わたしはかもめ2004年鴎の便り(7月)

便

7月10日

全パ6−3全セ(ナゴヤドーム)

全パが4本のホームランを含む10安打を放ち勝利した。全パは1回に福留(中日)の適時二塁打で先制されるが、2回に松中(ダイエー)の1号ソロで同点に追いつくと、城島、ズレータのダイエー勢にもホームランが飛び出して点を重ねた。全セは6回を除き、全パの6人の投手リレーの前に14三振を喫するなど3点に抑え込まれた。なおMVPは2イニングを無失点でオールスター初勝利の松坂大輔(西武)が受賞。優秀選手賞は城島(ダイエー)、渡辺俊介(ロッテ)、中村(近鉄)、高橋由伸(巨人)が選ばれた。

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全パ0101003016
全セ1000002003
全パ王監督
「パ・リーグらしい攻撃ができたと思う。色々難しい問題があるので、みんな気合を入れてくれた。パは勝つことでしか目立てないのでね。投手陣もペナントでも見られないような速い球を投げてくれたね。明日も豪華リレーで抑えて、ホームランを打つ試合をしたい。」
全セ岡田監督
「1発攻勢でやられたけど、1回に中日勢で先制点を取れたのはよかった。ケガの選手もいたし、アテネ五輪の壮行試合との兼ね合いで選手起用が大変だった。」

◇79年ロッテ以来

ダイエー松中、城島、ズレータが本塁打。球宴で同一チームの3選手が本塁打を打ったのは、79年3戦でロッテの白、リー、有藤が記録して以来、25年ぶり2度目。公式戦で3人が揃って本塁打を打ったのは03年8月1日オリックス戦、04年6月7日日本ハム戦、6月27日近鉄戦の3度ある。

◇パでは15年ぶり

2イニングを無失点に抑え勝利投手の松坂がMVPを獲得。これまで球宴の松坂は3戦3敗で、無失点に抑えたのは初めてだ。投手のMVPは98年1戦川上(中日)以来だが、パ・リーグでは89年1戦村田(ロッテ)以来、15年ぶり。また、投手で3イニング投げずにMVPを獲得したのは、60年2戦金田(国鉄=2イニングを投げ勝利投手)80年3戦江夏(広島=1イニングを投げセーブ)に次いで3人目と珍しい。

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渡辺俊が優秀賞

ロッテ渡辺俊が「初出場なんで狙ってました」という優秀選手賞を受賞した。先頭打者に安打を許したが、その後は地面スレスレから繰り出す直球、カーブで2回を1安打無失点2奪三振。試合後は「雰囲気は楽しめました。同級生の嶋くん(広島)ともやれて満足です」と笑顔を見せていた。

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渡辺俊が2回無失点[サンスポ]

渡辺俊が全パ3番手として2回1安打無失点と好投し、優秀選手賞に輝いた。プロ4年目で初の球宴だが、サブマリン投法でローズ、福留らを封じた。「セの打者と対戦できて楽しかった」と賞金100万円を手に満足顔。新たな合併が進行中のパ・リーグだが、「今年が最後とかそういう気持ちは全くない」と強調していた。

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古田労組スト決議、合併なら決行も[ニッカン]

◇12球団結束、合併強行なら決行

労組・日本プロ野球選手会は10日、名古屋市のホテルで臨時大会を開き、オリックスと近鉄の合併が強行された場合、ストライキを決行する可能性があることを12球団一致で決議した。今後もこれまで同様、合併の1年間凍結、特別委員会の開催を要求していくが、あらゆる手段を講じてもオーナーサイドが強行突破を図った場合、今季中にストライキを敢行する。また、球団経営圧迫の大きな要因である人件費を抑えるため、選手会自ら、年俸カットにつながる策の提案も行った。

◇こわばる表情

臨時大会を終えて出てきた選手達の表情は、幾分こわばっているように見えた。扉の向こうで30人の選手と関係者は、大きな決断を下した。古田会長は「将来的に手段を尽くしても方法がない場合、そういう(ストの)可能性を否定しないことになった」と説明した。「個人的圧力のかかる可能性があるから」と具体的な手順については明かさなかったが、ストに至るまでの手続きをいつでも取れる形を整えた。

真剣さは各球団の選手会長からも伝わってきた。ヤクルト真中とダイエー松中は「最終手段としてストをやる覚悟はある」と言い切った。横浜の鈴木尚も「今回の問題はあまりにも大きいので、もしかしたら(ストが)起きてしまう…。そのぐらいの雰囲気もあった」と、選手間に流れる空気を説明した。古田会長も臨時大会に出られなかった球宴出場選手達に「ストがあるかもしれないというのは頭に入れておいてくれないか」と口頭で伝えた。実際に結構することが決まった訳でも、スト権が確立した訳でもないが、選手達が覚悟を決めたという事態の大きさが伝わってきた。

◇9・8以前に

松原事務局長はストを行うとしたら「(合併が)最終的に決まる前」という。だとすれば、9月8日のオーナー会議よりも前の段階でストに突入する可能性があることになる。今月15日と今月末に行われる選手会と機構側の事務折衝、そして同26日の12球団実行委員会の結果次第では最終手段へと流れが向うことになる。選手会側は「圧力があっても屈せずにやろうと覚悟を決めた」(松原事務局長)と断固たる姿勢で臨む。

ストの方法や時期について関係者は「給料の安い2軍は試合を続けて、1軍だけストをするという案もある」と指名ストの方法を取る可能性を示した。ファンへの配慮を十分に行った上でという考え方から、一部選手には「五輪期間中に休めばいい」という意見もある。また、選手会側の関係者は「1日でも2日でも、休んでじっくりやりましょうという発想もあるんです」と期限ストの可能性も明かした。

◇話し合い望む

ただし、初めにストありきではない。これまで主張してきたように、合併、球界再編の動きがあまりにも性急であること、現場の選手、ファン不在で物事が進められていることについて、聞く耳を持って欲しいだけだ。古田は言う。「本当に望んでいるのは話し合いなんです。ファンの目にも分かりやすい形でやって欲しい」。ストを行う覚悟は決めたが、できれば切りたくないカード。オーナーサイドが不誠実な対応を改めない限り、最悪の事態が起こりうる。

◇支援メール続々

ストライキ権の行使にはあくまで慎重を期す。松原選手会事務局長は「我々はストライキありきではない。ファンの後押しがあって、やるもの。手順を踏んでいきます」と説明。現在事務局には1日300通の支援メールなどが届いている。専門機関を通じ客観的にファンの意見を調査して世論に留意していくつもりだ。

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ミサンガ闘争

記者会見に臨んだ古田会長、立浪副会長の手首には12球団の球団カラーを織り込んだミサンガが着けられていた。ミサンガは南米産の手首飾り。お守りとして用いられ、日本ではJリーグの選手が試合に着けて臨み流行した。選手会では「ファンも選手もプロ野球界の一員」とのメッセージを込めて、臨時大会後のオールスター戦でも全選手が手首に着けてプレーした。

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2リーグ存続へ、全選手が“祈りのミサンガ”[スポニチ]

選手会が夢の球宴に2リーグ制存続の祈りを込めた。サンヨーオールスター第1戦が10日、ナゴヤドームで行われ、全選手が“祈りのミサンガ”を着用してプレー。近鉄、オリックス合併反対の強い決意を全国のファンに伝えた。試合前に名古屋市内のホテルで開かれた労働組合日本プロ野球選手会の臨時大会では、合併強行の場合にはスト権行使もあり得ることなどを決議。選手が合併阻止へ1つになった。

もう近鉄のユニホームで、この舞台に立つことはない。岩隈はグラブをはめた左手を見ていた。手首には、12色で彩られたミサンガがあった。「みんなに見えるように着けます。12球団の思いですから」。受ける城島も、打席に立った今岡の手首にも“祈りのミサンガ”が着けられている。球宴第1戦のプレーボール約5時間前、名古屋市内で開かれた選手会の臨時大会で、12球団のスター達に古田会長から提案があった。「今日からのオールスターで、みんなで12球団のカラーを折り込んだミサンガをつけよう」。説明はいらない。“全会一致”で決まった。近鉄・礒部会長、オリックス・三輪会長の胸には熱いものがこみ上げた。

前代未聞ともいえる球宴デモンストレーション。松原事務局長をはじめとする選手会事務局スタッフの発案だった。「12球団で揃って何かしたい。ヘルメットにシールを張ることも考えたが(スポンサー関係などで)問題はある。それならミサンガで」。5日に開かれた労使交渉の場で古田会長の了承を得て、事務局の女性スタッフらの手作りで、12球団のチームカラーを染めたミサンガを60個作り上げた。

選手会は6月13日の合併合意発表から一貫して合併阻止を主張している。労使交渉で特別委員会の招集や1年間凍結を提案したが、議論の対象にもされていない。手詰まりとなっている古田会長ら執行部の支えになっているのがプロ野球ファンの支持だ。12球団の選手が揃ってアピールするにはオールスターは最高の舞台だ。同じミサンガをはめることで“合併反対”の心の叫びをファンに届けたかった。

初回に岩隈の前に三振を喫した巨人ローズは「12球団が残って欲しい。このミサンガにその思いを込めるよ」と話し、古巣・ダイエーと西武との合併が有力視されている巨人・小久保も「ファンも選手も同じ野球界の仲間。みんながつながっているという思いを伝えたい」と語った。

試合後、労組選手会の立浪副会長は「ミサンガにするかどうか分からないが、後半戦でも何か考えたい」と球宴後も継続することを明かした。岩隈は勝利を飾った全パのベンチで「来年もセ、パのこういう形でオールスターをやりたい気持ちになりました」と言った。ファンと一体になった熱い思いは1リーグ制に突き進む経営者達に届くだろうか。

◇選手会臨時大会では

選手会は現行2リーグ制存続のための提案として、課徴金制度(ラグジュアリータックス)の導入を決議した。同制度は球団が選手に支払う年俸が一定のラインを超えた場合、超過分に「贅沢税」を課し、経営難の球団に還元しようというもの。選手が嫌がる年俸抑制につながることからできれば敬遠したい制度だが、2リーグ制維持のためには「痛みを伴う覚悟がある」(古田会長)という点を、経営者側とファンに示すために、決議に踏み切った。また現行協約で1億円以上の選手は30%以内とされている減額制限を、緩和することも決議した。

また、ストライキ権の行使については「ファンのことを考え、できればやりたくない」となお慎重な姿勢だが、今後経営者側との話し合いが不調に終わった場合には「ストライキを行う場合があり得ること」を全会一致で決議した。スト権確立の手続きについても話し合われ、12球団選手会が合意することをスト権確立の最低条件とすることで申し合わせたようだ。時期については未定ながら、1軍試合のみのストライキとする案など方法についても検討された。

臨時大会には、選手会に所属する12球団742人のうち582人(出席者30人、委任状提出者552人)が出席。あらためて特別委員会を招集することも決議され、早ければ12日にも経営者側に決議事項を通達することになった。

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外野スタンドも合併反対で一致[スポニチ]

各球団が独自の応援旗をなびかせる。チームカラーの法被を着ながら、心を1つにしてセ・リーグ、パ・リーグに分かれて応援する。1リーグ制移行となればオールスターの存続自体が難しくなる。ナゴヤドームのスタンドで阪神の私設応援団・嶋野浩副団長は悲しそうに話した。「このままいくと1リーグ制になってしまうのですかね。オールスターがなくなることは、ファンが選手を選んでやるお祭りがなくなってしまうことですよね」。

2リーグ制となっての2年目、1951年に始まった球宴は数々の伝説を生んだ。71年第1戦(西宮)での江夏の9者連続三振、78年第3戦(後楽園)の掛布の3打数連続本塁打…。ファンが選手を選び、その選手達が力と力の勝負を繰り広げてきた。それを応援する側も力が入る。オリックスの応援団の1人は「普段は敵であるメンバーが集まって声を張り上げる。どこの応援団にも負けたくない気持ちもあるし“応援大会”みたいなものですよ」と応援団の醍醐味を語った。

球宴での応援は、開催球場の応援団が指揮を執る。ナゴヤドームのこの日はセ・リーグが中日。パ・リーグ側は持ち回りでダイエーが行った。さらに応援団は各球団30人までと規制。試合前に2度会合を行い、トランペットの配置や応援歌詞カードの交換など、入念な打ち合わせを行った。そんな忙しさも球宴の楽しみの1つ。近鉄、オリックスの合併反対に関する署名も他球団の応援団が全面協力していくことで一致した。

だが、合併問題余波は応援団にも押し寄せていた。この日、巨人の応援団が球場にはいなかった。応援団の1人は「渡辺オーナーが球界を壊そうとしているのに、その球団を応援するから退席を願った」と説明する。祭りの陰で交差する応援団の複雑な思い。最後かもしれない球宴で12球団が揃わなかった。そこに合併が生む“球界のゆがみ”が表れていた。

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選手会臨時大会で“苦渋”の決議…「スト権行使」も[サンスポ]

プロ野球労組選手会の臨時大会が10日、名古屋市内のホテルで開かれ、最終手段としてのストライキ敢行の決議を行った。今後は事務折衝を重ねながら、ファンの署名活動に選手が積極的に参加して世論の賛同を求めていくが、経営者側が合併を強行する場合は、最終的な対抗措置としてスト権行使も辞さない構えだ。

スト権行使がファンの支持を得られるのか。選手から慎重論も出た。それでも経営者側の強行を引き止める方法はない。スト行使も辞さず−。出席者30人の意見は最後の最後でまとまった。「今後も特別委員会の開催など引き続き求めていきたい。それでも将来的に手段を尽くしても(合併阻止の)方法がないのであれば、ストの可能性は否定しないということで決議しました」。古田会長の遠回しの表現が苦渋の選択を意味していた。ストライキありきではない。これまで通り合併の1年延期、特別委員会の開催を求めるとともに「選手も痛みを伴う覚悟として、ぜいたく税の導入や高額年俸選手の減額制限の緩和を検討したい」(古田)と提案。いきなり刀を振りあげるのではなく、ストはあくまでも合併が強行されようとした場合の“切り札”である、がこの日の結論だった。

パ各球団の本拠地ではファンによる合併反対の署名活動が行われている。その署名に選手も積極的に参加することも決議。ファンと一体となり、反対の声を高めていく。「他の球団も立ち上がってくれないと。本音は(合併、1リーグに)反対の球団もあるんですから」(石渡選手会顧問弁護士)と草の根的な運動に取り組む方針だ。

その一方でスト権確立など行使までの手順は説明され、ストまでの道筋は作られた。今後は事務折衝が行われるが、合併が承認される9月8日のオーナー会議まで時間があるとはいえない。選手会が残した切り札に球団側がどう対応するか。それとも従来通り、突っぱねるのか。しばらくは労使の“駆け引き”が続く。

松原徹・選手会事務局長
「最後はストも辞さないことを全員一致で決議しただけでも、選手は大変な覚悟がいることです。署名運動に参加するほかにも、リサーチ会社に委託して、賛否の世論調査やパが仮に5球団で運営した場合、どれぐらいの赤字になるのか調べてみたい。」

◇選手会決議事項骨子

一、
球団名の命名権売買を1年間認め、来季の合併は凍結して議論や交渉を行う
一、
野球協約に基づく特別委員会の開催。開催されず合併決定の際はコミッショナーへの提訴などの法的手段を講じる
一、
手段を尽くさず来季からの合併が強行されようとした場合、最終手段として、ストライキを行う場合がありうる
一、
選手の年俸高騰への対応として、米大リーグの贅沢税の導入や高額年俸選手についての減額制限(1億1円以上の選手は30%)の緩和などの検討
一、
今回のような問題が今後生じないため、放映権、ドラフトなど多岐にわたる現行制度の見直し
一、
オープンな議論をするために、有識者なども含めた諮問機関としての「合併問題検討委員会(仮称)」の設置要求
ダイエー・松中信彦
「最終手段としてストライキをやる覚悟がある。(経営者側との)話し合いがなければ、12球団でストライキを一致団結してやろうということ。」
西武・和田一浩
「1リーグ制とかが嫌ということではなくて、話し合いがないから納得できない。ただ、ファンのことを考えるとストライキはしたくない。」
中日・井端弘和
「みんな意見は一緒と分かった。闘う姿勢を確認した。(臨時オーナー会議がある)9月8日までに話し合いをもってできることをやっていく。」
広島・西山秀二
「ストライキで脅すつもりはないが、話し合う場を与えず強行するなら、こちらも何らかの手段で対抗しないと。覚悟はある。いざというときは12球団で1つになる。」
ヤクルト・真中満
「(ストライキの)覚悟はできている。意見交換では、埒が明かない。やらない方がベストだけど、方法はほかにはない。全員一致です。」
横浜・鈴木尚典
「ストには慎重なことは慎重だったが、問題が問題だから…。本当に起きるかもしれないという空気があった。」
阪神・今岡誠
「要望を出して何も話が進まなければ(ストの)決意を固めようということ。早目に選手に伝えるつもり。(これらの問題は)僕は分かりませんという問題じゃない。」
オリックス・三輪隆
「12球団の一致団結が確認できてよかった。僕らはストライキをしたいという訳ではない。まずは議論の場を作って欲しいだけ。」
日本ハム・小笠原道大
「合併が本当に野球界のために発展していくのか。僕達は補償とかのために訴えている訳ではない。」
ロッテ・小坂誠
「これから球団がどうなるのか、たくさんの議論が出た。」
近鉄・礒部公一
「12球団で頑張ろうという気持ちを聞くことができて良かった。これまでは近鉄とオリックスだけという感じで話が先行していたので。」

◇巨人・上原、小久保も出席

巨人はプロ野球選手会副会長を務める高橋由に加え、上原、小久保の3人が出席した。球団のトップは、球界に強い影響力があり、球団合併を機に1リーグ制を視野に入れる渡辺オーナーだが、経営者側に話し合いの場を求めていく方針に同調。上原は「12球団一致団結です」ときっぱり。小久保も「(合併が)1、2ヶ月で勝手に決まっていいのか。賛成できないということを確認した」と話した。

◇12球団代表者会議で合併方針確認

オリックスと近鉄の合併問題を協議するセ、パ両リーグ12球団代表者会議が10日、ナゴヤドームで開かれ、従来通り合併を進めていく方針を確認した。選手会が同日の臨時大会でストライキの可能性を否定しない決議をしたことに、記者会見したセ・リーグの豊蔵一会長は「良識ある判断をされると思う」と自重を求めた。

選手会が要求している特別委員会の開催は合併の詳細が固まっていないことを理由に検討中とし、有識者ら第三者を含む合併検討委員会の設置には「球界内のことは自分達で結論を出す」(豊蔵会長)と否定的だった。今後は、9月8日の臨時オーナー会議に向け、実行委員会を含め、代表者の集まりを数回開催していくことも決まった。

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12色のミサンガで合併阻止へ無言の抵抗[サンスポ]

今年もまた、お祭りの季節がやってきた。年に1度の夢の球宴。しかし…。ナゴヤドームでの第1戦は、明らかにいつもとは違う球宴だった。見た目に、それははっきりとしていた。参加した選手の手首に見慣れないものが…。オレンジ、青、黒、赤、黄色といった各チームのカラーを織り込んだ12色のミサンガ。合併阻止への無言の抵抗だった。

球宴開始の6時間前。名古屋市内のホテルで、球宴組を中心に約30人が出席し、選手会の臨時大会が開かれた。約2時間の会議では、合併阻止のため将来的なストの可能性も含めた手続きを決議する一方、今年の球宴で、選手が特製ミサンガを身につけてプレーすることが発表された。「12球団という意味と、みんなの団結を表しています」とは西武・和田。巨人・小久保は「ファンも、選手も野球界の一員という気持ちが込められたミサンガ。来年も同じチーム数でこの場に立つことを願っています」と選手の気持ちを代弁した。

選手やファンの存在を無視して進む球界再編。「“たかが選手”っていうのは、力のある立場の人の発言とは、とても思えない」。選手会理事長の中日・立浪は、数日前に巨人・渡辺オーナーの発した言葉への憤りを隠さなかった。スト決行について、ヤクルト・真中は「2軍の選手は2軍の試合をやりながらでもいいんじゃないか」と低額年俸の選手を思いやりながらも、賛成の意思表示。「野球人気は低迷しているって言われているけど、オールスターを見た小・中学生に少しでも、面白さを分かってもらえたら…」。日本新記録の160キロ越えを“予告”するヤクルト・五十嵐の言葉には、そんな切実な思いが込められた。

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選手が合併反対ミサンガを着用[報知]

オールスター戦出場選手が、12球団の球団カラーを織り込んだミサンガを着用した。「ファンも選手もプロ野球界の一員です」という合併反対のメッセージを込めたもので、2戦目も着用する。また、この日の臨時大会では、近鉄・オリックスの合併反対へ向けたファンの署名活動を、選手もサポートしていくことが話し合われた。「やる方向です。ファンの手伝いで、積極的にプロ選手も参加していこうということ」と松原事務局長は話し、ファンを対象にした合併問題に関するアンケート調査もするプランも上がっている。

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合併強行ならスト[報知]

◇選手会・古田会長決意

日本プロ野球選手会の臨時大会が10日、名古屋市内のホテルで開かれ、近鉄・オリックスの合併が強行された場合、最終手段としてストライキを行う可能性があることを全会一致で決議した。合併は9月8日の臨時オーナー会議で承認される見通しだけに、合併問題の進行状況次第では、8月中のストも考えられる状況となってきた。

近鉄・オリックスの合併阻止へ、選手会が最後の切り札を使う決意を固めた。合併が正式に決まった場合には、最終手段としてストライキを行う場合がありうることを、全会一致で決議したのだ。「将来的に方法がない場合、そういう可能性を否定しないということ。スト権を確立したのではなく、粘り強くファンに配慮しながら、検討していく用意はあります」と、古田会長はストライキを行う可能性があることを仄めかした。

この日はスト権の確立、行使については決めなかったが、ストへ向けた手続きに関しては、出席者に対して説明があった。選手会の山崎卓也顧問弁護士は「ストをやるということではない。手段としてありうるということ。どうしようもなくなった時のことを考えての手続きを用意した」と説明。いつでも行使できるように準備は整えている。

時期について古田会長は「具体的に上がっていません」と話し、選手会の松原徹事務局長は「最終的に決まる時期の前だが、時期を考えると複雑になる」と明言を避けた。しかし、近鉄・オリックスの合併に関しては、7日のオーナー会議で大筋の了承が得られており、両球団の調整が進めば9月8日の臨時オーナー会議で承認される見通し。合併の進行状況によっては、早ければ8月中にもスト権を行使することもあり得る。

「合併はしようがない、というところまで議論を尽くさなくてはいけないと思う」と古田会長は話し、あくまでも話し合いの場を求めていくことを強調した。この日は30人が出席し、552選手の委任状が提出されたが、会長に全てが委ねられることも確認された。「全員で闘っていこう、という意思確認は取った」と古田会長。日本球界初のスト行使になるのかどうか、最後のカードを切るタイミングは、会長にかかっている。

◇王監督ストに反論「妥協点探して」

ストも辞さない選手会の態度に、ダイエー・王貞治監督が真っ向から反論した。ナゴヤドームでの試合前に「大リーグもストライキに入ってファンが離れただろ。勘違いしてはいけないのは、選手と経営者は同格と思ってはいけない。昔から労組の問題はあるが、元々相いれないもの」と苦言を呈し、ストへの動きをいさめた。ダイエーも本社の経営難から売却の噂は絶えず、合併問題でも名前が挙がっている。それでも指揮官は「このまま行けば平行線をたどる。どこまでお互いに歩み寄れるかだよ」と、妥協点を見いだすことを求めた。

現役時代に労組選手会の会長を務めた阪神・岡田彰布監督も、王監督と同意見だ。「一般的なストライキは賃金アップが目的。(合併などの)やり方に反論するストライキはない。選手の雇用や裏方の保障などを考えるべき」と、現実的な対応を求めた。経営難を招いた年俸高騰の原因について「球団もFA権を取得する前に複数年を結んだりするから」と、球団側の問題も指摘した。

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選手会「12球団で闘う覚悟決めた」[ニッカン]

労働組合・日本プロ野球選手会は10日の臨時大会で、オリックスと近鉄の合併に反対することで一致し、ストライキの可能性を否定しないことを決めた。

松原徹事務局長
「ストをやる可能性もあるぞということ。闘う覚悟を決めたということです。とてつもなく大きな壁(経営者側)に向かっていくのだから、選手会も1つに、がっちりとまとまっていかなければいけない。」
広島・西山秀二選手会長
「ストライキで脅すつもりはないが、話し合う場を与えず強行するなら、こちらも何らかの手段で対抗しないと。準備はきちっとしたし、覚悟はある。いざというときは12球団で1つになる。」
中日・井端弘和選手会長
「みんな意見は一緒と分かった。闘う姿勢を確認した。(臨時オーナー会議がある)9月8日までには話し合いをもって、ストライキの前にできることをやっていく。」
ヤクルト・真中満選手会長
「(ストライキの)覚悟はできてますよ。意見交換では、埒が明かない。やらない方がベストだけど、方法はほかにはない。全員一致です。」
横浜・鈴木尚典選手会長
「ストには慎重なことは慎重だったが、問題が問題だから…。本当に起きるかもしれないという空気があった。」
ダイエー・松中信彦選手会長
「最終手段としてストライキをやる覚悟がある。(経営者側との)話し合いがなければ、12球団でストライキを一致団結してやろうということ。」
西武・和田一浩選手会長
「1リーグ制とかが嫌ということではなくて、話し合いがないから納得できない。ただ、ファンのことを考えるとストライキはしたくない。」

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ストの可能性否定せず、選手会臨時大会[ニッカン]

労働組合・日本プロ野球選手会の臨時大会が10日、名古屋市内のホテルで開かれ、オリックスと近鉄の合併に反対することで一致し、ストライキの可能性を否定しないことを決めた。古田会長は「色々な手段として、ストライキの可能性を否定しない決議をした。合併を急ぎ過ぎる。もう少し時間をかけて十分な議論をして欲しい。粘り強くやっていきたい」と話した。ただ、スト権を確立した訳ではなく、スト権行使についてもあくまでも最終的な手段としている。

また、9日に12球団代表者との意見交換会で提案した

(1)
合併案の1年間の先送り
(2)
選手契約などを検討する特別委員会が開催されなかった場合のコミッショナーへの提訴
(3)
有識者ら第3者を含む「合併問題検討委員会」の設置

のほか、新しく

(4)
高額年俸選手についての減額制限の緩和を検討する

ことを全会一致で決めた。

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選手会臨時大会での決議事項骨子[ニッカン]

10日に開かれた労働組合・日本プロ野球選手会の臨時大会で決議された主な事項は以下の通り。

一、
球団名の命名権売買を1年間認め、来季の合併は凍結して議論や交渉を行う
一、
野球協約に基づく特別委員会の開催。開催されず合併決定の際はコミッショナーへの提訴などの法的手段を講じる
一、
手段を尽くさず来季からの合併が強行されようとした場合、最終手段として、ストライキを行う場合がありうる
一、
選手の年俸高騰への対応として、米大リーグの贅沢税の導入や高額年俸選手についての減額制限の緩和などの検討
一、
今回のような問題が今後生じないため、放映権、ドラフトなど多岐にわたる現行制度の見直し
一、
オープンな議論をするために、有識者なども含めた諮問機関としての「合併問題検討委員会(仮称)」の設置要求

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12球団代表者が、選手会にスト自重求める[ニッカン]

12球団代表者会議が10日、オールスターゲーム第1戦が行われているナゴヤドームで行われ、選手会のストライキについて、自重を求める考えで一致した。記者会見したセ・リーグの豊蔵一会長は「良識ある判断をされると思う」と話した。また、オリックスと近鉄の合併問題は、従来通り合併を進めていく方針を確認。選手会が要求している特別委員会の開催は合併の詳細が固まっていないことを理由に検討中とし、有識者ら第三者を含む合併検討委員会の設置には「球界内のことは自分達で結論を出す」(豊蔵会長)と否定的な見解を示した。

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球宴指揮官は自制求める

球宴を指揮したセ、パの監督が、選手会にストライキは避けるべきとアドバイスした。ダイエー王監督は「ストは避けた方がいい。大リーグでもストでファン離れが進んだ」と話した。同監督は球界再編問題で徹底した議論を求めてきただ「話し合いを要求するのは分かるが、勘違いしてはいけないのは(選手会側と経営陣側が)同格と思ってはいけない。互いに立場が違う」。

また現役時代に選手会長の経験がある阪神岡田監督は、試合前に古田と“グラウンド会談”。「ストなんて、なかなかできんぞ」と忠告し「選手会ができることは雇用問題に力をそそぐこと」と助言した。

仰木氏
「プロ野球が少しでも皆さんの共感を得るようになればと思います。発端がオリックスと近鉄というのはねえ。複雑さと寂しさを感じている。」

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上原ら巨人ナインも「12球団一致団結」[ニッカン]

巨人ナインも12球団共闘の姿勢を見せた。選手会臨時大会に出席した上原は「球界のためには、12球団でやるのが1番いい」。報道陣の「この日、決まったことは」という質問には「12球団一致団結です」と言い切った。また小久保はストライキについて「可能性はあるということを了承した」と、最悪の事態に発展することも受け止めた。試合前にはミサンガを着け「ファンも選手も野球界の一員なんです。つながっていますよ」と団結力を強調。球界再編は巨人渡辺オーナーが推進しており、立場上、難しい中での発言だけに選手の団結ぶりを感じさせた。

◇渡辺オーナーを立浪が批判

労組選手会副会長の中日立浪が、巨人渡辺オーナーに噛みついた。臨時大会後に「渡辺オーナーが『たかが選手が』と言っていましたよね。力があるのは分かりますが、そういう人の発言ではない。人の上に立つ人の言葉ではない」と批判した。1リーグ制移行を急ぐことにも「話し合いの場を設けてもらうのが先決。それができなければ、覚悟はできている」と、ストライキも辞さずの姿勢を見せた。

◇ウイニングランも

オリックス選手会長の三輪は、シーズン後半からウイニングランを行う考えを明かした。外野で全員で出向き帽子を取って挨拶する。「身近なファンに対して感謝を表したい」。今月11日に神戸で1軍、2軍ナインを集め合併に対するミーティングを行う。

礒部・近鉄選手会長
「12球団で頑張ろうという気持ちを聞くことができてよかった。これまでは近鉄とオリックスだけでという感じで話が先行していたので。」
和田・西武選手会長
「すぐ決行という訳じゃないけど、状況になった場合、ストもということ。話し合いの場を持って欲しいし、時間が早すぎる。特別委員会もあるし、ファンへの情報開示とか。最悪そこ(9月8日臨時オーナー会議)で決まってしまうかも知れないし、その前にやっていかないと。(西武では)上の選手には15日に、2軍も調整をつけて話したい。署名の参加があるかも知れない。」
小笠原・日本ハム選手会長
「スト?決まったということではなく可能性はあるますよ、という話だった。日本ハムの選手にも説明して、理解してもらう。まずは話し合いの場を設けてもらいたい、ということ。あまりに選手会の声を聞かず上だけで決めてしまう流れがある。」
小坂・ロッテ選手会長
「これから球界がどうなるのか、色々と議論できました。ファームにも話をしようと思います。今までも、これからも、選手会というもので協力していかなければならないですから。そして、あとはプレーに集中するだけです。」
井端・中日選手会長
「みんな意見は一緒と分かった。戦う姿勢を確認した。(臨時オーナー会議がある)9月8日までには話し合いを持ち、ストライキの前にできることをやっていく。」
松中・ダイエー選手会長
「最終手段としてストライキをやる覚悟がある。(経営者側と)話し合いがなければ12球団でストライキを一致団結してやろうということ。」
西山・広島選手会長
「選手会としては、高年俸が赤字の要因なら、減額制限の緩和など出せる案はある。ただ、今の段階では交渉も何もない。ストライキをしたい訳じゃなく、せめて話し合いをして欲しい。」
真中・ヤクルト選手会長
「スト?覚悟はできています。(合併は)球団が減って仕事場がなくなるとかではなく、純粋にいいことなのか?給料は下がってもいいです。」

◇選手会決議内容

(1)
球団名の命名権売買を1年間認め、来シーズンの合併は凍結して、合併が将来の野球界にとってベストがどうかの論議・交渉を1年かけて行い、その結果合併以外の選択肢が現実的でないと判断された場合に限り、選手会は合併を承認するという方針で引き続き活動していくこと
(2)
上記合併承認に至る手続としては、野球協約第19条の特別委員会を開催すべきこと。開催せずに合併を決定するときは、決定手続の違法を争うため、野球協約第188条のコミッショナーへの提訴などといった法的手段を講じること
(3)
あらゆる手段を尽くしても来シーズンからの合併が強行されようとした場合、最終手段として、ファンへの配慮を十分行った上でストライキを行う場合がありうること
(4)
選手の年俸高騰への対応として、米国メジャーリーグで取り入れられている、贅沢税(Luxury Tax)の導入、高額年俸選手についての減額制限の緩和なども積極的に検討していくこと
(5)
今回のような問題が今後再び生じないようにするために、一部の球団のみに戦力と資金が集中している現行制度を見直すこと。具体的には、選手会がこれまで提案してきた諸制度(ドラフトの完全ウェーバー化、FA補償金の撤廃、新規参入球団に対する高額な加盟金の見直しなど。その他別紙参照)の他、他のプロスポーツでも取り入れられているテレビ放映権の一括管理方式、球団の経営状態をチェックする経営諮問方式などを提案していくこと
(6)
プロ野球のあり方について、オープンな議論をしていくために、引き続き球団側には有識者なども含めた諮問機関としての「合併問題検討委員会(仮称)」の設置を要求すること(なお、選手会としても、従来から行ってきた「プロ野球の明日を考える会」を、臨時にシーズン中に開催する方向で準備する)

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12球団代表は取り合わず[ニッカン]

◇代表者会議も開催

球団代表は、選手会の決議を取り合わなかった。選手会臨時大会後、12球団代表者会議がナゴヤドームで行われた。選手会の決議事項はファックスで送付された。記者会見した豊蔵一セ・リーグ会長は、選手会にスト権行使の可能性があることに「気持ちは分かるが良識ある対応をされると思う」と語るにとどまった。

この日の会議は、7日オーナー会議、前日9日選手会と球団代表の意見交換会の報告が中心になった。選手会がオリックスと近鉄の合併先送りを求めていることについて「両球団ともプロセスを経て、考えに考えて結論を出したことなので凍結はできない。ぜひ進めたいという強い意思表明があった」と明かした。

さらに、実行委員会議長の豊蔵会長に権限がある特別委員会の招集要望に関しても「検討中。開く、開かないとも言っていない」と話すにとどまった。第3者を含めた検討委員会の設置に対しては「球界内部の問題、自分達のことは自分達で結論を出していきたいということだった」。平行線は続きそうだ。

◇阪神社長は決議理解

阪神野崎球団社長は、選手会のスト権行使に関する決議の内容を前向きに受け止めた。「スト権の確立はしなかった。手を尽くして、という手順がある。温和な方法だ。それについては、よかったと評価している」と話した。代表者会議では、同社長が否定的だった3軍制の話題も上がったが「西武星野代表から例えばの話で聞いた。なるほど、そういうことかと思った。お互いによく考えていこうということ」と理解を示した。

◇楽天会長、野球選ばず「よかった」

インターネット商店街運営の楽天の三木谷浩史会長兼社長はこの日、都内で会見し、球界再編に絡む論争に「プロ野球には関心はありません。サッカーを選んでよかった」と感想を漏らした。サッカーJリーグ神戸のオーナーに2月に就いたばかりだが、ネットビジネスの僚友「ライブドア」が近鉄球団の買収を提案したものの、球界から完全に無視された現実にショックを受けた様子。「(プロ野球は)ややこしくて、かかわりたくないですね」と苦笑いしていた。

◇大阪府知事から“警鐘”

近鉄ファンで知られる大阪府太田房江知事が、球団オーナーと選手会の対立が深まっている現状を憂えた。この日は高校野球大阪大会の始球式に登板したが、プロ野球のことが気になる様子で「ファンをシラけさせるのが1番いけない。オーナー会議はファンの声に耳を傾けるべきだ」と警鐘を鳴らした。

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年俸大幅カット覚悟[報知]

◇合併阻止へ選手も痛み

10日、名古屋市内で行われた日本プロ野球選手会の臨時大会では、贅沢税の導入、高額年俸選手についての減額制限緩和を検討していくことも決議された。年俸高騰が球団経営を圧迫している、と唱える経営者がほとんど。そこで、選手会でもメジャーで導入されているぜいたく税を検討しては、という意見が出た。メジャーの課徴金制度は球団の年俸総額によって、定められた額を超えた分に対して税をかけ、徴収した税を機構がプールするシステム。「全体でそういうことを考えてもいい、ということ」と古田は話した。また、高額年俸選手の年俸減額には「我々も痛みを伴う覚悟がある。経営者も苦しいからというのではなく、チームを減らさないよう検討してほしい。できることはやっていきたい」と古田も身を削っていく覚悟を披露した。

選手会の決議を伝え聞いた阪神・野崎勝義球団社長は「贅沢税は1つの考え方だと思う。いろんなことで球団経営は困っているので。日本でどういうものが導入できるか、システムの改善も図っていかないと」と話し、選手会に同調する姿勢も見せていた。

◇選手会臨時大会の決議事項

(1)
球団名の命名権(ネーミングライツ)を1年間認め、来シーズンの合併を凍結して、議論・交渉を行う。
(2)
野球協約第19条にある特別委員会の開催を要求。開催なく合併の場合は、野球協約第188条のコミッショナーへの提訴など法的手段を講じる。
(3)
来季からの合併が強行された場合、最終手段としてファンへの配慮を十分行った上でストライキを行う場合がありうること。
(4)
選手年俸の高騰への対応として、メジャーリーグで取り入れられている贅沢税の導入、高額年俸選手についての減額制限の緩和なども積極的に検討。
(5)
FA補償金の撤廃、新規参入球団に対する加盟金の見直し、テレビ放映権の一括管理方式、球団の経営状態をチェックする経営諮問方式を提案していく。
(6)
有識者などを含めた諮問機関としての「合併問題検討委員会(仮称)」の設置を要求。

◇1億円超えは現行30%まで

野球協約第92条(参稼報酬の減額制限)
次年度選手契約が締結される場合、選手のその年度の参稼報酬の金額から左記のパーセンテージを超えて減額されることはない。ただし、選手の同意があればこの限りではない。その年度の参稼報酬の金額とは統一契約書に明記された金額であって、出場選手追加参稼報酬または試合分配金を含まない。
(1)
選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円を超えている場合、30パーセントまでとする。
(2)
選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円以下の場合、25パーセントまでとする。

◇「第三者機関設置」拒否へ

12球団の代表者会議が10日、ナゴヤドーム内の会議室で開かれた。7日のオーナー会議、9日の選手会との意見交換会で話し合われた議題について議論した。選手会側は「ファンの声を聞き入れるため」として、有識者、ファンによる第三者機関の設置を求めていたが、会見に臨んだセ・リーグの豊蔵一会長(実行委員会議長)は「球界内部のことは我々が知恵を絞っていくべき。現段階では、自分達のことは自分達で結論を出したい」と拒否する方針を示した。

オーナー会議では西武・堤オーナーが「3軍制構想」をぶち上げたが、これについて同球団の星野代表が説明し、問題点などについて整理。「選手の中には合併により縮小イメージがあるが、3軍を置くことで裾野が広がる」との声が出たという。選手会側が合併の凍結を求めていることも報告されたが、近鉄、オリックス両球団から改めてここに至った経緯、合併推進を求める発言があった。また、9月8日に予定されている臨時オーナー会議までに3、4度の代表者会議を開催すること、そのうち1度を臨時実行委員会として合併の具体案を煮詰めていくことになった。

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選手会、年俸大幅カットも覚悟[ニッカン]

◇球界構造改革へ選手も痛み耐える!!

給料を下げても構わない。最終手段としてストライキの可能性を決議した選手会臨時大会では、球界の在り方を見直す提案も外部に向けた行った。高額年俸選手の減額制限緩和を積極的に検討し、球団経営を圧迫する人件費抑制に協力する姿勢を打ち出した。一方で贅沢税の導入、テレビ放送権の一括管理、Jリーグで導入されている経営諮問方式など、構造改革のための提案を行った。

◇経営理解

選手会は選手自らもリスクを背負う“妥協案”を検討することで一致した。「球団経営が厳しいのは理解している」とした上で、独自の改革案を検討。選手の年俸高騰で球団経営を圧迫している人件費(選手年俸)抑制の対応策を初めて具体的に示した。

まず高額年俸選手についての減額制限の緩和だ。現在、野球協約第92条「参稼報酬の減額制度」には、年俸1億円を超えている場合は30%、1億円以下の場合は25%までとする、とある。選手の同意があればこの限りではないが、この減額幅を見直す用意がある姿勢を見せた。減額幅が拡大すれば高額年俸の選手が年俸を大幅カットされることも出てくる。それも覚悟の上の提案だ。

そして大リーグで導入されている「贅沢税」の採用を挙げた。「贅沢税」とは年俸高騰に歯止めをかけ、球団間の戦力均等を目的とした制度。年俸総額はシーズン終了時の出来高払いなどを入れて算出し、複数年契約に関しては1年当たりの平均で採用している。この制度を導入すると各球団は選手へ支払う年俸総額を抑えるようになり、事実上の年俸カットになる。

◇険しい道

古田選手会長は「(経営者とともに)我々も痛みを負う覚悟はあります」と強調した。さらに球界改革のため、これまで提案してきた諸制度(ドラフトの完全ウエーバー化、FA補償金の撤廃、新規参入球団に対する高額な加盟金の見直し)のほか、サッカーJリーグで導入しているテレビ放送権の一括管理や、赤字といわれる球団の会計帳簿を開示してもらい球団の経営状況をチェックする諮問方式の採用を経営者側へ提案することを決議した。

選手会が発表した決議文では「一部の球団のみに戦力と資金が集中している」と、プロ野球の構造的な欠陥を指摘した。そのため多くの球団が経営困難に陥り、合併、1リーグに走らざるを得なかったとの認識がある。テレビ放送権の一括管理に猛反対している巨人渡辺オーナーを筆頭に拒絶反応が予想され、問題解決の道は険しい。しかし選手自ら、給料を下げてでも話し合いのテーブルに着いて欲しい、とメッセージを発したことの意味は大きい。

◇93年以降の年俸推移

年度12球団総額総額1位球団12球団平均最高年俸選手1億円以上
93年151億9403万円西武19億0490万円1963万円落合(中)2億8000万円18人
94年181億1240万円西武23億2110万円2355万円落合(巨)3億8000万円29人
95年205億9949万円巨人26億9494万円2700万円落合(巨)3億8000万円43人
96年210億1352万円巨人26億1344万円2787万円落合(巨)3億8000万円42人
97年216億0927万円巨人27億1264万円2908万円清原(巨)3億6000万円47人
98年226億1335万円巨人27億7854万円3060万円イチロー(オ)4億3000万円51人
99年235億5785万円巨人30億1782万円3218万円イチロー(オ)5億円57人
佐々木(横)5億円
00年238億7146万円巨人35億4731万円3284万円イチロー(オ)5億3000万円60人
01年248億7605万円巨人41億1577万円3389万円松井(巨)4億円63人
02年255億3031万円巨人38億6085万円3455万円松井(巨)6億1000万円63人
03年262億0086万円巨人37億0328万円3512万円中村(近)5億円62人
04年285億7619万円巨人40億2820万円3805万円中村(近)5億円74人
佐々木(横)5億円

[注]選手会発表。外国人選手は除く。最高年俸選手、金額は推定。93年オフからFA制導入。

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楽天三木谷社長「プロ野球に関心ない」[ニッカン]

インターネット商店街運営の楽天の三木谷浩史会長兼社長はこの日、都内で記者会見し、球界再編に絡む論争に「プロ野球には関心ありません。サッカーを選んで良かった」と感想をもらした。サッカーJリーグ・神戸のオーナーに2月に就いたばかりだが、ネットビジネスの僚友「ライブドア」が、近鉄球団の買収を提案したものの、球界から完全に無視された現実にショックを受けた様子。「(プロ野球は)ややこしくて、かかわりたくないですね」と、苦笑いしていた。

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