ロッテが接戦を制し、ダイエーの連勝記録を11で止めた。ロッテは2点を追う4回、無死一、二塁から李の7号3ランで逆転に成功。この回さらに、フランコの犠飛で1点を追加した。先発の高木は5回を被安打2、奪三振2、四死球2の内容で昨年4月22日以来の勝ち星を挙げ、9回を三者凡退に抑えた小林雅が14個目のセーブを挙げた。ダイエーはここまで9試合、92イニング相手チームにリードを許していなかったが、先発のグーリンが来日最短となる3回1/3を6失点と誤算。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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福岡ダイエー | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 5 |
千葉ロッテ | 1 | 0 | 1 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | x | 6 |
ロッテの悩める大砲に価値ある1発が飛びだした。李が、センターから本塁へ10メートルの強風が吹く千葉マリンの右中間席に叩き込んだ。逆転の7号3ラン。ダイエーの連勝を11で、チームの連敗を2で止めた。
2点差の4回、左腕グーリンの肩口からの抜けたスライダーを捉えた。右肩が開く癖が出なかった。李は「横からではなく真正面からボールを見ようとしている」と話した。連日の早出特打。この日もビデオを参考に、午前10時前から1時間以上打ち込んだ。
バレンタイン監督、コーチからアドバイスを受け、フォームを修正している。来日当初は開き気味の構えから右足をベース寄りに踏み込んで打ちにいった。この日は開いたままでボールを捉えた。「投手の誘い球に手を出さないで、我慢しながら甘い球を捉えることができるかがポイントだ」と説明した。来日後、左腕から初めて打った本塁打だった。
2度目の2軍落ちも囁かれていた。15日の試合前、監督の指導を消化できない自分に腹をたて、ベンチのゴミ箱をバットで壊すシーンもあった。苦しむ中でやっと出た1発。「これをきっかけにしたい。チームのため自分のためにやって行こうと」。李はこう話したが、その表情はまだ硬いままだった。
高木は9試合目の登板で今季初勝利を挙げた。4回まで4失点。それでも味方が逆転してくれた直後の5回、三者凡退に仕留めて流れをつくった。日本ハム中嶋とともに、オリックスの前身阪急の生き残りとなったベテラン左腕は「あの回(5回)は絶対ゼロに抑えようと思った。初白星?やっとです。でもチームが勝ったことが何より。次は、もっといいピッチングをしたい」と振り返った。
李承Yが殊勲の3ランを放った。2点を追う4回無死一、二塁から右中間へ叩き込んだ7号は逆転弾。お立ち台で「今までは迷惑をかけっぱなしでしたから」と笑顔で振り返った。左腕グーリンからの1発には価値がある。「これまでだったら空振りしていた」という外角低めのカーブを見逃し、その直後の4球目、甘いカーブを仕留めた。4日の1軍復帰以降、左腕登板時の先発出場は初めてでバレンタイン監督は「よく対応した。価値ある1発」と満足げ。球を見やすいようスタンスをオープンにするなど試行錯誤が実った李は「きっかけにしたい」と浮上を誓った。
右ひじの張りで出場選手登録を外れている黒木知宏投手の離脱の長期化が20日明らかになった。軽い痺れが残って全力投球できない状態。球団関係者によれば、原因は不明ながら鎖骨と肋骨の間が狭く神経や血管が圧迫される「胸郭出口症候群」が一因とみられるという。
また、ねずみ(遊離軟骨)や骨がとげ状に増殖する骨棘の可能性も指摘され、その場合は内視鏡による除去手術が必要な場合もある。球団関係者は「2週間は走り込み中心でノースロー」と話し、前半戦復帰は絶望的。
この日、さいたま市のロッテ浦和球場で2軍の練習に参加した黒木は「投げられるが、何か気持ち悪い感覚がある。(痺れは)明日消えるかもしれないし、深刻には考えていない」と話したが、回復まで時間がかかった右肩痛に続いて試練の時期を迎えた。
36歳のベテラン左腕・高木が、5回4失点ながら今季初勝利。2−4の4回に味方打線が4点を奪って逆転。5回のマウンドでは「この回だけはゼロに抑えないと…」と、ダイエーの中軸を3者凡退に打ち取った。同一カード3連敗を防ぐ1勝に「そういう意味でもよかった」と笑顔。
4回に逆転の7号3ランを放った李承Yだが「今まで迷惑をかけ続けたから…」と厳しい表情。5月にまさかの2軍落ちを体験した韓国の“国民的打者”は、「これまでだったら空振りしていた」という外角低めのカーブを見逃し、その直後の甘いカーブを右中間最深部へほうり込んだ。「いいきっかけにしたい」。強い口調に、プライドが垣間見えた。
力の限りバットを振り抜いた。手に残る感触は完璧だった。しかし、李承Yは「入れ、入ってくれ」心の中で叫んでいた。青空に舞い上がった打球は、千葉マリンの浜風を受けながらも、満員の右中間スタンドで弾んだ。4回無死一、二塁から飛び出した7号逆転3ラン。自分自身が待ち望んだ1発だった。
苦手の左投手から、来日初めてアーチをかけた。4日に1軍に再昇格して以来、左投手の先発に対し初めてのスタメン起用に発奮。「直球を待っていたタイミングだったけど、右肩を開く悪い癖は出なかった」もはや日課となった早出特打をこの日も敢行。ロブソン打撃コーチらに指導され、投球を見やすいオープンスタンスに変えていた。高めに入ったグーリンの109キロのスライダーに、一呼吸待って食いつくことができた。
どうしても期待に応えたかった。15日の練習中に、バレンタイン監督に厳しい言葉を投げつけられていた。「私は諦めずに起用する。でも自分で自分のことをあきらめたら、その時は韓国に帰ってもいい」悔しさのあまり、ベンチのゴミ箱をバットで叩き壊した。だが、自分に対するもどかしさはバットで晴らすしかない。
来日以来、ノーステップに取り組むなど試行錯誤を繰り返している李を、指揮官も「左腕にうまく対応した価値ある3ランだった」とたたえた。この日はちょうどシーズン折り返し点の68試合目。「これをきっかけにどんどん勝利に貢献したい」チームの連敗を止めた1発を号砲に、アジアの大砲が反撃を誓った。
李は逆転の7号3ランを放っても、険しい表情を変えなかった。「今まで迷惑をかけ続けたから…」。5月にまさかの2軍落ちを体験した韓国の「国民打者」。1度は上向いたかに見えた調子も、再び下降した。左投手の場合には、先発を外されるなど、首脳陣の評価も厳しくなっていた。活路は、打球へのアプローチに見いだした。こころもち、オープンに構え「投球と正面から向かい合う」(李)ことで、乱れた選球眼を修正した。
左腕グーリンからの1発には価値がある。「これまでだったら空振りしていた」という外角低めのカーブを見逃し、その直後の4球目、甘いカーブをたたく。打球は風にも乗って、右中間最深部へ飛び込んだ。バレンタイン監督は依然「これまでのことは考えず、先を見てプレーして欲しい」と微妙な言い回し。監督の評価を、どう変えさせるか。「いいきっかけにしたい」。李の強い口調に、プライドが垣間見えた。