わたしはかもめ2010年鴎の便り(11月)

便

11月2日

日本シリーズ第3戦

◇千葉ロッテ7−1中日(千葉マリン)

投打がかみ合ったロッテが快勝した。3回にサブローの適時打で追い付き、4回には2死満塁から清田の走者一掃の三塁打と井口の二塁打で一挙4点を勝ち越し。7回にも2点を奪って突き放した。渡辺俊は巧みな緩急でタイミングを外し、1失点で無四球完投。中日は山井が4回に制球を乱し、走者をためてしまった。打線も5安打と振るわなかった。

123456789R
中日0010000001
千葉ロッテ00140020x7

◇大舞台で勝負強さ清田

第1戦で新人としてはあの長嶋(巨人)以来の本塁打を放った千葉ロッテの清田がまた、勝負強さを見せた。4回に勝ち越しの3点三塁打を放ち「もう最高ですよ。最高」と興奮が冷めなかった。1−1の4回は1死二、三塁の絶好機で岡田が二ゴロ。西岡が歩いた2死満塁で打席に入った。2球ボールが続いた後の3球目を強振し「しっかりととらえることができた。打った瞬間に抜けると思った」。打球は低い弾道でぐんぐん伸び、中堅手の頭上を越える走者一掃の一打となった。

西村監督
「この球場でやると力になる。渡辺俊は落ち着いていた。清田はルーキーで大したもの。結果を出せなかった岡田をカバーした。今年のうちの野球そのもの。もう1度気を引き締め、力を合わせて臨みたい。」

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ロッテのキヨ!元祖以来新人V打/日本S[ニッカン]

また清田が打った。1勝1敗で千葉マリンに舞台を移した第3戦で、ロッテの新人清田育宏外野手(24)が、同点弾を放った第1戦に続き大活躍だ。1−1で迎えた4回、中日山井から中堅越えに走者一掃の三塁打を放った。日本シリーズでの新人のV打点は、86年西武清原(対広島第7戦)以来。ここまで4打点で、岩下(東映)原(巨人)上川(中日)の持つ新人打点記録(6)の更新、近藤昭(大洋)高田(巨人)山口(阪急)に続く、史上4人目の新人MVPもみえてきた。

どや!ワイも「キヨ」やでぇ〜!清田がまたしても大仕事をやってのけた。1−1の4回、2死満塁。カウント0−2から山井の142キロ直球をはじき返した。力負けしなかった打球は伸び、中堅大島の頭を悠々と越えた。走者一掃の勝ち越し三塁打。「打った瞬間に抜けると思ってましたよ。1発で仕留められたのはよかった。もう最高ですよ。最高!」と興奮冷めやらぬ様子だった。

持ってる男とはこの男のことか。シリーズ第1戦では長嶋らを抜くポストシーズン3本塁打の新人記録を打ち立て、この日は、86年の清原以来となる日本シリーズでのルーキーV打。まさにお祭り男だ。今年1月2日に行われたイベントでは、ファンから「キヨ」コールを受けた。期待に応えるように「清原さんみたいな活躍ができる選手になりたい」と堂々と誓った。生まれた年は1986年。清原が記録を打ち立てた年だった。それでも「ロッテのキヨ」襲名かと問われると、「なれないです。まだ早いです」と謙虚な姿勢は崩さなかった。

8月からレギュラーに定着し、CSから一気に主役に躍り出た。「特に変わったことはしていない」と話すが、自然と変わっていた。この日、東洋大の先輩でロッテのOBでもある和田孝志氏が球場に訪れ「春に会った時に比べて体が一回りでかくなった。分厚くなった」と話すほど、体つきは変わっていた。恒例の早出特打で毎日スイングし、下半身を軸にした打撃を繰り返した結果、筋肉は自然と増量していた。「あいつの練習量はすごい。筋トレはしてないけど、体重は増えたんじゃないですか」と関係者も証言。実感はなくても、飛距離は確実に上がっていた。

思いきりのいいスイングも的確な判断力があってこそだ。シーズン最終戦が雨で中止となった際、シートをかぶったグラウンドを見詰めていると、「ヘッドスライディングをやるか」と言われたが、「ケガしたり、風邪をひいたらいけないので」と自粛。レギュラーの自覚十分だった。

西村監督を「大したもんです」とうならせた男は、日本シリーズのMVPレースでも先頭に立った。60年の近藤昭仁(大洋)68年の高田繁(巨人)75年の山口高志(阪急)に続く、史上4人目の新人での獲得も夢ではない。「大勢のファンの前で西村監督を胴上げしたい」。あと2勝で05年以来の日本一。ロッテの「キヨ」のバットが、千葉に歓喜を呼び寄せるに違いない。

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詰まっても4番サブロー同点打/日本S[ニッカン]

ライトスタンドが揺れた。ロッテの4番サブロー外野手(34)が同点適時打を放った時だった。1点を追う3回2死二塁。ポストシーズンに入って絶不調だった男が、山井のシュートを詰まりながらも中前へ運び、一塁ベース上で思わず手を挙げた。「自分の中で最高の打撃ができたわ。とにかくつなぐ気持ち。変化球が入っていなかったので真っ直ぐ系を狙っていた」と、ようやく笑みがこぼれた。

4試合ぶり適時打だった。クライマックスシリーズでは合計8試合でわずか3安打に終わり、どん底を味わった。レギュラーシーズン後半から腰を痛めていたことも影響したが、弱音は一切吐かなかった。「これ以上悪くなることはない」と開き直った。さらに、この日はバットも変えた。「最近バットが振れていないから、いつも使っている930グラムから910グラムにした。本当は重い方がいいんだけど」という苦渋の決断が、功を奏した。

今年から就任した金森打撃コーチの「詰まってもいいから腕を押し込め」という打撃理論の下、詰まることを恐れずに振り切る打撃を実践している。1打席目にバットを折りながらも中前へ運んだ打撃はまさに真骨頂だった。「久々のマリンはええなあ!ここに来ると打てそうな気がする」と頼もしく復活宣言した。

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俊介、弱風計算し97球無四球完投/日本S[ニッカン]

日本シリーズはサブマリンにお任せ。ロッテ渡辺俊介投手(34)が緩急を生かした投球で、中日打線相手に5安打1失点で完投した。いつもより弱い本拠地千葉マリンの風を計算に入れ、わずか97球で9回を投げきった。日本シリーズでは05年に阪神打線を無四球完封し、シリーズ史上初の2試合連続無四球完投となった。第2戦では大量12失点で中日に流れが傾きかけたが、ベテランの頭脳的な投球がチームに大きな1勝をもたらした。

右翼席からの俊介コールに、渡辺俊はグラブをはめた左手を上げてこたえると、帽子を脱いで頭を下げた。温かいホームの声援に後押しされていた。「CSのヤフードームでは、いい投球をしても、オレ何か悪いことをしたかなあって感じでしたが、今日はいいことをしたんだって思えました」と笑わせた。

シンカー中心の力みのない投球がさえ、わずか97球で無四球完投勝利。05年の阪神とのシリーズ第2戦で完封したのに続く、2試合連続無四球完投は史上初の快挙だ。さらに100球未満での完投勝利は64年スタンカ(南海)以来6人目、10度目。まさに記録ずくめの投球に、西村監督も「今日は落ち着いてましたね。ここに来て状態がいいんです」と目を細めた。

準備は念入りだった。宮崎でのミニキャンプから、名古屋へ飛行機で飛んだ28日、手元にあった2冊の本のうち、大好きな伊坂幸太郎らが書いている短編集を手にとった。もう1冊は長編小説。「大事な試合が近づいてくると、長編じゃなくて短編にするようにしてるんです。ベッドとかで寝そべって同じ体勢で夢中で読んでると、筋肉が固まってしまう。短編なら区切れますからね」。細かいことまで気を配ったのは、結果を出すためだった。

3回に日本シリーズで初めて失った1点については気にとめていない。左直で三塁走者の谷繁は飛び出し、帰塁してからタッチアップしたが、清田の送球が乱れセーフになった。「清田が、ちゃんと投げてたらアウトでした。すみませんって言ってくれて、今、絶好調だし、絶対、打って返してくれると思ってました」。一緒にお立ち台に上がったルーキーにも感謝しながら投げきった。

第2戦でマーフィーが炎上したことが、チームには大きな誤算になっていた。渡辺俊まで崩れたら、第7戦までもつれた際の先発がいなくなるところだった。右ひじ痛から復活登板の唐川と、中日との対戦経験のないペンは未知数。星勘定以上に、崖っぷちにいたチームを救ったのは、頼れるサブマリンだった。

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ロッテ・清田、V打で2勝!新人MVPだ[サンスポ]

今度も清田だ!!1勝1敗のタイで迎えた日本シリーズ第3戦は、ロッテが中日を7−1で下し2勝1敗とした。4回に清田育宏外野手(24)=NTT東日本=が走者一掃の中越え適時三塁打を放ち、シリーズ3試合で4打点の荒稼ぎ。巨人・長嶋茂雄が新人時代の1958年に記録した、シリーズ5打点の記録も射程圏。日本一なら、新人では4人目のMVPも視界に入ってきた。

約1ヶ月ぶりに帰ってきた本拠地・千葉マリン。狂喜乱舞するスタンドの大歓声を背に、清田は全力疾走で三塁ベースに達した。

「一発で仕留められてよかった。もう最高です」。同点で迎えた4回2死満塁、走者一掃の中越え適時打。試合をひっくり返し、流れを呼び込む一撃で竜を沈めた。第1戦でも同点のソロアーチを放つなど、日本シリーズで存在感を示すルーキーは、真っ先に感謝の言葉を口にした。「毎日、金森さんに指導してもらっているおかげ。練習通りやれば、こうなります」。

左脇腹を痛め、開幕は2軍スタート。ようやく5月24日に1軍昇格を果たしたが、打率は2割台前半と低迷した。そんなとき、金森コーチと二人三脚の“秘密特訓”が始まった。本拠地で試合が終わるとブルペンに向かい、同コーチの前で長崎打撃投手の球を30分以上も打ち続ける。「何故凡退したのか、何故ボール球に手を出したのか。今日の試合の反省は明日の予習になるんや」という同コーチの指導で、打率は上昇。日々の積み重ねが、ここにきて結果につながった。

第1戦では吉見からバックスクリーンへ同点弾を放ち、1958年の巨人・長嶋茂雄以来となる第1戦での新人本塁打を記録。この日の三塁打も合わせシリーズ4打点。同年に5打点をマークした長嶋にあと1打点と迫り、“ミスター超え”さえも射程圏だ。日本一になれば、1975年の山口高志(阪急)以来4人目となる新人の日本シリーズMVPも視野に入ってきた。

「4回は岡田がアウトになったけど、清田がカバーしてくれた。それがうちの野球。思い切りがいいね。ルーキーだけどたいしたもの」と西村監督も目を細めた。

リーグ3位からはい上がり、セの王者に2勝1敗とした。海風、声援、そして“シリーズ男”の清田がいる。勢いなら負けない。悲願の日本一へ、3日王手をかける。

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ロッテ・俊介、97球スイスイ無四球完投[サンスポ]

サブマリンが本領発揮だ。日本シリーズ第3戦に先発したロッテ・渡辺俊介投手(34)が、中日打線を手玉に取った。打者のタイミングを外して凡打の山を築き、わずか97球の無四球完投勝利。05年の第2戦では無四球完封勝利を挙げており、2度の無四球完投はシリーズ記録。第2戦で12点を奪われた中日打線の勢いを、たった1人で鎮火した。

水を得た魚とはこのことだ。本拠地初戦の先発を任された渡辺俊が、中日打線をわずか5安打に抑え1失点完投勝利。風速2メートル前後でも不規則に変化する千葉マリンの風と、ファンの大歓声を楽しみながら、淡々と凡打の山を築いていった。「本拠地なので落ち着いて投げられました。グルグル回る風で忙しかったけど、このくらいの強さならね。自分の投球ができたと思います」。

これぞ“俊介ワールド”の97球だった。同点に追いついた直後の4回、先頭の森野に右前打を許したが、続く和田は初球のシンカーを引っかけさせて遊ゴロ併殺打。「大きかった。流れがこっちにくるポイントだった」。打者の打ち気を誘い、それをはぐらかす。持ち味が生き、勝負どころをものにした。

好投のポイントは「リキまないこと」だった。9月には、自身初めて不調による2軍落ちを経験。そこで「力で抑える投手ではない」と原点に立ち返った。投げ急がないように気持ちを整え、フォームも修正。この日も力が入りそうになる序盤、ともに2軍生活を送った里崎が声をかけてくれたことで、ペースを乱さなかった。

後輩達の活躍も発奮材料だった。母校の国学院大が、創部80年目で東都大学リーグ戦初優勝。この日の好投は、13日に開幕する明治神宮大会で日本一を目指す後輩への最高のエールとなる。「国学院に日本一になって欲しい」。もちろん、ロッテも日本一になる。

「いい流れがこっちにきてくれれば。また対戦があるかもしれないし、次にもつながると思う」。第7戦までもつれれば、中4日で再び先発の可能性もある。ナゴヤドームに風はないが、渡辺俊の存在そのものが、中日に強いプレッシャーを与える。

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頼れるロッテのアニキだ!井口.538[サンスポ]

勝負どころは見逃さない。4回、清田の三塁打で勝ち越した直後。気落ちした山井の初球を仕留めた。5点目の右中間適時二塁打を放つと、井口は二塁ベース上でこぶしを突き上げた。「甘いボールなら初球から積極的にいこうと狙っていた。目の前で清田が打ったので、楽な気持ちで打席に入りました」。

7回には左翼線二塁打を放ち、6点目のホームを踏んだ。この3試合で13打数7安打(打率.538)の猛爆ぶり。毎日時代の1950年に、別当薫氏が記録したシリーズ球団最多安打の12本を超える勢いで安打を重ねている。

米大リーグからロッテに移籍して2年目。35歳のベテランは、西村監督の体が宙を舞う姿を思い描いて戦っている。「厳しさの中にも、選手目線に立って温かな視線を注いでくれる。何とか日本シリーズで胴上げしたいんです」。

ホワイトソックス在籍時の2005年には世界一を経験。歴戦の強者が、ロッテを引っ張っている。

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ロッテ・サブロー、3回同点適時打![サンスポ]

4番・サブローが同点適時打を放った。1点を追う3回、2死二塁で山井のシュートをつまりながらも中前に運んだ。この日は通常よりも20グラム軽い910グラムのバットで試合に臨んだ。「振れていなかったので軽くしました。つまってもいいからボールの内側をたたこうとしたのがよかった」と笑顔だった。

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清田、満塁一掃!清原以来の新人V打!!…ロッテ[報知]

ロッテが新人・清田のV打で2勝1敗と勝ち越した。同点の4回2死満塁から走者一掃の3点適時三塁打で試合を決めた。ルーキーのシリーズ勝利打点は、86年の清原(西)以来の快挙となった。投げては先発の渡辺俊が、5安打1失点で完投。シリーズでは阪神を完封した05年の第2戦から、2試合連続の完投勝利を飾った。中日は交流戦7試合で1勝5敗の天敵サブマリンを打てず完敗した。

自然と力が入った。清田は三塁へ滑り込むと、腹の底から雄たけびをあげ、右拳を振り上げた。「金森さんに『練習通りいけ』と言われて楽に入れた。一発で仕留められて良かった」。ミラクルルーキーが、大舞台で最高の仕事をやってのけた。

同点の4回2死満塁。直球が続けて外れ、カウントは0−2となった。押し出しも頭によぎる場面だが「次は絶対に直球が来ると思い、絞っていた」。3球目、高めに浮いた142キロをフルスイングではじき返した。打球は中堅フェンス手前ではね、走者一掃の3点適時三塁打。新人のシリーズでの勝利打点は、86年の清原(西武)以来。第1戦で58年の長嶋(巨人)以来のルーキーでの本塁打を放ったが、それに続く快挙だった。西村監督も「元々思い切りのいい打者だが…。ルーキーですからね」と驚きの表情でほめたたえた。

栄光までの道のりは長かった。5月上旬、右ひざを故障した同期の荻野貴の代役に指名され、1軍に昇格。金森打撃兼野手チーフコーチから指導を受け「脇を締め、ボールを引きつけて打つ」打法を伝授された。だがわずか10試合の出場で再び降格を味わった。「金森さんに教わったことを忘れてしまうかも」と漏らしたこともあったが、「全然、試合出てないからしょうがない。とにかく結果を残そう」と決意を固めた。

7月上旬に1軍に戻ると、師匠と岡田とともに1日も欠かさず早出と試合後の特打を繰り返した。努力とともに打率は上昇し、外野の一角を担った。同期の荻野とは寮に帰れば会話をし、遠征先ではメールを交換。「本塁打を打つと『エグいね』とかメールをくれる。荻野の分までと思って一生懸命だった」。けがに泣いた同期のため、バットを振り続けた。

1ヶ月ぶりの本拠地戦となったこの日も、試合前に早出で汗を流して準備し結果を出した。3回の守備では荒木の浅い左飛をスライディングキャッチしたが、送球にもたつき先取点の走者の生還を許した。「いいボールを返していれば」と活躍しても反省は忘れなかった。

清田の活躍に乗せられた打線は10安打7得点と竜投手陣を粉砕し、2勝1敗とリードした。シリーズの打率を3割6分4厘とした24歳は「ラッキーボーイ?まだ早いです。ロッテのキヨ襲名?なれません。まだ早い」と謙遜しつつも、「あと2勝して西村監督を胴上げしたい。チームの勝利に貢献できるように打ちたい」と宣言。史上初のリーグ3位から栄光の頂点へ。シリーズ男に躍り出た黄金ルーキーの勢いに乗って、一気に駆け上がる。

清田育宏(きよた・いくひろ)
1986年2月11日、千葉・鎌ケ谷市生まれ。24歳。市柏から投手として東洋大進学。4年で強打を生かして野手に転向し、才能が開花。NTT東日本から09年ドラフト4位でロッテ入団。180センチ、85キロ。右投右打。独身。年俸1500万円。
1986年日本シリーズでの西武・清原
第1戦で左足親指に自打球を当て亀裂骨折しながらも、全8試合に「4番・一塁」で先発出場。2勝3敗1分けで迎えた第7戦では、両チーム無得点の初回2死三塁から左翼線へ適時打を放ち、これが決勝点となった。清原は8試合で31打数11安打、打率3割5分5厘、2打点、1本塁打をマーク。シリーズ首位打者となり、日本一に大きく貢献した。

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俊介97球完投!100未満スタンカ以来46年ぶり…ロッテ[報知]

幕張の潮風にも後押しされ、渡辺俊がオレ竜を黙らせた。球速がほとんど変わらない120キロ前後の直球とシンカーに、90キロ台のカーブを織り交ぜて低めを突く。わずか97球で5安打1失点で無四球完投だ。「調子が良かったので、点が入ろうがヒットを打たれようが同じように投げました」。日本シリーズでの100球未満での9回完投勝ちは、64年第6戦の南海・スタンカ以来、46年ぶりの快投だった。

投球術がさえた。同点にした直後の4回、先頭の森野に右前打され、迎えるのは和田。だが、その初球、真ん中からシンカーを落として引っかけさせ、注文通り遊ゴロ併殺に仕留めた。「打ち気を利用した?それが持ち味ですから。一歩間違えれば(野手の)間を抜けるけど、徹底しました」。相手の主砲を4タコに封じ、ほくそ笑んだ。

決戦を前に運命的な“出会い”があった。日本シリーズの直前合宿を行った宮崎に移動した10月22日、羽田空港の書店で1冊の本を購入した。「利休にたずねよ」(山本兼一著)。自らの美学を貫いて天下一の茶頭に上りつめた千利休を題材にした、直木賞受賞作に深い感銘を受けた。

「自然体の中でのこだわり、心の持ち方が参考になった。これから自分のバイブルになると思う」。球界屈指の“遅球”を追い求める自らに重ね合わせ、この日も力んでしまいがちな自分を「力で抑えるピッチャーじゃないんだ」と何度も戒めた。

5年前の日本シリーズでも、第2戦で4安打無四球完封勝ち。4連勝での日本一を呼び込んでいる。「たまたまっす」と素っ気なかったが、「これで流れがこっちに来てくれれば」。精密機械のようなサブマリンが、力ではなく技で中日に傾きかけていた流れを一気に引き寄せた。

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井口雪辱打!打率538と絶好調!…ロッテ[報知]

井口のハートに火がついた。3点リードの4回2死三塁。チャンスに燃えた一振りは、右翼フェンスに届く適時二塁打だ。「初球からタイミングが合った。甘い球を打てた」。清田の勝ち越し打に続く一撃を放ち、自然と声のトーンは上がった。

ベテランの技術が光った。山井のど真ん中に入った初球を見逃さず、逆方向にはじき返した。「(山井は)いいピッチャーなので、振って感覚を合わせようと思っていた。初球から打てるボールが来たら、積極的にいこうと狙っていた」とわずか1球で仕留めて胸を張った。今シリーズは、13打数7安打の打率5割3分8厘と絶好調。存在感抜群の働きで、好調打線の牽引役だ。

悔しさを晴らしたかった。10月31日の第2戦(ナゴヤD)では、初回にピンチを広げる悪送球など守備で足を引っ張り、大敗を招いた。「気持ちを切り替えてやっていきたい」の言葉通り、きっちりミスを取り返した。

05年、ホワイトソックスの一員としてワールドシリーズ制覇を経験したベテランは「また明日が大事です。打線も当たりが出てきたし、明日も早い回に打って援護したい」と引き締めた。ルーキー・清田の勢いに負けじと、豊富なキャリアで勝利に貢献する。

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初スタメンの福浦が4点口火打![スポニチ]

今シリーズ初スタメンのロッテ・福浦が起用に応えた。6番・DHで出場。同点の4回に先頭打者として4得点の口火を切る二塁打を放つと、7回1死三塁ではダメ押しとなる左犠飛を放った。「ちょっと緊張したけど、最低限の仕事ができてよかった」。05年の日本シリーズでは11打数4安打4打点と、日本一に貢献したベテランは「一戦一戦大事にして勝利に貢献したい」と話した。

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今江、ファンに感謝のシリーズ3戦連続打点![スポニチ]

ロッテの今江がシリーズ3戦連続打点をマークした。初回2死一、二塁のチャンスでは投ゴロに倒れたが、7回無死二、三塁の場面できっちりと右犠飛で追加点を挙げた。「初回に打てなかったのが悔しかった。おいしいところで打ちたかったけど、追加点が取れて良かった」とホッとした様子。久々の本拠地には「声援が凄かった」とファンに感謝していた。

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サブローの賭け!軽量バットで目覚ます[スポニチ]

短期決戦において不振の打者が調子を取り戻すことは並大抵のことではない。ロッテの4番・サブローも1度崩した打撃フォームを修正できずにもがき苦しんでいた。何かを変える必要がある。サブローの場合は軽量バットだった。そして1点を追う3回2死二塁での値千金の同点適時打につなげた。

CSからシリーズ第2戦まで10試合で通算36打数4安打、打率.111。打てない中でサブローは「速い球に振り遅れたり、差し込まれる傾向が強い」と自己分析。指3本分バットを短く持っても振り遅れる。そのため第3戦を迎え930グラムのバットを910グラムと20グラム軽くした。打撃フォームを崩す危険性と背中合わせのため、シーズン中でも重さをめったに変えないというが、大舞台で大きなかけに出た。

「バットを軽くするのは嫌だったけど、やるしかなかった」。結果は吉と出た。初回、山井の初球、141キロの内角シュートを中前に打ち返した。二塁ベース後方に落ちる詰まった打球。しかし打球を詰まらせて内野と外野の間に打球を運ぶことがサブローの本来の打撃スタイルであり、“つなぎの4番”と言われるゆえんである。最初の打席で軽量バットの手応えをつかんだ。

そして迎えた3回の第2打席。それまで山井は千葉マリン独特の風に苦しみ、スライダーの制球に苦しんでいた。1ストライク2ボールから外角のスライダーが外れ、サブローはさらに速球系に的を絞った。そこに真ん中付近へシュート。第1打席と同じ球種。狙っていた速球系をまたしても詰まらせて中前へ運んだ。「詰まっての安打、バットを折っての安打が自分の中で最高の打撃」。速球系に振り遅れるデータがあった中日バッテリーも軽量バットまでは読み取れなかっただろう。眠れる4番が目を覚ましたことで、ロッテ打線が活性化された。

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渡辺俊、得意の竜斬り!97球1失点完投[スポニチ]

慣れ親しんだはずの海風が、これまで以上に心地よかった。先発の渡辺俊が9回5安打1失点。堂々の完投勝利だ。「点が入ろうと、打たれても、状態がいいので同じように投げていた。自分の投球ができた」。

勝負どころを知っていた。同点に追いついた直後の4回だ。無死一塁で和田を初球、119キロのシンカーで遊ゴロ併殺打。2試合で8打数5安打と絶好調の4番を抑え、続くブランコは空振り三振。「あそこを抑えれば流れが来ると思った」。5回以降も0行進。2戦目に12得点を奪い、勢いづく強竜打線を封じた。

9月中旬。不調で2軍落ちした。故障以外でのファームはプロ10年目で初。どん底の中、再認識した。「1軍では試合前の何時何分にうどんを食べるとか決まっていた。全て与えられていた。自分を見つめ直せた」。忘れていた初心。若手に交じり下半身を鍛えた。

技術面でも原点を思い出した。本拠地特有の海風を利用するうち、本来の自分を見失っていた。「緩急が自分のスタイル」。2軍ではカーブを再調整。無風状態でもブレーキが利き、我慢比べに負けた打者が前のめりになるほどの切れを取り戻した。西武とのCSファーストSでは中継ぎで勝利に貢献。先発した10月17日のファイナルS第4戦では、ソフトバンク打線を9回途中まで2失点に抑えた。風のない2つのドーム球場で結果を残し自信も深めた。この日は自身の特性を最大限に生かせる本拠地の傾斜の低いマウンドで最速は121キロ。その一方で90キロ前後、最大スピード差33キロの「遅球」が生きた。

球数は97球。打者31人に対し、3ボールは1度もなし。自信を持ってストライク先行の投球ができた証拠だ。日本シリーズで100球未満での9回完投は46年ぶり。西村監督も「今日は凄く落ち着いていた」と褒めちぎった。本拠地での中日戦、無傷の5連勝男は「(次に)どこで投げるにしても準備しやすいですから」と省エネ投球を振り返った。次回は7日の第7戦(ナゴヤドーム)での先発が濃厚。出番が回ってきたとしても自信を持ってマウンドに立つ。

里崎
「今日は低めに投げさせることを意識した。相手を見ながら逆を突いて合わせられないようにした。押し引きはうまくできた。」(渡辺俊について)

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短期決戦はこうやる、井口、普段なら見逃す球も振りにいく積極性[スポニチ]

ロッテの井口が3試合連続のマルチ安打。この試合の2本はどちらも得点に絡み、勝負強さを際立たせた。CSからここまで好調を維持。普段なら見逃す球も振りにいく積極性で、3打席目に適時二塁打。日米で豊富な短期決戦の経験がその陰にあることをうかがわせる。4戦目以降については「先手先手で進めていきたい」と、その勝ち方も熟知しているような言葉を残した。

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また清田だ!今度は満塁一掃V適時三塁打[スポニチ]

シリーズ男だ!日本シリーズ第3戦は2日、舞台を千葉マリンに移して行われ、ロッテが7−1で中日に快勝。2勝1敗とした。同点の4回に清田育宏外野手(24)が満塁一掃の決勝適時三塁打。ラッキーボーイとなっている新人が第1戦の同点弾に続く大仕事をやってのけた。先発の渡辺俊介投手(34)が無四球完投勝利を飾るなど、1ヶ月ぶりに帰ってきた本拠地で強さを見せつけた西村ロッテ。千葉の強烈な追い風を受け3日の第4戦で一気に王手をかける。

狙い通りだった。同点の4回2死満塁。清田は2ボールからの3球目、142キロ直球が真ん中高めに来たのを逃さなかった。中越え三塁打で3点勝ち越し。三塁に滑り込むと、右拳を振り回して喜びを爆発させた。

「2ボールだし、ゾーンを高くして真っ直ぐ一本に絞って待っていた。たまたま、そこに来ましたね。一発で仕留められたのは良かったです」。中日先発の山井は変化球の制球に苦しんでおり、ストライクが欲しい場面。直球が来るのを確信し狙い打った。レギュラーシーズン最終戦の10月1日、オリックス戦以来となる千葉マリン。満員のファンを沸かせ、逆転勝利を呼んだのはルーキーらしからぬ冷静な読みと勝負強さだった。

◇清田育宏(きよた・いくひろ)

出身
1986年(昭61)2月11日、千葉県生まれ。
サイズ、投打
1メートル80、85キロ。右投げ右打ち。
経歴
五本松小2年で野球を始め、5年から投手。市柏では3年夏は千葉大会準決勝で敗退。東洋大3年秋のシーズン後から本格的に打者に転向。NTT東日本から昨年ドラフト4位でロッテ入団。
愛称
社会人時代から「キヨ」と呼ばれ、自ら「キヨと呼んで欲しい」。
好きなタレント
佐々木希。トリプルスリーを達成してのCM共演が目標。
好きな食べ物
焼き肉。体力をつけるはずが、食べ過ぎて胃もたれすることも。
趣味
釣り。

◇新人で三塁打&本塁打はミスター以来!

ルーキーの清田(ロ)が4回2死満塁で走者一掃の三塁打。新人のシリーズ三塁打は

56年第5戦
坂崎(巨)(1打点)
58年第1戦
長嶋(巨)(1打点)
62年第1戦
青野(東)(2打点)
68年第3戦
高田(巨)
10年第3戦
清田(ロ)(3打点)

と清田は5人目。第1戦では本塁打を放っており、新人で三塁打と本塁打をマークしたのは58年長嶋に次いで52年ぶり2人目になる。

また、シリーズで満塁走者一掃の三塁打は過去に98年第5戦の駒田(横)しかおらず、清田は2人目だ。今季レギュラーシーズン、CSの満塁機は5度あって無安打とさっぱりだったが、シリーズで初安打が出た。なお、清田の今シリーズの通算打点は4。新人のシリーズ最多打点は62年岩下(東映)、81年原(巨)、82年上川(中)の6打点だが、どこまで積み上げるか。

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悪癖矯正、選球眼向上、清田、才能開花のワケ[スポニチ]

第1戦でも長嶋(巨人)以来の新人アーチを放ったロッテ・清田。投手から本格的に打者転向したのは東洋大3年の冬だった。大砲としての才能はすぐに開花し、4年春には4番を打ち、ベストナインにも選出された。だが、社会人を経て入団したプロは甘くなかった。左脇腹の肉離れもあって開幕2軍。5月末に負傷離脱した同期入団の荻野貴と入れ替わるように1軍昇格を果たすと、それまでの打撃スタイルを捨てた。

金森打撃コーチの指導でギリギリまで球を引きつける打法に着手した。最初は差し込まれて前に飛ばない。構えた際のグリップの位置を下げ、インパクトまでの距離を詰めた。バットのヘッドが外回りする点、左脇が開く悪癖も矯正。球を引きつける分、選球眼が良くなり確実性も増した。

積極性を失わないのは西岡から「2ボール、3ボールでも甘い球は思い切って打っていけ」と助言を受けてから。初めて2番に起用された8月27日のソフトバンク戦(ヤフードーム)では西村監督から「9番も2番も変わらないぞ」と言われ、小技だけではない、パンチ力もある2番へと成長を遂げた。この試合も初回はバットを折りながら中前打し、3回は犠打を決めて同点劇を演出。そして4回は長打で試合を決めた。

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騒がれる清田「まだ早いんじゃないかと思う」[スポニチ]

ロッテ・西村監督は「元々思い切りがいいけど、ルーキーだから大したもの」。ラッキーボーイと騒がれることに清田は「まだ早いんじゃないかと思う」と照れた。史上初のリーグ3位から日本一へ。2勝1敗とリードを奪い、清田は「残りも2連勝して、西村監督を千葉で胴上げしたい」と言った。大観衆を味方につけ、このまま本拠地で歓喜の雄叫びを上げる。

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すごい…渡辺俊、59年ぶり2人目の快挙、無四死球は新記録目前[スポニチ]

ロッテ・渡辺俊が05年阪神第2戦の完封勝利に次ぎ2試合連続の無四死球完投勝利。日本シリーズ初登板初完封の次戦で完投勝利は51年藤本(巨人)に次ぎ59年ぶり2人目の快挙だ。また、シリーズで2度の無四死球完投は稲尾(西鉄)、村山(阪神)に次ぎ3人目で、2戦連続は渡辺俊が初。過去の2人を見ると、いずれも1試合が完投敗戦となっており、2度の無四死球完投勝利も史上初めてだ。なお、シリーズの連続イニング無四死球は55年別所(巨人)の18回2/3が最多。現在18回の渡辺俊が次回の登板で記録更新に挑戦する。

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大松はベンチ外、第4戦は当日「考えます」[スポニチ]

第1戦で右太腿を肉離れしたロッテの大松は、第2戦に続いてベンチ入りメンバーから外れた。試合前もグラウンドには姿を見せず、電気とアイシングによる治療と体幹トレーニングのみで打撃練習は行わなかった。「今日はダメ、無理です」と西村監督。3日から打撃練習を再開させる可能性はあり、第4戦からの代打起用について、青山総合ベンチコーチは「良くはなっている。明日考えます」と話した。

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ロッテ、3連勝地元胴上げへ必勝祈願[スポニチ]

千葉マリンスタジアム球場正面ステージで、ロッテの必勝祈願が行われた。多くのファンの前で成田山新勝寺の住職らが祈祷。レギュラーシーズン終盤には、成田山新勝寺で祈祷を済ませた「マーくん勝利の泉」を球場内に設置してから3連勝で3位を決めた経緯があり、瀬戸山球団社長は「今回も同じようにうまくいってくれれば」と3連勝での地元胴上げ実現に期待していた。

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渡辺俊「やっぱマリンは落ち着きます」…ロッテ[報知]

ロッテ・渡辺俊が本拠地の大声援と風を味方につけ、97球で完投勝ちを収めた。風の影響で独特の変化を見せる持ち球が、中日打線にまともなスイングを許さず5安打1失点。「修正しながら自分の投球ができた。忙しい風でした」と右腕は振り返った。

3回は犠飛で先制を許したが後続を抑え、4回は和田を遊ゴロ併殺打に仕留めて流れを断った。「3回は1失点なら流れが来ると思った。併殺も大きかった」。大歓声のお立ち台では「やっぱマリンは落ち着きます」としみじみ語った。

西村監督は「最近の調子を考えると、やってくれると思った」としてやったりの様子だった。

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ロッテ・清田、大舞台で勝負強さ「もう最高」[サンスポ]

第1戦で新人としてはあの長嶋(巨人)以来の本塁打を放ったロッテの清田がまた、勝負強さを見せた。4回に勝ち越しの3点三塁打を放ち「もう最高ですよ。最高」と興奮が冷めなかった。

1−1の4回は1死二、三塁の絶好機で岡田が二ゴロ。西岡が歩いた2死満塁で打席に入った。2球ボールが続いた後の3球目を強振し「しっかりととらえることができた。打った瞬間に抜けると思った」。打球は低い弾道でぐんぐん伸び、中堅手の頭上を越える走者一掃の一打となった。

息詰まる戦いが続いている。だが、度胸の座ったルーキーに緊張の色はない。「いい勉強になっている」と笑顔を浮かべる余裕があった。この日の一打も、ゆとりが生んだ。中日の山井が変化球でストライクが取れないのを見透かし「次は絶対に直球がくると思い、絞っていた」。狙い通りに高めの直球を仕留めた。

同期入団の荻野貴とは公私ともに仲がいい。故障で離脱した荻野貴が前半戦の快進撃を支え、後半戦は清田。「2人で合わせて(今季は)百点。荻野の分も頑張りたい」と臨んだ大舞台。満点の働きを見せている。

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ラッキーボーイ!ロッテ・清田がまた活躍[サンスポ]

ロッテは本拠地に戻り、打線が息を吹き返した。大松の不在を感じさせず、特に清田がラッキーボーイ的な存在になっており、短期決戦では好材料だ。第4戦の先発は中日と初対戦のペンか。成瀬を起用する前に3勝目を挙げれば、シリーズ制覇に大きく近づく。

中日は不得手な千葉で投打にリズムが崩れた。絶好調だった和田が沈黙し、井端は依然無安打。第2戦に続き、打線を組み替える可能性もある。先発は中田賢が有力。5年ぶりの千葉での登板で、流れを呼び戻せるか。

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省エネ完投!ロッテ・渡辺俊が中日打線翻弄[サンスポ]

地元に帰って“和”が復活!先発の渡辺俊は97球を投げ5安打1失点で5三振。中日打線を抑えれば、打線は繋がりを見せた。4回、福浦の二塁打から四球で繋ぎ、清田の適時打などで4点を奪い試合を決めた。

竜の勢いを止めてみせる。スタンドを埋め尽くしたロッテファンの期待を一身に集めて第3戦の先発マウンドに上がったのは渡辺俊。34歳のサブマリンが、第2戦で12点を奪った中日打線を翻弄した。1、2回をきっちり三者凡退。試合の流れをつくった。「もう1度こっちに流れをもって来られるような投球をしたい。交流戦で打たれた谷繁さん、森野は要警戒ですね」。

準備は万全だ。不調のため2軍落ちした9月。改めて自分の投球を見直した。ストライクを、アウトを取りたい気持ちが強すぎての投げ急いでいた。不調最大の要因が判明し、修正に乗り出した。本来のゆったりした、ためのある投球フォームを取り戻し、ポストシーズンに臨んでいた。

原点回帰。10年目にして初めて経験する不調による2軍生活をプラスに変えて、1軍に戻ってきた。「自分を見つめ直すことができた。2軍で貴重な経験をさせてもらいました」。

3回に2安打でピンチ招き、荒木の犠飛で先制されたが、動揺はなかった。4回無死一塁で4番・和田を遊ゴロ併殺打に仕留めて、中日に傾きかけた流れをせき止めた。そして、その裏に清田の勝ち越しの3点適時打と、井口の適時打で4点を勝ち越し。終盤にも2点を加えた。投打が噛み合い、第2戦の仕返しと言わんばかりの快勝だった。渡辺俊の力投が、打線の爆発を呼んだ。

西村監督
「この球場でやると力になる。渡辺俊は落ち着いていた。清田はルーキーで大したもの。結果を出せなかった岡田をカバーした。ことしのうちの野球そのもの。もう1度気を引き締め、力を合わせて臨みたい。」
西本投手兼バッテリーチーフコーチ
「冷静に丁寧に投げた。力むところで逆に力を抜いていた。」(渡辺俊に)
里崎
「要は軽く投げること。思い切り投げても(球は)速くならないから。」(渡辺俊が不振で2軍に落ちた時に助言)
今江
「暴投で二、三塁になったあと。1点でも取らないと、勝っても(第4戦に向けて)流れ的に良くない。」(7回の犠飛で3試合連続打点)

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渡辺俊、気まぐれな風つかまえ独特の変化[スポニチ]

シンカー、スライダー、カーブ。ロッテ・渡辺俊の持ち球が、気まぐれに変わる風をつかまえ、独特の変化を見せる。中日打者のタイミングを面白いように外し、サブマリンが本拠で波に乗る。

「修正しながら自分の投球ができた。忙しい風でした」と右腕は振り返る。得意とする強い向かい風ではなかったが、4メートル前後で向きを変える風にしっかりと対応。3回は犠飛で先制を許したが後続を抑え、4回は和田を遊ゴロ併殺打に仕留めて流れを断った。

「3回は1失点なら流れが来ると思った。併殺も大きかった」。居並ぶ好打者にまともなスイングを許さず、5安打、1失点で97球の無四球完投勝ち。大歓声を浴びたお立ち台では、涼しい顔で「やっぱマリンは落ち着きます」としみじみ語った。

西村監督は「最近の調子を考えると、やってくれると思った」としてやったりの様子。現状では成瀬に続く2番手の先発だが、あえて第2戦ではなく、相手の嫌がる千葉での先発を選択。ベンチの狙い通り、シーズン最終戦以来、約1ヶ月ぶりとなる本拠地で、大声援と風を味方につけた渡辺俊が躍動した。

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サブロー、20グラム軽いバットで2安打[スポニチ]

ロッテのサブローが同点打を含む2安打を放った。2戦目までは1安打で、ほとんどの打球が外野にも飛んでいなかった。その打開策に、この日は20グラム程度軽いバットに変えたという。「疲れているときに、たまにやる。ひらめいた」。

第1打席で中前打を放つと、次打席では試合を振り出しに戻す適時打をまたも中前へ。「詰まってもいいから、ボールの内側をたたこうと思った。詰まっての安打、バットを折っての安打が最高の打撃」。軽量バットで原点に返った内容に、満足げだった。

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短期決戦知り尽くす井口、3戦連続マルチ[スポニチ]

ロッテの井口は3試合連続の複数安打。この日の2本はどちらも得点に絡み、勝負強さを際立たせた。

クライマックスシリーズからここまで、好調を維持している。この日の山井対策は「どんどん振って、感覚を合わせていこうと思った」。普段なら見逃す球も振りにいく積極性で、3打席目に適時二塁打。日米で豊富な短期決戦の経験がその陰にあることをうかがわせる。4戦目以降については「先手先手で進めていきたい」と、その勝ち方も熟知しているような言葉を残した。

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里崎キレ重視好リード/日本S[ニッカン]

ロッテ里崎智也捕手(34)が、渡辺俊の1失点完投勝利をアシストした。「力まなかったところが良かった。力を抜いて投げたことでシンカーの曲がりがよく、コントロールのばらつきも少なかった」と褒めた。風速4メートルと軽風だったことから、風に頼らず本来のキレで勝負する作戦をとった。力を抜いたフォームからシンカーの曲がりが良かったことからシンカーを多投して中日打者を手玉に取った。

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今江「力んじゃった」/日本S[ニッカン]

ロッテ今江敏晃内野手(27)が、7回にダメ押しの打点をマークした。無死二、三塁から右犠飛を放った。三塁走者をタッチアップで生還させ、さらに二塁走者も三塁に進め、続く福浦の左犠飛も導いた。チームで唯一の3試合連続打点となったが「久々のマリンで力んじゃいました。1回にチャンスでも凡退。僕以外のみんなは逆方向に打っているのに、引っ張り気味でした。反省です」と、反省の弁を残し、球場を後にした。

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清田バンドに「笑顔」/日本S[ニッカン]

清田は「笑顔」という文字が刺繍されたリストバンドを右腕にしている。メーカーのミズノに頼んでつくってもらった。「いつも笑顔で楽しく、元気に野球をやっているところをファンに見てもらえるようにと思って」と、意図を説明していた。

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西本コーチが俊介絶賛/日本S[ニッカン]

ロッテ西本聖投手コーチ(54)は渡辺俊の完投を絶賛した。「冷静に低めを丁寧に投げられた。里崎のリードも良かったね。同点に追いついた直後の4回を併殺に仕留めて、無失点に抑えたことで流れをつかめた」と振り返った。1−1で迎えた4回無死一塁から、和田に対して打ち気をそらすシンカーで遊ゴロ併殺に仕留めた投球に「和田の特長をうまく封じた」と、してやったりの表情だった。

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福浦が球場応援に感謝/日本S[ニッカン]

今シリーズ初スタメンで7回にだめ押しの左犠飛を放ったロッテ福浦和也内野手(34)が、球場を埋め尽くしたロッテファンへ感謝の気持ちを表した。「あれだけたくさんのファンが応援してくれたんで。何とか勝利できて良かったです。まだ1戦1戦どうなるか分からないので、勝利に貢献できるように頑張りたい」と話した。

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井口強気で追加点/日本S[ニッカン]

ロッテ井口資仁内野手(35)が、貴重な追加点をたたきだした。4回、清田の三塁打で3点を奪った直後の2死三塁、初球の速球を右翼線へ適時二塁打を放った。井口は「前の打席はカウント1−3から強気で打って凡打(二飛)だったけど、甘いボールはどんどん振っていこうと思っていた」と話していた。

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1つに!西村監督強調/日本S[ニッカン]

ロッテ西村徳文監督(50)が、本拠地で中日を圧倒し、2勝1敗とした。レギュラーシーズン最終戦10月1日オリックス戦以来の千葉マリンでの試合。投打がかみ合っての白星に「(渡辺)俊介は落ち着いていましたね。3回に先制されましたが、慌てることなくしっかり投げてくれました。スローガン通り、みんな1つになって戦っている。(決勝の3点適時打を放った)清田は元々思い切りのいい打者。ルーキーなのに大したものです。1ヶ月ぶりのマリンスタジアム。皆さんの声援が力になりました。最初に勝てたのが大きい」と笑顔で振り返った。

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サブロー「普段通り」/日本S[ニッカン]

ロッテの4番サブローが、同点適時打を放った。1点を追う3回裏2死二塁から中前打。1、2戦合わせて1安打で打点はなかったが、サブローは「ここ(千葉マリン)に帰ってきたら、できそうな気がしていた」と、前向きに臨んでいた。2勝1敗と先行したものの「うちは挑戦者なんで、これからも普段通りの野球を続けるだけです」と、平常心を強調していた。

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よしっ!…俊介完投/日本S[ニッカン]

ロッテ渡辺俊介投手(34)が、1失点で無四球完投勝利を飾った。3回表に荒木の犠飛で先制点を許したが、渡辺は「1失点でしのげれば流れがくると思っていた。後続を絶てたので、むしろ『よしっ』という感じでした」。4回から8回までは二塁も踏ませぬ好投だった。05年の阪神との日本シリーズでも完封勝利を挙げているが「たまたまです。修正しながら自分の投球ができたのがよかった」と、満足そうに話していた。

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マリンで7点快勝/日本S[ニッカン]

本拠地に戻ったロッテが息を吹き返した。ロッテが中日に快勝し、対戦成績を2勝1敗とリードした。3回に中日が荒木の犠飛で先制。その裏、サブローの適時打で追いついたロッテは4回、清田の3点三塁打などで一挙4点。7回にも2点を追加した。投げては先発渡辺俊が、安定感抜群のピッチングで中日打線を5安打1失点に抑え無四球完投。第4戦は3日(午後6時15分開始)、引き続き千葉マリンスタジアムで行われる。

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清田3点適時打/日本S[ニッカン]

ロッテの集中力が4回に出た! 長打や犠打、2四球で好機を広げて2死満塁。清田育宏外野手(24)が、中越えに走者一掃の3点適時三塁打を放った。さらに井口資仁内野手(35)が右中間に適時二塁打をマークし、中日先発の山井をKO。

清田は「打ったのはストレート。剛さん(西岡)の打席でピッチャーのボールが変化球でボールが続いていた。自分の時もカウント0−2になったので、次は必ずストレートが来るなと思い、絞って待っていました。しっかりと、とらえることが出来ましたね。打った瞬間に抜けると思っていましたよ。満塁での勝ち越しのチャンスでの一打。しかも日本シリーズ。もう最高ですよ。最高!」と話した。

井口は「打ったのはストレート。初球から打てるボールが来たら、積極的にいこうと狙っていた。清田がああいう打撃で走者を返してくれたので、自分は楽な気持ちで打席に入った。いい流れになったね」とコメントした。

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サブローが同点適時打/日本S[ニッカン]

ロッテ・サブロー外野手(34)が、1点を追う3回2死二塁で同点適時打を放った。カウント1−3からのシュートを中前に運んだ。「少し詰まったけど、自分の中での最高のバッティングが出来たわ。1点先制された直後のチャンスを2アウトからものに出来たのは、めちゃくちゃ大きい。とにかくつなぐ気持ち。みんなでつないで得点を積み重ねていきたい。それが和。それにしても久々のマリンは、エエなあ!」とコメントした。

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