ロッテは清水直の今季初完封、自身初の3試合連続完投勝利で今季2度目の4連勝、貯金は今季最多の3。ロッテは1回に1点を先制。3回には大塚のランニングホームランとなる2号2ラン、8回にはズレータの二塁打で2点を追加した。清水直は4安打1奪三振1四球、自身最少の97球完投勝利で3連勝。完封は自身8度目。ロッテでは07年の成瀬以来3試合連続完投勝利。ソフトバンクは散発4安打の2試合連続の完封負けで、今季4度目の3連敗。借金は02年8月9日以来となる今季ワーストの3。先発・杉内は8回5失点で2年振りの自身3連敗。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 5 |
福岡ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ヒーローインタビューでロッテ清水が首をひねった。自身初の3試合連続完投勝利を完封で飾り、価値ある3勝目をマーク。それなのに「何でかな?調子は悪かったし、全然完璧じゃないですよ。97球?もっと投げたような感じで疲れました」と、噴き出す汗をぬぐった。
不調が吉と出た。「丁寧に投げようとすると甘く入るので、良くないからこそどんどん腕を振って攻めて行った」。直球の制球は必ずしも完璧ではなかった。ソフトバンクの早打ちにも助けられ、カウント2−3まで粘られたのは2回だけ。カットボールを低めに集めてファウルでカウントを稼ぎ、追い込んでからテンポよく打たせて取った。4回1死三塁から小久保をフォークで空振り三振、5、7回のピンチは併殺で切り抜けた。
「背番号18」が今季チーム初完封をやってのけた。井上投手コーチは「1番いい時に近い」と太鼓判を押した。今季は開幕から2連敗後、9日の西武戦、16日の楽天戦で連続完投と抜群の安定感を見せている。「今までエラーや失投で引きずってしまったが、今年は切り替えられるようになったのが成長したところ」と振り返った。
昨年は6勝に終わり、開幕投手は年下の小林宏に譲った。それだけにマウンドに上がる時は、常にラスト登板のつもりでいるという。「打たれたら次があるか分からない。悔いを残したくない。だから何とかせなあかんと思って投げている。1球1球、積み上げていくだけ」と、今までにない危機感が勝負強さにつながっている。「完全復活?それは周りが決めること」とかわしたが、確かな自信がみなぎっていた。
大塚が3回1死二塁から左中間を破るランニング本塁打で貴重な追加点を挙げた。昨年恩塁打0で貧打に泣いた男が、今季早くも2本目をマーク。「打ったのはストレート。ランニングホームランは人生初めてです。野球の神様が微笑んでくれているんでしょう」と笑顔で話した。ロッテでは03年9月2日のサブロー以来5年ぶりのランニング本塁打となった。
西岡が広角に3安打を打ち分け2得点を挙げた。左ふくらはぎ打撲から20日に復帰後、4試合連続安打をマーク。「(打撲で欠場している間に)野球以外でも色々あったので、しっかりやらないと何言われるか分からないですから」と熱愛報道を発奮材料にして結果を出した。
高校生ドラフト1巡目ルーキー唐川侑己投手(18=成田)が26日のソフトバンク戦でデビューする。このん地は福岡ヤフードームのブルペンで25球投げて最終調整。「調子はいいです。福岡ドームは拾いですね」。高校時代に面識のある大場との投げ合いになるが、「大場さんと対戦する訳じゃないので。でも投げるからには勝ちたい」と力を込めた。ロッテの高卒ルーキーとしてドラフト制後初となるデビュー戦白星を目指す。
ヒーローインタビューを終えてベンチ裏に現れたロッテ・清水の表情は険しいものだった。散発4安打、自己最少97球での完封。プロ9年目で自身初の3試合連続完投勝利にも満足はしていなかった。「全然完璧じゃないですよ。何でかな?97球でしょ。もっと投げた感じですごく疲れた。出来は良くなかったと思う」。
スライド先発の影響からか奪三振わずか1。結果より内容を追求する背中に、エースとしてチームを支えてきた男のプライドがにじむ。昨季は6年連続2ケタ勝利を逃す6勝止まり。小林宏や成瀬の台頭もあって絶対的な存在ではなくなった背番号18は「常に目の前の試合が最後の登板になるかも」と背水の陣で臨んでいる。だからこそチーム今季初完封にも笑顔は見せなかった。
YFKが抜けた救援陣の負担を減らしたい気持ちは強い。初のキャンプ2軍スタートの出遅れも、登板2日前ブルペンの投球数を50球から70球に増やして補ってきた。
今季2度目の4連勝で2位に浮上し、今季最多の貯金3を呼ぶ力投を、バレンタイン監督も「完全に試合をコントロール下に置いていた」と絶賛。清水の復活ロードは、そのまま3年ぶりのVロードにつながる。
最後の打者を三ゴロに打ち取っても表情は変わらなかった。清水が4安打に抑え、自身初の3連続完投勝利をチームの今季初完封で飾った。
「完璧じゃない。変化球も良くなかったし…何でかな」。三振は1個と不満足な内容ながら、わずか97球。両サイドに投げ分け、5回以降は三塁を踏ませなかった。
毎試合「この試合が最後かもしれない」と背水の陣で挑んでいる。昨季は6勝10敗に終わり、6年連続の2ケタ勝利を逃した。32歳。思い通りに体を動かせなくなっていた。開幕前、夫人の急逝という不幸を乗り越え、体の細部まで動かす新たなトレーニングを取り入れ、改造に取り組んだ。この日も、大好きなお酒を紹興酒1杯にとどめてマウンドに上がった。
「(26日に先発するルーキー唐川に)声をかけてあげようと思う」。チームを精神面でも支えるエースの復活で、チームは4連勝で2位浮上と勢いに乗った。
大塚が3回1死二塁からランニング本塁打。左中間への当たりだったが、相手の左翼手と中堅手が激突し、打球が外野を転々とする間に一気に本塁へ。「人生初。何とか落ちてくれと思ったが、あんな形になった。ちょっと複雑な気持ち。野球の神様が僕にほほ笑んでくれた」と盛んに照れた。
球場から引き揚げる清水の表情は複雑だった。ソフトバンク打線を散発4安打に封じ込め、今季チームで完封1番乗り。自己最少となるたったの97球で快投を演じたにもかかわらず「完璧?全然完璧じゃない。結構投げた感じがして、すごく疲れました」結果とは裏腹に、反省とも不満ともつかない言葉が次々と漏れた。
直球は最速145キロ。5年連続2ケタ勝利を挙げていたころを思わせる球威だった。だが、プロ9年目で初体験となる3連続完投勝利を意識している余裕はなかったという。「変化球もカットボールもよくなくて『何とかせないかん』、と。よくないからこそ、逆に腕を振ってどんどん攻めていこうと思い、初球から全力投球した」今季3勝目は、開き直りの中から生まれたものだった。
奪三振がわずかに「1」。その数字に投球スタイルの変化が表れている。6勝10敗に終わった昨季を踏まえ「力だけではなく、頭を使って行かなくてはいけない」と、投球スタイルを見直した。この日も1、4、7回と先頭打者に安打を許したが、力むことなく後続を断った。「試合を完全にコントロールしていた」と、バレンタイン監督。低めを突いて打たせて取る意識が崩れなかった。
打線も先制、中押し、ダメ押しと理想的な援護で4連勝。「完全復活?それは周りが決めることだから」と、背番号18。バスに乗り込む背中に、これぐらいで浮かれていられるか、というプライドがにじんでいた。
ロッテの高校生ドラフト1巡目ルーキー・唐川侑己投手(18)=成田=が25日、プロ初先発を翌日に控え必勝宣言した。ヤフーDのブルペンで25球を投げて最終調整した新人右腕は、「調子はいい。投げるからには勝ちたい」と抱負を語った。
相手となるソフトバンクの新人・大場とは以前から面識があり、昨秋のドラフトで指名された際もお祝いメールをもらった仲だ。「実際対戦する訳じゃないけど、楽しみです。与えられたチャンスを生かせるように、できることをしっかりやりたい」唐川はドラフト制導入後では球団初となる、高卒新人の初登板初勝利に意欲を燃やした。
エースの気迫がマウンドで迸る。「調子は良くなかった」と言いながら97球での完封勝利。ロッテ・清水が自身初の3試合連続完投を、最高の形で成し遂げた。
昨季は不振にあえぎ、エースとしての信頼を失いかけた。「自分に次があるかは分からない。このまま終わらせたくない、何とかせなアカンと思った」。復活への思いが支えとなった。
4回1死三塁では小久保を打席に迎え「取りたいところで取れた」と、この日唯一の三振を奪い最大の危機を脱出。不調ながら勝負どころでの投球がさえた。
26日は新人・唐川がプロ初登板初先発。次代を担う18歳右腕に手本を示し「今日は自分のことで精一杯だったから、明日声をかけますよ」と清水。頼もしい男の完全復活で、チームが上昇気流に乗り始めた。
ロッテ清水が自身初の3試合連続完投勝利を完封で飾り、価値ある3勝目をマークした。「調子は悪かったし、全然完璧じゃないですよ。97球?もっと投げたような感じで疲れました」と話した。今季チーム初完封をやってのけ、井上投手コーチは「1番いい時に近い」と太鼓判を押した。
パ・リーグは25日、ホームとビジターの対戦が一回りした24日までの観客動員数を発表し、1試合平均は前年同時期と比較して10.2%増の1万9618人だった。球団別の1試合平均は、ソフトバンクが前年比10.3%減ながら2万7036人でトップ。日本ハムが同10.2%増の2万3362人で続いた。オリックスは専用球場を京セラドーム大阪に移した効果があり45.7%の大幅増で1万6429人となった。平均試合時間は日本プロ野球組織(NPB)が目標に掲げた3時間6分で、昨季の全試合平均より12分短縮された。
ロッテが4連勝。清水が危なげのない投球で3試合連続の完投勝利となる今季初完封。打線は1回に福浦の中犠飛で先制し、3回に大塚のランニング本塁打で2点を加えた。ソフトバンクは打線が振るわず、2試合連続の零敗で3連敗。
ロッテのルーキー唐川はプロ初先発を26日に控え、ブルペンで20球余りの投げ込み。「調子はいいので、このまま迎えたい」と意気込んだ。
ソフトバンクの先発は同じく新人で、出身高校も同じ千葉の大場。唐川の成田高時代、大場の母校(八千代松陰高)の監督の息子が同級生にいたという。その縁で当時東洋大生だった大場と一緒に練習し、メールを交わしたことも。「大場さんと対戦する訳ではないけど、楽しみ」と話した。
高校通算87本塁打の“怪物”中田翔(北海道日本ハム)、昨夏の甲子園で150キロを連発した佐藤由規(登録名・由規/東京ヤクルト)と並んで“高校生ビッグ3”と称された千葉ロッテの唐川侑己が26日、敵地ヤフードームの福岡ソフトバンク戦でプロ初登板初先発する。今季の高卒ルーキーでは、北海道日本ハム・豊島和好と横浜・佐藤祥万がすでに中継ぎで1軍登板を経験しているが、“ビッグ3”の中では最速の1軍デビューとなる。
今春のキャンプやオープン戦では中田や由規に話題をさらわれたものの、2軍でじっくりと鍛えた唐川。教育リーグなどでの好投が認められ、3月16日・横浜とのオープン戦に先発。右手中指のまめを潰して1イニングで降板したものの、ベテランの石井琢朗や仁志敏久から連続三振を奪うなど無安打無失点と大器の片鱗を見せた。開幕はファームスタートとなったが、3月27日・東北楽天戦でその存在を大きくアピール。勝敗こそつかなかったものの、4回を投げて、5奪三振、2安打無失点に抑えた。続く4月4日・東京ヤクルト戦では制球に苦しみ、4回を3安打、3四球で失点・自責点3と負け投手。しかし、4月17日・湘南戦では、7回を投げて、3安打、11奪三振、無四死球、失点0。三塁を踏ませず、初勝利を挙げた。
ここまで3試合全てに先発し、1勝1敗0S、防御率1.80。15回を投げて、被安打8、奪三振19、四球3、死球0、失点・自責点は3。イースタン投手防御率10傑の7位にランクされている。米大リーグで使われているデータの1つ、『WHIP』(イニング/被安打+与四死球。1イニングにどれだけの走者を出すか。1を切ることが好投手の目安)を見ると、0.733。防御率1位の東北楽天・一場靖弘の0.973を上回って1位と、試合をつくれる安定感の高さを証明している。さらに、3試合の合計球数が214球と1イニング平均14球弱で、与四死球率1.80とテンポの良さが光る。
対戦相手となる福岡ソフトバンクは昨年、高卒投手ながら新人王を獲得した東北楽天・田中将大の初登板の相手でもある。その時は6安打、6得点を挙げて、田中を2回途中でKOしている。松中信彦や小久保裕紀、川崎宗則ら強打者集う福岡ソフトバンク打線が18歳の右腕にプロの洗礼を浴びせるのか。それとも唐川が中田、由規に先駆けて公式戦の話題をさらうのか。なお、福岡ソフトバンクの先発は新人王候補筆頭で2勝を挙げているルーキー大場翔太。注目の一戦はヤフードームで、18時試合開始となる。
今回は印象に残ったある出来事について書かせていただく。昨年11月、北京五輪アジア予選に備えて野球日本代表の合宿が神戸で行われた。その宿舎ホテルでの出来事だ。
阪神タイガースの抑え投手・藤川球児(27)の元に、ロビーで選手が出て来るのを待っていたファンの親子がサインを求めてきた。時間は夜の10時をまわったぐらいだった。少しの沈黙を置いて、藤川は静かに話し出した。
「同じように子供を持つ親としてあえて言わせてください。ボクはこんな遅い時間まで子供を連れて、サインをもらおうと待つ事に疑問を感じます。余計な事かもしれませんが、ボクはそう思います。サインはしますが、今のボクの考えはそうです」。
突然の意見に、最初はキョトンと驚いた表情をしていたファンの父親は、サインをもらうとそそくさと去っていった。
プロ野球選手であるが、3人の子供の父親でもある藤川。彼は父親である立場から夜遅くまでホテルで小さな子供を連れて、選手のサイン待ちをする親の行動に疑問を感じ、それを素直に口にした。その時、近くにいた私は、この藤川の勇気ある行為に驚いた。
立場上、ファンの方に、意見することは決して、簡単なことではない。一歩間違えれば、誤解を生み、イメージダウンにつながるかもしれない。だから、何か思うことがあっても、何も言わない選手がほとんどだ。しかし、藤川はそれを覚悟の上、持論を語ったのだ。
最近、野球の現場に限らず、夜遅く、幼い子供を連れて歩く保護者を目にすることがある。これは私も同じ親の立場として疑問に思う。今の社会が抱える大きな問題であるようにも思っていた。それだけに人気球団・阪神タイガースの誇る抑え投手という影響力のある立場の人物の一連の行動を頼もしく感じた。
そんな藤川に尊敬の念を抱いているのが成瀬善久投手(22)だ。チームメートになった北京五輪アジア予選期間中、ほとんどの時間を共にするほど、心酔していた。
「野球の考え、人生観、全てがべてがすごい。本当に勉強になることが多かった。日本代表の期間、あの人と共に出来たことは大きな収穫。あのような投手になりたいと思う」。
藤川の話をするときの若き左腕の目はイキイキとしている。成瀬もまた、千葉ロッテマリーンズの人気選手であり、今後はその発言に影響力が出てくるに違いない。藤川という素晴らしい選手の影響を受けている成瀬には、あの日の藤川のように自分の考えをしっかりと持ち、社会を良い方向へと導く行動を取って欲しいと思う。
プロ野球選手にはその責任がある。