ロッテが異例の厳冬仕事納めを行った。29日、千葉市の事務所で瀬戸山隆三球団代表が職員を前に、来年、球団の赤字を削減できなければ「冬のボーナスゼロ」を宣言した。近鉄とオリックスの合併にみられるように、赤字にあえぐ球団経営が取りざたされた1年を象徴するロッテの締めくくりだった。
ロッテの球団事務所が静まり返った。外では雪が降り積もったこの日、瀬戸山代表の声が厳しく響き渡った。20数社のロッテグループで「赤字はマリーンズがダントツの最下位。それを減らさなくてはいけない。達成できなければ、冬の賞与がゼロになるつもりでやって欲しい」と職員に宣言した。
仕事納めの厳しい訓示内容に、報道陣も無言になった。昨年は球団と、関連会社のロッテリアの赤字額が同程度だった。だがロッテリアが冬の賞与をカットしたところ、業績が回復した。この「前例」に球団もならう。今年の球団の赤字額は、総収入20億7000万円に対し経費58億円で、約37億円とみられる。これを20億円台とすべく、およそ10億円の赤字削減が目標。達成できなければ賞与ゼロと共に職員カットの可能性もある。
赤字削減へ、既に動いている。千葉マリンの外野広告看板収入はこれまで選手強化費として3000万円だったが、所有する千葉市とかけ合い5000万円に増額した。フェンスにも広告を入れるなど規制緩和に努力。来年はシーズン席8億円、看板広告収入2億円を目指す。「思い切ってやるしかない。本社を見返してやりたい」と瀬戸山代表は赤字体質脱却を誓った。
メッツ松井稼頭央がメジャー2年目のスタートをロッテ西岡と共に切ることになった。年明け1月に行う自主トレのパートナーに、同じ遊撃手の西岡を指名した。西岡は高卒2年目ながら今季63試合に出場。チームトップの8盗塁で小坂を脅かす存在に成長した。この合同トレーニングは西岡の希望により実現。松井は「同じスイッチヒッターで大阪出身。メジャーで経験したことや練習方法などを日本で頑張っている若い人達に、機会があれば積極的に伝えていきたい」と新世代の台頭を期待した。
西武2軍の新名称が29日、埼玉・所沢市の球団事務所で「インボイス」と発表された。ネーミングライツ(命名権)として情報通信サービス業のインボイス社と3年間、6億円で合意し、年明けに契約する。球団運営は引き続き西武が行う。ユニホームの色は従来の白地に青のままで胸のロゴが「LIONS」から「INVOICE」に変更される。会見した同社の木村育生社長は「1軍の育成機関というイメージがあるが勝ちにもこだわっていきたい」。知人でもある元西武監督の東尾修氏から協力要請があり、実現したエピソードも披露した。
ソフトバンク孫正義オーナーが新たな球界改革プランとして「孫・新リーグ」構想を描いていることが29日、分かった。提唱している世界一決定戦に賛同する球団だけで新リーグをつくるプランだ。
孫オーナーが目指すのは縮小均衡型の1リーグ構想とは異なり、拡大均衡型だ。
経営努力をしないオーナー企業の球界からの撤退さえ求めた。
世界一決定戦の実現に向けて、来年3月までに渡米し、大リーグのコミッショナーへの直訴も明言。また28日には、巨人渡辺オーナーとも会談し、私案を披露した。現行の2リーグ制を維持する場合、「5年に1回はガラガラポンで入れ替える」とセ・パ両リーグ入れ替えの活性案も。坂本龍馬に憧れる孫オーナーがアイデア百出で「球界維新」を起こそうとしている。
球界改革のキーポイントの1つであるドラフト制度で「完全ウエーバー制」が光を浴び始めている。12球団アンケートでも、支持する声は多い。選手会も、同制度への移行を求めている。同制度は下位チームから順番に指名、獲得していくため、戦力均衡と獲得資金の削減につながると考えてのことだ。ただ「先進国」メジャーリーグでは、その理想が崩れかけている。球界にとってよりよい改革へ、奥深い議論が必要になりそうだ。
球界再編の流れが進む中、ドラフトにまつわる裏金問題が表面化したことで、完全ウエーバー制への移行がクローズアップされている。ウエーバー制への移行は公平感・清潔感からも、時代に即している面はあるに違いない。ただ、長くウエーバー制を採用している米国の実情からも、単純にウエーバー制に変えれば済む問題ではなくなってきている。
米国でも近年は、上位指名選手には多額の資金が必要不可欠なのが実情だ。有力アマ選手には、プロ入り前から代理人がサポートするのが通常で、必然的に入団条件が高額になる。そのため、上位指名が可能な球団でも、資金次第では指名を見送るケースも少なくない。
実際、各チームの50巡目までに計1498人が指名された今年6月のドラフトでは、球団側が指名を回避した例があった。現役メジャーリーガーの実弟で、実力的には全体5位までの指名が確実視されていたウィーバー、ドルー(共に兄はドジャース)が指名されたのは、それぞれ全体12位(エンゼルス)、全体15位(ダイヤモンドバックス)だった。共に代理人が敏腕スコット・ボラス氏で10億円近い契約が条件だったとされ、全体1位の権利を持っていたパドレスは、両選手の指名を直前で回避。高校生を指名した。ウエーバー制では「裏金」は不要でも「表金」は必要なのが現状である。
前年度最下位チームから順番に指名するウエーバー制で、忘れてはならないこともある。そもそも「戦力均衡」の概念から始まったものだけに、メジャーではFA制度と深くリンクさせている。FA取得年年数にとどまらず、FA選手獲得に伴うドラフト指名にもかかわっている。
もっとも、これらはあくまでMLBの場合で、日本には日本の歴史がある。ただ、米国のアマ選手に意中の球団があっても「メジャーリーガーになる」ことが最優先、希望球団にはFAで移籍すればいい−との考えが、まだまだ土壌にある。日本球界がそのような改革をするにしても、変える必要があるのは形だけではないことも確かだ。
ドラフト・FA制度に対する12球団の意見 | ||
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球団 | ドラフト理想 | FA改革案 |
中日 | 完全ウエーバー制 | 期間短縮、補償金減 |
ヤクルト | 完全ウエーバー制 | − |
巨人 | − | − |
阪神 | ウエーバー制 | 取得までの期間短縮 |
広島 | 1巡目のみ入札 | 現行通りでいい |
横浜 | − | − |
西武 | − | − |
ソフトバンク | − | − |
日本ハム | 完全ウエーバー制 | 補償金の撤廃 |
ロッテ | 完全ウエーバー制 | 取得までの期間短縮 |
オリックス | − | − |
楽天 | 完全ウエーバー制 | 期間短縮、補償金なし |
ソフトバンクの孫オーナーはドラフト制について「完全入札制」を提唱している。完全ウエーバー制について「なぜ最下位のチームが1番いい選手を獲得できるのか。4、5位になるくらいなら6位になった方がいいという考えが出てくるのは危険」と指摘した。「くじ引きにすればいい。12球団が一斉に入札、指名選手が重複すれば抽選、さらに外れれば再入札…。これなら戦力均衡も図れる」と、完全入札制こそが理想のドラフト制度だとしている。
65年の第1回ドラフトでは、各球団が12位まで順位をつけた希望選手リストを提出し、1位強豪は抽選、2位以下はウエーバー制で指名する方法だった。67年からは予備抽選で指名順位を決め、2巡目以降は折り返し。78年から各順位ごとにリストを提出する入札制になり、競合は抽選に。91年から5巡目以降は下位球団順の折り返しとなり、ドラフト外選手の獲得を禁止した。93年に大学生、社会人の1、2位に限り、逆指名制を導入。3位以下はウエーバー制。01年には社会人、大学生を対象に2人の「自由獲得枠」が認められた。自由獲得の人数により、上位指名の順位が異なり、4位以降はウエーバー制となった。
FA制は93年オフに導入された。当初の規定は年間1軍登録150日×10年=1500日で権利を取得するというもの。97年オフに9年に短縮されたが、逆指名、自由獲得枠で入団した選手は10年のままだった。03年オフに全選手が9年となり、今オフから出場登録日数も145日に短縮された。選手会は選手寿命の短さを根拠にさらなる短縮を求めている。日本がモデルにしたメジャーのFA制は76年に導入。コンセプトが選手に選択権のない完全ウエーバーで行われるため、メジャー在籍6年で自由に移籍できる権利を与えようというものだった。
西岡剛内野手が、メッツ・松井稼頭央内野手に“弟子入り”した。西岡と松井稼が年明け、合同自主トレを行うことが29日、分かった。西岡の「一緒にトレーニングしたい」との熱意が実っての合体。同じスイッチヒッターのメジャーリーガーから極意を盗むつもりだ。
千載一遇のチャンスを手に入れた。20歳の若武者は、雲の上の存在だったメジャーリーガー、松井稼とは知人を通じて知り合い、申し入れた。これを松井稼が快諾。現在、練習場所をピックアップしているが、1月6日に始動することになった。
走攻守揃ったスイッチヒッターで、遊撃兼二塁手。背番号も西武時代の松井稼と同じ「7」をつけている。西岡は大阪桐蔭、松井稼はPL学園と大阪の強豪校出身でもあり、共通点は多い。それだけに、今回のチャンスにかける意気込みは並大抵のものではない。
今季は63試合に出場、打率2割5分5厘をマーク。素質を開花させつつあるが「納得できる年なんて、野球をやってるうちはありません」と話す。日本最高のスイッチヒッターだった松井稼を目指し、汗を流す。
メッツの松井稼頭央内野手は29日、ロッテの若手成長株・西岡剛内野手と来月初旬から合同自主トレを行うことを明らかにした。2人は共に大阪出身で、西岡の希望に応える形で実現。松井稼は「メジャーで経験したことや練習方法を若い世代に積極的に伝えていきたい」と話し、レギュラー定着を目指す西岡は「自分のレベルアップを図りたくてお願いしました」と声を弾ませた。
日本一に輝いた西武をはじめ、ロッテ、オリックスの仕事納めが29日、行われた。
ロッテは赤字削減に向けて荒療治に打って出る。29日、仕事納めの訓示で瀬戸山球団代表は「赤字が30億以下でなければ、思い切ったことをやるしかない」と話し、目標が未達成の場合、ボーナスカットやリストラを断行する方針を示した。
04年は経費58億円に対して収入20億7000万円と、1年間で約37億円の赤字を計上。瀬戸山代表は「来年は赤字を30億円以下にする」と目標を設定。球場の看板広告代や年間席の増収を目指している。今秋、本社側からは球団職員の冬季賞与をカットする案も出たが、同代表は1年の猶予期間を申し入れていた。
ロッテグループ内のある企業は昨年、球団と同等の赤字体質だったが、ボーナスをカットして業績回復。球団の待遇面はリーグトップで、瀬戸山代表は「そろそろ爆弾が落ちても仕方ない」と危機感を植え付けた。この日、仕事納め直後に数時間の緊急営業会議を招集するなど、赤字体質脱却へ全力を挙げている。
西武、ロッテ、オリックス、楽天の4球団が29日、それぞれ球団事務所で仕事納めを行い、全12球団が今年の業務を終えた。再編問題で激動した平成16年の球界はひとまず幕を下ろし、新年を迎える。
仕事納めが行われ、瀬戸山球団代表が「今年は色々なことがあり、不安になったりもしたと思いますが、本当にごくろうさまでした」と挨拶した。来年は約37億円といわれる球団赤字を20億円台まで削減することを目標に掲げ「できなかったら賞与ゼロ。それくらい厳しくやっていきたい」とゲキ。年の瀬にもかかわらず2時間の営業会議も開いた。
楽天、西武、ロッテ、オリックスの4球団が29日、それぞれの球団事務所などで仕事納めを行った。今季、12年ぶりの日本一の西武は来季スローガン「05 挑戦 ふたたび。」を発表。新規参入の楽天は都内ホテルで田尾監督、選手らも参加して納会を行った。これで全12球団が仕事納めを行い、今年の業務を終了した。
楽天グループの全体納会が都内のホテルで行われた。三木谷オーナーをはじめ球団からは米田球団代表、田尾監督、山下ヘッドら各コーチに選手も飯田、カツノリらが出席。全体で1500人にも及ぶ大納会となった。三木谷オーナーは「あまり過去を振り返らない主義。今年野球界に参入したけど、参入することに意味はない。成功させることに意味がある。来年は不器用だけど真正面からぶつかっていきたい」と締めくくった。
埼玉・所沢の球団事務所で星野オーナー代行兼球団社長は「球団、チーム共にトップが代わった中で選手がよく頑張ってくれた」と挨拶。伊東監督就任1年目、日本シリーズ中の10月26日に堤オーナーが不祥事で辞任発表という激震を乗り越えた末の日本一を振り返った。西武鉄道グループの保有株不祥事でグループ内はいまだに揺れているが、星野オーナー代行は「球団とは別の部分で心配させていますが、連覇を目指して頑張ります」と話した。
オリックスの小泉球団社長は近鉄との球団合併から始まった激動のシーズンを振り返り「今年は予想もしなかった色んなことが一挙に出てきた。来年はとにかく良くなって欲しい」と挨拶。球団としては3年連続最下位からの脱出と共に人気獲得が命題。中村GMは「阪神への意識は常にある。いつか追い越して恩返ししたいという気持ち」と人気、実力両面で阪神を目標に新たな1歩を踏み出す。
ロッテは千葉市内の球団事務所で瀬戸山球団代表が挨拶。職員を前に「球団が置かれている環境は大変厳しい」とゲキを飛ばした。昨年の球団赤字は約37億円。ロッテ・グループ内では最低クラスの業績ということもあり「来年の数字次第ではボーナスがゼロになる可能性もある」と訴えた。来季の赤字ノルマを20億円台に設定。挨拶の後に約2時間の緊急営業会議を行い「冬休みの宿題が必要ですから」と話すなど、業績改善へ強い決意を示していた。
西武は29日、埼玉・所沢の球団事務所で情報通信サービス業のインボイス社と、3年間の2軍命名権(ネーミングライツ)を結ぶことを発表。正式契約は年明けに行う。
同社は通信料金一括サービス事業などを軸にここ数年で急成長。スポーツ事業に興味を示していた木村育生社長と懇意だった西武元監督の東尾修氏が2軍の命名権売却先を探していた西武との“橋渡し役”を務め、今回の契約となった。会見で木村社長は「知名度をアップさせる企業目的はあるが、子供達が野球を目指したくなるようなチームにしてプロ野球への協力を追求したい」と説明。野球教室や埼玉県各所での試合開催なども企画しており、西武ドームの命名権も「友人の孫社長(ソフトバンク)から非常に広告宣伝効果があると聞いた」と交渉する方針を示した。
契約金は3年間で6億円(推定)。チーム名は社名の「インボイス」だけで、新ユニホームはこれまでのものを踏襲した白地に青で「LIONS」の代わりに「INVOICE」のチーム名が入る。来季イースタンの開幕戦でお披露目される。
西武は29日、埼玉県所沢市の球団事務所で、情報通信サービス会社「インボイス」と3年間の2軍命名権(ネーミングライツ)の契約を結ぶと発表した。契約金は3年6億円と推定され、チーム名は「インボイス」。同社の木村育生社長はイースタン・リーグで活躍した選手へのデイリーMVP賞授与など、意欲的なアイデアを次々と披露した。
熱血社長の下、西武ファームが生まれ変わる。2軍のスポンサーとなったインボイス社の木村社長は、次々と意欲的なアイデアを披露した。
同社長は賞金ならずとも、活躍した選手への賞品を提供する私案を展開した。いわば2軍限定の“オーナー賞”だ。
さらに2軍選手による野球教室など「色々と案を出したい」とも発言。これには、1軍の伊東監督も「オレは2軍は育成の場所で、勝敗にはこだわらないといっているんだけど…」と圧倒され気味。また、西武ドームの命名権まで買収する意向を持っていることも明らかにした。
「企業としては知名度アップが目的ですが、私個人としてはプロ選手を目指す子供を増やしたい」。今年、一時は球団売却の可能性が浮上した西武にとっては、何とも気になる2軍スポンサー登場。正式契約は年明けだが、球団内にも“IT革命”が起こりそうだ。
西武は29日、埼玉・所沢の球団事務所で会見し、2軍のネーミングライツ(命名権)を情報通信サービス会社「インボイス」に譲渡することで合意したと発表した。3年契約6億円(推定)で、チーム名は「インボイス」に決定。アドバイザーには元西武監督の東尾修氏が就任し、年明けにも正式契約を結ぶ意向だ。
同社の木村育生社長は「プロはスポンサーがお金を積んで、それを奪い合うのが原点」と話し、試合ごとにMVP選出を検討。2軍にも1軍並みのプロ意識を植えつけ、同時に野球教室などイベントも積極的に開催してファンサービスの充実を計画。東尾氏とともに新しいファーム像を模索する。さらに「インボイス・ドームとなるようこれからお願いしたい」と、西武ドームの命名権買収も視野に入れた。
星野好男球団社長兼オーナー代行は「前々から2軍の経営改革を検討していたが、インボイスさんに熱意が感じられたので一緒にやろうと思った」と説明した。伊東勤監督も「1軍が行かないような地方巡業も大切。(名前が違っても)チームは1つです」と新生ファームに期待。胸に「インボイス」と入った新ユニホームはイースタン開幕でお披露目予定で、増収策を図る西武にとっても大きな試みがスタートする。