ボビー・バレンタイン監督が、プレーオフ出場を逃した悔しさをあらわにした。ロッテはこの日、ヤフーBBの試合開始時間に合わせて千葉マリンで練習。大型映像ではオリックス−日本ハム戦が流され、同監督も戦況を見守った。スト代替試合について「正式な通知は来てないけど、日本ハムの連中が喜んでいたから」と“なし”と判断。その上で「去年、間違った情報のせいで新庄を獲得できなかった。彼がいればちょっとは違った展開になったかも」と、何と1年前の新庄獲得失敗にまで遡って、唇を噛み締めた。
この日は集まったファン約200人のためにスタンドを開放。大型映像に日本ハム戦を映し出し、バレンタイン監督、小林雅らは観客席でサイン会を開催するなど、最後までファンサービスに徹した。だが結果は報われなかった。小林雅は「残念ですけど、今年はいい経験ができました。これを3位争いではなくて、優勝争いというもっと上のレベルにしていきたい」と、来季の飛躍を誓っていた。
千葉マリンが溜息に包まれた。日本ハム戦に合わせて行われたナイター練習。電光掲示板に中継が映し出される中、途中からは詰めかけたファンのために内野席が無料開放され、ナインとともにプレーオフ進出を夢見たが、僅か1勝差で4位に終わった。
「最後の4戦で3勝が必要な状況でファイターズがいい仕事をした。祝福したい」とバレンタイン監督。ストで中止になった2試合の代替開催見送りは正式決定ではないが、清水直が「選手会から開催はないと聞いています」と漏らすなどナインは終戦ムード。25日からはオフに入る。
今季足りなかった点を問われた指揮官は「昨オフ、新庄について間違った情報を得たこと。契約できていれば違ったシーズンになったかも」とポツリ。メッツ時代の教え子に未練たっぷりだった。
ロッテは24日、さいたま市の合宿所で波留敏夫外野手(34)浜名千広内野手(34)鈴木貴志投手(25)酒井泰志投手(25)舩木聖士投手(31)谷浩弥投手(27)の6選手に戦力外通告を行った。波留は熊谷組から93年のドラフト2位で横浜へ入団。俊足好打の外野手として98年の日本一に貢献し、中日を経て昨年からロッテへ加入したが、今年は29試合で打率・143と不振に苦しんだ。また、99年のダイエー日本一に貢献した浜名もヤクルトを経て昨オフにテスト入団したが、39試合で打率・209にとどまり、来季の構想から外れた。両選手ともに今後は未定。
ため息、苦笑い、沈黙…。複雑な心境が、千葉マリンを包み込んだ。ナイター練習後も球場に残って行方を見届けたロッテ・ナインは、自分達の力ではどうにもならない現実を受け止めるしかなかった。「新庄がウチに来ていれば、違ったシーズンになったかも」と、バレンタイン監督は相手のヒーローをチクリ。そのぐらい、悔しかった。
ナイター練習は、大型ビジョンで日本ハム戦を映し出しながら行った。球場周辺に集まった約300人のファンのために、千葉マリンも無料開放。急遽パブリック・ビューイングを開いて、一筋の望みにかけていたが…。「(ストで消えた)2試合はできればやりたいが、これが現実。0.5ゲーム差で及ばなかった」と最後は潔い。
しかし、視線はもう来季。「振り返れば、いいこともあった」9年ぶりの勝率5割、球団最多の観客動員、そして西岡、今江ら若手の台頭。「日本ハムにはおめでとうと言いたい」指揮官は来季への希望を胸に、ライバルを称えて締めくくった。
ロッテは、舩木聖士投手(31)谷浩弥投手(27)酒井泰志投手(25)鈴木貴志投手(25)浜名千広内野手(35)波留敏夫外野手(34)の6選手に対して戦力外通告を行った。加盟が予想される新規球団の戦力構想に入れるよう、早い時期での通告となった。舩木は現役続行を希望、他の5選手は未定。
プロ野球への新規参入を目指すIT関連企業「楽天」(三木谷浩史社長)が、監督候補に巨人前監督の原辰徳氏アテネ五輪で全日本代表のヘッドコーチを務めた中畑清氏らをリストアップしていることが24日、明らかになった。三木谷社長がこの日、都内のコミッショナー事務局を訪れ、日本プロ野球組織(NPB)に加盟申請を行った。会見した同社長は「スター監督、スター選手の華が必要。キーとなるのは監督」と語り、メジャーのGM制度も導入して、チームを強化する方針を明かした。この日午前には、宮城県仙台市を訪れ正式に協力を要請していた。
楽天が、新球団の核となる大物監督の招聘に動く。正式に加盟申請を行った三木谷社長は都内で会見し「強いチームをつくるのが重要です」と明言。さらに「社員からはノーバジェット(予算がない)なのに社長は負けず嫌いだから、(大物)選手を獲得するんじゃないかと心配されている」とジョークを交えたが、基本的なスタンスとして「スター監督、スター選手でも華は必要だと思っている。キーとなるのは監督」と、大物監督を招聘する意向を明かした。
サッカーJリーグのヴィッセル神戸も運営している三木谷社長には、トルコのスター、イルハンを総額約8億円(推定)を投じて獲得した“実績”がある。サッカー界だけでなく西武堤、オリックス宮内両オーナーら球界関係者とも面識がある。新球団には目玉となる監督、選手の獲得は絶対条件で「構想では監督を誰にするかあるが、検討中」としたが、原巨人前監督、アテネ五輪で「長嶋ジャパン」のヘッドコーチを務めた中畑氏をリストアップ。両氏は手腕だけでなく、知名度、人気面ともに評価は高い。中畑氏は準地元となる福島出身で母校は安積商。宮城の野球関係者は「中畑氏の名前が関係者の間から出てる」と明かした。
合併する近鉄、オリックスのプロテクトを外れた選手を優先的に獲得する方針だが、三木谷社長は「まず頭を決める。頭を決めないで、選手を決めても仕方ない」と、10月中には監督を確定する。さらに「正式に申請したので、これから球界の方々に積極的にコンタクトしていきたい」と、就任要請には自ら出馬する可能性を示唆した。
強化策の一環で、米大リーグのGM制度を導入する。日本ではロッテが広岡達朗氏(現野球評論家)をGMに起用したことがあるが、楽天が目指すのは、メジャー流。選手の評価や獲得では主観を入れず、出塁率のデータなど数字で徹底的に分析。また予算に見合ったトレードなど効率性を重視するアスレチックスのビーンGMや、同GM補佐を務め、今季ドジャースのGMに就任したデポデスタ氏らが理想型となる。
GM候補に阪神星野SDの名前が質問で出て、三木谷社長は「それはないです」と否定したが、一緒に講演を行うなど両者にはパイプがある。「メジャー型のGMは日本にはいないと思うが、考え方を理解してくれる人はいる。根性論で押す旧来の考え方と2つに分れるが、方向性を理解できるGMを探したいです」と話した。監督と同時にGMの獲得にも動く方針。水面下で着々と新球団づくりを進めていく。
楽天の三木谷社長は仙台から帰京したすぐ、午後1時57分に東京・内幸町のコミッショナー事務局を訪れ、加盟申請の書類を提出した。百数十ページに及ぶとみられる書類を紙袋に入れ、長谷川事務局長に「よろしくお願いします」と頭を下げて提出した。同事務局長は「コピーをして(各球団にも)送ります」と答えた。三木谷社長は「ちゃんと仁義を切ってから会見するのが1番自然だと思う。これからやることは山ほどある。(事務局からは)これから時々呼ぶから来てね、と言われました」と語った。
宮城球場を本拠地とする球界への加盟申請をすでに行っているライブドアの堀江貴文社長が24日、楽天の三木谷社長と入れ替わる形で仙台入りした。ライバルが宮城県庁を去った約9時間後、午後8時から浅野知事と対談。記者会見で、楽天の仙台本拠地参入について「驚いてます。モヤモヤは増幅しています」と釈然としない様子だった。
この日、3日間の海外出張から戻ると、事態は急変していた。「楽天は他の地域だと思っていた」と憮然とした表情で胸の内を明かした。ライブドア潰しの見方もある、との問いに「直接会って聞いてみないと分かんない。同じビルなんですけどねえ」と爆笑を誘った。
いち早く状況を把握しようと、帰国したその足で仙台入りした。浅野知事に楽天の経緯の説明を受け、地域密着構想の熱意を再度伝えた。両社の意見を聞いた浅野知事は「どちらか一方に肩入れはできない」と、中立の立場を貫いた。
成田空港では「楽天は3年連続赤字」とも漏らしたが「特別に意図はない」と冷静に受け流した。両社の比較には「明確な基準がないので、何とも言えない。透明性のある審査に任せる」と話した。一方で「失敗は考えていない」と繰り返していた。
宮城県の浅野史郎知事はこの日、楽天の三木谷社長と宮城県庁で会談し「(ライブドアと)どちらがいいとかは問題じゃない。前代未聞のことですから、運営に適した母体をしっかりと整えたい」とあらためて中立の立場を貫いた。浅野知事によると、16日にライブドアが「仙台拠点」の会見をする直前に、三木谷社長から「ライブドアしかないという話はしないで欲しい」という電話があったという。
オリックス、近鉄の合併新球団の球団名は「オリックス・バファローズ」、専用球場は「大阪ドーム」となることが24日、オリックスから正式に発表された。小泉隆司球団社長が神戸市須磨区の球団事務所で「バファローズは大阪で親しまれたニックネームですから」と公表した。大阪、兵庫をダブル本拠地としながら、主催試合の50%以上を行う専用球場は大阪ドームで落ち着いた。大阪市サイドと高額使用料減額などの交渉を続けることを条件に決断した。試合数については「ヤフーと大阪ドーム半数ずつで検討」と話した。
新規参入球団のための合同トライアウトが開催されることが24日、分かった。新規球団は、オリックスと近鉄の合併に伴う「分配ドラフト」で優先的に選手を獲得できる方向。加えて、球界からのバックアップ第2弾が検討されていた。
シーズン終盤から各球団は整理選手に戦力外通告を行う。通常は新たな働き場所を求めて、球団各自で開くテストに臨む。そこで契約に至らない選手は12球団合同トライアウトに参加する。しかし今回は球団テストを凍結。新球団のために、戦力外選手を集め、合同トライアウトで補強してもらうことになった。
阪神野崎勝義球団社長は「選手会からテストなどで(戦力外選手を)取らないで欲しい、と要請があった。各球団とも(協力の方向で)意思統一はできている」と明かした。新規球団向けの合同トライアウトは、「分配ドラフト」開催予定の11月8日同日に行われる見込み。新規球団選手の顔触れが一気に揃うことになる。
労組プロ野球選手会の古田会長はこの日、楽天などの新規参入申請と関連して、機構側に打診していることとして、
などを明かした。「戦力を均衡させなくてはいけないということはおっしゃってました。その辺の改革はこれからだけど…」と、機構側の配慮を期待していた。
ストに伴う「代替試合」を開催するか、中止するかの結論は、週明けの27日以降に持ち越された。当日は実行委員会が予定されており、12球団で歩調を合わせて、開催の可否を決める。24日現在のセ、パ両リーグの順位や記録などはあくまで暫定措置。終盤のプロ野球はますます混迷を深めることになった。
パ・リーグは各球団と日程問題で調整を行った。代替試合については、10月1日からプレーオフ第1ステージが開幕することから、先の理事会で「行わない」との方向性を打ち出していた。ただ、セ・リーグと歩調を合わせるなど、丁寧な手順が必要との判断から、決定は27日の実行委員会での協議を待つことになった。セの一部で「行いたい」との声があり、意見統一は先送りされた。
労組プロ野球選手会が24日、あらためてストライキにより中止となった2試合の代替試合は行わない意思を表明した。古田会長は「やらないと思いますよ」と語り、松原徹事務局長も「試合をしたら(日本ハムとロッテに対して)失礼な話。機構側からも何も言ってきていないし、やるつもりもない」。ヤクルトにとって試合数が増えた方が、首位中日をつかまえるチャンスが増えるが、若松監督は「選手会がやってきたことの意味を考えてもやるべきではない」と話した。
根来泰周コミッショナーはこの日、退任する時期について含みを持たせた。選手会の最初のストが決まった17日に辞意を表明。前日23日に回避が決まったが「無責任と言われても辞めた方がいいと思う」と意向は変わっていない。時期はこれまで29日の臨時オーナー会議をメドにしていたが「9月末で辞めるつもりでいたけど、後任者がいないのに辞めるのも具合が悪い」と、今後の状況によることを示唆した。
日本ハムのゲームに合わせて、午後6時から始まったナイター練習。今日はマリンスタジアムのテレビでも視聴出来る局での放送とあって、スコアボードにヤフーのゲームが映し出されながらの練習となった。ゲームは終始日本ハムがリードする展開。最後まで望みを託して練習後も全員が球場に残ったが、ミラクルは起きなかった。
オリックスと近鉄の統合新球団であるオリックス・バファローズの初代監督に、かつて近鉄、オリックスで監督を歴任した仰木彬氏の就任が決定的となった。24日、オリックス側から正式に就任要請を受けたもので、仰木氏は即答を避けたものの要請を受諾することは確実。最終的にストまで招いた混乱の末に誕生する統合球団は、仰木マジックとともに新たなスタートを切る。
統合新球団の船出は、かつて野茂、イチローらを育てた名伯楽の手腕に託されることになった。前日の協議・交渉委員会で選手会と機構側が妥結。同時に、オリックス、近鉄の合併が最終的に確定し、それを受けた球団首脳はすぐさま動いた。この日夜、神戸市内で仰木氏と接触。新球団の「初代監督」への就任を正式に要請した。
仰木氏に白羽の矢が立った背景には、混乱からの脱却という大きな理由がある。6月13日にオリックス、近鉄が合併方針を発表。しかし選手会、ファンから猛反発を受け、最後はプロ野球史上初のストという最悪の事態にまで発展した。前日、スト回避後の記者会見でオリックス・三輪、近鉄・礒部の両選手会長がファンへ謝罪の涙を流したように、いまだ選手、ファンの反発は根強い。そんな状況で少しでもスムーズな船出をするには、両球団の監督としてそれぞれリーグ優勝に導き、選手、関係者の人望も厚い仰木氏しかいないとの判断だ。
仰木氏は18年間のコーチ生活を経て、88年に近鉄の監督に就任。同年の「10・19」では川崎球場でロッテとの死闘を演じるなど、リーグの壁を超え野球ファンから大きな注目を集めた。さらに近鉄監督時代は野茂(現ドジャース)、吉井(現オリックス)、94年からのオリックス監督時代はイチロー(現マリナーズ)の“師匠”として、伸びやかな育成法には定評があった。01年にユニホームを脱ぐまで、「仰木マジック」はパ・リーグ名物の1つだった。
この日の就任要請に対し、仰木氏は「いいタイミングでプロ野球界から卒業させてもらったと思っていただけに、驚くとともに戸惑いを感じている」としながらも、「一方で野球人として非常に光栄に思っているのも事実。(2球団には)これまで育ててもらったという感謝の念を抱き続けている。恩返しをしたいという気持ちも強い」と受諾へ前向きな姿勢でいる。即答を避けたのは全日程終了前という現場への配慮のため。しかし同時に統合新球団としてプロテクト選手、コーチ陣の編成など課題は山積。初代監督はすぐさま大仕事に取り組むことになる。
69歳という史上最高齢での監督就任。体力的な問題はあるが、愛する野球への情熱は衰えていない。早ければ今月中にも「オリックス・バファローズ」の仰木初代監督誕生する。
オリックスは24日、近鉄と合併後の新球団名を「オリックス・バファローズ」とし、主催試合の50%以上を行う専用球場を大阪ドームとすると発表した。新球団は、大阪と兵庫に本拠地を置くダブルフランチャイズ制が決まっており、大阪ドーム、神戸市のヤフーBBスタジアム両球場での開催試合数は「半数ずつ程度」で検討している。
小泉球団社長は新球団名について「大阪で親しまれているニックネームを使わせていただこうと思った」と説明。専用球場に関しては「大阪ドームを使ってほしいと、近鉄から強い要望があった」と明かし、今後は大阪での積極的なマーケティング展開で収益の改善を図りたい考えだ。大阪ドームとの使用料については、オリックス側が興行権の買い取りなどを求める交渉過程があったが、これまで通りの形で使用料を払うことになり、金額については今後検討していくことになった。
インターネット商取引大手・楽天の三木谷浩史社長が24日、日本プロ野球組織(NPB)へ加盟申請した。同社長は午前中に宮城県庁で浅野史郎知事と会談。帰京して加盟申請を行い、都内ホテルで会見した。運営会社「楽天野球団」(仮称)を10月中旬までに設立し、GM制導入、理論派監督招へいとともに、経営諮問委員会設置など経営面の球団構想を明かした。また、ライブドア社の堀江貴文社長も同夜、浅野知事と県庁で会談した。
茶色のスーツ姿で会見に臨んだ三木谷社長は新構想を次々と披露した。インターネットを活用したビジネス展開や職員の地元採用…。だが1番力がこもったのはチーム編成についてだった。
「マネーボール」は米大リーグ・アスレチックスのGMを務めるビリー・ビーン氏の手法が書かれている。データを駆使し、少ないコストで成果を挙げるメジャー屈指のGMだ。現にアスレチックスは3年連続地区優勝も目前だが、チーム総年俸は30球団中16位。近オ合併球団のプロテクト枠から漏れた選手を中心に組織することを希望する新球団にとって、選手の人選は何より重要。さらにそれを生かす指揮官についても「理解力のある、勝てる方を採用したい」と理論派監督の招聘を明言した。
経営面にも強力なサポート体制が築かれる。10月中旬に運営会社「楽天野球団」が発足するが、同時に「経営諮問委員会」設置が決定。メンバーには経団連会長も務めるトヨタ自動車の奥田碩取締役会長ら経済界の大物が名を連ね、有益な助言を得ることができる。
この日は午前中に浅野・宮城県知事と会談。「宮城県を第2の故郷に」と地域密着型の新球団設立を表明した。球場改修費を最大35億円をメドに負担する考えも明かした。同じく宮城県を本拠地として加盟申請したライバルのライブドア社との本拠地争奪戦にも「ウチは地に足をつけた経営をしている」と話した。新規参入へは越えなければならないハードルが多いが、三木谷社長の目には自信がみなぎっている。
浅野知事と会談したライブドアの堀江社長は、楽天が同じ宮城県を保護地域にした経緯を説明された。だが、思わぬ競合に不快感は隠せず「見通しが立たなくなった。お互いにこんなところじゃなくて試合で対決したい」。さらにライブドア潰しでは、の問いに「(三木谷社長に)直接会ってみないと分からない」と首を捻った。出張先の英国から帰国した成田空港では「楽天は3年連続500億円の赤字を出してるんですよ、皆さん知ってますか?」と“口”撃。週明けにはNPBに追加申請の手続きを取り対抗する構えだ。
浅野県知事は新規参入を目指す2社に対して中立的な立場を強調した。まず楽天の加盟申請について「県として申請することを基本的に了解した」と説明。先に名乗りを上げたライブドアには「最初にドアを開けてくれて私も県民も感謝の気持ちが大きい」とした。しかし、両者を比較して「球団を新しく宮城につくり、野球への情熱はお互い同じ。NPBの審査に任せます」と語った。
プロ野球界への新規参入の大本命で、業界最大手のインターネット商店街を運営する楽天の三木谷浩史社長が24日、都内のコミッショナー事務局を訪れ、加盟申請書を提出した。その後、都内のホテルで会見し、衝撃事実を披露。経営諮問委員会(アドバイザリーボード)を設営し、そこにはトヨタ自動車の奥田硯会長(日本経団連会長)ら財界の重鎮がズラリ、だった。
新規参入へひた走るIT長者は、資金も豊富ならば、強力なマンパワーもあることを実証してみせた。日本プロ野球組織(NPB)に加盟申請した後、三木谷社長が六本木のホテルで強烈な宝刀を抜いた。「楽天野球団」(仮称)のアドバイザリーボードに名を連ねる12人に、会見場からどよめきがあがった。
16兆円の売上げを誇る“世界のトヨタ”の奥田硯会長、政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)の議員もつとめるウシオ電機・牛尾治朗会長ら、銀行、証券、航空業界など、日本経済界を代表する経営のプロを招聘したのだ。
「この1週間の間に文書や電話で承認していただきました。驚くべきことに、即答でOKをいただきました」と三木谷社長。3ヶ月に1回のペースで会議を開き、経営の透明化を図る。世間の信頼を勝ち取るにも、この顔ぶれは不可欠。「楽天はよく分からない」という向きも納得の“身元保証”で、同じく参入を目指すライブドアに大きく差をつけた。もちろん、スーツにネクタイをしめないと、到底面会できない大物ばかりである。
この作業を1週間でこなした、恐るべき39歳。財界スターの確保の次は、チーム構成だ。「スター選手、スター監督もいい」と、10月末までにチームの軸となるGMと監督を決定すると発表した。阪神・星野SDのGM招聘の可能性については「いや、それはないと思います。…この前、一緒に講演はしましたが」と笑いを誘う場面も。
三木谷社長はこの日午前8時すぎに、本拠地とする仙台市の県営宮城球場を直接視察した。老朽化を以前から懸念していたが「できるだけ早い段階で(改修を)やりたい。感覚では10億から35億円と考えている」と初めて具体的な金額をあげ、大規模改修に投資する意向を明らかにした。まさに楽天ならぬ“仰天”。夢の結実に向けて大きな1歩を踏み出した。
経営諮問委員会(アドバイザリーボード)メンバー | ||
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氏名 | 会社名 | 役職 |
牛尾治朗 | ウシオ電機株式会社 | 代表取締役会長 |
宇野康秀 | 株式会社有線ブロードネットワークス | 代表取締役社長 |
大橋洋治 | 全日本空輸株式会社 | 代表取締役社長 |
奥田碩 | トヨタ自動車株式会社 | 取締役会長 |
奥谷禮子 | 株式会社ザ・アール | 代表取締役社長 |
金丸恭文 | フューチャーシスコムコンサルティング株式会社 | 代表取締役社長 |
齋藤宏 | 株式会社みずほコーポレート銀行 | 取締役頭取 |
鈴木茂晴 | 株式会社大和證券グループ本社 | 取締役、代表執行役社長 |
新浪剛史 | 株式会社ローソン | 代表取締役社長 |
西川善文 | 株式会社三井住友銀行 | 頭取 |
羽根田勝夫 | 株式会社日本航空インターナショナル | 代表取締役社長 |
増田宗昭 | カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 | 代表取締役社長 |
三木谷社長は午前中に宮城県庁で浅野史郎知事と会談。県営宮城球場を拠点として新規参入を申請することを伝え、浅野知事も了承した。同社長は「宮城県を第2の故郷に」と地域密着型の新球団を打ち出し、老朽化した県営球場の改修費の負担を表明。東北出身の新人を中心に選手を募ることも明かした。また、将来的に宮城県出身の球団職員を採用する方針も打ち出し、東京本社、大阪の支社のほか、宮城にも支社をつくる構想。「失礼な言い方かもしれないが、マーケットとして1番魅力あるエアポケットだと思う」。参入と同時にビジネスの拡大を図る。
長野市を準本拠地にし、年間10−15の主催試合を行う構想に関して三木谷社長は「東北地方を中心に考えたい」と地域密着を優先させる考えを明かした。「例えば夏の高校野球でどの球場が余るのか、その辺の勉強が済んでいない」と前置きしながらも「大半の試合を県営宮城球場で行います」。あくまで本拠地使用が物理的に不可能となった場合、長野を含めた他球場を使用する考えを強調した。
地域密着の球団運営を強調した楽天の三木社長に対して、宮城県内の関係者からは「本当に地元に密着できるのか」との声も出ている。同社長が神戸市にサッカーJリーグのヴィッセル神戸を所有し、さらに一時は長野市を準本拠地とする構想を表明していたため、球団誘致に取り組んできた市民団体は「我々が目指すのは『東北の球団』。(楽天は)八方美人で良い気はしない」と批判的。「数年で神戸(に移転)というのでは…」と疑いの目を向ける県幹部もいる。一方で「ライブドアは本気で地域密着を考えている」とする県幹部や、「最初に名乗りを上げたライブドアを優先するべきだ」といった県民の声も、県庁に寄せられているという。
楽天より先に仙台を本拠地とする新規参入をNPBに申請していた、ライブドアの堀江貴文社長は、この日午後3時過ぎに出張先の英国から成田空港に到着。仙台に向かう途中のJR東京駅で会見し、不信感を示した。
楽天側が日本経済界の重鎮を経営諮問委員会として並べていることについては「聞きました。それでいい会社ができるとは限らない」と持論を展開。宮城県知事との会談のため、慌しく仙台へ向かった。
竹中平蔵経財相は閣議後の記者会見で、プロ野球への新規参入について「2つの企業が争うことになるが、競争入札でしっかりと選別され、ファンに見えることが大変重要」と述べた。その上で「今回、プロ野球活性化に向けた、色々な議論がなされたが、交流戦などいいアイデアはしっかりと取り入れてもらえれば嬉しい」とも語った。
根来泰周コミッショナーは24日、労使交渉が妥結し、ストライキが中止されたことについて「球団も辛抱強かったし、選手も一生懸命やった。両方の努力の成果」と感想を語った。スト決行が決まった17日に辞任を表明したが「9月末で辞めるつもりでいたが…。後任者がいない」と遅れる可能性があることも示唆した。
プロ野球への新規参入を目指すインターネット商店街大手、楽天の三木谷浩史社長が24日午後、東京・内幸町のコミッショナー事務局を訪れ、日本プロ野球組織(NPB)に対しパ・リーグへの加盟を希望、正式に加盟を申請した。同社長は申請に先立ち、本拠地とする予定の仙台市を訪れ浅野史郎・宮城県知事らと会談。東北出身選手中心のチームづくりを明言、宮城県生まれで東北高−東北福祉大と仙台の“代表選手”である横浜・佐々木主浩投手獲得にも関心を示した。
決意の表情を浮かべ、新幹線に飛び乗った。午前6時。三木谷社長が向かった先は仙台だ。杜の都に到着するや、本拠地に希望する宮城球場に直行。老朽化を確認し、「今のままでは厳しい」と10億から35億の改修費用の自己負担を決定した。9時すぎには浅野史郎・宮城県知事らと対談。新規参入の熱意を伝えた。
心は、みちのく一色に染まっていた。「宮城を第二の故郷にしたい」と同社長は東北色を前面に押し出した球団経営構想を明かした。これまで「年十数試合開催する」としていた長野に関しても再考し、「大半の試合を宮城球場、できる限り東北で開催する」と方針転換。新人や球団職員も東北出身者を中心とし、将来的に完全な“みちのく球団”にする考えだ。
さらに、三木谷社長が興味を示したのは、大魔神だった。最初に思い当たる東北出身者を問われ、「佐々木だね。大魔神」と即答。仙台市出身で地元の英雄。将来的にも指導者として貢献が期待できる人材だ。楽天は、Jリーグ・ヴィッセル神戸でもトルコ代表のイルハンを獲得して話題をさらった。1年総額7億円の破格条件で3試合ノーゴールに終わったものの、開幕戦ではスタンドを満員に埋めた。来季37歳になる佐々木だが、人気、実力を兼ね備えた大魔神は新チームの大きな存在となる。
満を持して、プロ野球界に殴り込みをかけた。午後2時前。とんぼ返りで帰京した同社長は、自らの手でNPBに申請書を提出。「仁義を切ってから会見するのが自然と思いました」と、都内ホテルの会見場に向かった。
会見では、衝撃の申請内容を明かした。「強いチームでなければいけない」とメジャー式のGM体制を敷くことを明言。また、申請書に「経営諮問委員会(アドバイザリーボード)」の設置を織り込んだ。同委員会には、楽天の人脈を誇示するかのように経済界の重鎮が名を連ねている。これら大企業がバックアップ姿勢を示しているのは、営業面での支援も期待できる。同時に球界首脳やファンの信頼感を引き寄せることになる。「11球団の協力が必要」とする初年度の選手獲得においても各球団に協力を要請するという形で“援護射撃”を行ってくれそうなメンバーを集めた、といえそうだ。地域密着の経営方針を貫き、参入4年目からの黒字化を目指すという楽天。「20、30、40年にわたって(球団を)保有していく決意です」と、3年間の赤字覚悟で長期経営を宣言した三木谷社長。新規参入の“本命”が審査突破へ向けて突き進んでいく。
会談後は、浅野宮城県知事と楽天の三木谷社長は和やかな表情で会見した。
楽天の三木谷社長から加盟申請書を受けたNPB側は27日にも、既に申請済みのライブドア社との2社について審査を始めることになった。
審査は、実行委員会の下部組織として組織される「審査小委員会」が担当する(27日の実行委で正式に発足)。構成メンバーは人選中で、両リーグの代表から4〜6人程度を選ぶ。実行委の委員長を務めるセ・リーグの豊蔵一会長は「(来季)12球団でスタートすることを視野において、適正な審査を進めていく方針」と話し、10月中にも審査結果を決めたい考えだ。
また、楽天がパ・リーグ参入を希望していることについて同リーグの小池唯夫会長は「両方、同じ条件で審査するが、パ・リーグを希望してくれるということは、歓迎することである」と話した。
楽天と同様、仙台市を本拠地に新球団の設立を目指すライブドア・堀江貴文社長が24日、出張先の英国から帰国。その足で夜に宮城県庁を訪れ、浅野史郎・宮城県知事と会談した。
トレードマークの黒のTシャツにベージュのチノパン姿で宮城県庁に姿を現した同社長が、真っ先に向かったのは応接室。そこで16日の参加申請時に開いた記者会見と同じ黒のスーツ、白のYシャツに着替え、面談に臨んだ。
午後8時から始まった面談は30分少々。共同記者会見での堀江社長の表情は意外にも穏やかなものだった。9日にも都内ホテルで会談談を行った両者。その際、同知事から「全面的にバックアップしたい」と“確約”をもらったライブドア側としては、宮城県側が楽天の仙台本拠地発言を容認したことは一種の背信行為にも映る。浅野知事は楽天の新規参入に至る経緯の説明に努めた。また「最初にドアを開けてくれたのはライブドア」と改めて感謝の気持ちを表明した。
堀江社長も「僕らは競合じゃない。何で比較されなきゃいけないのか」あえて楽天、そして三木谷社長に触れようとしなかった。25日は午前9時から市役所訪問、そして午後1時から宮城球場の視察を予定している堀江社長。巻き返しをかけた戦いが幕を開けた。
オリックス・小泉隆司球団社長は24日、ヤフーBBスタジアム内で、近鉄との統合後の新球団名を「オリックス・バファローズ」、専用球場を「大阪ドーム」とすると正式発表した。労使交渉が23日に収拾したことを受けての会見で、同社長は「大阪で親しまれているバファローズというニックネームと、近鉄さんから統合に際して強い要望のあった大阪ドームを使わせて頂くことになりました」と説明した。
大阪ドームとは交渉中ながら、今季の近鉄と同様に“使用料制”(1年で推定3億円)で契約を結ぶことで決定。大阪と兵庫のダブルフランチャイズの承認を得ており「試合数は半数ずつで検討中」と同社長。営業やチケット販売は球団側が行うことになった。新しいユニホームやマスコット、2軍(サーパス)の形態については「まだ決まっていない」と話した。
また、小泉社長は優先保有するプロテクト25選手について、オリックス、近鉄の全選手と個人面談を行った上で選考したい意向を表明。この日、近鉄・礒部選手会長にも電話連絡を済ませ「10月の終わりにはほとんどの選手に新球団の方針、理念を伝えたい」と意欲を見せた。
宮城球場を本拠地とする球界への加盟申請を既に行っているライブドアの堀江貴文社長が24日、楽天の三木谷社長と入れ替わる形で仙台入りした。ライバルが宮城県庁を去った約9時間後、午後8時から浅野知事と対談。記者会見で、楽天の仙台本拠地参入について「驚いてます。モヤモヤは増幅しています」と釈然としない様子だった。
この日、3日間の海外出張から戻ると、事態は急変していた。「楽天は他の地域だと思っていた」と憮然とした表情で胸の内を明かした。ライブドア潰しの見方もある、との問いに「直接会って聞いてみないと分かんない。同じビルなんですけどねえ」と爆笑を誘った。
いち早く状況を把握しようと、帰国したその足で仙台入りした。浅野知事に楽天の経緯の説明を受け、地域密着構想の熱意を再度伝えた。両社の意見を聞いた浅野知事は「どちらか一方に肩入れはできない」と、中立の立場を貫いた。
成田空港では「楽天は3年連続赤字」とも漏らしたが「特別に意図はない」と冷静に受け流した。両社の比較には「明確な基準がないので、何とも言えない。透明性のある審査に任せる」と話した。一方で「失敗は考えていない」と繰り返していた。
仙台市を本拠地にプロ野球への新規参入を申請しているライブドアは24日、主催する公式試合を県営宮城球場のほか東北6県全てで開催する意向を明らかにした。同社は「宮城県との調整が必要だが、浅野知事も公式戦開催に理解を示しており可能だと思う」としている。
また、同社の堀江貴文社長は同日夜、宮城県庁を訪れ浅野史郎知事と会談。記者会見で「(楽天と)競合だとは思っていない。場外乱闘みたいなことはしたくない」と話した。楽天側が35億円程度必要とした県営宮城球場の改修については「必要十分な設備を早くつくることが大事。20億は掛からないと思う」と述べ、楽天と同様、全額負担する考えを示した。浅野知事は「9日に堀江社長と(加入申請に向けて)十分に話し合っており、あらためて詰める話はなかった」とした。