ロッテが4連勝。先発石川が低めに球を集め、7回1失点で8勝目。継投も決まり、西野が20セーブ目。0−1の1回に清田の適時二塁打で追い付き、7回に代打福浦の一ゴロが野選を誘って勝ち越した。西武は打線が振るわず7連敗。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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埼玉西武 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
千葉ロッテ | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | x | 2 |
7回に、千葉ロッテは野選で勝ち越した。それまで3安打に抑えられていた岸から大きな1点をもぎ取ったが、先発石川の踏ん張りこそが勝利への土台をつくった。
球が高く2四球を与えて1回に先制点を与えたが、その後は7回までゼロを並べた。ハイライトは打線同様に7回。2安打と四球で1死満塁とされたが、2番栗山を外角のボールゾーンへのシンカーで空振り三振に仕留めると、続く浅村は141キロで右飛。大ピンチをしのぎ、勝ち越しを呼び込んだ。
ポイントは栗山を抑えた1球。自身3連敗中だった石川。追い込んでから打たれることが多く、落合投手コーチは「ストライクをそろえすぎ。ストライクゾーンだけでは抑えられない」と試合前に注文を付けていた。「ボールでいいと思った」と石川がこの場面を振り返れば、伊東監督も「あそこが1番良かった」と目を細めた。
チームにとっては今後の戦いを左右する大事な3連戦。試合前まで3位西武とのゲーム差は3。球宴前の前半戦終了時には6ゲーム差があったが、西武が目下6連敗中で失速している。今こそ追い上げる時といえる。
「投手戦はいいですね」と監督は声を弾ませて報道陣の前へ。「緊迫した試合を取っていかないと。今日の勝ちはすごく大きい」と満足そうにうなずいた。
ロッテ・石川が7回6安打1失点の粘投で6月30日以来の8勝目を手にした。7回1死満塁のピンチでは栗山をボールゾーンに沈むシンカーで空振り三振、浅村を右飛で切り抜け、その裏の決勝点を呼んだ。
これまで追い込んでから痛打されるケースが目立っただけに「勝てなくてつらかったが自分を見つめ直した。(栗山には)ボールでいいと思ってシンカーを投げた」と石川。勝負どころでこれまでの失敗が生きた。4連勝で3位の西武と2ゲーム差。伊東監督も「接戦をとっていかないと。今日の勝ちは大きい」と話した。
ロッテがルートインBCリーグ武蔵の白嗟承(ベク・チャスン)投手(35)を獲得することが28日、決定的となった。
この日、QVCマリンの室内練習場で入団テストを兼ねたブルペン投球を行い、40球の投球で、最速142キロをマークしたという。見守った伊東監督は「(投手陣は)駒不足なので、そういう部分で必要だと思う」と話し、林信平球団本部長も「ボールを動かし、低めの制球力が良かった。先発として試合をつくる力はありそう」と評価。一両日中に正式契約の運びとなりそうだ。
韓国出身の白嗟承はメジャー通算16勝の右腕。12年にオリックスに在籍したが、1軍登板はなかった。今季はBCリーグで3勝4敗、防御率2.86だった。
球界初の売り子アイドルとして結成されたロッテの「マリーンズ・カンパイガールズ」が、西武戦(QVCマリン)の試合前にデビュー曲「カンパイ娘」を初披露した。ビール半額デーとなった同戦では、本業の売り子を務めた。
売り子歴8年のリーダー・今井さやかは「直前までビールを売っていて、バタバタしてした。本番はとても緊張しました」と話した。
ロッテは石川の好投で4連勝を飾り、3位・西武との差を2ゲームにまで縮めた。
レオのしっぽが完全に見えた。先発の石川は初回にいきなり失点を喫するも、2回以降は安定感を取り戻し、西武打線に得点を与えることはなかった。
最大の山場は7回、1死満塁のピンチで栗山は三振、浅村をライトフライに切って取り、これを凌いだ。「かなり疲れていたが、気持ちで抑えた」と石川。すると、その裏にチームが勝ち越しに成功した。
チームメートのイ・デウンに並ぶ8勝目は6月30日の楽天戦以来となる1ヶ月ぶりの白星。石川は「なかなか勝てなくて辛かったが、(勝てない)原因は自分にあったので自身を見つめ直した」と表情を引き締めた。チームの3位浮上まであともう少し。2年目ながら投手陣を引っ張る背番号「12」は「上が見えているので、全員で試合を勝ちにいきたい」と力強いコメントを残してくれた。
ロッテは28日、ルートインBCリーグ武蔵の白嗟承(ベク・チャスン)投手(35)の入団テストをQVCマリンの室内練習場で行った。ブルペン投球を見守った伊東監督は「(投手陣は)コマ不足なので、そういう部分で必要だと思う」と語った。
一両日中に合否を判断するが、林信平球団本部長は「獲得した場合は先発としての役割となると思うが、試合を作る能力はあると思う。ストレートも142キロが出て、ボールを動かし、低めの制球力もあった」と評価、獲得へ前向きな姿勢を示した。
韓国出身の白嗟承はマリナーズ、パドレスでメジャー通算16勝を挙げた右腕。12年にオリックスに在籍したが、1軍登板はなかった。今年2月には日本ハムが入団テストを行ったが、不合格となっていた。
7回1失点の石川が6月30日の楽天戦以来、約1ヶ月ぶりの白星で8勝目をマーク。絶体絶命だった7回1死満塁をしのぎ、その裏に味方の勝ち越しを呼んだ。「真っ直ぐが走らず、絶不調に近かったですけど、適当に球が荒れていたのがよかった」。岸との投げ合いを制し、チームを4連勝に導いた充実感を漂わせた。
ロッテは28日、ルートインBCリーグの武蔵に所属する白嗟承(ペク・チャスン)投手(35)の入団テストをQVCマリンで行った。一両日に合否を判定する。
ロッテの西野が1点差の9回を三者凡退で締め、20セーブ目を挙げた。31セーブの昨季に続き、2年連続で20セーブに到達した。
先頭の代打渡辺を二ゴロに打ち取り、代打メヒアと斉藤を連続三振に仕留めた。隙のない投球でチームの4連勝に貢献し「今日はすごく調子が良かった」と汗をぬぐった。
ロッテは接戦を制し、4連勝で3位西武に2ゲーム差に迫った。伊東監督は「こういう緊迫した接戦を取っていかないと」とうなずいた。1−1の7回に石川が1死満塁のピンチをしのぐと、その裏の1死二、三塁で代打に福浦、三塁走者の代走に岡田を起用。やや高く弾んだ一塁へのゴロで岡田が生還し、決勝点を奪った。
6月30日の楽天戦を最後に白星がなかった石川は約1ヶ月ぶりの8勝目。勝てない間の内容を反省し、状況に応じた投球を意識して7回1失点と好投した。「しっかり自分を見つめ直した。だいぶ疲れたけど、気持ちで抑えた」と喜んだ。
ロッテは1点を先制された直後の1回に3番清田の適時打で同点に追い付いた。1死から中前打で出た角中を一塁に置き、左中間を深々と破る二塁打を放った。
1ボール1ストライクからの岸の速球を完璧に打ち返した。好投手の立ち上がりを捉え「追い込まれると厳しいと思っていたので、積極的にいった」と振り返った。
球界初の“売り子アイドル”として5月12日にデビューしたロッテの新ユニット『マリーンズ・カンパイガールズ』が28日、西武15回戦(QVCマリン)の試合前にデビュー曲「カンパイ娘」を披露した。
同日は「チケット&ビールの半額デー」。多くの来場者を前に新曲を熱唱。球場の雰囲気を大いに盛り上げ、終了後は早速スタンドに駆け上がり、“本業”のビール売りに汗を流した。
ロッテは28日、QVCマリンでBCリーグの武蔵ヒートベアーズ所属、白嗟承(ペク・チャスン)投手(35)=1メートル91、100キロ、右投げ右打ち=の入団テストを行った。一両日に合否を判定するが、林球団本部長は獲得に「前向きでいる。タイプとしては先発」とコメント。テストでは約40球を投げ、真っ直ぐの最速は142キロを計測したという。
同投手は韓国・釜山の出身で米大リーグ、マリナーズ、パドレスでメジャー通算16勝(18敗)。マリナーズ時代はイチロー(現マーリンズ)の同僚だった。
再三の右肘故障で米球界を解雇された後は、2012年にオリックスへテスト入団。先発候補として期待されたが、1軍登板はなく同年限りで解雇。また、今春には日本ハムの沖縄・名護キャンプでも入団テストを受けたが、不合格となり、BCリーグでプレーしていた。
ロッテ石川歩投手(27)が7回1失点で自身の連敗を3で止め6月30日以来の8勝目を挙げた。
岸に投げ勝ちチームの4連勝に貢献し、3位西武とのゲーム差も2に縮めた。お立ち台では「上が見えてきたので、もう1度全員で勝ちにいきたい」と気勢を上げた。
勝利への分岐点は7回1死満塁だった。栗山に対しストライクからボールになるシンカーで空振り三振に仕留めた。「自分の中でも置きに行かないように、ボールでもいいと思って投げた」と言う。勝てなかった3試合は状況判断ができていなかったと反省。「ボールにするところはボールにする。落ち着いてやるようにした」と話した。
千葉市は28日、QVCマリンのスコアボード改修について発表した。
来場者により迫力、魅力ある映像を楽しんでもらうため、シーズンオフに工事を行う。メーンスクリーン(映像装置)の大型化に加え、両外野スタンドにも新たにサブスクリーンを設置する。
また、既存のウイングビジョンとの連動を図る機能も予定している。総工事費は千葉市とロッテが負担し約7億円で来春2月に完成する予定。
ロッテ・石川が、6月30日の楽天戦(QVCマリン)以来、約1ヶ月ぶりの白星となる今季8勝目を挙げた。7回1失点。チームを4連勝に導き、3位・西武に2差と迫った。
「自分を見つめ直して投げました」。同点の7回1死満塁。石川はカウント1−2から栗山にストライクからボールに逃げるシンカーを振らせ、三振に斬った。普段は闘志を内に秘める男が、思わずガッツポーズ。続く浅村を右飛に打ち取り無失点で切り抜けると、その裏の味方の勝ち越しを呼び込んだ。
自身3連敗中で迎えたマウンド。伊東監督は、勝ちに見放されていた石川に、「いつもやられるパターンは一緒だった。追い込まれてから打たれることが多かった」と話し、ボール球を駆使した投球術を説いてきた。それが、この日最大のピンチで生かされた。「栗山へのボール、良かったね。いつも、ああいうのを求めてる」と目を細めた指揮官。石川も「何とか粘れました」と、岸との投手戦を制し、笑顔を見せた。
ロッテは28日、QVCマリン室内練習場で、元オリックスでBCリーグ・武蔵の白嗟承(ベク・チャスン)投手(35)のテストを行った。伊東監督ら首脳陣も見守る中で約40球を投じ、最速142キロの直球に変化球を制球良く交えた右腕に、林球団本部長は「ゲームをつくる力はありそう。前向きに考えています」と評価し、獲得は濃厚となった。メジャー通算16勝の実績もある白嗟承には、手薄な先発陣の一角として期待が大きい。
ロッテは28日、本拠地QVCマリンフィールドのスコアボードを今季終了後に改修すると発表した。
現在は約10メートル四方の大型ビジョンを、縦約10メートル、横約29メートルに拡大するほか、右翼と左翼の外野スタンドにも映像装置を新設する。整備費は約7億円。
ロッテは、ビール半額デーとして開催した28日の西武戦(QVCマリン)での、「マリーンズ・カンパイガールズ」のビール売り上げ杯数を発表した。
今井リーダーは「自分が目標としていた2000杯にも届かず、残念ですが、多くのマリーンズファンの方に声を掛けて頂き、エールを頂いたり、励ましてくれたのが本当に嬉しかったです。また、明日からたくさん売って、目標としている8月30日までに3万杯を何とか達成して、写真集を発売したいです。それでは最後に、明日もみんなで、う〜、ぐびぐび!マリーンズ・カンパイガールズです!!!」とコメントした。
28日のロッテ−西武(QVCマリン)の試合開始前、球界初の売り子アイドル「マリーンズ カンパイガールズ」がデビュー曲「カンパイ娘」をお披露目した。
ビール半額デーのこの日、メンバー6人は開場後、売り子業務にいそしむと、そのままグラウンドに降り立ち、ファンの前で待望のデビュー曲を熱唱。歌い終えると、再びスタンドに戻り、業務を再開する多忙ぶりだった。
リーダーの今井さやかは「何度かリハーサルをさせていただいたのですが、本番はやはりとても緊張しまいた。直前までビールを売っていて、慌てて集合したので、その点でも少しバタバタしてしまいました。皆さん、たくさん拍手をしてくれて本当に嬉しかったです」と笑顔を振りまいた。
同曲は、この日から、主要配信サイトから楽曲配信をスタートしている。
ロッテは投手陣の好投で4連勝。3位・西武との直接対決第1戦で、その差を2ゲーム差とした。
先発の石川が7回6安打1失点。自身3連敗中で、約1ヶ月間勝ち星がなかったが、変化球をうまく使い粘投。7回は1死満塁のピンチを迎えるが、栗山を低めのシンカーで三振に打ち取りガッツポーズ。続く浅村も右飛に打ち取って切り抜けた。
石川の後を受け、8回は大谷、9回は西野が締めた。石川はチームトップタイの8勝目、大谷は22ホールド、西野は2年連続の20セーブを記録。お立ち台には3人で上がり、石川は「上が見えてきたので、全員でもう1回勝ちに行きたいです。(お立ち台からの風景は)絶景です!」と盛り上げた。
ロッテは28日、西武戦(QVC)での「マリーンズ・カンパイガールズ」の売り上げ杯数を発表した。6人で合計2000杯を目標としたが、結果は1758杯だった。
この日はビール半額デーが実施されており、最多はリーダー・今井さやかの380杯。次いで前田美香350杯、大宮愛香292杯、外塚歩261杯、朝倉なおこ254杯、平山美紗樹221杯だった。試合後はお立ち台でヒーローの石川らと「乾杯」のコールで観客を盛り上げた。
球団新記録の700杯を目標にしていた今井は「700杯にも、6人での2000杯にも届かず、残念ですが、多くのマリーンズファンの方に声をかけていただき、エールをいただいたり、励ましてくれたのが本当に嬉しかったです。また、明日からたくさん売って、目標としている『8月30日までに3万杯』を達成して、写真集を発売したいです。それでは最後に明日もみんなで、う〜、ぐびぐび!マリーンズ・カンパイガールズです!」とコメントした。
6人は8月30日までのホームゲームで計3万杯を売り上げれば写真集発売という企画に挑戦中。現在6人で合計1万7206杯を売り上げており、8月30日までは残り14試合となっている。
横浜高出身のロッテ・涌井秀章投手(29)が28日、恩師・渡辺監督へ感謝の言葉を送った。
横浜高2年時の03年センバツで準V、04年夏の甲子園で8強進出している涌井は、母高の試合結果を受け「素直に残念です。(渡辺監督は)50年近く横浜高、高校野球界を引っ張って来た。ゆっくり体を休めて欲しいと思います」と無念そうだった。
「ポイント、ポイントでショートメールをいただいた。それが思い出。野球だけじゃなく、人生のことを教わった、人生の指導者です」と高校時代を振り返った。
ロッテは28日、BCリーグ・武蔵の白嗟承投手(ベック・チャスン、35)の入団テストをQVC室内練習場で行った。12年にはオリックスにも在籍した韓国人右腕。ブルペン投球を視察した林球団本部長は「低めの制球力はよかった。感触としては、前向きな感じです」と話した。
米・大リーグでは通算16勝をマーク。オリックスでは1軍登板はなし。今季からBCリーグ・武蔵で先発として3勝4敗、防御率2.86の成績を残している。
伊東監督、落合投手コーチらも視察したテストでは、ブルペンで40球。最速は142キロだった。林球団本部長は「早急に検討して、1〜2日で結論を出したい。仮に入団なら、先発を期待する」と話した。
球界初の売り子アイドル「マリーンズ・カンパイガールズ」が28日の西武戦(QVC)で、デビュー曲「カンパイ娘」を初お披露目した。
メンバーの6人はスタンドからグラウンド入りし、売り子の衣装で“売り子あるある”満載の同曲を元気に歌って踊った。
8月30日までのホームゲームで、「計3万杯を売ったら写真集」という企画にも挑戦中。この日はビール半額デーということもあり、グループ6人で2000杯を目指している。デビュー曲を披露した後は、すぐさまスタンドに戻って売り子業務を再開した。
リーダーの今井さやかは「何度かグラウンドでリハーサルをさせていただいたのですが、本番はやはりとても緊張しました。直前までビールを売っていて、慌てて集合したので、その点でも少しバタバタしてしまいました。皆さん、とてもたくさん拍手をしていただいて本当にうれしかったです。ただ、まだ余韻に浸ったり、振り返る時間はありません。今からまた一生懸命、ビールを売らないといけないので、頑張ります」とコメントした。
危なげない投球で4勝目を挙げた。黒沢翔太投手が28日、イースタンリーグ・巨人戦(ロッテ浦和)に先発登板。7回を投げて被安打5、4奪三振、1四球、無失点の好投で4勝目を挙げた。
黒沢は「前回の反省を踏まえしっかり投球できた。今日はコーナーにしっかり投げ込むことが出来たので球数も少なく理想的な投球に近いものだった」とコメントした。
MAXは137キロながら、低めとコーナーを突く投球を披露。今季は1軍で6試合に登板。4月19日のソフトバンク戦(QVC)では先発。負け投手になり、プロ初勝利はならなかっただけにアピールをし、再度の1軍昇格をしたいところだ。これでチームも38勝38敗7分けの5割に復帰した。
69歳になるマリーンズの名物寮長がソワソワしていた。ロッテ浦和球場での練習を終えると急いで寮に戻った。6月4日。この日は昨年まで寮生だった植松優友投手のプロ初登板初先発の日。プロ8年目にして、やっと巡ってきた出番に、寮で6年間、共に過ごし、悩みを聞き、アドバイスを送り、叱咤激励をし続けた池田重喜寮長は祈るような思いだった。「1球1球、丁寧にだぞ。落ち着いて」。テレビ越しからエールを送った。
植松にとっては夢にまで見た1軍の舞台だった。しかも地元・関西の甲子園。高校3年生だった2007年夏の甲子園で1回戦敗退した時以来の思い出の地でのチャンス到来。スタンドには高校時代の仲間、家族など80人を超える知り合いが応援に駆け付けていた。ここまでの長かった日々を思い、応援をしてくれている人達のことを思い、テレビで見てくれている人を思い、ボールを投げた。
「ここまで長かった。8年目にして初の1軍登板が甲子園。正直、なにか縁というか、感じるものはありましたね。もっと緊張すると思っていたけど、スッとゲームに入ることが出来た。自然体で投げることが出来た。やっとプロ野球選手のスタートラインに立てたという気持ちでした」。
結果は6回を4安打、1失点と好投も、黒星を喫した。それでも確かな手応えをつかむことは出来た。首脳陣も好評価を下した。次回登板となった6月11日の中日戦(QVC)で打たれ今は2軍での日々が続くが、1軍経験をし、何をどうすればよいかのイメージはある。だから炎天下のロッテ浦和球場で必死に汗を流し、次の出番に備え、準備を続ける日々を送っている。
「しっかりとストライク先行のピッチングが出来れば、何とかなるという手応えをつかみました。いい感じはあります。8年間もやらせてもらって、まだチームに何の力もなっていない。何とかしたい。自分を評価してくれたスカウトさん、高校時代にお世話になった方々、家族。色々な人達のために。そして寮長との約束もあるので…」。
炎天下の中、走り込みのメニューを終えた植松は大粒の汗を拭おうともせず、笑って話しだした。そして遠くの方で練習を手伝い、野手の打撃投手を務める寮長に視線を送った。
ロッテ浦和寮。玄関から入ると、右手には受付があり、その奥が寮長の部屋になっている。部屋にはポツリと芋焼酎の一升瓶が大切そうに置かれている。なかなか手に入らない鹿児島で製造されたその芋焼酎。だが、ずっと開けられず、今も封がされたままとなっている。それは唐川、阿部、植松の同じ年の3人がプレゼントしたものだ。10年、1月のこと。高卒でプロ入りした同期の3人はそれぞれの故郷で成人式を終えた。寮に戻った3人は、成人をした区切りにいつもお世話になっている寮長へのプレゼントを用意していた。お酒の大好きな寮長に、なかなか手に入らないプレミアの焼酎を探し求め、手渡した。
「無事に成人することが出来ました。いつもありがとうございます。これは3人からの感謝の気持ちです。ぜひ晩酌に飲んでください」。
思いがけないプレゼントが嬉しかった。ただ、寮長は受け取るとそのまま、自室の棚の目立つところに置いた。そして、満面の笑みで静かに話しだした。
「ありがとう。これはさ。せっかくだから開けないよ。3人で飲もう。3人がプロ初勝利した時に、そのお祝いとして一緒に飲もうよ。だから、それまで大事に取っておくよ」。
唐川はすでに1年目の08年にプロ初勝利を挙げていた。阿部はその後、13年に初勝利をした。今、残すは背番号「51」だけである。植松はあの時の情景、言葉の1つ1つを鮮明にハッキリと覚えている。左肩、両足股関節の手術を受けるなど怪我に悩まされる苦しい日々が続いたが、あの時の契りを励みに、我慢を続けた。
「あとは僕だけなんで…。長いこと、待たせてしまっている。早く、笑って寮長と唐川と阿部と自分の4人で飲みたいですよね。絶対に飲みたい」。
暑い日は続く。炎天下の中、植松は走る。投げる。次のチャンスを信じ、準備を怠らない。その姿を池田寮長はいつも遠目から、しかし気になる様子で眺めている。あれから月日は流れた。でも、きっといつか一緒に笑ってお酒を酌み交わせる日は来る。植松はそう信じ、約束を守るためガムシャラな日々を続けている。
(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)