わたしはかもめ2004年鴎の便り(11月)

便

11月2日

04年締めくくる「プロ野球コンベンション」開催

04年シーズンを締めくくる「プロ野球コンベンション」が2日、都内のホテルで開催された。根気のタイトルホルダーや正力賞、沢村賞などの受賞者が出席し、根来コミッショナーはじめ関係者から表彰を受けた。

主な表彰選手
正力松太郎賞伊東勤(西)
正力賞・特別賞イチロー(マ)
沢村賞川上憲伸(中)
表彰種目セ・リーグパ・リーグ
最優秀選手川上憲伸(中)松中信彦(ダ)
最優秀新人川島亮(ヤ)三瀬幸司(ダ)
ベストナイン投手川上憲伸(中)岩隈久志(近)
捕手古田敦也(ヤ)城島健司(ダ)
一塁手ウッズ(横)松中信彦(ダ)
二塁手荒木雅博(中)井口資仁(ダ)
ラロッカ(広)
三塁手立浪和義(中)小笠原道大(日)
遊撃手井端弘和(中)川ア宗則(ダ)
外野手嶋重宣(広)和田一浩(西)
金本知憲(神)SHINJO(日)
ローズ(巨)谷佳知(オ)
指名打者セギノール(日)
タイトルセ・リーグパ・リーグ
首位打者嶋重宣(広)松中信彦(ダ)
本塁打王ローズ(巨)松中信彦(ダ)
ウッズ(横)セギノール(日)
打点王金本知憲(神)松中信彦(ダ)
盗塁王赤星憲広(神)川ア宗則(ダ)
最多安打嶋重宣(広)松中信彦(ダ)
川ア宗則(ダ)
最高出塁率ラロッカ(広)松中信彦(ダ)
最優秀防御率上原浩治(巨)松坂大輔(西)
最多勝利川上憲伸(中)岩隈久志(近)
最多奪三振井川慶(神)新垣渚(ダ)
最優秀救援五十嵐亮太(ヤ)三瀬幸司(ダ)
横山道哉(日)
最優秀投手川上憲伸(中)岩隈久志(近)

会長特別表彰
セ・リーグ
最優秀監督賞落合博満(中)
カムバック賞小久保裕紀(巨)
特別賞立浪和義(中)
金本知憲(神)
スピードアップ賞上原浩治(巨)
3冠王記念賞松中信彦(ダ)
審判員奨励賞有隅昭二
パ・リーグ
優秀監督賞伊東勤(西)
3冠王松中信彦(ダ)
審判員1500試合出場中村稔

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推定赤字40億円縮小へ…「若さ」「IT」で勝負[サンスポ]

明暗を分けたのは2社の企業体力の差−。オーナー会議を終え、記者会見した滝鼻卓雄議長(巨人オーナー)は、楽天はライブドアに比べて親会社として売上高、総試算でまさり、より赤字に耐えられると判断した、などと説明。各球団が赤字に苦しむパ・リーグにあって、より長期的に球団保有できるという点で楽天に軍配が上がった。

滝鼻議長の説明では、審査は6項目に分けられたが、重視されたのが

(1)
球団経営の継続性と発展性
(5)
親会社と球団の経営状況の分析

の2点だった。

◇審査小委員会が定めた審査6項目

(1)
参加申請書の妥当性。例えば球団経営の継続性や発展性
(2)
現行野球協約との整合性
(3)
専用球場等施設の能力、野球観客需要
(4)
選手、コーチ陣の確保の見込み
(5)
親会社と球団の経営状況の分析
(6)
公共財として相応しい企業、球団であるか

監査法人による財務状況分析、また日本プロ野球組織(NPB)の審査小委員会の報告では売上高(楽天430億円、ライブドア250億円)、経常利益(同145億円、同50億円)、総資産(同2618億2600万円、同1027億3400万円)、営業キャッシュフロー(同124億6400万円、同72億4600万円)といずれの点でも楽天が上回った。

両者とも球団経営が赤字となった場合、親会社が補填するとの立場だけに、親会社の財務状況はそのまま球団の長期保有に直結。具体的には既存球団の最大赤字幅の40億円が計上された場合、ライブドアは来期経常利益50億円の8割に相当する額を球団に補填することになる。より赤字に耐えられる企業体力を持つという意味で、楽天が優位と判断された。

また、収益構造を見ても、今年3月中間期でライブドアの経常利益35億3000万円のうち、ネット証券のイーファイナンスが全体の74%と一事業分野に集中。これに対して、楽天は6月中間期の営業利益71億500万円のうちネット通販が42%、金融事業が38%。収益源が2本柱で、より安定的だと判断された。

ただ、滝鼻議長はライブドアについて「1回ダメだからといって永久に門を閉ざすことはない。財務内容も変わるかもしれない。野球に対する意欲は優劣つけがたい」と今後の参入の可能性までは否定しなかった。

◇2社の参入争い経緯

6月13日
近鉄とオリックスの球団合併が発表される。
6月30日
ライブドアが近鉄球団買収提案を発表。近鉄は拒否。
8月19日
ライブドアが大阪ドームを本拠地とする新球団設立に動くことを正式表明。
9月15日
楽天が球団経営に名乗り。
9月16日
ライブドアが仙台を本拠地に新規加盟申請。楽天は神戸を本拠地に来季からの参入を表明。
9月17日
労使交渉が決裂し史上初のストへ。
9月22日
楽天がライブドアと同じ仙台本拠地を表明。
9月23日
新規参入などで労使交渉が妥結し、ストが中止に。
9月24日
楽天が新規加盟申請。
10月5日
楽天はGMにマーティ・キーナート氏の就任発表。
10月6日
2社に対する審査小委員会の第1回公開ヒアリング。
10月13日
楽天監督に元中日の田尾安志氏が就任。ライブドアの暫定GMに小島克典氏。
10月14日
第2回公開ヒアリングでライブドアのアダルトサイトが問題視。ライブドア監督に元阪神のトーマス・オマリー氏就任。
10月22日
楽天がチーム名を「ゴールデンイーグルス」と発表。
10月26日
ライブドアがチーム名を「ライブドアフェニックス」と発表。
11月2日
楽天は田尾監督、松井優典二軍監督らが編成会議。ライブドアは元横浜監督の権藤博氏らの入閣を発表。
巨人・滝鼻卓雄オーナー会議議長(巨人オーナー)
「熱意の優劣はつけがたかった。1番の問題は継続的、安定的に球団を保有できる経営体力があるかどうかだった。プロ野球がいい方向へ進んでくれれば。」
中日・白井文吾オーナー
「パがまた6球団になってよかった。決め手は体力。楽天が相当上回っているということだった。楽天は営業についての考えも既存の球団とは違う。今までの球団がやらないことをやる可能性がある。」
ヤクルト・堀澄也オーナー
「気持ちとしては両方とも入って欲しいが、今の球界の市場では12球団がいいのでは。(楽天は)青少年にいい影響を与える球団であり、親会社であって欲しい。」
阪神・久万俊二郎オーナー
「楽天は間違いないだろう。チームが1人前になるには時間とお金がかかる。三木谷オーナーは本業と五分五分のバランスを取ってください。私の経験からいってそれが長持ちする。」
広島・松田元オーナー
「楽天が本拠地にする宮城(仙台)は広島と似た地方都市。親しみを持って応援したい。行政、民間、ファンが一体となってバックアップすることが地方での成功の鍵になる。」
横浜・若林貴世志オーナー
「長くプロ野球を愛してくれるオーナー企業を判断した。厳しい経済下で収益の柱は多い方がいい。アイデア豊富な若い球団だから、我々も参考にするかも。」
プロ野球オーナー会議
12球団のオーナーで構成され、定例では7月と11月の年2度開催されている。野球協約によるとコミッショナーの選任、球団の譲渡など重要事項について審議決定する。議決には出席者全員の4分の3以上の同意が必要。オーナーの互選によって議長が選出され、現在は巨人の滝鼻卓雄オーナーが議長。セ・リーグ6球団はオーナー本人が出席しているケースが多いのに対し、パ・リーグは代行者を立てることが多い。
根来泰周コミッショナー
「頑張ってもらうしかない。経営は大変だろうが、それを覚悟でここまでやってきたはずだから。」
豊蔵一セ・リーグ会長
「1つ落とさなきゃいけないのは辛い、心苦しいことだった。新しい分野の産業の代表として選ばれたのだから、それを野球界でも発揮して欲しい。」
小池唯夫パ・リーグ会長
「5球団よりも6球団の方が日程も組みやすい。(楽天選出に)異論はなかった。今日の会議はスムーズにいったと思う。」
来季の開幕戦で楽天と対戦するロッテのボビー・バレンタイン監督
「マーリンズ(フロリダ)もダイヤモンドバックス(アリゾナ)も新球団が世界一になっている。仙台の市民に浸透したチームを楽しみにしている。」
労組選手会・松原徹事務局長
「まずは歓迎してくれたようだから、期待したい。分配ドラフトやトライアウトの件も含め、詰めなきゃいけない話もまだ多い。」
西武・松坂
「どんな球団になるのか楽しみです。仙台では投げたことはない。球場は広くして欲しいですね。」
巨人・堀内恒夫監督
「新たに門戸が開かれるのは喜ばしい。東北というより、地域密着で作られる球団のきっかけになる。地域に根ざした良いチームを作って欲しい。(楽天との交流試合は)選手が移動がキツイかも知れないが、(東北の)色んな球場でファンに喜んでもらえるような試合がしたい。」
巨人・上原
「12球団になることは最低条件だったから。球団数が増えることはいいことだし、今後も増やす方向でやっていけるのがいい。(来季は)野球界にとってはいい年になる。」
巨人・高橋由
「先に手をあげていたライブドアが参入できなかったのは何といっていいのか…。12球団でできるのはよかったが、課題はまだある。」
新規参入球団と収支計画の比較表
ライブドア楽天パ他球団平均
売上高広告収入[広告等収入合計]2000001150000
メインスポンサー-600000
地域サポートスポンサー-150000
スタジアム広告200000400000
入場料収入[入場料収入合計]24683752100000
年間シート-700000
サポーター年間シート-60000
通常券24683751340000
放映権[放映権収入合計]6000001089200
テレビ放映権500000965000
ネット放送10000052200
携帯会員-72000
ファンクラブ-105000
有料会員収入--
グッズ[グッズ合計]855250375950
スタジアム販売705250235950
ネット販売150000235950
野球教室-21150
飲食-113498
売上計412362549547983823000
チケット販売手数料2468480400
売上原価FCコスト-105000
グッズ原価598675211962
野球教室原価-21150
球場使用料5000050000
その他使用料150000175000
選手参稼報酬20000002225740
契約金償却(補強費)500000166667
監督コーチ参稼報酬、フロント人件費10959501001000
販管費試合運営費用[試合運営費合計]500000582200
ホーム-432000
移動費150200
キャンプ150000150000
用具・備品経費200000125000
広告宣伝費200000300000
減価償却費150000448220
その他経費、一般管理費100000160000
球団振興基金他-571000
営業費用571930964433397045000
営業利益△1595684△1488541△3222000

[注]単位は百万円

40億円の損失を想定した場合
ライブドア楽天A社B社C社D社
平16年9月見直し(※)平16年12月見直し(※)直近年度直近年度直近年度直近年度
経常利益500014500334631021573150019576
想定損失△4000△4000△4000△4000△4000△4000
差引経常利益10001050029463981572750015576
想定損失が経常利益に与える影響率80.0%27.6%12.0%3.9%12.7%20.4%
差引経常利益10001050029463981572750015576

[注]単位は百万円。(※)ライブドアの経常利益は業績予想値。楽天は『四季報』に基づく数値

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三木谷社長、青写真の実現へ…これからが勝負[サンスポ]

新規参入が決まった「東北楽天ゴールデンイーグルス」だが、無事に来春の開幕を迎えるためにはハード、ソフト両面で難問が山積している。球場改修の工期、2軍の施設、さらにFAやトレードなど、今後に越えなければならないハードルを挙げてみる。

最大の難問は、球場改修の問題だ。県営宮城球場を保有する県は2億円の補正予算を組み、1ヶ月以内に着工できるよう便宜を図った。だが仙台は雪が少ないとはいえ、厳寒期の工事になる。

楽天は、3月いっぱいの工期を優先して、来季は2万3000人収容で凌ぐ。グラウンド拡張、ブルペン移設など作業を絞り込む。来オフ、2万8000席への再拡張を予定するが、プロ野球本拠地の目安とする3万人には届かない。

オープン戦の本拠地開催は無理。過去に東北地方の他球場でも、福島・いわき球場に実績がある程度。「できれば寒い時期はビジターでお願いしたい」と、三木谷社長は4月中旬の本拠地開幕を要望した。キャンプ地は近鉄が消える宮崎・日向市が有力。一方で東北以外での開催は、全国に新球団の知名度を浸透させるチャンスだが…。

また2軍と練習施設は、今季限りで廃部したJT(仙台市)から譲り受ける。だがプロ球団の若手育成に適した寮など、追加整備は急務だ。加えて2軍公式戦は、イースタン7球団、ウエスタン5球団の歪な形になる。社会人チームとの交流をいっそう進めるなど、リーグ維持を図らなければならない。スタッフ、裏方の確保は近鉄から20人以上雇用するという。

さらに選手について、分配ドラフトでの40人を確保した後の補強が問題。「各球団の協力をお願いしたい」と、三木谷社長は他の10球団に金銭や無償でのトレードを要望する。既に他球団の1億円選手を3人前後獲得する方針を固めた。巨人・江藤、横浜・斎藤、オリックスを自由契約になった山崎らの獲得に動きそうだが、補強費は当初予定の5億円を大きく上回るのは必至だ。

マーティ・キーナート楽天GM
「パッチワーク的なチームになる。分配ドラフトで選手を選ぶことになるが、エクスパンション(拡張)ドラフト(の実施)も希望する。勝ち方はどうでもいいが、とにかく勝ちたい。」
三木谷浩史(みきたに・ひろし)
昭和40年3月11日、神戸市生まれ、39歳。明石高、一橋大商学部を経て、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。同行から米ハーバード大学経営大学院へ留学し、MBA(経営学修士課程)を取得。平成7年に退社し、クリムゾングループを設立。織田信長の「楽市楽座」にあやかって日本初の本格的インターネット商店街「楽天市場」を創業、同社代表取締役社長に就任した。国内IT経営者のリーダー的存在。今年1月には民事再生法を申請したJ1神戸を落札、同クラブのオーナーに就任。個人資産は約2590億円といわれている。家族は夫人の晴子さんと1女。

◇三木谷社長・田尾監督に聞く

≫参入決定の瞬間は。
三木谷社長
「喜びというより、責任感を感じる。東北の方々に喜んでもらい、球界を改革するというのが我々のミッション(使命)。」
≫チームカラーは。
三木谷社長
「フォア・ザ・チーム。全員一丸となり、力を合わせる。ライブドアの分もあり、私達の責任は重い。」
田尾監督
「選手の顔がまだ見えていないので、言いづらい。集まった選手の能力をフルに発揮できるような環境をつくりたい。」
≫球界に対する要望は。
三木谷社長
「ドラフトとFA制を1つにして考えないといけない。完全ウェーバーの導入と、FAの取得を短くするべきでは。また新規球団には金銭的な問題も含め、FA選手の獲得に配慮して頂ければ。今後球団数を増やすためにも必要ではないか。」
田尾監督
「FAの補償金制度はかなりの負担。ドラフト制度は逆指名が問題。今回の一場投手の件は本人の悪い部分と、球界の悪い部分が出た。ウェーバー制を取り入れて欲しい。」
≫4日にオリックス、近鉄のプロテクト25人が決まることについて。
三木谷社長
「ロテクトはセ6・パ5球団を前提に適用されたもの。12球団に戻った訳だから、選手の意思を尊重するのが筋ではないか。(オリックス、近鉄の合併)球団には柔軟性を持ってもらいたい。」
田尾監督
「オーナーの考えとほとんど同じ。やはり(楽天は)厳しい戦力の中で戦っていかなくてはならない。監督の立場だけでなく、戦力均衡のためにはプロ野球全体で(プロテクト)を考えなくては。できれば(オリ・近以外の)10球団にも協力を得たい。」
≫何年後に球団を黒字化したいか。
三木谷社長
「事業プランでは4年目。最低4年で、できるだけ早く。クリエーティブなチームを作り、健全な経営をしたい。」
楽天
資本金398億2500万円
売上高126億5600万円
社長三木谷浩史(39)
球団運営楽天野球団
球団資本金4億円
株主楽天株式会社(100%)
球団名東北楽天ゴールデンイーグルス
保護地域宮城県
専用球場県営宮城球場(仙台市)
球場改修費32億円
改修後の収容数来年開幕までに2万3000、可能なら2万8000
その他の施設2軍練習場、室内練習場、合宿所などを予定
選手人件費22億円
補強費5億円
監督田尾安志(50)
GMマーティ・キーナート(58)
経営諮問委員会牛尾治朗(ウシオ電機会長)、宇野康秀(有線ブロードネットワークス社長)、大橋洋治(全日空社長)、奥田碩(トヨタ自動車会長)、奥谷禮子(ザ・アール社長)、金丸恭文(フューチャーシステムコンサルティング社長)、齋藤宏(みずほコーポレート銀行頭取)、鈴木茂晴(大和証券グループ社長)、新浪剛史(ローソン社長)、西川善文(三井住友銀行頭取)、羽根田勝夫(日本航空インターナショナル社長)、増田宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ社長)
他のスポーツサッカーJ1神戸所有
西武・山口弘毅オーナー代行
「パに新しい球団が加わるということで、ともに繁栄していけるよう、ファンにアピールする状況をつくっていきたい。今季のプレーオフは白熱したし、競り合いをしていくことを楽天に希望する。」
ダイエー・中内正オーナー
「(楽天は)同じパ・リーグになったし、お互いにいいチームづくりをして、頑張りたい。色んなアイデアを出してもらって野球界を盛り上げて欲しい。」
日本ハム・小嶋武士オーナー代行
「永続性と経営規模が1番の決め手となった。我々にないノウハウをプロ野球界に活用することを期待する。地道に地域と共生して頑張って欲しい。」
ロッテ・重光昭夫オーナー代行のコメント
「パの平均赤字が32億円。経常利益が50億円のライブドアより、150億円の楽天の方が安心感がある。三木谷さんには新しい感覚で経営に取り組んで欲しい。」
近鉄・小林哲也オーナー臨時代理人(球団社長)
「両者ともやりたいという意欲は甲乙つけがたかった。近鉄やオリックスから多くの選手が行くので、パ・リーグに新しい空気を吹き込んで欲しい。」
オリックス・宮内義彦オーナー
「相対比較した場合(両者の差が)かなりはっきり出ていたんじゃないか。三木谷オーナーへの期待?計画のように運営して欲しいと思う。」

◇田尾監督、背番号『88』即決

三木谷オーナーが、田尾新監督がパーソナリティーを務めるニッポン放送「ショウアップナイターストライク!」に生出演。来季の目標について「新規参入だから最下位でもいいという訳じゃなく、最低でもプレーオフ圏内ですね」と、1年目からの旋風を宣言。また田尾監督が背番号『88』を希望すると、「じゃあ、88番にしましょう」と笑いながら“即決”した。

◇横浜・中村捕手が移籍へ

楽天に、横浜の中村武志捕手が移籍する可能性が高くなっていることが2日、分かった。楽天は経験豊富な中村を正捕手候補にリストアップ。今季出場機会が激減した中村も横浜の3年契約が切れるため、移籍に支障はないとみられる。

中村は昭和60年に京都・花園高からドラフト1位で中日に入団。リーグを代表する捕手として活躍し、平成14年から横浜でプレー。20年目の今季は相川の成長で44試合の出場にとどまった。

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全会一致で楽天、経営状況などで優位に[スポニチ]

ひな壇に全球団のオーナーが並んだ。異例の光景が問題の重大さと全会一致を示していた。楽天参入を決議した実行委員会(議長=豊蔵セ・リーグ会長)、承認したオーナー会議(議長=巨人・滝鼻オーナー)とも「大して時間がかからなかった」(小池パ・リーグ会長)と差は明確だった。

本拠地が同じ仙台で、観客動員、日程編成などから「両社とも認めるのは現実的に不可能」(滝鼻議長)で「相対評価で比較論議した」(豊蔵議長)。その結果「継続的・安定的経営が可能な経営体力のある企業という点で楽天が勝る」(滝鼻議長)と説明した。

大手監査法人の分析を含め、審査小委員会(委員長=豊蔵セ・リーグ会長)が設定した審査6項目のうち、2社の差が見えたのは(1)と(5)だった。

(1)では親会社の収益構造を比較。ライブドアが営業利益35億3000万円(04年3月期)のうちイーファイナンス(ネット証券)が74%と収益源が1事業に集中。楽天は71億500万円(04年6月中間期)のうちEC事業(ネット通販)42%、金融事業38%。滝鼻議長は「楽天は収益の柱が2本ある。ライブドアは金融事業の業績変動が経営に影響する」と長期保有に不安が見えた。

小委員会のロッテ・瀬戸山代表が「最大の焦点」としたのが(5)だ。両社とも球団赤字は親会社が補填する方針。経常利益は楽天が145億円(04年12月・会社四季報予測値)、ライブドアが50億円(04年9月予測)。パ・リーグの経営現況から最大40億円の年間赤字を想定すると「利益の8割が消える」(ロッテ・重光オーナー代行)と不安が強まった。

本拠地・宮城県営球場の改修を来春までに行うよう楽天に「誓約書」を取る方針を確認し、50年ぶりとなる新球団を受け入れた。

◇審査項目

審査小委員会が定めた審査項目は6項目。

(1)
参加申請書の妥当性。例えば球団経営の継続性や発展性
(2)
現行野球協約との整合性
(3)
専用球場等施設の能力、野球観客需要
(4)
選手、コーチ陣の確保の見込み
(5)
親会社と球団の経営状況の分析
(6)
公共財として相応しい企業、球団であるか

◇スーパーW杯構想で調整

オーナー会議では「スーパー・ワールドカップ」開催構想について、アジア予選を実施した上で、06年3月の第1回大会開催を目標に、参加国・地域と調整していくことを確認した。日韓台中の4ヶ国・地域のプロリーグの王者が覇権を争う「アジアチャンピオンズカップ(仮称)」については来年秋に初開催した後、2年に1度のペースで行う案をまとめ、関係国・地域と交渉することになった。

また、根来コミッショナーが、ダイエーと福岡ドームを所有する米投資会社コロニー・キャピタルとの興行権に関する契約内容などの調査報告を行った。その中で、同コミッショナーは契約内容が野球協約に抵触するかの見解は示さず、調査の継続を各オーナーに伝えた。この報告について、ダイエーの中内オーナーは「協約には反していないが、精神に反している面があるということだった」と話した。

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最強イヌワシ軍団に、いきなり制度改革要求[スポニチ]

50年ぶりに誕生した新規参入球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」(通称・楽天イーグルス、専用球場は県営宮城球場)。楽天の三木谷浩史社長は2日、都内のホテルで記者会見を行い、合併新球団からのプロテクトを拒否する選手は外すように訴えた。さらに新規参入球団のFA制度の選手獲得枠と補償金の免除も要求。イヌワシ軍団を最強軍団とすべく、IT社長の所信表明は強烈だった。

無数のフラッシュに一瞬笑顔がはじけた三木谷社長は、すぐに口元を締めた。9月24日の加盟申請から39日。激闘の末に勝ち取った新規参入正式承認だけに、表情は使命感で溢れていた。

三木谷社長
「東北・仙台に日本に誇れる球団をつくり、プロ野球を変えるのが我々のミッション。大企業にできなかった経営、新しい血を入れたことは決して間違いでないということを示したい。4年で黒字化はできると思う。」

朗報が飛び込んだのは午後4時55分。想定していた午後4時から長引いた決定にも「参入を果たせなかった会社の分まで頑張らねばという責任感が強かった」と語った。その思いは強いチームづくりのための分配ドラフト見直し要求につながった。

「分配ドラフトはそもそも11球団になった場合を想定してつくられたもの。12球団に戻した経緯から、プロテクトも選手の意思を尊重するのが筋だと思う」。4日にオリックスと近鉄の合併新球団のプロテクト25選手が決定する。その中で近鉄の岩隈、礒部らがプロテクトに難色。特に、岩隈は義理の父である広橋氏が守備走塁コーチに就任。さらに小野投手コーチ、山下バッテリーコーチと岩隈を育てた恩師もスタッフに名を連ねた。三木谷社長は「私が決めた訳じゃない」と話したが、受け入れ態勢は万全。制度上の改革は難しいが、合併球団の意思次第でプロテクト選手から外すことはできる。強烈な牽制球だった。

さらに新規参入球団の特例として「FAの獲得制限(2人)は撤廃する制度を導入すべき」と三木谷社長。同席した田尾監督も「FAの補償金をなくして欲しい」と話し、キーナートGMも「エクスパンションドラフト実施を」と続くなど、強いイヌワシ軍団形成へ3首脳は並々ならぬ決意を示した。

「僕は野球界のしがらみがない。ストレートに考えていることをぶつけていきたい」と三木谷社長は言った。スピードをモットーに急速に業容を拡大した本業と同じく、球界改革に貪欲に取り組む覚悟だ。

◇横浜中村移籍も

楽天に、横浜の中村が移籍する可能性が出てきた。楽天は経験豊富な中村を正捕手候補にリストアップ。今季出場機会が激減した中村も横浜の3年契約が切れるため、移籍に支障はないとみられる。中村は85年に京都・花園からドラフト1位で中日に入団。リーグを代表する捕手として活躍し、02年から横浜でプレー。20年目の今季は相川の成長で44試合の出場にとどまった。

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新球団は楽天[報知]

◇東北楽天ゴールデンイーグルス

新規参入は楽天−。プロ野球オーナー会議が2日、都内のホテルで開かれ、パ・リーグの新規加盟球団として仙台市を本拠地とする「東北楽天ゴールデンイーグルス」を全会一致で承認した。1954年に高橋ユニオンズがパ・リーグに参加して以来50年ぶりの新規参入で、東北に初めてプロ野球球団が誕生した。近鉄とオリックスの合併やストライキで揺れ動いたプロ野球は、来季もセ、パ各6球団で運営されることになったが、楽天の三木谷浩史社長は、ドラフトの完全ウエーバーを訴えるなど早速、球界の改革を訴えた。

史上初の参入合戦を制した“歴史的”瞬間、六本木ヒルズ・森タワーの楽天本社が沸いた。午後4時40分。NPB審査小委員会の豊蔵委員長から三木谷社長に電話が入った。「ありがとうございます」朗報は記者会見場ではなく、本社に待機し受けた。その瞬間、パソコンに黙々と向かっていた社員が立ち上がり、クラッカーを鳴らし、社長、マーティ・キーナートGM、田尾安志監督らを会見場に送り出した。

新オーナーは「プロ野球参入が正式に承認されました。仙台、宮城を中心とする新しいチーム・楽天野球団が発足する50年ぶりの快挙となりましたことをご報告させて頂きます」と勝利宣言。プロ野球参入を決めた9月15日から48日間にわたるライブドアとの参入バトルに幕を下ろした。

その瞬間から、三木谷社長はライブドアの“ベンチャー精神”が乗り移ったかのように、保守派路線から改革の志士に態度を変えた。「今回、選手会のストを始め、色んな問題が起こった。今回(明大・一場投手)のような金銭授受問題が起きないように」と所信表明でいきなり問題提起。ドラフトの完全ウエーバー制の導入と、FA期間の短縮を訴えた。

戦力均衡は新球団としての切実な願いだ。「そもそもプロテクトは6・5(セ6球団、パ5球団)が前提。もう1回、12(球団)に戻すなら、新球団に対して柔軟性をもって対応して欲しい」「選手の意思を尊重してやっていただくのが筋じゃないか」とプロテクト拒否の姿勢を示す近鉄・礒部選手会長らの思いを代弁。さらに「今後、プロ野球のチーム数を増やしていく上においても、制度(改革)を考えて頂きたい」と選手会のように主張した。

「選ばれることが目的ではなく、プロ野球を変えていくことが我々のミッション(使命)」ライブドアとの参入争いでは、ライバルの堀江社長の徹底した“攻めの姿勢”の陰に隠れ、保守的立場が目立ったが、70年の歴史上初めて、IT企業がプロ野球に参入するからには、旧体制を踏襲する訳にはいかない。

参入を決意した朝に“自由の象徴”だった口髭を剃り落とした三木谷社長。決定のこの朝にも綺麗に剃ったが、外見は迎合しても、内面の“自由”は変わっていなかった。本拠地・仙台では、堀江支持が根強いが、この意気込みがあれば、人気を受け継げる。武将・伊達政宗が仙台城に縄張りを張った1600年から404年。“平成の伊達政宗”が誕生した。

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楽天で全会一致「赤字でも永続経営可能」[報知]

◇プロ野球オーナー会議

約450人もの報道陣のむせ返るような熱気の中、午後4時55分、オーナー会議の滝鼻議長(巨人オーナー)をはじめ全12球団のオーナーや代行者、根来泰周コミッショナーが会見場の壇上に上がった。傍らには12球団の代表、球団社長。球界首脳が一堂に会しての会見は前代未聞。重々しい空気の中、滝鼻議長が審査の結果について口を開いた。

保護地域(宮城県)、専用球場、選手の確保などが重複しており「両社の参入を認めることは不可能」と結論付けた。赤字経営が続くパ・リーグの現状から、新規参入は「永続的な球団経営が可能な、安定的な経営体力がある企業が望ましい」とし、実行委員会は楽天の参入を全会一致で内定。オーナー会議も全会一致で承認した。

滝鼻議長は6つの審査項目のうち、重視された点を明かした。

(1)
参加申請書の妥当性。球団経営の継続性や発展性
(5)
親会社と球団の経営状況の分析

の2点だった。

(1)について、楽天は長期的な収支見込みはパ・リーグの現状を踏まえ、厳しいものと見ている。その一方で両社の財務状況は経常利益、売上高のいずれも楽天が勝っている。

(5)については両社ともに赤字は親会社が補填する方針。こちらも経常利益で楽天が上回り、収益構造もライブドアは営業利益のうちネット証券が全体の74%と1事業に集中している一方、楽天はEC事業(ネット通販)が42%、金融事業が38%。“2本柱”を持ち「より安定性がある」と判断された。40億円の損失を想定した場合も、両社の経常利益に与える影響率をライブドア80.0%、楽天27.6%として、楽天に軍配を上げた。

◇審査項目

(1)
参加申請書の妥当性。球団経営の継続性、安定性、発展性
(2)
現行野球協約との整合性
(3)
専用球場等施設の能力。野球観客の需要など
(4)
選手、コーチ陣の確保の見込み
(5)
親会社と球団の経営状況の分析
(6)
公共財として相応しい企業、球団であるか

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楽天誕生早々異議あり![ニッカン]

◇三木谷社長、会見で球界改革案

プロ野球のオーナー会議が2日午後、東京都内のホテルで開かれ、来季から仙台市を本拠地とするパ・リーグ新球団としてIT関連企業「楽天」(三木谷浩史社長)を全会一致で正式承認した。球団名は「東北楽天ゴールデンイーグルス」で、会社名は「楽天野球団」。三木谷社長は都内で会見し、急務の選手獲得に絡み、オリックス・近鉄合併で行われるプロテクト(優先保有選手)について、選手の意向の尊重などを訴えた。激動を経たプロ野球新時代に若きオーナーが乗り込む。

◇選手の意思を

都内本社で参入承認の知らせを聞いた三木谷オーナーは、喜びよりも責任と使命を強く感じたという。会見で強く語ったのも「改革」だった。まずは、今月8日に迫った分配ドラフトに異議を唱えた。選手獲得に影響する合併球団のプロテクトやFAに質問が及んだ時だった。

三木谷社長
「プロテクトは(合併で縮小する)6対5(11球団)を前提に認められたことで、今度は6対6(12球団)に戻るのだから、柔軟性をもってやるのが筋。できるだけ選手の意向を尊重すべき。FA選手獲得についても、新規の球団に配慮して欲しい。」

同ドラフトは今季オリックス、近鉄に所属した選手のうち合併球団が25人を優先的に確保。以後、楽天、合併球団が交互に20人ずつ選んでいく。「選手の意思」とは、プロテクトに難色を示す近鉄礒部や岩隈らを示唆したのは明白だった。選手獲得が急務の要望でもあるが、合併で迷惑を被る選手の救済をも求めた。

◇最少スタッフ

田尾監督が補足した。「楽天の監督という立場を離れたとしても、戦力均等を考え、ほかの10球団の協力を頂きたい」。マーティ・キーナートGMも「エキスパンション(拡張)・ドラフトを実施して頂きたい」と願った。同制度は米大リーグで新規参入球団があった時、他球団から数人ずつ選手を選べる形式だ。新球団でもファンにできるだけレベルの高い野球を提供できる。今季途中までの縮小傾向とは正反対の、球団数増加の土壌をつくる改革案でもあった。

楽天首脳は揃ってFA取得の期限短縮と補償金の撤廃、ドラフトの完全ウエーバー制度の導入など次々提案した。どれも、既存球団の経営を圧迫する、人件費高騰を招いた。それにより得をした老舗球団への提言でもあった。

三木谷オーナーの打ち出す球団の骨格は、若さゆえの熱さだけではない。例えば、この日発表した全陣容では監督、コーチの人数は13人と12球団最少人数にとどめた。巨人の20人、阪神の22人に比べれば少数精鋭に徹して、スリム化を図った。首脳陣のコストを抑えることが得策とは言い切れないが、資金力に頼った人集めは排除した。

◇「4年で黒字」

初期段階で監督就任要請した掛布雅之氏の希望した年俸、契約金が楽天側の予算と3倍近くかけ離れていると知ると、あっさり撤退した。メンツのマネーゲームに発展することを避け、方向転換できる柔軟性を併せ持つ。パに黒字球団はないが「最低4年で黒字経営に転じたい」と高い目標を掲げたのも、チームの強化とともに身の丈に合った健全経営こそ最大の改革だと信じるからだ。

三木谷オーナーは「楽天かライブドアかが重要ではなく、東北、宮城にチームができることが重要。企業中心ではなく仙台が誇れるチームをつくるのが我々のミッション」と力強く語った。使命感が溢れ出た。

楽天来季スタッフ
1軍氏名出身校
監督田尾安志50同大
ヘッド山下大輔52慶大
投手小野和義38創価
打撃駒田徳広42桜井商
バッテリー山下和彦41柳ヶ浦
守備・走塁広橋公寿47八幡大
守備・走塁高橋雅裕40名古屋電気
2軍氏名前所属
監督松井優典54星林
投手鹿島忠43鹿児島実
打撃上川誠二44箕島
バッテリー芹澤祐二36大宮東
守備・走塁清家政和45柳川商
守備・走塁橋上秀樹38安田学園

〇=新任、△=移籍、□=復帰

三木谷浩史(みきたに・ひろし)
1965年(昭40)3月11日、兵庫県生まれ。明石高−一橋大商学部。日本興業銀行入行後、91年に米ハーバード大経営大学院に留学し、経営学修士取得。95年11月に同行を退職しコンサルティング会社クリムゾングループを設立。現会長兼社長。97年にインターネット商店街「楽天市場」を開始。00年分の高額納税者番付では約93億円の創業者利益を上げ初登場で2位に入った起業家。

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礒部「選択肢の1つ」岩隈「迷っている」[ニッカン]

合併新球団オリックス・バファローズ行きに難色を示している近鉄礒部公一外野手、岩隈久志投手が、新規参入球団の正式決定を喜んだ。プロテクト拒否の姿勢の礒部は2日、オーナー会議後のプロ野球コンベンションが行われた都内のホテルで「昨日(1日)中村GMとお会いして話をさせてもらった。残って欲しいと言われたが、気持ちは変わらないし、お金の話じゃないことを伝えました」と強硬姿勢は崩さなかった。その上で「(楽天は)僕の選択肢の1つに入っている」と話した。

また「まだ(プロテクトを受け入れるか)答えは出ていない。迷っている」と揺れる思いを吐露した岩隈も「新規球団なので今までと違う野球、ファンを楽しませる野球をして欲しい。興味?もちろんあります」と歓迎した。

一方、引きとめる側の仰木彬監督は同所で「色んな変革の中で行われた作業。選手も辛いし、我々も辛い」と、説得に応じてくれることを望んだ。小泉隆司球団社長は「大事な戦力と考えていますから。まだ時間があるし、機会を見つけて話をしていきたい」と、4日のプロテクト・リスト提出まで粘り強く説得を続ける方針を示した。

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最低でも4年で黒字

◇一問一答

≫参入決定を聞くまでの気持ちは。
三木谷社長
「やきもきしながらどっちだと。スタッフと雑談しながら待ちました。」
≫果たしたい役割は。
三木谷社長
「IT企業の重要性は大きく、新規参入は自然な流れ。ベンチャー的なやり方ならどうなるかということ。新しい血が入ることはプロ野球界へいい影響がある。しがらみもないから、ストレートにぶつけていきたい。」
≫インターネットを利用した戦略はあるか。
三木谷社長
「細かい情報をたくさんできるのがインターネットの良さ。監督のインタビューや戦略のポイントなどたくさんの情報を提供してファンのレベルを上げたい。」
≫球団経営は儲かると思いますか。
三木谷社長
「最低でも4年で黒字にしたい。野球界だけでなく経済界にとっても健全経営は重要なミッション。」
≫どんなチームになって欲しいか。
三木谷社長
「一言で言ってフォア・ザ・チーム。全員が力を合わせて戦っていく。ライブドではなく我々が選ばれた以上、その分も含めて責任が重い。」

◇W杯並みの熱狂

楽天誕生の知らせに、本拠地の仙台が沸き上がった。歓迎セレモニーが行われた仙台駅東口広場では、仙台市で27年ぶりとなる新球団が現実いなり、祝福ムードが広がった。間近で大エールを受けた楽天の吉田敬・野球団準備室長は「宮城スタジアムのライトスタンドはこんな感じになるんでしょうね」と盛り上げた。町の通りには応援フラッグが華やかに飾られた。町は02年サッカーW杯の熱狂を思わせる「お祭り騒ぎ」の1日となった。

◇第2球場にして、岡山楽天誘致へ

楽天のプロ野球新規参入が正式承認されたことを受け、岡山県は2日、同県所有の球場を第2球場などに採用するよう、楽天側に本格的に働きかける意向を固めた。県は9月頃から代理人らを通じ楽天側に接触を試みてきたとしているが、今月中にも石井正弘知事が楽天の三木谷浩史社長と交渉したい考え。 球場はマスカットスタジアム(倉敷スポーツ公園野球場)を想定。95年開設で収容人員は3万人以上。これまでもプロ野球のキャンプなどで使用されている。県は「2軍の本拠地やキャンプ地として使ってもらいたい」と期待している。

楽天
97年に元銀行員の三木谷浩史社長が創業。インターネット商店街で業界トップの「楽天市場」をはじめ、積極的な買収戦略でも知られる。最近ではネット上の旅行予約サイト「旅の窓口」のほか「DLJディレクトSFG証券」「あおぞらカード」なども買収した。資本金は398億円。04年6月中間連結決算は売上高が前年同期比約2.6倍の206億円、経常利益は約4.3倍の73億円でそれぞれ過去最高だった。従業員数は721人、平均年齢30歳。

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「赤字に強い」が決め手、12球団一致[ニッカン]

◇オーナー会議

楽天の新規参入は全会一致で決まった。この日、都内ホテルで午前中からパ・リーグ理事会、実行委員会が行われた。まずパ理事会で楽天を新規参入とすることで一致。実行委員会ではパ側から、全会一致をみた説明がセ側になされ意見を集約。ここでも楽天の参入で統一された。これが上程されたオーナー会議では各12球団がそれぞれ参入球団名を挙げる形がとられ、全球団一致で承認された。オーナー会議議長の巨人滝鼻オーナーは「安定的な経営体力がある企業が望ましいと判断した。実行委員会では、各種資料と監査法人の財務分析資料から、楽天の経営体力がライブドアより勝っていると判断し、楽天の新規参入を全会一致で決定しました」と発表した。

合否は審査項目の中の2つが分かれ目となった。(1)の「球団経営の継続性や発展性」と(5)の「親会社と球団の経営状況の分析」。(1)は球団親会社の財務状況として楽天の方が経常利益、総資産、売上高で勝っており、より赤字に耐えうる企業体力を保持していると判断。後者に関しては、ライブドアの経常利益(04年9月期の速報値)51億円に対し、楽天は予測数値で145億円。収益構造はライブドアが、イーファイナンス(ネット証券等)が全体の74%を占め、1事業分野に集中。楽天はEC事業(ネット通販)が42%、金融事業38%と2本柱となっており、より安定的と判断された。(6)で問題視されたアダルトサイトについては「判断材料の1つにはなった」(巨人清武代表)が、あくまで重視したのは経営基盤であることを強調した。

審査について、報道陣に両社から提出された厚さ5センチ以上、500枚ほどにもおよぶ資料が配られた。清武代表は「透明性のある審査を見ていただきたい。(報道陣の)皆さん方が審査の目撃者」とした。実行委員会議長のセ・リーグ豊蔵会長は「両社ともIT産業ということで時代の流れを感じた。エポックを感じた」と感想を漏らしていた。

◇6つの審査項目

(1)
参加申請書の妥当性(例えば球団経営の継続性や発展性)
(2)
現行野球協約との整合性
(3)
専用球場等施設の能力、野球観客需要
(4)
選手、コーチ陣の確保の見込み
(5)
親会社と球団の経営状況の分析
(6)
公共財として相応しい企業、球団であるか

◇その他の審議・確認事項

改正
預かり保証金制度の創設に伴う日本プロ野球組織(NPB)の定款および野球協約の改正。
確認(1)
来秋からの開催を目指す「アジアチャンピオンズカップ(仮称)」について。韓国、台湾、中国と交渉を始める。
確認(2)
「スーパーワールドカップ」開催構想について。アジア予選を実施し06年3月の初開催を目標に調整することを確認。
報告
日本シリーズの収支報告がされた。
中日白井オーナー
「来季もセ、パ6チームずつでできることになってよかったと思う。北海道、東北も地域を挙げて歓迎するということだった。(楽天とライブドアの差は)球団を長期間保有できる体力。球界再編はこれで一段落ではないだろう。これから構造改革委員会が発足してプロ野球の今後がいかにあるべきかという意見を交換していくことになる。」
ヤクルト堀オーナー
「気持ちの上では両方入ってもらいたかったが、楽天の方が会社の体力がしっかりしているということだった。個人的にも今の野球界の市場規模では12球団が1番いいと思う。ただ将来は分からないし、増やす可能性もあるでしょう。ライブドアも1回断ったからそれでダメということにはならない。そのためにはファンを掘り起こしていかないと。」
巨人滝鼻オーナー
「決まってホッとしています。(ライブドアには)声を掛けにくいね。残念な思いをしているところに僕が何を言っても意味をなさないでしょうし。(50年ぶりの新規参入について)動かない業界だったということかな。振り返ると改革の年だった。」
阪神久万オーナー
「楽天は間違いないだろう。チームが1人前になるには時間とお金がかかる。三木谷オーナーは本業と五分五分のバランスを取ってください。私の経験から言ってそれが長持ちする。」
広島松田オーナー
「仙台という都市は広島と似通っていて親しみを感じている。楽天の参入を歓迎したい。ローカルという面で苦労もあると思うが得るものもある。うちも広島という地域の支えがあって成り立ってきたので、仙台の政官民の皆さんには全力で楽天のバックアップをしてあげて欲しいと思う。」
横浜若林オーナー
「今日は評決を求められてお返事しただけ。(ライブドアについては)たまたま1球団ですけど、それじゃダメですよ、と言った訳ではございません。」
日本ハム小嶋オーナー代行
「球団経営の継続性、発展性で楽天に決めた。(本拠地移転の“先輩”として)うちはまだまだ、楽天にアドバイスはできない。ただ、IT企業ということで、これまでの球団が持っていないノウハウを持っている可能性が高い。プロ野球全体の発展に貢献してくれるのではないでしょうか。」
近鉄小林球団社長
「楽天には近鉄、オリックスの選手もかなり行く。半分の血を持っていくので頑張って欲しい。アドバイス?私達があまり言わない方がいいでしょう。新しい発想でやるのが1番。礒部らが合併新球団のプロテクトを拒否している?よく話をして一生懸命説得していくが、気持ちを無視して、機械的に進めるのはどうか。」
ダイエー中内オーナー
「楽天さんとは互いに地方の球団としてエールを送り合い、頑張っていきたい。一緒にプロ野球界を盛り上げていきたい。実行委員会で綿密な精査をしていただいた。ダイエーも15年前のシーズンから球界に参入し、福岡から旋風を起こした。若い三木谷オーナーも色々な考えを出していただき新風を吹かせてもらいたい。」
ロッテ重光オーナー代行
「今後もドラフトの見直しとか、米大リーグでやってる贅沢税の導入ですとか、何らかの取り組みは必要だと思います。それについては有識者懇談会を作って、方向性を考えていきたい。三木谷さんにはぜひ頑張ってもらって、新しい感覚で経営に取り組んでもらいたいです。来年は開幕で対戦するので、お互い切磋琢磨してやっていけたらいいですね。」

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「パへようこそ」来季開幕戦はVSロッテ

◇エキサイティング!!ボビー

新規参入の楽天と開幕戦で対戦するバレンタイン監督は歓迎の意向を示した。「来年は統合球団も含めて(新しく)2チーム増えるので、パ・リーグはエキサイティングなシーズンになるでしょう」。パ・リーグ人気を支える監督らしく「パへようこそ。新しいチームが仙台の球場を毎日、満員にしてくれることを願っています」とお祝いメッセージを送っていた。

◇戦力研究しないと

ダイエー王監督が楽天にエールを送った。プロ野球コンベンションに出席し「一緒にやる仲間が決まった。地元に歓迎されるチームになって欲しい」。パ6球団で球界再編が一段落したことには「落ち着いて、来季に臨めることができて嬉しい」。最も「色々研究しないといけない。楽天さんといい試合をできるようにしないと」と早くも勝負師の顔ものぞかせた。

◇一緒に頑張ろう!!

西武伊東監督は楽天について「パ・リーグの繁栄のため、力を合わせて頑張りたい」と歓迎した。シリーズ中には、監督に就任する田尾氏と話し「選手が集まるか、不安そうだった。協力してくれと言われたけど、ウチにもそんな余裕はないからね」と苦笑い。また、堤前オーナーや山口オーナー代行に優勝報告する予定はないが「優勝が決まった翌日、堤オーナーには電話で報告しました」と話した。

ロッテ小坂
「パが6球団に保たれたし、野球が盛んな東北地方がプロ野球から遠ざかりつつあったので、今回の新規参入で、より野球が盛んになり、野球人口が増えてくれればいいですね。」
ロッテ井上
「東北地方にプロ野球チームがなかったので、新規参入で地元に密着したチームづくりで東北が盛り上がると思うので良かったと思います。」

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古田選手会長、今後の拡大にも期待

労組・選手会長として奮闘したヤクルト古田も12球団維持を評価した。プロ野球コンベンションに出席し「12球団が維持され、今までなかった仙台に新球団ができるということは喜ばしい」と話した。一方で「混乱し失望を与えた1年だった。今後のために基準を明確にして欲しい」と審査基準の明確化を強調。楽天には「スポーツクラブとにとって地域密着は当たり前」と市民球団への期待を示す一方で「ライブドアさんが手を挙げていなかったらこうはなっていなかった。1野球ファンとして感謝したい」と配慮も示した。また「(12球団で)いっぱいいっぱいだとは思っていない。四国もあります」と今後の「拡大」にも期待を寄せた。

◇NPB側の反応

根来コミッショナー
「組織によって決まったことだから、結構なことだと思います。ファンにも支えてもらいたい。これからなかなか難しいことも多いだろうけれど、頑張っていただきたい。それ以上は選ぶ立場ではないからね。なかなか経営も大変だというから、継続的にパ・リーグの一員として頑張って欲しい。」
セ・リーグ豊蔵会長
「楽天とライブドアの両方とも非常に熱心でしたので1つを選んだのは心苦しいものがあります。しかしながら、客観的な差がありましたから、それに従って決めました。少しの差で選ばれなかったことは大変なことだと思います。楽天には新しい産業の分野の代表として選ばれたのだから、新しい事業と共に新しいチームとして頑張ってもらいたい。」
パ・リーグ小池会長
「パ・リーグにとって新規加入は大いに歓迎したい。早速、事務連絡もやっておりますし、リーグとしては北は札幌ドームから南は福岡ドーム、そして仙台でも、と全国展開できることにもなるし、交流試合もある。三木谷社長も熱意を持って取り組んでいただいているし、リーグ発展につながるものと信じている。」

◇球界の反応

阪神野崎球団社長
「12球団を維持できたのが大きかった。(楽天は)球場改修が間に合わないようなら、例えば松山なんかでちょっとやってみてもいい。結論は出ていないけど、そういう議論はありました。ライブドアが最初に勇気を持って手を挙げてくれたことは非常にありがたかった。私としては嬉しかったし、感謝したい。」
巨人堀内監督
「(球団数は)偶数が理想だし、新たに門戸が開かれることは喜ばしいと思う。東北地方にチームができること以上に、地域密着で球団がつくられるきっかけになるでしょう。東京、大阪に集中するより全国に広がった方がいい。交流試合?移動が多少きつくなるかもしれないけど、昔は郡山、仙台、盛岡とかに移動があったし、いいんじゃないか。」
中日落合監督
「(球団数が)11や10にならなかったことは歓迎すべきこと。もし、そうなっていたらプロ野球は終わっていた。東北に新しく球団ができたことは喜んでいいのかどうかは分からない。ファンがこれから(新球団を)潰さずに球場に足を運んでくれるかどうかが大事。田尾にアドバイス?それぞれのチームには合った戦い方がある。田尾がどういう野球をやりたいのか分からないから何とも言えない。」
中日井端
「仙台に球団ができるのはいいことだと思います。野球界の発展につながっていくんじゃないですか。(楽天の)田尾さんとは全日本で一緒にやったことがあるんですけど、考え方が凄いなと思う部分がありました。打つことに熱心な方でしたから、バッティングのチームになるんじゃないかと思います。」
巨人高橋由
「決まって良かった。ただ、先に手を挙げてくれたライブドアが参入できないのは何と言っていいのか分からない。来季も12球団でできるが課題はまだある。」
西武松坂
「仙台では投げたことはないんですよ。球場はピッチャーとしては広くしてくれた方がいいんですけど。どういうチーム編成になるか分かりませんけど、対戦するのは楽しみです。」

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古田会長「ホッとしています」[報知]

◇NPBに過程の開示を要求

日本プロ野球選手会・古田敦也会長は楽天の新規参入が認められたことに、「1球団なくなる危機に、新球団が、しかも今までなかった東北にできる。非常に喜ばしいし、ホッとしています」と心境を語った。

審査に当落がついたため、慎重に言葉を選んだ古田会長。「楽天の印象?特にないです。球界は何十年ぶりかの危機だった。楽天、ライブドアが手を挙げなかったら、11球団になって1リーグの道を進んでいた。ライブドアにも1野球ファンとして感謝したい」と球界に光を差込んだ両企業に頭を下げた。

審査の内容については「2つとも合格していたのか、1つが落ちていたのかが大きな問題。判断基準を明確にしないとファンも落ちた企業も納得しないでしょう」とNPBに“楽天合格”に至った過程の開示を要求。「今後は審査を簡略化できるように」と新規参入のシステム確立を訴えた。

新球団にかける期待は大きい。古田会長は「世界的に見てもプロスポーツは地域密着が当たり前。まだ四国もあるし、大阪も空いた。全国でたくさんの人が野球に関心を持つようになれば」とさらなる球団増のためのモデルケースとして位置付け。松原事務局長は「IT企業の力を球界全体に波及させて欲しい」と話した。

「ファンが声を上げてくれたお陰でいい方向に進んだ。愛されるプロ野球にしていきたい」と結んだ古田会長。4ヶ月半に及んだ奮闘は実を結んだが、真の球界改革はこれから、と言いたげだった。

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楽天2軍本拠地に岡山県が浮上[スポニチ]

楽天の2軍本拠地に岡山県が急浮上。ウエスタン・リーグに加盟する可能性が出てきた。岡山県が2日、倉敷マスカット球場を2軍本拠地に採用するよう、楽天側に働き掛ける意向を固めたことを明らかにした。既に9月から代理人を通じ楽天側に接触を試み、今月中にも石井正弘知事が三木谷社長と交渉したい考えで「2軍本拠地やキャンプ地で使ってもらいたい」と期待している。

東北各県から非公式に2軍本拠地の誘致を受けている楽天だが、現時点で未定だ。球界内では楽天の2軍本拠地が仙台、もしくは東北地域となった場合、イースタン7、ウエスタン5チームと不均衡が生じ、移動経費増を懸念する声が強まっている。この日、コンベンション前に開かれた営業担当者会議でも楽天の2軍本拠地を西日本地域に置くよう要望する意見が出ていた。楽天球団首脳は「現在は白紙。7−5の問題もあるし、NPBの意向も踏まえ、今後検討したい」と話しており、条件次第では岡山に2軍本拠地を置く可能性もある。15日に開かれる次回の営業担当者会議をめどに本拠地を煮詰めることになりそうだ。

◇日向市はキャンプ誘致

楽天のキャンプ誘致に今春まで近鉄のキャンプ地だった宮崎・日向市が名乗りを上げている。宮崎県と日向市はそれぞれ4日に担当課長を東京・六本木ヒルズの楽天本社に派遣。キャンプ誘致活動を本格化させる。来週には安藤知事と黒木市長も同社を訪問する方向で調整中だ。楽天内では沖縄など温暖なキャンプ地を希望する声もあるが現時点では未定。安藤知事は「豊富な実績を持つ本県でキャンプをしてもらえるよう、日向市と共に、積極的に誘致していきたい」とコメントしている。

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田尾監督「対話できる人選んだ」[報知]

◇コーチ陣発表

隣に座った三木谷オーナー共々、興奮を隠せないでいた。新規参入を知らされてからまだ1時間も経っていない。田尾安志新監督の顔は上気していた。だが、目指す野球への手はしっかりと打っていた。

「コミュニケーションを取りやすい人、指導力、そして何よりも人間性」が決定基準だったというコーチ陣の人選。参入できるかどうか不確かな中で困難だったはずの候補者との交渉の中から、1、2軍ともに守備走塁コーチを2人ずつ置いた。「選手の顔が見えていないので、こういうチームをつくりたいというのは言いづらい」と言いながらも、守りと機動力を絡めた野球を目指そうとしているのがよく分かる。

今後は新外国人選手、分配ドラフト、トライアウトなどで選手を獲得していくことになるが、苦戦は目に見えている。しかし、新監督はきっぱりと言い切った。「集まって来る選手の特長を生かし、能力を発揮してもらう。前のチームで能力を発揮できなかった選手らも含め、そういう力を結集すればやっていける。その能力を発揮できる環境を作るのが僕の仕事です」。

記者会見を終えると、レギュラーでパーソナリティーを務めるニッポン放送へ三木谷オーナーと一緒に直行。番組の中で「背番号は何番にするのですか?」という聴取者からの質問があったが「家族はパパ頑張ってという意味で“88”がいいと言っています」というエピソードも明かして、サービスした。家族思いで知られる人だけに、「背番号88」が有力になったといえそうだ。

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田尾監督、背番号「88」

晴れて新規参入を認められた楽天には、幾多の難関が待ち受けている。

球場
本拠地となる県営宮城球場の改修には約30億円を計上。今季で廃部となる社会人チームの施設などを使用する雨天練習場や2軍施設の確保など、ハード面でのめどは一応ついているが、実際の改修工事はこれから。
選手
現状で核になるのは分配ドラフトで獲得できる選手。分配ドラフトの獲得手順は、
(1)まずオリックスと近鉄の合併球団が25人をプロテクトする
(2)漏れた20選手を楽天が獲得
(3)統合球団が20選手を獲得
(4)楽天20選手獲得
で進める。楽天は2、4番手グループの40選手が主体となる。即戦力のFA選手を獲得できるが、人数制限が伴う。新人ドラフトや外国人選手による補強などの手段もあるが、未知数で戦力的に厳しい陣容が予想される。
チーム名等
「ゴールデンイーグルス(イヌワシ)」がJ2のベガルタ仙台のペットマークと重複する点は今後調整。背番号は田尾監督の「パパ頑張って」の意味から「88」が内定も、球団カラー、ユニホームデザインなどは今後。
秋季練習
球団は既に始動も。新球団は時間的にも後れを取っている。フロント、首脳陣とも実力は未知数。
地域密着
仙台での人気度では落選したライブドアが圧倒的。魅力ある選手が揃わないことには地元密着への道は厳しい。

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楽天決定!一場に即アクセス…広野編成部長、明大を訪問[サンスポ]

プロ野球オーナー会議が2日、都内で開かれ、来季パ・リーグに新規参入する球団として楽天(球団名・東北楽天ゴールデンイーグルス、本拠地・仙台市)を承認した。プロ野球への新規参入は昭和29年の高橋ユニオンズ以来50年ぶり。この正式承認を受けて楽天の広野功編成部長は同日午後5時過ぎ、明大野球部を電撃訪問。早くも一場靖弘投手獲得の意向を表明した。また、三木谷浩史社長は、オリックスと近鉄との合併球団を牽制し「選手の意思を尊重すべき」と岩隈久志投手、礒部公一外野手獲得を示唆。急ピッチでチーム強化策に乗り出した。

まさに電光石火の早業だ。新規参入の正式承認を受けて、楽天の広野編成部長が向かった先は東京・調布の明大野球部合宿所。もちろん、目的は1つだった。「一場投手にぜひ楽天に来ていただきたい。高い評価をしています」 。

楽天・来季陣容
1軍氏名前所属
監督田尾安志50阪神
ヘッド山下大輔52横浜監督
投手小野和義38近鉄コーチ
打撃駒田徳広42横浜
バッテリー山下和彦41近鉄コーチ
守備・走塁高橋雅裕40ロッテコーチ
守備・走塁広橋公寿47西武コーチ
2軍氏名前所属
監督松井優典54阪神コーチ
投手鹿島忠43中日コーチ
打撃上川誠二44中日コーチ
バッテリー芹澤祐二36中日コーチ
守備・走塁清家政和45韓国・LGコーチ
守備・走塁橋上秀樹38阪神

大学球界No.1右腕、一場をドラフト自由枠で獲得したいという意思表示は別府隆彦元総監督、川口啓太監督に伝えられた。「一場が野球をできる環境を模索している中で(楽天のオファーは)ありがたい」と川口監督。話し合いは終始和やかに続いたという。

巨人・渡辺オーナーの引責辞任まで引き起こした裏金問題。横浜、さらに阪神からの金銭授受も発覚したことで、一場の進路は完全に宙に浮いた状態となっていた。米大リーグも選択肢の1つにあげられたが、本人はあくまで日本のプロでのプレーを希望。それだけに「本人の気持ちを聞いてから考えたい」(川口監督)とはいえ、入団実現の可能性は高い。

しかも、裏金で一場と結びついていた他球団とは対照的に、楽天は堂々と獲得の挨拶に出向いた最初の球団。透明性の高さでも、新球団らしい行動となった。

楽天の強化策は一場獲得にとどまらない。この日、新規参入の正式承認を受けて記者会見した球団オーナーの三木谷社長は「(近鉄と合併するオリックスの)プロテクトはセ6・パ5を前提に適用されたもの。12球団に戻ったのだから、選手の意思を尊重するのが筋」と合併球団を牽制した。

楽天が狙いそうな有力選手
球団位置選手
西武三井浩二31
高木大成30
大友進30
日本ハム岩本勉33
ロッテ黒木知宏30
清水将海29
中日野口茂樹30
平松一宏30
ヤクルト鈴木健34
飯田哲也36
真中満33
稲葉篤紀32
巨人河原純一31
江藤智34
横浜斉藤隆34
石井琢朗34

8日に予定されている分配ドラフトでは合併球団がまず25選手をプロテクトし、これに漏れた選手の中から楽天が20人獲得。さらに合併球団が20人を獲得、この後再び楽天が20人を獲得する。楽天は計40選手を確保できるが、実質的に合併球団の“おこぼれ”的な陣容になるのは必至だ。

これにFA補強組、外国人、新人らが加わるものの「1年目から戦えるチームを」(三木谷社長)作るためには主力級の獲得は不可欠。そこで、既に合併球団入りに難色を示している近鉄の礒部、就任が決まっている広橋守備走塁コーチの娘婿でもある岩隈らを"本人の意思を尊重する"格好でそのまま獲得しようという狙いがある。

これまで楽天は『補強費』として5億円を見込んでいるが「それ以上覚悟しているとも聞いている。初年度から優勝を目指すと話していた」とロッテ・瀬戸山代表。ライブドアとの決定的な差となった資金力を武器にチーム強化を進める方針だ。

「喜びというより責任を感じる。東北の方々に喜んでもらい球界を改革するのが(楽天の)ミッション(=使命)」。施設面など課題は山積しているが、三木谷社長はあくまで前向き。39歳の若きオーナーが、いよいよ本格的にプロ野球界に殴り込みをかける。

一場靖弘(いちば・やすひろ)
昭和57年7月5日、群馬県生まれ、22歳。桐生一高−明大。高2の夏の甲子園で正田樹(現日本ハム)の控え投手ながら全国制覇を経験。エースとなった3年時も夏の甲子園出場(初戦敗退)。大学では東京六大学春季リーグ戦で初先発初勝利を挙げるなど1年から活躍。今年の全日本大学野球選手権では完全試合を達成した。六大学通算成績は52試合で26勝15敗、防御率2.02。1メートル83、82キロ。右投げ右打ち。
明大野球部・別府隆彦元総監督
「新しいチームは魅力がある。楽天には、10日までに返事を下さいと言われました。声をかけてくれたのはありがたいが、親心としては本人に色々あったので、OBがいるチームがいいのではないかと思う。まだ時間もあるので色々な可能性を模索しながら、これから本人とも話をして熟考します。」
分配ドラフトの方法
オリックスと近鉄の球団合併で誕生するオリックス・バファローズが、4日に25人のプロテクト(優先保有)選手を決定。楽天は、プロテクト選手を除き20人を選び、その後にオリックス・バファローズが20人を選択する。再び、楽天が20選手を獲得し、残った選手はオリックス・バファローズが引き受ける。

◇田尾新監督、機動力野球目指す

楽天の田尾新監督はフジテレビ『すぽると!』に出演。「ローテ投手を5人揃えるのが1番大事。外国人投手1人、新人投手1人、分配ドラフトで2人をそれぞれ補強するつもり」と戦力構想を明かした。また目指す野球について「本塁打で勝つ野球は難しいので機動力野球でいきたい」と明かした。

統合球団のプロテクト予定選手(オリックス)
位置選手今季成績
投手山口和男3040試、3勝3敗17S、防3.80
川越英隆3122試、7勝9敗0S、防4.17
本柳和也2729試、6勝11敗0S、防5.61
大久保勝信281試、0勝0敗0S、防0.00
相木崇2637試、3勝5敗1S、防5.36
捕手日高剛27114試、5本、38点、率.275
内野手後藤光尊2653試、1本、18点、率.259
平野恵一25124試、6本、39点、率.279
塩崎真3182試、8本、39点、率.341
大島公一3767試、0本、10点、率.263
外野手村松有人31108試、6本、51点、率.320
谷佳知3196試、15本、63点、率.317
相川良太2749試、3本、15点、率.273
迎祐一郎2244試、5本、14点、率.267
統合球団のプロテクト予定選手(近鉄)
位置選手今季成績
投手岩隈久志2321試、15勝2敗0S、防3.01
福盛和男2843試、2勝5敗10S、防5.18
高木康成2219試、2勝7敗0S、防4.87
吉田豊彦3856試、3勝6敗4S、防4.15
吉川勝成2750試、4勝4敗0S、防2.82
捕手藤井彰人2886試、1本、20点、率.241
内野手中村紀洋31105試、19本、66点、率.274
水口栄二35118試、6本、40点、率.293
阿部真宏26123試、7本、50点、率.247
北川博敏32133試、20本、88点、率.303
外野手礒部公一30120試、26本、75点、率.309
岩隈久志(いわくま・ひさし)
昭和56年4月12日、東京都生まれ、23歳。堀越高から平成12年ドラフト5位で近鉄入団。今季は21試合で15勝2敗0S、防御率3.01。パ・リーグ勝率1位(.882)で最優秀投手、最多勝を獲得、ベストナインにも選ばれた。8月には日本代表でアテネ五輪に出場し、銅メダルを獲得。通算成績は80試合で42勝21敗0S、防御率3.47。家族は夫人のまどかさんと1女。1メートル89、74キロ。右投げ右打ち。背番号21。年俸6500万円。
礒部公一(いそべ・こういち)
昭和49年3月12日、広島県生まれ、30歳。西条農高から三菱重工広島を経て、平成9年ドラフト3位で近鉄入団。近鉄の選手会長を務めた今季は120試合に出場、打率.309、26本塁打、75打点。通算成績は916試合に出場、打率.289、72本塁打、369打点。ベストナイン1度(同13年)。家族は夫人の三枝さんと3女。1メートル74、76キロ。右投げ左打ち。背番号8。年俸8000万円。
近鉄・岩隈
「(楽天移籍について)興味はもちろん、あります。これまでと違う野球ができる。」
近鉄・礒部
「(プロテクト拒否の)気持ちは変わらない。あとはオリックス次第です。(楽天は)僕の中で選択肢の1つ。」

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楽天が一場獲りへ電撃訪問[報知]

◇参入発表10分後

ゴールデンイーグルスがいきなり動いた。楽天・広野功編成部長が新規参入決定を発表するオーナー会議の会見からわずか10分後の2日午後5時7分、東京・調布市の明大野球部合宿所を電撃訪問した。別府隆彦前総監督、川口啓太監督と会談し、自由獲得枠で一場靖弘投手の獲得を目指すことを正式に伝えた。

午後4時57分に楽天の新規参入が発表されてから、わずか10分後の午後5時7分。広野部長が明大野球部の合宿所に姿を見せた。最寄りの京王線つつじケ丘駅付近に待機し、連絡を受けて駆けつける速攻だった。

目的は一場獲得への関係者への挨拶だ。約30分の会談で広野部長は「スケールが大きく堂々としたマウンドさばき。(実力が)伸びる可能性も計り知れない」と賛辞を送った。自由獲得枠行使の可能性についても「もちろんあります」と答え、熱意を猛アピールした。

巨人だけでなく阪神、横浜との金銭授受も発覚し、10月28日に謝罪会見を開いた一場。3球団のオーナーが辞任する異常事態に発展したが広野部長は「謝罪会見でケジメをつけたと理解している。汚名返上は、ゼロから始まる楽天でこそできるのでは」と強調。ドラフトの完全ウエーバー制導入を要求している田尾監督も「他の球団の方から『1番は、楽天が手を挙げることだね』と言ってくれている」と、一場を“現ドラフト制”の犠牲者ととらえ、獲得に前向きだ。

広野部長は会談で、明大主将としてチームを引っ張る西谷尚徳内野手の獲得も表明。また別の楽天関係者によると、一場の桐生一高時代の同僚で東洋大の主砲兼主将、大広翔治内野手もリストアップしていることが分かった。一場と、その同僚の「W獲り」が今ドラフト戦略の軸だ。

この日の一場は合宿所におらず広野部長との直接会談は実現しなかったが、明大・川口監督は3日にも一場と連絡を取り、自由獲得枠の締め切りとなる10日までに結論を出す方針。西武、日本ハムなども関心を示す“争奪戦”で、新球団が早くもリードした。

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楽天一場獲り、参入直後に電撃訪問[スポニチ]

プロ野球のオーナー会議が2日、東京・港区の新高輪プリンスホテルで開かれ、来季から仙台を本拠地とするパ・リーグ新球団として楽天を全会一致で承認した。50年ぶりに新規参入が決まった楽天は、オーナー会議直後に広野功編成部長が東京・調布市の明大野球部合宿所を電撃的に訪問。別府隆彦元総監督らに、巨人などからの金銭授受問題で野球部を退部した一場靖弘投手を自由獲得枠で獲得したい意向を伝えた。

オーナー会議後、三木谷社長が新規参入決定の一報を受けてからわずか12分後。最寄り駅である京王線つつじが丘駅で待機していた広野編成部長が、明大野球部合宿所を訪れた。異例の速攻。これが「楽天イーグルス」として、最初のスカウト活動でもあった。

別府元総監督と川口監督と約30分の会談。広野編成部長は「我々の方針としては即戦力の投手が欲しい。楽天が1番高い評価をしているのが一場選手です。その姿勢を真っ先に伝えたかった」と伝えた。ドラフト指名ではなく自由獲得枠。大学球界No.1右腕を確実に獲りにきたのだ。

一場は巨人に続いて横浜、阪神との金銭授受が発覚。自由獲得枠で獲得に乗り出していた両球団は獲得を断念した。10月28日の謝罪会見で涙ながらに「できるものならば日本のプロ野球でプレーしたい」と訴えたが、国内の進路は宙に浮いたままの状態で、米大リーグの数球団も興味を示していた。その中で広野編成部長は「彼は日本でやるべき男。やり直す場所とチャンスを我々が与えてあげなければいけない。楽天なら新規球団でまだ色も付いていないし、やり直すには1番いいと思う」と力説した。

楽天は当初、本拠地となる地元・仙台の顔として東北のダルビッシュのドラフト1巡目指名を内定。ただ、日本ハムとの競合が避けられない状況から、外れ1巡目として一場の指名を予定していた。しかし前日までに新人ドラフトの戦略を再考。最終的に「ダルビッシュと一場を両天秤にかけることはしたくない」(広野編成部長)と、即戦力の一場を楽天のエースとして迎え入れることを確認した。そして誠意を示す意味で一場には自由獲得枠での獲得を提示し、ダルビッシュの獲得は事実上、断念した。

楽天の電撃訪問に、川口監督も「一場が野球をできる環境を模索している中で大変ありがたい話」。横浜、阪神との金銭授受が発覚してからも中日、西武などが獲得に前向きな姿勢を示したが、正式に挨拶に訪れたのは楽天が初めてとあって、明大側も好印象を抱いた様子だ。自由獲得枠の締め切りが10日に迫っていることもあり、3日にも一場本人と進路について相談する。

一場は「1からやり直すという意味では楽天はいいと思う」と語っており、楽天への入団に支障はない。8日の分配ドラフトを前に、一場が“楽天第1号選手”となる可能性も出てきた。

◇TVで高く評価

三木谷社長は新規参入の記者会見後、テレビ朝日「報道ステーション」に生出演。一場の獲得に関して「最終的には監督、GMが決めることだが、魅力ある選手であることは確か。“楽天一場(市場)”ということで」とあらためて高く評価した。また、ダルビッシュについては「これから何回か会議もやるだろうし、どうなるか分からない」と明言を避けた。

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ゴールデンイーグルス産声10分後…一場獲り[ニッカン]

◇明大関係者に「自由枠指名」伝える

新規参入が決まった楽天の広野功編成部長が黄金ルーキー獲得へ早くも動いた。2日、参入決定からわずか10分後の午後5時7分に東京・調布市内の明大グラウンドを訪れ、一場靖弘投手(4年=桐生一)を自由獲得枠で指名する意向を大学関係者に伝えた。「一場君に対する誠意を伝えたかった。楽天として非常に高い評価をしております」と話した。

合宿所の最寄り駅である京王線つつじケ丘駅周辺に待機し、テレビの速報で参入決定を見届けると、すぐさまタクシーで駆けつけた。明大の別府隆彦元総監督と川口啓太監督に対して約30分間、獲得への意欲や経緯を説明した。「田尾監督、山下ヘッド、キーナートGMみんなが一場君しかいないという意見で一致した。色々な問題を起こしたことは重々承知している。だが、28日の涙の謝罪会見でケジメをつけたと判断した。ゼロからスタートできるという意味でも、彼がやり直すだけの場所とチャンスを与えられるのは楽天しかないと思う」と熱っぽく語った。

熱烈ラブコールを受け、川口監督は「明日、本人に連絡を取り意思を確認します。非常にありがたい話だと思う」と前向きに受け止めた。一場本人は、28日の記者会見後に楽天について聞かれると「1からやれるという意味では面白そうです」と好感触を口にしていた。現時点で一場を自由獲得枠で指名予定の球団は楽天だけ。自由獲得枠の締め切り日の10日までに、条件面などの交渉などを行い、「楽天一場」が誕生する可能性が高くなった。

◇移籍1号に横浜・中村捕手

新規参入が認められた楽天へ横浜中村武志捕手が移籍する可能性が2日、明らかになった。楽天首脳陣は参入決定に先駆けて戦力補強のリストアップも進めており、中日、横浜で正捕手を務めた中村の経験と実績を高く評価している。中村は横浜との3年契約が切れるため、移籍に支障はないとみられる。中村は85年に京都・花園高からドラフト1位で中日に入団。リーグを代表する捕手として活躍し、02年から横浜でプレー。20年目の今季は相川の成長で44試合の出場にとどまった。

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堀江社長ゲームセット[ニッカン]

ライブドアの堀江貴文社長は2日、本拠地を目指した仙台市内のホテルで「落選」会見を行い、悔しさを滲ませながらも仙台に新球団が誕生したことを祝福した。企業体力など楽天との比較で涙をのんだが「球界の未来のドアを開けたのはライブドア」と、球団削減の1リーグ制への動きから、12球団で2リーグ制維持への転換に貢献したことを強調した。今後については白紙の状況だが、何らかの形でスポーツ界に貢献する意向を示した。

堀江社長の第1声は、ライバル楽天への祝福の言葉だった。「新球団誕生、おめでとうございます」。皮肉ではなく、悔しさの裏返しだった。仙台市内のホテルで、審査内容を説明する巨人滝鼻オーナーのテレビ中継を見ていたが、途中でスイッチを切った。そして唇を噛んだ。「やろうと思っていたことが、できなかった。球界が発展するよう草葉の陰から祈ってる。応援して頂いた方には申し訳ない」と深々と頭を下げた。

財務力など、企業体の比較になれば勝ち目はなかった。だが球界を改革する意欲は負けていなかった。ビジョンもあった。堀江社長は「12球団を維持し、仙台に新球団ができた。ファンが思っているような流れになったのは良かった」と言った。

球界は今年、近鉄、オリックスの合併問題から球団数を削減しての「1リーグ制」へ動いた。だがライブドアの近鉄買収、新規参入表明で、流れは変わった。世論を動かすきっかけとなったのは、その行動力だった。「売名ではないか」と中傷する声も出たが、堀江社長は「プロ野球を1企業体として見れば、リーグで何十億も赤字を出して何年も放置するダメ企業。改革には外部の力が必要です」と持論を展開し続けた。

◇仙台では人気

熱意、行動力が、地元では楽天より上の支持率につながっていた。小島暫定GMがファンの声を代弁するかのような、監督に内定していたオマリー氏のコメントを紹介した。「若いつもりだったが、もっと若いスタッフと共有した時間は有意義だった。結果は残念だったが、球界の未来のドアを開けたのは、ライブドアである」。

審査では新規参入の明確な基準がなく、企業体力の面についてもライブドアサイドからすれば既存球団との比較の問題。また企業の健全性についても、不祥事が発覚した球団から審査される道義的な問題など、言いたいことは山ほどある。だが堀江社長は「我々がしっくりこないと言っても、球界のルールに従ってもらうと思われている。1ヶ月の間で利益100億くらいつくれば良かったのかな。ある程度は仕方ないです」と振り返り、「明確な基準がある訳でもなく、二者択一でやられると、仕方ない」と言葉少なだった。

今後の球界とのかかわりについては「サッカーや他のスポーツについても、これから検討する」と堀江社長は白紙を強調したが、同社関係者は「何らかの形で球界に貢献したい。このままでは終わらない」と話した。独立リーグへの支援など水面下での構想はいくつかある。一区切りはついたが、動向が注目される。

ライブドア
堀江社長が東大在学中につくった会社を前身とし、97年設立。インターネット関連サービスを手掛け、00年4月に東京証券取引所マザーズに上場した。資本金は239億円。昨年9月期の連結ベースの売上高は108億円、経常利益は13億円。今年3月には株式公開買い付け(TOB)で、日興コーディアルグループ傘下の「日本グローバル証券」を買収するなど、M&A(企業の合併・買収)を進めている。従業員は1288人、平均年齢29歳。

◇次のチャンス…ない

オリックス宮内義彦オーナーが新規参入決定に複雑な表情を見せた。オーナー会議後、楽天の参入に「反対意見はなかった」と話しながらも「1つ減って、1つ増えた。これで球界の健全性、経営問題が前進したのかどうか。私はあまり前進していないように思う。批判を受けても休会を動かしていきたいが今年1年、非常に疲れた」と、縮小を狙った再編問題が現状維持で決着したことに未練をのぞかせた。ライブドアの次のチャンスには「12球団でヘトヘトの状態。これ以上(の球団数増加)はどなたも賛成されないと思う。売却の話が出るか、全く新しい機構をつくるかでしょう」と現時点での可能性を否定した。

◇今後の新規参入は

ライブドアがあらためて新規参入を希望したケースに関して、会見の席で小委員会メンバーを代表したロッテ瀬戸山球団代表は「ひとまず区切りをつける」と、今回の参入審査で決着したことを強調した。 ストライキ回避が決まった9月23日、労使間で来年(06年シーズン)以降の審査について、第3者を委員とする新規加入球団審査委員会の設置が謳われた。

今後も新規参入を目指す企業が現れることが予想されるが「当分の間というのがどういう期間かは分からないが(実行委員会で)当分はセ6、パ6での運営が好ましいという認識で一致している」(瀬戸山代表)と、受け付ける状況でないことを示唆。同審査委員会が機能しないのではという問いに、巨人清武球団代表も「そんなことはない」と正当性を訴えた。

ライブドア小島暫定GM
「この経験を次に生かしていきたい。審査のポイントが企業の経営だったが、その企業に依存しないで、球団の母体をつくるのが、これからのスポーツ産業のキーになると思う。」

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堀江社長無念、それでも再度の加盟申請も[スポニチ]

ホリエモン、無念−。新規参入の審査で落選したライブドアの堀江貴文社長は2日、宮城・仙台市内のホテルで会見を行った。悔しさを押し隠しながらも目は充血して真っ赤。6月30日に近鉄買収に名乗りを上げてから125日、球界に波紋を投げ掛けながらの戦いは「落選」という形でピリオドを打った。それでも悔しさから会見を自ら延長した堀江社長は、06年以降の再度の加盟申請の可能性も示唆した。

心にポッカリと穴があいた。無念の落選。IT業界の風雲児の目は虚ろだった。これまでどんな時も自信満々だった堀江社長の口調には、寂しさが滲み出ていた。「今後は草葉の陰から見守っていきます」。いつもと同じジャケットとノーネクタイ姿。努めて笑顔を見せたが、悔しさは隠し切れなかった。「新球団おめでとうございます。長い間、球界再編問題をやりましたけど12球団の維持、仙台に球団ができたことは良かったと思っています」。

“悲報”が届いたのは午後4時18分。ホテルの部屋で待機していた熊谷副社長のもとに、審査小委員会の豊蔵委員長から電話が入った。すぐさま堀江社長ら関係者はテレビをつけた。都内の本社には選考過程を網羅したファクス2枚が届いたが、会見の模様を見て生の声で落選理由が知りたかった。納得できない。その思いだけだった。

「我々には十分できる体力がある。オーナーには認めてもらえなかった。1ヶ月の利益が100億ぐらいあれば良かったんですかね」。皮肉な口調にも悔しさが滲む。広報担当が質疑応答の途中で会見を打ち切ろうとすると「いいよ。もうちょっとやる」と自ら“延長”を申し出た。近鉄買収に名乗りを上げ、硬直した球界に一石を投じた。参入申請も楽天より先だった。諦め切れない思いは、最初は「白紙」と語っていた06年以降の参入について「野球みたいにデカいのには仕掛けが必要。入れるなら考えます。未来のことは誰も予測できない」との発言にもつながった。

「応援してもらったのにすいません。落ちちゃいました…」。圧倒的な支持を得ていた地元・仙台。ドラフト1巡目指名が濃厚だった東北・ダルビッシュには「見に行きたい。凄いらしい」と惚れ込み、その一方で審査基準について「はっきりなるんですかねえ」と不安も口にしていた。球団名はフェニックス。不死鳥のように、堀江社長が再び球界に殴り込みをかける日が来るだろうか。

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堀江社長「プロ野球の発展…草葉の陰から祈っています」[サンスポ]

奮闘も実らなかった。新規参入を目指していたライブドアの堀江貴文社長が2日、落選の報を受け仙台市内のホテルで会見を行った。悔しさから時折激しい口調もみられたが、心強い支持を与えてくれた地元市民に感謝。約4ヶ月に渡った闘いに幕を降ろした。

近鉄買収に名乗りを上げてから125日。堀江社長の長い闘いが幕を降ろした。午後4時46分。熊谷副社長の元に、豊蔵審査小委員長から落選を伝える電話が入った。「やろうとしたことはいっぱいあったし、やっていける自信もある。ただ、それを委員会やオーナー会議の方々に認めていただけなかった」。会見で壇上にあがり、無数のフラッシュを浴びる堀江社長の顔には悔しさが滲んでいた。

2度行われた公開ヒアリングでアダルトサイトを指摘されるなど、当初から劣勢を強いられていた。「明確な基準がある訳でもないし、落とし所があったんじゃないですか」。不明瞭な審査基準に会見では不満を口にする場面もあり、「リーグ全体で何十億の赤字なんて、会社で考えたらダメ企業。楽天さんが入って交流戦をやって、それで変わるんならいいんですけどね」と捨て台詞とも取れる発言もあった。それだけ悔しさでいっぱいだった。

地元仙台では、楽天に先駆け、参入を打ち出したライブドア人気が圧倒的。この日、駅前で行われた新球団歓迎イベントでも、楽天決定と同時に人が減るという現象が起こったほどだった。

「期待に沿えなくて申し訳ない。でも仙台に球団ができたのは嬉しいこと。プロ野球の発展を草葉の陰から祈っています」。最後には深々と頭を下げた堀江社長。1リーグ制移行に待ったをかけ、閉鎖的な球界に風穴を開けた4ヶ月。70年のプロ野球史の中で、ライブドアが残した功績は決して小さくはない。

◇滝鼻オーナー、再度申請あれば柔軟に対応示唆

オーナー会議の議長を務める巨人の滝鼻卓雄オーナーは2日、都内で「1回駄目だからといって永久に扉を閉めた訳ではない」と話し、ライブドアから再度参入の申請があれば柔軟に対応する姿勢を示した。また、巨人が金銭授与の不正で獲得を断念した明大の一場投手に、楽天が獲得の意思を表明したことについては「言える立場にないが、(プロ野球志望の)道は閉ざしたくない」と話した。

◇オマリー氏、現職に復帰−阪神駐米スカウト

ライブドアの監督に内定していたオマリー氏は、これまでの方針通り、現職の阪神駐米スカウトにとどまることになった。阪神の野崎球団社長は「チャンスがあれば、いいキャリアアップになるということだったので。駄目だったら(現職を)頼むということになっていた」と説明した。

◇AP、ロイターも東京発で速報配信

楽天のプロ野球新規参入のニュースは外国メディアの関心も高く、AP、ロイター両通信社も東京発で報じた。AP通信は「日本のプロ野球新規参入でインターネット・モールの楽天に軍配」の見出しで、午後5時前に至急電を配信。楽天が同じ情報技術(IT)関連企業のライブドアと争ったことや、サッカーJリーグのヴィッセル神戸の経営に参画していることを紹介した。

◇サッカー界からの声

日本サッカー協会・川淵三郎キャプテン
「三木谷くんは1年間、(J1)神戸を経営して、観客動員やマーチャンダイジングなど、今までにないトライが全て成功してきた。プロ野球に新風を起こすことは間違いない。1番望むのは経営の透明性を高めること。プロ野球全体としての黒字化など、彼なら問題点を改善するよう努力してくれるだろう。」
楽天・三木谷社長が持ち株会社クリムゾングループで経営するサッカーJ1の神戸FW三浦知良
「三木谷さんみたいなパワーのある若い人、といっても僕より年上だけど、そういう人が(野球界に)入っていくのは、色んな部分でいいことだと思う。負けず嫌いで、やることに関しては高いレベルを目指す姿勢を感じる。サッカーでも野球でもやっていける。」

◇古田選手会長訴え、参入基準の明確化を

スト決行で新規参入の道を開いたプロ野球選手会長・古田敦也捕手は、参入基準の明確化を訴えた。楽天の参入決定について「新しい球団が東北にできて12球団でやれるのは、大変喜ばしいことで、ホッとしている」と歓迎した上で「2つとも合格基準を満たしていたのか、どうして今回は1つだけなのか。合格基準を、明らかにしないと落とされた方は納得しない」とライブドア落選の理由を求めた。ソフトバンクなど球団経営に興味を示す企業も現れており「柔軟に対応して欲しい」とも訴えた。

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堀江社長怨み節[報知]

◇落選ライブドア

「草葉の陰から見守っていきたい」−。仙台市のホテルで待機していたライブドアの堀江貴文社長は、午後4時50分、日本プロ野球組織(NPB)からの電話で「落選」の報を受けた。その後の会見で「仙台に新球団ができておめでとうと言いたい。12球団が維持されてよかった」と話した“敗軍の将”の口からは、球界への恨み節も飛び出した。

若手IT社長の思いは届かなかった。「参入ならなかったのは残念ですが、プロ野球が発展…するよう草葉の陰から見守っていきたい」。発展の後に言葉を詰まらせたり、「草葉の陰」という表現を使うなど、淡々と話しながらも、堀江社長の表情には悔しさが滲み出ていた。6月30日に近鉄買収を表明後、約4ヶ月間の“冒険”が終わった。

だが、堀江社長の口調が突然、変わった。「球界は救いようがない組織ですか」という質問が飛んだ時だ。「リーグ全体で何百億も赤字を出して、それを何年も放置している。ダメ企業の集まりですよ」と恨み節が口をつく。プロ野球界を自らの手で変えようと9月16日、NPBに加盟申請をした。「中に入らないと変えようと思ったって無理ですよ。外からワーワー言ったって」ICカードや常連客へのサービスといった斬新なアイデアも出した。だが全てが夢、幻に終わった。「楽天が入って、交流戦をしたくらいで、何か変わるんですかねえ。フタを開けてみないと分からないですけど…」。

審査基準にも納得がいかなかった。「明確な審査基準がある訳でもないし、二者択一だとどうしようもないでしょ」と批判。公開ヒヤリングで出たアダルトゲーム販売やインターネットでのアダルトサイトにつながりやすいことに関しても「(野球と)あんまり関係ないでしょ。彼らも(審査は)初めてのことだから、しようがないだろ」と半ばあきれ顔で話すと共に、「審査する側の不祥事が問題になってる?そういうことを言い出したらキリがないでしょ」と続けた。

「今後、野球については何も考えてません」と堀江社長は強調したが「他のスポーツなら真剣に検討したいです」とも話した。挫折を経験したフェニックス(不死鳥)は、今度はどこへ飛び立つのだろうか。

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仙台市民“堀江社長ありがとう”[報知]

◇「彼が手を挙げなければパは消滅していた」

杜の都が歓喜に酔いしれた。楽天のプロ野球新規参入が決定した2日夕、本拠地となる仙台市のJR仙台駅東口前広場に、市民約1000人が集結。新球団誕生を祝った。だが、現場アンケートの結果「新球団は嬉しいが、ライブドアの方がよかった」という意見が9割を占めた。仙台駅から県営宮城球場へ続く「宮城野通」に楽天にちなんで「イーグルストリート」などの愛称が付く可能性も出てきた。

この瞬間を待っていた。午後4時47分。「ただ今、東北楽天ゴールデンイーグルスに決定いたしました!」というアナウンスが響きわたると、太鼓の音と共に「ウオー!」と約1000人の大歓声が沸き上がった。74年から4年間、ロッテが暫定的に本拠地として以来、27年ぶりに仙台にプロ野球が帰ってきた。

待たされた分だけ、嬉しかった。「東北のプロ野球を応援する市民の会・宮城」などによる新球団歓迎イベントは、午後4時にスタート。だが、肝心の新球団がどちらなのか、発表されず、鏡開きはお預け。

東北福祉大チアリーダーによる演技や、仙台名物「すずめ踊り」も披露されたが、盛り上がりは今1つ。駅前広場の使用時間が限られており、午後4時半に「とにかく新球団誕生おめでとう」という苦しい音頭で鏡開き。宮城県副知事や仙台市副市長らの会見まで行われた。

その直後に舞い込んだ吉報だけに、市民の喜びもひとしお。無料で振る舞われたビール1000人分や酒、ソフトドリンクを飲みながら「よかった」「やっと決まった」と喜びを分かち合った。午後6時からは場所を駅前のイベントホールに移し、“歓迎の宴”は夜まで続いた。

だが、ひとしきり喜んだ後、表情がこの日の仙台の空のように曇る人が目立った。「市民の会」の竹内健二代表は、それを代弁するように「新球団の誕生は、とても嬉しい。だが、ライブドアの堀江氏への感謝を忘れてはいけない。彼が手を挙げなければ、パ・リーグは消滅していた」と話した。

仙台では、新規参入に一早く手を挙げ、さらに仙台を指名した堀江氏を支持する声が当初から根強かった。現場で50人にアンケートを実施したところ、全員が「新球団が来て嬉しい」と答える一方、48人が「楽天よりもライブドアがよかった」と回答。理由は約8割が「最初に手を挙げてくれたから」「堀江社長の人柄」と「会社に勢いがある」が約1割ずつだった。

ただ、ほぼ全員が「宮城球場に楽天の試合を見に行きたい」ときっぱり。楽天は今後、ライブドアの分まで、市民の期待に応えるプレーを見せる必要がある。

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仙台市民大歓声、27年ぶり地元球団誕生[スポニチ]

杜の都が沸いた。午後5時すぎに新球団誕生の一報が届くと、その瞬間を待ち侘びていた仙台市民から大歓声が上がる。仙台駅前のイベントでは詰めかけた市民へ祝い酒が振る舞われ、ロッテ以来27年ぶりの地元球団誕生に酔った。

市内に住む17歳の学生が「ライブドアを応援していたから残念」と振り返ったように楽天の参入決定に地元では複雑な声もある。それでも仙台市の小学生、斉藤夏貴君は「今までプロの試合を見る機会がなかったから嬉しい」と笑った。浅野史郎県知事に届いた計1500通のメールの中でも楽天支持はわずか2%だったが、歓迎ムードに染まった地元では早速支援を約束する声が上がった。

県庁舎前で記念広告塔除幕式に参加した浅野知事は「東北に根付くチームに育てるよう最大限の努力をしたい」と力説。本拠・宮城球場周辺の改修で「街路灯、駐車場の整備を開幕までに整えるつもり」と約2億円の補正予算を組む構えだ。北海道へ移転した日本ハムが地元商店街や商工会議所と取り組んだ集客作戦を見習う姿勢を示し「お客さんを呼ぶことで永続的に運営できるし、放映権料も上がっていく。成績は低迷しても愛し抜くべき」と続けた。

「最初にドアを開けてくれた」とライブドアへの心遣いは忘れなかった浅野知事。仙台市民の声を代表するように「新球団が光り輝くチームとなるよう努力していきたい」と力強く話していた。

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意味深のオーナー

今夏、ダイエーとの合併を「西武から背中を押される形」で進めた、ロッテの重光オーナー代行はこの日も「球界のためになるなら合併なども考えるかもしれないと」と従来の姿勢を崩さなかった。産業再生機構入りで球団の売却が取り沙汰されるダイエーについては「最悪、コミッショナー預かりのルールもあるし、あと1年は『ダイエー』でやるでしょう」と見通しを語り「とりあえず(来年)1年は(セ6、パ6で)落ち着いた」とも語ったが、それ以降については「根本的な動きは出ざるを得ない」。また巨人滝鼻オーナーも「一段落ついたか」という問いに「新規参入についてはね」と意味深に語った。

◇渡辺氏不敵な笑み

巨人滝鼻オーナーはオーナー会議後、都内のホテルで渡辺前オーナーに議決内容を報告した。ライブドアが再び新規参入に名乗りを上げた場合について「1回ダメだったから、永久にダメということはないんじゃないの」と、柔軟に対応する姿勢をみせた。一方、渡辺前オーナーは「今月発売の文芸春秋に四十数枚の原稿を書いておいたから読んでくれ」と、不敵な笑みを浮かべて車に乗り込んだ。

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「ダイエー問題」も議題に[ニッカン]

オーナー会議では、ダイエーが福岡ドームを運営する(株)ホークスタウンと結んだ事実上の「興行権」譲渡ともとれる契約問題についても議題に挙がった。事情説明を行った中内オーナーは「(契約は)野球協約には反していないが、野球精神に反している部分があるんじゃないかと。そういう部分があるので、継続審議になった」と話した。数人のオーナーからも、契約については疑問視する声があがったことも明かした。根来コミッショナーは「今後、検討していくことになった」とした。

また、経営再建を目指すダイエー本社が産業再生機構の活用に踏み切ったことで、今後の球団保有についても不透明な状況は拭い去れない。既に大手ブロードバンド企業のソフトバンクと、有線ブロードバンドの2社が買収の意思を表明している。オーナー会議では本社の問題については「野球以外の話なので、その話は一切なかった」と中内オーナーは話したが「(その問題については)当該球団なので控えさせて頂きます」と言葉を濁していた。楽天の新規参入が決定したものの、ダイエーの今後の動向についてはまだまだ流動的な状況だ。

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球界再編一件落着とはいかず…ダイエーに“灰色判決”[サンスポ]

楽天のプロ野球新規参入が決まった2日、球界再編の新たな目となりそうな2球団にも動きがあった。オーナー会議では、ダイエーと福岡ドームの契約問題について、根来コミッショナーから調査結果が報告され、興行権を外資系企業に委託していることに“灰色判決”が下り、野球協約を見直す方向で継続協議されることになった。また、日本一に輝いた西武は、堤義明前オーナーが辞任した余波で、恒例のオーナー報告を行わないことが明らかになった。

ダイエーが福岡ドームと結ぶ契約内容に、根来コミッショナーは「見方によってはグレーで、白にもみえる」と“灰色”ジャッジ。野球協約を改定する考えを明かした。

今春、ダイエーが米投資会社コロニー・キャピタルにドームなどを売却した際に結んだ契約で、球団はドーム側にチケット販売などの興行権をほぼ全権委託していることが先に明らかになった。9月7日の臨時オーナー会議では、実質的な経営権はドーム側にあり、外資企業が保有できないとする野球協約に抵触するとの指摘があり、根来コミッショナーが調査に当たっていた。

「野球協約に反してはいないが、興行権を100%渡しているのは野球精神に反する部分があるということだった。協約を改定する方向になると思う」。中内オーナーは協約改定の方向で継続協議していく方針を受け入れたが、個人的なコメントは避けた。

その一方で、ソフトバンクが買収に名乗りを上げるなど、球団売却問題については現状把握に時間が割かれることはなかった。「野球外のことなので見守っていくしかないとなった」と中内オーナー。7月のオーナー会議で西武の堤義明前オーナーが「もう1つの合併が進行中」と発言。その後は本社の再建問題に絡んで、“主役”扱いされてきたダイエー。球界再編問題はまだ一件落着した訳ではない。

◇ダイエーと福岡ドームの契約問題

経営再建中の大手スーパー、ダイエーは平成15年2月末で約1兆2000億円の有利子負債を抱えており、球団、球場、ホテルの「福岡3事業」の整理は債務削減の柱となっていた。昨年9月下旬、3事業のうち球場とホテルの売却先が米投資会社コロニー・キャピタルに内定すると、12月に基本契約を締結。両社は球団の本拠地を30年間福岡ドームに置くことで水面下で合意した。また、球団はチケットやグッズ販売などの興行権をコロニー・キャピタルに業務委託し、実質的に経営権を譲渡する形となった。

◇パの危機感は変わらず

パ・リーグは実行委前に緊急理事会を開き、「楽天」で意見をまとめる周到さ。ただ、明るい話題の一方で赤字体質への危機感は依然、消えない様子だった。交流試合は実施にこぎつけたが、ロッテの重光オーナー代行は「根本的な問題は改善されていない。来年も色々な動きが出ざるを得ない」と厳しい見通し。オリックスの宮内オーナーも「(業界の収支の)健全性という意味では(再編騒動は)何だったんだろうな、という思いはある。前進したのか、止まったのかというと、あまり前進していないな」と苦渋の表情を浮かべた。

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ダイエー経営権譲渡継続審議へ[報知]

◇プロ野球オーナー会議

ダイエー球団が実質的な経営権を米投資会社「コロニー・キャピタル」の子会社に譲渡した問題については継続審議となった。

ダイエーはドーム、ホテルの福岡2事業をコロニー社に売却した際、その100%子会社である「福岡ダイエー・リアル・エステート」(現ホークスタウン)と、チケット販売や放映権など球団に帰属する興行権放棄の不平等契約を締結。そのため、実質的な経営権が外国資本に移るという異常事態を招いていた。

根来コミッショナーはこの日、同球団の佐々木博茂会長らの事情聴取を踏まえた上で「見方によればグレーだし、白にも見える」と報告。野球協約では球団の実際上の保有者を変更する時には実行委員会、オーナー会議での承認が必要としているが、今回は同協約に抵触しているかどうかも含め判断を先送りした。

ダイエー・中内正オーナーは「野球協約には反していないが、野球精神に反しているのではないかと各オーナーから話が出た」と説明。オリックス・宮内オーナーは「そう遅くないうちに(この問題を)前面に出さざるを得ないのでは」と、重要な審議事項であるとの認識を示した。

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プロテクト25選手提示[報知]

オリックス・中村勝広GMは4日と8日に、楽天との間で行われるプロテクト25選手の提示と、分配ドラフト完了までの手続き方法を明らかにした。

まず統合球団(オリックス・バファローズ)の中村GMが4日、コミッショナー事務局にプロテクト25人を提出(未公表)。その後、楽天側がプロテクト選手と1、2年目の計28選手及びFA申請選手を除いたリスト(105人)から人選する。8日の分配ドラフト(東京都内)では、楽天がリストアップした20人を確保。その後、統合球団が1、2年目を優先した20人を決定する。同じ作業を楽天がもう1度行い、両球団の全メンバーが出揃う(ここまでで選ばれなかった選手は全てオリックスが引き取る)。

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