ロッテの背番号7が、当面は空き番号となる。ツインズに入団した西岡剛内野手(26)が04年から7年間つけていた番号で、今年は首位打者、最多安打、206安打で日本一の立役者となり、ロッテの「顔」としてチームの功労者であることは間違いない。それでも石川球団運営本部長は「その番号に見合うほどの選手が出てくればつけるでしょう。本人に許可をとってという考えはありません。彼もそういうことを気にするタイプではないと思うし」と、選手の力を平等に扱う方針を示した。
ロッテが西岡のつけていた背番号7は、相応しい後継者が現れるまで一時封印する。看板選手の番号とあって、石川球団運営本部長は「それに見合う選手じゃなければ与えられないし、ファンも納得しないと思う」と説明。念願のメジャー挑戦を果たす西岡は、例年と同じく来年1月7日に自主トレを開始する。
8月5日の楽天戦。ロッテ・西村監督が審判員への暴力行為で退場処分になる。チームも敗れ、今季ワーストの7連敗で開幕直後以来となる4位に転落。「1番、つらかった」と指揮官が言うように、ロッテは崩れかけていた。
6日はオリックスとのナイターに備え、仙台から大阪へ空路で移動だった。人生初の退場となった西村監督は翌朝もまだ、近寄りがたい怒気を含んでいた。だが、試合前練習でグラウンドに出てきた時にはいつもの温厚な姿に戻っていた。
京セラドーム大阪に着いたのは昼すぎ。指揮官は監督室で自らを落ち着けると、井口、サブロー、西岡ら主力を個別に呼び出した。「しっかり頼む。もう1度まとまろう」と語りかけた。
監督のポリシーは切り替えだ。「負けを引きずることになるから」とミーティングも行わない。この日も、監督室を出た時には笑顔が戻っていた。ある選手が「普段通りだった」と驚いたように、連敗中の負の雰囲気を断ち切ってみせた。
その夜の試合。0−0の9回2死無走者から3四球を選び、暴投と適時打で3点を奪った。先陣を切る四球を選んだ大松は「一発狙いはない。つなぐことだけ。その考えが全員に浸透していた」と言う。正念場で今季のつなぐ野球ができた。
このカードで3連勝して再び上昇気流に乗った。西村監督は「あれから、みんなが1つにまとまれた」。レギュラーシーズン最終戦で3位に立つと、5年ぶりの日本一をつかみ取った。
来季からツインズに移籍する西岡が「ロッテ流」で始動することを決めた。ツ軍では背番号1となるもののロッテ時代の7にも強い愛着を持っており、来年もこれまでと同じく1月7日に本格始動することになった。
「テンションを上げて、目的意識を持って自主トレに励みたい」と西岡。強い意気込みと同時に、初心も忘れない。大阪桐蔭の後輩、日本ハム・中田らとの合同トレも例年通り。今年までと同じ日時、同じ環境でのスタートで、好調だった今季のリズムを保てる。加えて中田にアドバイスやゲキを飛ばすことで、自身の立場や課題も再確認できる、という訳だ。
ロッテの背番号7の後継者については球団に一任する。石川球団運営本部長は「見合った選手が出てくれば付けさせる。ただ西岡の後だし、相応の実力がないとファンも納得しないと思う」としている。