パ・リーグの小池唯夫会長は6日、プレーオフ第2ステージが行われた福岡ドームを訪れ、改めて来季プレーオフのアドバンテージ制を見直す考えを示した。試合前に王監督と会談した同会長は「王監督もプレーオフは盛り上がっているという評価。時代も変わったし球界を変えるために前向きにやっていこうとおっしゃられた」と理解を得られたことを明かした。また、今季1位ダイエーと2位西武の差が1勝のアドバンテージを得られる5ゲームにわずかに及ばない4.5ゲーム差だったことに触れ「例えば1位チームに1勝のアドバンテージを与えるとか考えないと。16日の理事会で話し合うことになる」と説明した。
プロ野球界へ新規参入を目指すIT関連企業「楽天」(三木谷浩史社長)が、監督に元阪神で野球評論家の掛布雅之氏を招聘することが6日、明らかになった。掛布氏は現役時代に阪神の4番を長年にわたり務め、「ミスタータイガース」として人気を博した。理論的な野球解説に定評があり、新球団の初代監督にはうってつけの存在だ。楽天側は近日中にも掛布氏に監督就任を正式に要請する見込みだ。
最大の注目を集める監督人選で、楽天が掛布氏にターゲットを絞り込んだ。掛布氏は、監督やコーチとしての経験こそないが、理論派の解説には定評がある。現役時代の実績や人気も文句ない。三木谷社長の掲げる「華のある監督」として話題性も十分で、新球団の門出に相応しい人選になる。
この日、三木谷社長は監督人事について「ノーコメント」と明言を避けた。一方で「10月中旬には確定させたい」とも話し、水面下で進展していることを仄めかした。有力候補として挙げていた前巨人監督の原辰徳氏については、身辺調査の結果、監督を退任して1年しかたっておらず、読売新聞社に特別顧問として籍を置いているため招聘を断念。一方、掛布氏は立場的にもフリーで、監督就任への障害は少ない。本人の意向に沿う条件を提示できれば、受諾の可能性は高いと判断しており、近日中にも正式に監督要請する見込みだ。
楽天は既に新球団のGMとしてマーティ・キーナート氏の就任を発表。ただしキーナートGMは営業面を含めた球団経営全般を担当とし、コーチ人事や選手の人選は現場を預けることになる監督中心に進める考えだ。キーナートGMも、掛布氏招聘を第1に考えており、楽天内部の意見調整は整っている。
掛布氏はかつてロッテなどの監督候補として挙げられたこともある。個性溢れるキャラクターで人脈も豊富で、監督要請を受理すればコーチ人事もスピーディーに行われることになりそうだ。来季の新規参入を目指す楽天にとっては、クリアしなければならない課題も山積みで、そんな掛布氏の人柄も大きな武器になる。掛布氏にとっても、自らの指導者としての第1歩が新球団という点に魅力があるだろう。今後の成り行きが、俄然、注目を集めることになりそうだ。
ライブドアはドジャース野茂らの代理人を務める団野村氏にフロント入りを要請していることが6日、明らかになった。関係者によると、団氏は代理人業務があるため態度を保留しているが、ライブドアは楽天同様にGM制を導入し、GMを補佐するアシスタントも採用する方針だ。
同社の熊谷副社長は「GMに関しては最終契約の段階。GMになられる方とは、監督の人選を含め相談している。GMの補佐的なスタッフを2、3人予定してる」と説明。ポストは未定だが、米球界に精通して選手獲得のパイプがある団氏を招聘し、大リーグ流のフロントを目指す。監督として阪神、ヤクルトで活躍したトーマス・オマリー氏(阪神駐米スカウト)の招聘を「最有力候補の1人です」(同副社長)と認めており、監督をサポートするフロントづくりを進めていく。
そのほかGM補佐候補には大リーグで球団職員の経験がある球界関係者数人をリストアップ。審査で承認された場合の条件つきだが、近日中に要請して体制を整える。同副社長は「来週には(陣容の)発表できると思います」と語った。
新規参入を申請中の「楽天」と「ライブドア」に対する日本プロ野球組織(NPB)審査小委員会による公開ヒアリングが6日、都内のホテルで行われた。楽天は三木谷浩史社長、ライブドアは堀江貴文社長が出席。与えられた1時間30分をフルに利用して参入意欲を訴えたライブドアに対し、楽天は持ち時間を10分残し和やかなムードで終了。次回ヒアリングは14日に行われる。
三木谷社長からは余裕すら漂って見えた。スタッフのネームプレートを持参して各自の前に置くなど、事前準備も細部にわたっていた。ヒアリング後の会見では「(不備などの)指摘はなかったと思います」と話した。
Jリーグ神戸での経験、実績を強調した。観客人員に関して「ヴィッセルは30%の観客に成功しました。これはJリーグでトップの数字。この経験を生かしたい」と自信を見せた。「スター選手の必要性は大きい」とも強調し「必要なお金はかけて獲得する」と断言した。神戸では実際、トルコ代表FWイルハンを獲得してきた。「外国人GMですので外国人は期待できると思います」と大物助っ人獲得の可能性も示した。
強気な「野望」は随所に垣間見えた。「勝率、成績の目標は」という巨人清武代表の質問には、「最下位にならないこと」と答えた堀江社長とは対照的に「目標は常にNO.1」と答えた後で「現実的には半分以上勝つこと」と続けた。強気な自信と、Jリーグでの経験が生む冷静さとを併せ持って、第1関門を無難にクリア。新規参入へまた1歩前進した。
公開ヒアリングを取材する報道陣に対しては厳戒態勢が敷かれた。別室のモニターでヒアリングの模様を視聴できるのは1社1人に限定。情報漏れを防ぐために録音機、携帯電話などの持込は禁止された。
歯に衣を着せぬ堀江節がこの日は浪花節だった。近鉄買収に端を発する球界参入を訴え続けて3ヶ月。ノーネクタイのライブドア堀江社長は、ようやく対面できたNPB関係者の前で深々と頭を下げた。
必死だった。楽天を上回る資料と書類を整えた。4人の側近を従えてきたが、1人で半分以上の質問に答えた。堀江社長は「質問は想定範囲内で問題なく答えることができました。ベストは尽くせました」と晴れやかな笑顔だった。「仙台にマンションを買って、そこで仕事をしてもいい。私自身、泥んこになって陣頭指揮を執ります」。移住計画まで披露して、新規参入を熱く訴えた。
宮城県は7日までに、プロ野球加盟申請をしたライブドアと楽天の両社がともに本拠地とすることを表明している県営宮城球場の運営権を、新球団に移譲する方針を決めた。
運営権の移譲には、県都市公園条例などの改正が必要で、宮城県は条例改正に向けた作業を進めている。両社は6日の公開ヒアリングで老朽化している宮城球場の改修費として30億円前後を全額負担することを表明。一方で球場の管理運営を一括して引き受けが可能か県と協議を進めている。運営権が移譲されると、球場内の広告料金を自由に設定することが可能で、売店収入も球団に入り、球場改修費などを回収できるという。
仙台を本拠地に、プロ野球への新規参入を目指して加盟申請している楽天が、監督候補を元阪神の掛布雅之氏(評論家)に絞り込んだことが6日、明らかになった。近日中にも三木谷浩史社長が掛布氏と接触し、正式に監督就任を要請する。楽天は5日に早大スポーツ科学部客員教授のマーティ・キーナート氏のGM就任を発表したばかりだが、新規参入の審査が始まる中で「球団」の体制が固まってきた。
公開ヒアリングを終えた楽天・三木谷社長が、ついに初代監督招聘に動き出す。複数の候補者を検討した結果、リストに残ったのは掛布雅之氏。阪神が日本一になった85年、4番として活躍した「ミスター・タイガース」に、楽天は夢を託すことを決めた。
三木谷社長は当初、阪神の星野仙一オーナー付シニアディレクターに狙いをつけていた。9月20日深夜、大阪市内で星野SDと極秘に接触。この事実は三木谷社長も会見で認めたが、星野SDは健康上の理由と阪神での仕事が残っていることから辞退。これを受けて再度、候補を検討した結果、掛布氏に白羽の矢を立てた。条件に挙げていた「勝てる監督」という点で、コーチ経験もない掛布氏は未知数の点もあるが、楽天サイドでは、これまでの野球解説などを通して理論をチェック。打撃理論だけでなく、チームづくりについても「守りの重要性」「データの有効活用」「ファームの充実」「選手への意識づけの大切さ」などを重視する考えは、三木谷社長が描く新球団のイメージと合致している。
さらに知名度という点でも、三木谷社長がヴィッセル神戸の応援で足を運ぶ関西のみならず、全国的にも高いことが楽天のリサーチで判明。また、掛布氏は4年前から自身のオフィシャルホームページを開設。少年野球の普及活動に努めていることも、楽天サイドは高く評価している。
三木谷社長は「いきなり行って、やってくださいというのは非常識な話。打診は当然している」と先月26日に語っており、掛布氏にも既にアプローチを行っているもよう。この日、公開ヒアリングを終えた同社長は「10月中旬には決めたい。GMは海外の選手を獲るだけの人脈がある。監督はそれを生かす人材を考えている」と話し、別の関係者も「来週には発表できると思う。既に1人に絞り込んでいる」としており、近日中にも正式に監督就任を要請する。
前日はマーティ・キーナート氏のGM就任を発表するなど、ライバルであるライブドアに先駆けて着々とチームづくりを進めている楽天。新球団のフレッシュなイメージに相応しい掛布監督が誕生すれば、大きな話題を呼ぶことは間違いない。
新規参入を目指し加盟申請したライブドアと楽天に対する公開ヒアリングが6日、東京・港区の新高輪プリンスホテルで行われた。日本プロ野球組織(NPB)の審査小委員会(豊蔵一委員長=セ・リーグ会長)がライブドア、楽天の順番で約1時間半ずつ事情を聴取した。球場改修費などの初期投資の限度額をライブドアが200億円、楽天が300億円とすることを表明するなど参入レースは開幕から激しい“銭闘”となった。
ライブドア・堀江貴文社長、楽天・三木谷浩史社長はそれぞれ午後0時半前後に会場入り。午後1時から始まったライブドアのヒアリングの間、三木谷社長は別室で待機する形がとられた。
黒のスーツにノーネクタイ姿の堀江社長は緊張気味ながら、質問によどみなく答えた。今回、審査小委が焦点と位置づけていたのが老朽化している宮城球場の改修費負担とチーム編成資金の2点。球場改修計画について、ライブドア側は「来年3月までに内外野席増設の8000席分で3万人規模になる。工費は21億から27億円を想定しています」と答え、約25億円を想定しているチーム編成については堀江社長自ら「補強に関しては、何とかその枠内でやりたいが、必要とあれば、プラスアルファを出します」と強調。初期投資として「60億でも70億でも。100でも200億円でも今すぐ自己資金というか、どこにも断ることなく出せます」といい切った。
ライブドアと入れ替わり、午後2時半からヒアリング会場に入った楽天・三木谷社長は、水色のネクタイに紺のスーツ姿。32億円を予定している改修に関し「ファンに足を運んでもらえる球場にしたい」と意欲的に語り、約27億円を見込んでいる人件費、補強費は「プレーオフ進出を目指す。そのための補強は投資します」。初期投資は「300億円キャッシュで出せる状態です。70億から80億円を想定してますが、プラス20億円から30億円は出ても全く問題ない」とライブドアを上回る金額を“提示”した。
ヒアリング終了後の会見で堀江社長は「ベストは尽くせた」と笑顔で語った。三木谷社長は「いい感触。選ばれると強く信じている」と自信を見せ、「財務体質で絶対的な自信がある」と胸を張った。ともに資金力を前面に押し出した第1ラウンド。14日の次回ヒアリングで2社が再び火花を散らす。
公開ヒアリングは厳しい規制の下で行われた。質問内容の漏洩を防ぐため、楽天、ライブドアの出席者は同時に控室入り。携帯電話、パソコンなど通信機器を預けた。モニター視聴した記者(1社1人)も通信機や録音機などの持ち込みを禁じられ、両社のヒアリングが終了するまで外部との接触も絶たれた。コミッショナー事務局の下田広報部長は「公平性を期すためにご協力をお願いした」と説明した。
ライブドアの堀江社長が“仙台住み込み”で球団経営に当たる覚悟を示した。公開ヒアリングの中で「仙台に自宅を買って、年間の半分ぐらいは仙台にいる気でいます。インターネット分野はどこにいても仕事ができますから」と熱意を訴えた。
“オーナー兼球団社長”として自ら新球団のかじ取り役を務める考えで「最初の1、2年は私が陣頭指揮を執って球団運営に当たります。試合も全部は無理ですが、半分くらいは行きたい」とした。さらに「全選手が仙台周辺に住んで地域に根付いたチームをつくりたい」と地域密着を強調。プロ野球ではオーナーが球団運営に直接携わるのは異例だが「成功しなければ、私もクビが飛びますから。不退転の決意で臨みたいと思います」と力を込めた。
ライブドアが導入を検討している選手のストックオプション(自社株購入権)について、清武委員から「野球協約第183条を想定されているか」と協約との整合性が指摘された。183条では監督、コーチ、選手の他球団株の所有を禁止している。仮にライブドアがストックオプションを導入した場合、選手が他球団に移籍したときには、自社株を手放さなければならず、問題点が発生する可能性がある。堀江社長は「人件費の削除という意味でも、個別の選手に応じて出来高払いという意味で導入したい」と発言。一方、楽天が希望していたエクスパンションドラフトについてはロッテ・瀬戸山代表から「今年は行う予定はありません」と通告された。
プロ野球新規参入の本命で、IT企業「楽天」が来季の監督として、元阪神・掛布雅之氏(現野球評論家)を最有力候補とし、近日中にも就任要請を行うことが6日、明らかになった。元阪神・ランディ・バース氏ら外国人指揮官を念頭に置き選定を進めていたが、最終的に同社・三木谷浩史社長がファンでもある阪神OBの掛布氏が適任と判断。阪神球団も招聘を了承しており、『掛布楽天』が誕生すれば、岡田阪神との交流試合での対決が来季の目玉となる。
楽天が用意したカードは1種類だけではなかった。手元には、まだ切り札が隠されていた。野球ファンが、何より虎党が衝撃を受ける監督のサプライズ人事。その名は、掛布雅之氏だった。
「楽天内部で、掛布氏1本でいくということで話がまとまった。やはり記念すべき初めてのシーズンは外国人監督より、日本人監督の方が適任だということ」。元阪神・バース氏、元巨人・ジョンソン氏ら、複数の候補を最後まで検討していた。しかし、球界関係者は、掛布氏招聘で意思統一されたと断言。その言葉を裏付けるように、新規加盟の公開ヒアリングが行われたこの日、阪神球団に1本の電話が入った。「掛布さんに監督要請をしたいと思っています。正式に決まりましたら、また改めて連絡させていただきます」。筋を通すために、古巣に了承を求めた。阪神サイドも快諾。トラの了解を得たことで、監督招聘の障害はなくなった訳だ。
昭和63年を最後にタテジマを脱いで、16年が経過した。今年は後輩に当たる岡田監督が、阪神の将に就いた。「もう、球界復帰のチャンスはない」−。誰もが、そう思ったが、オリックス、近鉄の合併新球団の監督候補に挙がるなど、時代の流れと新たな図式を描く球界が「31番」の復活を求めていたともいえる。公開ヒアリングを終えた楽天・三木谷社長は、監督像を問われ、こう答えた。「采配力があり、頭脳明晰な人がいいと思っております」。
具体的な名前は挙げなかったが、長年の阪神ファン。指揮官の理想のタイプについては「新球団ですから、情熱的でチームと選手を引っ張っていく人」と以前から話しており、掛布氏はその像にピタリと当てはまる。また、要請時期にも言及し「10月中旬までには決めます」。阪神の許可を得た今、一気にアタックする方針だ。
後は掛布氏の返事次第だが、受諾に向け、支障はないとみられる。『掛布楽天』が誕生すれば、来季は岡田阪神との交流試合での激突に注目が集まるのは間違いない。猛虎に育てられ、昭和60年には日本一に輝いた2人が、それぞれの人生を歩み、時を経て、異なるリーグに籍を置きながらも対戦する…。夢のような再会シーンが、新時代に突入する日本球界の象徴となる。
プロ野球に新規参入の申請を行ったIT企業「ライブドア」と「楽天」に対する公開ヒアリングが6日、都内のホテルで開催された。新設の審査小委員会は両社から約1時間半ずつ、資金面や本拠地とする県営宮城球場の改修計画などを聴取したが、楽天側は三木谷浩史社長が豊富な資料を配布し、ほぼ完璧な回答。審査委員の心を奪い、いつものノーネクタイ姿で臨んだライブドア・堀江貴文社長を1歩リードした格好だ。
午後1時に始まった公開ヒアリングはライブドア→楽天の順番で審査され、会場の模様は報道陣用の別室のテレビモニターに映し出された。この日、軍配が上がったのは本命・楽天。審査する経営者側が好感を持ったのは、誰の目にも明らかだった。
冒頭から如実に差が出た。堀江社長らライブドア出席者が着席後、すぐ説明に入ったのに対し、楽天は三木谷社長を中心に5人全員がいきなり起立。年長者が揃う審査員に最敬礼してから新規参入プランを披露した。
プロモーションも圧倒。審査小委の10項目の質問に対応するため、既に提出している加盟申請書のほか、新たに『収支計画の修正と積算根拠』『県営宮城球場改修計画』『問題点と改善案一覧リスト』『改修スケジュール概要』など次々と資料を配布した。各項目ごとに三木谷社長が担当幹部と解説。各委員は資料のページをめくるのに苦労するほどで、分からなければほかの楽天出席者がその近くに走り、「このページでございます」とフォロー。あまりの細かさに、厳しい突っ込みが入れられなくなるほどだった。
審査は両社の資金面での事業構想や仙台市の県営宮城球場の改修計画などに多くの時間が割かれたが、改修費、人件費などの初期投資でもライブドアが50〜60億円で必要なら100億円以上と幅を持たせたのに対し、楽天側は80億円と金額を明示。また、選手、スタッフ確保の見通しでも審査員の心を揺さぶった。三木谷社長は前夜に近鉄の球団幹部と話し合ったとし、「我々はオリックス、近鉄のプロテクト(優先保有)外の選手と契約したいし、近鉄の裏方の方も救済したい。今の時点で正式に認めていただければ近鉄側にお願いしたい」とも明かした。
日本プロ野球組織(NPB)は合併新球団のスタッフの雇用確保を前提としているだけに、願ってもない話。ある審査員からは「ほー」と感心する声がもれた。さらに、三木谷社長は「大リーグだけでなく、日本のプロ野球は少年少女の夢にならないといけない」と“ダメ押し”までした。
審査小委は14日に第2回ヒアリングを今度は非公開で行い、主に財務面を審査。その後、1週間に2度開かれる会議で審議を重ね、29日の実行委員会までに結論を出し、11月2日のオーナー会議で最終決定する運びだ。 三木谷社長はヒアリング後の会見では「(感触は)いいと思いますよ。財務体力には絶対的な自信がある。我々が選ばれると信じています」と手応えを強調。前日に新球団のGMにマーティ・キーナート氏の就任を発表、水面下で監督、コーチ人事も進んでおり、ライブドアを圧倒しつつある。
ライブドア・堀江社長は、この日もノーネクタイで登場。球場改修計画についてA3判用紙5枚の資料を配布。改修は2段階に分ける慎重さを見せた楽天に対し、来年6月末をメドに一気に3万人収容まで突き進む計画を示した。
堀江流の大胆プランも飛び出した。売れ残りチケットが多い試合や雨天ゲームでは、プレーボール後にメール会員に割引メールを送って動員を図るアイデアなどには、審査委員から繰り返し質問が飛んだ。審査委員の1人は「(資料では)楽天は厚かったが、話はどちらも悪くなかった」と互角の評価を下した。
「質問は想定通りだったし、ベストは尽くせたと思う」と堀江社長。監督候補に阪神駐米スカウトのオマリー氏の名が挙がるなど準備は着々だ。事業規模などでは楽天が優位でも、「私が陣頭指揮をとって、他球団にメリットをお返しできるような意気込みでやらせていただく」と鼻息は荒かった。
ライブドアが、選手への参稼報酬の一部に導入予定の「ストックオプション」(自社株優先購入権)について、巨人・清武球団代表が突っ込んで質問した。権利を持つ選手がトレードなどで移籍した際に、他球団の株式保有を禁じた野球協約183条に抵触する恐れがあるため。堀江社長は「自分が活躍して広告宣伝に寄与できると思う選手には、一獲千金の刺激がある」と導入を希望。移籍などの際には権利を放棄し現金を支払うという条項を付けて契約するなど、協約の範囲内で行いたいとした。清武代表は「納得?うーん。今後、経理面での質問書の回答を見れば、はっきりするんじゃないか」と話した。
2社から本拠地に指名されている仙台の関係者は、公開ヒアリングを受け、新球団誕生の期待を膨らませた。宮城県の浅野史郎知事は「この調子でどんどん審査を進めてもらい、早く結論を出して欲しい」とコメント。仙台市の藤井黎市長は「東北地方1000万人が見守っており、来春には仙台に新球団が誕生することを心待ちにしている」との談話を発表した。また、市民団体『ドーム型多目的球場新設協議会』の菅本昭夫事務局長からは「改修は最低限の費用で済ませ、ドームへの建て替えに回して欲しい」の注文も付いた。
来季のプロ野球参入を目指す楽天の監督候補に、掛布雅之氏が浮上した。楽天・三木谷浩史社長が6日「華のある監督が、観客動員面でも必要」とあらためて話し、東北出身者にこだわらず、知名度の高い監督を起用する方針を示唆。阪神の4番打者として活躍し、全国的な人気を誇る掛布氏に一本化して、正式要請するものと見られる。
楽天が絞り込んだ監督候補は、三木谷社長の理想と一致する掛布氏だった。これまで、同社長は「華のある人が必要。お客さんが入ることで、チームが強くなる」と、一貫して監督像の持論を展開。自身が運営するJリーグ、ヴィッセル神戸の試合を観戦した9月26日には、4、5人のリストアップが完了したことを明らかにし、近日中にも直接出馬して交渉を進める意向を示していた。この日、三木谷社長は「候補者は既に、1人に絞った」と明言。同社の関係者によると、掛布さんに就任要請する方針を固めた模様だ。
楽天はプロ野球参入を目指すことを決めた際、現場だけでなく、選手の獲得にも力を発揮できるGM兼任監督を検討していた。だが、スポーツジャーナリストで早大客員教授のマーティ・キーナート氏のGM就任が決定し、また「監督経験者」とした基本条件も転換。「采配力があり、頭脳明晰な監督にしたい」と、同社長が力説したように、若いチームづくりができることと、本拠地を仙台とするために、東北出身者を起用する考えも否定し、実力とスター性を重視した人選に着手していた。
現役時代の掛布氏は、巨人・江川との名勝負が、今でも語り草になっており、日本一に輝いた1985年には、阪神の主砲としてチームをけん引。ミスター・タイガースに君臨した。89年を限りに引退した後も、評論家として活躍。鋭く、分かりやすい分析に定評があり、知名度、人気は屈指だ。
三木谷社長は「球団運営をできると、まだ決まった訳ではないので、条件付きのオファーになる」と説明。近日中にも掛布さんに正式要請する見込みで、楽天が監督問題で大きく動き出すことになりそうだ。
ライブドアの監督候補に浮上した元阪神、ヤクルトのトーマス・オマリー氏が、就任に前向きな意向を見せていることが6日、関係者の証言で分かった。
オマリー氏と親交の深い国内の関係者によれば、6日に米国滞在中のオマリー氏と電話で話した際、「ライブドアから間接的に就任への打診があった」とオファーがあったことを告白。阪神駐米スカウトの職務が残されているため、直接交渉には慎重な姿勢を見せながらも「日本で監督を務めるのは長年の夢であり、要請は非常に光栄なこと」と打診を喜び、就任に支障はない様子だ。
オマリー氏は現役引退後も98年から4年間、米独立リーグ、ニューアーク・ベアーズのGM兼監督を務めた。02年からは星野監督(当時)の要請により阪神の特命コーチに就任するなど、十分な指導者経験を持つ。米国球界にも幅広い人脈を誇っており、ライブドアが新規参入を果たした場合には、その手腕を発揮することになりそうだ。
シドニー五輪代表にも選ばれた7年目捕手の鈴木が、チームでは初めて新規参入球団入りを希望した。鈴木は福島県出身で仙台育英高、東北福祉大と東北に縁が深い。この日、足高圭亮球団代表は「新規参入球団に選手を獲られることを考えると、経験豊富な捕手を残したい」と新生オリックスの戦力として想定。だが、出場機会に恵まれなかった鈴木は「参入球団が必要としてくれれば、僕にとってはチャンス」と話した。今月中に行われる球団側との面談で直訴する。
プロ野球に新規参入を申請したライブドアと楽天を対象にした、NPB(日本プロ野球組織)審査小委員会(豊蔵一委員長=セ・リーグ会長)による公開ヒアリングが6日、都内のホテルで開かれた。ともに約1時間半かけて、資金面での事業構想やチーム編成、本拠地・宮城球場の改修計画などについて質疑応答。ライブドア・堀江貴文社長はストックオプション導入へ協約改正を訴え、楽天・三木谷浩史社長はエクスパンションドラフトを求めるなど、双方とも資金力を誇示しながら、参入への思いを熱く訴えた。
プロ野球に新しい風が吹き込んだ。秘密主義、密室政治と批判されたプロ野球の会議が公開されるのは初。堀江社長は白いシャツに黒いジャケット、三木谷社長は黒いスーツにネクタイとトレードマークのスタイルで、4人の部下を従え、時間差で審査小委員会が待つ会議室に入った。
豊蔵委員長が「協約および球界の取り決めに遵守していただけますか」「どちらのリーグへの参入を希望しますか」と聞き、パ・リーグ参入を確認。続いて各委員から質問が飛んだ。両社とも追加資料を配布。宮城球場の改修図案を示し、IT企業らしくインターネット中継実現を訴えた。
ともに放映権収入や観客動員見込みなどで、数字の甘さを指摘され、チーム編成での選手総年俸も低すぎると酷評された。それでも「60億でも70億でも、100億でも予算では今すぐ自己資金で出します」(堀江社長)、「自己資金はキャッシュで300億円ありますのでその中でまかないます」(三木谷社長)と資金力をアピールした。
堀江社長は年俸の一部に球団株を与えるストックオプション制導入プランを披露し「協約上の問題もあるので整合性を出したい。158条によると確か(球団を)辞めるとき(株を)手放さないといけない。できれば改正していただきたい」と要望。三木谷社長は各球団から選手分配を受けるエクスパンションドラフトを求めた。ともに、一笑にふされたが、堂々と自己主張を貫いた。
先攻がライブドアで後攻が楽天だったため、堀江社長は14日の2回目のヒアリングでは後攻を求めたが「申請順だから」という理由で拒否された。清武委員(巨人代表)に「戦力は全体に低めてはいけない」と言われた三木谷社長は「本塁打を大量に打っても勝つのは難しい」と史上最強打線を誇りながらV逸した巨人を挙げ反撃した。
委員会では財務分析を監査法人に委ねていることなどから、この日のヒアリングは数字よりも、応対や、意欲を見た。豊蔵委員長は最後に決意を尋ねた。「他球団にもメリットを返せるような運営で10年、20年経営していける会社にしたい」と堀江社長。三木谷社長は「少年少女の夢になる文化の一端を担えれば。計算が甘いところもあるが熱意は分かってもらいたい」と口にした。
委員会は14日の次回のヒアリング内容も含めて、審査結果を10月末までに実行委員会に報告。実行委と11月2日のオーナー会議で参入球団についての最終決定を下す。
ヒアリング後、審査小委員会の豊蔵委員長らメンバー5人が会見した。「主として全体的な構想、施設の改修計画、選手及び職員の確保の方策などについて話を聞いた。それぞれから特色のある報告があった」と豊蔵委員長は話した。
今後も審査が続くため、具体的な内容、印象などを話すことは避けた。だが、出席した委員の1人は「戦力確保に力を入れてもらわないと。(新球団が)お荷物になっては困る」と注文をつけながらも「何が必要か、足りないかを両社は理解しており、そういう意味では、しっかりした考えを持っていた」と好印象を明かした。
だが、1回のヒアリングでは突っ込んだ話はできず「財務の面や本社のこととか、オープンにできない部分が多い。深い話まではいかなかった」と瀬戸山委員。委員会は両社へ経理に関する質問書を提出。清武委員は「それ(回答)をもらえば全体像が分かると思う。それをもとに次回はやりたい」と14日に予定されている2度目のヒアリングでは、今回以上に具体的な聴取が行われることになる。
ライブドアの堀江社長は「希望通り、公正で透明性のあるヒアリングを受けられて嬉しい。我々はベストを尽くせたと思う。質問も想定範囲内で、問題なく答えることができた」と成果をアピールした。
ヒアリング後は東京・六本木のオフィスなどでフジテレビ系、テレビ朝日系、日テレ系の取材に対応。「大学受験と一緒。焦ったってしようがない。今まで受からなかったことはない」と自信を見せた。
GMや監督候補の絞り込みは完了。コーチ、スカウトなどの人選を進めている。監督候補に浮上した元阪神、ヤクルトのトーマス・オマリー氏については「候補の1人。チームの核になる人選はある程度、固まっている」と話した。熊谷史人副社長によるとフロントにはGM1人、副GM2人のほかアシスタント数人を置く。
楽天の三木谷社長は穏やかな表情で会見に臨んだ。「緊張しました、久しぶりに。感触はいいと思います」と手応えを口にした。前日、マーティ・キーナート氏のGM就任を発表。小委員会が審査のポイントに挙げる、しっかりとしたチームづくりへ向け着々と準備を進める。「監督?ノーコメント」と、監督候補者については沈黙したが、今月中旬の決定を目指し水面下で進行中だ。
選手の総年俸を20億から22億円に設定したことに「高い年俸を払っても働かない選手はいる。個別交渉なので、まだ出す準備はある」。年俸面では野球よりも下がるJリーグのチームを運営していることもあり、現実的な面ものぞかせた。「相手との差別化は一切、考えていない。NPBが決めること。我々が選ばれると強く信じています」と自信をみせた。