ロッテが先発全員安打の猛攻で4連勝。同点の2回に福浦の適時二塁打で勝ち越すと、4回には里崎、岡田の連続適時打を含む5連打などで4点を追加した。成瀬は無四球8奪三振の完投で7勝目。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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巨人 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
千葉ロッテ | 1 | 1 | 0 | 4 | 0 | 2 | 0 | 0 | x | 8 |
パ・リーグ首位のロッテは、1日に1軍に初昇格した岡田幸文外野手(25)が初先発し、2回に初盗塁を決め、4回には無死一、三塁から初安打となる中前打で初打点を挙げた。唐川、荻野貴ら離脱者が相次ぐ中、育成選手からはい上がった2年目の活躍で2日続けて巨人に快勝し、交流戦、パ・リーグともに単独首位をキープした。
岡田が颯爽とグラウンドを駆け抜けた。50メートル走は6秒を切るというスピード自慢は2回、併殺崩れで出塁すると、計3度牽制を受けながら難なく二盗に成功した。6回にも余裕を持って二盗に成功し、直前の犠牲バントの失敗を“帳消し”にした。8回には、右中間に飛んだライナー性の打球を走りながら好捕。プロ初スタメンとは思えない堂々のプレーでスタンドをわかせたが、初体験のお立ち台では「初安打は本当に嬉しい。ドキドキでした」と、初々しく笑った。
異色の経歴の持ち主だ。社会人時代は足利ガスに勤め、プロパンガスを各家庭に運ぶ仕事を2年間続けた。社会人野球チームの全足利クラブから08年育成ドラフト6位で入団した。妻の由美子さん(36)からはプロ入りを反対されたが「2年間だけやらせてくれ」と説得。栃木・足利市に家族を残して、2軍寮近くのアパートで1人で暮らしている。前夜は離れて暮らす真優ちゃん(3)と凛乃ちゃん(2)と電話でお喋り。愛娘から「パパ頑張ってね」とエールをもらい、奮起していた。
5月26日に新人の荻野貴が右ヒザを手術し、代役として期待された早坂は同30日に左ヒザの靱帯を損傷して離脱した。そんな緊急事態で、09年、俊足と高い守備力を買われて支配下登録された苦労人が初めて1軍に昇格した。そして初の出場機会で見事結果を出した。西村監督は「(岡田は)堂々としていた。ケガ人をみんなでカバーする気持ちの表れだった」と満足げ。高橋2軍監督は電話で「やったじゃねえか」と祝福した。
投手、野手共に故障者が続いて台所事情は苦しいが、推定年俸440万円の岡田のような代役がいるから強い。ロッテにまたしても明るい話題が飛び込んできた。
ロッテが本拠地の千葉マリンで5月18日中日戦から8連勝。ロッテが千葉マリンで8連勝以上したのは、日本一になった05年4〜5月に10連勝して以来、5年ぶり。交流戦で本拠地球場8連勝は、昨年ソフトバンクでマークしたのに次いで2度目のタイ記録。
成瀬が巨人を散発5安打に抑え、無四球完投で7勝目を挙げた。1回、里崎の後逸絡みで1点を失い、チームの連続無失点は29イニングでストップ。だが5月15日の巨人戦で3本浴びた本塁打を、この試合は0本にとどめた。「とりあえず本塁打を打たれなくて良かったです」とお立ち台ではファンの笑いも誘った。
2日にソフトバンクが勝ち、巨人、中日が敗れたため、パ・リーグ6球団が今季初めて交流戦の上位6位までを独占した。交流戦で同一リーグ6球団が6位までを占めるのは07年開幕戦(5月22日)でパが6戦全勝して以来2度目。開幕2戦目以降では初めて。
主将が牽引だ!ロッテは2日、交流戦の巨人4回戦で8−1快勝。1番に座る西岡剛内野手(25)が、今季11度目となる3安打猛打賞で勝利に貢献した。リーグトップの打率.364、54得点をマークする切り込み隊長の活躍で、貯金は今季最多の「14」。交流戦は本拠地8戦全勝で、ロッテが巨人相手に連夜の圧勝劇だ。
勝利の瞬間、誰よりも満面の笑みを浮かべた。歓喜のハイタッチの列で、西岡が軽やかにステップを踏んだ。「キャプテンとか関係なく、一選手として負けたくなかった。巨人戦だからとかそういう気持ちは全くないけど、同一カードで負け越しだけはしたくなかった」。
1点を先制された1回。先頭で打席に立つと、ゴンザレスの初球を中前打。犠打で二進すると、井口の中前適時打で同点のホームを駆け抜けた。前日1日の巨人戦(千葉マリン)でも1回に左翼線二塁打で出塁し、先制点を演出。リーグを独走する得点王が、文字通りリードオフマンの役目を果たし、巨人戦連勝に貢献だ。
今季から主将に就任。投手の調子が悪ければマウンドに駆け寄り、この日もプロ初スタメンの岡田に、打席前に声をかけるなど気配りを忘れない。主将としてチームを陰で支える一方、自身のケアも忘れない。
昨オフから歯のかみ合わせの治療を始め、調子が悪ければ試合前に担当医を球場に呼び調整してもらうほど。今季はこれまで悩まされてきた首や肩の痛みがなく、リーグトップの打率.364、54得点を誇る。
主将に引っ張られ、打線も奮起。4回までに先発全員安打をマークする猛爆ぶり。5月22日のヤクルト戦(千葉マリン)以来、今季4度目となる快挙に「みんなよく打ってくれた。西岡は今日だけじゃなく、ずっとチームを引っ張ってくれているね」と、思わず西村監督も目を細めた。
ベンチ、スタンドが一体となった“マリン劇場”。連夜にわたり巨人を圧倒し、ムードは最高潮だ。交流戦では本拠地8戦全勝で、交流戦とパ・リーグの「ダブル単独首位」もガッチリとキープした。頼れる主将がいる限り、劇場の幕は下りない。
育成枠出身の2年目、岡田が「9番・中堅」でプロ初先発。4回の初安打は中前への適時打、50メートル5秒6の俊足を生かして2盗塁も記録する華々しいデビューを飾った。「当たりはよくなかったけど、本当に嬉しい。これから1本でも多くのヒットを打ちたい」。日大を中退し、全足利クラブを経てプロ入りした25歳の苦労人は、さらなる飛躍を誓った。
2日終了時の交流戦順位はソフトバンクが6位に浮上し、巨人が7位に落ちたため、パ・リーグ6球団が1〜6位に入った。過去、2007年の開幕日にパが6戦全勝したケースはあったが、開幕直後を除けば、同一リーグ6球団の“Aクラス”独占は初めて。また過去のVチームは全てパ球団となっている。
エースの輝きを取り戻した。9回2死二塁。成瀬は谷から8個目の三振を奪うと、小さくこぶしを握った。「前回やられていたので、リベンジしたかった。粘って投げられた」。今季7勝目を5安打1失点、無四球の完投で飾った。
初回、坂本の二塁打と小笠原の中犠飛で先取点を奪われた。4回まで0に抑えれば、33イニング連続無失点の球団記録だったが、あっけなく途切れた。「あれで気持ちを切り替えられた。試合前に、薮田さんと小林宏さんから『点を取られても勝てばいい』と言われていたので」。開き直って2回以降は散発4安打、無失点でしのいだ。
5月15日、自身初の巨人戦(東京D)では、3本塁打を浴びるなど5回4失点KO。このときは両リーグワーストの16被弾だったこともあり、「本塁打を打たれたくなくて、考えすぎていた」という。翌々日の休日を利用して故郷・栃木へ祖父の墓参りに出かけた。「気持ちを切り替えたかった。いい気分転換になった。ホームランが怖くなくなった」。完璧を求めすぎるあまり、余裕がないことに気づいた。本塁打を許しても負けなければいい。考え方に幅ができた。すると、不思議なことに被弾が減った。以降の3試合では、22回で被本塁打1。精神的な落ち着きを取り戻し、“一発病”を克服した。
チームは今季4度目の先発全員安打で4連勝。交流戦の本拠地・千葉マリンでは8連勝となった。リーグも交流戦も首位をキープ。エースは「交流戦に優勝して後半戦にいきたい」と宣言した。ロッテの勢いは止まりそうにない。
エース成瀬も巨人に雪辱だ。5月15日の同カード(東京ドーム)では3被弾し5回4失点。本拠地のこの試合では丁寧な投球を続け1失点無四球完投で7勝目を挙げた。
初回に拙守絡みでチームの連続イニング無失点を29回で止めたことに「まさか初回に点を取られるとは。記録を途切れさせて申し訳ない」と苦笑いも「リベンジできて良かった」と満足そうだった。
強いパ・リーグはロッテが牽引する。2日の巨人戦(千葉マリン)で打線が15安打の猛攻で8―1と快勝。育成選手出身でプロ初スタメンの岡田幸文外野手(25)がプロ初安打初打点に2盗塁の活躍で4連勝に貢献した。この日もパが4勝1敗1分けと勝ち越し、交流戦の順位表上位を独占した。ニューヒーローが次々と誕生。岡田の活躍こそ、パの勢いを象徴していた。
借りは返した。5月15、16日に敵地で連敗した巨人に連夜の圧勝。今季4度目の先発全員15安打で8得点の打線に新風を吹き込んだのが、プロ初スタメンの岡田だった。「想像以上にドキドキでした。本当に僕ですいません」。お立ち台では緊張で顔がこわばったが、プレーは堂々と交流戦本拠地8戦全勝に貢献した。
まずは2回2死一塁、再三の牽制をかいくぐってプロ初盗塁を成功。4連打で2点を追加した4回無死一、三塁ではプロ初安打初打点となる中前打を放った。6回には送りバントを失敗も、すぐに二盗を決めて挽回した。
今季快進撃の原動力だったドラフト1位・荻野貴が右ひざを手術。代役の早坂も負傷離脱してめぐってきた、まさかのチャンス。「こんなに早く1軍に上がれると思っていなかった。平常心で、思い切ってプレーしました」。代役の代役でも臆することはない。前夜、長女・真優ちゃん(3)から「パパ頑張ってね」と電話で勇気をもらっての出陣。バットはもちろん、荻野貴と同じ50メートル走5秒6の快足も存分にアピールした。
足利ガスの契約社員としてプロパンガスのボンベをトラックで配送しながら、夜は全足利クラブの練習に参加し野球を続けた。08年育成ドラフト6位で指名を受けたが、クラブチーム引退後は足利ガスの正社員が内定していただけに、家族は猛反発。それでも2年だけの約束で由美子夫人(37)と2女を栃木県足利市に残し単身プロ入り。昨年3月30日に支配下選手登録を経て、努力は結実する。育成選手出身では球団初の1軍昇格を果たし「育成の巨人」に一泡吹かせる活躍で、全国に名を売った。
「初スタメンで緊張しているかと思ったら堂々としていた」と西村監督。岡田は「これからがスタート。満足しないでやっていきたい」と表情を引き締めた。こんな意外でイキのいい選手が出てくるからロッテ、そしてパ・リーグは強い。
交流戦はパ・リーグ6球団が上位6位まで独占。07年5月22日の交流戦初戦にパ6球団が全勝したケースがあるが、各球団10試合以上を消化して同一リーグが1〜6位を占めたのは初めてだ。
ロッテが先発全員安打の猛攻で4連勝。同点の2回に福浦の適時二塁打で勝ち越すと、4回には里崎、岡田の連続適時打を含む5連打などで4点を追加した。成瀬は無四球8奪三振の完投で7勝目。
成瀬が、前回対戦で3本塁打を浴びた巨人に雪辱した。1回にバッテリーミス絡みで1点を失ったが、2回以降は低めに集めて失点を許さず、1失点完投で7勝目。四死球なしと、安定感が際立っていた。
「今季1、2番ぐらい、調子は良かった」と左腕は振り返る。リーグ最悪の17被本塁打を記録しているだけに「本塁打だけは打たれないようにした。リベンジの意味でも」と満足そう。
ロッテが巨人に連勝し、千葉マリンで負けなしの8連勝を飾った。岡田幸文外野手(25)が、プロ初安打、初打点、初盗塁を記録し、勝利に貢献した。投げては先発の成瀬が無四球完投で7勝目。連日の大勝に西村監督は「前回の負けの借りを全員で返したんじゃないかな」と喜んだ。
ロッテにまたもスピードスターが現れた。育成選手出身の岡田が「9番・中堅」でプロ初先発出場し、4回に初安打、初打点となる中前打を放った。自慢の快足で2盗塁を決め、連夜の大勝劇の中でも光る存在だった。
お立ち台では「ドキドキでしたが、思い切ってプレーしようと思いました」と初々しくコメント。だが、苦労人にはいい意味のふてぶてしさがある。荻野貴、早坂の相次ぐ故障にも「チャンスの気持ちが強かった」。
栃木・作新学院高から日大に特待生で入学したが、左ひじを壊して中退。野球をあきらめず、プロパンガスを運ぶ仕事をしながら、全足利クラブで夜間練習に励み、妻と2人の子を連れてプロ入り。50メートル5秒6の足を買われ、昨年に支配下登録された25歳は「支援してくれた人に感謝でいっぱい」と話した後、「でもこれからが始まりです」と力強く付け加えた。
ロッテ福浦和也内野手(34)が1−1の2回、無死一塁から勝ち越しとなる適時二塁打を放った。2球目の外角直球を逆らわずに左中間へ運んだ。「サブローがよく走ってくれたね。何とかいい形でつなぐ気持ちでした」と、DHでのスタメン起用に応えた。
ロッテ井口資仁内野手(35)が、1点先制された直後の1回1死二塁、中前同点適時打を放った。巨人ゴンザレスの外角スライダーをはじき返した。「いきなり嫌な点の取られ方をしたので、すぐに取り返すことが出来て良かった」と喜んだ。
セ・リーグは弱すぎる?!セ・パ交流戦は2日の試合終了時点で、なんと1位から6位までの“Aクラス”が全てパ球団、7位から12位までの下位がセ球団とくっきり分かれた。
元々過去5年の交流戦は全てパ球団が優勝。特に投手陣は、五輪やWBCの日本代表の主力クラスがダルビッシュ、岩隈、杉内、涌井らパの投手で占められるようになり、「DH制のパでは、先発投手は多少打たれても長いイニングを投げるケースが多く経験を積める。セでは、チャンスで投手のところに打順が来れば好投していても代打を送られる訳で、投手コーチにとってはつらい」(球界OB)と構造的な原因も指摘されている。
また、3年連続でセを制している巨人は6年間の交流戦通算でロッテに対し、本拠地東京ドームでは7勝6敗。総得点68に対し、総失点も68。ところが、千葉マリンでは3勝9敗2分けと圧倒的に分が悪い。失点78はともかく、得点が47とガクンと落ちる。狭い東京ドームでの空中戦を得意とする巨人の強力打線も、千葉マリンでは打球がフェンスを容易に超えていかない。
「衝撃的だった」。ロッテの今江が振り返った。前回の巨人との対戦では、東京ドームで2連敗。12球団トップのチーム打率を誇るロッテの打線が、完璧に打ち負けた。「これはちょっとスゴいなぁ、と見とれてしまった」と素直に脱帽した今江だが、本拠地に戻るとロッテはまったく別のチームになる。
6月1日の試合で猛打が爆発。3回にその今江の2点本塁打で勢いに乗ると、12安打11得点と巨人投手陣を木っ端みじんに粉砕した。投げては、先発左腕のマーフィーが7回を4安打無失点。後を受けた橋本、古谷も得点を許さず、巨人に今季初の完封負けを食らわした。
「試合前から(好調の)ジャイアンツをやっつける、という気持ちでみんなが燃えていた。野手も序盤から大量点を取ってくれたしね」。ロッテの外国人投手としては、57年ぶりとなる開幕から無傷の4連勝を記録したマーフィーは試合後、勝利の要因に「打倒巨人」と「大量援護」を挙げたが、勝因はそれだけではない。
今季のロッテは、とにかく本拠地の千葉マリンでめっぽう強い。この日の大勝を含め、計24試合で17勝6敗1分け。本拠地での勝率は実に7割3分9厘を誇る。これが敵地の試合になると、勝率が5割3分3厘(16勝14敗)まで落ちるのだから、その違いは歴然だ。
投手陣には、地の利が生きる。東京湾に隣接する千葉マリン球場の上空には、常に風速5〜10メートルの南からの強い「海風」が吹き荒れている。その「海風」がバックネット付近を直撃するため、マウンド上の投手には向かい風になる。これが、登板試合数の少ない他球団投手には制球の乱れをもたらすが、ロッテの投手には有利に働く。
アゲンストの風を受ける変化球は曲がりとキレが増し、これを熟知するロッテの投手陣は自由自在にボールを操る。特に変化球を主体にする投手は、そんな「マリンの恩恵」を受け、好投しやすい。吉見、渡辺俊、マーフィーの先発で成し遂げた3試合連続完封は決して偶然ではないのだ。
打線も本拠地ではその威力を増す。相手投手が「風」に悪戦苦闘することもあるのだろうが、敵地では.286のチーム打率が、千葉マリンに限ると.299と跳ね上がり、1試合の平均得点も敵地の5.2点に対し、6.2点。
この日も、まるで狙っていたかのように、少々のボール球でも思い切って強振してくるロッテの各打者に、巨人投手陣は完全にのみ込まれた。他球団が「千葉マリンでのロッテ打線は手がつけられない。面白いように安打が出る」とクビをかしげるほどなのだ。
交流戦では本拠地で無傷の7連勝。交流戦でもリーグ戦でも首位に浮上した。東京ドームで巨人に衝撃を受けたロッテナインだが、今度は巨人が千葉マリンでのロッテに衝撃を受けたはずである。