バスの中で声を発するものはいなかった。音すら聞こえない異様な空間が広がる。9月10日、福岡ヤフードーム。この試合を0−2で落とし、千葉ロッテマリーンズ06年のシーズン4位が確定した。球場から帰る車中、悔しさから、選手達は天を仰ぎ、何を見るでもなく窓から外の景色をただボッと見ていた。
「防衛するものがたくさんあったにもかかわらず、交流戦優勝の1つしか防衛できなかった。全ての責任を監督として感じている」。試合後の会見でバレンタイン監督は悔しさをかみ殺しながら、記者達にそのようにコメントした。また、試合終了直後には選手、スタッフ全員をロッカーに集めた。
「順位は決まってしまったが、みんなで最後まで全力を尽くそう。みんなが最高の選手達であることには換わりはない事実。残り試合を頑張ろう」。バレンタイン監督は気丈に振る舞い、落ち込む選手達をしった激励した。
思えば、ここ福岡で昨年10月17日、31年ぶりのリーグ優勝を決めた。そこから日本一、アジア一と栄光への階段を駆け上がっていった。あまりにも皮肉な結果。歓喜に酔いしれた思い出の地で、その1年後に屈辱を感じることになってしまった。あの日、1年後に、このチームが天国から地獄に落ちることを誰が想像できただろうか。これがプロ野球界の厳しさでもあるのだろう。
この日に先発した清水直は降板した時、ベンチでグラブと帽子をたたきつけ、全身で悔しさを表現した。同じ日ではないが打たれて涙した投手もいた。負けて悔しくないものなどいないし、誰もがこの敗戦を忘れないつもりだ。
選手会副会長の福浦は話す。「本当にファンの方に申し訳ない気持ちで一杯。しかし、試合はまだ残っているので最後までマリーンズらしい戦いをして、ファンの方が喜ぶ試合をして行きたい。プレーオフ進出は消えてしまったが、ボク達の戦いは終わらない」。
残り試合は少ないが全力プレーを見せることでファンに来年への希望を感じてもらいたい。4位が確定しても球場に足を運んでくれる熱烈なファン。たとえ、上位3チームに大きく突き放されても「私達は諦めてませんからね」と選手達にエールを送ってくれた優しきファン。その人達を裏切ることはできない。
あるデータがある。日本一チームが翌年にBクラスに転落したケースは過去8度。過去8チームのうち62年の巨人、94年のヤクルト、96年のヤクルトの3チームは奮起して翌年には日本一に返り咲いている。悔しさを胸に…。千葉ロッテマリーンズも、そうありたいと思っている。
昨季の輝く4冠から一転、今季は4位が確定してしまったロッテ。バレンタイン監督は、13日の楽天戦後、来季の去就問題について「来季も指揮を執ること以外は考えていない」と続投を明言。球団も「信頼は変わらない。来季のことを考えていてくれていると思う」(瀬戸山球団代表)と、シーズン終了後に正式要請を行い、新バレンタイン体制が発足する。
タフネゴシエーターのバレンタイン監督が“続投”を即断したのはなぜか。バレンタイン監督は昨季、「米メジャーから監督のオファーが来ている」とブチ上げ、ロッテが3年契約プラス1年オプションで総額15億円ともいわれる大型契約で引き留めた。シーズンオフごとに内容を見直す項目も入っており、今オフも「メジャー騒動」が再燃するかと思われていた。が、予想に反してのスピード決着。球団関係者によれば「今季はメジャーからオファーがあったとは聞いてない」という。
ロッテ旋風を巻き起こした昨季は、シーズン中盤時点で非公式ながらヤンキース、カブス、ジャイアンツ、ロッキーズから打診を受け、結果的にはドジャース、Dバックス、ナショナルズが正式オファーをかけてきた。「今季のメジャー各球団はストーブがないようだからね。リストアップしている球団はあるようだけど現時点では動いている様子はない」(同関係者)と寂しい限り。この現状が“即断”に至った事情のようだ。
晴れて続投の決まったバレンタイン監督だが、ここへ来て逆風も吹き始めている。現時点で60勝65敗1分のチーム状態に、10日のソフトバンク戦終了後にファンから「曖昧な采配はやめて!」と書かれたプラカードが飛び出したが、球団側にも熱いロッテファンから「何やってるんだ!」と怒りのゲキが殺到している。
ロッテファンから信仰にも近い人気を誇るバレンタイン監督だが、残り10試合で来季への反攻姿勢を披露できなければ、カリスマのオーラも消滅してしまう状況だ。
ロッテが11月の大学生・社会人ドラフトで、2年連続で希望枠を使わないことが14日、分かった。バレンタイン監督が都内で行われた表彰式に出席後、「(希望枠は)使う予定はありません。今年のドラフトは大学生や社会人よりも、どちらかといえば高校生にいい選手が多い」と話した。昨年も希望枠を使わず、高校生ドラフトで2巡目の指名権利を得た。
25日の高校生ドラフトに向けては、PL学園・前田ら約25人を候補に最終調整中。同監督は「1巡目は決めている。スカウト陣からの最終的な確認を待っている段階」と話した。
ロッテが、25日の高校生ドラフトの1巡目指名選手を、PL学園の前田健太投手(18)に1本化したことが14日、分かった。この日、都内で取材に応じたバレンタイン監督は「(1巡目は)1人に絞っている。スカウト陣が決めていて、最終確認を待っている」と話した。前田は今春センバツの真岡工戦で毎回の16奪三振をマーク。140キロ台の直球と切れ味鋭い変化球を持ち“桑田2世”と呼ばれる。すでに広島が1巡目指名を公言しており、競合覚悟での指名になる。
監督本人がくじを引かない可能性もある。ボビーは「日によって誰に運があるかは違う。その日に運がある人がくじを引くだろう」と話し、バレンタイン監督、瀬戸山代表、鈴木、松本両スカウトのうち、当日の運勢が最良の人物が抽選を行う方針を示した。
また、バレンタイン監督は「今年は高校生の方が優れた選手が多い。希望枠を使う予定はない」と、大学・社会人ドラフトで希望獲得枠を使わないことを明言。最上位の3巡目で法大・大引啓次内野手(22)獲得を目指す。
ロッテが25日の高校生ドラフトで、PL学園・前田健太投手を1巡目指名する方向で最終調整に入ったことが14日までに分かった。バレンタイン監督も今年の大学・社会人ドラフトで希望枠を行使しないと明言。ロッテのドラフト戦略は、高校生が軸となる。
昨年からドラフトに関して秘密主義を貫いてきた指揮官は、名前こそ明かさなかったが「すでに候補は1人に絞ってある。スカウト陣が決めていて、最終確認を待っている段階」と話した。
関係者の話を総合すると前田投手が最有力。同投手には広島がすでに1巡目指名を表明しており、競合は避けられないが、抽選でボビーは必勝の“秘策”も考えていた。
「日によって人の運、不運が違うので、その日に運がある人が(クジを)引けばいい」。つまり、ドラフト当日、占い師らに1番運勢のいい出席者を決めてもらう作戦だ。
出席が予想されるのは指揮官をはじめ、瀬戸山球団代表、鈴木チーフスカウトら。クジを引く人よりも、引く人を選ぶ人?にプレッシャーがかかったりして?
球界史上初、仰天の競走馬プロジェクトが始動する。ロッテが有名な馬主の法人組織、ダーレー・ジャパンから1頭の命名権を提供され『マリーンパワー』(牡、2歳)と命名、10月下旬に船橋競馬場(千葉)でデビューすることが14日、明らかになった。ロッテファンにとっては、シーズンオフの楽しみが増えそうだ。
シーズンを全力で駆け抜けられなかった分、オフは“新戦力”が疾走する。ロッテがダーレー・ジャパン、船橋競馬場とタッグを組み、千葉をもり立てていくことになった。
「地方競馬を盛り上げることに一役買いたいと思い、今回の計画が実現しました」と球団関係者。きっかけは、13年目の外野手・大塚と親交のある川島調教師の「(競馬界とロッテ)両者の架け橋になるようなことをしたい」という雑談。それが一気に進展、今回の“デビュー”にこぎつけた。
ダーレー・ジャパンは、数多くの有能な馬を所有している有名な馬主の法人組織。『マリーンパワー』の父はドバイのモハメド国王の所有馬で、96年のジャパンカップで勝利したシングスピール。そこに地方競馬のNo.1ジョッキーといわれる内田博幸騎手が騎乗する予定だ。
「これを手始めに第2、第3弾も企画したい。マリン軍団を作りたいですね」とは球団関係者。昨季は初代アジア王者に輝くなど、11月上旬まで試合が続いたが、今季はすでに4位が確定しており、日程は9月で終了。10月は熱狂的なサポーターが、競馬場で飛び跳ねることになるかもしれない。
19日のオリックス戦(千葉マリン)で、ベースボール犬のエルフちゃん(1歳、雌、ラブラドールレトリバー)が、今季最後の“登板”を行う。今回は始球式ではなく初めて球審にボールを運ぶが、球団関係者は「成功するといいんですが」と不安そう。当日はオリックスのベースボール猿のゴウ君(4歳、雄、ニホンザル)が駆けつけ、特製のトンボでグラウンド整備のお手伝い。犬猿の仲の両者が夢の共演!?
バレンタイン監督が、11月21日の大学生・社会人ドラフトで昨年に続き希望枠を使わない考えを明かした。この日、都内でイベントに出席したボビーは「希望枠を使う予定はない。どちらかと言うと高校生にいい選手がいると聞いている」と明言。また、高校生ドラフトの1巡目指名については「(スカウトからの)最終的な報告を待っている」。ロッテは増渕(鷲宮)、前田(PL学園)をリストアップしている。
船橋競馬でデビューするロッテプロデュース”馬主”のマリーンパワー号 ロッテが球界異例の“馬主”になる!?ロッテがプロデュースする競走馬「マリーンパワー」(牡2)が今秋、船橋競馬場でデビューする。最終的な能力試験をクリアすれば、10月23日に待望の初レースに挑むことになった。
やるからには本気だ。オーナーは船橋競馬場に数多くの競走馬を所有する世界有数の馬主「ダーレー・ジャパン」。元々は競馬通のロッテ大塚と、船橋競馬場・川島調教師の三者で持ち上がった企画だった。オーナー側は「ご近所同士のマリーンズと船橋競馬場の架け橋になることをしたい」と意欲満々。97年にG1ジャパンカップを制した、シングスピールを父に持つ超良血馬を用意した。ロッテを意味する「マリーン」を冠して、サポーターホースとして疾走する。
18日のオリックス戦はダーレー・ジャパンマッチデーと銘打ち、千葉マリンで「マリーンパワー」を初お披露目する予定だ。球団関係者は「ぜひ活躍してもらって、地方競馬の盛り上げを手助けできれば」と話す。ロッテファンならずとも、シーズンオフは「マリーンパワー」に要注目だ。
19日のロッテ―オリックス戦(千葉マリン)でベースボールドッグのエルフとボールモンキーのゴウ君の豪華競演が実現する。エルフが球審にボールを運び、ゴウ君がグラウンドキーパーを務める予定だがエルフは経験不足は否めず、ゴウ君はオリックス主催試合で2度“登板”に失敗。2軍落ちも経験し「反省しない猿」とも呼ばれた。共に今季最後の登場だが、結果次第では来季の去就にも影響しかねない。
11月3日に開幕する「イオン日米野球2006」出場選手を選ぶ、ファン投票の実施概要が14日、発表された。全日本メンバーの一部、各ポジション別に12選手(投手は先発、中継ぎ、抑え)がファン投票で選ばれる。実施機関は、今月20日から10月3日までで、インターネットと、官製はがきで受け付けられる。最終結果は10月中旬に発表される。投票方法の詳細は日本野球機構公式ホームページまで。
日米野球ファン投票候補選手 | ||
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川上(中) | 先発投手 | 松坂(西) |
朝倉(中) | 涌井(西) | |
石川(ヤ) | 斉藤和(ソ) | |
上原(巨) | 杉内(ソ) | |
内海(巨) | 和田(ソ) | |
黒田(広) | 八木(日) | |
三浦(横) | 小林宏(ロ) | |
清水(ロ) | ||
渡辺俊(ロ) | ||
平野佳(オ) | ||
吉井(オ) | ||
藤川(神) | 中継投手 | 菊地原(オ) |
木田(ヤ) | 武田久(日) | |
藤田(ロ) | ||
薮田(ロ) | ||
クルーン(横) | 抑え投手 | 馬原(ソ) |
岩瀬(中) | マイケル(日) | |
久保田(神) | 小林雅(ロ) | |
石井弘(ヤ) | 福盛(楽) | |
永川(広) | ||
古田(ヤ) | 捕手 | 里崎(ロ) |
谷繁(中) | 日高(オ) | |
矢野(神) | ||
阿部(巨) | ||
相川(横) | ||
シーツ(神) | 一塁手 | 小笠原(日) |
ウッズ(中) | カブレラ(西) | |
李(巨) | 松中(ソ) | |
福浦(ロ) | ||
清原(オ) | ||
藤本(神) | 二塁手 | 本間(ソ) |
東出(広) | ||
小久保(巨) | 三塁手 | 今江(ロ) |
岩村(ヤ) | フェルナンデス(楽) | |
新井(広) | ||
村田(横) | ||
鳥谷(神) | 遊撃手 | 川崎(ソ) |
宮本(ヤ) | 中島(西) | |
二岡(巨) | 西岡(ロ) | |
福留(中) | 外野手 | 新庄(日) |
金本(神) | 柴原(ソ) | |
赤星(神) | 谷(オ) | |
アレックス(中) | 和田(西) | |
濱中(神) | 大村(ソ) | |
青木(ヤ) | 森本(日) | |
金城(横) | ||
多村(横) |
「イオン日米野球2006」大会事務局は14日、NPB(日本プロ野球組織)選抜の選手を選ぶファン投票の実施概要を発表した。投票は9月20日から10月3日までインターネットとはがきで行われる。
NPB選抜のうち先発、中継ぎ、抑え投手と野手8ポジション、指名打者の計12人をファン投票で選出する。インターネット投票は20日に開設される日米野球の公式ホームページ(http://nichibeiyakyu.com/)、はがき投票の詳細はNPBホームページ(http://www.npb.or.jp)で。