3位に浮上したバレンタイン監督は、24日からの4位・日本ハム戦に向け「順位はシーズン終了まで意味のないもの」と平常心。初戦先発は、4月に右足首を骨折して出遅れた加藤。復帰即先発となった12日の近鉄戦は6回途中まで4失点で「前回は中盤以降、立ち直れたので納得しています。あの時よりさらに調子は上がっていますよ」と、プレーオフ出場へのライバル叩きに気合十分だ。
球界再編の焦点となっている“もう1組の合併”が、次回の実行委員会が開かれる今月30日までに具体的展開をみせる可能性が出てきた。12球団の理事が集まった代表者会議では、パ・リーグ側から、オリックス、近鉄に続く合併の進捗状況の説明が行われた。
会見で議長の豊蔵セ・リーグ会長は「もうしばらく時間を(パ・リーグに)貸して欲しい。8月30日の実行委員会で提示するよう努力するということだった」と、合併球団から何らかの意思表示が必要であるとの認識を示した。
ロッテ瀬戸山球団代表も「僕が答える筋合いではないが、もし具体的になってくれば、そういう説明がどこかからあるかもしれない」と意味深。オリックス小泉球団社長は「水面下で粛々と進めているという話があった」と語るなど、水面下でもう1組が蠢いているのは間違いない。
今月16日、セ・リーグが新たな動きをみせないパ・リーグにオーナー会議が開催される9月8日をリミットとする最終通告を下した。この日も阪神野崎球団社長は「パ側からはオーナー会議を遅らせて欲しいという話もあったが、根来コミッショナーが(従来通りで)妥当だろうと整備された。(2リーグ維持を主張する)私としては、いい方向にいっているという印象」と話し、9・8決着の基本線が再確認された。ただ、実質的にはオーナー会議前の「8・30」がもう1組の合併の組み合わせを具体化させる限界であるという認識で一致。「(西武、ダイエー、ロッテ、日本ハムの)4球団で一生懸命に詰めている」と豊蔵会長。不退転の決意を持って水面下で動く新たな合併が浮上するか否かが、球界再編の行方を大きく左右するだけに、注目の「8・30」となる。
12球団代表者会議を終えたダイエー佐藤賢二球団代表は、もう1組の合併が9月8日のオーナー会議までに成立しなかった場合は、パ・リーグ崩壊もあり得るとの見解を示した。「パは6球団でやっても赤字なんですよ。(パ6球団で1年間に)150億円の赤字を垂れ流している。それが5球団になると、それではきかない。すでに6球団でも成り立っていないんですから。(パ・リーグは)とんでもないことになる。ギブアップですよ」と話した。
この日の会議では9月8日のオーナー会議が新たな合併球団のタイムリミットとされた。それまでに何らかの動きが出ない場合、来季の10球団1リーグ制移行は厳しい状況だ。佐藤代表は「5球団では苦しい。だから4球団になって(1リーグ制を)お願いしないといけない。パが存在し得るか、し得ないかの問題。(もう1組の合併は)トップが決めることだから、我々はそれがあると信じてやるしかない」と、あくまで1リーグ制を目指す覚悟だが、パ5球団での2リーグ制となればパ・リーグ消滅、もしくは赤字球団が解散に追い込まれる可能性すら示した。
根来泰周コミッショナーはこの日、「日程が決まっているのだからきちっと決めてやるべきだ」と9月8日決着への決意を語った。同コミッショナーは「1リーグだというのは誰も言ってない。11チームならば2リーグ。10チームなら1リーグを検討する。8チームなら1リーグも仕方がない、というのがオーナー会議の合意事項」と原則論を確認した上で「10チームになっても色々選択肢があるということを考えて提案したい」という意向を示した。もう1つの合併について「選手諸君も混乱している」と、引き延ばすことの弊害を強調し、「(結論を)いつまでというより、スカウト活動も始まる。常識的に考えにゃいかん」と話した。
労組プロ野球選手会と日本プロ野球組織(NPB)の代表者による協議交渉委員会と、球界再編などを話し合う12球団代表者会議が23日、行われた。選手会側が求める特別委員会については、球団側は開催しないことを決め、代替の委員会を26日に開催することを提案した。選手会側は強く反発し、アテネ五輪に参加している各球団の選手会長らが帰国後「選手指名ストライキ」などを具体的に検討する。12球団会議では、パ・リーグ側が30日の実行委員会で「新たな合併」の具体的な報告をすることを明言した。
労組プロ野球選手会の古田会長はこの日夜、遠征先の広島で「特別委員会開催されず」の知らせを聞き表情を曇らせ「ひどいね。予想していたよりもひどい。協約に書いてあることなのに、なんで開催されないのか説明して欲しい」と話した。提案された「オリックス・近鉄統合に関する委員会」は議決権はない。古田会長は「議決をしたら合併がなくなると自分達で認めているようなもの。おかしいよね」と首を振った。
設定された26日午前の期日にしても広島戦のため、広島に滞在中。「出席?物理的に無理だと思う」と話した。選手会としては24日にも、抗議を申し入れ、労働法に基づきすでに準備をすすめているコミッショナー、また裁判所への提訴の手続きを、今後1週間以内に取ることになりそうだ。
古田会長はこの日午前に行われた協議交渉委員会に出席。「(特別委員会を)やるか、やらないかどっちかです。似たようなものはいらない」と、はっきり言っていた。さらに、選手会側は席上、性急な球界再編の動きを凍結せず、十分な論議を尽くさない場合、ストライキ権を行使することを、あらためて通告した。同委員会に出席していた関係者によると、選手会側から、ストライキ権行使の方法として「指名スト」「地域限定スト」などが示されたという。
特別委員会が開催されないことで、合併が承認され正式決定する9月8日のオーナー会議を契機に、ストライキに突入する可能性も高まった。スト権は全組合員の賛否を問う無記名投票で、すでに高率で確立されている。行使については、古田会長と各球団の選手会長の計13人で最終決定されるのよう。そのうち数人がアテネ五輪に出場中なこともあり、古田会長は「(27日の)帰国を待って、再び意見の集約を行うが、選手会としても主張は変わらない」と話した。事態が変わらなければ、9月8日以降、有力選手がグラウンドに姿を見せないことになりかねない。
この日の12球団代表者会議は、特別委員会についての話し合いに移ったとき、実行委員会に切り替えられた。そこで、実行委員会議長で特別委員会の招集権を持っている豊蔵セ・リーグ会長が、出席者から一任を取り付けて「開催しない」の結論を出した。
広島など2、3の球団は特別委員会の開催を認める考えも示していた。しかし同会長は、必要なしと判断した。「球団の合併・統合は経営にかかわるもので、個別の選手契約に関するものではない」と、理由を説明した。その一方で、特別委員会に代わる場として「オリックス・近鉄の統合に関する委員会」(仮称)の開催を全会一致で決定した。
「選手会の意見を幅広く聞きたい」(豊蔵会長)と決めたもので、構成メンバーは特別委員会と同じになる。両連盟会長、球団代表委員各2人、選手代表委員各2人の計10人。選手会が強く招集を求めた特別委員会は開かないものの、理解を求める場はつくりますという委員会だ。しかし、特別委員会と違い、議決権は持たない。
阪神久万オーナーは球界再編の動向に静観の構えをみせた。12球団代表者会議後、野崎球団社長から電話で報告を受けた。注目される新合併の成否には「心配しないでいい。(合併が)あればあったで対応できるし、無くてもできる」といなした。特別委員会の開催を蹴った選手会への対応にも「別に違う形で(労使)交渉はできるのだから、特別委員会に拘る問題ではない」と指摘した。
竹中平蔵金融・経済相と、シダックスの野村克也GM兼監督がこの日、民放テレビ番組収録で顔合わせ。再編問題をテーマに討論し、野村監督は「(シダックスの)志太勤会長の尻を叩いている。シダックスだったらOKするんじゃないか」と述べ、パ・リーグへの参入を促していることを明らかにした。野村監督は「志太さんは静岡出身だから、(私は)静岡の草薙球場を本拠地にやりましょうよと言っている」と、付け加えた。
一方、竹中金融相は「プロ野球という産業がピンチを迎えている」と指摘。「いったん10球団に減らした上で、3年後に入札で2球団の参入を認めるというのはどうか」と、一野球ファンとしてアイデアを披露した。
各界著名人約70人が発起人となり、ファンの立場から野球界の未来像を発信するための「野球の未来を創る会」の発足発表が23日、都内のホテルで行われた。発起人の1人でジャーナリストの鳥越俊太郎氏は「巨人が栄えれば野球は栄えるという考え方は行き詰まっているのでは」と指摘。方針として、球団数の減少と急速な1リーグ制移行への反対、有力球団主導をあらため地域の結びつきを重視しながら、新たにフランチャイズを増やして野球文化を育む仕組みの実現を提案した。今後もファンの声を集め、球界に発信していく。
巨人桃井恒和球団社長は23日、東京・神田の球団事務所で、インターネット関連サービス、ライブドア(堀江貴文社長)から新球団設立への挨拶状が、同社長と滝鼻オーナー宛に届いていたことを明かした。「挨拶が中心でした。こっちからどうしようという文面ではない。この間の発表内容だと話をしてもしようがないと思っていますから」と話し、従来通り球団としては静観する姿勢を強調していた。ライブドアからの挨拶状は、巨人だけでなくセ・パ各球団に届いているという。中日、横浜などは「話はうかがう」という姿勢を示している。
23日の12球団代表者会議は、特別委員会についての話し合いに移ったとき、実行委員会に切り替えられた。そこで、実行委員会議長で特別委員会の招集権を持つ豊蔵セ・リーグ会長が、出席者から一任を取り付けて「開催しない」の結論を出した。
広島など2、3の球団は特別委員会の開催を認める考えも示していた。しかし同会長は、必要なしと判断した。「球団の合併・統合は経営にかかわるもので、個別の選手契約に関するものではない」と、理由を説明した。その一方で、特別委員会に代わる場として「近鉄・オリックスの統合に関する委員会」(仮称)の開催を全会一致で決定した。「選手会の意見を幅広く聞きたい」(豊蔵会長)と決めたもので、構成メンバーは特別委員会と同じになる。両連盟会長、球団代表委員各2人、選手代表委員各2人の計10人。選手会が強く招集を求めた特別委員会は開かないものの、理解を求める場はつくりますという委員会だ。しかし、特別委員会と違い、議決権は持たない。
プロ野球に新規参入する方針を発表したライブドア社からの挨拶状が、広島のほかにも巨人、阪神など各球団に届いていることが23日、分かった。巨人の桃井恒和球団社長は静観の構えで「よろしくということが中心。最後の方にちょこっと“あらためてご挨拶を”とあっただけ」と説明。滝鼻オーナーとも話し合う予定もなく「この間の発表の内容でいくと、お会いして話し合ってもしようがないかなと思う」と話すにとどまった。
阪神・久万オーナーも、ライブドア・堀江社長からの協力要請の挨拶状を受け取ったが「最近の人の文章は分からん。初めて会おうとする人に、僕ならあんな書き方はしない」と顔をしかめた。2枚の手紙の中には自己紹介などが不足していた様子。それでも、訪問を受け入れる考えに変わりはなく「(球団経営は)簡単なものじゃない、というのを言ってあげるのが親切です」と話した。
12球団代表者会議で中日、横浜、ヤクルト、広島のセ4球団が近鉄、オリックスの合併新球団にドラフト不参加を求めた。中日・伊藤球団代表は「他球団に選手の移籍をお願いしておいてドラフトに参加するのは筋違いじゃないかと思う」と語った。既に近鉄、オリックスを除く10球団は、選手の雇用を確保するため合併新球団がプロテクトする25人以外の選手をウエーバー指名し、引き取ることが決まっている。その一方で新球団がドラフトに参加すれば、入団させたい新人を奪われるケースもある。セ側の強硬な姿勢に近鉄、オリックスは「勘弁してほしい」とドラフト参加を訴えたが、セ側は納得せず30日の実行委で再度議論することになった。
代表者会議ではまた広島・鈴木取締役球団本部副本部長から「パ5球団になった場合、新しい球団を入れるという考え方はありませんか?」と問題提起があった。新球団設立構想を明らかにしているライブドアの名こそ出さなかったが、代表者レベルの会議で新規参入の可能性に触れたのは初めてのこと。同副本部長によると「反応はありませんでした」と他球団は沈黙したという。
労組・日本プロ野球選手会と日本プロ野球機構(NPB)の代表者による協議交渉委員会が23日、都内のホテルで開かれた。選手会側はオリックス、近鉄合併の1年間凍結、さらに特別委員会が開催されない場合、スト権を行使することをあらためて通告した。しかし12球団代表者会議で実行委員会の豊蔵一議長(セ・リーグ会長)は特別委員会招集を却下。選手会側ではコミッショナー提訴だけでなく、東京都地方労働委員会に不当労働行為救済申し立て、民事訴訟など法的提訴に踏み切る意向を固めた。
ついに決着の場が法廷に持ち込まれる可能性が出てきた。古田会長は「予想していたよりひどい。向こうは議決権があると反対されることを自分達で認めている」と憤りの表情で話した。この日午前中に開かれた協議交渉委員会で、特別委員会の開催などが認められない場合にはスト権を行使することを再度通告。機構側は午後からの12球団代表者会議で最終回答することを約束したが、同会議で実行委員会の豊蔵議長は野球協約第19条の見地から「合併など経営的事項は特別委員会の目的となっていない」として、同委員会の招集を却下。代替案として「オリックス・近鉄統合委員会」を26日に緊急開催することを決めた。
出席者は両連盟会長、球団代表および選手会から各4人と特別委員会と同様に構成されるが「あくまでフリーディスカッション。当然、議決権もない」(ロッテ・瀬戸山代表)。特別委員会を開催した場合、議案の可決には出席者の4分の3以上の賛成を必要とするため、選手会から4人の出席者がいる限りオリックス、近鉄の合併の承認は得られなくなる。12球団代表者の1人は「特別委員会で否決されたものを実行委員会で可決できない。ただ裁判沙汰になった時に備え労働交渉をやったという手続きを踏んでおいた方がいい」と発言。30日の実行委員会で両球団合併を承認する方向性に変わりはない。
選手会側はこの決定に強く反発。古田会長は「似たようなものなんてない。特別委員会をやるか、やらないかのどっちかだ」と語り、26日は広島遠征中であることからも、選手会として統合委員会をボイコットする可能性を示唆した。その上で松原事務局長は「コミッショナーに提訴しても仕方のない部分があるので(法的提訴を)同時にということも考えている」と言明し、協議交渉委員会の冒頭でも選手会側弁護士が「今日は全ての発言を記録させてもらう。裁判になった場合は証拠にします」と通告。球界再編問題が司法の手に委ねられる可能性は否定できなくなってきた。
プロ野球12球団代表者会議が23日、都内のホテルで開かれ、労組・日本プロ野球選手会が招集を求めていた特別委員会は開催されないことが正式に決まった。経営者側はこれに代わる新たな委員会設置を決めたが、古田会長は「予想していた以上にひどい」と反発。9月8日の臨時オーナー会議の前後にもストに突入する可能性が高まった。
選手会の希望は、予想通り受け入れられなかった。特別委の招集は見送られ、“ガス抜き”のように「オリックス・近鉄統合委員会」(仮称)設置が決められただけ。労組選手会・古田会長は遠征先の広島で、半ばあきれた表情を浮かべた。
古田と立浪副会長、井端(ともに中日)、礒部(近鉄)、三輪(オリックス)の5人は午前中に機構側との協議交渉委員会に出席。特別委の開催を重ねて提案し「似たような委員会は(必要)ない。特別委をやるかやらないかのどちらか」と決断を迫っていた。しかし、実行委員会の結論は「統合は経営権の問題で選手契約に関するものではない」(豊蔵セ会長)と招集を否定。代わりに、特別委と構成メンバーは同じでも議決権がない「似たような委員会」の開催を決めた。
失望感の漂う結果を受けて、選手会も決断を迫られた。松原事務局長は「結果を重く受け止めて対応を検討する。明日(24日)までに方針を発表したい」とコメント。コミッショナーへの提訴と同時に、法的措置に訴えることは確実だ。
同時にスト権の行使も一気に現実化してきた。選手会内部では、ストの実施方法について、具体的に協議が重ねられてきた。9月8日前後の第1弾を皮切りに、単発で計5日程度行うプランが有力で、日程は近日中にも公表されるという。立浪副会長は、中日が首位に立っている現状でも「ストはむしろ『しなくてはいけない』とも思う。ファンが離れるとは思わない。(ペナントレースより)球界のために12球団(の選手会)で決めたことに協力する」と強硬姿勢。日本球界初のスト突入は、もはや避けられない状況になってきた。
機構側は特別委を招集しない理由として招集が「選手契約に関係ある事項」に限定されているためと説明した。球団統合は地域権、参加資格などの問題という判断だが、苦しい弁明。経営側から出席したロッテ・瀬戸山球団代表は「特別委で否決されたものを実行委で承認できない。経営の問題というスタンスでいくしかない」とも打ち明けた。特別委の議決は4分の3以上の賛成が必要で、10人中4人が選手の構成では合併が否決されるのは確実だからだ。
機構との協議交渉委員会では、選手会から巨人のスカウトに不正が発覚したことに関連して、ドラフト改革の必要性も指摘された。選手会側は「自浄能力が問われる。選手会は完全ウェーバーを提案している。時間がないと言われるが、ドラフトまでまだ3ヶ月もある。合併問題よりも早急に対応すべきだ」となどと訴えた。
プロ野球12球団代表者会議が23日、都内のホテルで開かれた。パ・リーグのもう1組の合併についてはこの日も具体案は提示されず、進展は見られなかった。もう1組の合併についてこの日もパ・リーグ側から具体的な説明がされることはなかった。
「深く静かなところで進んでいる」−。代表者会議で進展状況を問いただすセ・リーグ側に対して、西武・星野球団代表はこう、曖昧に答えたという。新たな合併については既にダイエー側に合併をもちかけていたロッテが、9月8日の臨時オーナー会議までに合意に達するのは困難と判断、根来コミッショナーにオーナー会議の延期を申し入れ、断られていたことが発覚。来季1リーグ移行が時間的にも難しい状況に追い込まれていることが分かっている。
根来コミッショナーもこの日、新たな合併について「現実的にはあがっていない」と否定的な見通しを示しており、依然として先行きは不透明なままだ。リミットについては豊蔵セ・リーグ会長は「一般的には(実行委員会のある)8月30日。9月8日のオーナー会議が限度だが、あまりアバウトな内容ではいけない」と30日に方向性を固めたいとした。しかし、パ側にはあくまで9月8日とする意見が多く、両者間で認識のズレもある。
現状のままなら来季は11球団による変則2リーグ維持しかないが、経営面で猶予が許されないパ側は駆け込みでの球団削減に全力を注ぐ構えを崩していない。期限ギリギリまで、内部調整と駆け引きが展開されることは間違いなさそうだ。
オリックスと近鉄の合併新球団の戦力整備についてセ・リーグの複数球団から細部について意見が出された。プロテクトから漏れた選手を引き受ける義務もあり、両球団の上位25選手ずつが合わさることへの不公平感は根強い。中日の伊藤球団代表は「他に協力を仰いでリストラしようとする企業が、新たに人を採るのはどうか」と、新球団が11月のドラフト会議に参加することに難色を示した。また、プロテクトされる選手名を発表する時期、他球団が引き受ける選手の査定を誰がするのか、などについても30日の実行委員会までに回答を求めた。
プロ野球に新規参入する方針を表明したライブドア(堀江貴文社長)から、巨人、ヤクルトなど数球団に新球団設立に関する挨拶状が届いたことが23日、分かった。広島・松田オーナーは「会って話を聞くのはやぶさかでない」などとしているが、巨人・桃井球団社長は「会いたいというようなメッセージはなかった。こちらからどうこう返事するような文面ではなかった」。堀江社長の希望する滝鼻オーナーらとの面会には、否定的な見解を示した。
サンケイスポーツ専属評論家でシダックス監督の野村克也監督が23日、竹中平蔵金融・経財相と民放テレビ番組収録で顔合わせ。プロ野球再編問題をテーマとした討論で、野村監督は「(シダックスの)志太勤会長の尻をたたいている。シダックスだったらOKするんじゃないか」とパ・リーグへの参入を促していることを明らかにした。
野村監督は「志太さんは静岡出身だから、静岡の草薙球場を本拠地にやりましょうよと言っている」と話した。一方、竹中金融相は「いったん10球団に減らし、3年後に入札で2球団の参入を認めるのはどうか」と一野球ファンとしてアイデアを披露した。
ダイエー本社の高木邦夫社長が再建問題の決着後に、経営不振の責任を取り辞任する意向を固めたことが23日、明らかになった。同社長はこの日夜、経営責任について「今はそんなことにコメントするのは適当ではないが、しかるべきタイミングでお話しする」と語った。ダイエー球団について一貫して単独保有の立場を示してきた同社長だけに今後が注目される。
約4時間半の会議終了後、会見に臨んだセ・リーグの豊蔵一会長(12球団代表者会議議長)は、新たな合併について、パ・リーグ側が自ら「30日の実行委員会で提示できるように努力している」と発言したことを明かした。前回(16日)の会議では「努力している。もう少し待って欲しい」と具体的内容に乏しい反応に終止したが、今回は期限を切っての“回答”を約束した。
この日もセ側は「(合併の)進捗状況を説明して欲しい」と声高に叫んだ。これに対して、新たな合併の推進役でもある西武・星野代表が「まだ話せる段階ではない。が、粛々と進んでいる。もう少し時間が欲しい」と発言。そのタイムリミットについて、パ側が「今月30日」と明言した。
「30日が第1の締め切り。9月8日のオーナー会議までに(合併が)出来ないなら、2リーグということを合意した」とダイエー・佐藤代表が言うように、改めてタイムスケジュールを確認。根来泰周コミッショナーも「雲をつかむような事では困る」と30日、9月8日までの具体案提示を指示している。しかし「30日が絶対じゃない。それくらいでは詰められない。9月6日の予備日もあるし」(近鉄・小林球団社長)という意見も出ており、パ側はギリギリまで粘る姿勢を見せている。
5球団でのリーグ運営は成り立たないとの考えから、球界再編に意欲を燃やすパ・リーグ。豊蔵会長も「(西武、ダイエー、ロッテ、日本ハムの)4球団で詰めているところ」と話した。合併に意欲的なロッテを軸として、新たなペアが完成するのか。ダイエー本社再建の展開、西武の動向など不確定要素は多い。リミットまで刻々と時間が刻まれており、水面下での交渉は激しさを増しそうだ。
オリックスと近鉄の両球団が、実行委員会が開かれる30日までに合併の正式契約を交わすことになった。オリックス・小泉隆司球団社長が「30日までに近鉄さんと正式に契約したい。実行委員会に申請して許可をとりたいと思っています」と明らかにした。既に基本合意書への調印は終えているが、今回の正式契約書には合併形態、球団名、専用球場、資本金など合併の詳細部分も盛り込まれる。両球団は正式契約に向け、この日、初めて実務者レベルでの協議をスタート。大阪・難波の近鉄球団を訪れ、近鉄・馬越俊司球団専務と会談したオリックス・弥左康志広報部長兼総務部長は「実務的なことも色々ありますから。第1段階のご挨拶という感じです」と説明した。
プロ野球の12球団代表者会議が23日、東京都内のホテルで開催された。席上、パ・リーグ側が今月30日の実行委員会でオリックス、近鉄に続く、もう1組の合併案を提示することになった。また、労組・日本プロ野球選手会が要求していた特別委員会の開催は拒否し、それに代わる交渉機関の設置を決めたが、選手会側はコミッショナーへの提訴だけでなく、法的措置も辞さぬ強行姿勢を見せた。
選手会と日本プロ野球組織(NPB)代表者による協議・交渉委員会が12球団代表者会議の前に行われ、選手会側は合併の一時凍結、合併問題は選手契約に関する問題として、その協議機関である「特別委員会」の開催を再度、要求。話し合いが不調に終わった場合、スト行使の可能性があることなどを改めて伝えた。
その後に行われた「12球団代表者会議」において、広島など一部球団から「特別委開催を認めては」との意見も出たが「(合併は)選手契約に関することではない」との判断から、招集権者である豊蔵・セ会長(実行委員会議長)が「不必要」と判断。その後、会議を重要事項を審議する「実行委員会」に切り替え、選手会との話し合いの場として「オリックス・近鉄の統合に関する委員会」(仮称)を設置することを全会一致で決定。26日の開催を選手会側に申し入れた。
この会議は構成メンバーこそ両リーグ会長、当該球団代表、選手会代表者など、特別委員会とほぼ同様となっている。しかし、議決権はなく、古田会長は「特別委員会に“似た”ようなものはないと思っている。想像していたものよりもひどい。コミッショナーへの提訴を考える」と話し、受け入れは難しい状況となっている。24日に選手会の松原徹事務局長が回答する方向だが、山崎卓也顧問弁護士は「コミッショナーへの提訴だけでなく、裁判で、ということも考えている。労働組合法上のこと、団体交渉権があるのに、合併強行は無理がある、と検証している」と話し、司法の手に判断を委ねる可能性を示唆した。
ストについては、NPB側が慎重に対処するよう要望したが「(ストは)当然、あり得る」(松原事務局長)と、交渉が不調に終わった場合、実力行使する可能性を示した。また、選手会は「今、早急に話し合うことは、合併ではなく、今回、不正行為が明らかになったドラフト制度の改正、こちらの方が問題」と話し、持論の完全ウエーバー制度の導入を求めた。
古田会長は協議・交渉委員会で予定していた署名の提出を取りやめたことを明かした。これまでに集まった署名の総数や新聞紙上のアンケートを提示するつもりで準備をしていたが、「それは一部の声だとか、信憑性がないとか言われたんで出しませんでした」とNPB側に受け付ける態度がなかったことを説明。「でも、ファンの声は届けましたし、もう届いてないとは言えないでしょう。(信憑性を疑うなら)合併賛成の署名を集めてくれればいいのに」と不快感をあらわにしていた。
協議・交渉委員会終了後の会見では、NPB側が選手会を「労組」として認識していないという見解が改めて示され、ここでも選手会側と意見が真っ向からぶつかった。報道陣から「選手会を労組として認めているのか」と質問された瀬戸山選手関係委員長は「見解が分かれている。東京都からは認められてはいるが、個人的には認めていない」と発言。また、セの豊蔵会長も「労組として(NPB側は)疑念を持っている」とした。
選手会は1985年9月、東京都地方労働委員会(都労委)に対して労組としての資格審査を申請。11月5日、労働組合法上の「労組」として認定された。しかし、実行委員会、オーナー会議では「プロ野球選手は各々が独立した事業者であり、労働者の範疇に入らないのでは」などとして「労組」の立場を認めない姿勢を貫いている。12球団代表者会議でも「組合ではないのだから、違法ストだ」との意見も出たそうだ。選手会の山崎顧問弁護士は「都労委に対して行ってきた(誠実交渉を求める)救済申し立ての中でも、12球団が使用者団体になり、選手会は労組であるという労組法上の関係は合意している。書面上にも記されている」と強調した。