ロッテ・成瀬善久投手(25)が、ジレンマを乗り越えてマウンドに立つ。「やりづらい部分もありますけど、今までやってきたことをぶつけたい」。被災地の東北に本拠地を置く楽天相手だが、あくまで勝負に徹する。
2年連続の開幕投手だが、今年は状況が全く違う。成瀬も「がんばれ東北」の思いは人一倍だ。しかし、あえてヒール役に徹しようと決意した。千葉も津波で犠牲者18人を出した被災地。成瀬自身も、自宅が断水した。「多くの人達に力を与えられるように、今年1年間は勇気を与えられるようなピッチングをしたい」と、野球人としての思いは一緒だ。
開幕前の実戦4登板では、20イニングを投げ4失点(自責1)。防御率0.45と抜群の安定感。「もうちょっと点を取られてもよかったけど、すごい自分に期待している」。
この日はQVCで、短い距離のダッシュなどで最終調整を終えた。チームは04年を最後に開幕戦白星から遠ざかっており、「勝ちにこだわりたい」と闘志を燃やした。
プロ野球は東日本大震災の影響で2週間以上遅れて12日にセ、パ両リーグが同時開幕する。今季の公式戦は復興支援試合として開催される。開幕前日の11日は各チームが練習を行った。
東京電力と東北電力管内で4月中のナイター自粛を受け、ロッテ−楽天(QVCマリン)と横浜−中日(横浜)は午後1時開始のデーゲーム。巨人−ヤクルト(ユーピーアール)阪神−広島(甲子園)日本ハム−西武(札幌ドーム)オリックス−ソフトバンク(京セラドーム大阪)はナイターで行われる。
パは先発投手を発表し、楽天の岩隈と日本ハムのダルビッシュが、ともに5年連続で開幕投手を務めることになった。
開幕は当初予定の3月25日から延期されたが、昨季までと同様に各チームが交流戦24試合を含む144試合を行う。節電策として、3時間半を過ぎて新しい延長回に入らないなど特例措置を講じる。
スポニチ評論家13人によるパ・リーグ順位予想は、ソフトバンクが圧倒的な支持を集める一方、昨季日本一に輝いたロッテは意外な低評価となった。
内川、細川、カブレラらを補強した一方、目立った戦力ダウンのないソフトバンクは10人が1位に予想。その他の3人も2位につける“ガチガチ”の本命だ。それに続くのが西武。3人が1位に予想した。2強を追いかける4球団は団子状態。ロッテは、昨季シーズン3位から日本一に上り詰めた結果から一転、6人が最下位に。西岡(ツインズ)、小林宏(阪神)の抜けた穴が不安視されたようだ。
スポニチ本紙評論家のパ順位予想 | ||||||
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ソ | 西 | ロ | 日 | オ | 楽 | |
張本勲 | 1 | 2 | 5 | 3 | 6 | 4 |
有藤通世 | 1 | 3 | 5 | 2 | 6 | 4 |
東尾修 | 2 | 1 | 5 | 4 | 6 | 3 |
中畑清 | 1 | 4 | 6 | 3 | 5 | 2 |
牛島和彦 | 2 | 1 | 6 | 3 | 5 | 4 |
槙原寛己 | 1 | 2 | 6 | 5 | 4 | 3 |
鈴木啓示 | 1 | 2 | 6 | 4 | 5 | 3 |
平田勝男 | 1 | 4 | 6 | 5 | 3 | 2 |
広沢克実 | 1 | 2 | 6 | 4 | 5 | 3 |
佐々岡真司 | 1 | 2 | 5 | 3 | 6 | 4 |
矢野燿大 | 1 | 4 | 3 | 6 | 5 | 2 |
赤星憲広 | 1 | 2 | 6 | 5 | 4 | 3 |
豊田泰光 | 2 | 1 | 3 | 4 | 6 | 5 |
昨年に続いて開幕投手を務めるロッテ・成瀬が、チーム7年ぶりの開幕勝利を狙う。QVCマリンで最終調整したエースは「自分に期待したい。内容よりも勝ちにこだわっていく」と言い切った。
東日本大震災で甚大な被害を受けた東北に本拠地を置く楽天との一戦。「やりづらい部分はあるけど、自分の今までやってきたことをぶつけたい」と迷いを振り切って勝負に集中する。岩隈とは過去3度投げ合って1度も勝っていないが、カーブを本格的に導入した今季は自信を深めてマウンドに上がる。
東日本大震災で被害を受けたロッテの本拠地・QVCマリンは、懸命の復旧で開幕にこぎつけた。依然、周辺には液状化現象がみられるが一部破損していた下水管が復旧。海浜幕張駅、幕張本郷駅からの路線バスは、臨時停留所を設けて当面は開催日だけ運行する。
災害マニュアルも策定済みで、地震発生の場合、観客は座席で待機して球場職員の指示に従い、津波警報が出た場合は球場の4階部分に避難するという。11日午後5時すぎに大きな余震が起こったが、球場関係者は「目視による点検では問題なかった」と話した。
ロッテ・荻野貴が、新人だった昨年に続き2番打者で開幕スタメン出場を果たす。昨年5月末には、右ひざ外側半月板を損傷し手術。ケガ再発の不安を抱えながら、中堅手から遊撃手へ転向したスピードスターは「ここまでくることができてよかった。ほどよい緊張とほどよい楽しみを感じています」と話していた。
ロッテが開幕前日の11日、QVCマリンで全体練習を行った。投手陣、野手陣の順調な仕上がりを確認した西村徳文監督(51)は笑顔で「あまり力みすぎるのもよくない。全員でリラックスして、開幕を意識しすぎないようにやっていきたい」と話した。
ロッテ成瀬善久投手(25)が2年連続で開幕マウンドに上がる。11日はQVCマリンで短距離ダッシュなどを行い、体調を整えた。「ここ何年か、チームは開幕に勝っていない。勝ちにこだわりたい」。昨年は2失点完投と好投しながらも、味方の援護に恵まれず敗戦投手となった。チームも05年から、引き分けを挟んで開幕戦5連敗中。今年こそは白星をつかみ取る意気込みだ。
ロッテの新外国人カルロス・ロサ投手(26)が11日、日本での就労ビザを取得し、12日からの試合出場がOKとなった。「無事にビザが取れました」と石川球団本部長。新守護神候補と期待される快速右腕が、開幕に間に合った。
セ、パ両リーグは11日、節電策として試合開始から3時間半を過ぎて新しい延長回に入らないことを決めた今季のレギュラーシーズンについて、特例措置を発表した。
3時間半には雨や強風、濃霧、トラブルなどでプレーを中断した時間も含まれ、ダブルヘッダーは第1試合、第2試合ともに3時間半を過ぎて新しい延長回に入らない。停電により試合が打ち切られた場合はコールドゲームとし、試合が成立していない場合はノーゲームとなる。
千葉ロッテは2年連続で成瀬が開幕投手を務める。西武と対戦した昨年は黒星だったが「今年はいい調整ができた。楽しみだし、自分に期待したい」と自信を見せた。
開幕前の実戦登板では計20回を4失点(自責点1)。昨季後半から使い始めたカーブの制球力が増した。「1、2回が悪くても3、4回で修正できた。収穫だった」と好調を維持している。楽天打線については「より深みが増した。(松井)稼頭央さんとは対戦したことがないので楽しみ」と話した。