わたしはかもめ2016年鴎の便り(3月)

便

3月15日

千葉ロッテ2−0福岡ソフトバンク(QVCマリン)

ロッテの石川は7回2安打無失点、ソフトバンクの和田は5回3安打無失点でともに先発の軸が順調な仕上がりを見せた。ソフトバンクは2番手の千賀が3回2失点と制球に課題を残した。チームはオープン戦10試合目で初黒星。

123456789R
福岡ソフトバンク0000000000
千葉ロッテ00000002x2

◇151キロ計測、変化球も良し

これが公式戦だったらと思わせるほど、充実の投球だった。千葉ロッテの石川が7回を2安打無失点。79球と少ない球数でテンポ良く、2年連続日本一のソフトバンク打線を料理。伊東監督に「いつ開幕を迎えてもいい感じ」と言わしめた。

まず直球に力があった。一回の先頭打者、上林を外角の150キロで空振り三振に。「(スピードガンが)壊れているかなと思った」と本人が冗談めかすように、速球が走った。まだ調整段階だが、自己最速タイの151キロも3度計測。「時期は関係ない。いいフォームで投げられている」。

3回以降は緩いカーブなど変化球を効果的に織り交ぜた。追い込んでからの投球に課題があり、昨季は12勝12敗。貯金をつくれなかった。監督は「今日みたいにストライクからボールになるコントロールがつけば、負け数が少なくなる」と言葉を弾ませる。

8日の日本ハム戦は5回1失点も、ボール自体は不満だった。「体のケアを重点的にやった」と納得の調整を経て、順調な仕上がりを見せた。あと1試合登板し、楽天との開幕2カード目の初戦(29日)の先発が有力。「もうちょっと真っ直ぐを低めに投げられれば最高」と先を見据えた。

伊東監督
「いつ開幕してもいいくらい。追い込んでから、うまくボールゾーンに投げていた。こういう投球を続けたら(昨季12勝12敗の)負け数も減る。」(石川に)
ソフトバンク・藤井打撃コーチ
「カーブをうまく使われた。シーズンで対策を練っていきたい。」(ロッテの石川に7回2安打に封じられ)

◇岡田、合流即適時打

インフルエンザを発症し2軍で調整していた千葉ロッテの岡田が2月27日以来となる1軍に合流し、7回の守備から出場。8回無死満塁で回ってきた打席では初球のスライダーを捉えて一、二塁間を破る先制打を放った。

今春の対外試合14戦無敗だったソフトバンクに土をつける貴重な一打だった。「低めだったが、反応できた。振れていると思う。強い打球を打てた」と納得顔。すぐに結果を残し「よかったと思うが、まだまだこれから。満足せずやっていきたい」と気を引き締めた。

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ロッテ石川7回無失点、開幕へ伊東監督も太鼓判[ニッカン]

ロッテ先発の石川歩投手(27)が7回2安打無失点と好投した。

直球は、自己最速タイとなる151キロを記録。変化球のキレ、精度も良く、ソフトバンク打線に連打を許さなかった。「今日は状態が良かったので、真っ直ぐを力を入れて投げました」と振り返った。

伊東勤監督(53)は「良かったね。いつ開幕を迎えてもいい」と評価した。

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ロッテがソフトBに土!石川、昨季0勝3敗の相手に完璧ピッチ[サンスポ]

ロッテ・石川歩投手(27)が15日、ソフトバンクとのオープン戦(QVCマリン)に先発し、昨季0勝3敗と苦手にした相手打線を7回2安打無失点と封じ、2−0の勝利に貢献。今季の対外試合で14戦無敗(11勝3分)だった鷹に初黒星を付けた。

「球速がこんなに出ているとは。(スピードガンが)壊れているのかと思った」。この日の直球の最速は151キロ。得意のシンカー、カーブなどの変化球が約7メートルの“マリン風”の影響で、さらにブレーキが利いた。三塁を踏ませず、仕上がりの良さを披露した。

伊東監督は「今日みたいに(追い込んでから)ストライクからボールに投げられればいい。いつ開幕を迎えてもいい感じ」と大絶賛。エース・涌井と先発陣の柱として期待される右腕は「ソフトバンクはベストメンバーではない。もう少し直球を低めに投げないと」と反省も忘れなかった。

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ロッテ、面談形式で選手再調査「きちっと調べていく」[サンスポ]

セ・リーグは、17日に緊急理事会を開催する。巨人に続いて阪神でも試合の勝敗をめぐっての金銭授受が判明し、急遽決定した。

ロッテは15日、選手への再調査を開始した。巨人選手の野球賭博関与が発覚した昨年は用紙の提出による調査だったが、今回は面談形式に変更。聞き取り内容も「(野球賭博常習者の)B氏を知っているか」「B氏の経営する店は分かるか」などと踏み込んだ。現時点では円陣での「声出し」による金銭授受などの事実は確認されていないが、山室球団社長は「きちっと調べていく」と語った。

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ロッテ・岡田、インフルからの復帰戦で適時打「まずは良かった」[サンスポ]

ロッテの岡田が8回に均衡を破る適時打をマークした。インフルエンザにかかった影響で2軍での調整が続き、この日から1軍に合流したばかり。途中出場で好結果を残し「ずっと上で試合に出るのが仕事。まずは良かった」と喜んだ。

今季取り組んでいる、強い打球を放つ意識が打席で出た。千賀の変化球を捉え、鋭く右前へ運び「追い込まれるまでは自分のスイングをしようと思っている。初球で強い打球を打てたのは良かった」と納得顔だった。

伊東監督
「いつ開幕してもいいくらい。追い込んでから、うまくボールゾーンに投げていた。こういう投球を続けたら(昨季12勝12敗の)負け数も減る。」(石川に)

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石川完璧!7回零封でソフト止めた、自己最速151キロ出た[スポニチ]

完璧な投球だった。新人から3年連続2桁勝利を目指すロッテ・石川が、ソフトバンク相手に7回を2安打無失点に抑えた。

「いいフォームで投げられた。そんなに出てるとは思わなかったので、最初は“スピードガンが壊れてるか”と思った」。

プレーボールから2球目に150キロを計測すると、3番・柳田への3球目に早くも自己最速151キロをマーク。中盤から球速こそ落ちたが、剛球の残像は有効で、さらに抜群の制球を披露したカーブとの最大緩急差は40キロ。差し込まれるような打球が目立った。

前回登板となった8日の日本ハム戦(QVCマリン)後、入念に体のケアに努めた効果が出て「この1週間、意識していい調整ができたし、コンディションが良かった」。登板間のルーティンを1年通して寸分の狂いなくこなすことから、チームメートの木村から「石川を家電に例えると、ルンバ(ロボット掃除機)」と評される。一方で、言葉数が少なく照れ屋な性格で、内からは「加湿器。喋れば、その場の空気が湿る」ともからかわれるが…。

体重も入団時の82キロから昨年は84キロ、そして今年は87キロと着実に増量し、パワーピッチングもできる体を手に入れた。わずか79球で三塁を踏ませない内容に、エース涌井と並ぶ先発陣の柱として期待する伊東監督も「いつ開幕を迎えてもいい感じだね。追い込んでストライクゾーンからボールにコントロールできていたし、こういう投球ができると負け数も減る」と太鼓判を押した。

昨季の石川はソフトバンクにCSも含め4戦4敗だったが、キャンプから実戦14試合で無敗を誇ってきた絶対王者に初黒星をつけた。「あとは真っ直ぐをもう少し低めに投げられたら最高かな」。右腕は充実の笑顔で球場を後にした。

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インフル癒えた岡田、即千賀打った「ファームいい経験」[スポニチ]

2月28日にインフルエンザA型の発症が判明したロッテの岡田が1軍に再合流した。7回の守備から途中出場。復帰初打席の8回無死満塁で千賀から右前打し「離脱したのは悔しかったが、ファームの選手の一生懸命な姿を見て、自分も励みになったし、いい経験だった」と話した。

プロ入りから2087打席本塁打なしのプロ野球記録を持つが、今季は1号を目標にバットを長く持ち、重心を後ろに残す打法に取り組んでおり「強い打球を打てたし、自分の中では“振れている”と思う」と手応えを口にした。

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ロッテ・平沢、2軍戦で“再出発”も無安打を反省[スポニチ]

ロッテのドラフト1位・平沢が15日、イースタン・リーグの日本ハム戦(ロッテ浦和)に「9番・遊撃」でフル出場し、2打数無安打1四球だった。

3回の第1打席は新垣の変化球にうまく合わせた左飛、6回の第2打席は武田勝と対戦し四球、7回の第3打席は瀬川の前に空振り三振に倒れた。

「振るべき球を振れていないし、1球で仕留めることができていない」と反省。キャンプから1軍でアピールし続けた18歳は13日に2軍落ちを告げられ、再スタートを切ったばかり。「やることは変わらない。試合の経験を大事にしていきたい」と話した。

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石川、圧投の79球!7回0封で鷹キラーへ[報知]

日本一球団との前哨戦で、圧巻の投球だった。石川は表情を変えずに言った。「真っ直ぐには力を入れて投げました」。自己最速151キロも3度マーク。7回2安打無失点、わずか79球で強力打線を封じ込めた。圧倒的な投球でマウンドを降りると、チームも8回に岡田の右前打で均衡を破った。オープン戦無敗だったソフトバンクに初めて黒星を付けた。

今季は鷹キラーになる。開幕2カード目の頭を任される右腕は、5月末までに3度、ソフトバンク3連戦の初戦で先発することが濃厚だ。昨季は0勝3敗と完敗したが、伊東監督は「いつ開幕を迎えてもいい投球。風も利用してブレーキの効いた変化球を投げていた」と期待を込めた。

5回4安打1失点だった8日の日本ハム戦後、疲労回復を最優先して、コンディションは整った。「最初は力んでいましたし、真っ直ぐもコントロールしたいです」。課題を口にする表情も、自信ありげだった。

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ロッテ石川、盤石7回0封でストップ鷹[デイリー]

いつでも開幕OKだ。ロッテ・石川がオープン戦無敗街道を突き進んできたソフトバンクを止めた。7回を2安打無失点。危なげのない投球で盤石を印象づけた。

「状態は良かった。真っ直ぐに力を入れて投げた」。球速は150キロ台を何度も計測。5回1失点にまとめた8日の日本ハム戦に続く好投に「前回からいい調整ができた。体がすごくいい状態なんです。ケアをしてきましたからね」と自信をのぞかせた。

伊東監督は「いつ開幕を迎えてもいい。いいところに投げていた。追い込んでから変化球に切れがあった」と高く評価した。順当なら開幕2カード目の初戦・29日の楽天戦先発が有力。負け数を減らすことが目標の今季。石川への期待は大だ。

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ロッテ球団社長「正直に話せば救われる仕組みを」[ニッカン]

巨人で選手が自チームの勝敗に絡んで金銭授受を行っていたことが判明した問題に絡み、阪神と西武でも選手間の金銭のやりとりがあったことが15日、分かった。チームが勝った場合、試合前の円陣で「声出し」した選手が、他の選手から「祝儀」を受け取るシステム。野球賭博とは違い、敗退行為につながらないとして、NPB(日本野球機構)は野球協約違反には該当しないとしているが、熊崎コミッショナーは賭博問題を引き起こす要因の1つになったと捉え、徹底解明する決意を表明した。

ロッテ山室晋也球団社長(56)が同日、野球賭博問題の解決に向けた提言を行った。「個人的意見」と前置きした上で、「再調査にあたっては“司法取引”のようなものがあっていいのではないか」と話した。

司法取引とは、裁判で検察と被告が行う。罪状を認めたり、捜査に協力したり、共犯者を告発したりすることと引き換えに刑を減免する制度だ。日本の法制度上は認められていないが、山室社長は有効性を指摘する。「前回の調査と同じことを同じように聞いても、『やってません』で終わるのではないか。それで、再調査の意味があるのか。例えば『今、正直に話せば、ペナルティーを考慮する』と。それで正直に打ち明けられ、救われる人がいるかもしれない」と続けた。

決して、賭博行為を行った人が他にもいると決めつけている訳ではないし、賭博行為の罪を軽視している訳でもない。ただ、最初に賭博問題が発覚した昨秋の調査で、巨人高木京の名前は挙がらなかった。従来の調査には限界があるのも事実だ。「再調査で問題なしとなって開幕を迎えた後、万が一、新たな関与者が出れば大変なこと。ダメージは、ずっと大きくなる。本当にうみを出し切る工夫が必要」と強調した。

課題はある。福田、笠原、松本竜の元3投手は無期失格となった。高木京も重い処分は免れない。仮に新たな関与者が取引により無期失格を免れれば結果的に、これまで黙っていた人の方が得をするという見方もできる。既に出た処分との整合性をどうするか。取引の過程で情報が外部に漏れないようにする必要もある。

山室社長は元銀行マン。司法取引について「独禁法が、その考えに近い」と言った。違法な談合を行っている会社が自ら公正取引委員会に最初に報告すれば、課徴金が減免される制度がある。クリアする課題は残るが、ビジネスの世界で生きてきた同社長ならではの建設的な提言といえそうだ。

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NPB熊崎コミッショナー、金銭授受「許されない」[ニッカン]

プロ野球の熊崎勝彦コミッショナー(74)は15日、巨人に続き、阪神、西武も「円陣声出し」による金銭授受が発覚したことを受けて、コメントを発表した。

「本日阪神球団および西武球団から『円陣声だし』での金銭授受の過去事例がある旨の概要報告を受けました。読売巨人軍の『円陣声出し』について、永久失格処分の対象である野球協約177条第1項第6号の解釈につき、すでに調査報告書作成時に慎重に検討した結果、かかる事案は同条項違反には該当しないと解するのが妥当である旨の結論に達していることを昨日説明しました。もとより、『円陣声だし』事案が協約違反に該当しなくても、かかる行為は許されるものではない上、先の巨人軍3選手の賭博問題を引き起こす要因、背景の1つになったと捉えており、こうした要因、背景の全てを根絶し、協約違反の行為に至らないよう、かかる行為を含めた野球に関する金銭授受を一切禁止する旨の通達を1月29日に発令し、再発防止策を実施しているものであります。したがってコミッショナー通達以降は、かような行為を行うようなことはないものと確信いたしておりますが、それ以前においては同様の行為が行われている可能性を否定できず、現在、全球団において鋭意、再度確認調査中であります。なお、一連の野球賭博問題に関しては、調査委員会において引き続き徹底的な全容解明に取り組んでいきます」。

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NPBと選手会、脳振とうの特例運用方法を確認[スポニチ]

日本野球機構(NPB)と労組・日本プロ野球選手会(嶋基宏会長=楽天)は15日、東京都内で事務折衝を行い、今季から導入する脳振とうの疑いで出場選手登録を外れた場合の特例措置についての運用方法を確認した。

脳振とうの可能性があって登録を外れた場合は、医師から問題ないと診断されれば10日を待たずに再登録できる。登録を外れている間もFA権資格取得のための日数は中断されない。特例利用で復帰する時は代わりに登録されていた選手と入れ替わる。代替選手も10日を待たずに再登録が可能となる。

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今ならもっと人気?パ・リーグにスポット当てた個性的マンガの数々[スポニチ]

かつてのパ・リーグは「人気のセ、実力のパ」と形容されるように、観客動員数ではセ・リーグに大きく引き離されていた。しかし、2004年の球界再編以降、パ・リーグ各球団はファン獲得のために努力を重ね、今やパ・リーグがプロ野球界のトレンドを引っ張るまでにリーグ全体が成長した。

そんな中、パ・リーグを舞台にした野球マンガを振り返ると、「パ・リーグの人気がもうちょっと早く来ていたら……」と感じてしまうファンも多いだろう。そんなパ・リーグにスポットを当てた3本の野球マンガを紹介したい。

◇「あぶさん」(水島新司)

パ・リーグを語る上で絶対に外すことのできない野球マンガ。主人公の景浦安武(あぶさん)が大酒呑みの代打専門選手というユニークな設定で実在のチーム・選手が多数登場する。特にあぶさんが所属した南海・ダイエー・ソフトバンクは取り上げられることが非常に多く、球団側も昨年まであぶさんの背番号90を空番にして、その功績に敬意を表している(背番号90は今季からロベルト・スアレスが付ける)。また、南海時代の本拠地・大阪球場ではあぶさんの似顔絵入り看板が外野スタンドに掲示されていた。

「あぶさん」と言えば本業である野球のシーンはもちろんのこと、野球を離れた光景も印象的だ。妻・サチ子の父親が営む居酒屋「大虎」に集まる常連客とのエピソードや酒にまつわる話。独身時代だった初期の女性とのエピソードなど、非常に人情味あふれる話が多い。

代打専門選手だったあぶさんも南海後期からはレギュラーとなり、ダイエー時代には1991年から1993年まで3年連続三冠王を達成。還暦を越えても現役でプレーし、2009年に惜しまれつつ現役を退いた。

◇「がんばれ!!タブチくん!!」(いしいひさいち)

「おじゃまんが山田くん」「ののちゃん」で知られるいしいひさいちが描いた野球ギャグマンガ。ホームランアーティスト・田淵幸一をモデルにした「タブチくん」が主人公であり、その姿をユーモアたっぷりに描いている。マンガでは阪神時代も描かれているが、その後に発表された劇場版映画の影響もあって一般的には「タブチくん=西武」のイメージが強い。

作品には当時の西武監督・根本陸夫をモデルにしたネモト監督など、実在選手をモデルにしたキャラクターも登場。特にヤクルトのヤスダ投手(モデルは安田猛)とヒロオカ監督(モデルは広岡達朗)はセ・リーグの球団ながら脇役として登場回数が多い。劇場版アニメ映画では3本製作され、タブチくんの声を俳優・西田敏行が演じ話題を呼んだ。

モデルとなった田淵はこの作品で再び人気を獲得。西武も創設当初は下位を低迷したが、1982年に広岡監督が就任し、球団初の日本一に。翌1983年には巨人を倒して、日本シリーズ制覇を果たした。

◇「ストッパー毒島」(ハロルド作石)

作者は「ゴリラーマン」「BECK」のハロルド作石。パ・リーグの架空球団・京浜アスレチックスの若きストッパー・毒島大広を主人公にした、1990年代中盤を舞台にしたマンガ。毒島の活躍とともに、弱小と言われたアスレチックスが優勝争いを繰り広げていく。ちょうど野茂英雄がドジャースで活躍した直後だっただけに、作品全体にMLBを意識した開放的な雰囲気が漂っている。野球とサッカーの二刀流選手が登場しているのも大きな特徴だ。

作品でクライマックスとなるのは終盤の優勝争いだ。特に連勝すれば優勝というロッテとのダブルヘッダーは、未だ語り継がれている1988年10月19日の近鉄対ロッテ…いわゆる「10・19」を彷彿とさせる。現役選手でもこのマンガを読んでいた選手は多く、愛読者だった松坂大輔(ソフトバンク)は高校時代にチェンジアップを投げる際、毒島の投げる変化球「ブスジマチェンジ」を参考にしたと言われている。
(『週刊野球太郎』編集部)

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[千葉魂]平沢、3・11の誓い、夢を与えられる選手に[千葉日報]

3月11日14時46分。平沢大河内野手は一塁側ベンチ前で帽子を取り、目を閉じていた。1分間続いた黙祷が終わった。5年前のあの日。決して忘れてはいけない出来事を胸に刻み、またボールを追いかけた。

「復興はまだまだだと思います。被災地の方など今、つらい思いをされている方に少しでも『また頑張ろう』と思えるような、何かの力になりたいと思う」。

鉛色の雲が覆う空を仰ぎ、平沢はあらためて心に誓った。当時、13歳だった平沢は実家で大きな揺れに襲われた。高台にあったこともあり津波の被害はなかったが、電気、ガスが止まった。時間の経過とともに被害の大きさが伝わるようになった。小学校時代に野球をした思い出のグラウンドは津波に飲み込まれ、跡形もなくなった。当時、所属していた中学野球チームの仲間達も被害に遭っていた。自宅が浸水して野球用具が使えなくなった選手や、家が流された選手達がいた。練習グラウンドに隣接して仮設住宅が立った。チームは消滅の危機となった。保護者達は約1ヶ月、話し合いを続けた。野球をやっている場合なのかという意見も出た中、自宅を流された家庭の保護者が頭を下げた。「子供達には野球を続けさせてあげて欲しい」。心からの願いだった。その一言で決まった。チームは消滅の危機を乗り越え、平沢も野球を続けることができた。

「チーム全員で被災した方のためにという思いが強かった。そういう力は大きかったと思う。震災前まではただ野球をやっている感じだったけど、野球をしたくてもできない人がいる。そういうことを理解して自分の環境に感謝するようになった」。

練習に向かうため、仮設住宅の前を通りかかると「野球、頑張ってね」と声を掛けてもらえた。自分よりも大変な思いをしている人から声を掛けてもらえることが励みになった。その人達の思いを背負ってその年、夏の全国大会に出場。悲願のチーム初勝利を挙げた。みんなの野球への思い、そして被災した人達への気持ちが、不思議な力を引き出してくれたように感じた。それは今まで味わったことのない感覚だった。

仙台育英高校に進学後もスポーツの力を感じることがあった。2013年の楽天イーグルスの日本一。そして準優勝で終えた昨夏の甲子園大会。仙台駅に着くと見たこともないような人だかりができ、「感動をありがとう」と声を掛けてくれた。だから、プロ入りした今、野球を通じて、人の心を動かせるようなプレーを心掛けたいと感じている。

「自分が野球で誰かを勇気づけることができるのであれば、そんな幸せなことはないと思う。そんなプレーヤーを目指したい」。

2月28日。平沢は母校の卒業式出席のため仙台育英高校にいた。式終了後、3年生全員でいつも汗を流した室内練習場に集まった。それぞれが違う道を歩む。大学で野球を続けるもの、野球はせずに新たな目標を目指すもの、色々な夢が広がっていた。野球は辞め、消防士を目指す仲間達がいた。社会の役に立ちたいと大志を抱く仲間達の思いが胸を熱くさせた。だからこそ、自分はプロ野球選手として、夢を伝える役割を全うすることを誓った。

「ボクはまだまだ。でもその中で1日1日を大切に、目標を持って過ごしていきたい。うまくいかないことも多いけど、それをしっかりと受け入れて前に進んで、その結果として勇気を与えられるようなプレーができればと思う」。

自主トレ、キャンプ、オープン戦と続くプロ1年目の挑戦は、また新たな場面に突入しようとしている。ハイレベルな戦いの場で、もがき苦しみながらもしっかりと前を見据える若者がいる。大好きな野球をしているからには嘆いている訳にはいかない。夢を目指して頑張っている仲間たちのことを思うと、負ける訳にもいかない。いつか夢や希望を与えられる選手になれる日を信じて、背番号「13」は歩みを始めたばかりだ。
(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)

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