臨時実行委員会では来季から導入する交流試合についても話し合われた。関係者の話を総合すると、140試合制で交流戦は6試合ずつ(主催3、ビジター3)、12試合ずつ(主催6、ビジター6)2パターンの案をベースに話し合われたようだ。8日のオーナー会議で、現段階で来季はセ・リーグ6球団、パ・リーグ5球団の2リーグ制を維持することを決定。11球団での変則的な2リーグ制を維持することを決定。11球団での変則的な2リーグ制となるため、史上初の両リーグの交流戦実施を決めた。議長のセ・リーグ豊蔵一会長は会見で「交流試合の問題を色々議論した。選手会に提示してからじゃないと話をする訳にはいかない。保留にさせていただきます」と試合数の明言を避けた。
1試合でも多くの交流戦を望むパと、セでは意見が食い違った。横浜山中球団専務は「セとパで幅があった。色々なシミュレーションを行った」と振り返った。ヤクルト倉島球団常務は「交流試合の案?2パターン出た。差があった。極論同士のシミュレーションを出すことになる」と説明した。日本ハム小嶋オーナー大旺は「パは交流戦が多い方がいいが、それだけでは球団のエゴになる」と語った。今後、選手会との協議・交渉委員会を経て、決めていく。全体では現時の試合数(セ140、パ135+プレーオフ)をベースに140試合制にまとまるとみられる。
オリックス小泉球団社長は、14日にヤフーで選手全員に球団の経営内容を公開する考えを明かした。9、10日の協議・交渉委員会で「合併を目指す球団はそれぞれの選手に対し、統合に対する説明が足りていないのでは」との指摘を受け、この日の実行委員会後に近鉄小林球団社長と並んで釈明会見。「オーナー会議の後など節目節目で説明し、三輪選手会長にも経営内容は知らせていましたが、そういうことは表面に出にくいんでしょうね。明日あらためてやります」と語った。
オリックス中村GMが秋季キャンプを近鉄と分割で行う見込みを語った。オリックスのキャンプ地はヤフーBBスタジアムに内定したと公表。その上で「10月いっぱいは今年の指導者に見てもらうことになるんだろう。理想は新チームで顔合わせでもやってみたいんだけど、物理的に可能か読めない」。合併問題の推移を見守りながら、新体制づくりを進める模様だ。
大阪府立大経済学部長の宮本勝浩教授は13日、交流試合を導入した場合の各球団の増収金額を試算した。セ6球団、パ5球団の11球団でも試算。パ5球団は軒並み増収、リーグで31億円以上の増収になるが、セ6球団は軒並み減収、リーグで31億円以上の減収との結果が出た。
近鉄、オリックスの合併を1年間凍結し、セ・パ6球団ずつの2リーグで、リーグ内110試合、交流戦36試合の146試合を開催した場合、近鉄の観客収入は前年比2億8065万円の増収、総収入では6億8065万円の増収となる試算結果が出た。しかし、近鉄の赤字は年間約40億円。それでも33億円の赤字が出る計算になる。
宮本教授らのグループは、交流戦を行った場合の観客収入に放送権料、観客の飲食費を計算し、増収額を求めた。セ・リーグでは巨人は増収だが、他球団は減収。パ・リーグでは、交流戦で観客数を伸ばし、軒並み6.8億〜8.3億円の大幅な増収となる。
一方、セ6球団パ5球団の11球団2リーグ制(140試合)では、合併新球団の増収は、約8億4000万円。パ各球団は増収、セ6球団では巨人が881万円の減収でとどまるが、他球団は各球団約4.5〜8.7億円の減収となる。パが5球団になることで3日試合をして4日休みの球団も発生するため、リーグ日程自体が12球団2リーグよりも約1ヶ月も長期化するため運営にも無理が出てくるという。
宮本教授は「どちらにしても、今のやり方ではプロ野球はビジネスとして成立しない。このままでは第2第3の近鉄が出てくる可能性がある」と指摘。「放送決定権をコミッショナーに付与して、人気カードと不人気カードを抱き合わせ販売し、各球団が得た放送権料の2〜3割を日本野球機構に納めるなど、根本的な改革が必要」と警告した。
セ・パ各6球団で交流試合導入 | ||
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観客収入 | 総収入 | |
巨人 | 5億7099 | 8億7099 |
阪神 | 2億3837 | ▼6163 |
中日 | 1億7024 | ▼2億2976 |
ヤクルト | ▼2億8426 | ▼6億8426 |
横浜 | ▼7161 | ▼4億7161 |
広島 | ▼1億2148 | ▼5億2148 |
ダイエー | 4億3010 | 8億3010 |
西武 | 3億2922 | 7億2922 |
近鉄 | 2億8065 | 6億8065 |
日本ハム | 2億8190 | 6億8190 |
ロッテ | 2億9850 | 6億9850 |
オリックス | 2億9893 | 6億9893 |
合計 | 24億2155 | 32億2155 |
セ6・パ5球団で交流試合導入 | ||
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観客収入 | 総収入 | |
巨人 | ▼881 | ▼881 |
阪神 | ▼1億4657 | ▼4億4657 |
中日 | ▼1億5976 | ▼4億5976 |
ヤクルト | ▼4億6739 | ▼8億6739 |
横浜 | ▼2億5619 | ▼6億5619 |
広島 | ▼2億2764 | ▼6億2764 |
ダイエー | 9748 | 4億9748 |
西武 | 1億7747 | 5億7747 |
日本ハム | 2億3234 | 6億3234 |
ロッテ | 2億2365 | 6億2365 |
オリックス | 4億3613 | 8億3613 |
合計 | ▼9929 | 71 |
単位は万円、▼は減収
奥田日本経団連会長はこの日の記者会見で、新規参入問題について「もっとオープンにやればいいと思うが、倫理や雇用契約などの法的な問題も大事。資金問題とは別に、参入する方の資格や資質は十分な審査が必要だ」と述べ、条件付きで認めるべきだとの考えを示した。ベンチャー企業の参入も「新しいセンスがあり、ベンチャーで成功した人が米国のようにオーナーになるのはあっていい」と評価。外資系企業の参入に関しても「野球協約を直せばいいだけの話」と述べた。
シダックス野村克也GM兼監督が「仮にプロ参入した場合でも来季からは厳しい」との私見を示した。13日、東京・調布市内のグラウンドで練習を指導。プロ野球関係者から、チーム実態のあるシダックスの場合は新規参入に問題なしとの声が出ていることに「まだ本境地とかそこまでの話も出ていない。現実問題として来季からは難しいだろうな」と話した。野村監督の来季続投が決定。志太勤会長も8月31日には「プロ参入には興味はある」と話していたが、今後のプロ球界の動向を冷静に見極めながら決断するものとみられる。野村監督は「会長の腹1つ。プロ参入の可能性がなくはないというところだろう」と話していた。
プロ野球12球団の代表者が集まった実行委員会が13日、都内のホテルで行われ、オリックスと近鉄の合併の凍結がないことが再確認された。10日の労使交渉(協議・交渉委員会)で労組・日本プロ野球選手会は「近鉄存続」の可能性を示されたと認識し、先週末に予定したストライキを回避した。しかし、経営者側は、選手会に回答を約束した来季のシミュレーションについて、近鉄存続を前提にした計算を行わなかった。新規参入についても来季の実現には否定的はで、16日に再開される労使交渉は大モメ必至となった。
選手会との溝、認識のズレがさらに鮮明となった。この日の実行委員会は、4時間半に及んだ。選手会によるスト回避に向け、交流試合の実施方法や新規参入条件などを討議したが、オリックス、近鉄の合併については、あらためて「凍結なし」の方針が再確認された。
10日の協議・交渉委員会は、両球団の合併を凍結した場合のシミュレーションを行うなど6項目で暫定合意。会見で古田会長は「近鉄というチームが大阪に残る可能性があるのなら、ストをすることはできない」ということを理由に、11、12日に予定したストライキを回避したはずだった。
ただ3日後のこの日、経営者側は、この方向性を打ち消すかのように、合併の見直しをしない態度を示した。当該チームの近鉄小林球団社長は「(選手会の)認識が違う。撤回?ないです」と、近鉄存続をはっきりと否定した。ダイエー佐藤球団代表も「統合はもう決まったこと」と同調するなど、選手会の受け取り方とは裏腹に、12球団の代表者が既成事実として認めている様子だった。
実際、この日の交流試合の実施方法とそれをもとにしたシミュレーションの検討でも、叩き台を出したのはオリックス、近鉄の2球団で、合併を前提に話し合われた。また、12球団維持をうたう選手会のよりどころの1つである新規参入についても、来季からの実現には否定的な意見が大勢を占めた。選手関係委員会の委員長であるロッテ瀬戸山球団代表は「(合併は)承認されているので簡単には覆らない」とした上で、16日再開の労使交渉では「オリックスと近鉄がこれだけ大変だという経営への理解を(選手会と)深めることになる」と語った。
歩みよりをみせたかにみえた労使関係だったが、スト回避の前提条件は脆くも崩れ去った。各球場に多くのファンが掛け付けた11、12日は単なる「一時休戦」となり、再びスト決行の可能性が高まった。
根来泰周コミッショナーは13日、選手会いよるストライキの行方をあらためて心配していた。
そして「中立といわれているのに、球団側に立ってものを言うようなことはできない」と、今後も選手との話し合いの場に顔を出す意思のないことを強調した。
実行委員会では、選手会側と暫定合意していた「新規参入球団の加盟の促進を積極的に検討する」。具体案も検討された。加盟料、参加料を撤廃し、新規参入の場合の預り保証金制度の金額について、伊藤修選手会担当顧問(中日参与)は「選手の平均年俸は23億円で監督、コーチ、外国人の年俸で30億円を超える。ただ30億円というのは如何なものかという意見も出た」と説明。25億円程度で5年をめどに返還する案が浮上した模様だ。
来週中にも新規参入申請する意向のIT関連企業のライブドアについては「申請があれば受け付ける」と断言した。ただし、新規参入の条件に「今持ってる選手、専用球場は必要条件。また選手の合宿所、室内練習場、2軍のグラウンドがあるのは当然。それがクリアされているか、基本条件なんですから」と強調した。加えて新規参入の際には審査機関を設置する方向。「ドラフトの対応、日程、指定席の準備などを考えると、29日のオーナー会議が(新規参入の)メドになるかな」と見解を示した。
プロ野球12球団の代表が出席する実行委員会が13日、都内のホテルで行われ、労組・日本プロ野球選手会のスト回避に向けて検討するとした交流戦を実施した場合のシミュレーションを協議した。だが、各球団間で交流戦の想定試合数が大きく異なり難航。加盟料や参加料に代わる保証金も25億円前後を預かり金とするなどの案が出されたが、いずれも16日の協議・交渉委員会の前に実行委員会を開催し、再協議されることになった。
選手会がスト回避の前提条件に挙げた「近鉄、オリックスの合併1年凍結」の要求に対し、交流戦を含めたシミュレーションを確約した機構側。しかし、4時間半に及んだ実行委員会では具体的なシミュレーションを作成するまでには至らなかった。
当該球団の近鉄、オリックスは近鉄存続を仮定しての現行のセ6球団、パ6球団で交流戦を導入した試算データを作成して会議に臨んだ。近鉄・小林球団社長は試算の具体的な数字については言及を避けたが「当然、交流戦の分だけ収入は増えるが、それも劇的には変わらない」と断言。約38億円とされる赤字の大幅な削減にはならないとの見解を示した。さらに「選手会とわれわれの認識は明らかに違う。今日の会議でも出たが、合併の撤回はあり得ない」と、このシミュレーション自体がナンセンスであることを強調した。
また近鉄、オリックスを除く他10球団も「近鉄存続を仮定してのシミュレーションは必要なし」との判断から、セ6、パ5で交流戦を実施した場合の試算データのみを用意。しかし、ここでも各球団の思惑が激しく絡み合った。1リーグ制移行を目論んでいたパ・リーグ側は7月に阪神・野崎球団社長が“折衷案”として提案した「パはリーグ戦78試合、交流戦66試合」を逆手に、各カード最大14試合の交流戦を想定すべきと主張。これに対し、交流戦による巨人戦の試合数減の幅を最低限にとどめたいセ側は各カード4試合を想定するなど、両リーグ間でバラつきが目立った。
このため16日の実行委員会で交流戦を各カードともホーム、アウエー各3試合の計6試合、さらに各6試合の計12試合の2パターンで再協議することになった。結局、実行委員会ではシミュレーション用の交流戦の試合数の設定を統一する議論に時間を要しただけ。これで16、17日の協議・交渉委員会までに選手会側が求める誠実な回答が提出できるのだろうか。もし、選手会側が再回答に納得しなければ、最悪の事態となる可能性もある。
実行委員会では加盟料60億円と参加料30億円に代わる保証金の金額などを協議した。保証金の額については公表されなかったが、1球団の選手総年俸を基準に算出されたもようで、約25億円分を預かり金とした上で、5年前後をめどに返還する案が浮上している。実行委の伊藤・選手会担当顧問は「選手年俸は平均して23億円くらいになる。外国人を入れると30億円をはるかに超える。しかし、撤廃した後に30億円を超えるお金を要求するのはどうか。次回ぐらいまでに、それぞれ腹案を持ち寄ることになった」と説明した。
実行委員会の伊藤選手会担当顧問は、新規参入の手続きに関し「ドラフト対応とか、来季の日程等々、年間指定席の発売の準備を考えると、今月の29日のオーナー会議が、まあ1つのメド」と話し、今月下旬が申請のリミットになることを示唆した。
野球協約では新規参入、球団譲渡は11月30日までに承認を得なければならない。しかし、現実には新規参入となればリーグのチーム数の変更、試合日程の大幅な見直しが必要で、11月30日では対応できない。ライブドア社は今月中に新規加盟を申請することを明らかにしているが伊藤顧問は「専用球場はどうか。どういう合宿所があって、室内練習場はどうなのか。安心して選手を預けられる基準が必要。そうでないと選手も不安でしょう」と施設面の充実が申請の前提条件となると指摘。母体となる野球チーム、施設を持たないライブドアが今月中に参入条件を揃えるのは難しいとの見解を示した。
ヤクルト・倉島球団常務が「我々も減らすことだけじゃなくて増やすことも考えないと」と語り、横浜・山中球団専務も「障壁をとっぱらって参入を求めていく」と理解を示すなど、セを中心に広く新規参入を歓迎しようとの声もある。しかし、伊藤顧問は加盟料、参加料に代わる預かり保証金制度導入に伴い、これまで以上に厳格な審査基準が必要との考えを示し「一般論として、役員に暴力団関係者がいないかとか、営業販売において、集団訴訟を起こされていないかとか。そのあたりの審査をしっかりしていかないと」と強調した。ライブドアに限らず9・29がタイムリミットでは、審査基準をクリアしての新規参入は困難で労組・選手会の古田会長が熱望する「12球団」維持は厳しそうだ。
労働組合・日本プロ野球選手会の古田敦也会長は13日、スト回避の条件としてあくまでセ6、パ6の12球団存続にこだわる姿勢を見せた。
全体練習後、都内の自宅に戻った古田会長は近鉄、オリックスの統合の1年間凍結を主張。さらに球界首脳が新規参入に消極的な発言を繰り返していることを批判し「今から新規参入があっても大丈夫。6球団で日程をつくるのは簡単だけど5球団ではメチャクチャ難しい」と語気を強めた。
交流試合を含めたシミュレーションについては「赤字が全部なくなって黒字になるとは誰も思ってないでしょう。今まで赤字でもやってこられていたし、このあたりの赤字までなら大丈夫というラインがあるはず」との見解を示した。
日に日に広がりを見せる経営者側との認識のズレ。16日の協議・交渉委員会で選手会は独自に近鉄存続の場合のシミュレーションを行い、内部資料として交渉の材料とする構え。次回交渉にもスト決行を辞さない強気の姿勢で臨む。
球界への新規参入へ向けた動向が注目されるシダックスの志太勤会長は13日、現時点で参入を考えていないことを明かした。都内で取材に応じた同会長は「参入は考えていない。プロとアマを含めた野球界全体の発展を願うムードがないからね。それに僕なんかのところに要請はない。プロの世界は1つの塊になっていますから。そこにアマが入り込むことは、とてもありえる話じゃないと思う」と話した。
10日の協議・交渉委員会で加盟料・参加料の撤廃が決まり、新規参入への環境は整いつつあるが「名前を変えて保証金というのが出ている。何も改善されていない」と語気を強めた。
それでも、プロ出身の野村監督を招へいするなど、社会人野球の改革と発展に取り組んでおり「球界の発展のために“シダックス、どうしろ”と言われれば、そういう話は野球人として聞きますよ」と、今後の流れ次第では再検討の可能性も示した。
プロ野球実行委員会が13日、都内のホテルで開かれ、労組選手会のストライキ回避に向け、新規参入球団の承認条件や加盟料に代わる保証金の金額などが協議された。保証金額はオーナー会議での30億円よりさらに引き下げられる見込みだが、承認条件としてチームや施設の所有などが確認された。また、承認の期限も次回9月29日のオーナー会議までという意見が多数を占め、新規参入を目指す企業には厳しい条件が課せられた。
門戸は解放するが、試合日程編成上、時間的余裕はない。実行委での議論の中で、新規参入のタイムリミットが確認された。
「9月29日のオーナー会議が、1つのメドになるでしょう。それまでに審査できるかどうか。今ある選手、チームはどうなのか。専有球場の契約、行く選手のための合宿所、室内練習場、2軍施設…。示してくれないと選手も不安でしょうから」。伊藤修・選手会担当顧問が明かした。
参入球団の資格については巨人・桃井球団社長、横浜・山中専務が“新球団の母体となるチームの必要性”を説いた。伊藤顧問も「野村(克也)さんの所(シダックス)のように社会人大会で優勝したとか、実績を示してくれたら審査が早いだろう」と同様の考え。現時点ではライブドアが今月中の申請を表明しているが、同社には母体となるチームがないだけに、来季からの参入はきわめて厳しくなった。
また実行委では、オーナー会議で確認された加盟料60億円、参加料30億円に代わる保証金の金額も協議された。8日のオーナー会議では5億円をプログラムのシステム変更にかかる費用などとして機構に、残り25億円を預かり金とする計30億円が案として出されたが、この日は「選手、監督、コーチの年俸総額は30億円を軽く超えるが、60億円を廃止して、30億円を要求するのはいかがなものか。次回までに腹案を持ち寄ることになった」(同顧問)。16日午前に再度話し合われ、20億円前後を実行委案として、同日午後から行われる選手会との協議交渉委員会(団交)で提示される模様だ。
実行委が労使交渉での合意に基づいて選手会に提示する来季の収支シミュレーションは、4通りになる。『セ6パ5』『セ6パ6』のケースについて、それぞれ交流試合を各カード主催3試合(合計6試合)、6試合(同12試合)の2パターン、計4通りで試算する。この日は交流試合の数について、主催1、2、3、6試合の4案が出されたが、最終的に3試合と6試合で計算することに決まった。
また、労組選手会・古田会長は10日に「近鉄というチームが大阪に残る可能性があるなら、ストはできない」と発言していたが、『セ6パ6』については「近鉄が後戻りする(オリックスとの合併白紙)ようにはしていない」(ヤクルト・倉島球団常務)と、あくまで現状5球団に新規参入球団を加えたケースになる。近鉄・小林球団社長も「認識が違う。(合併の)白紙撤回はない」と、あらためて球団の存続を否定した。豊蔵セ会長は「水曜日までに(試算を)間に合わせて提示します」と選手会側に回答することを明かした。
根来泰周コミッショナーが、スト権行使を切り札とする選手会側に苦言を呈した。「ストを引き金に赤字が累積している球団がお手上げとなり、(リーグ全体が)解散になったら困る。問題は選手が職を失うことだ」。ただ16、17日の労使協議への出席については「僕は中立の立場で、球団側の代表として選手に話すことはできない」との見解を示した。
新規参入について球界に逆風発言が目立つ中、阪神・野崎球団社長は促進派の立場を強調。甲子園球場内の球団事務所で会見を開き「選手会と参入促進をしようということで、ストを回避したはずですから」とコメント。「基本的に選手会との約束は守るべきだと思います。(そうしないと)話がしにくくなるんじゃないか」。2リーグ派の先導役だった同社長は、新規参入に対しても積極的な姿勢だ。
労組日本プロ野球選手会会長のヤクルト・古田敦也選手は13日、「選手が出すものには限界がありますから」と、選手会側も独自の試算を行う一方、経営者側に要望した交流戦を含むシミュレーション案提出を待つ姿勢を強調した。同案は15日に提出される見込みとなったが、選手会の松原事務局長は「正式に文書で報告されてないし、微妙なニュアンスが違ったら失礼」と、くわしい言及は避けた。古田はこの日、ヤクルトのチーム練習に参加。団体交渉などで2週間、休みがなく、若松監督からは欠席が許可されていたが、「僕はタフ。それに仕事ですから」と精力的にフリー打撃などで汗を流した。
プロ野球の臨時実行委員会が13日、東京都内のホテルで開催された。労組・日本プロ野球選手会が計画するストライキ回避に向けて、選手会との合意で決まったセ、パ両リーグによる交流戦シミュレーション、加盟料(60億円)、参加料(30億円)に代わって新規参入球団から徴収する保証金などを協議した。交流戦については各球団間で意見の隔たりがあり、調整が難航。16日の選手会との協議に向け、具体案がまとまるのか不安が残った。
午前中のセ、パ両リーグ理事会、午後からの実行委員会で議論された来季運営方法のシミュレーション。しかし、会議終了後に会見に臨んだ豊蔵一議長(セ会長)は「交流戦に関しては最終結論に至っていない。シミュレーションのための条件の設定を行い、これから計算しようということになった」と話すにとどまった。今週末から、再び週末ごとのストライキを構えている選手会との協議・交渉委員会は16、17日。「水曜日(15日)までには各球団で意見をまとめ、コミッショナー事務局に届けてもらう。木曜日(16日)には選手会に提出できる手はずになっている」と豊蔵議長は説明した。
シミュレーションは「セ6球団、パ6球団」と「セ6球団、パ5球団」で作成、検討された。交流戦の試合数については複数出たが、主催6試合(ロードゲームと合わせて12試合)、主催3試合(ロードと合わせて6試合)を軸に話し合っていくことになった。しかし、セには(主催)2試合、パの中には7試合を主張する球団もあるなど、隔たりは大きかった。
「正直、見当がつかない。名古屋はパ・リーグが馴染みじゃないから…。試合数のトータルは現状(140試合)が基準」と中日・伊藤代表。「現時点ではっきりしているのは放映権料の問題。全国区は巨人戦くらいで、後は高くなることはないでしょうから」と続け、交流戦に対するセ球団の苦しみを表した。一方、パ側は「交流戦は多い方がいいが、それだけでは球団のエゴになる」(日本ハム・小嶋オーナー代行)と慎重な言い回しながら交流戦への積極性をアピールした。
「セ6対パ6の2リーグ制」については、選手会の古田会長が要求しているように近鉄の存続を前提とし、当該球団である近鉄がシミュレーションした。「交流戦の試合数が増えれば、パ・リーグ全体の収益は上がるが、劇的には変わらないと思う。近鉄が残るかも知れないという古田会長とは認識の違いがある。合併球団の方が人件費など収益も改善され、メリットがある」と近鉄・小林球団社長は説明した。他球団も「近鉄から統合の検討(見直し)はしないと言われている」(西武・星野代表)、「パ6の場合、近鉄が残るパターンは含まれていない」(ヤクルト・倉島常務)と消極的な意見ばかりだった。
この日、出た案を各球団がシミュレーションし、16日に再度、持ち寄ることになった。再検討後、選手会に提示されることになるが、どこまで理解を得られるか疑問が残る。
セ・リーグの営業担当者会議が13日、東京・銀座の連盟事務所で行われた。この日の会議は、来季の導入が検討されているセ・パ交流試合が主な議題だったが、試合数など具体的なものは決まらなかった。セ・リーグの薙野企画部長は「(セ)6、(パ)5でやることを想定して、心組みをするための勉強会」と会議の趣旨を説明。試合数に関しては「決めるのは実行委。シミュレーションもしていません」と話し、交流試合の数が決まり次第、正式な日程作りに着手する。
約3時間30分の話し合いでは具体的な試合数、方法は出なかったが、実施時の審判の配置、両リーグで異なる旅費の支給法など、実務的な話題が多かったという。例年なら9月中には翌シーズンの日程が内定しているが、実行委でも決定していないために作業に入れない状況。「早く日程を作成しないと営業のセールスもあるので」と同部長は話し、事柄が決まり次第、臨時の会議を開催する予定だ。
日本プロ野球選手会・古田敦也会長は13日、来季の交流試合導入のシミュレーションについて、選手会独自の試算は公表しない考えを示した。
10日の協議・交渉委員会の合意事項の中で、NPBは「交流試合の導入を踏まえた来季の影響など諸問題について、具体的分析を行ったうえで、速やかに回答する」と確約。一方で、選手会も独自の試算を行うとしていたが、古田会長は「(シミュレーションを)選手が出すにしても限界がある」とトーンダウン。「経営者サイドに提出する?それは分からないが、自分達の中で資料として持っておきます」と話した。
選手会としては近鉄存続の可能性を実証できるチャンスだが、試算結果を出すことでストライキの決断を前に、NPBと新たな溝が生まれるのを嫌ったと考えられる。NPBの試算は16日の協議・交渉委員会で提示される。古田会長は「期待していますよ」と、まずは相手の意見を尊重する考えだ。
また、古田会長はこの日、NHKのインタビューに答え、近鉄・オリックスの合併凍結が不可能な場合、「新規参入を促してもらい、6球団目のチャンスがあるなら考えてもらいたい。選手がいないから駄目ではなく、選手は(合併の影響で)余っているんだから」と、改めて将来的な12球団復活がストライキ回避の条件となることを強調した。
広島の西山秀二選手会長は13日、広島市内で開かれた連合広島の会合に出席、近鉄とオリックスの球団合併1年間凍結などを求めている労組・日本プロ野球選手会の署名活動への協力を呼び掛けた。同選手会長は「(ストは延期になったが)きちんとした結果がまだ出ていない。これからも協力をお願いします」と挨拶。
連合広島の宮地稔会長は「プロ野球界は混沌とした状況にあるが、連合は支援していく。選手会には最後まで頑張ってもらいたい」と激励した。
近鉄・小林哲也球団社長は、改めて球団の経営状況に関する資料を公開する考えを明らかにした。
選手会側では近鉄が単独で球団保有できない理由について明確な答えを求めており、この日の出席者からも同意見が出たため、同社長は「どのタイミングで、どのように(選手に)説明したかを皆さんにお伝えしました」。7月4日に初めて説明を行って以降、既に6度にわたって1、2軍の全選手やスタッフに説明していたことを強調した。
また、オリックス・小泉隆司球団社長も「三輪選手会長には、経営状況の開示も行っているし、分かりましたとの返答も得た」と、既に必要な情報は提示しているとの認識を示した。
この日の実行委員会では、一部から球団の説明不足を指摘する声もあったが、根来コミッショナーは「ぼくは知らなかったけれど、何回も説明していたんだな」と両球団の姿勢に納得顔だった。
伊藤修・選手問題担当顧問(中日参与)は、新規加盟の際に厳格な審査基準を設ける方針を示した。「まず、球団としての資質を見ないといけない。例えば役員に暴力団関係者がいないか、集団訴訟を受けていないか、そういうのはまずいでしょう。野村監督(シダックス)のように社会人で実績を残していれば、審査も早いだろう」と述べ、審査基準を明確にして申請に備える構えだ。
この日の実行委員会では、日本プロ野球組織(NPB)側が新たに設けようとしている新規参入球団への保証金の金額について、具体的な数字を検討した。
「おおよその方向は出たが、選手会と話し合う事項でもあり、この場では説明できない」と会見に臨んだ豊蔵議長は話した。関係者の話を総合すると、1球団の選手の総年俸(外国人選手を除く)を基準に算定されたようで、25億円前後を預かり金として徴収する。これは5年間をめどとして、支払い球団に変換される案となっているようだ。
現在の加盟料(60億円)、参加料(30億円)は日本野球機構が徴収し、各球団に分配することになっているが、保証金は新規加盟球団が解散などした場合、選手の年俸に還元されるような形を取ることになっている。
阪神・久万俊二郎オーナーが13日、社会人野球のシダックスなどの新規参入に、改めて歓迎の意向を示した。大阪・野田の電鉄本社で取材に応じ「仲間が増えるのはいいに決まってる。お金を持っている人なら来て欲しい」とオープンな姿勢を見せた。一方で、球団経営の難しさを強調した。「損をしてもこたえない人でないとだめでしょうな。湯水のごとく(お金が)流れていきますから」と、クギを刺した。
また、交流試合について現在と同じ140試合の中で組み込むべきと主張。「1年で160(試合)以上は組めない。面白い試合はたくさんある方がいいが、多過ぎれば1リーグと同じになる」と、交流試合の導入による巨人戦の大幅減少への不安が見え隠れした。