ロッテがオリックスを下し、日本ハムが敗れたため、再びプレーオフ圏内の3位に浮上した。ロッテは4回、福浦、ベニー、フランコの3連打で満塁とすると、サブローが自身2本目となる5号満塁弾を放ち、一挙4点を先制。続く5回にもベニーの適時打で追加点を挙げた。投げては先発の渡辺俊が完投こそ逃したものの、8回1/3を投げ2失点でチームトップの12勝目。2人目の小林雅が19セーブ目を挙げた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 |
オリックス | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 |
午後9時前、ロッテ・サブローがヒーローインタビューを終えると、ヤフーBBに場内アナウンスが流れた。「18日、19日に予定された試合はストライキのため中止となりました」。バスへ向かう選手間へアッという間に伝わった衝撃の一報。バレンタイン監督は「週末は熱いプレーオフ争いになるはずだったのに…」と話したが、勝って3位へ浮上したロッテにはむしろ有利な状況になった。
スト対象2試合が代替開催されなければ、残りは2試合。3位以内マジックは依然日本ハムに点灯しているが、ロッテが連勝すれば相手は残り4戦全勝がプレーオフ進出の条件(3勝1分けで同率)。重圧を掛けるのにこれ以上はない。
タナボタではない。目前の試合に勝ったからこそだ。4回に福浦らの3連打で無死満塁とし、サブローがバックスクリーンへ会心の5号満塁弾。渡辺俊−小林雅の継投でオリックスの反撃をしのいだ。「迷惑をかけてきたので借りを返したかった。本当に嬉しい」とサブロー。負けていれば逆にストで不利になった。不安を抱えながらの戦いだったが、ナインは平常心で乗り切った。バレンタイン監督は「試合でコントロールできるのは(ストではなく)打って走って守ること。ずっと苦しい戦いをしてきた選手は分かっているよ」と称えた。土壇場で訪れた予想外のスト余波。プレーオフへ風はロッテに吹いている。
ロッテ、日本ハムは2試合減るとロッテが残り2試合、日本ハムは4試合。現在日本ハムにプレーオフマジック6が点灯しているが、2試合減で状況が一変。ロッテが残り2試合に連勝すると、日本ハムはロッテを抜くのに残り4試合に全勝が必要で、3勝1分けでも同率止まり。ロッテが1勝1敗でも3勝以上か、2勝2分けで乗り切らないとロッテを上回れない。また、ダイエーと西武はスト決行で直接対戦がなくなり、残りはともに3試合。ダイエーが3試合に敗れても最終76勝53敗4分け(.589)、西武は3戦全勝でも76勝56敗1分け(.576)で下回るため、ダイエーのレギュラーシーズン1位が確定することになる。
大詰めを迎えたプレーオフ争いの中、貴重な1勝を手にしたバレンタイン監督は「今はプレッシャーがかかっているというより、楽しんでやっている」。ロッテは18、19日のスト決行で、残り試合が「2」となる。「(プレーオフ争いに影響は)あるだろうけど仕方がない。試合に向けて準備をするのが我々の心構え」と毅然としていた。
僅か1試合で3位に返り咲いた。「選手は1年間ずっと、タフな試合を続けている。何も状況は変わっていない」とバレンタイン監督。“団交”の結果を気にしながらのプレーボールだったが、ナインの集中力が途切れることはなかった。
両軍無得点の4回、3連続安打で無死満塁の絶好機。打席に入ったのはサブローだった。オリックスの先発・川越に今季、11打数5安打と相性の良さを買われてのスタメン。「ストレート待ち。感触?試合後の今でも残っていますよ」。バックスクリーンに飛び込む、自身2発目のグランドスラムで均衡を破った。渡辺俊が9回途中まで2失点で粘り、小林雅につなぐ理想のパターンで5割復帰だ。
ヒーローインタビューの直後に、歴史的事態を伝える場内アナウンスが流れた。「18、19日の試合は選手会のストライキのため、中止となりました」騒然となったヤフーBBスタジアム。しかし、選手会長の福浦が「覚悟はしていた」と明かしたように、三塁ベンチは純粋に勝利の余韻に浸っていた。
「残り2試合になるんですか。僕らは残り試合を全部勝つだけ」とサブローがナインの気持ちを代弁すれば、指揮官も「ストの影響はあるが、次の試合のことだけを考えている」と冷静に語った。球界史上初の激震にも、チームの固い結束にヒビが入ることはない。
少ない好機を生かし、投手陣が守り抜いて3位浮上。貴重な1勝を手にしたバレンタイン監督は「今はプレッシャーがかかっているというより、楽しんでやっている」と満面の笑みだった。18、19にのスト決行で残り試合が2試合となる可能性がある。同監督は「(影響は)あるだろうけど仕方ない。とにかく試合に向けて準備するのが我々の心構え」と毅然とした表情で話した。
球界再編をめぐる労組日本プロ野球選手会と日本プロ野球組織(NPB)の労使協議(協議交渉委員会)が17日、都内のホテルで行われ、選手会は18、19日のストライキ決行を決めた。16日に続く交渉は午前11時から延長、再延長して午後9時前まで約10時間に及んだ。古田会長は新球団参入で来季12球団維持を求め、経営者と激論を交わしたが、歩み寄れなかった。前日、進退をかけて打開案を出した根来泰周コミッショナーは辞意を表明した。史上初の「野球のない週末」は、70年のプロ野球史で1番長い日を経てやって来る。
急転直下のストライキだった。本来のスト決行決断時間だった午後5時を過ぎて、選手会と機構側は合意文書の作成に入っていた。しかし、その文書に記す文言をめぐって、両者は1歩も引けなくなった。別々の部屋で協議を繰り返した。妥協点を探った。古田会長も、何度も機構側の部屋に足を運んだ。目に涙を浮かべながら、何とかストを回避すべく熱弁をふるった。しかし、4時間延長でも歩み寄れなかった。
プロ野球をファンから奪うことになったのは、言葉の解釈問題だった。古田会長は「来季からの新規参入に向けて最大限の努力をして欲しいとお願いした。来季から必ず入れて欲しいとは言っていない。可能性があれば良かった」。しかし、何を持って最大限の努力なのか。結果が伴わないことは許されないのか。経営者側はこの言葉に二の足を踏んだ。
もう1つは「以降」という言葉だった。05年以降からの新規参入を認めるという文言を記そうとした機構側に、選手会側は「以降」は05年ではないと判断した。前回の交渉後の会見でロッテ瀬戸山代表が「信頼関係でいきましょう」と声をかけてきたが、選手会としてはどうしても信頼を置けなかった。「これまでの交渉の過程で判断するとそういうこと。曖昧なことではだめということで、今回の結果になった」と、選手会の松原徹事務局長は唇をかんだ。
選手会側が協議していた部屋に何度も足を運んだ機構側の伊藤修選手会担当顧問は「ほんの些細なことが、恐ろしい結果になってしまった」と嘆いた。だが、そんな些細な言葉の解釈まで具体的に行わなければならないほど、両者の関係は崩れていた。溝は最後まで埋まらなかった。
6、5、4と減らす努力ではなく、偶数なら6、8にして、多くのプロ野球を見せる形にしてほしいと提案していた古田会長は、機構側が、誠意を持って新規参入に取り組むと言った「誠意」という言葉の中身にこだわった。「誠意というのはちゃんとした言葉なんですが、いつから、どういう努力をするのか、言葉を入れてもらえなかった。妥結する訳にはいかなかった。たくさんのファンに申し訳ない」と話した。19日には、都内でファンへの謝罪の意味も込めたイベントを計画している。
22日以降、来週末のスト回避に向け再び協議交渉が再開される予定だが、このままの状況なら27日の選手会の臨時運営委員会で、日本シリーズが行われない決定が下される可能性もある。「誠意を持ってという言葉すら今となっては曖昧に聞こえる」という古田会長。70年かけて築いたプロ野球。その崩れた信頼関係の再構築は、簡単でないことだけは、間違いない。
ファンの皆様へ
日本プロ野球選手会がストライキを計画しています。国民的な娯楽であるプロ野球が、ファン及び多くの国民の皆さまに多大の憂慮を与えていることに対して、心よりお詫びを申し上げます。これまで私どもは、謙虚な気持ちと真摯な姿勢で選手会と折衝を重ねてまいりましたが、ここに私どもの立場を明らかにして、皆様のご理解を心より願う次第です。
選手会は、大阪近鉄とオリックス両球団の統合に強く反対し、その1年凍結を要求してまいりました。しかし、オリックス球団と大阪近鉄両球団の統合は、長年の構造的な赤字が経営上、看過できない事態になったため、やむをえず決断した経営的な事項であります。
私どもは、先週の交渉で、球界の構造改革に関し、プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、ドラフト改革、選手の年俸のあり方について徹底的に協議することを提案し、また、球団の新規参入について環境整備することをお約束しました。
今回、選手会の要求に基づき、交流試合の導入を踏まえた両球団の統合に関する具体的分析を示し、統合の妥当性について、選手会に誠心誠意ご説明いたしました。また、新規参入等に関しては、コミッショナーから職を賭した見解及び提案が示され、これを選手会に提示し、検討を求めました。さらに、ストライキを避けるため、今後門戸を開いて、新規参入の審査を最大限誠意をもって行うこと等を内容とする共同声明文書の案を用意し、選手会に提示いたしました。
しかしながら、交渉の途中で選手側は、これに一旦理解を示したものの、その後、上記の案の新球団の参入に関する事項について、正式に拒絶されました。さらに交渉を続けたものの、選手会側は、来季12球団に戻すよう最大限努力することを要求し続け、あくまでも来シーズンからとすることに固執し、誠に遺憾ながら、妥結には至りませんでした。
言うまでもなく、プロ野球は、ファンあってのものであり、試合を行わないことは、ファンに対する直接的かつ重大な背徳行為であり、このような事態を招き、誠に申し訳なく思っております。
また、選手が労働組合であったとしても、球団統合及び球団の新規参入自体は、経営事項であり、義務的団体交渉事項ではなく、これを理由にストライキを行うというのは、違法かつ極めて不当なものであるとも考えております。
いずれにせよ、プロ野球は国民に健全な娯楽を提供して、夢と希望を与える担い手としての役割を尽くすために最善の努力を傾けて、誕生から70年の今日に至りました。私どもは、話合いを望んでおります。いかなる困難があっても、プロ野球を愛するファンのために最善を尽くすことをお約束申し上げますので、今後も、プロ野球に対する変わりなきご声援をお願い申しあげます。
スト決行で消化できなくなった18、19日の計12仔細の扱いについて、伊藤修顧問は代替試合を行う方向にないとした。「行わない方向です。こちらから強制することはできない」と話した。巨人清武代表も「再試合は難しいかもしれない」との見解を示した。ただし、ということで伊藤顧問は「ファンの声がどう変わるのかで選手会もやったほうがいいと言うかもしれない。実際に(ストを)やって、終わってみないと分からない」と付け加えた。またリーグ優勝、日本シリーズについて「これからの展開にも、話し合いにもよります。ここまで戦ってきた選手が自ら潰すかどうか、私はそうは思えない」と話していた。
ストライキ決行の結論に、根来泰周コミッショナーは17日、辞意を表明した。この日は東京・内幸町のコミッショナー事務局で、労使交渉の結果を待った。前日、進退をかけてスト回避へ向けて
をNPBと選手会双方に提案。「私は理屈に合わないことにはどうもそぐわない。進退をかけて申し上げたのだから、場所をかえてきちんとします。気の長いことは考えていません」と語り、「ファンに謝るためにも辞めます」と付け加えた。
そして、いつになく声高に語った。「これだけ努力をしてきたのに残念です」。争点となった新規参入問題については「今年からといっても、きちんとした手続きがある。その企業の問題や球場など準備しなきゃいかんことが山ほどある。簡単に結構だ、ダメだといったら、いつも僕が申し上げている1番大切な選手にとって不幸ですし、無責任です」と、新規加入は1年後という持論は曲げられないことを強調した。その選手に辞任を決められた形となり「残念です」と言葉をのみこんだ。「相手(選手会)の言い分も聞いてみたい」とも話した。
就任8ヶ月足らずで退任する不測の事態。16日の提案の実行も含めて、志半ばとなる。「何度も申しあげた協約の改正などやるべきことがあった」とし、特に有識者会議や新規球団審査委員会などは継続を期待。「全ては選手のことを思って考えた。これから考えていってほしいが、さしあたり向こうの方に遠のいた」と無念さをにじませた。また、スト収拾へ野球協約9条の「コミッショナー指令」を出すかについては「法的措置で解決する問題で指令を出すべきでない」というかねての見解で否定した。潔さとともに不本意さも強く出た40分間に及ぶ辞任会見だった。
来季からの新規参入は約束できない。日本プロ野球組織(NPB)は新規参入球団の受け入れ時期について、最後まで「05年以降」「誠意をもって審査」という表現にこだわった。ただし実情ではセと、パそして巨人の間で温度差があり、パと巨人の抵抗で妥結に至らなかったもようだ。一方、ストに関して12球団の代表者は、合併など経営問題にかかわる事項を理由にしてのストは違法と主張。今後、選手会に損害賠償を請求する意向を示した。
「タイムリミット」の午後5時から4時間を超えた同9時10分、労使交渉は最悪の結果を迎えた。NPBは、争点となった来季からの新規参入球団について「最大限の努力」という約束を選手会に出来なかった。
「最大限の努力」という言葉に難色を示したのは、パ・リーグと巨人とみられる。ロッテ瀬戸山代表(選手関係委員長)は「来年から必ず12球団となると、時間的な問題がある。審査は誠意を持ってやるが、公正にやる必要がある。そのためには時間が必要。結果的に来年、新規球団があるかも知れないが、審査を公正にやることに力点を置けば、選手会の文言は受け入れがたい」と説明した。
既にライブドアが16日に新規加入を申請した。野球協約に照らして30日以内に回答する予定だ。「誠意を持って審査していきたい」と瀬戸山代表は約束した。仮に「最大限の努力をする」という約束を選手会と交わしても、審査の結果、通らない可能性もある。それでも、その表現に難色を示す球団があった。巨人清武代表は「球団数を2005年に向けて増やすよう最大限努力するという言葉は、2005年から増やさなきゃいけないということでしょ。審査の前に増やすよう努力するということは変じゃないですか」と語った。
一方、阪神野崎球団社長は「来季からの参入?そうです。私と同じ意見の方もかなりおられたがマジョリティー(多数)が取れなかった。その点がクリアになればストは回避できたと思う」と振り返る。中日伊藤球団代表も「うちとしては、結果は別として(05年からの新規参入という文言を)入れてもいいと言った」という。横浜の山中球団専務も「明確に来季から12球団になるように努力すべしという考え方を示した」と明かす。温度差は明らかだった。
ただし、ストに対しては12球団一致で選手会に損害賠償する方針だ。瀬戸山代表は「損害賠償?決めていないが、することになろうかと思う。全球団一緒です」とした。近鉄選手のプロテクト撤廃、自由契約問題についても、同代表は「基本的に受け入れがたい。議論する時間がなかったが、(選手を)救済すると決めたことなので、理解していただきたい」と平行線だ。選手会側との妥協点を見つけるのは容易ではない。
社会人野球の強豪シダックスが、来季からのプロ参入を前向きに検討していることが17日、明らかになった。シダックス志太勤会長はこの日都内で取材に応じ、ライブドアと楽天が日本プロ野球組織から加盟申請を却下された場合、参入する意向であることを明らかにした。セ6球団、パ5球団でのリーグ戦運営に強い危機感を抱いていることから、プロ側からの要請があれば来季から参入する構えだ。
志太会長がついに立ち上がった。これまで新規参入について慎重な発言を繰り返してきたが、ここ数日間のプロ側の動向を受け、前向きに検討することになった。「ライブドアと楽天を機構側が審査して、どちらかが参入出来るならば、うちは手を挙げるつもりはない。だが2つともダメとなれば考えなきゃいかんだろうな。プロ側からも『シダックス、頑張れ』と要請があれば協力したい」と話した。
14日には「来季からの参入はまずありえない」と話していた。しかし17日の労使協議で、経営者側が選手会側に提案した3つの新規事項が心を動かした。「『新規加入球団審査委員会』と『プロ野球有識者会議』の設置については、僕も前から言っていたこと。声が届いたかどうかは分からんが、取り上げてくれて良かった。1歩も2歩も前に進んだ感じがする」。これまで志太会長が参入条件として挙げていた「野球界の構造改革」の実現へ、確かな手ごたえを感じたようだ。
ライブドア、楽天とも一から球団を立ち上げる必要があり、時間的な障害が待ち受ける。一方、「うちならば監督、選手、設備など全部揃っている訳で、来季からでも大丈夫。本拠地は(出身地の)静岡も選択肢の1つ。静岡ならみんな応援してくれるだろう」と話した。静岡・草薙球場を本拠地とすることも検討中だ。チーム実体のないライブドア、楽天と違い、すんなり参入できる土壌は整っている。
来季からの参入にこだわるのには理由がある。志太会長が最も心配しているのはセ6球団、パ5球団の変則でリーグ戦を戦うこと。「その形ではプロ野球人気が下がってしまう。非常に不安。それを回避するためにも、野球を愛する者として何とか協力したい」と熱く語った。機構側の動きを静観しながら、最終決断を下すことになる。
ライブドアが宮城球場を本拠地にプロ野球組織に新規参入を申請したことに絡み、宮城県側が2軍練習場などの施設利用の可能性を社会人野球のJTに打診していたことが17日、明らかになった。「株式会社ライブドアベースボール」設立日の14日、同県側からJT仙台支店長あてに電話があった。松沢善史広報部マネジャーは、ライブドアから直接連絡はないとした上で「相談内容、日程は未定ですが、県から連絡があったことは確かです」と話した。
JT野球部は今季限りで廃部され、所有する球場(両翼95メートル、中堅120メートル)室内練習場、選手寮を含め、約12万平方メートルの工場跡地は、現在使用方法を社内で検討中という。同マネジャーは「(施設を使用する)話があったら、聞く準備はあります」と続けた。
ライブドア側が発表した「日本プロフェッショナル野球組織への参加申請書骨子」の中で、2軍球場など一連の施設に対して「仙台市内で同施設を所有する企業と、同施設の取得もしくは賃貸について交渉中」と明記。前日16日に浅野史郎宮城県知事は全面支援を明言しており、既に県側がアクションを起こしていたことになる。
ライブドアの堀江貴文社長はこの日、テレビ各局に出演し、来季について「十分に参入可能」という見解をあらためて強調した。日本プロ野球組織側は再来年の新規参入を認める考えを示しているが、堀江社長は「とにかく経験しないと、早くやるべきだと考えている」と話した。球団を立ち上げる資金として40〜50億円を準備していることも語り「チケット販売などで、ある程度、運営していける」と自信を見せた。実現すれば赤字球団の多いパ・リーグへの新規参入となるが「儲かると思っています」と話した。
インターネット商店街最大手「楽天」(本社・東京都港区)の三木谷社長が17日、近鉄球団の買収に興味を示した。前日、来季からのプロ野球への新規参入を目指す意向を表明した三木谷社長はこの日、テレビ東京の経済情報番組に生出演。その中で「合併が快勝されて、許されるなら(近鉄の)買収を考える」と発言。神戸市出身の同社長は「大阪とは文化圏が違うのに」と、大阪本拠の近鉄と神戸本拠のオリックスとの合併の成功には否定的な見解も示した。サッカーJリーグのヴィッセル神戸の経営実績から「売り上げを2、3倍に増やせる余地はある」と、近鉄が合併の理由に挙げる巨大赤字の改善に自信を見せた。
日本ハム戦後、近鉄選手会長の礒部の顔は、震えていた。ストに至った経緯を冷静に分析しようとしていたが、ついに口調を荒げた。「何で来季からの新規参入が認められないのか?それは向こう(機構側)に聞いてください。本当の話を、ぼくも聞きたい!」。
この日、近鉄選手会長の立場と3番打者の立場の板ばさみになりながら、試合に臨んでいた。「今日(17日)も団体交渉に加わりたい。でもぼくは野球選手。仕事を放り出す訳にはいかないから」。3回には26号ソロも放った。試合終盤、選手会事務局からの連絡で交渉結果を知ったとき、やり切れない思いが膨れ上がった。「来季もこのメンバーでやることを諦めた訳じゃない。でも(合併の凍結は)『絶対に無理だ』と昨日(16日)も言われた」。合併凍結も来季からの新規参入も認められず、やりきれなさが倍増した。
試合後、ナインは一塁側ベンチ前まで歩み寄り、近鉄ファンに手を振った。音頭を取った中村は「来季も12球団。減らすのはいかん。ストでプレーオフ進出がなくなる?自分達のことより球界のこと」と言葉を結んだ。
日本球界初のストライキ突入が決まった。球界再編をめぐる日本プロ野球組織(NPB)と労組・日本プロ野球選手会との団体交渉にあたる協議・交渉委員会が17日、都内のホテルで開催された。約10時間のロングラン交渉となったが、来季(05年)、新規参入により12球団制の復帰を「最大限努力すること」を求める選手会の要求をNPB側が受け入れず、決裂。18、19日の中日・巨人戦(ナゴヤドーム)などセ、パ計12試合、2軍戦5試合がストで中止となる。
交渉期限の午後5時を過ぎても延長、再延長と労使双方の話し合いは続いた。約10時間に及ぶ交渉は、しかし、決裂。日本プロ野球史上初のストライキが決まった。会議終了後、労使双方が揃って記者会見に臨んだが、誰の表情にも疲労感、虚脱感が浮かんでいた。
会見では、まず瀬戸山隆三選手関係委員長(ロッテ球団代表)が交渉の経緯、ファンへの謝罪を記した文章を読み上げた。その後、古田会長が「この週末の試合を楽しみにしていたファンの皆さんには心苦しく思います」と頭を下げた。
交渉は午前11時から始まった。最初の1時間は労使が同じテーブルに着く。選手会はオリックス、近鉄の合併を了承した上で、近鉄の選手について球団選択の自由を認めること、また、新規参入球団を認め、来季、12球団での運営に戻すことなどを要求した。
一方、NPB側は前日(16日)の交渉で根来泰周コミッショナーが進退をかけて収拾策を提示。また、合併の当事者・オリックスは球団の顧問弁護士を同席し、貸借対照表や損益計算書などを示し、いかに経営が苦しく、合併の必要があるかなどを説明。スト回避へ万策を期す姿勢を見せた。
その後、NPB、選手会が別々の部屋に分かれ、個別協議に入った。瀬戸山選手関係委員長、伊藤修・選手会担当顧問(中日参与)が選手会の部屋を何度も訪れた。また、双方の顧問弁護士も行き来し、互いの要求、要望をつき合わせた。
近鉄選手の処遇に関しては、NPB側は拒否。これには時間がさかれず、争点は新規参入に絞られた。「来季、2005年から12球団に戻すよう最大限の努力する」との選手会の要求は瀬戸山、伊藤、古田会長、松原徹・選手会事務局長の再三にわたる四者協議などの結果、午後5時過ぎ、「来季(05年)以降」という文言で古田会長も納得し、妥結の方向に向かった。
だが、選手会の控室に戻った古田会長は内部調整を終え、交渉の席に戻ると、その態度は一変。「来季から」という言葉にこだわり「最大限努力して欲しい」と訴えた。NPB側は「時間的に厳しい。来季からでは参入ありきとなり、資格審査に公正さを欠く」と判断し、最後までこの言葉に拒否反応を示した。また、この日はセの選手会長しか参加しておらず、古田会長は電話でパ各球団の選手会長と話をしたが、スト回避を決断することができなかったようだ。
「誠意を持って審査する、と言ってもらったが、来季という言葉、最大限努力するとの言葉がもらえなかったのが、決裂の要因」と古田会長は説明した。選手会がスト突入を決断したのは午後8時過ぎ。選手会は18、19日の交渉を呼びかけたものの、NPB側は譲歩できる点がないことから、21日に臨時実行委員会を開催。そこでの協議を終え、再度、交渉を持つ構えだ。
誕生から70年のプロ野球。節目の年にストライキの5文字が刻まれた。今後、妥協点が見いだせなければ、25、26日とストは長期化する。
選手会のストライキ決行を受けて、NPB(プロ野球組織)は今後、選手会を相手取って損害賠償請求を行う可能性が高い。小嶌典明・大阪大教授(労働法)によるとこの場合、NPB自体は直接損害を受けないため、正式には各球団が選手会に対して賠償請求することになるという。
小嶌教授によると、法廷闘争に持ち込まれた場合、大きなポイントとなるのはスト決行の理由。今回、選手会側がストの理由としたのは球団統合や新規参入に関してで、いわば経営権の問題。通常、ストが認められるのは選手の解雇など労働条件にかかわる場合だけで、小嶌教授は「統合の延期という名目では、選手会側の賠償責任が認定される可能性が高い」と分析する。
仮に、統合によって影響を受けるであろう選手の労働条件への懸念をストの理由にあげようとしても「統合後の労働条件については今後の交渉事項。NPBが団体交渉に応じている現在の状況では、ストの名目にはならない」と指摘する。
また小嶌教授によると、損害賠償請求が行われた場合、各球団が選手会側に請求する額は「ストが決行されなければ得ることができた利益」から「ストにより払わなくてすむ損失(選手の給料など)」を差し引き、「払い戻しなどの手数料」を加えた額が算出される見込み。そのため、各球団によって額も異なる。
一方で今回のストは、労働条件だけでなく、ファンも求めている統合の延期をストの理由としてあげたことで、国民の支持は大きく得られると小嶌教授は指摘する。「国民の大きな支持があれば、ストに正当性がなくても、各球団側が賠償請求をしづらくなる可能性もある。理論的には損害賠償が可能でも、請求することによって派生する国民感情など、かえって大きなダメージが予想される場合、請求を行わないことも考えられる」と予測している。
スト決行が固まった17日、大阪府立大学の研究グループの試算によると、9月中の土日4日間で約60億円の経済的損失が出ることが明らかになった。約6億の巨人、約4億円のダイエーをはじめ、主催試合を持つ球団は全て億単位の損害を受けることになる。
試算を行ったのは、大阪府立大学の宮本勝浩教授(数量経済学)のグループ。試算では、入場料や飲食・グッズ販売に、放映権料を加えた各球場売り上げ(直接効果)が約30億6000万円。交通機関やアルバイト従業員の給料などを合わせた1次波及効果は47億4000万円となる。これに、店舗経営者やアルバイト従業員が自分の収入を別の消費に使う2次波及効果(12億5000万円)を合計すると、何と約59億9000万円のマイナスが出た。
球団別では25、26日に阪神戦がある巨人が約6億1000万円でダントツ。4試合全てを本拠地で開催する横浜も広島戦(約1億9360万円)、中日戦(2億1600万円)の合計で4億1000万円の損失。ダイエーも4億800万円となった。
対照的に、主催試合のない阪神、大阪近鉄、西武、ロッテの4球団はほとんど損失がないと見られる。宮本教授は「あくまで試算ですが、人気の高い巨人、ダイエーなどがものすごいマイナスとなるでしょう」と話している。
また、ストの影響により日本シリーズの中止といった最悪のケースになった場合、宮本教授の試算データによると、過去5年間の日本シリーズでの直接効果(チケット売り上げ、放映権料)は平均17億円。同教授は「試算はしていないが、優勝セールなども合わせると、さらに数十億円単位の損失になるのではないか」と推測している。
ストが決まった2試合については、代替試合を行わないとする球団が現時点では大勢を占めている。プレーオフ制を採用するパ・リーグでは西武・星野球団代表が「パは(代替試合を)しないと考えている」と方向性を示したが、優勝決定に直接の有利不利が生じるセ・リーグは、球団ごとに足並みが揃わないことも予想される。
総試合数が2試合減ることにより、首位を走る中日は“隠れマジック”も2つ減少。最短での点灯は19日から21日に延びたが、その際にともるマジックは「6」から2つ減って「4」となる。追いかける2位・巨人には不利に働くことから、これまでも優勝が成立するかどうかの論議が行われてきた。中日・伊藤球団代表は「再試合は選手会の了承がないとできない。ストでも優勝は成立の認識?私は持っている」と会議後に改めて明言した。一方の巨人は、態度を保留している。
代替試合の有無について21日の実行委員会で議論される見通しだが、行われないことが決まれば、パ・リーグの首位を走るダイエーはこの日の時点でプレーオフ1位進出が決定。日本プロ野球史上最悪の事態は、ペナントレースの激闘の末の“結末”にも不透明さを与えることになった。
会見場に現れた古田会長は視線をやや下に落とし、苦悶の表情を浮かべていた。「この週末に野球を見せることができなくなり、申し訳ありません」と懸命に謝罪の言葉を絞り出した。
ストライキでファンに迷惑をかけることを、誰よりも憂いていた。球史に汚点を残さないため、近鉄選手会を中心とする強硬派の説得に力を尽くしてきた。この日の交渉でも、NPBが新規参入について「2005年以降」との文言を加えることを提案した時に、古田会長はスト回避を各選手会長に訴えた。根来コミッショナーの提案で、将来的には球団数が増える土台はできていた。しかし、最後まで選手会の意思統一を果たすことはできなかった。「たくさんのファンのためにも、曖昧な表現で妥結はできなかった」スト突入の責任を一身に背負い込んだ。
会見後にはテレビ各局で生出演し、ファンへできる限りの説明を行った。ファンの「ストは残念だけど、古田さんを応援している」との激励メッセージを聞き、「迷惑をかけるのは僕達なのに、すみません」と大粒の涙を流した。
「我々はどの方向に進んでもファンに支持されないといけない。そういう改革の時期を迎えている」近鉄選手の労働条件の保護も交渉のネックになっており解決への道は遠い。しかし「これからも希望を持って、発展性のある議論を重ねていきたい」ファンのため、球界の未来のため、古田会長は交渉妥結への道を探り続ける。
選手会の松原徹事務局長は“電話1本”でスト解除が可能であることを強調した。選手会が最後まで主張して引かなかったのは、新規参入の時期について「2005年以降に」の「以降」の2文字を外すことだったが、同事務局長はスト解除について「(協議・交渉委員会を)開かなくても『のみます』と言われれば、すぐにでも」と言い、休日の18日も事務局を開けて連絡を待つ構えだ。
コミッショナーの辞任については「大変残念で、コミッショナーの提案は十分評価できるが、我々は実行委員会と話し合っている訳で、12球団がコミッショナーの考えを実行するかどうか分からない」と最後まで不信感がつきまとった。
スト中もファンへのケアは忘れない。同事務局長は会見終了後、19日に東京・銀座のヤマハホールでファンイベントを開催することを発表した。「各球団から多くの選手を集めて、選手の気持ちをファンに伝えたい」と話した。また18日にはお詫びサイン会が行われる。横浜選手会は、午後3時30分から横浜スタジアムで、日本ハム・ヒルマン監督は午後2時からJR札幌駅西口改札口前で実施。今後、各球団選手会が自主的にファンへのお詫びイベントを計画している。
プロ野球の根来泰周コミッショナーが17日、選手会のストライキ突入を受けて、辞任することを表明した。前日(16日)、スト突入の場合には辞職することを明言していたが、この日のスト決行を受けて「前言を翻すつもりはない」と改めて辞意を表明した。今後、慰留される可能性もあるが、辞意は固く、いつまで職を続けるかは未定としている。
苦渋の表情だった。東京・内幸町のコミッショナー事務局で労使交渉の結果を待ちわびていた根来コミッショナーは、スト突入の報に、無念そうに会見に応じた。前日、協議・交渉委員会で示した「私の見解」の中で、「自己の進退を含んで」とし、スト決行時には辞職する意向を表明していたが「いいかっこをすれば、ファンに謝るためにやめますよ」と、野球ファンに対する責任も感じつつ、改めて辞意を表明した。
自らの進退をかけて出した案は、選手会に受け入れられなかった。有識者を交えた新規加入球団審査委員会、プロ野球有識者会議(ともに仮称)の設置や、加盟料の預かり金制の導入を提案したのは、新規球団の参入促進を目指す選手会に応えようとしたもの。ストの場合、12球団がロックアウトをしないことも提案したが、その思いは伝わらなかった。
「協約を変える。審査委員会を立ち上げる。監督、選手を揃えると、時間がかかる。早いに越したことはないが、空手形を切って交渉するのはいけない」と、しっかりとした手順を踏んだ新規参入の道筋をつけようとしたが、選手会の理解は得られなかった。
「野球協約には穴がある。平時の協約で、今回みたいなことは書いていない。1日、2日でやれる訳がない」2月の就任後、野球協約の不備を指摘し、その改正を訴え続けてきたが、実は、今週初め、球界首脳にはストにかかわらず年内でやめる考えをもらしていた。
コミッショナーは実行委員会で選任されるが、辞任に関しては本人の申し出を止めることはできない。実行委委員長でセ・リーグの豊蔵会長は「個人的には残って欲しい」と慰留したが、「前言を翻すつもりはない。後任については機構で考えてもらいたい」と、あくまで意志を貫く考えだ。「やめてもお手伝いはするつもり」と、有識者会議などの立ち上げには尽力する考え。就任僅か7ヶ月半。3年の任期の途中で、志半ばのまま球界を去ることになった。
日本プロ野球組織(NPB)に参加申請を行ったIT関連企業のライブドア・堀江貴文社長が17日、東京・港区の六本木ヒルズ内で会見を開き、スト決定に「残念です」と首をかしげた。
ストを決意させた焦点が見えない。「選手会側は来年(からの参入)でOKならよかったということですよね?ならば何でストになるのか。(新規参入は協約で)認められているんだから、それで平行線になる理由が分からない」協約にのっとって、申請を済ませた自負があるだけに、機構側へ極論に至った結末に疑問を投げかけた。
だが、来季からの参入を諦めた訳ではない。新球団の監督に関し「現在リスティングして、誰が1番相応しいのか。来週、再来週中には決定したい」と人選中であることを明言。選手や球団職員に関しても「メール、手紙で応募が殺到している」と球団としての人員確保には十分な手応えを明かした。
今後、各球団のオーナーとも面会の約束を取り付ける意向も示した。「かなり具体的なところまで詰まってきている。(残りの)やることはそんなにないと思う」と自信を見せた堀江社長は、「ファン離れが心配」と選手会の振った大ナタに球界の未来を案じた。
社会人野球・シダックスの野村克也GM兼監督が17日、宮城・仙台市をフランチャイズに決めたライブドア・堀江社長にエールを送った。この日、東京・八王子市の上柚木公園球場で住友金属鹿島とのオープン戦に臨んだ野村監督は、試合後取材に応じ、地域密着の姿勢を絶賛した。
球界参入の本拠地として“杜の都”を選んだ若きIT社長の情熱は、名将の心を揺さぶった。「えらい積極的ですなあ。幸いにして宮城県が歓迎しているからね。絶対やるべきですよ。東北6県に1つチームがあってもいいでしょう」。
かねてからフランチャイズの“地方分権”を持論とする指揮官。「選手らも地元中心で採用するみたいだね。東北は名門校がいっぱいあるからな」MAX150キロを誇る超高校級右腕、東北高・ダルビッシュ有の獲得をいち早く明言した姿勢を、手放しで称えていた。
野村監督自身、志太勤会長の地元である静岡・草薙球場を本拠地として、プロ球界参入の野望を抱き続けている。「いつも言うように、志太会長の腹1つだよ」狙うは、地方からの球界活性化。名将はまだまだ夢を捨てきれない。
新規参入を表明している楽天・三木谷浩史社長はスト決行に「非常に残念。もう少し柔軟な対応があってもよかったんじゃないか」と話した。楽天の表明が今回のスト決定に絡んだ可能性には「我々としては(球団の設立に)十分間に合うと思っていた。それ以外が理由じゃないか」と否定した。
だが、新球団設立に対する情熱は何ら失われていない。「最初から道は険しいと思っていた。だが、確率が低かったら我々は手を挙げていない。可能性は十分にあると思います。来週中に(加盟)申請することに変わりない。来季までに間に合わない理由はないはず」と決意を口にした。また、フランチャイズ候補地として、神戸に加えて大阪の名を挙げ、その他にも複数の地域からオファーがあることも明かした。
その後、テレビ東京系のニュース番組「ワールドビジネスサテライト」に生出演し、近鉄球団の買収も視野に入れていることを明かした。「合併が解消されて、許されるなら買収を考える。決定を戻す作業が、なぜ無理なのか。むちゃくちゃ真剣です。売り上げを2、3倍に伸ばせる余地はある」と意欲を見せた。
兵庫・明石市の北口寛人市長らは17日、プロ野球に新規参入の意向を示したインターネット商店街最大手「楽天」を支援し、同県に本拠地を置いてもらおうと「新球団サポーターズ明石」を設立、球団の誘致活動を始めた。「楽天」の三木谷社長は明石市の県立明石高校の卒業生。「サポーターズ」は北口市長のほか、明石商工会議所会頭や青年会議所理事長ら7人で結成。21日から市内の駅前などで署名活動を行う。北口市長は「16日朝、面識がある三木谷社長から『手を挙げるのでよろしく』と電話があった。球場が神戸であれ全力で支援していく」と話した。
ストライキ決行のお知らせ
謹啓
平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
さて、本日大変残念ながら、既に予告しておりました明日18日(土)、明後日19日(日)のストライキを決行することとしました。
選手会は、当初からこの問題の解決のためには、多くの選手とファンを犠牲にする最悪の事態である球団削減につながる球団統合を性急に行うのではなく、統合に伴う問題点を十分協議するため、統合を1年凍結しての話し合いが必要だと主張してきました。
つまり、(1)球団削減により多くの移籍、解雇が出る可能性のある選手の労働条件、(2)球団統合による球団数減少を元に戻すための新規参入の促進、(3)さらなる球団削減を防ぐための制度作り(ドラフト改革、収益分配)のための協議が必要であり、その十分な協議のためにも統合を1年凍結しての話し合いが不可欠であると主張してきました。
この2日間の交渉で大きな問題となったのは、(1)パ・リーグが5球団の場合と6球団の場合での交流試合を前提とした収支の違いに関するシミュレーションを踏まえて大阪近鉄・オリックスの球団統合の1年延期が可能かどうか、(2)球団統合を行う場合の2005年シーズンに向けての新規参入球団の積極的受け入れ、(3)統合に伴う選手の移籍の条件の3点でした。
しかし、(1)については、こちらはセ・パ両リーグ全体の収支を計算した上のシミュレーションをお願いしたのですが、NPBからはオリックスと大阪近鉄の収支のみのシミュレーションが示され、2球団分の損失が1球団分になるという自球団の統合メリットのみを強調するだけで、あくまで統合は延期できないという大前提を覆しませんでした。(2)については、いまだにさらなる球団削減を希望する意思の強い球団が存在することから調整がつかず、2005年シーズンに向けての新規参入球団の積極的受け入れに向けて努力することを約束できないという回答にとどまりました。また(3)については、大阪近鉄選手に関するプロテクト枠の存在などを理由に選手会の求める条件は受け入れられないという回答にとどまりました。
選手会としては、選手の雇用の問題もありますが、何とかプロ野球の縮小方向を踏みとどめ、12球団を維持しさらにはこれを拡大して球界を発展させていきたいと願っております。このような点から全力で交渉を行ってきました。また、ストライキがファンのみなさんにとって悲しいことであることを十分に理解した上で、最大限ストライキを回避すべく交渉してきました。ストライキは何より野球をやりたいと思っている選手自身が本当に避けたいものであり、それは今後も変わるものではありません。選手自身このような結果になってしまったことを大変残念に思っていますし、ご迷惑をおかけする多くの方々には心から謝罪申し上げます。できましたら、プロ野球の将来を考えに考え抜いた末の選手の苦渋の決断であるということを、ご理解いただけたらと思います。
来週以降も誠実な交渉を行い、プロ野球の将来にとって最良と思える結果につながるよう努力していきたいと思っています。
敬具
ファンの皆様へ
日本プロ野球選手会がストライキを計画しています。国民的な娯楽であるプロ野球が、ファン及び多くの国民の皆さまに多大の憂慮を与えていることに対して、心よりお詫びを申し上げます。これまで私どもは、謙虚な気持ちと真摯な姿勢で選手会と折衝を重ねてまいりましたが、ここに私どもの立場を明らかにして、皆様のご理解を心より願う次第です。
選手会は、大阪近鉄とオリックス両球団の統合に強く反対し、その1年凍結を要求してまいりました。しかし、オリックス球団と大阪近鉄両球団の統合は、長年の構造的な赤字が経営上、看過できない事態になったため、やむをえず決断した経営的な事項であります。
私どもは、先週の交渉で、球界の構造改革に関し、プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、ドラフト改革、選手の年俸のあり方について徹底的に協議することを提案し、また、球団の新規参入について環境整備することをお約束しました。
今回、選手会の要求に基づき、交流試合の導入をふまえた両球団の統合に関する具体的分析を示し、統合の妥当性について、選手会に誠心誠意ご説明いたしました。また、新規参入等に関しては、コミッショナーから職を賭した見解及び提案が示され、これを選手会に提示し、検討を求めました。さらに、ストライキを避けるため、今後門戸を開いて、新規参入の審査を最大限誠意をもって行うこと等を内容とする共同声明文書の案を用意し、選手会に提示いたしました。
しかしながら、交渉の途中で選手側は、これに一旦理解を示したものの、その後、上記の案の新球団の参入に関する事項について、正式に拒絶されました。さらに交渉を続けたものの、選手会側は、来季12球団に戻すよう最大限努力することを要求し続け、あくまでも来シーズンからとすることに固執し、誠に遺憾ながら、妥結には至りませんでした。
言うまでもなく、プロ野球は、ファンあってのものであり、試合を行わないことは、ファンに対する直接的かつ重大な背徳行為であり、このような事態を招き、誠に申し訳なく思っております。
また、選手が労働組合であったとしても、球団統合及び球団の新規参入自体は、経営事項であり、義務的団体交渉事項ではなく、これを理由にストライキを行うというのは、違法かつ極めて不当なものであるとも考えております。
いずれにせよ、プロ野球は国民に健全な娯楽を提供して、夢と希望を与える担い手としての役割を尽くすために最善の努力を傾けて、誕生から70年の今日に至りました。私どもは、話合いを望んでおります。いかなる困難があっても、プロ野球を愛するファンのために最善を尽くすことをお約束申し上げますので、今後も、プロ野球に対する変わりなきご声援をお願い申しあげます。
2004年9月17日
日本プロフェッショナル野球組織
阪神タイガース
福岡ダイエーホークス
中日ドラゴンズ
西武ライオンズ
読売ジャイアンツ
大阪近鉄バファローズ
ヤクルトスワローズ
千葉ロッテマリーンズ
広島東洋カープ
北海道日本ハム・ファイターズ
横浜ベイスターズ
オリックス・ブルーウェーブ
労使交渉決裂、球界が最悪の1日を迎えた。労働組合・日本プロ野球選手会と日本プロ野球組織(NPB)の代表者による協議・交渉委員会が17日、東京・港区の高輪プリンスホテルで行われた。来季からの新規参入の確約という「最大限の努力」を求めた選手会側と、来季参入は確約できないが「誠意」で応えようとした機構側の溝は埋まらなかった。4時間延長の10時間に及ぶ協議の末、18日と19日の1、2軍17試合で、日本プロ野球史上初となるストに突入する。
古田の目には涙がたまっていた。日本球界初のスト決行を決断しなければならなかった悔しさ、そしてファンへの申し訳ない気持ちで言葉は震えていた。「何とか(合併を)1年凍結して、その先に球界再編できないでしょうかと何度も交渉してきたんですけど、願いは叶いませんでした」。
最後まで溝を埋めることはできなかった。選手会は近鉄、オリックスの合併1年凍結が無理な場合として、新規球団の来季参入と近・オの合併球団が予定している25人のプロテクト撤廃要求に争点を絞った。午前11時すぎにスタートし、午後2時の休憩前に選手会側は「来季に向けて新球団の参入を最大限努力する」という文言を合意事項に入れなければ、ストに突入することを予告。機構側はタイムリミットの午後5時前に2時間の期限延長を申し入れたが、最後まで来季の新規参入とプロテクト撤廃に対する、機構側の答えはノーだった。
10時間ロングラン交渉の末の決裂。新規参入について機構側は「05年以降」とするまでにとどまり「最大限の努力」という言葉は受け入れず、あくまで「誠意」という言葉で応じた。文言のニュアンスは微妙だが、松原事務局長は「05年以降とは文字通りなら05年を含むけど、どうしても“05年はのぞく”と聞こえてしまう。不信感が募るばかりだった」と話した。オーナー会議での決定事項を忠実に遂行する代表者達の姿勢にのぞいた言葉以上の壁。選手会は2度目の一時延期はできないという厳しい態度で臨んでおり、古田会長も「ファンにも選手にも、曖昧な言葉のまま受け入れることはできなかった」と強調した。
選手会のスト決行で、18日、19日の1、2軍計17試合の中止が決まった。選手会は来週末にも第2波のストライキを予告している。21日以降に再び交渉を再開するが、松原事務局長は「ウチはこの形をのんでくれと示した。後は向こうがそれを受けるかどうか」と1歩も引く考えはない。最悪の場合10月以降のプレーオフ、日本シリーズまでも視野に入れている。
セの選手会長だけが出席した中で決断したスト決行。古田会長は「みんなが同じ気持ちで戦う。でも向こうとは最後まで温度差があった気がする」と寂しそうに話した。近鉄、オリックスの合併に端を発した球界再編問題は、70年のプロ野球史に最大の汚点を残す結果を招いてしまった。
史上初のスト突入。それも9月中旬というシーズンの佳境だけに、ペナント争いにも多大な影響を及ぼすことは必至だ。
18、19日はセ・パ両リーグで計12試合が予定されていた。セ・リーグでは首位・中日が、6.5ゲーム差とはいえ2位・巨人と直接対決3連戦。パ・リーグでも首位・ダイエーと2位・西武が対戦。ダイエーはプレーオフに1位で進出するマジックが「1」という状況で目の前の試合が中止となる事態に陥った。これらの試合を新たな日程で組み直すことは可能なのか。
中日・伊藤修選手会担当顧問はこの日の協議決裂後、試合の代替開催について「(経営者側の)顧問弁護士と話をした。両球団が合意すれば行ってもいいのではないか」と言及。例えば中日、巨人の両球団がOKなら開催可能との見解を示した。セの運営法を定めた協定事項(アグリーメント)では、公式戦は6球団28回戦総当たり、1球団140試合と規定。パは上位3球団によるプレーオフで順位を決めると定めている。その規定に従い試合を消化できるか。たとえ両球団が合意しても、物理的に日程が確保できるかは疑問だ。
逆に試合を消化し切れなかった場合、リーグ優勝や個人タイトルの扱いをどうするのか。さらに50年の2リーグ分立後から、1度も途切れることなく開催されてきた日本シリーズの実施にも黄信号がともる事態すら懸念される。
10時間の交渉を終え、会見の席についた瀬戸山選手関係委員長(ロッテ球団代表)の顔はぎらついていた。05年からの新規球団の参入に「最大限の努力」ができない理由を問われると「来年から必ずといっても時間的なものがある。審査は“誠意”をもってやる。審査の公正、公平さを保つにはもう少し時間がほしい。結果的に来年から新規球団があるかもしれないが、審査公正というものに力点を置けば、今日のところは受け入れがたい」。会見後には「来シーズンの新規参入へ最大限の努力というのは、可能の目算がないので不誠実な表現になる」と説明した。
同委員長は「新規参入の申請はきている。“誠意”をもって審査していかなければいけない」と重ねて強調したが、機構側は、阪神など一部球団をのぞき来季からの新規球団の参入に極めて消極的だ。今月8日のオーナー会議で、来季はセ6、パ5球団の11球団で運営することで大筋合意。根来コミッショナーも各球団と事務方の声を代弁し「時間的に無理」と否定的な見解を示している。この日午前9時から開かれた12球団代表者の打ち合わせではライブドアの申請書が配られたが、母体となるチームはなく、オリックス、近鉄の合併球団に属す選手の獲得も視野に入れていることが確認された。今後、新球団のチーム構築や、日程調整などを考慮すると簡単に「来季から」を確約することはできない事情があった。
ただ交渉決裂の根底にあるのは選手会に対する不信感だ。瀬戸山委員長は「最大限努力するという(文言)が、独り歩きしてはいけない」と強調した。機構側と選手会はここ数年「外国人枠の運用方法」や「肖像権」の問題で法廷闘争を展開。「肖像権」ではいまだ係争中だ。泥沼の労使関係のなかで来季参入への「最大限の努力」を確約した場合、新規参入の審査基準の緩和や、新規球団公募など選手会の要求がエスカレートしてくることを警戒。選手会の要求をはねつけた。ただ、現状では来季交流試合の試合数も決まっておらず11球団の運営は白紙に近い。新規参入を“時間切れ”と拒否しただけで選手会を翻意させるのは無理だった。
瀬戸山委員長は会見では選手会への損害賠償請求について「することになると思う」と話したが、会見後には「各球団が持ち帰って意見をまとめることになっている」と検討する事項であることを強調した。根来コミッショナーを辞任に追い込んだ形となる選手会に機構側は態度を硬化している。労使対立の出口は見えない。
午後9時10分過ぎ。プロ野球史上初のスト突入が決まると、根来泰周コミッショナーは東京・内幸町のコミッショナー事務局で会見を開き、辞意を表明した。「こういう事態になれば、ファンに謝るためにも辞めます。準備が整い次第、辞める。前言を覆すつもりはない。理屈に合わないことが人生に入ってこられても自分の生き方とはそぐわない」。
不退転の決意で選手会側に突きつけた「提案」もスト回避には結び付かなかった。16日の協議・交渉委員会で
という具体案を示し、「私の見解」と題された文書も配布。前夜、広島視察から戻った羽田空港では「ストをするなら私は辞める」とコミッショナー職を辞する覚悟を口にした。
この日は午前9時50分に事務局入り。1度外出した後は事務局で交渉の行方を見守っていたが、最悪の結果となり「個人的な感情よりも、当事者達が努力を積み重ねて解決できなかったことが残念でならない」と無念の表情を浮かべた。
これまで中立的な立場を主張し、労使交渉には距離を置いてきたが、そのような姿勢に批判の声が上がってもいた。しかし、事態を収拾するための提案も実らずストに突入。「新規参入は、来年、再来年というところで議論が噛み合わなかった。ストライキを回避するために努力をしたが、無駄に終わって残念」と話した。
根来コミッショナーは東京高検検事長や公正取引委員会委員長などを経て、今年2月1日付でコミッショナーに就任したばかり。球界改革に大きな期待が寄せられていたが、その手腕を発揮する前に僅か7ヶ月余りで球界を去る。「今まで理屈の世界にいたから感情の世界は分からない。理屈で通らんのは不愉快」。最後に本音もこぼれたが、異例ともいえる球界トップの辞職は今後のストの行方にも影響を与えそうだ。
オリックスと近鉄の合併凍結を求める労組・日本プロ野球選手会と、日本プロ野球組織(NPB)の労使交渉(協議交渉委員会)が17日、都内のホテルで開かれたが、9時間半に及ぶ交渉は決裂。選手会の古田敦也会長は、18、19日に日本球界初のストを決行する涙の決断を下した。16日にスト回避へ最終妥結案を提案した根来泰周コミッショナーは辞意を表明。球界は未曾有の大混乱に陥り、70年にわたる歴史に汚点を残した。
スト決行の舞台裏で、古田会長がメガネを外して号泣した。9時間半のロング交渉は、選手会vs経営者という当初の対立軸から、微妙に変化していった。その結果が、日本プロ野球70年の歴史で初のスト突入だった。
午後9時を過ぎて会見に臨んだ古田会長は、さすがに疲労を隠せなかった。回答期限の午後5時から、2時間の延長、さらに1時間半の再延長。NPBの申し入れで行われた延長戦と発表されたが、そこに選手会の“急変”があったという。
午後5時の直前に、選手会が新規参入について「来季から最大限」の努力にこだわり始めた。選手会側は古田会長と松原事務局長がテーブルにつき、瀬戸山・選手関係委員会委員長(ロッテ球団代表)らとの少数討議が始まった。
要求のうち、オリックスと近鉄の合併延期は断念していた。また近鉄選手の自由契約については、ほとんど議論されていなかった。争点は来季の新規参入による「セ6・パ6」の12球団2リーグ制の維持。ただ1点に絞られていた。
NPB側は、審査の公正確保や時間的制約などを理由に、来季の確約を避け「05年以降」で譲らない。延々押し問答が続いたが、スト決行をちらつかせる選手会側に、最後は経営者側も折れた。「最大限の誠意を持って審査する」との一文を付け加える共同声明を提案。「それでいきましょう」と古田会長はスト回避の結論を出したという。
しかしここから、本当の苦闘が始まる。別室に移っていたその他選手会幹部、顧問弁護士らが、新規参入について(1)「05年から」(2)「最大限誠意をもって」ではなく「最大限の努力」−の2点に固執した。関係者によれば、古田は部屋を往復しては「これでどうだ?」「ダメでした」を繰り返した。
古田の涙はその過程での、苦悩の表れだった。最後は経営者側が「選手会が勝ったことにする。謝罪もする」とまで譲歩した。それでも選手会の強硬派を説き伏せられなかった。古田は選手会幹部全員に、この2点の賛否を問う"多数決"を行った結果、大勢が譲らなかったという。延長戦の努力もむなしく、最悪の結末に至った。
選手会は18、19日のストライキを決定したが、古田会長は残るスト予告日の25、26日については週明け以降の交渉次第で回避する可能性を示唆。根来コミッショナーはストライキ突入の責任をとって辞任を表明した。労使の紛糾が続くが、仲裁役も不在。大混乱の中、日本列島はシーズンのクライマックスに、「プロ野球のない週末」を迎えることになった。
日本球界初のスト突入は、各球団に波紋の輪を広げた。球界再編の当事者でもある近鉄は、日本ハム戦(札幌ドーム)に快勝後、礒部公一選手会長を中心に、今後も“戦う姿勢”を見せることを確認した。
「ファンに挨拶に行こう!」。中村の言葉を合図に、近鉄ナインは試合後、エールを送る約100人の右翼ファンに向かって、全員でベンチから飛び出し、帽子を振った。選手会が決断した「スト決行」。ファンとともに今後も一丸を強調しているようだった。
試合後は、礒部選手会長が、言葉を1つ1つ選びながら、真剣な表情で会見に応じた。「3ヶ月間、交渉してきて機構側にこちらの主張が通らなかった。選手会は来季も12球団で、という強い気持ちがある」。
時折、機構側への不快感を示すように語気が強まった。「優勝争いしているチームや、パのプレーオフ争いには迷惑をかけてしまう」というようにストは本意ではない。ただ「近鉄存続か新規参入?どっちがいいかは自分でもわからない」と近鉄存続が現実的に厳しい状況は把握しつつも、12球団維持は絶対に譲れない姿勢を見せた。
主砲・中村も「球団は増やす方向で考えてほしい。野球界を思えば12球団がベスト」と、今後も選手会の主張を貫く覚悟を見せた。
試合では1回に中村が19号先制2ラン、3回には磯部も26号ソロで続いた。くしくもスト決行が決まった日にアーチ競演で、グラウンドでも“主張”を忘れなかった。チームとしては18、19日の試合がなくなり、プレーオフ進出もなくなった。犠牲を払った分だけ、近鉄ナインの12球団への思いは逆に強固になった。
日本プロ野球選手会による18、19日のストライキ突入が決まり、球界は巨額の損失が避けられない状況となった。今週末に主催試合を行う各チームは、それぞれ損失額の試算を開始。2日間、計12試合で30億円を超えることも予想され、日本プロ野球組織(NPB)側は損害賠償請求を示唆した。
ストの代償は極めて高い。古田選手会会長の苦渋の決断で、18、19日の2日間、計12試合が消える。その損失額は30億円を超えるともみられ、NPB側は損害賠償請求もちらつかせている。
今週末に主催試合を行う各球団は、早くも損失額の試算を開始。ホームで広島戦を行う予定だった横浜は、1試合で約4500万円の赤字を見込んだ。年間指定席が3000万円、前売りが500万円、当日券が1000万円の内訳。これはチケットに限った損失額で、周辺まで広げればさらに事態は深刻だ。
西武との首位決戦を福岡ドームで行うダイエーの被害は甚大だ。チケットはほぼ完売状態で、満員の4万8000人分のチケット払い戻しを行うことになる。そのほかビールや弁当、グッズなどの売り上げに、隣接するホテルでも宿泊キャンセルが予想される。球団幹部は「2試合で4億円以上の減収になる」と話し、困惑を隠せない。
セ・リーグでも中日が本拠地ナゴヤドームで巨人との首位攻防戦に臨むはずだった。こちらは1試合1億円といわれる巨人戦の放映権料もパーになり、2試合で5億円以上の損失を覚悟した。
スト突入の可能性が浮上した際、9月中の全30試合が中止になったと想定して、損失総額についてのさまざまな試算が発表された。「30試合で103億円の損失」という試算もあり、この12試合だけでも30億円以上の損失は避けられない。
選手会は「近鉄選手の自由契約扱い」という労働条件をストの目的としたことで適法性を狙うが、各球団は「合併は経営権の問題でありストは違法」と判断。「(損害賠償請求を)することになろうかと思っている。全球団一緒です」と瀬戸山隆三・ロッテ代表も話す。今後は司法の場でも争われる。
日本プロ野球史上初のストは、大詰めを迎えたペナント争いなどにも大きな影響を及ぼすことになる。18、19日はセ、パ両リーグで計12試合が予定されていた。セでは18日からナゴヤドームで首位中日と2位巨人が直接対決3連戦。パも、ダイエーがレギュラーシーズン1位へ向けたマジックナンバーを「1」とし、2位西武と直接対決の真っ最中だ。しかし、「再試合は難しいかもしれない」とは巨人・清武球団代表。ヤクルト・倉島常務も「(今後は)降雨中止による再試合もあるし、(ストによる)再試合は行わない方向で考えている。順位の決定?(140試合からスト分を除いた)勝率で、ということになるでしょう」との見解を口にした。
一方のパ・リーグも、プレーオフの日程が詰まっていることもあり、現実的に代替試合を組むのは難しい状況だ。
また、試合が消化しきれなかった場合には、個人タイトルへの影響も出てくる。さらには、昭和25年の2リーグ分立後から、1度も途切れることなく行われてきた日本シリーズの実施までが心配される事態。これらの問題は、21日の12球団代表者会議で話し合われる予定だ。
来年から12球団になるよう、最大限の努力をする。この言葉は、最後まで言えなかった。スト回避を目指していた機構側は、選手会の要求を飲むことはできなかった。
「来年から必ず12球団となると、時間的な問題がある。審査には誠意をもって公正にやらなければいけないが、やはり時間が必要。2005年からに向けて最大限の努力をするといえない」。会見した瀬戸山選手関係委員長(ロッテ代表)が説明した。スト回避に向けて選手会が要求したのが、来季から12球団になるよう努力すること。前日はIT関連企業のライブドアが加盟申請。近日中には同じIT関連企業の楽天も申請予定。それでも、時間的な理由でイエスと言えなかった。球団統合および球団の新規参入自体は、経営に関する問題で、これを理由にストというのは、違法かつ極めて不当だとも指摘した。
ただ、機構側も一枚岩ではなかった。「争点は2005年という文言を入れるかどうか」という中日・伊藤球団代表は「努力はしてみては」と発言。阪神、広島らも同意見だったという。足並みが揃わなかったことで、解決しかけた問題は平行線をたどり、最悪の結果を招いてしまった。
根来コミッショナーの進退をかけた新規加入案は、選手会側にも重大な問題として受け止められていたが、歯止めの切り札には、ならなかった。午後5時の期限を約4時間も粘って交渉を続け、その結果、迎えたのは、空しい幕切れだった。
労使交渉の冒頭、NPB側から会議のオープン化が進言された。しかし、選手会側はこれを拒否。巨人・清武球団代表は「前日もそうだった。閉鎖的といわれる中、アンダーテーブルではできないと申し入れたが、選手会からお断りしますといわれた」と選手会の閉鎖性を強調していた。
プロ野球の根来泰周コミッショナーは17日、労組・日本プロ野球選手会のスト決断を受け、都内で辞任する意向を表明した。前日の労使協議で進退をかけて新規参入を検討する“妥結案”を提示したが、ストを回避できず、責任を取った形。機構トップが不在となり、球界は混迷の度を深めてきた。
根来コミッショナーが前日の予告通り、辞任の決意を明かした。この日夜、都内のコミッショナー事務局で開かれた緊急会見で自らの進退について、「準備が整い次第、辞める。すぐにでも、というつもり」と胸中を語った。
コミッショナーは前日の労使協議で、新規球団加入の可否を検討する審査委員会の設置などを含む新提案を選手会側に文書で提示。その中でスト決行に至った場合は、「自己の進退を含んで考慮した結果」として辞任する意向を示していた。そしてこの日、正式にストが決まったことで「(前日の)見解の通り。経営者側と選手会側の交渉の努力の結果が、出なかったことは大変残念だ」と強調した。
コミッショナーは、今年2月に川島広守氏の後任として現職に就いた。だが就任後に起きたオリックス、近鉄の合併問題では「経営上の事項」として、事態の収拾に乗り出さない立場を取っていた。
自らの進退をかけて選手会側に提示した“根来案”も、最悪の事態を回避できなかった。会見に同席したセ・リーグの豊蔵一会長は「個人的にはコミッショナーのお手伝いをしたかった」と慰留したが、コミッショナーは「積もり積もった問題を解決したらどうだと色々提案したが、努力は無駄になった」と話し、辞意は固い模様。
またコミッショナーの後任はオーナー会議、実行委で選任されるため未定。ストでファン離れが起きるのは必至な上、経営者側と選手会の溝を埋められるはずの、コミッショナーも空席に。球界再編は最悪の事態を迎えた。
18日、19日のストライキを決行することとしました。
選手会は、選手とファンを犠牲にし球団削減につながる球団統合を性急に行うのではなく、問題点を十分協議するため、統合を1年凍結しての話し合いが必要と主張してきました。交渉で大きな問題となったのは(1)パ・リーグが5球団と6球団の場合のシミュレーションを踏まえ大阪近鉄・オリックスの球団統合の1年延期が可能かどうか(2)球団統合を行う場合の2005年シーズンに向けての新規参入球団の積極的受け入れ(3)統合に伴う選手の移籍条件の3点でした。
しかし(1)は2球団分の損失が1球団分になるというメリットを強調するだけで、統合は延期できないという大前提を覆しませんでした。(2)はさらなる削減を希望する球団が存在し、新規参入球団の積極的受け入れを約束できないという回答、(3)は選手会の求める条件は受け入れられないという回答にとどまりました。
選手会は、ストライキがファンの皆さんにとって悲しいことを十分に理解し、最大限回避すべく交渉してきました。何より選手自身が本当に避けたいものであり、大変残念に思っていますし、心から謝罪申し上げます。プロ野球の将来を考えに考え抜いた末の苦渋の決断であるとご理解いただければと思います。
労組選手会からは既に全選手に、スト決行日の行動について『マニュアル』が配布されている。基本的に練習以外は、自宅か寮やホテルにいること、とされている。ちなみに横浜は18日、横浜球場で練習。日本ハムも札幌市内の室内練習場で打ち込みなどの練習を行う。
プロ野球球団経営に新規参入を目指す情報技術(IT)関連企業、ライブドアの堀江貴文、楽天の三木谷浩史両社長は17日、ストライキ決定を受け、東京都内でそれぞれ記者会見を開き「非常に残念」と口を揃えた。
来季からの参入が事実上困難と判断されたことについて、三木谷社長は「説明も聞かずに判断するのは柔軟性がないと思う。議論するのが筋」と述べ、堀江社長は「何にこだわり、何がまずいのか分からない」と困惑顔だった。
ライブドアは16日に、仙台市を本拠地として加盟申請の手続きを行ったばかり。堀江社長は既に監督の人選も進めているとし「(新規参入の)明確なプロセスを出して欲しい」と語った。楽天も来週中に申請する方針で、三木谷社長は「間に合わない理由はない」と、あくまでも来季からの参入に意欲を示した。また、同社長は新球団の本拠地としてヤフーBBスタジアムのほかに大阪ドームを挙げ、他の地方自治体からも誘致の話を受けていることを明かした。
プロ野球初のストで行われなくなった試合を、新たな日程で組み直すことが可能なのか。未消化の場合の順位決定は有効なのか。混乱は必至だ。
18、19日はセ、パ両リーグで計12試合が予定されていた。セでは18日からナゴヤドームで首位中日と2位巨人が直接対決3連戦だった。パでも、ダイエーが135試合でのレギュラーシーズン1位へ向けたマジックナンバーを「1」とし、2位西武と直接対戦の真っ最中だ。セの運営法を定めた協定事項(アグリーメント)では、公式戦は6球団28回戦総当たり、1球団140試合と規定。パは上位3球団によるプレーオフで順位を決めると定めている。
球界内には、試合が消化しきれなかった場合には、リーグ優勝チームのほかに、個人タイトルなども無効になると危惧する声もある。さらには、1950年の2リーグ分立後から、1度も途切れることなく行われてきた日本シリーズの実施も心配される事態となった。