プランを話し合っている。堤オーナーは78年10月にクラウンを買収したときから、事態によっては「1リーグ制」への動きを取ることを周辺に漏らしていたという。パ・リーグの人気低迷が球団経営を圧迫することを懸念しており、当時から球界改革の必要性を抱いていた。

既に巨人渡辺オーナーが7月7日のオーナー会議で、球界再編の舵取りを務める意向を示しているが、堤オーナーがこれをアシストする可能性が高まった。星野代表は堤オーナーのオーナー会議出席について「オーナー会議なんだから今の段階では出るでしょう。いつもギリギリになって予定が入って出ていませんが、今のところは私も分かりません」と否定しなかった。

堤オーナーはこれまで78年秋の球団創設時に1度出席しただけで、以降はオーナー代行に任せている。今回は念願でもある1リーグ制実現のカギを握る会議だけに、26年ぶりの出席で、渡辺オーナーと強力タッグを組む可能性は十分にある。この日の緊急理事会の内容については「今日、報告します」(星野代表)と、午後には伝えられた模様だ。星野代表は「当事者だけの問題ではない。全体的に考えていかなければ、野球界全体が大変なことになる」と繰り返し力説した。西武が球界再編の推進役を買って出そうな勢いだ。

合併提案を了解した緊急理事会では、5球団でリーグを存続させるかどうかに言明できなかった。「パだけで決められる問題ではない」という姿勢の裏に、セの意向をうかがうスタンスも見え隠れする。そんな中、セ、パの“盟主”の共闘は、押し寄せる波を一気に強くさせそうだ。

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根来コミッショナー断言「パを残す!!」[報知]

プロ野球の根来泰周コミッショナーは17日、スポーツ報知の取材に答え、近鉄、オリックスの合併合意に端を発した「来季1リーグ構想」を完全否定。来季は5球団でのパ・リーグ運営を熱望した。さらに合併問題と、それに伴う協約改正も9月中に解決する方針を示した。この日、パ・リーグは東京・銀座の連盟事務所で緊急理事会を開催。両球団の合併合意を了承した。

◇即1リーグ否定、来季は5球団で

緊急理事会後、リーグ存続を明言できなかったパ側の姿勢とは逆に、球界のトップは、自らの意思を明確に口にした。「すぐに1リーグなんて、とても無理。今回以上に問題が噴出する。現実的にやれるか、ということを検証しないとだね、やたらにやって、やれるかというものじゃない」。1球団削減の5球団制でパ・リーグを運営することを熱望した。

「コミッショナーには決定権はないからね」と立場を説明しながらも、球界再編への動きにはブレーキを掛けた。「ダイエーは(観客動員など)調子がいい。ロッテもペナントレースは苦しんでいるが(経営に)困っている訳じゃないんだ」と話し、特に、1リーグ制に移行することで大量の解雇選手が出ることに対して「いっぺんに選手があふれたら、とても(他球団で)吸収できないだろう」と危機感をあらわにした。

両球団の合併は、この日の緊急理事会を発端に今月21日の実行委員会、来月7日の12球団オーナー会議の了承を経て正式に動き出す。根来コミッショナーは来季の日程作成に支障がないようにと、9月中に合併問題と、それに付随する協約の改正を一気に片づける意向も見せている。

「オーナー会議の招集権は私にはない。でも、手続き的には9月中に(臨時のオーナー会議を)やらねばならないだろう。協約については全てを改正するなんて無理。まずは合併に関することを整備する」こう青写真を描いた。

しかし、5球団でのリーグ運営という形態には、やはり無理がある。数シーズンにもわたって続けるのは酷だろう。その先にあるのは、やはり球界全体の再編なのか。「1ステージごと、段階を経て進まないと…」と改めて慎重な姿勢を見せた根来コミッショナー。腰を据えて、合併問題の処理に当たることになる。

◇日程作成に早期解決が必要

5球団でのパ・リーグ運営に支障がない訳ではない。奇数球団で試合を行うため、試合を行わない球団が必ず1チーム生まれてしまう。合併問題の表面化の直後、社会人野球を統括する日本野球連盟は空きチームのスケジュールが合えば、その時期、開催されている社会人大会への参加を認める発言をした。こういった交流戦で試合カンを養うことは出来る。だが、故障時の補償問題などは残ってしまう。だからこそ、根来コミッショナーも「簡単にはいかない」と話したのだろう。

セ・リーグは来月11日、来季の日程作成への準備会議を開く。ここ3年、8月中旬には翌年度の公式戦日程を決めている。地方球場のスケジュールを抑える作業などを早めに行うためだ。また、パ・リーグも昨年は6月、一昨年は8月に日程の概要を作成している。リーグ戦開催を滞りなく行うには、来季、両リーグがどういう形態で運営されるのか、早ければ早いほど楽になる。

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古田選手会長待った!特別委開催も[ニッカン]

労組プロ野球選手会の古田敦也会長(ヤクルト)は17日、近鉄とオリックスの合併に反対の意向を示した。パ・リーグ緊急理事会で合併承認の方向性が出たが、あまりに早い進展に「特別委員会を開いてもらわないといけない」と疑問を投げかけた。

「命名権の時にはあれだけ反対したのに、1つ球団を減らすとなった時にこんなにあっさり賛成していいものか。まだ議論し尽くされてないような感じがするんですよ」と古田。1球団減の場合、新規参入には加盟料が必要となり、参入が難しいことを憂慮。まずは残すことを前提にもう1度議論してほしい考えだ。

合併以前の根本の問題についても持論を展開。赤字体質の球団経営の構造的欠陥については

(1)
放映権の一部を集めて分配する
(2)
ドラフトをウエーバー制にして資金のかからないシステムにする
(3)
加盟料などを廃止し新規参入しやすいようにする

などの案を挙げて改革の必要性を訴えた。

特別委員会の開催には実行委員会の議長であるセ・リーグ豊蔵会長の招集が必要。構成員10人のうち選手代表委員4人が反対すれば4分の3以上の賛成が得られないことになり、協約上は合併の議論を進められないことになる。過去の例から、特別委員会の招集が認められる可能性は低いが、選手会会長の立場から、改革の必要性を訴え続ける。

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渡辺オーナー、30億円参加料なし[ニッカン]

巨人渡辺恒雄オーナーが17日夕、都内で会食後、パ・リーグの緊急理事会を受けて取材に応じた。5球団でのリーグ運営は厳しいという、西武の意見に対し「誰だってそう思っているんじゃないの。(5球団で)できると思っている人はいるかね。やればできないことはない。ダブルヘッダーやればね。ただ、それじゃ、(パ・リーグが)かわいそうじゃないか」と話した。さらに「パは勝手にやれと言うセのオーナーもいるが、プロ野球の置かれた環境を考えないと」とも語り、1リーグ制移行への明確な言及はなかったが、合併に伴いリーグを超えた団結が不可欠との見解を示した。

野球協約に明記されている新参加球団に課せられる60億円の加盟料、保有者変更などに伴う30億円の参加料について、私見とした上で「合併なんだから。ゼロだよ」と明言した。「合併の場合、取る規定はないんだから、とらないでいいんだよ」と話し、近鉄、オリックスの懸念を一蹴した。

さらに「今度の場合は大阪をフランチャイズに」と、地域権の問題についても明確な方向性を示した。「広げた方がいい、1球団1県というのもね。ヤフーBBを使うにしても(主催70試合過半数の)36試合以上を大阪ドームでやればいい。2ヶ所でできますよ」と、合併後の球団運営のあり方にまで踏み込んだ発言もあった。

前日に報道陣に応えたのに続き、雇用問題を最大の問題とし「地域権の問題は大きな問題じゃない。リストラされる選手をどう救済するかだけ」と話した。合併後の球団の選手については、救済方法が明文化されていない野球協約の問題点を指摘した。ただし、具体的な方針については「分からん」と、明確な発言は避けた。

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阪神、ダブル本拠地制は「断固反対」[ニッカン]

阪神久万俊二郎オーナー(電鉄本社会長)が17日、パ・リーグ緊急理事会で討議された近鉄・オリックス合併問題のダブルフランチャイズに強い拒否を示した。大阪市内の電鉄本社で野崎勝義球団社長らと合併問題に関する緊急会議を持った久万オーナーは「断固反対。戦う覚悟」と、保護地域が大阪府と兵庫県にまたがる方針に異を唱えた。当初は欠席予定だった7月7日のオーナー会議も、体調不良をおして出席する意向を示した。

野崎球団社長との緊急会議を終えて電鉄本社を出る久万オーナーが、合併後の球団が大阪ドーム(大阪府)とヤフーBB(兵庫県)の両方を本拠地とする案に、きっぱり「NO」を突きつけた。緊急理事会が本拠地2ヶ所とすることをオーナー会議に提案することを決めたことに「それは協約違反でしょう。断固反対です。テリトリー(保護地域)は県別になっているはず。それを主張されるなら、戦う覚悟です」と話した。

野球協約が定める保護地域は近鉄が大阪府でオリックスが兵庫県。兵庫県の阪神と関西に3球団が共存しながら、複数の府県にまたがる球団はない。球史を振り返っても、本拠地を2カ所持ったチームはない。この日の緊急理事会で浮上した案件に、直接的な影響を受ける阪神が反応するのも無理はない。

合併そのものに反対している訳ではない。久万オーナーは「1リーグでも2リーグでも、仲良くやるのはいいですけど筋道がある。両方にまたがるのはいけません」と念を押した。仮に新球団が両府県を保護地域とした場合、どちらにせよ重なる阪神には様々な問題が発生する。

協約では「ある球団が他球団の保護地域で試合、あるいは野球に関する行事を実施するときは、予めその球団の書面による同意を得なければならない」と定めている。くしくもこの日のように阪神が大阪ドームで公式戦を行う際は、当然のように近鉄サイドに“スジ”を通してきた。

野崎球団社長も同問題について「どちらかを選ぶのなら分かるが、迷惑な話。観客動員であるとか、ウチだけがかかわることですが、死活問題」と批難した。昨季、球団新記録の330万人動員に達した人気球団も、甲子園を挟む近隣2球場で公式戦を行うデメリットを看過はできない。

7月7日のオーナー会議に向け、球団のスタンスを固めようと野崎球団社長が電鉄本社を訪れた緊急会議の日に、降って沸いた本拠地問題。「ドクターに見てもらったら大丈夫と言われた」と久万オーナーは、体調不良をおしてまでオーナー会議に出向く構えだ。

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宮内オーナー、W本拠地制に自信[ニッカン]

オリックス宮内義彦オーナー(本社会長)はこの日、近鉄との合併後の本拠地が神戸、大阪の2都市となることに自信を見せた。都内の自宅前で取材に応じ「一緒になるのならそれ以外の答えはない」と断言した。本拠地が2府県にまたがることについても「例のないことといっても全て例がないこと。それをやっちゃいかんのなら何もできない」と話した。これまで合併問題について慎重に発言してきた同オーナーが、本拠地について見解を示すのは初めて。ダブルフランチャイズ制を後押しするのは、合併球団である近鉄サイドへの配慮の意味もあるもよう。21日の実行委員会で、セ・リーグ側とどこまで意見を擦り合わせられるかに注目が集まる。

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