1日で修正した。ロッテのドラフト1位、平沢大河内野手(18=仙台育英)が9日、2日連続でシート打撃に臨み、2打数1安打だった。前日は初球ストライクに手が出ず、二飛、見逃し三振の2タコ。この日は、二ゴロ、右前打で、ともに初球を打った。反省をすぐに結果で示し、充実のキャンプ第2クールを終えた。
平沢は、甘い球を逃さなかった。第2打席。9年目右腕阿部の初球136キロを振り抜いた。ライナーで内野の頭を越え、右前に落ちる。実戦形式での“プロ初安打”。「ストライクゾーンを打てて、ヒットにもなった。安心しました」と、正直に口にした。
前日の反省があった。初めてのシート打撃は、二木の前に、二飛、見逃し三振。いずれも初球のストライクを見送り、自分で苦しくした。見逃し三振は、外の135キロに手が出なかった。「球速以上に速く感じました。慣れないといけない。力の差を感じました」と、プロのレベルに直面した。切り替えて臨んだこの日のテーマは「初球を振ること」。実践した。
反省は、この日の2打席の間でもあった。第1打席。テーマ通りに初球を振ったが、外のボール球だった。同じく阿部の140キロを引っかけて二ゴロ。立花打撃コーチから「引っ張りに掛かっている。センター中心に打つように」と指摘された。第2打席のクリーンヒットにつながった。
コーチの言葉を素直に受けつつ、自分なりに考えている。1月の自主トレ期間は、右手の小指をバットのグリップエンドにかけていた。キャンプに入り、徐々に短めに持つようになった。「よりコンパクトに振るイメージです」。前日は、まだわずかに小指がかかっていたが、この日はグリップエンドの形状がはっきり見えていた。プロの球速に振り負けず、しっかり振り抜く意識が表れていた。
第2クール最終日を終え、「結構、疲れはたまってます」。宿舎では「炭酸10倍」という入浴剤で疲れを癒やす。体調管理も経験だ。ひとまず結果を出したが「試合じゃないので。試合で残さないとダメ」と緩まなかった。次クールでは、いよいよ対外試合(13、14日、台湾・ラミゴ戦)がある。1つずつ段階を踏んでいく。
ロッテのドラフト1位、平沢大河内野手(18=仙台育英)が9日、シート打撃で2打数1安打だった。 ともに、阿部と対戦。第1打席は、初球143キロを打って二ゴロ。第2打席は、初球136キロをライナーで右前に運んだ。
前日は2打数無安打だったが、この日は結果を出した。前日に手が出なかった初球ストライクをヒットとし、「反省を生かすことができました。でも、まだ試合じゃない。試合で結果を残さないとダメです」と気を緩めることはなかった。
ロッテ南昌輝投手(27)が9日、シート打撃で好投した。
打者12人に投げ、伊志嶺の右前打1本のみ。最速146キロで、フォークで空振り三振を3つ奪った。文句なしの内容だったが、「もっと精度を上げていきたい」と話した。
伊東勤監督(53)は「良かったね。去年は1軍で投げていない。今年こそ、という思いはあるでしょう」と期待していた。
ロッテ伊東勤監督(53)は9日、沖縄・石垣島キャンプ第2クールを終え、次の通り話した。
「次のクールで試合(13、14日、台湾・ラミゴ戦)がある。今(1軍に)いる選手は、全員使うという話はした。選手は、実戦で結果を残さないといけない。サバイバルが本格化ですね」。
「投手が、そこそこ元気。初日からブルペンで、それなりに自分の球を投げられている」。
「ナバーロは、まだ実戦まで調整したいと言ってきた。ラミゴ戦は欠場します。(20日からの)沖縄本島で本格的に見てみたい」。
「(16日からの第4クールで)紅白戦をやります。2軍とやります」。
ロッテ三木亮内野手(24)が9日、シート打撃で左越えに1発を放った。
阿部の141キロを捉え、「会心でした」とニッコリ。
伊東勤監督(53)は「三木くんも1発!頑張っている。パワー不足と思ったけど、力強さが出てきた」と自ら名前を挙げ、喜んでいた。
ロッテは「毎月ファン感謝デーの開催」というコンセプトで行うマリンフェスタで着用する今季の青色ユニホームを10日に発表する。その際のモデルを、平沢大河内野手(18=仙台育英)、成田翔投手(18=秋田商)の新人2人が務めることになった。
平沢は「1月25日に試着をさせてもらいましたが、爽やかでとても良かったです。新人でモデルを務めさせてもらえるのはとても光栄です」とコメント。
成田は「青いユニホームなので、明日、晴れてくれたらいいなあと思っています。モデル役、頑張ります」と話した。
D1位・平沢(仙台育英高)が2度目のシート打撃に臨み、2打席目に右前へ“プロ初安打”を放った。積極果敢な初球攻撃。阿部の136キロの速球をライナーで運んだ。「最初から振っていくことをテーマにしていたので、その通りにできた。初安打?一安心です」。前日8日は2打数無安打で、この日の第1打席も引っかけての二ゴロ。「強引すぎるぞ」という立花打撃コーチの助言に即反応する快音だった。
ロッテのドラフト1位・平沢大河内野手(18)が、沖縄・石垣島キャンプで2度目のフリー打撃に臨み、2打席目に右腕の阿部から初球の内角真っ直ぐ(136キロ)を果敢に打って出て、ライナー性の右前打。“プロ初安打”を記録した。
平沢は初実戦となった8日のシート打撃で2打数無安打。この日の第1打席も二ゴロだったが、通算4打席目で快音を残すあたりは、さすがの黄金ルーキーといえそうだ。
ロッテは「マリンフェスタ」で着用する新ユニホームの発表会を10日、午前11時から沖縄・石垣島の離島ターミナルに建てられている『具志堅用高ブロンズ像』の前で実施する。9日、球団が公表した。
当日はドラフト1位・平沢大河内野手(18)=仙台育英高=と同3位・成田翔投手(18)=秋田商高=がモデル務め、新ユニホームは球団ホームページ(HP)で10日午後4時に公開される。
「マリンフェスタ」は昨季から「ファン感謝デーの毎月開催」をコンセプトに実施。選手と球団がファンサービスに取り組む象徴として、青いユニホームを着用。今季は4月24日のオリックス戦、5月29日ソフトバンク戦、6月12日のヤクルト戦、7月31日の楽天戦、8月14日のソフトバンク戦、9月25日のオリックス戦で「マリンフェスタ」が開催予定だ。
国立大の名門、京都大学出身初のプロ野球選手として注目されたロッテ・田中英祐投手(23)が、沖縄・石垣島キャンプで2年目のシーズンを迎えた。試練の2軍スタートとあって、大フィーバーだった昨春のような光景はなく、周囲はひっそりと静まり返る。早くも訪れた厳しい現実について、2015年のドラフト2位右腕に聞いた。
「地獄を見てこい!!」と同じ京大卒の父・克則さん(53)に背中を押されて飛び込んだプロの世界。その「地獄」に田中英はいきなり直面した。実は現在、克則さんは勤務先の異動で関東に在住している。田中英によると、会おうと思えばいつでも会える距離。昨年も2軍戦(ロッテ浦和)にはよく観戦に訪れていた。
そこは父親だ。心配でないはずがない。「地獄を…」と千尋の谷にたたき落としたものの、息子の成績が上がらないのを気にかけ、京大時代のビデオを差し入れるなど、後方支援してくれたと田中英が明かした。思わず記者の涙腺が熱くなるインタビューとなった。
今キャンプ6度目のブルペン入り。これまでの最多となる83球を投げた。「現状は真っ直ぐだけという指示なので、変化球は投げていません。“ボールの行き先も考えないでいい”といわれてますので…」。その指導に当たっているのが小谷2軍投手コーチ。「名付けて『無責任投法』やな。何も考えさせない。ここに来てようやくいいボールが集まり出した」と手応えを感じている様子だった。
このオフ、田中英は大きな買い物をした。「それ、いきますか!?NGでお願いしますよ」と懇願されたが、最終的には「やんわりと書いてください」。実は車のオーナーになった。ウン百万円の高級車とだけにしておくが、自分自身に重圧をかける意味でもあえて奮発した。「車もそうですが、オフには(埼玉・さいたま市の)寮を出ます。さすがに家を買うなんていうことはしませんが、周囲に心配をかけないよう、立派な成績を残したい」。その心意気、よし!!
ロッテのドラフト1位・平沢(仙台育英)が修正能力を発揮した。
シート打撃の第2打席で阿部の初球を強振。鋭いライナーが右前へ抜けると、客席から拍手が起こった。「ヒットを打つことができて、一安心した」。前日に行われた初のシート打撃では2打席とも初球のストライクを見逃し、二飛と見逃し三振に倒れた。プロの生きた球に手が出ずこの日は「初球はしっかり振ろう」と決意。第1打席も阿部の初球を振りにいった結果の二ゴロだった。
伊東監督は「1球目から打ちにいく気持ちは評価できる」と実戦形式での初安打を称え、1軍メンバー全員を13、14日の台湾・ラミゴとの交流試合に出場させることを明言。平沢は「試合で結果を残せなきゃダメ」と気を引き締めた。
ロッテのドラフト1位・平沢(仙台育英)が9日、“実戦初安打”を放った。この日のシート打撃で投手の阿部に対して1打席目は初球の140キロ直球を打って二ゴロ。だが2打席目で、再び初球の136キロを果敢に打ちにいって右前にクリーンヒットを放った。
前日のシート打撃では2打数無安打。「明日はどんどん振っていきたい」と話していたが、積極的な姿勢での快打だった。期待のルーキーの“初安打”にスタンドのファンからは大きな拍手が沸き起こっていた。
石垣島でキャンプを張るロッテの石川が9日、ブルペンで58球の投球練習を行った。
カーブや新球のフォークなど変化球も31球投げた。フォークについては「手応えはまだまだ。実戦でも投げていきたい」と話していた。
ロッテは9日、マリンフェスタ新ユニホームのマスコミ向け発表会を10日に行うと発表した。当日はモデル役をドラフト1位・平沢(仙台育英)と同3位・成田(秋田商)が務める。球団公式ホームページでは10日の午後4時に公開予定。
マリンフェスタは「毎月ファン感謝デー開催」のコンセプトの元、昨季から開催され、青いユニホームを着用する。今季は本拠地の4月24日のオリックス戦、5月29日のソフトバンク戦、6月12日のヤクルト戦、7月31日の楽天戦、8月14日のソフトバンク戦、9月25日のオリックス戦で着用予定。
平沢は「1月25日に試着をさせてもらいましたが、さわやかでとても良かったです。新人でモデルを務めさせてもらえるのはとても光栄です」と話し、成田は「青いユニホームなので、(発表会は)晴れてくれたらいいなあと思っています。モデル役、頑張ります」と意気込んだ。
ロッテのドラフト1位・平沢大河内野手(18)=仙台育英高=と同3位・成田翔投手(18)=秋田商=が、10日に行われるマリンフェスタの新ユニホーム発表会のモデル役を務めることになった。9日、球団が発表した。
マリンフェスタは「毎月ファン感謝デー」をコンセプトに昨年から開催。その日は、選手と球団がファンサービスに取り組む象徴として青いユニホームを着用するほか、様々なファンサービスを企画しているという。
平沢は「1月25日に試着をさせてもらいましたが、爽やかでとてもよかったです。新人でモデルを務めさせてもらえるのはとても光栄です」とコメント。成田も「青いユニフォームなので、明日、晴れてくれたらいいなあと思っています。モデル役、頑張ります」と意気込んだ。
着用予定日は以下の6試合。4月24日(対オリックス戦)、5月29日(対ソフトバンク戦)、6月12日(対ヤクルト戦)、7月31日(対楽天戦)、8月14日(対ソフトバンク戦)、9月25日(対オリックス戦)。なお、新ユニホームは球団HPで10日16時に公開される予定。
ドラフト1位・平沢大河内野手(18)=仙台育英=が“プロ初安打”を放った。2度目のシート打撃に臨み、第2打席で右腕・阿部の初球、内角真っ直ぐを捉える右前打。スタンドからは拍手が起こった。
前日の初シートでは2の0。「何も考えていなかった。今日は初球からしっかり振ろうと思った」。平沢は積極性をテーマにして打席に入った。
第1打席も阿部の初球を狙い、二ゴロだったが、次の打席で結果を出した。「ヒットが出て一安心です」と手応えをつかんだ様子だった。
この日で第2クール終了。「疲れが結構たまっている」と言うが、入浴剤を使ってリフレッシュ。13日のラミゴ戦でもアピールするつもりだ。
千葉ロッテの平沢が前日に続くシート打撃に臨み、“初安打”を放った。第2打席、阿部の初球をライナーで右前に運んだ。スタンドからは拍手も起こり「ヒットを打つことができて、ひと安心」と表情を緩めた。
結果だけでなく、姿勢にも収穫があった。この日は二ゴロに倒れた第1打席も初球打ちだった。二飛と見逃し三振だった前日は「初球を振れなかった」と持ち味の積極性を出せなかった。反省をしっかりと生かし「今日のテーマだった。できてよかった」と背番号13。伊東監督も「いい打者は勝負が早い。1球目から打ちにいくのは評価できる」と目を細めていた。
ブルペンで捕手を務めた田村が「(コース)目いっぱいです」と明るい声を上げた。9日、千葉ロッテの黒沢がブルペンで45球を投げた。シート打撃に登板した前日は細谷に本塁打を献上するなど「中に入ってくるボールが多かった」。だからこそ「(コース)ギリギリを意識して投げた」と腕を振り続けた。
2年連続の1軍キャンプ。昨季は春先に1軍で登板したが、6試合に終わった。今季は中継ぎでの起用を伝えられている。ほぼ毎日のブルペン入りを課しているといい「初球から百パーセントで投げられるようにしないといけない」と力を込める。
城西国際大では上手投げだったが、2011年の入団1年目に当時の2軍首脳陣の勧めで横手投げに転向しプロで生き残ろうとしている。「ロッテで1番少ないサイドスロー。チャンスはある」と落合投手コーチ。「高低、左右、緩急全てを使って勝負する投手」と評し、前日のシート打撃に触れ「ブルペンでできたことが対打者でできるかが課題」と指摘する。
入団して6年目を迎える。「後がないと思っている」と気を引き締める。これまで1軍登板は8試合1敗。「初勝利は1軍にいないとできない。1日でも多く1軍にいられるようにするだけ」と目標を掲げる。そのための投球術を石垣島で築き上げていく。
そのことを本人は知らなかった。聞いたのは年が明けて、石垣島での春季キャンプに入ってからだった。西野勇士投手は少しだけ嬉しそうな面持ちを見せたが、すぐにいつもの冷静な表情に戻った。「そんなことがあったのですか?知りませんでした」。かすかな笑みを浮かべ、すぐに投球練習のためブルペンへと向かった。
昨年9月23日のイーグルス戦(QVC)。西野は投球時に左足に打球を当て、亀裂骨折。登録抹消となり、その後のシーズンを棒に振った。ファイターズとのCS第1ステージ(札幌D)、そしてホークスとのCSファイナルステージ(福岡ヤフオク!D)は自宅でテレビ観戦を余儀なくされた。それまで守護神として試合の最後を任され続けてきた。試合の勝利を決める大事な局面。やった人にしか分からぬ重圧を背負いながら、つながれた勝利のタスキをしっかりと受け取り、仕事をこなしてきた。昨シーズン、セーブシチュエーションでの失敗はゼロ。絶対的な安定感がチームをクライマックスシリーズへと導いた。しかし、その立役者は華やかな舞台を目前に控え、骨折という形で姿を消す。その無念を同じようにプレッシャーのかかる場面で登板を重ねてきたセットアッパーの仲間達は、気遣い、行動に出た。
「アイツのユニホームをクライマックスシリーズに持って行こう!そして日本シリーズ進出が決まった時にはスタンドに向かって、そのユニホームを目立つように掲げよう」。
時間がたった今となっては誰が言い出したのかはハッキリとしなくなっている。ただ、中継ぎ陣の間で自然発生的に出たアイデアだったといえる。「1番悔しいのはアイツ。だから、せめてユニホームだけでも遠征に持っていって、一緒に戦おうと思った」。6年連続で8度の手術を乗り越え、ケガでの戦線離脱のつらさを誰よりも知る内竜也投手はその時の思いを語った。シーズン中、いつも西野のキャッチボールの相手を務め、中継ぎ陣のリーダー的存在である大谷智久投手も同調した。「ケガをしていなかったら、セーブ王のタイトルを取れる可能性もあった。つらいだろう」。みんなが同じ思いだった。西野のロッカーからビジターユニホームを1着持ち出すと、球団にお願いをして遠征用のトラックの中に詰め込んだ。「アイツのために勝とう。日本シリーズには復帰できる。もう1度、マウンドに戻って来てもらおう」。1年間、一緒に戦ってきた仲間達は、それぞれで誓い合って札幌、福岡と続くCSの戦いへと向かった。
「ボクも日本シリーズに照準を合わせて急ピッチでリハビリをしていました。クライマックスシリーズのファイナルステージの頃には2軍で投球練習も再開していた。気持ちは高ぶっていました。みんながそんな思いで戦ってくれていたことは全く知らなかった」。
チームメートが強い思いで戦っている時、西野もまた登板の日を信じ、ロッテ浦和球場のブルペンで捕手を座らせ、臨戦態勢に入っていた。ホークスに3連敗を喫し、残念ながらみんなの思いが形になることはできなかった。しかし、ブルペン陣の、仲間を思う団結力は2016年のマリーンズでも健在だ。「ウチのブルペンは本当に雰囲気がいい。昨年も『西野のためにも日本シリーズに出るのだ』という思いで、みんなが1つになった。それは嬉しいし、今年につながるはず」。石垣島キャンプで投手陣の仕上がりをチェックする落合英二投手コーチも目を細める。
傷が完全に癒えた西野もブルペンで存在感を見せている。オフの間に体を一回り大きくし、84キロほどだった体重は89キロに達している。目指すは、さらに絶対的な守護神。そのためにストレートにさらに磨きをかける作業を行っている。
「みんなで力を合わせて勝ちたい。優勝がしたい。去年は絶対に抑えに失敗をしないと自分で自分にプレッシャーをかけてやっていたけど、今年も自分の中で色々な目標を持って1年間戦いたい。最後まで投げたい」。
まだ知らぬ優勝の味。栄光の瞬間を自分のことを気遣い、信じてくれる仲間達と分かち合いたい。西野は新たなシーズンへの思いをはせる。石垣島の空はきれいに青く晴れ渡っていた。その空の下で、マリーンズの投手陣は汗を流す。励まし合い、笑い合いながら、体を動かす頼もしき面々。今年も全員で勝利のタスキをつなげてみせる。
(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)
吐く息が白い。田中英祐投手の自主トレは午前7時にスタートしていた。
その30分前にはグラウンド入り。まずは1時間の走り込みから始まる。その後、340メートルダッシュ。100メートルダッシュ30本。50メートルの3往復を1分回以内で行うメニューを7本など、日替わりで様々な距離のランニングを消化。とにかく走って、走って、走った。
2015年シーズン、京都大学出身初のプロ野球選手として世間の注目を一身に背負いプロ入りも未勝利。湯気の立つ背中には、2年目にかける決意がみなぎっていた。
「充実していましたね。学ぶことが多かった。プロの考え、心構え、トレーニング方法。一緒にやらせていただいて本当によかった。色々と頭の中を整理できた」。
兵庫県三木市で行われた1月の自主トレを振り返り、田中は明るい表情を見せた。
松永昂大投手に頭を下げて、実現したトレーニングだった。シーズン中、それほど会話をした記憶もない。ただ、そのストイックに野球へと打ち込む姿勢に憧れていた。11月に鴨川で行われた秋季キャンプ。勇気を振り絞って問いかけた。
「どこで自主トレをされるのですか?」。
松永もその一言で察した。あえて自らが誘うような形で問い返してあげた。「良かったら来るか?一緒にやるか」。悩める田中の表情がパッと明るくなった。「やらせてください!」。気持ちのこもった返答に、強い決意を感じられた。
「去年の春のキャンプで少し話をしたぐらいの仲。でもお願いをされたら、歓迎です。自主トレはスタミナ。心肺面を鍛える期間。『とにかく走るぞ。ついてこれるか?』と伝えました」。
マリーンズの左の貴重なセットアッパーとして3年連続で40試合以上投げている実績ある投手の練習メニューは、やはりストイックだった。それでも妥協なき早朝からのトレーニングに歯を食いしばりながら、ついていった。走る練習では1番になることにこだわった。毎回、全力疾走。トップでゴールし続けた。「必死に走る姿を見て、凄い負けん気を感じた。こんなに負けず嫌いな選手とは知らなかった」と松永。その根性は驚きだった。
昨シーズン、2軍のグラウンドで悩める田中の姿を、松永は見ていた。思うように投げることができない。ボールがコントロールできない。こんなはずではなかった。悩みは深いように思えた。
だから、一緒に自主トレをすると決めた時、どんなアドバイスをすればいいかを真剣に考えた。自身の大学時代の監督、コーチなど、色々な人にも相談をしてみた。
投手陣のリーダー格である涌井秀章投手にも聞いた。そしてスタンスを決めた。
「色々と考え込むタイプ。そして色々な意見を吸収し過ぎてしまうところがあるように感じた。だから、さりげないアドバイスを心がけた。それは涌井さんも同じことを言っていた」。
トレーニングはもちろん、色々な場面でボソッと助言した。朝の食事も共にして、優しく声をかけた。「プロでは食べるのもトレーニングだよ」。食の細かった田中だが、練習量の多さもあり、よく食べるようになった。「朝からホットサンドセットにナポリタンの大盛りを食べていましたからね」と松永は笑う。
1月上旬から2週間続いたトレーニング。ブルペンでの投げ込みこそ行わなかったが遠投は量をこなした。90メートルの遠投。ボールを受けた松永は、悩める右腕の2年目の進化を確かに感じ取った。「アイツ、頑張りました。よくなっていますよ」。石垣島キャンプでは2軍スタートになったが、必死にアピールしようと努力する後輩の背中を、優しい目で見守る。
「本当に一緒に練習をさせていただき、充実していました。このキャンプで、さらに手応えを掴んで、アピールして、今年は、1軍で勝ちたいです。一歩ずつ、しっかりと前に進んでいきたい」。
プロ1年目だった昨春のキャンプで話題の中心にいた若者は今、黙々とトレーニングを続けている。昨年まで密着をしていたテレビカメラや新聞記者は連日、仙台育英高校から鳴り物入りで入団をしてきた平沢大河内野手の一挙一動を追いかける。その横で、静かに着々と成長を見せている。
「去年が異常だっただけですから」。クールにそう答える田中だが、その目は闘志を失っていない。先輩と共に過ごした自主トレでキッカケを掴んだ背番号「31」は1年目の挫折を乗り越え、飛躍の準備に余念がない。
(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)