わたしはかもめ2004年鴎の便り(9月)

便

9月16日

黒木が回復アピール(ファーム)[ニッカン]

黒木知宏投手が8日ぶり登板で、5回2失点とまずまずの投球を見せた。少し右ひじが痛むと言いながら、最速141キロをマーク。フォークを多投したところからも回復を思わせる。この日は5回で打者22人に対し、5安打2失点、2四死球、1奪三振の内容だった。

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ボビーの情熱!松下電器・久保投手はロッテに決めた[サンスポ]

松下電器・久保康友投手(24)のロッテ入団が決定したことが16日、明らかになった。ヤクルト、横浜を含めた3球団が自由獲得枠で争奪戦を展開してきたが「ロッテに決めたようだ」と、プロ球界関係者が話した。

MAX149キロを誇る関西NO.1右腕獲得の“勝因”はバレンタイン監督の情熱だった。5月27日、横須賀スタジアムで湘南との交流戦を視察した。シーズン中に監督がドラフト候補選手の視察を行うことは異例だ。「監督が視察に行ったことを含めて、ロッテに高評価してもらったと感じているようだ」とあるプロ関係者は明かした。ロッテは投手陣の高齢化が進んでおり、先発では39歳の小宮山を筆頭に、エース・清水直と渡辺俊が28歳と、20代前半の即戦力投手が不在。しかし、久保獲得で優勝を狙える戦力が整った。

久保康友(くぼ・やすとも)
昭和55年8月6日、奈良・橿原市生まれ。24歳。交公(かもきみ)小1年時に「ホワイトベアーズ」で投手として野球を始める。八木中では軟式チームに所属。関大一高では3年春の選抜決勝で現西武・松坂を擁する横浜に敗れて準V。家族は両親と姉、兄。遠投120メートル。50メートル走6秒3。1メートル81、81キロ。右投げ右打ち。

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久保ロッテ決断

◇松下電器の最速149キロ右腕

社会人屈指の右腕、松下電器・久保康友投手(24=関大一)が今秋ドラフトの自由獲得枠でロッテ入りの意思を固めたことが16日、明らかになった。ロッテ、オリックス、横浜、ヤクルトが獲得を狙っていたが、オリックスが近鉄との合併で4巡目からのドラフト参加になり、撤退。残る3球団から、ロッテを選ぶことが確実になった。

ロッテは「1年目から先発ローテーションの一角に期待できる投手」として、149キロの速球にアマ屈指の制球力を持つ久保に早くから注目。担当の松本スカウトを軸に、熱心にマークを続けてきた。現場も日本ハムと3位争いを展開中で、常勝球団に生まれ変わろうとする「チームの軸になって欲しい」という球団挙げての獲得姿勢が久保の心に響いた模様だ。日本選手権の予選終了を待ち、正式に自分の意思を表明する。98年センバツで準優勝し「松坂世代最後の大物」と言われた右腕は、プロの世界で再び松坂(西武)らと力を競う。

久保康友(くぼ・やすとも)
1980年(昭55)8月6日、奈良県橿原市生まれ。関大一では98年センバツで横浜の松坂と投げ合い、準優勝。同年夏の甲子園では8強入り。松下電器入社6年目の今季はエースとして活躍し、都市対抗出場に貢献した。180センチ、81キロ。右投げ右打ち。

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古田、新球団来季から

初のストライキ突入か、回避かで注目される日本プロ野球組織(NPB)と労組プロ野球選手会の労使協議(協議交渉委員会)の第2弾が16日、都内のホテルで行われた。選手会が求めていた近鉄、オリックスの合併凍結は見解の相違もあり、却下された。しかし、セ6球団、パ6球団での来季の要求を断念した訳ではない。タイムリミットとなる17日の交渉で、新球団参入を06年ではなく来季に早めるよう要求。さらに近鉄選手の自由契約も求め合併の事実上の形骸化を狙う手段に出る。

横浜戦に勝利しても、古田会長に笑顔はなかった。思うようにはいかない交渉が、いま1つ気分の晴れない理由だった。「相当粘ったんだけどね…。明日も全力を尽くすとしか言いようがない…」。第2ラウンドとなった協議交渉委員会。選手会はついに近鉄とオリックスの合併を認めざるを得ない状況にまで追い込まれた。

この日、古田会長は一貫して合併阻止を訴えた。しかし、最終的いは営業権譲渡という形を取る近鉄とオリックスの合併については覆らないという判断をせざるを得なかった。会議の途中では、前回の交渉で生じた「シミュレーションを出すにあたって近鉄存続の可能性が残るか残らないか」という見解の相違についても、古田会長の方が認識の誤りを認める形となった。「今まで出ていなかった数字が出ればチャンスも出てくると思ったが、そこの認識が違った」と悔しげに話した。

だが、白旗を揚げている訳ではない。選手会はコミッショナーが提案している06年からの新規参入を05年からに前倒ししてくれるよう交渉で要求する。古田会長は「スピード感が問われる。審査基準は今すぐつくって審査してあげなきゃ。志高くやってる訳だから」と言う。ライブドアの新規サンユウ申請を受けた宮城県知事の会見もテレビで見た。何としても、道津時をつくりたい考えだ。

この日の交渉でも、新規参入を05年から認めて欲しいということは訴えた。初は「オーナー会議で6・5と決まったことだから」と、かたくなだった機構側も「可能性はない訳れはない」と微妙な言い回しをするようになった。選手会としては手応えも感じながら交渉に臨む。

併せて要求するのが近鉄の選手を自由契約にして欲しいということ。古田会長は「プロテクトは反対です。不幸にも6・5になってしまった場合には近鉄の各選手に6球団くらい希望球団を挙げさせて欲しいと言いました。新規参入が認められた場合は別ですけど」と話した。6・5の場合は想定したくない選手会の狙いは近鉄とオリックスの合併の形骸化にある。自由契約となった近鉄の選手が新規参入した球団にごっそり入団すれば、実質的には合併を阻止することが可能だからだ。

いずれにせよ、ストの可能性はまだ残っている。選択肢が減り、追い詰められたような印象は拭いきれない。根来コミッショナーも進退をかけて、新提案を出してきた。プロ野球の今後とスト回避の可能性を考えながら、17日慎重に答えを出す。

◇礒部会長の要求に機構側も検討へ

近鉄の礒部選手会長はこの日、労使協議でオリックスとの合併凍結を断念する条件として、近鉄選手を再雇用の保証された自由契約にすることを機構側に要求した。「選手の方は意見を尊重して欲しいというのが強い。譲れない線?そうですね」と強い口調で語った。既に近鉄ナインの了解を得ており、総意として伝えた。これに対して機構側は、17日の再交渉で妥協点を探る構え。近鉄足高球団代表は「プロテクトの拒否は合併する意味がなくなるので認められないが、(プロテクトから漏れたウエーバーの選手に関しては本人の希望を聞いてやることが必要かもしれない」と語った。

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「公開交渉」提案した!古田に誤り認めさせた

労使協議を終えた日本プロ野球組織(NPB)側は、12球団代表が都内ホテルの記者会見場に乗り込んだ。異例の光景だった。冒頭でロッテ瀬戸山代表(選手関係委員長)は「選手会に会議を記者団に公表したいと申し入れた。選手会からは遠慮させていただきたいと回答があった。開始時間が20分遅れたのはそのため。残念です」と明かした。公開交渉の先制パンチで主導権を握った。

前回、合併凍結の可能性を残してシミュレーションをすると選手会に受け取られたのが理由だった。「古田会長は間違ったことを述べられた。古田会長が1年延長の可能性が出てきたと発言されたのは事実と反する。前回の交渉で統合の1年延期はできないと言った。古田会長からも『分かりました』という言葉をいただいています」と説明した。

合併凍結の可能性をめぐって意見が食い違ったシミュレーション問題は、あっさり決着した。根来コミッショナーの「私の見解」が各球団の代表を発奮させた。「自己の進退を含んで考慮した」という言葉は「スト=コミッショナー辞任」を意味する。その決意が、経営者側に公開交渉要求に踏み切らせた。

選手会へは3点を新提案した。焦点は「新規加入球団審査委員会」だ。この日、ライブドアから新規加入の申請があった。とりあえず、野球協約に照らして30日以内に回答。加えて、審査委員会で審議することになる。立ち上げは年内がメドになりそうだ。

実際の新規加入の時期については、根来コミッショナーが示したように「2006年になろうかと思います」と瀬戸山代表は語った。来年は「9月8日のオーナー会議でセ6球団、パ5球団でやっていく方向を確認している」とした上で「申請は誠意を持って受け取る。今後、対応していく」と語るにとどまった。根来提案の「06年からの球団数復元(セ6、パ6)」をめぐり、17日にスト回避を図る。

◇選手会側が拒否

選手会が協議交渉の公開を拒否した。NPB側から、報道陣に対して、交渉を公開しようという提案があったが「非常に時間がないところで、急にここだけ公開すると混乱すると思った。忌憚のない話もできなくなるしね。公開するなら最初からすべき。申し訳ないが断らせてもらった」と古田会長が説明。

◇経営者側3つの新規提案事項

(1)新規加入球団審査委員会(仮称)
日本野球機構の諮問により新規加入申請球団について可否を審査するため法律、経済、経営及びプロ野球OB7人でこうせい、関係者の意見聴取や財務調査権限を与える。
(2)プロ野球有識者会談
プロ野球のみならず法律、経済、経営全般に通じた有識者がオーナー会議の諮問に応じて答申する。審議事項例は「公益法人の日本野球機構とは別に営利目的の株式会社組織を設けることの可否」「プロ、アマのあり方」「OBの再就職先」「野球協約の根本的改正」「選手に関する参稼報酬、ドラフト、FA制度」などとする。
(3)加盟料について
預り金として、当該球団が10年以内に撤退することがあった場合の選手の1年分相当の参稼報酬合算額を日本野球機構が保管する。また、脱退球団にも諸経費を負担させるかどうか、額はどうするかをプロ野球有識者会議の答申により行う。
阪神野崎球団社長
「交流戦でセは減収になるが、統合が必要な事態ならば痛みを分かち合わないといけない。(新規参入は)申請があれば審査はしていく。選手会も偶数にするべき、ということを強く主張されていた。」
中日伊藤球団代表
「(選手会側と)歩み寄った部分もあれば、食い違った部分もある。コミッショナーの提案?選手会はある程度の理解は示してくれていると思う。」
巨人清武球団代表
「(スト回避の手応えは)分からない。ただコミッショナーは辞めるつもり。そうでないとあれだけのものは書けない。ここまで譲歩して相当な覚悟で書いている訳ですから、これを受け入れられなければどうなるのか。シミュレーションの基準に関しては、企業のことだから見せられないというのも企業の一判断です。ライブドアは申請書を見てからと思っている。ああいう申請があったら、従来にも増して慎重にきちんとやらないといけない。(来年から加盟の可能性は)分からない。1ヶ月以内に審査をして結論を出すことになる。」
広島松田オーナー
「新規参入は近年のプロ野球史にないことで、(複数の企業から)選択できるというのはいいことだと思う。」
西武星野球団代表
「スト回避の手応え?まあね。コミッショナーも自分の文書にあるように、職をかけてやっていますので。来季の新規参入?今あるもの(球団)の中でやっていくしかない。ただ審査だけはちゃんとします。」
松原徹選手会事務局長
「今日は何もしゃべれない。余分は話をしてはいけないので、厳しいですね。しかし、話し合いはきちっとしました。あとは明日です。」
オリックス三輪選手会長
「妥協?していないですよ。合併凍結に関して?何も申し上げることはできません。何もないです。」

◇年俸40%削減案

オリックス小泉球団社長が交渉の席上で、選手会側に走年俸の40%を削減する案を突きつけた。その後の会見で「年俸を40%削減し、かつ1リーグと同じくらいのトータル12試合の交流戦を入れましても、パの赤字は1チーム20億円程度あるという試算です」。

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コミッショナー職をかけスト自重訴える

◇根来氏が声明文発表

私の見解

根来泰周

多くを語る必要もないほど現下のプロ野球球界が抱える問題が極めて多い。

その重要な問題の1つは、各球団のいわゆる赤字収支である。この問題は、特にパ・リーグにおいては、1949年の2リーグ分裂時からその萌芽があり、各般の関係者の努力にもかかわらずその後改められることなく今日に至った。そして今般の近鉄球団とオリックス球団の経営統合に触発される形で一挙にその抜本的改善の声が上がったのである。しかし今に至って頓服的良薬があるはずがなく将来展望を持ちつつ漸進的な方法を以て改善する他はない。そして野球組織内の検討ではその論理が優先し、偏狭な見地からのものに終わる可能性もあることから、プロ野球に理解があり、一般社会の常識、経済、法律に通じた有識者の考え方を大幅に取り容れ、よりよき案を策定し、実行することが肝要であろう。以上の考慮に立って次のような提案をする。なおこの案を提示するについていかなる権限に基づくものなのか、あるいは選手側との折衝過程にこのような管理権経営権に属することを提案するのが妥当であるかどうかという疑問点があると思う。第1点については、なんらの権限のないことを認めざるを得ないが、現下のプロ球界の未曾有の混乱を見るとき何らかの提案をし、その収束を図るべきものと考えた。当然、自己の進退を含んで考慮した結果である。第2に、このような事項は、球団側の管理権経営権に属することであり、スト前夜というべき時期に提案する性格のものではないのではないかという点についてはこれを肯認するが、一方においてこのような改革は、三位一体すなわち球団側、選手側、野球機構が一体となって取り組むべきことであり、選手側の協力なくして成就するものでないから敢えてこの時期に、その協力を得る意味で提示したものである。

加えて申せば、今回の件の経緯に鑑み、セ、パ連盟構成球団内の意思の疎通を図り密接な連携を通じて共存共栄の方途を模索すること、球団と所属選手間のコミュニケーションを活発にし、特に球団から選手に対し、球団の経営状況等を説明し、選手もまたこれらを理解することを望むものである。

いずれにせよ今日の事態を招いたのは、社会経済情勢の急激な変化によることもあるが、経営者、選手、私を含め野球機構等関係者の責任であり、他に転嫁できるものではない。要するに一億総懺悔の立場からよりよき制度運営を求めて改善を図るべきで今ストに突入することがあれば、球団がさらに疲弊し、ついには解散、倒産に至ることもあり得るであろう。一層の自重を求めるものである。

以上(原文)

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ライブドア新球団仙台で旗揚げ

プロ野球界へ新規参入の意向を示していたIT関連企業ライブドア(堀江貴文社長)が16日、日本プロ野球組織(NPB)に参加申請を行った。近鉄、オリックスの合併が承認され、近鉄買収ではなく、新規参入という形での参加申請。堀江社長が都内で記者会見し、本拠地は仙台市の宮城県営球場、球団名は今年中に選定、監督などは10月末までに確定など新球団の方針を披露した。既に9日に宮城県知事と会談したことも明かし「地域密着型で成功する自信もある」と話した。正式申請第1号の登場で、再編問題に揺れる球界は新局面を迎えた。

トレードマークのTシャツ姿ではなかった。ネクタイこそしていないが、堀江社長がYシャツ姿で記者会見の席に着いた。本気モードの雰囲気を漂わせながら「本日をもちまして、日本プロ野球機構への参加を申請しました」と激動のプロ野球界へ新規参入を、正式に表明した。

非公式ながら、次々を加えられる新規参入条件にも、苦しいながら対策を立てている。まずは、新球団として認められるために必要なフランチャイズの地域を宮城県に設定。代理人を通じて、今月2日に宮城県の浅野史郎県知事に話を持ちかけ、9日には都内のホテルで話し合った。「話がトントン拍子に進みました。(宮城を選んだ理由は)ほかにもありますが、来年の参戦のタイムアップになる。スピーディーに決断してくたのが、最終的な理由です」。目指すのは、あくまでも来シーズンの参戦で、本拠地球場として宮城球場を指名。大規模な改修計画も前向きに協議している。

室内練習場や選手寮の確保についても、地元・宮城県では、今季の社会人の都市対抗野球でベスト4に輝いたJT(仙台市)の廃部が決まっており「空家」となる野球施設の利用も可能。「高校野球の強豪校もある。野球文化が根付いているのにプロ野球球団がない」(堀江社長)という東北地方の野球環境を最大限に利用し、地域密着で期限が差し迫った参入条件に対応していく方針だ。

球団として認定されるためには、施設の問題だけでなく、選手や監督、コーチの問題も当然出てくる。選手の確保は、近鉄とオリックスの合併でプロテクトされなかった選手を中心にし、フリーエージェントや外国人選手で補強。「監督、コーチも10月末までに決めたい。準備不足ですが、11月のドラフトにも参加したいです」と具体的な期限を示すことで、参入への「本気度」もアピール。選手会はオリックスと統合される近鉄在籍選手の自由契約を主張しているが、もし、経営者側が認めれば、戦力的にも即プロで十分に戦える戦力も整う。

同じIT企業の大手・楽天も来季からの参入を表明したが「まだ参加が認められた訳ではありませんが、我々のような新しい考えを持った企業が入れば、球界の改革もスムーズにいくはず。同じリーグで戦えば、ライバルにもなりますが、仲間でもある。喜ばしいことです」と話した。「安定した経営を目指し、ずっと続けていきたい。(新規参入の条件にもよるが)3年から5年でやめるつもりはありません」。既に今年中には新球団の名前も決める方針。まだ、新規加入を決める条件も確定せず、苦しい状況には変わりはないが、次々と対応していく堀江社長の「掛け声」は、高らかに響いていた。

◇県知事全面支援

午後5時15分過ぎ。宮城県庁内でライブドア・ベースボール社の中野正幾取締役も同席して浅野史郎知事が会見した。「(中野氏と)9日に初めて会い、その場で前向きに回答した。我々としては絶好の機会。全力をあげて支援していきたい」と歓迎の意向を示した。宮城球場は50年(昭25)建設。老朽化のため、地元野球関係者からはドーム化待望論も挙がっていた。県側も経済的利害が一致し、同知事は「我々としては大変ありがたい。専用球場として優先使用してもらう」と決断した。

「東北地方はプロ野球チームの空白地で全体的なバランスからも必要。地域密着型の運営をして欲しい」と要望した。一方、宮城球場のある仙台市の藤井黎市長も「まさに、降ってわいたチャンス」と大歓迎。「仙台のみならず、東北地方の中心都市としても対応していきたい」と期待を込めた。

◇解散決定JT野球部、大歓迎です

今年の都市対応野球で仙台市代表として4強入りしたJT野球部の横橋秀俊部長は、ライブドアが新球団の本拠地を宮城球場としたことに「いいことですね。地元のアマ球界からプロに行きやすくなるのでは」と歓迎した。会社再建策の一貫として今季限りの解散が決まっている。専用球場、室内練習場、選手寮と設備は揃っているため、ライブドアとの関連も取りざたされるが「特に何も(話は)ありません。選手の8〜9割は会社に残って仕事に専念することになる」と話した。

日本野球連盟・山本英一郎会長
「仙台に拠点を置くというのは当然のアイデアだろう。(JTの施設使用や選手については)何も聞いていない。今季限りで解散するチームなので、当連盟は関係ない。プロのことはプロで考えればいいこと。」

◇東北ならOK

阪神久万オーナーはライブドアの申請について、前向きに受け止めた。「仙台が適当かどうかは分かりませんが、本拠地は(既存球団と)なるべく離れた方がいいでしょう。東北地方になかったから、いいと思います」。さらに、「日本では球団は最大16球団ぐらい。今まで12球団で良かったが、これから12から16球団、2(リーグ)×8(球団)の16ぐらいじゃないか」と球界再拡張案も披露した。ただし「来年からというのはちょっと難しい。1年ぐらいかけて準備した方がいい。急げば赤字が出ますよ」と指摘した。

◇野球はビジネス!!ライブドア経営法

新規参入条件として予想される経営者側の条件に対し、堀江社長の対応策を披露したが、野球をビジネスとして割り切る「ビジネスプラン」も公開した。

(1)地域密着の球団にしたい
現在、サッカーのJ2に所属し、仙台に拠点を置く「ベガルタ」と協力し地元を盛り上げていく意向。将来的にはバスケチーム設立なども視野に入れ、アスリート育成にも力を注ぐ方針。
(2)新球団設立の営業の見通し
観客動員数の売り上げを基本に、1試合平均2万3000人の動員を期待し、初年度の赤字は約10億円と予測。あくまでも希望的観測としながらも「2万人なら16億円の赤字。2万5000人なら回収できる。ただ、のんべんだらりと赤字を垂れ流すつもりはない。2、3年で黒転換して、その後に5億から10億の営業利益を見込み、その後に再投資していきたい」。
(3)移転
9月14日に「株式会社ライブドアベースボール」を大阪に設立したが、9月下旬には本拠地となる仙台市に移転予定。

◇シリーズ使わず

ロッテは本拠地としていた東京スタジアムが72年で閉鎖され、73年には仙台宮城球場を準本拠地、74〜77年は本拠地とした。宮城球場は両翼91.4メートル、中堅122メートルで収容人数は3万人。73年は宮城球状で26試合を主催し、ロッテの観客動員は72年の31万人から94万6500人と3倍に増えた。74〜77年は本拠地としたが、ロッテは神宮球場や後楽園球場、川ア球場でも主催試合を行ったため、宮城球場での試合数は74年27試合、75年33試合、76年33試合、77年38試合と主催65試合の約半分程度だった。74年ロッテは2期制の後期に優勝。阪急とのプレーオフを制してリーグ優勝を果たすと、中日との日本シリーズにも勝って日本一となった。ただし、プレーオフでは宮城球場を使用したロッテが、日本シリーズでは収容人員などの関係で後楽園球場を本拠地として使った。

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楽天は来週申請

インターネット商店街最大手、「楽天」(本社・東京港区)の三木谷浩史社長が16日、東京都内で記者会見し、来季からプロ野球への新規参入を目指す意向を正式に明言。来週中に日本プロ野球組織に加盟申請する方針を示した。楽天本体が球団運営会社の設立母体となり、本拠地は神戸市を第1候補に挙げた。

三木谷社長は1年前から球団経営を検討していたことを明かし、西武堤オーナーらの名前を挙げ「色んな方から話をいただき判断した」という。既存球団の買収ではなく、新規参入という点を強調。選手はオリックスと近鉄の合併球団から漏れた選手らを中心に集めるという。「我々の財務体力から見れば、かなりの額の先行投資ができると思う」と話し、25億円とみられる預かり保証金についても「問題ない」と話した。

サッカーJリーグの神戸の経営にも参画しており「地元密着型で成功する実績も自信もある」と言う。数年内の黒字化を計画しているそうで、短期的な投資ではなく「基本路線はずっと球団を持ち続けること」と話した。本拠地は神戸を希望しているが、「相手があることで、他の可能性についても検討していきたい」と話し、神戸以外にも複数の候補地があることを示唆した。

◇新規で参入するには(野球協約より)

資格
発行済み資本総額1億円以上の日本国国法の株式会社。ただし日本国籍以外の持ち株総計は、最大で資本総額の49%まで。
専用球場
シーズン公式戦、日本シリーズ、オールスター戦を行うための専用球場を保有すること。
期限
希望する参加シーズン前年の11月30日までに実行委員会とオーナー会議の承認が必要。
審査
実行委員会とオーナー会議は申請を受理した日から、30日以内に決定を申請者に通達する必要がある。この間、機構側は、審議に必要な情報提供、聴聞への出頭を申請者側に求めることができる。
条件/企業楽天シダックスライブドア
フランチャイズ兵庫県(神戸市)なし宮城県(仙台市)
専用球場ヤフーBBスタジアムなし宮城球場
選手合併球団から漏れた選手主体野間口、キンデランら28人合併球団プロテクトから外れた選手とFA選手
監督・コーチ未定野村克也監督とコーチ3人10月末までに発表
トレーナー・打撃投手未定巡回トレーナーあり未定
練習場(2軍)未定調布市営グラウンド社会人JT施設買収?
独身寮未定専用寮あり社会人JT施設買収?
球団職員未定マネージャー、通訳ら未定
スカウト未定なし未定

シダックスは現在のところ新規参入申請の予定はなし。

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合併の方が赤字少ない

オリックス、近鉄の両球団はこの日の労使協議に、4パターンの収支シミュレーションを持ち込んだ。03年度の両球団の合計収支が75億8000万円の赤字であるとした上で、交流戦を導入した場合の収支変化を示した。独自に試算したテレビ放映権料、選手の年俸などが全て含まれている。まずはパ・リーグが5球団に削減され140試合制になったケースで

(1)
交流試合がホーム3試合×6
(2)
ホーム6試合×6

の場合。これと比較する形としてセ6、パ6球団の146試合制で

(3)
交流試合がホーム3試合×6
(4)
ホーム6試合×6

とした場合だ。

仮にセ6、パ6でホーム6試合×6の交流戦を導入した場合(4)となり、2球団合計の赤字はオリックスの21億1700万円+近鉄の23億3300万=44億5000万円。これを両球団が合併してパが5チームになった場合に置き換えると(2)となり、赤字は合併新球団1チームの27億3100万円のみとなる。業界全体の収支には触れられていないが、合併が両球団にとっていかに効率的であるかを示している。

◇コミッショナー事務局提出用シミュレーション

オリックス
03年決算セ・パ6球団セ6・パ5球団
交流戦(1)交流戦(2)交流戦(3)交流戦(4)
収入合計3,4614,3905,2204,3805,210
費用合計7,1617,2257,3377,8297,941
損益-3,700-2,835-2,117-3,449-2,731

近鉄
03年決算セ・パ6球団
交流戦(1)交流戦(2)
収入合計4,5674,9845,553
費用合計8,4477,8867,886
損益-3,880-2,902-2,333

単位は百万円

交流戦(1)
交流戦3×6=18、同一リーグ11×5=55試合、合計主催73試合、全146試合
交流戦(2)
交流戦6×6=36、同一リーグ7.4×5=73試合、合計主催70試合、全146試合
交流戦(3)
交流戦3×6=18、同一リーグ13×4=52試合、合計主催70試合、全140試合
交流戦(4)
交流戦6×6=36、同一リーグ8.5×4=34試合、合計主催70試合、全140試合

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リミット午後5時、古田会長運命の決断[スポニチ]

労働組合・日本プロ野球選手会と日本プロ野球組織(NPB)の協議・交渉委員会が16日、都内のホテルで行われた。機構側は選手会にオリックスと近鉄の合併は撤回できないと通告。根来泰周コミッショナーは新規参入の審査委員会設置などの提案を行ったが、交渉は17日に継続された。スト突入か、回避かのリミットは17日午後5時。根来コミッショナーがスト決行なら辞任する覚悟を決める中で、古田会長は運命の決断を迫られた。

試合後、クラブハウスの入り口で立ち止まった。17日の協議・交渉委員会に向けて、あえて無表情で、気丈に振る舞った。そこに古田会長の苦悩がうかがえた。

古田会長
「ストの可能性は高い?どうですかねえ。明日決めます。それしか言えない。あとは僕達が(機構側の要求を)受けるかどうかです。」

午前11時25分から始まった協議・交渉委員会はまず近鉄、オリックスからシミュレーションの報告が行われ、合併のメリットが数字的に示された。その上で両球団の合併延期は無理との判断が伝えられた。さらに根来コミッショナーからの提案も行われた。そこには「新規加入球団審査委員会」(仮称)の設置が示されていたが、その時期については機構側から環境づくりを進める上で新規参入は06年以降との見解が示された。

9、10日の協議・交渉委員会では機構側のシミュレーション回答による、近オの1年合併凍結の可能性にかけると同時に、新規参入要件の緩和によって、あくまでも来季からの新規参入による12球団堅持という考えでストの一時回避を決めた。しかし…。機構側の回答はいずれもNO。根来コミッショナーは広島から空路帰京した羽田空港で「ストするなら私は辞めます」と明言。選手会にとっては進退をかけた「最後通告」をつきつけられた格好となった。コミッショナー案を受け入れた場合は、新規参入は早くても06年以降となり、来季はセ6、パ5で運営することが決まる。

近鉄とオリックスの合併とコミッショナー案の両方について、選手会側は態度を保留した。だが、古田会長は「シミュレーション?相当粘ったんだけどね。答えが出ればね…。淡い期待だったのかな」と発言。来季からの新規参入については「手を挙げている企業があるのに2005年から審査機関をつくるなんて…。すぐつくって審査してあげないと」と話したが、どこか歯切れは悪かった。

この日の交渉で選手会側は近鉄とオリックスが合併した場合にはプロテクト枠の撤廃を要求。徹底抗戦の姿勢は崩していない。150万近い署名が集まり、ファンのスト決行への後押しは強い。しかし、スト決行となれば後戻りのできない戦いに突入することも分かっている。「NPBはギリギリの譲歩?ギリギリという判断はどうかな。僕はそうは思わない。コミッショナーの提案は評価するけど、本来機構としてやらなきゃいけないことでしょ」と古田会長。タイムリミットは17日午後5時。古田の決断に球界の運命が託されることになった。

◇プロテクト案撤回要求も

選手会は、8日のオーナー会議で正式承認された合併球団のプロテクト枠の撤廃を要求した。要望書の中で出されたもので、近鉄・礒部選手会長は「合併凍結が無理なら選手をプロテクトする案を撤回して欲しいという要望を出しました。自由な身分になるのが望ましいですから。これは近鉄とオリックスの選手だけじゃなく、12球団選手会の総意として要望しました」と説明。オーナー会議では合併球団が優先的に保有できるとした25人のプロテクト選手に加え、他の10球団のウエーバーによる選手救済策でまとまったが、選手会は近オの全選手に球団選択権が与えられるべきとの主張を行った。

機構側は選手との対話を尽くすという譲歩案を示したが、プロテクト撤廃は受け入れる考えはない。新規参入球団の誕生を期待して自由契約を求める動きにつながるもので、近鉄・小林球団社長は「協約上では難しい問題で、選手の要望を全て聞き入れることはできない」と話した。古田会長は「不幸にして統合するなら配慮してくれと言いました」と話した。

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根来コミッショナー“クビ”懸ける[スポニチ]

スト回避へ根来コミッショナーが“クビ”を懸けた。この日の協議・交渉委員会に事務局を通じて提出したのは「私の見解」「新規提案事項」という2枚の文書。「私の見解」では「現下のプロ球界の未曽有の混乱を見るとき何らかの提案をし、その収拾を図るべきと考えた」とし「当然自己の進退を含んで考慮した結果である」と提案が選手会に受け入れられず、ストライキ突入の事態に発展した場合にはコミッショナー職を辞する強い決意を表明している。

同コミッショナーが選手会に示した「新規提案事項」は

(1)
法律、経済等の専門家やプロ野球OBらで構成する「新規加入球団審査委員会」の設置
(2)
有識者で構成される、オーナー会議の諮問機関「プロ野球有識者会議」の設立
(3)
預かり保証金として1球団の年俸総額相当を野球機構が保管すること

の3点。選手会に「ストについては一層の自重を求める」と回避を求めた。

同コミッショナーはこれまで「中立的な立場だから」と労使交渉に距離を置いてきた。しかし、9、10日に行われた前回の協議・交渉委で選手会側は、オリックス、近鉄の合併凍結を求め態度を硬化。早期の新規参入促進などを要求。機構側も所属選手とのコミュニケーションを満足に行わず合併に至った球団の経済状況などをほとんど開示しなかった。13日の実行委前には「大局観がない。理屈もない。戦略がない」と各球団の姿勢を批判していたが、労使対立が泥沼化し、スト突入への危機感が高まったことで収拾に乗り出した。

文書の最後では「ストに突入すれば球団がさらに疲弊し、解散、倒産に至ることもあり得るであろう」と警鐘を鳴らし、選手会への“最後通告”とも受け取れる表現でスト回避を訴えている。広島球場視察後に帰京した同コミッショナーは「どこかで歩み寄らないとね。無秩序、無政府、無責任、不信ということになってしまいますよ。人に言う限り自分も覚悟しないとね」と言い切った。球界トップの“決意”は選手に伝わるのだろうか。

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NPBが協議公開提案も選手会側が拒否[スポニチ]

協議・交渉委員会の冒頭でNPB側が選手会に対して協議の公開を提案した。瀬戸山隆三選手関係委員長(ロッテ球団代表)は「会議の閉鎖性、密室性を指摘する意見もあり、改善する意味もあった」と説明。1社1人の取材許可を提案したが、選手会側が拒否した。

前回10日の労使交渉終了後、古田選手会長がスト回避の理由に触れ「近鉄を残す可能性がある」と発言。瀬戸山委員長は「解釈にズレがあった。古田選手には個人の期待と実際の内容を混同してもらっては困ると伝えた」と話し、協議公開で誤解を避ける考えもあったという。これに対し、古田会長は横浜戦(神宮)終了後「急に公開すると混乱が予想されるし、忌憚のない意見も出せないし。時間がないので申し訳ないけど断らせていただきました」と話した。

◇交流戦なら損益圧縮

オリックスと近鉄は、選手会から求められた交流戦を実施した場合のシミュレーションを発表し、赤字は解消されないまでも損益が大きく圧縮されることが分かった。

両球団の昨年度の収支はオリックスが37億円、近鉄は38億8000万円の赤字。オリックスの赤字額を基準に、2球団が合併してセ6球団と各3試合の交流戦のケースでは、34億4900万円、6試合に増やせば27億3100万円まで赤字は改善される。また、合併せずにセ、パ各6球団ずつで交流戦を多く実施した方が収支改善となる。

さらにパが各選手の年俸を40%削減してセ、パ6球団ずつで交流試合を組んだ場合でも、年間赤字は20億円にも達するというシミュレーションを紹介。オリックス・小泉球団社長は「パは200億円赤字、セは50億円の黒字。この業界全体では150億円の赤字を抱えている。交流試合を入れてもまだ改善にはならないの」と慢性化している経営難を強調した。

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ライブドア、仙台を本拠地に参加申請 [スポニチ]

プロ野球への新規参入を目指しているライブドア社(東京・新宿区、堀江貴文社長)が新球団の運営会社「株式会社ライブドアベースボール」を設立。16日、日本プロ野球組織(NPB)へ参加申請を行った。新球団は本拠地を宮城・仙台市の県営宮城球場に置く。球団名は今年中に選定し、監督ら首脳陣については10月末までに確定する予定。新規参入が実現すれば東北を本拠地とするプロ球団は初となる。

ライブドアが本格的に動きだした。本拠地を仙台市に置く新球団構想を記した150ページにおよぶ参加申請書をこの日午後、関係者が機構側へ提出。「仙台市に決めた1番の理由は決断が早かったこと。東北は野球文化が根付いているにもかかわらず地元の球団がなかった。新しいエンターテインメントを提供することで、東北の振興にも一肌脱げるし成功する確度は高い」と堀江社長は自信をのぞかせた。

近鉄の買収に名乗りを上げていたライブドアは8月下旬、オリックスとの合併凍結が困難と判断して買収を断念。新規参入のための本拠地の候補地との交渉を行うと同時に、球団の運営会社の設立に向けて動いていた。大阪など複数の候補地の中から2日、宮城県が名乗りを上げたため9日に都内ホテルで宮城・浅野県知事と堀江社長で約2時間の会談を行い、専用球場とする県営宮城球場の使用料を安価にするなど大筋で合意。その後は仙台市側と事務レベルの会議を重ね、14日に新会社「ライブドアベースボール」を設立した。

老朽化が目立つ宮城球場については「観客席、電光掲示板などシーズンが始まるまでに改修したい」と堀江社長。監督、コーチについては10月末までに確定する予定で選手はオリックス、近鉄の合併によりプロテクトされなかった選手を中心に編成する。FA権取得選手、外国人選手についても積極的に獲得する方針で、新会社の取締役を務める熊谷副社長は「地域に根付くためには地元選手の獲得は必要。ドラフトに参加させてもらえればダルビッシュ投手とかはもちろん獲りたいですね」と今秋ドラフトの目玉、東北・ダルビッシュ獲りまで宣言した。

同社は1試合平均2万3000人の観客動員、年間5億円の営業利益などを目標に掲げたほか、サッカーJリーグ2部のベガルタ仙台との提携も示唆。「これから(機構側から)具体的な条件が出てくるでしょうが、それを満たせるよう誠心誠意対応したい。成功する確率は高いと思っている」と話した。

機構側は来季からの参入に否定的な姿勢を崩していないが「リミットは考えていない。責任を持ってやっていく。今年ダメなら?参入できることを前提としている」と堀江社長。東北初のプロ野球チームということで野球ファンの支持を得ることも予想されるが、新規参入へ越えなければいけないハードルはまだ多い。

◇宮城県知事も歓迎

宮城県の浅野史郎知事は仙台市の県庁でライブドアベースボール・中野正幾取締役とともに会見。ライブドアの仙台進出に歓迎の意向を示した。以前から球団誘致に関心を示し、9日の初会談からスピード決断。「悪い話ではないからね。地域経済へのインパクトは大きい。東北はプロ野球の空白地帯だったが、バランスから言っていい球団があっていい」と期待した。

承認難航も予想されるが「しかるべきタイミングでしかるべき支援をすることもある」と発言。場合によっては機構側へ承認を働き掛ける方針だ。また将来的な新球場建設の財政支援には慎重な姿勢を見せながらも「ずっといて欲しい条件を用意するのは義務」とも話し、県民の盛り上がり次第では出資を検討することになりそうだ。

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楽天、来週中に加盟申請[スポニチ]

新規参入検討を表明した楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長が16日、東京・港区の本社で報道陣の取材に応じ、今季中の参入を目指すことを正式表明。来週をメドに新球団骨子をまとめ、NPBに加盟申請する考えを示した。「できれば今季中に参入したい。球場は私の出身地でヴィッセル神戸もある神戸が1番ですけど、色んな方と相談して決めたい。来週中までには選手雇用も含めて具体的なものを出したい」と語った。

同社長は、1年近く前から球界関係者から買収計画も含めた話を持ちかけられていたことを明かした上で「決断は本当に最近のこと。スポーツとしてのコンテンツも魅力で大きな感動を生み出してくれる」と説明した。この日加盟申請したライバルのライブドア社については「堀江さんは堀江さんでやっていること。私達は特に何もありません」と話すにとどまった。

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根来コミッショナー不退転の決意、スト決行なら辞職[サンスポ]

プロ野球の根来泰周コミッショナーは労組選手会がストライキに踏み切った場合、辞職する考えであることが16日、判明した。この日、都内ホテルで再開された労使協議(協議・交渉委員会)で、経営者側から新規参入を検討するコミッショナー案が選手会に提示された。これこそが、機構トップの首をかけた最終妥結案。交渉は17日も継続され、午後5時がスト決行か否かの期限となる。

70周年の歴史で初のストの危機。根来コミッショナーがついに動いた。広島球場の視察を終えて羽田空港に到着した際、キッパリ言い切った。

根来コミッショナー
「ストが回避できなかったら?辞めるということや。ボクに権限はないけど、球団も選手も理解してもらって、ストをやめるというなら(辞意撤回も)分からんこともない。」

コミッショナーはストが決行された場合、経営者側と選手会ともに損だとし、突き放すような表現もしている。

根来コミッショナー
「ここで言っておかなアカンと思った。ストを止める自信?やる人はやるしかないんじゃない。僕は得はないと思うが、違法、適法があるけど、やる人は適法と思ってやるんでしょ。」

コミッショナーはこれまで、オリックスと近鉄の合併は「経営上の問題」として、事態収拾に乗り出さなかった。ところが、球団数の『6・6』維持を譲らない選手会側に業を煮やし、前週に続く第2Rを迎えた労使協議で、不退転の決意を突きつけた。協議に同席しなかったコミッショナーから、日本プロ野球組織(NPB)関係者に託され、選手会に提示されたのは、次の3項目だ。

(1)
法律、経済の専門家、プロ野球OBら7人で構成する『新規加入球団審査委員会』の設置
(2)
国際交流やプロアマ問題を協議する『プロ野球有識者会議』の開催
(3)
加盟料を預かり金(推定25億円相当)とし、金額を所属球団の選手年俸の1年分とする。

この根来案には『私の見解』も添えられ、「自己の進退を含んで考慮した結果」「1億総懺悔の立場からよりよき制度運営を求めて改善を図るべきで今ストに突入することがあれば、球団がさらに疲弊し、ついには解散…」などと訴えている。選手会側は、17日午後5時までの話し合いで妥協点を見いだせない場合、18、19日のストを予告してきた。目前に迫った危機的状況で発表されたこの根来案は、経営者側にとっては最大にして最後の譲歩案だ。

球界関係者によると、労使協議の席上、巨人など複数球団から「根来案は進退をかけた内容」との説明が、重ねてあった。その上で、経営者側の間には、根来案が受け入れられないならストもやむなし−という強い意思が感じられたという。そのせいか、協議を終えた選手会関係者は、帰り際に一様に険しい表情を浮かべた。自身の首をかけた根来案こそが、選手会に投げられた最終回答。今度は、選手会が決断を迫られている。

根来泰周(ねごろ・やすちか)
昭和7年7月31日、和歌山県生まれ。72歳。30年に司法試験に合格し、翌年に京大法学部卒業。33年に法務省に入省後、神戸地検検事、大臣官房長、法務事務次官、東京高検検事長などを歴任し、平成7年に退官。8年8月から14年7月まで公正取引委員会の委員長を務めた。今年2月、川島広守氏の後任として第11代コミッショナーに就任。
伊藤修・実行委員会選手会担当顧問(中日参与)
「コミッショナーの職を賭しての提案の重みを(選手会側は)十分認識してくれたと思っている。明日も緊張したものになると思うが、解決の糸口がない訳ではない。(ライブドアの申請は)申請書の内容が分からないので何とも言えない。ただ、30日以内に返事をしないといけないので、できるだけ早く(新規加入球団審査委員会を)立ち上げたい。」
巨人・清武英利球団代表
「根来コミッショナーは職をかけている。相当な覚悟で書いたと思う。これは向こう側(選手会)にも伝わるんだろうと思う。ぎりぎりの場面になったので何とかストライキを回避したいという気持ちだと思う。」
中日・伊藤一正球団代表
「お互いの提案に歩み寄った部分もあれば、食い違った部分もある。選手会からの提案の内容はわたしの口からは言えない。コミッショナーの提案には選手会も理解を示してくれたと思う。」

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苦悩する古田会長、振り上げたこぶしをおろすかも…[サンスポ]

労組選手会の古田敦也会長が16日、根来泰周コミッョナーの不退転の決意による新提案に、困惑の表情を見せた。プロ野球組織(NPB)側との協議後、神宮球場で横浜戦をこなし、17日に再び交渉に臨む古田。午後5時のリミットを前に、その胸中は揺れている。

古田会長の声のトーンが突然、数ランクも落ちた。根来コミッショナーの進退をかけた新提案に、揺れに揺れていた。コミッショナーの辞任覚悟の姿勢について問われた古田は「提案はスト回避だけに作られたものですかと(機構関係者に)聞いたら、スト回避の交換条件ではないということでした」。ストなら即辞任、ではなく、辞任も辞さずという強い決意…と、受け止め方は機構側と微妙に違っている。

一方で「参入は2006年からとの話だったけど、せっかく志高い人が手をあげている。(ライブドアが本拠地とした)宮城県知事の中継も見ました。スピードは非常に重要だと思う」と反論。選手会側が求めていた第三者機関=新規加入球団審査委員会や有識者会議の設置など、NPB側の歩み寄りについては「ギリギリの譲歩とは思わないが評価します」としたが、今季中は新規参入の門戸開放を認めない姿勢には反発の声をあげた。

会議場の都内ホテルから、神宮球場に急行した古田は、約30分の練習で横浜戦にフル出場。貴重な追加点を生む2ランを放つなどプロ根性を見せた。試合後には初めて、近鉄の労働条件にかかわる新要求を突きつけたことを明かした。現状ではプロテクトされた25人は自動的にオリックス・近鉄統合の新球団に移籍する流れだが、古田は「不幸にも6・5になったら」と前置きした上で「選手の意見を聞いてほしい。1人6球団の希望を出して、ウェーバーで優先的にとってもらい、とってもらえなかったら自由契約」。声高に叫んできたオリックス・近鉄の統合反対のこぶしを下げた…とも受け取れる発言に変化した。チームメートらに「さすがに昨日は眠れなかった」と漏らしたという古田。「ストの選択肢?お察し下さい」と最後につぶやいた。球界70年の歴史の分岐点で、選手会が苦悩の時を迎えた。

オリックス・三輪隆選手会長
「僕は明日(17日)、会議に出られないので…。それ(ストの可能性)はいえませんね。シミュレーションの結果についても何とも言えないですね。」
近鉄・礒部公一選手会長
「今日は決まっているところはないし、歩み寄りはそんなになかったですね。(近鉄の選手を)自由契約にして欲しいという意見は出ました。プロテクトされたくない?個人的には(そう)思います。(スト回避は)何とも言えないです。」
ロッテ・小坂誠選手会長
「明日、方向性が出て、終わる話ですから(コメントはできない)。」
横浜・鈴木尚選手会長
「(手応えは)微妙です。」
阪神・野崎勝義球団社長
「選手会との1番の相違は来年からセ6、パ6になるのかという点。阪神としては偶数の方がいいが、ずっと結論が出ないで来年の日程を決められないのも困る。新規参入の受け入れは球団間に温度差があった。」
広島・鈴木清明球団副本部長
「各チーム、シミュレーションを持ってきたけど提出したのはオリックスと近鉄だけ。広島のは出せといわれれば出す準備はしていた。」
オリックス・小泉隆司球団社長
「今の12球団では一緒に食っていくパイはない。12球団より10球団の方が健全な業界になると思っている。新規参入?9月8日(オーナー会議)にパ・リーグ4球団にするのは来年に間に合わない、ということで5チームの体制に入った訳ですから。」
近鉄・小林哲也球団社長
「両方とも前向きに話し合いました。ストに関してはコメントできない。合併凍結については議論を戦わせるところはなかった。(近鉄選手の身分を)自由にして欲しいという要求は、明日(17日)また話し合うことになります。」

◇「シミュレーション」発表

前回の労使合意事項にあった「交流試合を導入した場合のシミュレーション」が、オリックス、近鉄の両球団が発表された。「セ6・パ5」で交流試合の主催が18試合の場合と36試合の場合と近鉄が存続したとしての「セ6・パ6」が同様のケース。いずれも大幅な赤字となった。

パ5球団の場合のオリックスの赤字額(約34億円)より、6球団制で近鉄を売却した場合のオリックスの額(約28億円)の方が少ないが、今回はあくまでも両球団の統合合併による赤字額の縮小を念頭においての試算。テレビ放映権料の設定額は選手会に説明されなかったが「選手会側から質問はできなかった」(オリックス・小泉社長)と機構側は選手会の理解は得たと判断している。

◇選手会から新要求も

選手会側からは十数ページの要望書が提出され、経営者側に対して新たな要求が出された。その1つはオリックスと近鉄の合併で誕生する新球団のプロテクトを外れ、新規参入チームの誕生を期待して、自由契約を求めるというもの。近鉄の礒部選手会長は「選手には選手の意見を尊重して欲しい気持ちが強い」と強い姿勢。だが、経営者側は難色を示している。オリックスの小泉社長は「プロテクト案はNPB、12球団から理解を得ている。それが覆ることはない」、近鉄の足高球団代表も「要望をのむのは厳しい」と話した。

◇オリックス中村GM、「FA権行使選手はプロテクト枠入れず」

オリックス・中村勝広GMは、近鉄の統合後の新球団のプロテクト枠25人の選定について言及。両球団でFA権を取得している選手に関しては、それぞれの球団で意思を確認。権利行使の意向を持つ選手は「現段階ではプロテクト枠には入れないつもり」という方針を明らかにした。FA権を持っている選手はオリックスでは三輪、大島の2人。近鉄は大村、的山、村ら。なお、権利行使の場合でも「引き留めるケースもある」と同GMは語った。

◇異例の資料開示も

委員会終了後、各球団代表が出席し、交渉過程としては異例の資料の開示が行われた。前回10日の会見で古田会長が「統合の1年延期の可能性が出てきた」と発言したことに対し、機構側が「事実と反すること。古田さんの期待と実際の交渉内容を混同して発表してもらっては困る」と苦言を呈したもの。ロッテ・瀬戸山代表によると「古田さんからも『分かりました』という言葉をもらった」。古田も「(交流戦のシミュレーションの)数字を1度も出したことがなかったし、結果が出ればチャンスがあるかと思った。そこら辺が違っていたのかな。淡い期待だったのかな」と語った。機構側はさらに「密室での会談と言われてきたので少しでも改善したい。会議を記者団に公表したい」と選手会に申し入れたが、同意は得られなかった。

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楽天vsライブドア、選手編成でパイの奪い合い?[サンスポ]

インターネット商店街最大手の楽天・三木谷浩史社長が16日、都内で会見し、日本プロ野球組織(NPB)に来週中に参加申請(本拠地=兵庫・神戸市)することを明言した。同じIT企業のライブドア・堀江貴文社長は同日、NPBへ参加申請(本拠地=宮城・仙台市)した。両者とも新規球団はオリックスと近鉄の合併による余剰選手を確保する方針で、参入が認可されてもチーム編成に障害が生じる可能性もでてきた。

楽天の球団経営参入発覚から一夜明けて、三木谷社長が正午過ぎに姿を現した。「スポーツビジネスには可能性がある。迷ったが、今こそ立つべきと判断した。(加盟申請を)来週中に行うつもりです」。あくまでビジネスライクを優先させた上で、歴史あるプロ野球界への進出を表明した。新規参入に必要だった加盟料60億円が撤廃され、25億円程度の預かり保証金により参入への障壁が低くなった。加えて「地域貢献、社会貢献に力を入れるべき」とする同社長の言葉通り、目に見える活動で同社の認知度をアップしたい意向だ。

三木谷社長
「本拠地は、Jリーグ(J1神戸)もあり、(自らの)出身地でもある神戸がいいと思う。ただ、それ以外でも検討の余地はあります。」

オリックス・宮内オーナーや西武・堤オーナーらと親交がある同社長。今回の参入でも球界関係者から数多くのアドバイスを得たという。だが、既存の“規律”を覆す考えはなく、阪神・久万オーナーが「ウチの敵が増える」と不快感を露にした保護地域問題には今後、慎重に議論を重ねるつもりだ。

一方で、チーム編成は、オリックスと近鉄のプロテクト(優先保有)から漏れた選手を中心にドラフト、FAで選手を確保する方針。ライブドアも同様の編成方針を固めており、図らずも新規ライバル球団同士による“パイ”の奪い合いが起こる可能性もでてきた。

三木谷社長
「球団を経営するのに資する会社かどうか、今の野球界の方々に評価していただき、(参入を)ご判断いただけるのが1番。」

推定2590億円ともされる個人資産を後ろ盾に、気鋭の若手社長が球界に新風を吹き込もうとしている。

◇インターネットをフル活用

三木谷社長は新規球団のアピールに、インターネットのブロードバンドなど専門分野を積極利用するつもりだ。「試合はストリーミング(映像配信)で流します。グッズもEコマース(電子商取引)で販売する予定。初期投資?1、2億円では、できないと思っています」と胸を張った。

手続きは
2社の加盟申請をプロ野球組織がどんな手順で審議するかは、現時点では未定。この日、提案された審査委員会は再来年以降の新規参入を想定しており、来季からの新球団参加は時間的に難しい。

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堀江ライブドア、ダルビッシュ目玉に仙台本拠地[サンスポ]

黒いスーツにノータイ、くるぶしまでのソックス。16日、日本プロ野球組織(NPB)に参加申請したライブドア・堀江貴文社長は“晴れの日”でもスタイルを変えなかった。「本日を持ちまして、参加を申請いたしました。宮城県を保護地域とし、宮城県営球場を専用とします」。午後3時過ぎからの会見で、高らかに宣言した。

近鉄買収話が発覚した6月29日からおよそ2ヶ月半。既存球団から“総スカン”の状態ながら、水面下で準備を進めていた。今月2日には代理人を通じて宮城県の浅野史郎知事と交渉。9日に都内で極秘会談し、保護地域の確約を得た。2軍の寮や練習施設も仙台市内の企業と交渉中だ。チーム編成に関しては「(オリックス、近鉄の合併で)プロテクトされなかった選手を優先に確保したい」。方針は楽天と同じだが「競合するかどうかは分からない。2チームでもいいんじゃないですか」と寛容な態度。監督、コーチは10月末までに人選予定。地道な“既成事実化”で、風穴を開けるられるか。

◇ソロバン勘定では2、3年で黒字

堀江社長は収益を独自のソロバン勘定。「初年度は1試合2万人なら10億円程度の赤字。2万5000人から黒字になる。3〜5年で止めることは現時点で考えていない。楽観的に2、3年で黒字になり、毎年5〜10億円の利益を(選手獲得などの)再投資に充てたい」。関係者も「(ドラフトの目玉、東北高の)ダルビッシュ投手も絶対に欲しい」と息巻いていた。

◇「ライブドア効果」で仙台は誘致ムードUP

ライブドアが新球団の本拠地に白羽の矢を立てた仙台市では、プロ野球の“空白地帯”東北に球団を呼ぼうと、市民団体が老朽化した球場の建て替えなどを求めるなど、誘致ムードが盛り上がり、市民や地元財界関係者らが昨年3月、「宮城野ボールパーク構想推進協議会」を結成した。県営宮城球場は築50年以上が経過。選手からも「ベンチが汚い」と不評で、同会は建て替えを県に求めていた。同会は米大リーグの試合も呼べる「天然芝で開閉可能なドーム球場」の建設を提案。近く、アイデアをまとめるという。鈴木悟事務局長は「話が本当なら市民を挙げて応援する態勢を作る。県はこの機会を逃さず、球場の建て替えを真剣に考えて欲しい」と話している。

◇ライブドアの問題点

ライブドアが正式に申請したことで実行委員会、オーナー会議で30日以内に審査される。もっとも、この日の会見後に同社幹部が明かした(1)「観客が増えれば給料を上げ、下がれば下げる。成果報酬をオープンにする」という査定方法と(2)「有能な選手にストックオプション(球団株式の権利付与)を与える」との2点は、野球協約に抵触する可能性がある。

(1)は野球協約101条に定められるボーナス契約(新人と自由契約選手に限られる=2年目以降は認めらない)と捉えられた場合、(2)は選手がトレードされた場合、同183条で他球団の支配権を有するとみなされる株式所得は禁止されている。「ライブドア球団が上場されたとき、莫大な利益が得られる」と同幹部は話すが、選手を混乱させる報酬制度に各球団が承認に向かうとは考えにくい。

また、来週に申請予定の楽天は本拠地を神戸としたことで阪神、オリックスの2球団と重複する(いずれも兵庫、大阪両県が保護地域)。既に阪神・久万オーナーが「テリトリーにいくつもあったらいかん」と反対を表明している。

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根来コミッショナー、スト阻止へ進退かける[報知]

◇私案披露

プロ野球の根来泰周コミッショナーが労組・日本プロ野球選手会のストライキ回避に向けて動いた。16日に都内のホテルで開催された日本プロ野球組織(NPB)と選手会の団体交渉にあたる協議・交渉委員会に、「私の見解」との書面を提示。3項目の新規提案事項を示すとともに、この提案が「自己の進退を含んで考慮した結果」と明記し、自らの進退をかけてスト回避を求めた。交渉は17日も継続されるが、午後5時までに妥協点を見いだせない場合、18、19日にスト突入となる。

◇2006年12球団復活に道筋

球界のトップが、プロ野球史上初のスト回避へ、ついに動いた。この日、根来コミッショナーは広島市民球場視察のために広島にいた。しかし、都内で行われた協議・交渉委員会の出席者に、スト回避を求めた熱い思いを記した文書を残していた。新たな提案として

(1)
新規参入球団の資格審査を行う「新規加入球団審査委員会(仮称)」の設置
(2)
有識者で構成し、オーナー会議の諮問に応じて答申する「プロ野球有識者会議(仮称)」の設置
(3)
撤廃された加盟料(30億円)に代わる預かり保証金制度

の具体案を示した。そして、それらは「私の見解」と題された文書の中で「自己の進退を含んで考慮した結果(提案)である」と明言している。更には「今ストに突入することがあれば、球団がさらに疲弊し、ついには解散、倒産に至ることもあり得るであろう。一層の自重を求める」と続け、自らの進退をかけて、ストライキの回避を労使双方に訴えた。

これまで「自分には権限がない」と再三、口にしてきた根来コミッショナーには、球界の内外から「指導力がない」と批判の声が上がっていた。しかし、ストが目前に迫った非常事態に「権限がないことは認めざるを得ない」と断りながらも「球団、選手、NPBが一体となって難局を乗り切るには、選手側の協力なくして成就できない」と強く訴えている。

1と3については、今後の新規参入球団に門戸を広げ、資格審査についても透明性も持たせるもの。来季は「セ6、パ5球団での運営やむなし」と話しているが、2006年からパ・リーグ6球団、12球団制の復活の道筋をつけたものだといえる。

会議後、会見に臨んだ瀬戸山選手関係委員長(ロッテ代表)は「職をかけている、と判断していいのか」と問われ、「自らそう言っておられる。そういうことと認識している。選手会も同じだろう」と話した。また、伊藤修・選手会担当顧問(中日参与)も「選手会も(提案の)重みを十分に認識してくれたと思っている」と続けた。球界トップの決断を、選手会はどうとらえるのだろうか。結論の刻限は17日午後5時に迫っている。

◇根来氏提案メモ

新規加入球団審査委員会(仮称)
日本野球機構の諮問に応じて、新規加入を申請している球団についてその可否を審査する。委員は法律、経済、経営等の専門家、プロ野球OBなど7人程度で構成。新規加入申請球団関係者、既加入球団関係者、同球団所属選手等から意見を聴取し、財務内容等を調査する権限を与える。
プロ野球有識者会議(仮称)
プロ野球のみならず、法律、経済、経営全般に通じた有識者を以て構成し、オーナー会議の諮問に応じて答申。審議事項は野球協約の根本的改正、選手に関する参稼報酬、ドラフト、FA制度など。必要に応じ専門小委員会を設置。
加盟料
当面、加盟料については加盟の際の預かり金として野球機構に保管。その金額は、当該球団が10年以内にプロ野球から撤退することがあった場合を想定し、所属選手の1年分相当の参稼報酬の合算額とする。既設球団についても脱退する場合の諸経費に充てるための供出が必要かどうか、必要なら金額をいくらにするかなどは有識者会議で審議。

◇私の見解、根來泰周

多くを語る必要もないほど現下のプロ野球界が抱える問題が極めて多い。その重要な問題の1つは、各球団のいわゆる赤字収支である。(中略)

しかし今に至って頓服的良薬があるはずがなく将来展望を持ちつつ漸進的な方法を以て改善する他はない。そして野球組織内の検討ではその論理が優先し、偏狭な見地からのものに終わる可能性もあることから、プロ野球に理解があり、一般社会の常識、経済、法律に通じた有識者の考え方を大幅に取り容れ、よりよき案を策定し、実行することが肝要であろう。以上の考慮に立って次のような提案をする。

なおこの案を提示するについていかなる権限に基づくものなのか、あるいは選手側との折衝過程にこのような管理経営権に属することを提案するのが妥当であるかどうかという疑問点があると思う。第1点については、なんらの権限のないことを認めざるを得ないが、現下のプロ球界の未曾有の混乱を見るとき何らかの提案をし、その収束を図るべきものと考えた。当然自己の進退を含んで考慮した結果である。(中略)

いずれにせよ今日の事態を招いたのは、社会経済情勢の急激な変化によることもあるが、経営者、選手、私を含め野球機構等関係者の責任であり、他に転嫁できるものではない。要するに一億総懺悔の立場からよりよき制度運営を求めて改善を図るべきで、今ストに突入することがあれば、球団がさらに疲弊し、ついには解散、倒産に至ることもあり得るであろう。一層の自重を求めるものである。

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ライブドア、ダルビッシュ獲り[報知]

◇NPBに参加申請、本拠仙台

IT関連企業のライブドア(堀江貴文社長)が16日、東京・内幸町のコミッショナー事務局を訪ねて日本プロ野球組織(NPB)に参加申請を行い、堀江社長が宮城・仙台市をフランチャイズとする球団経営プランの詳細を発表した。首脳陣、選手らも東北地方出身者を中心とする方針。今秋ドラフト注目の高校No.1右腕、東北・ダルビッシュ有投手の獲得にも乗り出す構えだ。また社会人野球シダックスの野村克也GM兼監督も、静岡を本拠としたプロ球団経営に前向きな姿勢を見せるなど、球界再編の波が地方へと飛び火した。

◇9日会談、浅野宮城県知事も大歓迎

若きIT社長が、球界参入の挑戦の場に選んだのは“杜の都”仙台だった。これまでのTシャツ姿から、黒いジャケットに白いシャツで会見に臨んだ堀江社長。「東北に新たなエンターテインメントを提供できる。成功の可能性は高いと思っている」と自信たっぷりに語り、球団経営のための新会社を14日に設立したことを宣言した。

同社が発表した「日本プロフェッショナル野球組織への参加申請書骨子」によると、新球団はまさに地域密着型のチームだ。専用球場はJR仙台駅から車で10分ほどの県営宮城球場。2軍施設および室内練習場も、地元の社会人野球チームが所有するものを使う。監督、コーチは人選中だが「(首脳陣の)半分はゆかりのある方にお願いしたい。選手も、ドラフトではそういった選手を獲りたい」と同社長。熊谷史人執行役員副社長はダルビッシュ獲りについて「当然です」と話し、来季からの球界参入と今秋ドラフト会議参加が実現した場合には地元・東北高のエース、ダルビッシュを上位指名する方針を明かした。

6月30日に近鉄買収に名乗りを上げた堀江社長は、大阪だけでなく数十万人規模の人口を抱える地方都市も候補地に入れ、9月中の新会社設立を目指してきた。その過程で浮上したのが仙台市だった。「東北にプロ球団はないが、高校野球に強いチームも多く、野球文化は根付いている」(同社長)と分析。今月2日に代理人を通して宮城県側と接触。9日には都内のホテルで浅野史郎知事と会談して協力の約束を取り付け、すぐさま新会社を設立。この日午後、申請書類をコミッショナー事務局に提出という“速攻”で、球界参入への強い意欲を示した。宮城球場はかつて、ロッテがフランチャイズとして使用していたが、1978年以降はプロ球団の“空白状態”が続いていた。

この日、会見を行った浅野知事は「球場を管理する立場として前向きに捉えたい」と27年ぶりの地元球団誕生構想に、歓迎の意向を表明した。仙台での挑戦を掲げたライブドアの夢は実現するのか。初年度売り上げ41億円、総利益35億円を見込んでいる堀江社長は、近日中にも仙台へ出向く予定だ。

東北高・ダルビッシュ有投手
「これまで東北地方にはプロ野球チームがなかったので本当にいいことだと思います。(仮に指名されればどうするかと聞かれ)指名といわれてもまだ(プロ野球志望届も提出していないので)今は分からないです。」

◇堀江社長に聞く

≫仙台を本拠地とした理由は?
堀江社長
「ベガルタ仙台(Jリーグ2部)が地元に根付いて非常に多くのファンを獲得していることに着目した。そして(宮城県側の)決断が早かった。トントン拍子に事が進み、これなら今後もスピーディーに進めると思ったから。東北地方は高校野球では有力校がひしめき、野球文化が根付いているのにプロ野球球団がなかったのも理由の1つ。」
≫来年の参加が無理な場合は、再来年はどうするのか?
堀江社長
「それを考えられる状況じゃない。今は全て今季のことで精一杯。」
≫楽天の新規参入の意思表明については?
堀江社長
「新規参入が増えることはとても喜ばしいこと。一緒に入って変えていけば、プロ野球界の発展につながる。ライバル同士、敵であり仲間。」
≫球団経営のリミットは何年くらい?
堀江社長
「リミットは考えていない。球団を持てる限り持つつもり。プロ経営は最終的には別会社でやりたいと思っている。3〜5年でやめることは考えていない。それでは保証金も返されないだろうし。」

◇ライブドア申請に「30日以内に審査」

ライブドアが、正式に日本プロ野球組織に加盟申請したことを受け、NPBの伊藤修選手会担当顧問は「ライブドアの申請に対しては、野球協約で30日以内に審査することになっている。手続きに応じて適正さを見ていく。今日はまだ見ていないので、明日にでも(各代表と)話し合います」と話すにとどまった。また、根来コミッショナーが提案した、新規加入を申請している球団についての可否を審査する「新規加入球団審査委員会」については、「立ち上げは出来るだけ早くしたい」と早期の立ち上げに意欲を見せた。「21日の12球団代表者会議?そのあたりか。メンバーについても、各球団からの推薦もあるだろうし、選考もありますからね」と見通しを語っていた。

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古田選手会会長要求、近鉄選手の自由移籍認めて[報知]

日本プロ野球選手会・古田敦也会長が16日の協議・交渉委員会を終え、ストライキ回避へ軟化の姿勢を見せた。根来コミッショナーの進退を懸けた第三者による委員会設置案などには大きな反応は見せなかったが、一方でパ・リーグが5球団になった場合に、近鉄選手に移籍先の希望を伝える権利を与えることを逆提案。「最悪パが5球団になるなら、これくらいして欲しい」と労働条件が満たされれば、一時的な球団数削減も受け入れる可能性を示した。

◇パ5不可避なら「これくらいして欲しい」

神宮での横浜戦終了後、取材に応じた古田会長は根来コミッショナーが辞職を覚悟して出した審議委員会設置の提案に対し、「こういうものはストライキを回避するために出すんですか?それに今回はスピードが大事なんでね。希望企業があるんだから、すぐに設置してあげて欲しい」と評価を保留した。

あくまでパ6球団維持を掲げる選手会にとって、根来コミッショナーの「新規参入は2006年以降」とする判断には到底納得がいかない。またもや交渉決裂かと思われたが、古田会長は逆に新たな要求を提示したことを明らかにした。それは、近鉄選手の労働条件の保護だった。「最悪パが5球団になるなら、まず、近鉄選手の意見を聞いて欲しい。統合球団に行きたくない選手もいるし、現在の地域から離れたくない選手もいる。セ・パの希望もある。それくらいは考慮してあげて欲しい」と切り出した。

古田会長はさらに、具体的に「例えばある選手が6つの希望球団を出して、ウエーバーにかけてもらう。6球団とも指名がなければ、自由契約にして欲しい」とプランを説明。つまり、選手が希望する球団への移籍をできる限りかなえて欲しいとの要求だ。もちろん、ある特定の球団に移籍希望が偏る場合も考えられる。「(受け入れは)1球団4人と言っているのだから、みんながみんなとは言わない。でも、少なくとも、統合球団に行きたい選手は絶対に入れてあげて欲しい」と話した。

これは、来季のパ5球団制を暗に容認する提案で、選手会が近・オリの合併凍結を断念し、ストライキ回避へ向けて大幅に譲歩したことを物語っている。古田会長はNPBが提出した交流試合のシュミレーションについても、「赤字の部分を出してくれたから」と合併の合理性の説明も終わったとの解釈を下した。新規参入球団については「せっかく志高く(球団を持つと)言ってくれているのだから、すぐに審査しないといけない」と6球団維持が最大目標であることを改めて強調したが、根来コミッショナーの提案により、再来年以降の12球団復帰への土台づくりはできたといえる。「追い詰められてストをする?うーん、どうかな。察してください」と締めた古田会長。長かった合併をめぐる交渉も大詰めにさしかかった。

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合併して交流戦やっても「オリ近」結局大赤字[報知]

オリックス、近鉄の両球団が、10日の協議・交渉委の合意事項の1つ「交流試合の導入をふまえた来季の影響などの具体的分析」についてのシミュレーションを、選手会側に示した。オリックスはセ6、パ5での交流戦実施時など4パターン。新球団に吸収される形の近鉄は、セ、パ6球団で交流戦の試合数を変えた2パターンについて試算。しかし、全てのケースで、大きな赤字を抱えることが判明した。

収入には入場料、テレビ放映権料、支出には球場使用料、遠征費などが含まれる。選手会が要求した近鉄を残しての6球団ずつのケースについて、近鉄は交流戦でテレビ放映権料、入場料などで増収が見込まれると分析。収入は2003年度よりも4億から10億近くの増収が見込まれるが、それでも23億から30億近い赤字が残る。合併した場合でも27億から34億円の赤字との試算をはじき出した。オリックス・小泉球団社長は「交流試合をしても赤字が出るのが現状。統合におけるメリットは非常に大きいと選手会に説明しました」と説明。近鉄・小林球団社長も「選手会の方も資料を持っていたようですが、異論はなかった。むこうも予想通りでは」と話し、いずれのケースでも赤字は解消されず、統合がベストであるとの結論を導き出した。

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根来氏「新規参入規制協約」を改正も[報知]

根来泰周コミッショナーは16日、私見ながら、新規参入しようとしている企業を規制している野球協約第31条の改正を視野に入れていることを示唆した。同協約は「新たにこの組織に参加資格を取得しようとする球団は」と記されており、球団が主語になっていることに「(何か)方法がないかということを考えなければならない」と話した。

現在の協約だと非球団では、申請さえできないという解釈も成り立つ。この日、ライブドアがNPBに参加申請を行ったことは「聞いていない」と話しながらも、根来コミッショナーは「頭から否定する訳にはいかない」と、参入しようとする企業にはできる限り門戸を広げたい意向を示した。ただし、第3者機関による委員会を設置し「審査を受ける必要がある」と付け加え、「個人的には来季から(の参入)は難しい」という持論を繰り返した。また、新規参入については第3者による審査機関の設置や、プロ野球の制度改革には有識者を集めた制度検討委員会など、個人的な提案を選手会に示したことを明かした。根来コミッショナーはこの日、「まだ見たことがなかったから」と広島球場を視察。広島・松田元オーナーと約1時間会談した。

◇経営者側「協議の公開」求めるも選手会は拒否

スト回避へ、経営者側は大胆な“秘策”を用意していた。協議・交渉委員会の冒頭、会場に報道陣を招き入れての「情報公開」を選手会に申し入れた。前代未聞の提案を受けた選手会側がこれを拒絶し、会議は約20分遅れで始まった。

提案も異例なら、団交後の会見も異例だった。12球団の代表者全員がずらりと並んだ中、瀬戸山隆三・選手関係委員会委員長(ロッテ代表)が「交渉を公開したいと申し入れたが、選手会は遠慮させて欲しいということだった」と経緯を明かし、その理由については「閉鎖的、密室との批判が多いので、少しでも改善していきたい」と説明した。出席した選手会長らはほとんど無言で会場を後にしたが、経営者側は対照的に情報公開の姿勢を打ち出すことで、自らの正当性を世間にアピールした格好だ。

「閉鎖的」「密室」などのフレーズは、経営者側の姿勢を批判する際に選手会が用いる常套句でもあった。伊藤修・選手会担当顧問(中日参与)は「選手会からすれば戸惑いもあったろうし、真意をはかりかねるとのことだった」と一定の理解を示したが、開かれた球界への第1歩を自ら拒絶した選手会の姿勢に、疑問が残ったのも確かだった。

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楽天・三木谷社長、神戸以外でも[報知]

◇「割り切るところは割り切る」

16日に日本プロ野球組織(NPB)に加盟申請したライブドアに続き、インターネット商店街最大手、楽天も来週中に加盟申請することになった。同社の三木谷浩史社長がこの日、東京・港区の六本木ヒルズ内で記者会見し、来季の新規参入を目指す意向を正式に表明。本拠地も出身の「神戸」にこだわらない柔軟な姿勢を見せた。野村GM兼監督が意欲を見せるシダックスと合わせて、球界再編問題は新たな局面を迎えた。

報道陣の前に黒のスーツ姿で現れた三木谷社長は、サッカー界へのヴィッセル神戸に続いて、野球界にも一石を投じる構えを示した。「日本のスポーツビジネスは全般的に苦しい局面に立たされている。だが、まだ可能性があると思い、地域貢献、社会貢献の意味を持って力を入れていくべきではないかと思う」と語った。同社長はプロ野球関係者にも話を聞き、約1年前から球団経営を検討していたという。既存球団の買収ではなく、基本は新規参入という点を強調。また、選手確保についてはオリックスと近鉄の合併球団からあふれた選手を中心に集めるとしながらも「ヴィッセル神戸もそうだったけど、ドラフトやFAなどの色々なオプションもあるから」とチーム力の一定水準の確保に自信を見せた。

フランチャイズについてはヴィッセル神戸の関係上、また、三木谷社長の出身地である神戸が第1としながらも「恋愛と一緒で自分だけ好き好き言っても仕方がない。割り切るところは割り切ることだと思う」。日本ハムが北海道で、ダイエーが福岡で地域密着型のチームづくりを成功させたことも例に挙げ、神戸以外にも検討の余地ありの姿勢を見せた。

10日の協議・交渉委員会で撤廃が決定した60億円の加盟料に代わる、25億円とみられる預かり保証金についても「問題ない。我々の財務体力から見れば、かなりの額の先行投資もできると思う」。金に糸目はなし。一部では推定個人資産2580億円ともいわれる三木谷社長ならではの発言も飛び出した。

「成功する自信もある」と球団経営について数年内の黒字化をもくろむ楽天だが、短期的な投資で終わらせる気は毛頭ない。「これまで色々な企業を買収してきたが、1社も売却はしてきていない。短期的なマーケティング効果やキャピタルゲインを狙うことはあり得ない」と球団の長期保有を訴えた。

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シダックス・野村監督「本拠は静岡」[報知]

◇志太会長は慎重

シダックスの野村克也GM兼監督がフランチャイズを静岡とした上で、来季からのプロ球界参入にあらためて意欲を示した。16日、府中市民球場で練習を指導した野村監督は来季からの参入に「十分間に合う」との見解を話した。

待ちきれない。プロ球界参入への強い希望が、名将に本音を語らせた。「スケジュールも十分間に合う。(参入は来季からで)大丈夫だろう」。15日、根来コミッショナーが私見として、来季からの新規参入は時間的に難しいと発言。実際、新規参入に名乗りを上げたライブドア、楽天はともに球団を所有しておらず、その設立には様々なプロセスを経ねばならない。だが、シダックスは社会人野球の強豪として、既に野球部を運営しているというメリットがある。

野村監督がフランチャイズとして想定するのは志太勤会長の地元・静岡の草薙球場だ。練習場としても、静岡・伊豆市に東京ドームと同じ両翼を誇る自社所有の球場「志太スタジアム」を備え、現在キャンプや強化合宿に使用している。「2月のキャンプインにも間に合う。地域密着が何より大事。地元のテレビには毎日“シダックスアワー”として番組を放送してもらいたいね」。地元メディアとのタイアップで、人気を巻き起こすビジョンを描いている。

参入したとしても、母体は社会人野球。プロとの実力差は歴然だ。だが、それを逆手にとってファンを獲得する妙案もある。「入場料を安くして、たくさんのお客さんに来てもらう。徐々に勝っていくごとに、入場料を上げていくのはどうかな」弱者が勝者を倒すというID野球の神髄を、多くのファンに見せつけたい信念がある。

だが、肝心かなめの志太会長からは、「プロアマが1つになって、野球界全体が発展するような仕組みが作られることが条件」と一貫して慎重なコメントが続いている。「お金の問題だけですよ。全ては志太会長の腹1つだからね」プロ通算1309勝を誇る名将の最後の挑戦は、果たして実現するのだろうか。

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セ・パ交流戦なら赤字は圧縮[ニッカン]

オリックスと近鉄は、プロ野球選手会から求められていた、交流戦を実施した場合の経営シミュレーションを発表した。それによると、赤字は解消されないまでも損益が圧縮されることが分かった。両球団の昨年度の収支はオリックスが37億円、近鉄は38億8000万円の赤字。オリックスの赤字額を基準に、2球団が合併してセ6球団と各3試合の交流戦を実施したケースでは、34億4900万円、6試合に増やせば27億3100万円まで赤字は圧縮される。

合併せずにセ、パ各6球団で3試合実施した場合、オリックスが28億3500万円、近鉄が29億200万円と、ともに10億円近く赤字幅が減り、6試合ではオリックスは21億1700万円、近鉄が23億3300万円で約15億円の圧縮となり、6球団ずつで交流戦を多く実施した方が収支改善となるという。

さらに、パが各選手の年俸を40%削減してセ、パ6球団ずつで交流試合を組んだ場合でも、年間赤字は20億円にも達するというシミュレーションが紹介された。オリックスの小泉隆司球団社長は「パは200億円赤字、セは50億円の黒字。この業界全体では150億円の赤字を抱えている。交流試合を入れてもまだ改善にはならない」と慢性化している経営難を強調した。

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選手会側、合併球団のプロテクト除外要求[ニッカン]

16日に行われた日本プロ野球組織(NPB)と労働組合・日本プロ野球選手会による労使交渉(協議・交渉委員会)で、選手会側からは10数ページの要望書が提出され、経営者側に対して新たな要求が出された。その1つはオリックスと近鉄の合併で誕生する新球団のプロテクトを外れ、新規参入チームの誕生を期待して、自由契約を求めるというもの。近鉄の礒部選手会長は「選手には選手の意見を尊重してほしい気持ちが強い。その辺は今後も言っていきたい」と強い姿勢を示した。経営者側は難色を示している。オリックスの小泉社長は「プロテクト案はNPB、12球団から理解を得ている。それが覆ることはない」と言い、近鉄の足高球団代表も「要望をのむのは厳しい」と話した。

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古田会長「あとは僕達が受けるか」[ニッカン]

労働組合・日本プロ野球選手会の古田敦也会長は16日、日本プロ野球組織(NPB)との労使交渉について「球団統合の延期は無理だということでした。あとは僕達が受けるかどうか」と苦渋の表情を浮かべた。新規参入などについて、根来コミッショナーから提案があったが「詰めなきゃいけないことがいっぱいある」として態度を保留。新球団の受け入れが再来年からとなることに対しても「やりたいという企業があるのだから急いで欲しい」と時間的制約に縛られることなく、来季からの受け入れに本腰を入れるよう注文をつけた。また、ライブドアが正式に新規加盟を申請したことには「野球は各地に広まって欲しい。今まで東北になかった訳ですから、いいと思います」と歓迎の意向を示した。

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プロ野球労使交渉、17日に継続審議[ニッカン]

ストライキ決行か、回避かの期限が17日午後5時に迫る中、日本プロ野球組織(NPB)と労働組合・日本プロ野球選手会による労使交渉(協議・交渉委員会)が16日、東京都内のホテルで再開され、17日に継続審議されることが決まった。

交渉の中で経営者側はオリックスと近鉄の合併延期が無理であることを通告。同時に根来泰周コミッショナーの発案による「新規加入球団審査委員会」(仮称)の新設、撤廃された加盟料60億円に代わる預かり保証金を選手年俸の総額とする具体案などを選手会側に新たに提案した。新提案は06年にパ・リーグが再び6球団になる可能性を高めるもので、05年はセ6球団、パ5球団で開催し、再び12球団で運営していく道筋を示し、選手会にスト回避を求めたとみられる。また、リーグ構成のあるべき姿や、選手OBの再就職先確保の検討、ドラフト制度などあらゆる問題を審議する「プロ野球有識者会議」(仮称)の新設も併せて提案した。

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ライブドア、新球団の本拠地は仙台[ニッカン]

球界参入を狙うライブドアの幹部が16日、東京・内幸町のコミッショナー事務局を訪れ、日本プロ野球組織(NPB)に参加申請を行った。本拠地は仙台市の宮城県営球場で球団名も今年中に選定し、監督などは10月末までに確定する方針という。東京・六本木の本社で会見したライブドアの堀江貴文社長は「9日に東京都内で(宮城県の)浅野史郎知事と2時間ほど会った。仙台に決めたのは(受け入れを)早く決断してくれたから。成功する確度は高い」と自信たっぷりに語った。実現すれば東北を本拠地とするプロ球団が初めて誕生することになる。

本拠地球場は1973〜77年までロッテ(現千葉ロッテマリーンズ)が準フランチャイズにしていた仙台市宮城野区の県営宮城球場。宮城球場は50年建設で85年に改修、収容人員は2万8000人。将来的には仙台市内に建設構想がある新球場への移転を視野に入れている。

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楽天、来週中にプロ野球加盟申請へ[ニッカン]

インターネット商店街最大手、楽天が、来週中にプロ野球への加盟申請を行う。16日、三木谷浩史社長が東京都内で記者会見し、プロ野球への新規参入を目指す意向を明言、来週中に日本プロ野球組織(NPB)に申請する方針を示した。本拠地は神戸市を第1候補に挙げた。

三木谷社長は1年前から球団経営を検討していたことを明かし、既存球団の買収ではなく、新規参入という点を強調。選手はオリックスと近鉄の合併球団から漏れた選手らを中心に集めるという。「我々の財務体力から見れば、かなりの額の先行投資ができると思う」と話し、25億円とみられる預かり保証金についても「問題ない」と話した。

サッカーJ1神戸の経営にも参画しており「地元密着型で成功する実績も自信もある」と言い、球団経営について数年内の黒字化を計画しているそうで、短期的な投資ではなく「基本路線はずっと球団を持ち続けること」と話した。

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