ロッテは古谷が7回1失点で3勝目を挙げた。1回に3三振を奪うなど巧みな投球で的を絞らせなかった。打線は2回に相手の中継プレーに失策が重なり2点を先取。7回に里崎の適時打で加点した。オリックスは打線が迫力を欠いた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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オリックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
千葉ロッテ | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | x | 3 |
ロッテ里崎智也捕手(37)は「その時」が来たと思った。自分の存在意義はこの日にあると思ってマスクをかぶった。先発の古谷をリードし、覚悟を持ってペーニャの内角を突いた。7回1死三塁からの適時打も、内角球を右前へ決め打ち。強い思いでバットを振った。
この日は、チームが立ち直るための大切な試合だった。前夜22日は、伊東監督が「ワーストゲーム」と評する試合。2死から四球を連発し5失点して負けた。試合後、監督はルーキー捕手の吉田を監督室に呼び寄せ、緊急指導した。一人前に育てたい捕手が、折れそうになっていた。
吉田を育てながら勝つ。それはチームの未来にとって必要なことだった。伊東監督は今季、可能な限り吉田にスタメンマスクをかぶらせてきた。その状況を里崎はある覚悟を持って受け入れていた。
その覚悟が生きた。伊東監督にも伝わった。「今は毎試合出る感じでもないのに、常にしっかり準備してくれている」とたたえられた。
里崎は吉田をポジション争いのライバルではなく、後継者だと認めていた。だから自分が出場機会を失う状況にも冷静でいられた。「周りから、何でそんな神様みたいな考え方なの?って言われました」と笑う。今後何年も自分がマスクをかぶれる訳ではない。チームを思う気持ちが、悟りのような心境に至らせた。
今季の珍プレー大賞候補にノミネートされそうな“逸品”が23日、ロッテ−オリックス5回戦(QVCマリン)で生まれた。これがロッテに劇的勝利を呼び込んだ。
「ビックリする形で点が入ってね。ツキをうまく利用できました」。
伊東監督も笑いをこらえるのが必死の場面は2回に訪れた。サブロー&角中の連打で無死一、二塁となり、続くクルーズの当たりが中堅を襲った。サブロー、角中とも塁を飛び出し、特に「抜けたと思った」角中は二塁を大きく回っていた。
だが、坂口がフェンス手前でキャッチすると2走者は大慌てで帰塁。それ以上に慌てたのがオリックス守備陣だ。角中を刺そうとボールは中堅−遊撃−一塁と中継されたが遊撃手・安達の送球が角中の後頭部を直撃。カバーに入った捕手・伊藤が今度は三塁に悪送球した。ボールが無人のファウルゾーンを転々とする間に、サブローと角中が全速力でホームに飛び込んだ(記録は安達と伊藤の失策)。
ダイヤモンド1周以上の激走に顔面蒼白でしばらく立ち上がれなかった角中は「大きな代償でした。残りの打席は全然力が入らんかった(3打席凡退)。でも、勝ちが1番です」。勝ちに不思議の勝ちあり−。勝利後には生気が戻っていた。
ロッテの古谷が7回1失点で今季3勝目。これでオリックス戦は9回2死まで無安打投球だった昨年6月26日(京セラドーム)以来、無傷の5連勝。
ただ本人は「過去のことは過去のこと。目の前の試合をしっかりやるだけ」と表情を引き締めた。21日には山室晋也球団社長が「月間ヒーローインタビュー賞」の制定を表明。お立ち台でのパフォーマンスも期待されたが「そういう度胸はないので…」と実直な性格だけに無難なコメントに終始した。
敵失でロッテに決勝点が転がり込んだ。2回無死一、二塁で、クルーズが中飛。中継に入った遊撃・安達が、飛び出していた走者を刺そうとして一塁へ悪送球した。これを見て二走・サブローが三塁へ走り、今度は捕手の伊藤が三塁へ悪送球。一挙に2人が生還した。伊東監督は「ツキをうまく利用できた」とうなずいた。
お立ち台で古谷は苦笑いだった。今季からファン投票で選出される「月間ベストヒーローインタビュー賞」が創設されたが、「僕には(面白いことを言う)度胸はないです」と及び腰。「投票お願いします」と控えめにアピールするのがやっとだった。これには賞の発案者である山室球団社長も、「面白いこと言わないとダメだろ」とダメ出し。だが、7回4安打1失点はヒーローに相応しい活躍だった。
昨季のオリックス戦では、6月26日に9回2死まで無安打投球を続けるなど3勝負けなし。今季も9日の試合で相手の7連勝を止める白星を挙げている。昨季から5連勝と「オリキラー」ぶりを発揮しているが、「過去のことは過去のこと。関係ない」と、特別な意識はないという。
ただ、「(相手が苦手意識を)持ってくれる分にはいい」と、初回の3者連続など7奪三振。直球は140キロに満たないが、コーナーに制球して打者を翻弄した。
これでチームトップの3勝目。伊東監督は「両サイドにきっちりキレのある球を投げていた。バッテリーを含め、よく守り抜いてくれたね」と手応えを感じている。守り勝つ野球の中心で、古谷の好投が続く。
ロッテの西野が9回を無失点で締め、今季5セーブ目を挙げた。昨季のセーブ王、益田が右肘の違和感で出遅れたため抑えを任され、ここまで9試合を無失点。「故障がない限り(抑えとして)いってくれると思う」と伊東監督の信頼も高まっている。
握り方を修正して落ちが良くなったというフォークボールが大きな武器になっている。抑えでの登板にも慣れてきたようで「最後を任されたからには、しっかり仕事をしたい」と自覚をのぞかせた。
ロッテのルイス・クルーズ内野手(30)がメジャー級の美技を見せた。7回2死走者なし。安達の三遊間の当たりをスライディングしながら好捕。すばやく一塁へ投げ、アウトにした。「滑ってグラブを出したら入った。そのまま一塁を見ないで投げた。感覚で、あの辺にいるっていうのは分かっていたから」。ナインからハイタッチで迎えられた。
その裏の攻撃の先頭打者として打席に立つと、今季8本目の二塁打を放ち、貴重な追加点のホームを踏んだ。「興奮したまま打席に立って、いい球が来たのでそのまま振ったよ」。攻守に活躍し、試合後は2人の息子とご機嫌で帰路についた。
伊東監督は、美技からリズムに乗ったことを評価。「ショートに打球が飛んだら、安心して見ていられる」と全幅の信頼を置いた。
ロッテ角中勝也外野手(26)がダイヤモンドを駆けまわった。
2回無死一、二塁、一塁走者だった角中はクルーズの中堅への大飛球の間に二塁と三塁の間まで来ていた。捕球されるのを見ると、猛然と帰塁。一塁へ滑り込んだ際、送球が頭に当たり、今度は進塁を始めた。二塁走者の三進を刺そうとした相手の送球がさらに乱れると、一気にホームまで。滑り込むと、なかなか立ち上がれなかった。「あの走塁で足に来ちゃいました。もう1本、ヒットを打ちたかったんですが、代償は大きかったです。でも、チームが勝って良かった」と、ホッとした表情を見せた。
ロッテ古谷拓哉投手(32)が快調な立ち上がりを見せた。1回を3者連続三振で切り抜けると4回2死、糸井に中前打を打たれるまで無安打投球を続けた。
昨年、あと1人でノーヒットノーランという快投を演じたオリックスが相手だけに、一瞬、快記録を期待させた。川崎憲次郎投手コーチ(43)も「いつも以上にゆったり投げることができているんじゃないかな。それによって間がしっかりできているから打者も打ちづらくなっていると思う。ストライク先行でテンポ良く、自分のペースで投げることができているよ」と分析した。
ロッテは2回に相手の守備の乱れで幸運な先制点を挙げた。無死一、二塁でのクルーズの深い中飛で、中継に入った遊撃の安達が、飛び出していた走者を刺そうとして一塁へ悪送球。これを見て二塁走者が進塁を狙うと、今度は捕手の伊藤が三塁へ悪送球した。
左翼手は中飛のバックアップのため大きく中堅方向へ動いており、球は無人の左翼側ファウルグラウンドを転々。この間に一気に2走者が生還した。
今季の珍プレー大賞候補、それも上位にノミネートされることが確実な?プレーで、ロッテが先制した。
ロッテは2回、先頭の4番サブロー、5番角中の連打で無死一、二塁。続くクルーズの当たりは中堅への大飛球。一走の角中は抜けるのを確信したように、全速力で二塁を回るほど勢いがついた。
2走者とも慌てて帰塁したが、オリックスの守備も大慌て。角中を刺そうと中堅−遊撃−一塁とボールは転送されたが、遊撃手・安達の送球が角中の後頭部を直撃。後ろにそれたボールを、今度は一塁ベースカバーに入っていた捕手・伊藤が三塁に悪送球だ。無人のファウルグラウンドをボールが転々とする間に、1度は帰塁したサブローと角中が再び全速力でホームを目指す…。ロッテに“ごっちゃん”の2点が入った。
角中の顔面は蒼白。ホームイン後、しばらくその場を動けない。これには、スタンドも大爆笑だった。
ロッテ石川歩投手(26)が、稲毛小学校を訪れ、子供達と触れあった。
入学式の際にプレゼントしてあったランドセルカバーの贈呈イベント。「このランドセルカバーをつけて交通安全に気をつけて、楽しく登校してください。勉強やスポーツも頑張ってください。休みの日には千葉ロッテマリーンズを応援しに来てください」と挨拶した。ただ、子供達の歓声の大きさでは球団マスコットのマーくんに完敗。「完全に負けましたね。子供は好きなので、子供達に応援してもらえるような選手になりたい」と、マーくんを上回る子供人気の獲得を目標に掲げた。
ロッテのドラフト1位右腕・石川が23日、千葉市立稲毛小学校を訪問し、ランドセルカバーを贈呈した。新1年生71人の前で「ご入学おめでとうございます。これからランドセルカバーをつけて、車に気をつけて元気に登校してください。そして勉強にスポーツに頑張ってください。休みの日は千葉ロッテマリーンズの応援にも来てくださいね。自分も頑張ります」とスピーチした。
自身もプロ野球選手としては“ピカピカの1年生”で「自分も初々しい気持ちを忘れずに頑張ります。子供は好きなんで、楽しかったです」と触れ合いを楽しんだ様子。20日のソフトバンク戦(QVCマリン)で2勝目を手にし、防御率1.21は、堂々のリーグ2位。ルーキーながら早くも先発投手陣の軸になっており、さらなる活躍が期待されている。
ランドセルカバーの贈呈は球団としては3年目で、千葉市内の38校約3000枚を無償配布する。
日本野球機構(NPB)は23日、機構改革のための小委員会を東京・港区の事務局で開いた。野球日本代表「侍ジャパン」事業の別会社化や12球団共催型など、25日の臨時オーナー会議の議案を取りまとめた。
労組・日本プロ野球選手会(嶋基宏会長=楽天)と日本野球機構(NPB)による第1回の意見交換会が5月7日に開催されることが分かった。
嶋会長は「出席するつもりです」と話した。労使折衝は、これまで選手会会長ら役員のみが出席してきたが、今回から選手の自由参加が認められる。選手が意見できる場を設け、労使が情報を共有するのが目的だ。選手会の松原徹事務局長らが「(昨年の統一球のような)大きな問題が起こる前に話し合いましょう」とNPBに提案していた。今回は初めての試みとあり選手の参加は限定されそうだが、意見交換会は今後も継続的に開催する方針。定着すれば新しい形の労使折衝となる。
日本野球機構(NPB)は23日、組織の構造とガバナンス(統治)を協議する機構改革小委員会を開き、25日の臨時オーナー会議に提出する最終案を確認した。
中心的に議論してきた侍ジャパン事業では別会社を設立する案を詳細に記し、12球団が共催して行う案も併記。昨年の統一球問題で第三者委員会に指摘されたNPBの体制の不備については人員増などの対応策をまとめた。熊崎勝彦コミッショナーは「25日にオーナーの考えを集約して結論が得られれば物事が前に進むので、期待したい」と話した。
日本野球機構(NPB)は23日、組織の構造とガバナンス(統治)を協議する機構改革小委員会を開き、25日の臨時オーナー会議に提出する最終案を確認した。
中心的に議論してきた日本代表事業では、別会社を設立する案を詳細に記し、12球団が共催して行う案も併記。昨年の統一球問題で第三者委員会に指摘されたNPBの体制の不備については人員増などの対応策をまとめた。熊崎コミッショナーは「25日にオーナーの考えを集約して結論が得られれば物事が前に進むので、期待したい」と話した。