わたしはかもめ2004年鴎の便り(9月)

便

9月8日

福岡ダイエー5−2千葉ロッテ(福岡ドーム)

ダイエーが対ロッテの連敗を4でストップ、2位西武とのゲーム差を4.5に広げた。ダイエーは1点を先制された1回、井口の犠飛で同点とし、城島の34号2ランで勝ち越しに成功。4回にはズレータの32号ソロで1点、7回にも井口の適時打で1点を加えロッテを突き放した。先発・山田は7回を被安打4失点1に抑え、2002年7月5日以来の先発白星を飾った。ロッテは連勝が2でストップ、再び借金生活となり4位日本ハムとの差は1毛差で辛うじて3位をキープ。今季最終戦となったこのカードは、ダイエーの10勝15敗2引分け。

123456789R
千葉ロッテ1000000102
福岡ダイエー30010010x5
セラフィニ
「ケガはしていない。大丈夫だ。狙った訳ではないし、何で怒ったのか分からない。前の打席でホームランを打たれたから狙ったと思われたら心外だ。」
ベニー
「止めに入った時、蹴られてしまった。痛みはある。次の試合は当日の様子を見てみないと分からない。」
「後が…。ここまで来たら惜しかったでは済まされない。勝たないといけないんだから。とにかく、次のゲームをしっかり勝つこと、それだけ。頑張ります。」

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“当事者同士”ダイエー、ロッテ熱い闘い[スポニチ]

球界を揺がす1日は長く疲れるものだった。くしくも東京で“もう1つの合併”が大きな話題となる中、福岡ではその当該球団のダイエーとロッテが対戦。快勝した王監督も試合後は余韻に浸ることなどはなかった。

王監督
「こうなったら1番心配になるのはストライキ。現場としてはやって欲しくない。」

福岡ドームでは試合前から異様な空気が漂っていた。万が一の両球団合併発表に備えて、約50人の報道陣が福岡ドームに集結。“今日の敵が来季の友”となる可能性があるだけに、選手の表情も硬かった。「周りは色々な雑音があるし、選手もお客さんも不安だと思う」と城島が明かしたように、先が見えない中での試合となった。

しかし変わらずに全力で戦った。初回、城島が左越えに34号2ラン。試合前に王監督から「釣りの巻きもコンパクトに投げないといいところにいかない」とスイングのアドバイスを受け、アテネ五輪から帰国し10戦目での初アーチとなった。ファンに熱い戦いを。そんな思いが6回には大乱闘へとつながった。ロッテ・セラフィニの顔面近くへの投球に怒ったダイエー・ズレータが1メートル97の巨体を揺すってマウンドへ突進。1メートル86のセラフィニが跳び蹴りで応戦し、両軍ベンチは空っぽになり、両軍ナインが激しくぶつかり合った。

乱闘もプロ野球の魅力の1つ。4万4000人のファンは全力で戦う選手達に大歓声を送り続けた。試合後、もう1つの合併がなかったことにダイエー・松中選手会長は「望んでいたこと。まずは一安心」と言い、ロッテ・小坂選手会長も「安心した。こんな短期間に2つも合併できないと思う」と続けた。だが、その一方でストの可能性もある。選手、そしてファンのための“プロ野球の戦い”はまだまだ終わらない。

◇主砲交代痛恨●

まさに踏んだり蹴ったりの1敗だ。6回の乱闘劇でセラフィニが退場。その際、主砲ベニーもズレータに蹴られ、左肩を痛めて交代した。「死球ではないのに、どうして両者退場になるのか。今日起こったことは容認しがたい」と5分間も猛抗議したバレンタイン監督。プレーオフ争いでは4位・日本ハムとのゲーム差がなくなった。日本ハムより残り試合数が少なく、ストも視野に入れれば痛恨の1敗。それでも指揮官は「しなければならないことを、するだけの試合数は残っている」と強気だった。

セラフィニ
「もしわざと狙っていたのなら打者(ズレータの頭)の後ろに投げているだろ。」

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ダイエー、ロッテ合併“破談”発表その日に…大ゲンカ[報知]

◇当該チーム、ズレータとセラフィニが殴り合い

野球のスタジアムがさながらプロレスのリングとなった。静かに進んでいた試合が突然、殺気立つ。4−1とダイエーがリードしていた6回1死だ。ロッテ先発・セラフィニがズレータに投じた初球が何と、肩の高さで打者の背後を通過。ズレータは間一髪、体を反転させ、よけたが、同時に闘争心にも火がついてしまった。

ダイエーの助っ人は197センチ、113キロのヘビー級並の巨体でマウンドに突進。手にしていたヘルメットを投手めがけて投げつけると、186センチのセラフィニも真っ向から受けて立った。86キロの体が宙に舞うと、跳び蹴りで応戦。さらに頭突き、首投げを繰り出して、両助っ人はド迫力の殴り合いだ。中堅からベニーも飛び込んできた。もう止められない。両軍選手全員が次々とマウンド上で重なるように覆いかぶさり、団子状態に。ズレータは引き離されてもなお、相手を挑発し続けた。

この日、オーナー会議でもう1つの合併はロッテとダイエーだったことが明かされたが、結局は合併見送りとされた。合併に歩み寄っていた両球団の“破談”が発表されたその夜、両チームがスタジアムで起こしたのが乱闘劇では皮肉だ。ダイエー・王監督は「(ボールが通過したのが体の)後ろだからね。ズレータは前の打席で本塁打を打っていたので(セラフィニが)故意に狙ったと思ったのだろう。今日のは仕方がない」とズレータをかばった。それに対しロッテ・バレンタイン監督は「死球ではないのに打者がマウンドに突進してヘルメットを投げつけた。今日起きたことは容認しがたい」と怒り心頭。セラフィニも「オレは狙った訳じゃない。心外だ」と顔を真っ赤にしてまくしたてた。乱闘で左肩を怪我して退場したベニーは「ズレータに蹴られた」と言い放った。

この日が同カード最終戦。だが、プレーオフでの対戦の可能性ある。最後の最後まで目が離せない。

◇最多タイ、ズレータ今季3度目退場

ダイエーのフリオ・ズレータ内野手とロッテのダン・セラフィニ投手は8日、ダイエー・ロッテ27回戦(福岡ドーム)で、マウンド付近で乱闘を演じ、両者退場処分となった。4回に32号ソロを放ったズレータは、6回裏の打席で、初球が肩の高さで背中を通り抜けると、ヘルメットを投げつけマウンドに突進。セラフィニも首投げで応戦し、両者が倒れ込みながら殴り合った。

ズレータは今季3度目の退場で、1988年のバナザード(南海)、90年のブリューワ(日本ハム)、95年のデューシー(日本ハム)に並ぶプロ野球最多タイ記録。セラフィニも今季2度目。今季の退場処分は両リーグ通じて延べ24、25人目となり、94年に並ぶ最多タイ。パリーグでは同14、15人目。

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ダイエーロッテ大乱闘

◇ベニーも巻き添え負傷交代

「もう1つ」の合併が水面下で進行していたロッテと、その相手ダイエーが遺恨を残し今季最終戦を終えた。6回、両軍助っ人によるヘビー級の殴り合いで場内は騒然。セラフィニは突進するズレータにカウンターで頭突きをかまし、額には返り血がベッタリ。仲裁に入ったベニーは倒れたところをズレータに左肩を蹴られた。合併話に続くもう1つの場外戦は、思わぬところで繰り広げられた。

バレンタイン監督は怒りが収まらない。「ぶつけてないこっちも退場になるなんて、同じジャッジでいいのか。今日のことは容認しがたい」。プレーオフ進出を争う状況での手痛い1敗。それ以上に主砲ベニーの負傷退場は計算外だった。「まだ痛いよ。2日間休みがあるから、その様子を見てからだ」とベニー。チーム2冠王を欠くようなことがあれば残り9戦、苦しい戦いを強いられる。

当面の不安が消え、本来なら気持ちも新たに戦えるはずだった。試合前、ダイエーとの合併が破談になったとニュースで知ったナインからは、ホッとした笑みがこぼれた。7月7日の西武堤オーナー発言で新しい合併候補に浮上してから、グラウンド外の雑音とも戦ってきた。選手会長の小坂は「実際に起こらなかったことには安心している」とナインを代弁した。ダイエーとの合併はまだ予断を許さない状況にあるが、今後の進展に水を差しかねない?乱闘終戦となった。

小坂選手会長
「(ロッテの合併進行は)噂として聞いていたが、球団からは『ない話、試合に集中してくれ』といわれていたので、まさか対象先として名前が出るとは思わなかった。合併が承認されたことは残念だが、うちとダイエーはなくなったことは、それはそれで良かったと思います。千葉に帰ってから、球団から説明があるでしょう。」

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李退団否定

李承Y一塁手が8日、地元韓国紙で報じられた今季限りでの退団を全面否定した。契約を1年残し「(韓国に)帰りたい」と退団の意思を固めたと報じられており、国民的スーパースターの去就に韓国内は大騒ぎになっている。だが李は「(記事を)呼んだときは笑ってしまった。取材も受けていない」と事実無根とした。球団関係者によれば、プレーオフ進出をかけた大事な時期での去就報道に心を痛めているという。

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暫定パ5セ6、ダイエー待ち

◇ロッテと交渉“中断”も消えぬもう1つの合併

球界再編の行方を占う臨時オーナー会議が8日、都内のホテルで開催された。7月7日のオーナー会議で西武堤オーナーが明らかにした「もう1つの合併」はダイエーとロッテの間で進んでいたが、ダイエー本社の再建に絡んで合併協議が破綻したとの報告が、堤オーナーからあった。来季はセ・リーグ6球団、パ・リーグ5球団の変則的な2リーグ制を維持する方向となったが、各オーナーから「ダイエー待ち」を示唆する発言が相次いでおり、もう1つの合併の動きは、いまだ消えていない。

球団再編問題で「セ6、パ5の2リーグ制」の方向性が出たが、あくまで「暫定」の色合いが濃かった。水面下で進んでいたダイエー、ロッテの合併問題。7月7日のオーナー会議で、近鉄とオリックスに続く「もう1つの合併が進んでいる」と明言した堤オーナー、ダイエーと交渉したロッテ重光オーナー代行が、現時点では合併の進展がなかった経緯を説明した。堤オーナーは「一時期は合併話も進んでいたが、再生機構に入るとか入らないとか、自主再建の問題とか浮上し、ダイエーさんにとっては、球団の問題を先にやることができなかった。現時点では合併はないということ」と話した。しかし、ダイエー本社が球団を保有できなくなった場合、ロッテが「救済」という形で再燃する可能性がある。

現在、ダイエーは自主再建で球団保有の姿勢を崩していないが、産業再生機構の活用で揺れている。「ウォルマート」の買収案も浮上。外資系企業が買収した場合は、野球協約で球団保有ができなくなる。議長を務めた巨人滝鼻オーナーは「堤オーナーから進展がないとの報告があった。これを受けて来季は、今日の段階ではセ6、パ5の2リーグ制で運営していくことを確認した」と方向性を示した。だが一方で、間髪を入れずに「ただし」と付け加え、「日本経済の状況から何が起こるか分からないとの声があった。万が一球団が消滅するとか、その他動きが出たときは、オーナー会議が機動的に審議していこうということ」と、暗にダイエー本社の動向次第では流動的になる発言をした。

ロッテ重光オーナー代行は「ダイエーさんとの交渉を他の球団さんに背中を押される形で進めはしたが、先方で会社自体は自主再建できる、また球団は継続保有したいというお話だったので、一応その時点で終わりと」と話した。一方で、「色々新聞等を見ますと、再生機構の話ですとか、外資ファンドに売却されるという話を高木社長がおっしゃってますので、外資の場合は協約上引っ掛かりますし、再生機構は国の機関で長期の保有はできない。その場合はまた別途考える」と検討する姿勢も見せ、今後の合併に対しての姿勢に「うちはオープン」と話した。

ダイエー中内オーナーは「野球界として緊急事態が発生した場合は、急遽オーナー会議を開いて検討することになった。(緊急事態とは)ダイエー問題でしょうね」と話した。29日に、再び臨時オーナー会議が開催される。巨人を除くセ側の球団代表レベルでは、8日がタイムリミットと主張してきたが、時間切れとはならなかった。あくまでダイエー本社の動向次第。公言はなかったが、球界再編は止まってはいない。

◇堤オーナー「変化あればその時対応」

西武堤オーナーはロッテとダイエーの合併について現時点でないとした。臨時オーナー会議後の会見で「かねてから合併を進めていくと言ったのはダイエーとロッテだったと、今日はみなさんに申し上げた」と説明。「もう1つの合併が進行中」であるとしたが、この日「その時点ではもっとスムーズにいくと思っていたんですけど、結果的にうまくいかなくて、大変残念なことです」と話した。笑顔はなかった。

前回、「もう1つの合併」を堤オーナーが説明した経緯には「当事者(ダイエー、ロッテ)で言えない立場がありましたから。私が合併の話をして、皆さんにもご了解をいただいた」と話した。目指していた合併発表はならなかったが「これから重大な変化があれば、その時に対応する」と含みを持たせた。

パが5球団なら、要望していた1リーグは厳しい。方針変更の可能性もあるが、来季からの1リーグ10球団の構想には「そういうのは申し上げる時期じゃないですね。今日は今日決まったことで、また整理していきます」と明言を避けた。ただ西武として球団維持については「そうですね。日ハム、西武も自分で頑張ろうと」と単独保有の姿勢を示した。

◇ダイエー本社強調、球団保有

ダイエーホークスの親会社であるダイエー本社は、あらためて他球団と合併しない方針を強調した。オーナー会議終了後、ダイエー本社内で球団管掌役員の土谷忠彦常務取締役が報道陣に対応。「我々は球団を株主として継続保有することは変わらず、産業再生機構を活用するのも念頭にない。球団の合併も売却もない」と話した。もう1組の合併球団としてダイエーの名が挙がったことには「大変、遺憾」と不快感を隠せなかった。

緊急事態の認識もダイエーと無関係のもの、との考えだ。土谷氏は「中内さんは1つの事例として(ダイエー問題と)言った。ダイエーを指しているとは思っていない。中内さんは(本社)経営問題にタッチされていないから、誤解を受けるような発言になるときがあるのも分かる」と球団トップの発言を説明した。

この日、土谷取締役は過去にロッテから球団合併の打診があったことを認めた上で「そういう気持ちはないと伝えている」と話した。「球団は本体とのシナジー(相乗)硬化が大きい。(合併は)全くメリットがない」。ダイエー本社は球団の優勝セール効果などに頼らざるを得ない状況だけに、合併や売却を想定していないことを強調していた。

◇今後の見通し

来季はセ6、パ5としながら、ダイエーとロッテの統合の可能性も残した臨時オーナー会議。いったい再編問題はどうなったら決着するのか。

この日、5対5の2リーグ制になることを想定していると思われる議決があった。野球協約の改正がそれだ。議長が議題の利害に絡む場合に、コミッショナーが議長を務めるようにした。次のような展開を想定していることが考えられる。

(1)
今後、ダイエーとロッテが合併
 ↓
(2)
セ6、パ4になる
 ↓
(3)
コミッショナーがかねて提唱している通り、10球団の場合は5対5の選択肢を示す
 ↓
(4)
セの1球団がパに移籍するか、複数を入れ替える
 ↓
(5)
今年の議長は巨人

で(4)に絡むため、ここでコミッショナーが議長を務めることになる。

ただし、この段階で紛糾するのは必至だ。5対5への再編はセの抵抗感が強い。セ球団は巨人と離れるパに行きたがらないし、巨人にいかれても困る。横浜や阪神などは既に、そんな反応を示している。ならば、反対してきた1リーグの方がまし、と考えてもおかしくない。この日、パのオーナーの表情やコメントに余裕があったが、セは何か引っ掛かっているようだった。何のことはない。球界の外の人となった巨人前オーナーが目論んだ方向へ進んでいるようにも映る。

もっとも、1リーグとなればセ、パ連盟など機構縮小もせねばならず、職員の補償問題も出てくる。10球団になった段階で、各球団は大きな決断を迫られる。

◇“もう1つ”あるのか?セ反応さまざま

今後も「もう1つの合併」が起こりうることを、セ側は様々な受け止め方をした。報道陣に怒りの表情で会議の状況を明かしたのは阪神久万オーナー。「今後、事が起こった場合はまたその時に考えようと。(そう発言したのは)コミッショナーと議長の滝鼻さんでしたかな…。何ヶ月前に日程などを決めないといかんか、お分かりじゃない」とまくし立てた。さらに「(今後、合併が決まっても)段取りがつきませんと言ったら(2人は)怒ってはりましたわ。(2人は)あの時はグルやったわ」と不満を募らせ、「12月になるのか1月かと聞いたら、4月に起きるかもしれんと。おかしな顔をされたので、もう言いませんでしたが」と振り返った。

ヤクルト堀オーナーは、もう1つの合併がまとまらなかったことを「調整中ですということをパのある方が代表して言った」と“調整中”と受け止め、広島松田オーナーは「『今は中断している』というお話があった」と説明した。

巨人を除くセ側はこの日を新たな合併のタイムリミットとしていた。が、現時点ではセ6、パ5という歪な形でもあり、真っ向からさらなる合併を突っぱねることはできなかったようだ。

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オーナー会議の承認、確認事項

1.
近鉄とオリックスの球団合併を承認。
2.
協約改正
(1)
議長の球団が案件の利害関係にある場合、一時的にコミッショナーに議事を一任することができる。
(2)
参加資格にかかわる加盟料(60億円)、参加料(30億円)を見直す。実効委員会で協議後、11月2日のオーナー会議で最終承認する。
3.
来季はセ6、パ5の2リーグ制で運営。ただしオーナー会議は何らかの動きがあった場合は機動的に審議していく。
4.
9月29日の臨時オーナー会議でセ、パ交流試合を審議する。
5.
大リーグ、同選手会主導で進められているスーパーW杯について、コミッショナー事務局より参加各国で組織委をつくることなどを米側に要望したとの報告。

◇近鉄、BW合併承認

オリックス、近鉄の合併が約3ヶ月の難産の末、ようやくこの日の臨時オーナー会議で承認された。新球団でもオーナーを務めるオリックス宮内オーナーは、打倒・阪神を目標に掲げた。晴れやかな表情で「関西では阪神タイガースとチームが2つになる。阪神に匹敵するようなファンを惹きつけられるチームづくりをしていくことが、これまで両チームを応援していただいたファンに報いることになる」と抱負を語った。老舗球団の幕を下ろすことになった近鉄田代オーナーは「統合した成果をあげられるように、時間と力を注いでまいりたい」と話した。

会議では、合併形態が近鉄からオリックスへの営業譲渡となることも報告された。球団名はオリックス・バファローズ、専用球場を大阪ドームとすることで承認を得た。ただ大阪ドームとは興行権の買い取りなどをめぐって交渉中で、近鉄小林球団社長は「使用条件を交渉している。万が一折り合わなかった場合は検討する」と、ヤフーBBを選ぶ可能性も否定しなかった。

◇加盟料の見直し

横浜峰岸社長は、TBS本社でオーナー会議の結果を受けて、新規参入企業の受け入れ方法について私案を披露した。加盟料60億円について「資格審査をする委員会に依頼して、経営基盤があやふやなら(加盟料を)多くもらったり、大丈夫ならいらないとか幅広く考えてもいいんじゃないか」と、金額を変動させることを提案。また現行では各球団に配分されることになっているが「全体の保証として、最低総年俸の1、2ヶ月分を連盟に渡し、何かあった時に使えばいい」と一時預かり金として有事に備える案も提示した。

横浜砂原オーナー
「先行き不透明な話なので、それをもってパ5、セ6でいくことになった。新規参入緩和?産業構造が変化している訳だから、どんな企業が入るのかニュートラルに考えないと。単に、60億、30億だけの問題じゃない。」
ヤクルト堀オーナー
「(ストは)これは経営権の問題だから経営権の侵害になる。損害賠償請求は何億、何十億になるから多分します。お互い譲り合わないと解決できない。1歩、半歩譲り合えば解決できると思います。(新規参入は)資格審査委員会みたいなものをつくればいい。」

◇来季2リーグ制

パ・リーグ小池会長
「堤オーナーからロッテ、ダイエーで交渉を進めてきたが結論を得るに至らなかったとの報告がありまあした。パは5球団でやりましょうということです。『5球団ではできない』という声はなかった。何かあったら協議しましょうということです。交流試合については、29日までに検討していきます。」
中日白井オーナー
「会議中に来季の2リーグ維持とストを回避するために選手会と十分に話し合って欲しいということをお話した。理解が得られたので、最初は(オリックスと近鉄の合併を)先送りすべきだという考えだったが、最終的に合併を承認した。」

◇交流戦の実施

オーナー会議では来季のプロ野球運営形態について、現段階でセ・リーグ6球団、パ・リーグ5球団の2リーグ制を維持することを決めた。11球団での変則的な2リーグ制となるため、史上初めて両リーグの交流戦が実施される見込みだ。巨人滝鼻オーナーは「来シーズンは今日の段階ではセ・リーグ6チーム、パ・リーグ5チームの2リーグ制で運営を進めていくことを確認した」と、記者会見で報告した。

交流戦については29日の臨時オーナー会議で審議する予定だ。根来泰周コミッショナーは「僕は最初から交流試合をやった方がいいと言っている」と語った。試合数については「こちらから何試合というと話が進まないが」と選手の負担を考慮した上で「(現在の試合数を)少し減らして(交流戦を)少し増やすぐらいなら了承は取れると思う」と全体の試合数は大幅に変わらない見通しを示した。交流戦は実現する可能性が出たが、赤字体質脱却を目指し、1リーグ制を希求したパ・リーグにとってセ6、パ5が厳しい現状であることは変わらない。

◇パと協力強化を

セ・リーグ豊蔵会長は、来季の6対5の2リーグ制に、パ・リーグとのより強い協力関係構築を強調した。「1つ減って危機的状況にあるのだから、野球界を挙げて活発に施策を行わなければならない」とし「今後のプロ野球界がどうあるべきかコミッショナーを中心に考えていきたい」と語った。その具体策の1つが交流試合だが、29日のオーナー会議に向け、セ側として何らかの協力案を検討していく考えだ。

◇広島再び棄権

広島松田オーナーはオリックスと近鉄の合併承認に際し、6日の実行委員会での球団スタンスの通り「棄権」した。「広島球団は地域に生まれ、地域に育ち、地域に支えられている。その地域の理解を得難い採決には賛成できない」と説明した。来季のセ6、パ5の2リーグ制には「(2リーグは)喜ばしいこと」としたが、「個人的には(新規参入があって)来季からのセ、パ6球団ずつを期待している」と現状回帰も望んでいた。

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損害賠償請求で一致

◇選手会批判噴出

オーナー会議後の会見終盤、壇上の宮内オーナーがおもむろにマイクを握った。議長の巨人滝鼻オーナーに対するストライキの質問をさえぎる形で「ちょっと、いいですか」と報道陣とのやり取りに“乱入”。理路整然とした口調で、9月週末にストライキを設定した選手会の動きを批判した。

宮内オーナー
「(各球団に)1番協力していただいたのだ(合併によって)選手を路頭に迷わすことはしないということ。全選手を全チームがピックアップして雇用を維持するということを、1番最初に決めました。それについて、選手会が統合を反対するというのは、労働組合としては非常に不思議なストライキだな、と。何を要求するのか。」

宮内オーナーが訴えたのは、選手会が9月の毎週末に設定したストが労働条件を争う「合法スト」ではないという点だ。選手会側からは、合併の1年間凍結や、新規参入の際の加盟料および参加料の撤廃または大幅減額、ドラフト制度の抜本的改革などを求められていたが、いずれも経営問題で選手会が口を挟む問題ではないと判断。それより選手の年俸高騰が球団経営を圧迫している現状を説明し、経営者側の正当性を主張した。

宮内オーナー
「パ・リーグは徐々に観客動員が増えているが経費、特に選手の参稼料(年俸)が急騰して経営が苦しくなっている。(合併を)1年延期するということは、1チーム数十億円の赤字が発生するんです。それを選手が負担してくれるのか。代案のない一方的な申し入れです。労働条件についてはいくらでも話をさせていただく。全然違うところでストライキといわれて戸惑っている。1番迷惑を被るのはファンではないのか。」

宮内オーナーの主張は、言葉こそ激しくなかったもののオーナー会議の総意でもあったようだ。議長を務めた巨人滝鼻オーナーも、スト決行時には「各オーナーとも、損害賠償請求するということでした」と“違法スト”であるとの認識で一致していることを示した。オーナー達が示した見解が9日からの協議交渉委員会へ影響することは必至。両者間の緊張はいやがおうにも高まってくる。

◇加入緩和に期待

オーナー会議では、労組・選手会が視野に入れているストライキについても検討された。選手会の要望に反して合併を承認したが、9日、10日に行われる協議交渉委員会でスト回避を訴えていく方針。この日、議長を務めた巨人滝鼻オーナーは各オーナーへ「委員会に出席する球団代表には裁量権を与えて欲しい。いちいち本社へ持ち帰る時間はないのですから」と要望した。記者会見でも、滝鼻オーナーは「最後の最後まで真剣に話して、回避に向けて動いて欲しい」と語った。ただ、回避できるかどうかの見通しを問われると「分かりません。予断を許さない」と、厳しい表情を見せた。

実行委員会の選手会担当顧問を務める中日伊藤参与は、新規球団の参入条件に光明を求めていた。選手会からも指摘されている加盟料については検討することで一致しており、責任を持って球団経営にあたるための保証金という形に変える案も出た。同参与は「新規球団の参入は閉ざしていくものではない。そこが唯一、明日の交渉で明るい材料かも」と話した。また「ドラフト改正など、選手会の提案を受けたからではなく、野球界の問題として一緒に解決していきたい。建設的な意見には耳を貸す」などと、選手会に訴えていく考えも口にしていた。

◇103億円損失

9月中の土、日曜日の試合でストが実施された場合、球団や地域に与える経済損失の総額は103億2000万円に上るとの試算を、大阪府立大経済学部の宮本勝浩教授のグループが8日、まとめた。実際には観客が他の娯楽施設などにシフトする可能性はあるものの、ストによる球団の収益などへの打撃はかなりの額になりそうだ。一方、野球協約の減額規定に基づき、スト実施で球団側が選手に支払う必要がなくなる年俸の合計は約4億9000万円と試算した。

◇ロックアウトをダイエー検討

ダイエー高橋広幸球団社長が8日、ストライキとなった場合、ロックアウトで対抗する姿勢を示唆した。この日のオーナー会議で近鉄、オリックスの合併が正式に承認。ストライキ突入への可能性が高くなったことに、福岡ドームでのロッテ戦終了後、スト突入の場合の球団の対応について触れ「(福岡ドーム)球場やロッカーなど、球団が所有する練習施設は使えなくなる。合宿所(福岡市東区)に関しては、生活する場なのでそこまでは考えてない」と話した。ただ「詳しいことは選手会長と話をしてからになる。できるだけストは回避してほしい」と、あらためて「スト回避」を訴えた。

一方、高橋社長のロックアウト発言を報道陣から伝え聞いた松中選手会長は「(球団が)ロックアウトをすると言うのならば、明日(9日)選手会の弁護士を話をした上で球団と話し合いたい」と迅速に対応する構えを見せた。

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古田覚悟「スト止められない」

近鉄とオリックスの合併が8日、ついに正式決定した。「新しいプロ野球」を強調するオーナー側は、選手会の要望する合併の1年凍結に応じなかった。労組プロ野球選手会の古田敦也会長はストの構えに変わりのないことを強調した。「国民の信頼を失う」と東京高裁は異例の言及で経営者に誠実な交渉を促した。一方で、オリックス宮内義彦オーナーは、選手会のストを「不思議なストライキ」と切り捨てた。9日からの“団交”がスト回避の最後の場となる。

古田会長は、阪神戦の試合後「残念な結果ですね。ストの方針に代わりはないです」と話した。6日の臨時運営委員会では、オーナー会議で球団が減らされるような決定が下された場合、ストに突入することが決められていた。それが現実となった。

機構側からは、経営にかかわる合併に反対するストは、労働条件に関係なく違法ストという意見が出ている。しかし、この日、東京高裁は選手会がNPBとの団体交渉権の確立を求めた仮処分申請について、棄却する決定を下したが、経営者サイドに誠実な交渉を促す異例の注文をつけた。古田会長は「合併による球団削減は、選手の契約状況に影響する。数年後、労働条件が悪化する可能性もある。正当なストだと思う。ファンに迷惑を掛けるが、選手も損害は億を超える。それだけの痛みを伴う訳だし、将来的に考えても簡単に引いちゃいけない」と話した。

現段階ではストは決定的だ。9、10日に予定されている労使交渉の「協議交渉委員会」で、「新規参入の促進」「ドラフト制度改革」「球団間の利益分配」などで大きな進展が見られた場合、歩み寄りの可能性は残されている。この日のオーナー会議でも参加資格にかかわる協約の見直しが確認されたが、具体案の提示にはなお時間を要する。古田会長は「ここに至る道筋も健全ではなかった。4にできなかったから5と言われても、ファンは気分が悪いと思う。なんで6にしようという考えはないのか」と不快感も見せた。

スト回避に向けて唯一の明るい材料は、協議交渉委員会に出席する委員に裁量権が与えられたこと。時間的猶予がないという理由もあるが、その場での交渉が即結果につながる。古田会長は「それが本当ならば嬉しいこと。初めてだからね。(スト回避の)希望は常に持っている」と話した。同委員会では、120万人の署名が積み上げられた中行われる。最後の望みを抱いて2日間の会議に臨む覚悟だ。

労働組合・日本プロ野球選手会の松原徹事務局長
「協議の機会もなく、性急に手続きだけが進み、球団が消滅するのは納得できない。最後の最後まで話し合いによる努力を重ねていく。」
ダイエー松中会長
「(ダイエーの単独チームについては)福岡のファン、九州のファンも望んでいるのでまずはひと安心。でもウチがいいからほかはいいとかではない。」

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高裁がNPBに異例の注文

◇「国民の信頼失う。もっと誠実に」

オリックスと近鉄の球団合併をめぐり、労組日本プロ野球選手会が日本プロ野球組織(NPB)との団体交渉権の確認を求めた仮処分申請について、東京高裁は8日、NPBに「団交で誠実交渉義務を尽くさねば埠頭労働行為にもなる」と異例の注文を付けた上で、選手会の即時抗告を棄却した。

原田和徳裁判長は決定理由で、選手会の団交権を認めた上で「2球団統合には選手の労働条件を左右する部分があり、義務的団交事項に当たる」と指摘。「NPBがこの判断を尊重すれば、9日からの交渉で実質的な団交が行われることが期待できる」として、仮処分で認める必要性まではないと判断した。さらに「これまでNPBの対応は誠実さを欠いていた」と批判。「誠実に交渉しなければ野球の権威に対する国民の信頼を失いかねない」と厳しい警告も発した。

選手会側は8月末、経営者と選手間で契約に関する事項を決める特別委員会の議決なしに球団合併の承認をしないことなどをNPBに求める仮処分を申請した。東京地裁は9月3日「承認は特別委の議決事項ではない」と申し立てを棄却した。東京高裁は6日、特別委に関する選手会側の即時抗告を棄却。団交権確認については心理を分離し、判断を先送りしていた。

◇「選手契約」は対話

東京高裁のこの日の決定を受けて、NPB首脳は、今後選手会側と誠実に交渉していく考えを示した。「選手契約に関する部分については(選手会と)話し合いを持っていくことになるでしょう」と話した。ただし、今回の合併問題と同じように「経営に関する部分と労働条件に関する部分をしっかり分けることが必要になってくる」と付け加えた。

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再編消えてない!新たな合併まだ可能[報知]

◇29日に再び臨時オーナー会議

来季からの交流戦を審議するため今月29日に再び臨時オーナー会議を開くことを決めたが、滝鼻議長は、まだ再編の可能性が残されていることを示唆した。「今の日本の経済の状況を考えると、何が起こるか分からない。万が一、球団が消滅したり、その他の動きがあったときに機動的に審議したい」と経営から撤退する球団が出る可能性をにおわせながら、今後は緊急事態に備えて随時、臨時オーナー会議を開催していくことを明かした。

滝鼻議長は「具体的な動きが目の前にあって決定した訳ではない。一般的かつ抽象的にオーナー会議の機能を確認しただけ」と具体的なテーマはないことを強調。しかし、野球協約第31条(新たな参加資格の取得、または譲渡、球団保有者の変更)には、参加しようとする球団は「前年の11月30日までに実行委員会およびオーナー会議の承認を得なければならない」と記されており、協約上は、まだもう1組の合併の承認は可能となる。

想定される緊急事態は、本社が自主再建か、産業再生機構を活用するかで揺れているダイエーだ。単独で球団を保有する意向に変わりはないものの、中内オーナーはこの日、「(緊急事態は)ダイエー問題だと思う。何らかの形で球団を持たなくなった場合だと思います」と、予断を許さない状況であることを認めた。

ダイエーとロッテの合併の“仲介役”と見られている西武・堤オーナーは「現時点ではダイエーとロッテとの合併はないということでしょうね。現時点では6対5で2リーグ制。これからまた何か重大な変化があれば、そのときに対応する」と“現時点”を強調し、再編に含みを持たせた。

今後、臨時オーナー会議が開かれた際、ロッテ・ダイエー合併を含めた再編問題がまた浮上するのか。全てはダイエーの動向次第になってきた。

◇西武堤オーナー「スムーズに行くと思っていた。大変残念」

「合併を進めていた球団はダイエーとロッテだった」会議を終え、報道陣の前に姿を現した西武・堤オーナーは質問を待たず、自ら口を開いた。「一時期、かなり進んでいたが、(ダイエーの本体再建問題で)球団の問題を先にやることができなくなった。それで正式にダイエーから断りをもらった」淡々とした口調で「もう1つの合併」が実現できなかったことを説明。「その時点(7月7日)ではもっとスムーズにいくと思っていた。結果的にうまくいかなくて大変残念」と話した。

ロッテの重光オーナー代行も「他球団から背中を押され、パの会長からも文書で早く合併をと言われ、交渉を進めたが、(ダイエー側から)『自主再建できる。継続保有したい』と話があり、今はもう打ち切られている」と交渉があった事実を認めた。

ダイエー・土谷ホークス管掌役員も初めて打診があったことを認めた。8月上旬、ロッテ側から「合併を検討できないだろうか、その気はないか」と話があったことを明かし、「ありません」と答えたという。実質の経営権を譲り渡したとも受け取れるコロニー・キャピタル社と交わした契約の存在も、合併への障害になっていたものと思われる。

◇根来コミッショナーは2組目「時間切れ」

プロ野球の根来泰周コミッショナーが新たな合併について「時間切れ」の判断を下した。同コミッショナーはオーナー会議の席上「2組目の合併と言うが、事務的に試合日程の組み合わせを決めたり、球場の確保など難しい面がある。今後のスケジュールが立ち難い」と発言。来季の2リーグ制維持を推進する発言をした。「事務方を代理して発言した。時間的に間に合わないだろう」と根来コミッショナー。今後、第2の合併が出てくる可能性は低いとしながらも「心配しているのはアクシデントが起こった時。ストで経営に嫌気がさし、解散というところが出るかもしれない。また、こういう時代だから、どこかから(問題が)降ってきた場合、もう1度、相談しなければならないがね」と、ダイエー本社の動きに注意を払っていることをうかがわせた。

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スト回避へ機構側、加盟料緩和へ[報知]

◇保証金制度導入協約改正へ

各オーナーは、参入の障壁となっている新規加盟料を緩和する方針を固めた。新参加球団に対する加盟料60億円と参加料30億円について、滝鼻議長は「再検討しなければいけない」と明言。また、加盟希望企業を審議する第3者機関の設置へ向けても、ヤクルトから提案がなされた。

選手会は「新規参入要件の緩和」をスト回避の条件に挙げており、「第3者機関の設置」も希望しているとみられる。6日の実行委員会では「60億円、30億円以内で必要と決めた金額を払う」と状況に応じて金額を決めるとした。ヤクルト・堀オーナーは「売名目的などがないように、(加盟料を)保証金という形で担保して、10年、20年とプロ野球界に貢献したら返金するのはどうか」と提案し、中日・白井オーナーらも大筋で同調。また、堀オーナーは第3者機関の設置についても「資格審査委員会を作ってはどうか」と発言、参入障壁撤廃に積極的な姿勢を見せた。加盟料に関する野球協約が、11月のオーナー会議で改正される可能性が高まった。

◇「代表者に裁量権を」滝鼻オーナーが異例要望

議長を務めた巨人・滝鼻オーナーが、ストライキ回避に向け、各球団オーナーに対して異例の要望を出した。

協議・交渉委員会には各球団の代表クラスが出席するが、同オーナーは「交渉における代表者には、一定程度の裁量権を与えてほしい」と、11球団の出席者に切々と訴えた。オリックスと近鉄の合併を審議する実行委員会は、再三開催されながら、進展のないケースが目立った。「何か議論になると『本社に持ち帰る』とか『オーナーに聞いてみる』と、なりがちだったと聞いている。(協議・交渉委員会では)そういう時間はない」と同オーナー。2日間という限られた時間で「活発な議論をして、実りあるものにしてほしい」と呼び掛けた。

◇スト決行なら損害賠償請求へ

オーナー会議では、選手会がストライキを決行すれば、損害賠償請求を検討することを確認した。6日の実行委員会でも違法ストの可能性を示唆して牽制したが、この方向性に各オーナーも同調した。

ロッテ・重光オーナー代行は「(ストの理由が選手の)雇用の話ならいいが、合併そのものを言うなら経営権の侵害だ」と強く主張。オリックス・宮内オーナーも「不思議なストだ。1番最初に各球団に全選手の雇用確保をお願いしているのに。ストによって迷惑をこうむるのはファンではないのか」と合併反対を訴え、球団経営を侵害する姿勢に疑問を投げかけた。

7日にはNPBが選手会に対して「違法ストライキであり、損害賠償請求も検討せざるを得ない」と回答書を送付。既に各球団がストの場合の損害額を個別に試算している。9日に行われる協議・交渉委員会で双方の妥結点が見いだせなければ、泥沼の法廷闘争に発展する可能性もある。

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選手会強気、高裁が認めた、9日「団交」[報知]

◇スト決行か 機構側は回避へ加盟料緩和の方針

ストライキ決行か、回避か−。労組・日本プロ野球選手会とNPB(日本プロ野球組織)との協議・交渉委員会が9、10の両日、大阪市内で行われる。8日に東京高裁が選手会に団交権があることを認めたため、選手会サイドは日本球界初のストライキへ強気の姿勢を示した。一方、機構側は会議に出席する球団代表に従来以上の“裁量権”を与え、少しでも実りある話し合いにすることを決定。スト決行のタイムリミットとなる10日午後5時までに、進展が見られるのか注目される。

◇機構側が代表者に“裁量権”、2日間実りある話し合いへ

選手会の松原徹事務局長は、オリックスと近鉄の統合が正式承認されたことについて「性急に手続きだけが進み、球団が消滅するのは納得できない。正式な団交を踏まないでこういう重要なことを決めていいのでしょうか」と怒りをあらわにした。強気な発言は、東京高裁が9、10日の話し合いを正式に団交と認めるという、司法判断の後ろ盾ができたからだ。

選手会は6日の臨時運営委員会で統合の1年間凍結がかなわなければ11日から9月中の毎週土、日曜日のスト決行を決議した。その上で、古田会長は「新しい企業が入って6対6ならストを回避する可能性はあると思います」と妥協案を示すなど、必ずしも“まずストありき”ではないことも強調した。

その主張を受け入れるように、この日のオーナー会議では要求していた「新規参入要件の緩和」が議題に上がり、加盟料、参加料が見直されることになった。「我々が活動してきた成果といえる。ファンの声が届いた証拠でしょう。加盟料の見直しは、明るい見通し。5球団のものが4球団になるのではなく、6球団にできる」と同事務局長は喜んだ。

NPB側は加盟料、参加料を見直すことによって、選手会に譲歩の姿勢を見せているが、それと引き換えに1年間凍結を安易に妥協するつもりはない。ただ「統合承認が覆らなければストは回避できないか」との問いに同事務局長は「我々も誠実に交渉しますから」と含みを持たせた。

一方、オーナー会議の議長を務めた巨人・滝鼻オーナーは、ストライキ回避に向け、各球団オーナーに対して異例の要望を出した。協議・交渉委員会には各球団の代表クラスが出席するが、同オーナーは「交渉における代表者には、一定程度の裁量権を与えてほしい」と、11球団の出席者に切々と訴えた。

オリックスと近鉄の合併を審議する実行委員会は、再三開催されながら、進展のないケースが目立った。「何か議論になると『本社に持ち帰る』とか『オーナーに聞いてみる』と、なりがちだったと聞いている。(協議・交渉委員会では)そういう時間はない」と同オーナー。2日間という限られた時間で「活発な議論をして、実りあるものにしてほしい」と呼び掛けた。

◇機構側に注文「誠実交渉を」

オリックスと近鉄の合併をめぐり労働組合・日本プロ野球選手会が日本プロ野球組織(NPB)との団体交渉権の確認を求めた仮処分申請について、東京高裁は8日、NPBに「団交で誠実交渉義務を尽くさねば不当労働行為にもなる」と異例の注文を付けた上で、選手会の即時抗告を棄却する決定をした。

原田和徳裁判長は決定理由で、選手会の団交権を認めた上で「2球団統合には選手の労働条件を左右する部分があり、義務的団交事項に当たる」と指摘。「NPBがこの判断を尊重すれば、9日からの交渉で実質的な団交が行われることが期待できる」として、あえて仮処分で認める必要性まではないと判断した。さらに「これまでNPBの対応は誠実さを欠いていた」と批判。「誠実に交渉しなければ野球の権威に対する国民の信頼を失いかねない」と厳しい警告も発した。

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来季「パ5」「セ6」オリ近合併承認[報知]

◇変則2リーグ交流戦実施

プロ野球の臨時オーナー会議(滝鼻卓雄議長=巨人オーナー)が8日、東京都内のホテルで開催され、オリックスと近鉄の合併を正式承認した。ロッテ、ダイエーの組み合わせが有力視されていた新たな合併については、西武・堤義明オーナーが「進展が見られない」と発言。来季はセ6球団、パ5球団の2リーグ制で運営することが確認された。また今月29日に臨時オーナー会議を再度、招集。セ、パの交流戦実施について話し合うことになった。

およそ630人の報道陣が、会議の行方を見守った。オリックス、近鉄に続く新たな合併は発表されるのか。来季のリーグ運営方法は…。約3時間の会議を終えて、会見に臨んだ滝鼻議長は、静かな口調で切り出した。「オリックス、近鉄の統合(合併)について、実行委員会通りに承認されました」6月13日に表面化した両球団の合併が球界で正式に承認されたことを、まず明かした。野球協約の改正、加盟料、参加料の見直しについて説明した後、新たな合併について言及した。「堤オーナーから『新たな統合について進展は見られない』との報告があった。これを基本として、来季は今日の段階ではセ6、パ5の2リーグ制でプロ野球の運営を進めていくことを確認しました」球界再編問題に、一応の結論が出た。

会議ではオリックス、近鉄の合併承認に異論が出たという。中日・白井オーナーが「もう少し議論が必要では」と主張。しかし、合併反対は経営権侵害になること、また2リーグ制の維持、合併反対を訴え、スト行使を決意している労組・日本プロ野球選手会への説明をしっかり行うことを確認して採決に入った。当該球団オーナーは採決を外れ、実行委員会で「市民球団という性質上、市民の声は無視できない」という理由から棄権した広島の松田オーナーは、この日も棄権。それ以外の9球団は全員、賛成で、1957年オフ、毎日、大映が合併して大毎となった以来の球団合併が完成した。

新たな合併については、滝鼻議長が堤オーナーに進捗状況の報告を求めたが「進展なし」との答え。会議後、堤オーナーはダイエーとロッテを軸にペアリングが進んでいたことを明かしたが、ダイエー本社の再建に絡んでとん挫したことを認めた。これにより、来季はセ6、パ5球団という2リーグ制での運営が決まった。5球団での変則的な運営を余儀なくされるパに対して、滝鼻議長は今月29日に臨時オーナー会議を招集。交流戦実施の検討を求めている。これに対して、セのオーナーからあからさまな反対は出なかった。しかし、不規則な形での2リーグ制維持、交流戦が導入されたとしても、パ・リーグの経営状態が向上する可能性は薄い。球界再編の動きが継続する可能性を秘めつつ、オーナー会議は終わった。

◇巨人戦だけが光明…パ苦渋の決断

もう1つの合併を成立させ、10球団での球界再編を主張していたパ・リーグ各球団にとって、セ6、パ5の2リーグは望むべき結論ではなかった。近鉄の小林球団社長は「仕方ないですね。1リーグになると思っていたのですが、不自然になりますね」と苦渋の色をにじませた。

しかし、交流戦の実施が検討されることとなり、最悪の事態は免れた。日本ハムの小嶋オーナー代行は「今のまま(交流戦がない状況)では、輪をかけて苦しくなる。セの協力を得ながら、少しでも多く組んでもらえたらと思います」。巨人戦というドル箱カードを含む、これまでになかったカードを主催できることが、パ・リーグにとって一筋の光明となった。

それでも、5球団でのリーグ運営では、必ず1チームが試合を組めず、飛び飛びの日程になる。さらにカード数が1つ減り、マンネリ化が進むことも懸念される。29日の臨時オーナー会議で、どこまでセ・リーグ側の協力を取り付けることができるか。パ・リーグにとっては、今後の球団経営を左右する正念場となる。

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巨人・滝鼻オーナーが“再編第2ラウンド”へ布石[サンスポ]

巨人は動かなかった。しかし今後に、含みを残した。滝鼻卓雄オーナーが、就任1ヶ月足らずで迎えたオーナー会議で議長を務めた。「動」の渡辺恒雄前オーナーに比べれば、「静」のイメージが強かったが、野球協約の改正で布石を打った。

滝鼻オーナー
「前回会議でも話し合っていたことだが、オーナー会議議長の球団が案件に利害関係がある場合、一時的にコミッショナーが議事を整理することができる、という項目です。しかし今日は、コミッショナーに委任する案件はなかった。」

利害関係のある案件でコミッショナーに議事を一任する、協約23条への追加条項。つまり、9月29日と11月2日に予定される今年のオーナー会議で、巨人に直接利害のある案件では、議長をコミッショナーに一任するというものだ。オーナー会議の公平性を維持することが目的とみられる。

だが、根来コミッショナーの就任後、渡辺前オーナーは「コミッショナー権限の強化」を念頭に置いた協約改正を目指していたという。渡辺氏と根来氏は、8月下旬に相次いで、2リーグ制維持への強い決意を表明した。しかも、渡辺氏は10球団を前提に「巨人のパ・リーグ移籍案」もほのめかしていた。その「パ移籍案」はこの日、話題にすら上らなかった。それでも、球界再編が「緊急事態」を想定した第2ラウンドに突入したのは事実。この条項の追加は、今後への布石ととれなくもない。有事の際には巨人が動く、という不気味さを漂わせた。

オーナー会議
12球団のオーナーで構成され、定例では7月と11月の年2度、開催されている。野球協約によると、コミッショナーの選任、球団の譲渡など、重要事項について審議決定する。議決には出席者全員の4分の3以上の同意が必要。オーナーの互選によって議長が選出され、現在は巨人・滝鼻卓雄オーナーが議長を務める。セ・リーグ6球団はオーナー本人が出席しているケースが多いのに対し、パ・リーグは代行者を立てることが多い。

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古田会長「スト予定は変更ない」…徹底抗戦の選手会[サンスポ]

労組・日本プロ野球選手会の古田敦也会長は8日、オーナー会議でオリックスと近鉄の合併が正式承認されたことを受けて「残念。(スト予定は)変更ない」と、11日からスト突入する覚悟を明かした。選手会ではもう1つの合併についても見送りは単なる時間稼ぎで「先が読める」(巨人・仁志)と不信感を募らせている。これに対して、日本プロ野球組織(NPB)は9日、協議交渉委員会で選手会と話し合いに臨むが、ストによる損害賠償請求などもチラつかせて、回避に全力を挙げるとしている。

淡々とした口調に、むしろ揺るがぬ決意が表れていた。阪神戦を終えたばかりの古田会長はユニホーム姿のまま、報道陣に冷静に対応した。

古田会長
「残念な結果です。ストについては月曜日(6日、選手会臨時運営委員会)に、みんなで決めたことから変更はありません。」

予め予想された結果に、寂しそうな表情で話し始めた。表面的にはもう1つの合併も見送られた格好だが、古田会長の返答は断固として「NO」。前日には「12球団が存続する道があれば(ストを)回避する可能性はある」と軟化の姿勢も見せていたが、実際に決議された内容は選手会にも“この先にある、さらなる球界再編”を予感させるものでしかなかった。

合併凍結などとともに選手会が訴えていた新規参入の障害となる60億円の参加料は、緩和の形で検討が約束されたが「(オーナー会議は)最高の決定機関なのに『この先検討します』では…。60億円が55億円になるだけかも」と不信感ばかりが先に立つ。古田だけではない。再編の中心となるはずの巨人の選手からも異議の声は挙がった。「選手会の要望と食い違っている。妥協すべきじゃない。(もう1つの合併も)今のところないというだけで、先が読める」とは巨人選手会の副会長を務める仁志。9日の協議交渉委でも選手会側は「条件闘争になることはあり得ない」(古田)と徹底的に争い、スト突入は既に避けられない情勢であることを明かした。

ただ、NPB側では参加料の緩和などで“歩み寄り”を見せたことに加えて「(合併という)経営判断がどうしてストにつながるのか、理解できない」とオリックス・宮内オーナー。「ストが実行された場合、損害賠償を請求する方向で検討する」(巨人・滝鼻オーナー)と50億円を超える損害賠償をチラつかせ、硬軟織り交ぜて選手会を揺さぶる構えだ。経営者側は9日からの協議交渉委でも「出席する各球団代表クラスにはある程度の裁量権を与え、スト回避に全力を尽くす」(同)とさらに歩み寄りの条件を用意しているが、古田は「僕達を最後の砦だと思ってくれている人もいる。簡単には終われない」。ストだけは絶対に避けたい経営者側と徹底抗戦の選手会。ギリギリの攻防が展開される。

◇選手会の要求(スト決行要件)とオーナー会議の対応

(1)
近鉄とオリックスの球団統合の1年間凍結→×
(2)
新規参入要件の緩和(加盟料、参加料の撤廃または大幅緩和。加盟・参加承認要件の明確化)→○
(3)
現行ドラフト制度の抜本改革(完全ウエーバー化)→−
(4)
球団間の収入分配策の具体的検討(放映権収入の全部、または一部集中管理)→−
労組・日本プロ野球選手会の立浪副会長(中日)
「あと2日あるので話し合っていくしかない。合併が凍結されなければストと決めているので(選手の意思を問う)予定はない。」
中日・井端選手会長
「(合併凍結が)受け入れられなかったのでストはやるでしょう。2、3日やってみてそれで駄目なら、無期限ストライキになるかもしれない。」
巨人・上原選手会副会長
「(球界の)トップの人と話し合える場が欲しい。聞く耳持たずで勝手に進められている。とことん話し合ってやるべきだと思う。」
広島・浅井副会長
「とりあえず連絡があると思う。ただ、一昨日(6日の選手会臨時運営委員会)の決め事としては1番に、1年間の合併凍結というのがあった。報道を見る限りではストの可能性が確実だと思う。試合をしたいという気持ちは大前提にある。好きこのんで(試合を)やらない訳じゃない。ストするとはいっていたけど、することになると、残念な気持ち。選手もそうだし、ファンもそうでしょう。」
横浜・鈴木尚会長
「12球団一丸となって、古田さんの指示に従ってやっていくというのが結論。ウチの選手の意思は確認している。予想通りといえば、予想通り。一昨日の会議(6日の選手会臨時運営委員会)で、こういうこと(合併承認)を想定しながら、やってきた。事務局と弁護士、古田さんが判断して、連絡がくると思う。」
オリックス・三輪選手会長
「覚悟はしていたが、何とも言えない心境。(9日の委員会は)誠意ある話し合いになることを期待する。」
近鉄・礒部選手会長
「(協議交渉委員会では)交流試合の話よりも、加盟料引き下げをお願いしたい。僕ら選手会が言っているのは、来年12チームでできるようにということなので。」
日本ハム・小笠原選手会長
「(ストまで)あと2日あるので、何とか話し合っていきたい。お互いに納得できる、意味のある話し合いをしたい。」
西武・和田選手会長
「話し合いの中で歩み寄りがあるかも知れない。色々な状況があるので、今の段階では何も言えない。」
労組・日本プロ野球選手会の松原事務局長
「協議の機会もなく、性急に手続きだけが進み、球団が消滅するのは納得できない。選手会は最後の最後まで話し合いによる努力を重ねていく。」

◇損失総額は103億円

9月中の土、日曜日にストが実施された場合、経済損失の総額は103億2000万円に上るとの試算を、大阪府立大学経済学部の宮本勝浩教授のグループがまとめた。球場周辺の店舗や交通機関などの収入、アルバイト従業員の給与なども含め、ストが直接影響を及ぼす1次波及効果は約81億7000万円。そのうち、平均的な入場料(セ=3600円、パ=2500円)を試合数、観客動員数に掛けた入場料収入の総額が約28億8000万円。球場内で販売される飲食品や球団グッズの売り上げは、観客1人が2000円を支出したとして計約17億9000万円となっている。従業員がバイト代を使う消費など2次波及効果は約21億5000万円。一方、野球協約の減額規定に基づき、スト実施で球団側が選手に支払う必要がなくなる年俸の合計は約4億9000万円と試算した。

◇東京高裁が選手会の団交権認める

オリックスと近鉄の球団合併をめぐり、労働組合・日本プロ野球選手会が日本プロ野球組織(NPB)との団体交渉権の確認を求めた仮処分申請について、東京高裁は8日、NPBに「団交で誠実交渉義務を尽くさねば不当労働行為にもなる」と異例の注文を付けた上で、選手会の即時抗告を棄却する決定をした。

原田和徳裁判長は決定理由で、選手会の団交権を認めた上で「2球団統合には選手の労働条件を左右する部分があり、義務的団交事項に当たる」と指摘。「NPBがこの判断を尊重すれば、9日からの交渉で実質的な団交が行われることが期待できる」として、あえて仮処分で認める必要性まではないと判断した。さらに「これまでNPBの対応は誠実さを欠いていた」と批判。「誠実に交渉しなければ野球の権威に対する国民の信頼を失いかねない」と厳しい警告も発した。

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セ6パ5は“仮発表”…ダイエー、ロッテ合併消えてない[サンスポ]

12球団の臨時オーナー会議が8日、都内のホテルで開かれ、7月7日に示された「もう1組の合併」は発表されず、来季はセ6球団、パ5球団での交流戦を含む2リーグ制で臨むことが確認された。もっとも、緊急事態発生時には機動的に審議することで一致。5球団ではパ各球団とも壊滅的な打撃が予想される。特に、本社の産業再生機構入りの可能性が高いダイエーが再びターゲットとなり、ロッテとの合併再燃は必至。今回、下された結論は“ダイエーの有事待ち”。球界再編劇は、終わっていない。

水面下で進められたもう1組の合併は、発表されなかった。「進行中といわれた新たな合併については、堤オーナーから『進展がみられない』とご報告がありました。今日の段階では来季はセ6、パ5チームで運営していくことで確認されました」。議長の巨人・滝鼻オーナーが説明した。1リーグ移行も、巨人のパ移籍を含めた両リーグ再編も、時間切れ。

しかし、滝鼻議長の「今日の段階」という発言に、含みがあった。「万が一、球団が消滅するなどの動きが出た場合は機動的に審議していこうということです」。つまり、意図的な合併はタイムリミットでも、破綻、もしくは経営から手を引く球団が出てきた場合、新たな合併統合はありうる。そのターゲットはやはり、ダイエーだった。

7月7日のオーナー会議で西武・堤オーナーから示された、新たな1ペア。本社が1兆円強の有利子負債を抱えるダイエーの球団経営撤退をにらんだ発言だった。ロッテが合併に動いたが、ダイエーは拒否。1リーグ移行や、巨人のパ移籍などリーグ再編成となれば、巨人戦の放映権料などで大幅な収益増が見込める。売却するにしても、数十億単位で額が変わってくる。ダイエーが売却に応じなかった理由は、そこにあった。

しかし、5球団で行うとなれば、目算に狂いが生じる。パがシミュレーションしている108試合制(協約では120試合以上とあることから改正が必要)では、今季より27試合少なく、入場収入、放映権で10億円以上の減収となり、健全といわれた球団経営がグラつくことは、容易に想像できる。ダイエー本社が支援を要請する可能性が高い産業再生機構が、子会社である球団の赤字まで補填することは考えられず、ロッテとの合併話が再燃するはずだ。

ダイエー・中内オーナーも「緊急事態が起きた場合は再度、オーナー会議を開いて対応します。緊急事態とは?ダイエー本社が何らかの理由で球団がもてなくなった場合です」と単独での球団保有を喜ぶどころか、今後に危機感を漂わせた。協約上の譲渡、または新規参加球団の期限は、11月30日。それまでにパが1球団減少した場合は巨人・渡辺前オーナーやパ各オーナーが理想とするリーグ再編が、浮かび上がってくる。

11球団による2リーグ制維持は、時間切れを装ったカムフラージュ。9月29日に設定された次回のオーナー会議までに、ダイエーの新たな動きを受けて、ロッテとの合併が議論される…。球界の行く末はダイエーの“有事”待ちのまま、依然、不透明な状態が続く。

ロッテ・重光昭夫オーナー代行
「前回(7月7日)のオーナー会議の前くらいからコンタクトをとり始め、何回かに渡って私自身も直接、接触したことがございます。(球団数が)奇数になると常に1チームが4日間ほど遊ぶことになり、135試合が108試合になりますので、収入が壊滅的打撃を受けることになります。リーグ全体で(ダイエーとの合併を)やってみてはどうかという話もあり、球界の意向を受けた状況でしたが、先方の方で『会社自体は自主債権ができる。球団については継続保有したい。野球は自分達の本業である』とおっしゃられており、現時点では打ち切りました。今後?仮定の話になりますんで…。ウチとしては(合併に対し)オープンに、野球界全体のために考えていきたいと思っています。」
西武・堤義明オーナー
「セ6チーム、パ5チームで来シーズンはいかざるをえない、というのが現状です。これから何か重大な変化があれば、そのときに対応するということ。(7月7日のオーナー会議での発言は)当事者(ロッテ、ダイエー)で言えない立場がありましたから、私がチーム名を隠して合併の話をして、皆さんにご理解いただいたということ。この時点ではもっとスムーズにいくと思ったんですよ。結果的にうまくいかなくて、大変、残念なことでした。将来の話は、また少し落ち着いてからゆっくり(していきたい)。」
近畿日本鉄道・山口昌紀社長
「統合が承認され、現在取り組んでいる近鉄グループの経営改革にも1つのめどがついた。各球団オーナー、関係者に厚くお礼申し上げる。」
オリックス・中村勝広GM
「新チームの編成に本格的に着手する。(監督の決定は)社長と相談し、シーズンが終わってから、できるだけ早い時期にと思っている。」

◇野球協約(抜粋)

第三十一条
(新たな参加資格の取得、または譲渡、球団保有者の変更)新たにこの組織の参加資格を取得しようとする球団は、その球団が参加しようとする年度連盟選手権試合の行われる年の前年の11月30日までに実行委員会およびオーナー会議の承認を得なければならない。既にこの組織に参加している球団が左記の各号のいずれかに該当するときも同様とする。ただし特別の事情がある場合は、実行委員会はこの期限を延期することができる。
第五十七条
(連盟の応急措置)ある球団の事情により、その球団の選手、監督、コーチの全員が、この協約の拘束力の外におかれるおそれがある場合、この組織の秩序維持のため、応急措置として所属連盟がこれらの選手、監督ならびにコーチの全員を一時保有することができる。このような事態が年度連盟選手権試合シーズン中に発生した場合には、シーズン終了の日から、またシーズン終了後に発生した場合には発生の日から30日間を超えて、前項の措置を継続してはならない。

◇オーナー会議・主な決議事項

合併承認
オリックスと近鉄の球団合併を正式承認。全会一致ではなく、広島・松田オーナーが承認を棄権。
新たな合併
西武・堤オーナーから7月7日のオーナー会議で提示された「もう1つの球団合併」について、同オーナーが「進展がみられない」と報告。来季はセ6、パ5の11球団による2リーグで運営することを確認。
交流試合
来季のセ・パ交流試合の導入などを議題とし、29日に再び臨時オーナー会議を招集する。
協約改正(1)コミッショナー権限強化
オーナー会議議長が会議の議題において利害関係にあるとき、コミッショナーが議事を進行するなどの権限を持つ(この日から即日発効)。
協約改正(2)加盟料、参加料の緩和
新球団の加盟料60億円、譲り受けなど参加料30億円は緩和の方向で検討。具体案は実行委員会で協議する。

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来季は2リーグ維持、セ6、パ5で交流戦実施[スポニチ]

プロ野球の臨時オーナー会議が8日、都内のホテルで行われ、変則的ながら来季はセ・リーグ6球団、パ・リーグ5球団で2リーグ制を維持することを決め、同時に史上初めて両リーグの交流戦を導入することを決めた。同会議ではオリックス、近鉄の合併が正式承認されたものの、パ・リーグ側から“もう1つの合併”が提示されなかったことで、2リーグ制の維持を決断。紆余曲折の球界再編問題に一応の決着がつけられた。

球界の未来を決める“運命の1日”。700人以上の報道陣が詰めかけ、緊張した空気が張り詰める。その中で行われた約3時間の臨時オーナー会議。閉会後、議長を務めた巨人・滝鼻オーナーが第一声を切り出した。「来シーズンにつきましては今日の段階ではセ・リーグ6チーム、パ・リーグ5チームの2リーグ制で運営を進めて参りたいとオーナー会議で決定しました」。

混迷を極めた球界再編問題に、セ6、パ5球団での変則2リーグ制維持という結論が出された。同会議で最大の注目だったのが7月7日のオーナー会議での西武・堤オーナーの発言が発端となった“もう1つの合併”。当初はダイエーとロッテの合併が最有力視された。しかしダイエー本社の再建問題が絡んで長期化。ロッテ・重光オーナー代行がダイエー本社役員と交渉を重ねたが、自主再建を目指すダイエー側は「野球は自分達の本業」と球団の継続保有を譲らず合併を拒否。ロッテとダイエーの合併が不調に終わった場合に備え、8月下旬からは西武とロッテの両球団が交渉を始めたが物別れに終わっていた。

このため2日のパ・リーグ緊急理事会後には小池会長、小林理事長が連名でダイエー、ロッテ両球団に早急に合併を成立するように文書で通達。そのなかで前日にダイエー本社から「合併はできない」との正式な断りが重光オーナー代行のもとに入った。このためこの日のオーナー会議では堤オーナーが「新たな進展が見られない」と苦渋の回答。もう1つの合併が提示されなかったことで、パ・リーグは同会議でオリックス、近鉄の合併が正式承認されただけの1球団削減にとどまり、来季は5球団。オーナー会議は第2の合併交渉は“時間切れ”との判断で、来季は11球団による2リーグ制を決断した。

ただ、5球団での運営を迫られるパを経営的に救済する意味で、セ、パ両リーグの交流戦が導入されることになる。プロ野球人気の回復にも新たな対戦カードが必要というのは全オーナーの見解で、29日に開かれる臨時オーナー会議までに実行委員会で具体策の協議に入る。しかし、この日に決定された変則2リーグ制はあくまで暫定的。今後はダイエー本社が産業再生機構活用に踏み切るなどの事態の変化によっては、巨人のパ移籍を前提とした10球団2リーグ制や1リーグ制移行が再審議される可能性が残されている。

◇黄金カードは生まれるが…

交流試合の魅力は何と言っても、これまで日本シリーズでしか見られなかったセ、パのチームによる真剣勝負。カード的には巨人−ダイエー、巨人−西武、さらにパの新球団との対戦など“黄金カード”が生まれるが、一方で弊害も生じる。

パが5球団であるために、交流試合を含めセ、パ5試合行う中で、必ずセまたはパの1チームは試合がなくなる。1カード3試合を1チームが休むことになり、その間のチームはどうするのか。試合のない期間が11球団平等となるよう努めるが、例えば福岡ドームでダイエーが昼間に西武と対戦し、夜は巨人と戦う「変則ダブルヘッダー」の必要性も生じるという。また、優勝争いの佳境で他リーグと試合をすれば日本シリーズをにらんだ戦いで「この試合に勝てば、他リーグの、あのチームと日本シリーズを戦うことになるから…という不正疑惑が生じる心配がある」との指摘もあり、実施時期はシーズン中盤までとなる見込みで、29日の臨時オーナー会議までに検討される。

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古田会長猛反発、スト突入か[スポニチ]

労組・日本プロ野球選手会の古田敦也会長が、臨時オーナー会議で近鉄とオリックスの合併が承認されたことに猛反発した。甲子園での阪神戦を終えた古田は「122万人分の署名を届けて、オーナーがご覧になっての結果ですから残念。簡単に納得できない」と強い口調で言い放った。

労組・選手会は6日の臨時運営委員会で、両球団の合併が1年間凍結されない場合、11日から毎週土日にストライキ決行を決議。古田会長は前日7日には新規参入を促進する条件が整えばストを回避する可能性も示唆したが、突きつけられた現実に「月曜日(6日)に決めたことを変えることはないし進めていきたい。団交で闘争条件を変える?ありません」と言い切った。

オーナー会議では加盟料、参加料の撤廃などについて緩和していくことになったが、古田は「検討するとか可能性があるというのは曖昧。何年かかるか、いくらになるかも分からない」と納得できない様子だ。東京高裁で仮処分申請が棄却されたが「今すぐに(合併を)止めないといけないという仮処分が出なかったというだけ。主張としては間違っていると思っていない」ときっぱり。9日に大阪市内で行われる協議交渉委員会で説明を求めるが「お茶を濁す形は納得できない。(話し合いでの解決に)希望は持っているけど、厳しいものになると思う」と強い姿勢で臨む意向を示した。

巨人高橋由選手会長
「詳しいことはまだ聞いていないので分かりません。ゲームに集中していますから。スト?どうなんでしょうね。分からないです。」
巨人仁志選手会副会長
「結局のところどれも変わっていない。(もう1つの合併がないということも)今日だけは、ということでしょ?何か先が読めるし、選手会は慎重かつ大胆に行動しないといけない。」
巨人上原選手会副会長
「(球界の)トップの人と話し合える場が欲しい。聞く耳持たずで勝手に進められている。とことん話し合ってやるべきだと思う。」
阪神今岡選手会長
「明日、会議(協議交渉委員会)に出ますので…。」
横浜鈴木尚選手会長
「オーナー会議は予想どおりの結論。うちの選手はストを覚悟している。これから先のことを考えると正直、悩む。」
広島浅井選手会副会長
「今の段階ではストは確実だと思う。好きこのんでやる訳じゃないし、選手にとってもファンにとっても残念だ。」
ダイエー松中選手会長
「12球団で来年もということだったので残念。合併が凍結できないならストだと思う。(ダイエーの単独保有は)選手、九州のファンも望んでいる。一安心だが、他はどうでもいいという訳ではない。」
西武和田選手会長
「(合併承認は)ある程度、そうなると予想していた。明日(9日)明後日(10日)と話し合いがあるので、そこで歩み寄りがあるかもしれないし、色々な方向が出てくると思う。今の段階では何も言えない。」
日本ハム小笠原選手会長
「(ストライキに関しては)あと2日あるので、何とか話し合っていきたい。お互いに納得できる、意味のある話し合いをしたい。」
オリックス三輪選手会長
「覚悟はしていたが、何とも言えない心境。(9日の委員会は)誠意ある話し合いになることを期待する。」

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加盟料は撤廃 スト回避へ選手会“説得”[スポニチ]

臨時オーナー会議では野球協約に定められた新規参入する球団に課せられる加盟料60億円と、株式譲渡に伴う参加料30億円を撤廃し、保証金への移行を検討することが決まった。滝鼻議長は「加盟料60億円、参加料30億円は球界内外の各方面からの指摘があり、オーナー会議でも検討することになった」と説明。11月2日のオーナー会議での協約改正を目指すことが全会一致で確認された。

この規定は公正取引委員会も新規参入を阻害する一面があるとして、独占禁止法に抵触する可能性を示していた。根来コミッショナーは「分かりやすく合理的な説明をしないと。取らなきゃいかん企業もあるし、取らなくてもいい企業もある」と使途についても言及。今後、実行委員会で保証金の額や新規参入の資格審査委員会設置などを含め詳細を決めるが、1チームの雇用を確保できる20億〜30億円の間で調整が進められる模様だ。

今回の撤廃方針は9日に大阪で行われる協議交渉委員会の席上、労組・日本プロ野球選手会に伝えられる。前日(7日)、古田会長は加盟料など新規参入条件が緩和された場合「(ストは)回避される可能性はあると思う」と語っている。実行委員会選手会担当の伊藤修顧問は「明日(9日)の選手会との交渉材料ができた」とするなど、機構側は加盟料、参加料撤廃を条件にスト回避を求めることになる。

会議中に滝鼻議長は各オーナーに「各代表に一定の裁量を与えていただきたい」と要望。徹底的に話し合う態勢も整えられた。選手会の求めるドラフトの完全ウエーバー制についても、会議中に今後の検討材料として出されるなど、9日の協議交渉委員会から目が離せなくなった。

◇堀江社長「風向き変わった」

ライブドア・堀江貴文社長も加盟料撤廃などの措置を訴えた。オーナー会議後にテレビ、ラジオと続けて出演し「(加盟料は)高すぎます。Jリーグの加盟に関わる諸費用は2〜3億円。そのぐらいにして欲しい」と話した。オリックスと近鉄の合併承認も、2リーグ制が存続されたことで「風向きは変わってきたと思う。9月中に加盟申請を目指す」。ラジオでは聴取者からの質問に電話で答え「今の帽子、ユニホームを見ても格好悪い。新球団を作りたいと思い、できると確信しているからやってます」と新規参入へ変わらぬ意欲を見せた。

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それでもまだある…ダ・ロ合併の可能性[スポニチ]

臨時オーナー会議はセパ11球団による2リーグ制維持で一致したが、ダイエーを震源とする、球界大再編の危険性は終わってはいない。会場を出たダイエー・中内オーナーは「野球界に緊急事態が起こった場合、オーナー会議を招集することになった。緊急とはダイエーが何らかの形で球団を持てなくなった場合のことだと思う」と衝撃的な発言をした。

ダイエーは7月7日のオーナー会議以降、数度にわたってロッテから合併を申し入れられてきた。ロッテ・重光オーナー代行も「私自身、向こう(ダイエー)の人と何回か接触したことがあります」と認めている。西武・堤オーナーらのバックアップもあり、水面下で調整が進められてきたが、ダイエー本社の産業再生機構活用問題が障害となり球団合併交渉は暗礁に乗り上げてしまった。結局、ダイエー本社の高木社長は再生機構活用を断固として受け入れず、ロッテとの合併話は“時間切れ”となった。

しかしダイエー本社の経営が危機的状況であることは否定できない。本社が再生機構入りを受け入れた場合には、球団保有を続行するのは難しいとの見方は強い。球団売却もしくは、球団合併。球団が破綻することも想定される。オーナー会議では滝鼻議長が9月29日の臨時オーナー会議を招集。議題は「交流試合の審議」だが、今後、3週間でダイエー本社が再生機構入りし、球団に緊急事態が発生した場合には、来季のリーグ編成が再度話し合われる可能性は高い。滝鼻議長は「何が起きるか分からない。万が一球団が消滅するとか、その他の動きが出た場合にはオーナー会議として機動的に動いていこうということを確認した」と含みを持たせた。根来コミッショナーも「球団が自立的に合併するというのは多分起こらないだろうが外から何が起こるか分からない」とダイエー本社の動向次第では球団の存続に影響するとの見方を示した。

ロッテ・重光オーナー代行は「現時点では(ダイエーとの交渉は)終わりです」としながらも「うちはオープンですから、必要があれば、野球界全体のために考えていきたいですね」と今後もダイエーとの合併を検討していくことを明らかにした。球界を襲った激震はひとまず収まったが、大再編のマグマは蠢いている。

◇堤オーナーが謝罪

ダイエー、ロッテの合併が8日までにまとまらなかったことで西武・堤義明オーナーが会議内で各オーナーに謝罪した。26年ぶりに出席した7月7日のオーナー会議で、もう1組の合併話を明かして「1ヶ月前後でめどがつきます」と宣言。両球団の間に立って合併成立に動いてきたが目標にしていたこの日までの結論にこぎつけることはできなかった。会議では合併話がロッテとダイエーであったことを明かした上で「私の力が及ばなかったとすれば申し訳ない」と謝罪した。

会議後、報道陣に囲まれた堤オーナーは「かなり進んでいたがダイエーの再建話が浮上し球団の問題を先にやる状態ではなくなった。結果としてうまくいかなくて非常に残念」と苦渋の表情で状況説明。セ6球団、パ5球団の2リーグでは交流戦が実現してもリーグの窮状は変わらない。「経営は苦しい。大変ですよ」と話した上で「現時点でダイエーとロッテの合併はないということ。また重大な変化があればその時に対応する」と“現時点”を強調した堤オーナー。パ・リーグの盟主として球界のキーマンは今後も水面下で動く構えを見せた。

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