日本ハムの大谷は先発で3回を投げ、本塁打を含む4安打1失点だった。追い込んでからの投球に課題を残した。ロッテは先発枠入りが期待されるルーキー石川が3回2安打1失点。新人捕手の吉田がソロ本塁打を放った。
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
北海道日本ハム | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 3 | 0 | 0 | x | 7 |
ロッテは新人の当たり年だ!ドラフト2位、吉田裕太捕手(22=立正大)が右中間への本塁打を放った。3回の第1打席、日本ハム大谷の直球を打った。伊東勤監督(51)の愛弟子として、密着指導を受け続けたキャンプの成果を発揮した。先発して好投した1位の石川歩投手(25=東京ガス)と、話題独占の5位、井上晴哉内野手(24=日本生命)に続き、吉田が存在感を示した。
伊東監督の愛弟子に、待望の1発だ。3回の第1打席、2ボール2ストライクと追い込まれた吉田は、高めの直球に食らいついた。「芯を食った」という当たりは、大きな放物線を描き、バックスクリーンの右に飛んだ。「風に乗ってくれました」と、謙虚に柵越えした打球を振り返った。
このキャンプで、伊東監督の時間を最も独占したのが吉田だった。マンツーマンで打撃からキャッチングまで見てもらった。キャンプ初日、ガチガチに固まり、スムーズに動かない上半身を「鎧を着てるみたいだ」と笑われた。力んでしまうのを矯正するため「足をあげてみろ」と指導された。意識を上半身から別の場所に移すための策だと、伊東監督は説明した。そこから20日間かけて、少しずつ、よろいを脱いだ打撃もできるようになった。
その密着指導の中で、吉田は伊東監督のミットを手にはめさせてもらったことがあるという。これこそが愛弟子である証し。伊東監督は「自分のミットを他の人にはめられるのは嫌だった。それどころか触らせたくもなかった」というこだわりを持った人。それを許可されたのは、現役ではないというのを差し引いても特別なことだ。吉田も「使いやすいミットでした。次は同じ形を注文したいと思ってます」と、魂を継承していく意思を口にした。
自慢は体の強さだ。1月の身体測定では、体幹の強さは5段階評価の5を飛び抜けていた。トップアスリート並みと絶賛された。ロッテの選手では過去にいない数値という。「体だけは強いです。僕はそれが売りなので、いくらでも練習ができる」と、キャンプでは最後まで室内練習場で打ちこんだ。伊東監督の教えを寸分もらさずに受け止めるための、器の強さはある。
前日の休日は「することがなかったので」と午後2時から寝た。夕食にだけ起きて、また寝た。オフを大切にした分、絶好のコンディションで試合を迎えられた。この日、伊東監督からは「出合い頭。相手が当たるところに投げてくれただけだろ」と言われてしまったが、めげない。「しっかり練習したい」。いつか、本当に認めてもらえる活躍を、と誓っている。
将来の正捕手と期待されるD2位・吉田(立正大)が3回、大谷の139キロの直球を中堅右に運んだ。「追い込まれていたので、来た球を強振した。指導されていることを打席でやろうと意識した結果です」。1位・石川(東京ガス)は好投し、5位・井上(日本生命)は途中出場ながら存在感をアピールし、伊東監督は「活躍しているのは新人ばかりじゃないか」と複雑な表情だった。
オープン戦ルーキー第1号だ。ロッテのドラフト2位・吉田(立正大)が3回、先頭で139キロ直球を完璧に捉え、逆方向の右中間席に放り込んだ。先発マスクをかぶった将来の正捕手候補は自慢のパワーを披露。しかも、「プロ1号」は二刀流の大谷から打った。
「追い込まれていたので、とにかく前に飛ばそうと食らいついた。大谷君から打てたことで自信にはなりました」。
遠投110メートルの強肩、リードにも定評のある即戦力捕手だが、課題は打撃だった。肩に力が入ったスイングが目立ち、チーム内から「ロボット」「メカ」などのあだ名がついたほど。石垣島キャンプでは連日、早出特打を行い、上半身の力を抜くために下半身主導で打ち込んだ。居残り特打では憧れの伊東監督からつきっきりの指導を受け、打撃向上に努めた。
20日の日本ハムとの練習試合(名護)では昨季盗塁王の陽岱鋼(ヨウダイカン)の二盗を阻止。打撃は成長過程だが、伊東監督は「少しずつ自分のスイングができるようになっている」と目を細めた。「ポスト里崎」の最有力候補は開幕1軍に向け、実戦の中で着実に成長している。
ロッテのドラフト1位・石川(東京ガス)がオープン戦初先発し、3回を2安打1失点で終えた。
3回2死走者なしでカウントを取りにいった直球を谷口に本塁打され、「甘い球はプロでは普通に打たれる」と猛省も、直後にミランダをシンカーで空振り三振に仕留めた。「球が弱くなったのかなと思って、後続は腕を振ろうと思った」と振り返っていた。
育成選手出身のロッテの西野勇士投手(22)が22日、名護で行われた日本ハムとのオープン戦に4回から2番手で登板し、1回を無安打、2奪三振の快投を見せた。
昨季は先発の柱としてチームトップタイの9勝を挙げ、今季はストッパー候補の1人に挙げられている。昨季途中に右肩を痛めたため、今キャンプは2軍スタートとなったが、第4クールから1軍に合流。この日が初の対外試合のマウンドだった。
背番号「29」のお披露目ともなったマウンドで好投し、西野は「今の自分がどれだけ調整できているのか確認したかった。今、できることは出せた。1軍の打者に対して十分な投球ができた」と手応えを語った。伊東監督も「西野もよかったですね」と目を細めていた。
ロッテの先発候補のドラフト1位新人の石川(東京ガス)は3回にソロ本塁打で1点を失ったものの、伸びのある速球など随所に能力の高さを示した。
それでも本人は初のオープン戦登板に「甘い球は普通に打たれる。収穫は投げられたことぐらい」と辛口の自己採点をした。
本塁打は簡単にストライクを取りにいった直球を痛打されたものだった。「球が弱くなったのかなと思って、後続はもうちょっと腕を振ろうと思った」と即戦力右腕としての期待に応えるべく実戦を踏みながら成長を続ける。
ロッテの先発候補ドラフト1位・石川歩投手(25)=東京ガス=は3回にソロ本塁打で1点を失ったものの、伸びのある速球など随所に能力の高さを示した。それでも右腕は初のオープン戦登板に「甘い球は普通に打たれる。収穫は投げられたことぐらい」と反省を口にした。
本塁打は簡単にストライクを取りにいった直球を痛打された。石川は「球が弱くなったのかなと思って、後続はもうちょっと腕を振ろうと思った」と気持ちを引き締めてた。
ロッテのドラフト2位・吉田裕太捕手(22)=立正大=が3回に日本ハムの大谷からオープン戦1号となるソロを放ち、自慢のパワーを披露した。将来の正捕手候補は「追い込まれていたのでとにかく前に打球を飛ばそうと思った」と白い歯を見せた。
キャンプでは伊東監督からつきっきりで指導を受け、打撃向上に努めた。「たくさん指導していただいていることを打席でやろうとしている。それで結果を出せれば」と前向きに話した。
ロッテのドラフト2位、吉田裕太捕手(22=立正大)が3回、1号ソロを放った。
大谷の139キロ速球をバックスクリーン右へ運んだ。芯ではとらえたものの「今日のホームランは風ですよ。自分の中ではそんなにいいバッティングではなかった。伊東監督と立花打撃コーチの指導のおかげ。また、しっかり練習したい」と謙虚に話した。
19日に打ち上げたロッテ・石垣島キャンプ。おなじみとなった光景があった。ドラフト2位・吉田裕太捕手(立正大)への、伊東勤監督(51)の熱血指導だ。ブルペンでは捕球について細かくアドバイス。居残り特打では付きっきりでトスを上げ続けた。そこには、かつて名捕手だった指揮官の、吉田への強い期待が見て取れた。
昨季、12球団で規定打席に達した捕手は、巨人・阿部、楽天・嶋、オリックス・伊藤、西武・炭谷の4人。うち巨人、楽天はリーグ制覇しており、捕手の固定は、Vへの絶対条件のひとつということを証明している。
ロッテの場合も、「ポスト里崎」の育成は急務だ。昨秋、スカウト会議に出席した伊東監督は、資料映像で見た吉田に惚れ込み、獲得を熱望した。低めの球に対するキャッチングの巧さ。「俺に似ている」と、かつての自分に重ね合わせ、指名に至った。現役時代、名捕手として常勝西武の黄金時代を支えた指揮官。描く“捕手道”は「ディフェンス力」に尽きる。
これは、捕手出身の監督の共通項ともいえる。例えば「優勝チームに名捕手あり」を持論とする野村克也氏は、ヤクルトで古田、楽天で嶋を起用し、一流の捕手に育て上げた。結果的に、古田は実戦経験を積む中で打撃も向上し名球会入りを果たしたが、正捕手の座を射止めたのは、あくまでその高いディフェンス力を買われてのものだった。
伊東監督は、今キャンプを打ち上げる際、吉田について「打つことは二の次、三の次」とし、「けがに強そうな体。これはレギュラーを獲る絶対条件」と、改めて指揮官の描く正捕手への道を示した。連日にわたって英才教育を施したルーキーを、今後の実戦で積極起用していく方針。吉田も「何とか結果を残したい」と正妻獲りへ意気込む。
捕手は、育成が最も難しいポジションとも言われる。リード面などゲームを通して身につけねばならないことが圧倒的に多く、一人前の捕手を育て上げるためには、試合で場数を踏むことが何よりも必要になってくる。なおかつ、育てながら、チームの勝利も同時に考え、起用し続けていかねばならない。
各球団ともに、そこが最も頭を悩ませる部分なのだが、元名捕手の伊東監督ならではの、手腕の見せどころだ。大胆起用が、チームに思わぬ活性化をもたらす可能性もある。
今年は巨人のドラフト1位・小林(日本生命)、阪神の同4位・梅野(福岡大)、DeNAの同3位・嶺井(亜大)、西武の同1位・森(大阪桐蔭)ら、新人捕手が話題を集めているが、梅野のように打力への評価が高い“攻撃型捕手”もおり、タイプは様々。それぞれのチーム方針に沿った形で、どれだけ頭角を現すか楽しみだ。