ロッテは2回に井口のソロで追い付き、7回にデスパイネのソロで勝ち越した。涌井は6回1/3で143球を要しながら1失点で粘った。救援陣も7回1死一、二塁から松永が、8回1死一、三塁からは内がしのぎ、逃げ切った。日本ハムは10残塁。3回無死満塁など再三の好機を生かせなかった。6回から救援の有原が7回に手痛い一発を浴びた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 |
北海道日本ハム | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
7回途中まで被安打8、与四球4。しかし、失点は1。千葉ロッテの涌井が勝負どころを締め、真価を発揮した。エースが「5年周期」の日本一という夢につなぐ、福岡へチームを導いた。
象徴的だったのが、連打と四球で無死満塁とされた1−1の3回。1点は覚悟した中で近藤を投ゴロに仕留めて1死を奪うと、第2戦で同点打のレアードと決勝打の矢野も一気に突破した。「ゼロで抑えようと思って、もう1個ギアを上げた」。
レアードは「ここしかない所に投げられた」と外角低めのフォークボールで空振り三振に。その瞬間、心意気を物語るように右腕はグラブをたたいた。「気持ちが高ぶった時しか出ない」。そして矢野は直球で押し、最後は147キロで二飛に打ち取った。
普段はポーカーフェースで感情を包み隠す。ただ、伊東監督が「内に秘めた闘志は強い」と話したことがあるようにおとこ気に満ちる。大一番に加え、第2戦は大谷が8回につかまって逆転負けしていた。「すごい落ち込んでいた。何とかして勝って昨日の負けをなくしたいと思っていた」。
最多勝となる15勝目をつかみ取った6日の楽天戦は、10回137球を投げた。CSは第2戦で先発予定だったが、チームが先勝し中5日で第3戦に回った。「日程を空けてもらって万全の状態だった。期待に応えてやろうと空回りした」。1回、いきなり先頭打者の一塁ベースカバーで転倒してヒヤリとさせた。そして先制点を許した。
立ち上がりは不安定だった。しかしその後は6日を上回る143球を投じ、失点なし。最速148キロは100球を超えた5回だった。「後半になればなるほど良くなる。ちょっと規格外」。落合投手コーチは驚きいっぱいにすごみをたたえた。
千葉ロッテのデスパイネが1−1の7回に、中越えへ勝ち越しのソロを放った。有原の初球。高めのボール球を完璧に捉え、特大の飛球をバックスクリーンへ運び「最高の場面で最高の一発が出て満足」と言葉を弾ませた。
1失点でしのいでいた先発涌井の踏ん張りに見事に応えた。7回途中まで143球の力投に「鉄の腕かと思った。すごい投球で自分の力になった。今日は涌井に尽きる」と同い年のエースをたたえた。
執念の143球だ。ロッテ涌井秀章投手(29)が日本ハム打線を6回1/3、8安打1失点に抑えた。1勝1敗で迎えた「2015 SMBC日興証券 クライマックスシリーズ パ」(CS)ファーストステージ(S)第3戦で勝利し、チームに2年ぶりのファイナルS進出をもたらした。序盤のピンチでは珍しくガッツポーズを連発。気迫を前面に押し出し、エースの仕事を全うした。
土俵際からが、涌井だった。1−1の3回。日本ハム打線につかまりかけた。連打と四球で無死満塁。「最悪、1点はいい」と冷静だった。狙いを変えたのは、近藤を投ゴロで1死を奪ってから。「絶対に0で。もう1つ、ギアを上げる」とネジを締め直した。
レアードを追い込み、5球目はアウトローへ143キロフォーク。際どかったが、判定はボール。天を仰いだ。深呼吸する。ファウルを挟み7球目。再びアウトローのフォークで、空を切らせた。グラブをたたく。続く矢野は二飛。打球の行方を見ることなく、力いっぱいガッツポーズ。「叫んでないですよ」は照れ隠しか。ポーカーフェースが常だ。「自然とですね。滅多にああいうこと、しないけど」と本音が漏れた。
涌井は、いつ投げるのか。7日に札幌入りしてからも判然としなかった。15勝目を挙げた前日6日に137球。最多勝の代償だった。ただ、回復具合を聞かれても「(中3日で10日の)第1戦でいけます」と真顔で言い続けた。冗談にも聞こえなかった。夏場に走って蓄えたスタミナがある。何より「気持ちがあれば、体は動く」と言い切る心がある。調整はウエートの負荷を少し落としただけで、ほぼ同じだった。最終的には中4日から1日延びて中5日。「最終戦であれだけ投げさせてもらって、なおかつ1日、空けてくれた。万全な状態。期待に応えてやろうという気持ち」と使命を分かっていた。
初回先頭。陽のゴロで一塁カバーに走った際、ずっこけた。「空回りした」のは気持ちの表れだった。移籍2年目。大一番で仕事を果たし「去年、打たれても使い続けてくれた。恩返しになる」と安堵した。次は、ソフトバンク。強い。だが、ロッテには涌井がいる。
涌井が7回1死まで143球を投げて勝利投手。涌井のCS勝利は西武時代の08年以来通算3勝目。2球団で白星は豊田(西・巨)ホールトン(ソ・巨)杉内(ソ・巨)馬原(ソ・オ)中田(中・ソ)に次いで6人目。プレーオフ、CSで140球以上は05年1S第1戦松坂(西武=142球)以来。松坂は勝敗がつかず、勝利投手となったのは80年第1戦で163球完投の井本(近鉄)以来35年ぶり5人目、04年以降では初めて。
ロッテの主砲アルフレド・デスパイネ外野手(29)が、涌井の熱投に報いた。先頭で迎えた同点の7回、日本ハム有原の初球失投を逃さなかった。「球が速い投手だから。自信のあるストレートでくると思った」と高く外れたボール球を強振。大きく舞い上がった打球はバックスクリーン左に吸い込まれた。
初戦は4番で先発出場も、2三振と得点機での併殺打含む4打数無安打で、第2戦はベンチスタート。それでも「いつでも準備する。やることは変わらないから」。前日は9回に代打で中前打を放ち、この日スタメン復帰。伊東監督の「1球目から打っていってくれ」指令に、1発で応えた。
「勝負の世界だから、どちらかが勝ったらどちらかが負けなきゃいけない。ホームランが勝利につながって良かったよ」。敵地札幌でヒーローとなった頼れる助っ人に、ドームの歓声が降り注いだ。
ロッテ涌井秀章投手(29)が7回途中まで143球、8安打1失点の力投でチームをファイナルステージ進出に導いた。
1回に四球から先取点を与えたが、味方が同点に追いついた2回以降、粘った。3回無死満塁を投ゴロ、空振り三振、二飛で無失点。2回と6回は安打で出した走者を併殺打に仕留めた。チームが勝ち越した直後、7回1死一、二塁と走者を進めたところで降板した。
14日からのファイナルステージに向けて「ソフトバンクは間隔がだいぶ空いている。厳しい戦いをしているチームの方が勢いがある。いい流れになっていると思う」。ここまで来たら、日本一になりたいか、との問いには短く「ええ」とだけ答えた。
ロッテが逆転で接戦を制し、2勝1敗でファイナルステージ進出を決めた。
1回に1点を先取されたが、2回に井口資仁内野手(40)のソロで同点とし、7回にアルフレド・デスパイネ外野手(29)のソロで勝ち越した。
守っては先発の涌井秀章投手(29)が7回途中まで8安打1失点、143球の熱投。シーズン最終戦だった6日の楽天戦の、延長10回137球に続く力投だった。
伊東勤監督(53)は涌井について「再三ピンチはあったけど切り抜けてくれた。エース、最多勝投手の仕事をしてくれた」とたたえた。14日からは王者ソフトバンクが待ち受ける。「我々はチャレンジャー。高くて大きい壁に立ち向かっていかなきゃいけない。接戦を経験して、1試合1試合、力がついた。次のファイナルステージもぶつけてくれれば」と意気込んだ。
ロッテは2007年から導入されたCSで、最初のステージでの敗退がない。
07年は第1ステージでソフトバンクに2勝1敗。ファーストステージと名称が変更された10年と13年はともに西武を退けてファイナルステージに進出した。このうち、日本シリーズまで進んだのは10年のみだが、この時のファイナルステージの相手は今年と同じソフトバンクだった。
優勝を争うプレーオフとして行われていた05年にも第1ステージで西武に2連勝して第2ステージに進み、ソフトバンクに3勝2敗と競り勝ち、リーグ優勝を果たしている。
ロッテのアルフレド・デスパイネ外野手(29)が1発で試合を決めた。
1−1の同点で迎えた7回。先頭で迎えた打席で、初球の高く浮いた直球をバックスクリーン左へ運ぶ勝ち越しのCS1号ソロ。
試合後、デスパイネはヒーローインタビューで開口一番、日本語で「アリガトウゴザイマス」と話した。インタビュー内容は以下の通り。
ロッテが7回にアルフレド・デスパイネ外野手(29)のCS1号ソロで勝ち越した。
1−1の同点、先頭で迎えた打席で、初球の高く浮いた直球をバックスクリーン左へ運んだ。「(先発の)涌井が粘りながら頑張っていたので、何とか援護したかった。最高の場面で最高の1発が出て満足してるよ。今日は絶対に勝って福岡にみんなで一緒に行きましょう」とコメントした。
ロッテ井口資仁内野手(40)が2回に一時同点とするソロを放った。
1回裏に1点を先制された直後だった。先頭で打席に入り、カウント2−2から左翼スタンドへ放り込んだ。CS1号に「打ったのはスライダー。追い込まれていたので、コンパクトにスイングした結果、しっかり芯で捉えることができたね。当たりは完璧だったよ。早い回に一撃で追いつくことができて、(日本ハムに)いきかけた流れを戻すことができたかな」とコメントした。
試合前の練習を終えたロッテ伊東勤監督(53)は、選手の強い気持ちに期待した。
勝てばファーストステージ突破。負けか引き分けなら敗退となる大一番。「勝って次に行こうという思いを持つ選手が多い方が、次に行くと思う。悔いの残らないように。負ける気はありません」と一歩も引かない構えだ。
ロッテは12日、QVCマリンで日本ハムとのクライマックスリーズファーストステージ第3戦のPV(パブリックビューイング)を行い、6126人の観衆が集まったと発表した。天気は晴れで、午後2時の試合開始時の気温は26.2度だった。
なお、第1戦は3852人、第2戦は4508人で、3試合合計1万4486人が集まった。
パ・リーグはレギュラーシーズン3位のロッテが12日、同2位の日本ハムに2−1で競り勝ち、2勝1敗としてクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ進出を決めた。先発の涌井秀章投手(29)が8安打を許しながらも、6回1/3で143球を投げ1失点。下克上で日本一を狙うチームはエースの熱投で、第一関門を突破だ。日本ハムは8回の好機に大谷翔平投手(21)を代打で起用したが、実らなかった。
エースが“下克上”の扉を開いた。涌井が7回途中を8安打1失点。クライマックスシリーズ通算3勝目を挙げ、チームをファイナルステージ進出に導いた。
「初回は(チームの)期待に応えてやろう、という気持ちが強すぎて、空回りした」。
1回、先頭だ。陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)の打球で一塁カバーに向かう際、転倒した。ユニホームの左膝部分が破れるハプニング。波乱の幕開けに、観客3万2201人で埋まった敵地が異様な雰囲気に包まれた。
中5日で臨んだ大一番。涌井はレギュラーシーズン最終戦の6日の楽天戦で137球を投げて15勝目を挙げた。日本ハム・大谷と並んで、6年ぶりの最多勝を獲得。この日も143球の熱投で、5回に最速148キロを計測するなど無尽蔵のスタミナを発揮した。
フォークボールは落差を大きくするため、普段より深く握って空振りを狙った。3回1死満塁のピンチでは好調のレアードを直球で空振り三振。珍しく右拳でグラブをたたき、感情を表した。
「滅多にしない。気持ちが高ぶっていないと出ない。ここぞというところに投げられた」。
西武時代の2008年10月22日の日本ハムとのファイナルステージ以来、7年ぶりのCS勝利。伊東監督も「これぞ、エースという投球だった。チームにカツを入れるとともに勢いをつけた」と絶賛した。
日本一に輝いた05、10年に続く5年周期の「ゴールデンイヤー」がチームの合言葉だ。14日からは、リーグ連覇したソフトバンクとCSファイナルステージ(ヤフオクドーム、6試合制)で日本シリーズ進出を争う。伊東ロッテが再び下克上の予感だ。
ロッテがファイナルステージを勝って日本シリーズ進出を決めた場合、福岡市内の宿舎で「祝勝会」を行うことが分かった。CS突破後のビールかけは、球団によって対応がマチマチだが、ロッテは前回2010年にも実施しており、日本一にむけて景気づけを行う。元銀行マンで「マリンの半沢直樹」こと山室球団社長は「日本シリーズ出場となれば、選手の励みになるような“社長賞”を検討したい」と後方支援を約束した。
ロッテの本拠地、QVCマリンで開催されたパブリックビューイング(PV)。第3戦は6126人が参加し、2年ぶりのファイナルステージ進出に酔いしれた。
今年のPVは大型ビジョンで試合の中継を放映するだけではなく、球場の雰囲気をリアルに体感できるようになった。球団が簡易式の中継機材をレンタルし、梶原球団広報が現地から試合前の応援席の様子などをリポート。ヒーローインタビュー後の選手が生出演し、地元で待つファンに向けて、勝利の喜びを語った。
梶原広報は「現地と千葉で、ファンの一体感を出したかった」と説明。ファイナルステージでもPVは実施予定で、下克上へ、千葉も熱い。
『キューバの至宝』が一振りでケリをつけた。7回先頭。日本ハムのD1位・有原(早大)の初球、147キロを砕いた。バックスクリーン左への決勝弾だ。
「確かにいい当たりだった。本当にいい当たりだった。そして、涌井のすごい投球がオレの力になってくれた」。
興奮のヒーローインタビュー。普段は感情を表に出さないデスパイネが珍しく叫んだ。
敵の助っ人、レアードが「すし男」なら、こちらは「赤肉男」。タンやホルモンなどは好まず、カルビ、ロースを専門に同僚のクルーズと全国の焼き肉店&ステーキ店を荒らしている。今回の舞台、札幌でも連夜の「肉攻撃」を仕掛けてエネルギーに変えた。
14日からはCSファイナル(ヤフオクドーム)。博多にも美味しい赤肉が待つ。「このまま勝ち続けて優勝(日本一)だ」。ニクいセリフで締めた。
2010年の「下克上戦士」が健在だ。先発出場の井口が2回に吉川から同点ソロ。「コンパクトに振れた。先制された後、すぐに追いつけたからよかった」と喜んだ。シーズン終盤から負けられない試合が続き、この日も1点差の逃げ切り勝ち。「こういう試合が続くとチームが強くなる。次も楽しみだね」とベテランらしいセリフでファイナルステージを見据えた。
ロッテは2007年から導入されたCSで、最初のステージでの敗退がない。
07年は第1ステージでソフトバンクに2勝1敗。ファーストステージと名称が変更された10年と13年はともに西武を退けてファイナルステージに進出した。このうち、日本シリーズまで進んだのは10年のみだが、この時のファイナルステージの相手は今年と同じソフトバンクだった。
優勝を争うプレーオフとして行われていた05年にも第1ステージで西武に2連勝して第2ステージに進み、ソフトバンクに3勝2敗と競り勝ち、リーグ優勝を果たしている。
ロッテは松永と内の好救援で逃げ切った。左腕の松永は2−1の7回1死一、二塁から涌井をリリーフ。中島、田中の左打者を打ち取り「僕が投げないで勝つのがベスト。先発がずっと頑張ってくれているので、こういう試合ができている」と自身の好投よりも先発陣の奮闘をたたえた。
内は8回1死一、三塁で登板し、代打大谷を低めのスライダーで空振り三振に仕留めるなどして切り抜け、9回は3人で締めた。「点を与えなければいい。それだけ」と飄々と振り返った。
レギュラーシーズン3位のロッテが、同2位の日本ハムに競り勝って、リーグ優勝のソフトバンクが待つファイナルステージ進出を決めた。ロッテは先発の涌井秀章投手(29)が143球を投じ、7回途中1失点の好投。打線は同点の7回にデスパイネ外野手(29)が勝ち越しのソロを放ち、試合を決めた。
助っ人の一振りで試合を決めた。同点の7回、先頭のデスパイネは初球から狙っていた。日本ハムの2番手・有原が投じた初球、147キロ高めの直球をフルスイング。打球はバックスクリーン左へ突き刺さるソロ。豪快な一発で決勝点をもたらした。
殊勲のデスパイネは「今日の試合は常に本塁打を狙っていた。それが3打席目に出てよかった。本当にいい当たりでした。自分でもそう思います」と興奮気味に一打を振り返った。これでファイナルステージ進出を決め、「涌井のピッチングは素晴らしかった。143球は本当にすごい。今日は涌井につきる」とチームメートをたたえた。
先発したロッテの涌井は、1回の守備でベースカバーに入った際、転倒するアクシデントに見舞われた。
1回、涌井は先頭の陽岱鋼(ヨウダイカン)が一ゴロを放つと、ベースを離れて鋭い打球を何とか捕球した井口のベースカバーに入るため一塁へ。しかし、途中で足をもつれさせ、転倒。それを見た井口が自らベースを踏んでアウトにしたが、涌井は一旦、治療のため、ベンチ奥へ。
数分間の手当の後、涌井はマウンドへ戻った。わずか2球で降板する可能性もあったが、そのまま続投した。
絶体絶命のピンチでエースの闘争心に火が付いた。1−1で迎えた3回無死満塁。クールなロッテの涌井が、珍しく感情をむき出しにした。
まずは横浜高の後輩・近藤は投ゴロ。「1アウトになったので0で抑えてやろうとギアを上げた」という。続くレアードを外角のフォークで空振り三振に仕留めると、雄叫びを上げた。最後は矢野を二飛に打ち取り、右手でグラブを叩いてガッツポーズを繰り出した。
「滅多にあんなことはしないんですけどね。本当に気持ちが高ぶった時にしかしない」。
初回には一ゴロのベースカバーに入ろうとした際に転倒するアクシデントがあった。「足がもつれた。期待に応えようという気持ちが空回りした」。右の手のひらと左膝を擦りむいたが、破れたズボンをはき替えてマウンドへ。110球を超えた5回の4番・中田との対戦ではこの日最速の148キロを連発し、遊ゴロに仕留めた。7回1死一塁から陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)に四球を与えたところで降板。6回1/3で今季最多の143球を投げ、8安打1失点でチームを2年ぶりのCSファイナルSに導いた。
レギュラーシーズン最終戦の6日楽天戦(コボスタ宮城)に志願して中4日で先発し、137球で10回を3失点。15勝目を挙げて日本ハム・大谷に並んで3度目の最多勝に輝いた。CS初戦を回避してまでタイトルを優先させてくれた伊東監督に、勝利で恩返ししたかった。「最終戦で投げさせてもらって、(中5日で)日程も空いたので万全だった」。言い訳をしないためにも、何球でも投げ抜く覚悟はあった。
西武からFA移籍して2年目。西武時代からの恩師である伊東監督が率いるロッテで輝きを取り戻した。「監督が自分を必要としてFAで獲ってくれたことが嬉しかった。恩返しがしたいし、男にしたい」。最終戦で投げたのも今年2月のキャンプで指揮官に「最多勝を獲ります」と宣言したからだ。負ければ終わりの一戦にも勝ち、指揮官は「これぞエース、最多勝という投球をしてくれた」と目を細めた。
3位から初めて日本一に上り詰めた5年前の「下克上」の再現に向け、第1関門を突破。14日からファイナルSでソフトバンクと激突する。「厳しい戦いをしているので勢いはある」と涌井。頂点を目指す「下克上アゲイン」は福岡の地でシーズン2に突入する。
同じ29歳のエースの力投に応えた。1−1で迎えた7回。先頭のロッテ・デスパイネが、有原の初球147キロの直球を捉えた。「自信を持って振った」という豪快なスイングで札幌ドームのバックスクリーンに叩き込んだ。
「最高の場面で最高の一発が出て満足」と決勝ソロに声をはずませ、「(涌井は)鉄の腕かと思った。凄い投球で自分の力になった。今日は涌井に尽きる。援護したかった」と振り返った。
「週7日は焼き肉」と言う大の肉好き。毎日のように食べてパワーの源にしているが、ポストシーズンに入って疲労が蓄積している。4番で出場した第1戦は2併殺2三振の5打数無安打。第2戦はスタメンから外された。伊東監督が「4番が打てないと勝てない」と復調を待ちわびた大砲は6番でスタメン復帰し、ファイナルS進出が懸かる一戦で期待に応えた。
40歳の「ポストシーズン男」の活躍も大きい。2回、井口が吉川のスライダーを左翼席へ同点ソロ。「コンパクトに振れた」という一発はプレーオフ、CSで歴代5位となる6本目。40歳10ヶ月はポストシーズンの球団史上最年長弾と勝負強さは衰えない。右腕の大谷、メンドーサが先発した1、2戦は左の福浦に先発出場を譲った。2試合で4安打した福浦に代わってのスタメンだが、準備は万端だ。一塁守備でも初回に陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)の痛烈なゴロに飛びつき、ベースカバーに入ろうとした涌井が転倒したため、陽岱鋼と競走。一塁ベースにスライディングして間一髪でアウトにし「流れを止められたのはよかった」と笑顔で話した。
試合前は誰よりも早くグラウンドに出て練習に励む。そんな姿勢が福浦に勝るとも劣らない活躍を生んだ。ファイナルSの相手は古巣のソフトバンク。百戦錬磨のベテランは「ホークスは(実戦間隔が空いて)試合勘がない。勢いはこっちにある」と腕をぶした。
ロッテは松永と内の好救援で逃げ切った。
左腕の松永は2−1の7回1死一、二塁から涌井をリリーフ。中島、田中の左打者を打ち取り「先発がずっと頑張ってくれているので、こういう試合ができている」と先発陣を称えた。内は8回1死一、三塁で登板し、代打・大谷をスライダーで空振り三振に仕留めるなどして切り抜け、9回は3人で締め「点を与えなければいい。それだけ」と飄々と振り返った。
QVCマリンフィールドで開催されたパブリックビューイングには、3日間で最多のロッテファン6126人が集結。
「下剋上タオル」を掲げて名物の「ジャンプ応援」で声をからし、ファイナルS進出を後押しした。試合後、決勝弾を放ったデスパイネが札幌ドームから「QVCマリンのファンの皆さんに力をもらった」と感謝の言葉を述べると、ボルテージは最高潮に。スクリーンに向かってデスパイネコールが続いた。
シーズン3位のロッテが2勝1敗でファーストS突破。これでパでは10年のロッテ以降、6年連続で3位球団が勝ち進んだ。ロッテはプレーオフ、CSのファーストSに5度目の出場で、全て突破してファイナルS進出。05、10年に次ぎ、両リーグ最多となる3度目の2位以下からの日本シリーズ進出を目指す。
ロッテは2007年から導入されたCSで、最初のステージでの敗退がない。
07年は第1ステージでソフトバンクに2勝1敗。ファーストステージと名称が変更された10年と13年はともに西武を退けてファイナルステージに進出した。このうち、日本シリーズまで進んだのは10年のみだが、この時のファイナルステージの相手はことしと同じソフトバンクだった。
優勝を争うプレーオフとして行われていた05年にも第1ステージで西武に2連勝して第2ステージに進み、ソフトバンクに3勝2敗と競り勝ち、リーグ優勝を果たしている。
7回途中まで143球を投げ1失点と好投した涌井についてロッテの伊東監督は「これぞエースというピッチング」と褒めちぎった。
初回、先頭の陽岱鋼を一ゴロに打ち取り、ベースカバーで一塁へダッシュした際につまずき、両手をしたたかに地面に打ち付けるアクシデント。一時ベンチへ退き治療を受け続投すると、走者を出しながらも粘り強い投球を展開した。
1点を先制された初回はさらに2死満塁のピンチを招くも、矢野を三ゴロに抑えしのぐと、その裏援護をもらい同点に。1−1で迎えた3回には無死満塁のピンチを招いたが、近藤を投ゴロ、レアードを空振り三振、矢野を二飛に切って取りこの日最大のピンチを抑えた。
7回1死まで8安打を浴び4四球を出したが、走者を出してから粘った。伊東監督は「立ち上がり不安もあったが、満塁のピンチの場面や2死を取った後のボールが良くなっていて、これぞエースというピッチングをしてくれた」と信頼感を口にした。
ここぞの場面で“キューバの至宝”が底力を見せた。同点の7回。ロッテ・デスパイネは有原の初球、高めに浮いた直球を見逃さなかった。「自信を持っている真っ直ぐで来ると思った」。豪快なスイングから放たれた打球が、中堅左のスタンド中段へと消えた。
エースの力投が、主砲の心に火をつけた。5回で球数が100球を超えながらも再三の危機を切り抜ける涌井の姿に「本当にすごかった。鉄の腕かと思ったよ。僕らにも力を与えてくれた」という。
前日の第2戦は、初戦で両足が痙攣したため途中交代したクルーズを、指名打者で起用するためにスタメンを外れた。それでも「(代打も)しっかり準備していたよ」と集中力を途切れさせることはない。
母国・キューバの国内リーグなどにも参加し「2年半ぐらい野球をやり続けているから、正直、疲れているよ」と笑う。「最高の場面で、最高の一発が出た。このまま福岡でも勝ち続ける」と力強く宣言したデスパイネ。下克上に不可欠な男が、上昇気流に乗った。
3位のロッテがファイナルSへ進出した。先発の涌井秀章投手(29)が7回途中まで8安打を浴びながらも、1失点に抑える力投。1−1の7回にはアルフレド・デスパイネ外野手(29)がソロ本塁打を放ち、勝負を決めた。日本ハムはあと1本が出ず、無念の敗退。大谷翔平投手(21)は8回の好機に代打で出場したが、三振に倒れた。
ポーカーフェースの右腕がほえた。涌井は魂を込めた。最多勝右腕の名に違わぬ143球の熱投が、ファイナルSへの切符をもたらした。
エースの気骨に、百戦錬磨の男たちが心を揺さぶられた。2回に井口が左翼へ同点ソロを放つと、同点の7回にはデスパイネが中堅左へ130メートルの特大決勝ソロ。チームに、涌井に勝利を届けたキューバの大砲は「前回140球近く投げて、今日も143球。鉄の腕なんじゃないか…。涌井の投球が僕らの力になった」と達成感に包まれていた。
40歳の井口は流れを読み切った一撃を繰り出した。涌井が1失点した直後、2回先頭で同点弾。「取られた後、すぐに追いつけたのは良かった」と勢いを呼び戻すアーチに価値を見いだした。
デスパイネのV弾には、主砲の意地が詰まっていた。「相手(有原)が自信のある直球を狙った」。投打の柱を求める伊東監督の希望から、涌井とともに昨季ロッテ入り。来季も残留予定の助っ人は「最高の場面で最高の一発が出た」と笑った。
第2戦は先発を外れた2人が貴重なソロを放ち、采配的中の指揮官は「短期決戦では経験値のある人が力になる」とうなずいた。14日からは独走Vのソフトバンクと最終Sを戦う。「ホークスには試合勘がない。勢いはウチの方がある」。井口の言葉に、下克上の予感が漂った。
パ・リーグは、3位のロッテがクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)第3戦で2位の日本ハムを下し、2年ぶりの最終S進出を決めた。涌井が5年ぶりの143球を投げ、7回途中1失点。今季終盤から鉄腕ぶりを発揮するエースの熱投に、井口が同点ソロ、デスパイネが決勝ソロで応えた。05年、10年に続く5年周期の下克上日本一へ、14日からソフトバンクとの最終S(ヤフオクD)に挑む。
いつものポーカーフェースじゃいられなかった。同点の3回、無死満塁の絶体絶命。涌井は近藤を投ゴロに仕留めると「絶対ゼロでいこうと、気持ちも精度も一段階上げた」。レアードには低めのフォークで空振り三振に斬った。「ヨシッ!」とグラブを叩き、叫んだ。矢野も二飛に仕留め、ピンチ脱出。珍しくガッツポーズが飛び出た。5年ぶりに143球を投げ、7回途中を8安打1失点。難攻不落の熱投だった。
登板直後、いきなり災難に見舞われた。初回先頭の陽を一ゴロに仕留めたが、一塁ベースカバーに向かう際に人工芝に足を取られ、転倒した。「『期待に応えてやろう』というのが強すぎて、空回りしてしまった」。左膝と右手をすりむき、治療後にマウンドに戻るが、1死一、三塁からは中田にフォークを左前に運ばれ、先取点を献上した。
それでもフォークの握りを、人さし指に縫い目がかかるよう変更し、空振りが奪えるようになった。再三走者を背負うが、気迫で勝利を引き寄せた。
6日の楽天戦(コボスタ)に中4日で登板し、プロ最長の10回、137球を投げて最多勝を獲得した。そこから中5日で140球を超える力投。スタミナは怪物級の右腕も、降板後の疲労は隠せなかった。それでも「投手陣で1番経験があるのは自分」と意地で投げた。伊東監督は「やはり最多勝を取る投手。これぞエースという投球をしてくれた」とたたえた。
12勝した西武時代の06年は、プレーオフに登板できなかった。第2Sに登板予定だったが、チームが第1Sで敗退したためだ。9日の札幌Dでの練習中、当時も監督だった伊東監督にその件を話し「今回は投げますよね?」と冗談交じりに登板を求めた。移籍前は救援に回っていた右腕の復活劇。指揮官は「西武時代はこんな感じ。投げれば勝つ」と感慨深げに語った。
ロッテは05年以降、出場5度全てでポストシーズン第1Sを突破。14日からはリーグ王者のソフトバンクと対戦するが「相手は試合間隔が空いているし、こちらは勢い付いている」と涌井は言う。日本一になった05年、10年に続く5年周期のゴールデンイヤー。3位からの下克上を、再び成し遂げる。
ロッテの涌井秀章投手(29)が12日、CS第1ステージ第3戦の日本ハム戦(札幌D)に先発。7回途中8安打1失点でチームをCS最終ステージ進出に導いた。
初回1死一、三塁から中田に左前適時打を浴びて先取点を許すが、2回以降は要所を締めた。「1点取られてもいいくらいだったけど、1死を取ってギアを上げた」と3回無死満塁のピンチを無得点に抑えるなど、143球を熱投した。
初回先頭の陽を一ゴロに打ち取り、一塁ベースカバーに向かう際に人工芝に足を取られて転倒するアクシデントもあったが、「(ケガは)全然大丈夫。(タフさの秘密は?)何でしょうね。これから探してみます」と笑顔で話した。
ロッテのアルフレド・デスパイネ外野手(29)が12日、日本ハムとのCSファーストステージ第3戦(札幌D)で勝ち越しの中越えソロを放った。
同点の7回に先頭で打席に立ち、有原が投じた初球の高め147キロ直球をバックスクリーン左に運んだ。
「涌井が粘りながら頑張っていたので、何とか援護したかった。最高の場面で最高の一発が出て満足しているよ。今日は絶対に勝って、福岡にみんなで一緒に行きましょう」とコメントした。
ロッテの井口資仁内野手(40)が12日、日本ハムとのCSファーストステージ第3戦(札幌D)で同点の左越えソロを放った。
「5番・一塁」で、今回のCSでは初スタメン。1点を追う2回無死走者なしから、真ん中に入って来た132キロのスライダーをとらえた。
「追い込まれていたので、コンパクトにスイングした結果、しっかり芯でとらえることができたね。当たりは完璧だったよ。早い回に一撃で追いつくことができて、行きかけた流れを戻すことができたかな」とコメントした。