ロッテが投打に楽天を圧倒し、引き分けを挟み5連勝。足を使った攻めが効果的で、1回に金泰均の犠飛で先制。6、7回にも7回にも2点ずつ加えて突き放した。唐川は9回途中1失点で2勝目、小林がプロ初セーブ。楽天は攻守にミスが出て、粘っていた永井を援護できなかった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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東北楽天 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
千葉ロッテ | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 1 | x | 6 |
千葉ロッテの大松が6回に2点適時打を放った。3試合ぶりの安打で貴重な追加点を挙げ「最近チャンスで打てなくて悔しい思いをしていた。基本に戻り、センター返しを心掛けた」と話した。
ロッテの若きエース唐川侑己投手(20)に、最後の最後に試練が待っていた。09年5月10日楽天戦(千葉マリン)以来2度目の完封まであと2人に迫った9回表1死一、二塁。楽天リンデンにこの日初の四球を与えて満塁とすると、続く中村紀に2球続けて同じ外角へ投じた直球を中前へ運ばれた。「完封を狙っていたので本当に悔しい」と、痛恨の一球にガックリ肩を落とした。その直後に投手交代を告げられ、2試合連続完投も逃してしまった。
西村監督は「まだ若さがある。守りに入ったかな」と指摘した。前回登板した22日の西武戦も5回まで完全ペースながら、6、8回に失点。体力的にも精神的にも詰めの甘さは残るが、それは20歳の本人が1番分かっている。「次こそは完封したい」と力強く言い切った。
プロ3年目を迎え、投球だけでなく私生活も「本物」を追求している。身につける洋服やアクセサリーは高級ブランドを選び、車もGTRに買い替えた。周囲の目も徐々に変わってきた。昨年まで山手線に乗っても「誰にも気づかれなかった」と言うが、最近は青山通りで買い物していると声を掛けられるまでになった。1年ごとに「本物」に近づく唐川が、開幕2連勝でチームにしっかりと貢献した。
新守護神の小林が、14年目のプロ初セーブをマークした。唐川が1点を失った9回1死満塁で登板。草野二飛、憲史三振と無失点で切り抜けた。右ひじ痛から復帰し、登板即の救援成功に、お立ち台で「開幕から出遅れて、チームに迷惑かけたので、0点に抑えたかった。今年は抑えで頑張ります」。唐川からウイニングボールを譲り受け「家に飾ります」と笑顔だった。
ルーキー荻野貴が止まらない。1回無死一塁から、一塁線へバント安打。さらに無死一、二塁からの定位置への右飛でタッチアップ成功し、先制点をお膳立てした。打っては今季2度目の3安打猛打賞。7回2死三塁からの適時打には「思い切り打つことができました」と話した。
西岡が攻守で魅せた。1−0と1点リードの5回2死二塁。藤井の三遊間を抜けそうなゴロを、しぶとくキャッチ。そのままオーバーランする走者草野をタッチアウト。同点のピンチを救い、楽天ブラウン監督に「西岡にうまくやられた」と言わしめた。打っては4戦連続マルチ安打の4打数2安打。「常にもう1点、もう1点と考えている」と前向きな姿勢が好循環を生んでいる。
ロッテ・唐川が8回1/3を7安打1失点で2勝目。「完封するつもりでマウンドに上がったのに」とスタミナ切れによる9回の失点を反省した。09年5月10日の楽天戦(千葉)以来、2度目の完封は逃したが、「変化球でカウントを取れた」とスライダー、チェンジアップを有効に使い9奪三振。西村監督も「手元でボールが伸びているし、腕も振れていたね」と評価した。
今季抑えに回った小林が初登板。9回1死満塁で唐川を救援し、草野を二飛、憲史を三振に仕留めてプロ14年目で初セーブを挙げた。右ひじの張りで開幕は2軍スタート。2軍戦で2度登板し、この日出場選手登録されたばかりだった。新守護神は「とりあえず落ち着きました。ひじは問題はないし、これからフルで戦えるよう頑張る」と笑みを浮かべた。
ロッテは30日、楽天1回戦(千葉マリン)に6−1で快勝。1引き分けを挟んで5連勝と早くも貯金を4とした。先発の唐川侑己投手(20)は8回1/3を1失点と好投し、2勝目。3年目の若武者が、ローテーションの柱に成長してきた。
嬉しさと悔しさとが入り交じる。お立ち台に上がった唐川は、複雑な表情だった。「最後まで投げきりたかった。先発の役割は果たせたけど、完封できなかったことが悔しい」。
完封目前の9回に突如乱れ、完投を逃した。それでも、8回までは圧巻の投球で9三振。楽天相手に凡打の山を築いた。
前回登板の西武戦(22日、西武ドーム)では、5安打11三振で完投。これで早くも2勝目を挙げたが、ローテーションをずらして大事な3連戦の初戦に唐川を指名した西村監督も「最後は守りに入ったが、切れのあるボールを投げていた」とうなずいた。
発奮材料は、同期のヤクルト・由規の好投だ。8回1失点と好投、勝利投手になった27日の巨人戦(東京ドーム)を見て「直球とスライダーであの巨人を抑えていた」と闘志に火がついた。強いライバル心があるからこそ、完封できなかった悔しさをにじませた。
成瀬、渡辺俊に続き現れた先発ローテの柱は「今年は責任ある立場。覚悟を持ってシーズンに臨んでいます」。3年目は、大きな飛躍の年になりそうだ。
チームを勢いづけたのはロッテの野球を変えつつあるドラフト1位・荻野貴の足だった。初回無死一塁。一塁前への送りバントを50メートル走5秒6の快足で内野安打にした。好機を広げて先制点につなげると、6回は追加点の呼び水となる中前打。7回には左前適時打して、すかさず二盗成功。3安打2得点1盗塁で5連勝を呼び込んだ。
球団が公言していた雄星(西武)指名を回避して獲得した西村野球の申し子。右打者ながら既にバント安打4本を含む5本の内野安打を稼いでいる。1メートル72と小柄でも筋肉質の体はイチロー(マリナーズ)と同じ体脂肪率6%台で、菊地チーフトレーナーは「プロ野球選手というか、トップアスリートの体」と驚く。指5本分短く持ったバットから快音を響かせリーグ3位の打率.429。失敗なしの4盗塁などグラウンド狭しと走り回っている。
1歳下の新人に刺激されるようにリードオフマン西岡も足とバットで魅せている。初回は金泰均の浅い中飛でタッチアップし先制のホームイン。「チームが勢いに乗っているし、セーフになる自信があったので思い切っていきました」。8打数連続安打で止まったものの、チームただ1人開幕から7試合連続安打でリーグトップの打率.548と絶好調だ。
機動力野球を掲げる西村監督は「塁に出れば相手も気を使って、打者に甘く入ったり球種が絞りやすくなる。本当に1、2番がいい働きをしてくれている」と手放しで称える。新1、2番コンビが牽引する新生ロッテの勢いはさらに加速していく。
唐川が完封目前の9回に崩れたものの、8回1/3を1失点で2勝目を挙げた。
冷え込みが厳しく、序盤は制球がばらついたが、ベンチではヒーターで暖を取り毛布を足にかけて対応。登板可能だった28日の日本ハム戦(千葉マリン)ではなく、あえて3連戦初戦に起用されたのは首脳陣が先発の柱と期待しているからで「9回を抑えきれなかったのは悔しい。次は完封したい」と若きエースの自覚を見せた。
ロッテの唐川が9回途中まで1失点で開幕2連勝を飾った。打者の手元で伸びる球で8回までに9三振を奪い、余裕の完封ペース。9回1死から適時打を浴びて無念の交代となったが、9回2失点の前回登板に続く、安定した投球だった。
お立ち台での唐川は「1人1人を抑える意識だった。最後まで抑えられずに悔しい」と笑顔は控えめ。それでも「次は完封したいです」と強気に言い放ち、スタンドのファンを沸かせた。
昨年のロッテは、盗塁数64と盗塁死の50がともにリーグ最悪だった。これを大きく変える存在が快足新人の荻野貴。刺激を受けた西岡との1、2番コンビが好調の原動力だ。
2人の足と小技でたたき出したのが、1回の先制点。西岡が7試合連続安打で出塁すると、荻野貴は一塁線にバント。何でもない当たりを安打とすると、井口の右飛でそれぞれ進塁する。金泰均の浅い中飛で本塁を奪ったのは西岡の足だった。
両者が牽引する打線は5試合連続2ケタ安打で得点を重ね、連勝は5に伸びた。西村監督は「1、2番がいい働きをしてくれる」と言い、「塁に出たら相手は気を使うし、次の打者は球種を絞りやすくなる」と解説。7回の井口の適時打は、それを裏付けるように荻野貴が盗塁で揺さぶった直後に飛び出した。
2安打の西岡は5割4分8厘、3安打1打点の荻野貴は4割2分9厘と驚異的な打率を誇る。足にスランプなしが球界の定説なら、ロッテの快進撃はしばらく止まりそうもない。
ルーキー荻野貴司外野手(24)が7回に、猛打賞となるダメ押し適時打を放ち、チームに貢献した。3−0で迎えたこの回、2死三塁から左前へ貴重な適時打をマーク。「打ったのはストレート。ここで1点を取るのと、無得点で終わるのは大きな違いがあると思った。何が何でも1点を取ってやろうと思っていたので思い切り打つことが出来た」と胸を張った。
ロッテ5番大松尚逸外野手(27)が6回1死一、二塁から左中間を破る中押しの2点適時打をマークした。5回まで楽天永井に1点に抑えられていたが、大事な場面でタイムリーをたたき出した。「打ったのはカーブ。最近チャンスで打てなくて悔しい思いをしていた。基本に戻りセンター返しを心がけていた。ベンチに戻って金森打撃コーチに『尚逸の秀逸な打撃だ』と声をかけてもらいました」と笑顔で話した。
ロッテ若きエース唐川侑己投手(20)が6回まで4安打無失点と好投した。本拠地初登板の緊張からか、1、2回は1安打ずつを許したものの4回以降はスライダー、カーブのキレが良く要所で打たせて取った。西本投手コーチは「立ち上がりはちょっと手投げになっていた。打者2巡目からは悪い部分を修正して欲しい」と話した通り、きっちり立て直してゼロを並べた。
ロッテの先制点に、またも新人・荻野貴の足が絡んだ。1回に先頭の西岡が出塁し、荻野貴は送りバント。この一塁線に転がした何でもない当たりで一塁もセーフになってしまうのが自慢の快足だ。1死からの金泰均の犠飛につながった。
これで開幕からの7試合で無安打は1試合だけ。6回にも中前打を放って、4度目の複数安打を記録した。最近は「徐々に慣れてきている」と話す期待の新鋭が、打線の起爆剤になっている。
右ひじの張りを訴えていたロッテの新守護神・小林の戦列復帰に伴い、元守護神・荻野忠が2軍調整となった。抑えに転向した08年はいきなり30セーブを記録した荻野忠だが、昨季は不振で9セーブ止まり。シーズン中盤から中継ぎに回っていた。
今季は右ひじに違和感を抱えながら調整を続けたが開幕から登板機会がないまま出場選手登録を抹消され「少しでも早く戻って来られるよう、ファームでしっかり投げてきます」。08年に最優秀中継ぎのタイトルを獲得した川崎も2軍調整中。それだけ中継ぎ陣が厚みを増したということで、好調・ロッテはチーム内で激しい競争が続く。
右ひじの張りで開幕メンバーから外れたロッテの抑え、小林が30日、出場選手登録された。オープン戦終盤の連投で張りを訴えて戦線を離脱、2軍でのテスト登板を経て復帰した。