≫わたしはかもめ≫2016年≫鴎の便り(3月)
鴎の便り
3月21日
中日はオープン戦初登板の吉見が5回途中まで4安打無失点だった。新人の小笠原は1回無失点。チームに再合流したビシエドは3回に適時打を放った。ロッテは二木が6回7安打1失点と粘り強く投げた。正捕手を争う田村は3安打。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 4 |
中日 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
- [勝]二木(1勝1敗)
- [セ]内(2S)
- [敗]岩田(1敗)
↑ページトップ
ロッテ田村龍弘捕手(21)が3安打を放った。中前打、左翼線二塁打、右中間三塁打と放ち、迎えた8回1死一塁の最終打席。本塁打が出ればサイクル安打だった。左翼席のロッテ・ファンからは「ホームラン、ホームラン、田村!」のコールが飛んだ。だが、空振り三振に終わった。
それでも、オープン戦最終戦でアピールに成功。「(8回は)ホームランは狙ってません。最後に結果を残せて良かったです。今日は1発で仕留められたので、シーズンでも継続していきたい」と話した。
↑ページトップ
ロッテ先発の二木康太投手(20)は、6回7安打1失点だった。
4イニングで先頭を出したが、走者を背負ってから踏ん張った。前回11日の西武戦では、4回9安打7失点と打ち込まれただけに「結果は大事。でも、硬くなりすぎて、この前みたいになってはダメ。できることだけやろうと試合に入りました。今日も調子は良くなかったけど、力まずに、コントロールを意識できました」と振り返った。
落合英二投手コーチ(46)は「結果は出したので、評価はしたい」と、開幕ローテに入れる方針を示した。
↑ページトップ
高浜が7回の決勝打を含む2安打1打点の活躍。「何とかつなごうと思っていた。新聞で“簡単に三振してくるヤツがいる”という伊東監督の談話を読んだので…」と粘りを強調した。指揮官は「形が見えてきた」と、大谷(日本ハム)を迎え撃つ開幕戦はこの日と同じ岡田、高浜の1、2番で臨むことを示唆。9年目の26歳が、オープン戦の最後にビッグチャンスをつかんだ。
↑ページトップ
ロッテは終盤の集中打で逆転勝ちし、オープン戦を9勝4敗3分けの好成績で終えた。伊東監督は「この3試合は公式戦並みに緊迫した試合になった。一区切りで勝って公式戦に臨める」と一安心の表情だった。
固定できずにいる1、2番には岡田、高浜と左打者を並べた。3安打の岡田が「しっかりと自分のスイングができている」と言えば、2安打した高浜も「粘っていこうというのがいい方向にいった。後ろにつなぐ意識でやれたらいい」とうなずいた。日本ハムの大谷と対戦する開幕戦も、この形で臨むことになりそうだ。
- 田村
- 「伊東監督からボールに逆らわずヘッドをうまく使えと言われていた。今日は一発で仕留められた。シーズンでも継続したい。」(3安打)
- 落合投手コーチ
- 「真っ直ぐが引っかかって、ファウルを取れていなかった。ただ結果は出した。評価したい。」(二木に)
↑ページトップ
開幕ローテーション入りが決まっているロッテの二木は、6回1失点で切り抜け「できることだけをやろうと思っていた」と息をついた。
前回登板は4回7失点。「どんどん力が入って打たれた」との反省を生かし「力まず、コーナーを攻めようと自分に言い聞かせた」と丁寧な投球を心掛けた。2併殺を奪うなど要所を締める内容で「何とかまとめられた」とほっとした様子だった。
↑ページトップ
ロッテの田村が母校の後輩に負けじと打棒全開だ。中前打、左翼線二塁打、右中間三塁打と広角に打ち分ける3安打。本塁打が出ればサイクル安打となる8回の第4打席は空振り三振だったが「監督に言われて、ヘッドをボールにぶつけるイメージで打った。最後に結果を残せてよかった」と満足げだった。
母校・八戸学院光星はセンバツ初戦突破。同校で史上初の甲子園3季連続準優勝を果たした12年度卒OBとして「母校には勝って欲しい」とエールを送った。
↑ページトップ
ロッテの高浜が2試合連続「2番・三塁」で先発し、2安打1打点をマーク。開幕スタメンの座をグッと引き寄せた。
初回に右翼フェンス直撃の二塁打を放つと、1−1の7回2死二塁では決勝の中前適時打。「何とか次につなげるため粘っていこうという気持ちだった」と振り返った。伊東監督はオープン戦で固定しなかった1、2番について「日替わりになるかもしれない」と示唆。今江、クルーズが抜けた今季の内野争いの中で、高浜がチャンスをつかむ可能性も十分にある。「相手投手が誰でも、簡単に三振しないように粘っていきたい」と意気込んだ。
↑ページトップ
ロッテ・岡田が好走塁で決勝点をもぎ取った。1−1の7回2死二塁から、高浜の中前打で二走・岡田が本塁へ突入。微妙なタイミングだったが、一塁側に回り込んで捕手をかわして生還した。
今季から「コリジョン(衝突)ルール」が採用され、捕手のブロックが禁止になった。捕手が走者の走路をふさいではいけない。7回のプレーでは、捕手がやや三塁寄りのファウルゾーン側で送球を受けたため、岡田は「捕手を見て内側(一塁側)に入った」と、タッチをかわすように滑り込んだ。
いままでは捕手が走者の正面に入ってブロックするため、タッチをかわすには外側に回り込むことが多い。だが、新ルールにより走者の正面に入らずにミットだけでタッチに来るため、ファウルゾーン寄りに捕手がいる場合は内側に避けた方がよくなる。「今まで内側に入ることなんてなかった。捕手を見ながら。技術と、頭を柔らかくしないといけない」と岡田。新ルールでは走塁の技術、判断力がものを言う。
↑ページトップ
ロッテの二木が開幕前最終戦に先発し、6回1失点にまとめた。3回まで毎回先頭打者に安打を許すなど7安打を浴びる苦しい投球だったが、粘り強く逆転勝利を呼び込んだ。「調子は良くなかったけど、力まずコーナーを攻めていこうと思った。コントロールを意識してできた」。伊東監督も「先発として試合をつくるのが大事。悪いなりに落ち着いていた」と評価していた。
プロ通算登板は1試合のみの3年目右腕。20歳の有望株はキャンプから実戦で結果を出し続け、開幕ローテーションの座を勝ち取った。落合投手コーチは「シーズンでは結果を気にせず、落ち着いて堂々と投げてくれればいい」と期待を込めた。今季、ブレークの予感が漂う投手の1人だ。
↑ページトップ
25日の開幕マスクが有力なロッテ・田村が、中日戦(ナゴヤドーム)で3安打をマークした。
3回に中前打を放つと、さらに二塁打、三塁打。本塁打が出ればサイクル安打となる8回1死一塁では空振り三振に倒れたが、「伊東監督からボールに逆らわずヘッドをうまく使えと言われていた。今日は一発で仕留められた」と満足げに振り返った。オープン戦の打率も3割に乗せ、「シーズンでも継続したい」と力を込めた。
↑ページトップ
ロッテは中日に快勝し、日本ハムとの開幕戦に弾みをつけた。
1点を追う7回に岡田、高浜、清田、デスパイネの4連続適時打で一挙4得点。前日にガチ勝負を宣言していた、伊東監督は「この3連戦(1勝2分け)は公式戦並みに緊迫した試合だった。最後に勝って公式戦に臨めて良かったね」と終盤の逆転劇にニンマリだった。
↑ページトップ
注目の人物や話題に鬼筆記者こと植村徹也サンケイスポーツ代表補佐兼特別記者がズバリと切り込む「徹也の部屋」。プロ野球はいよいよ開幕直前。ロッテ・伊東勤監督(53)を直撃した。チームを率いて4年目で、オープン戦は2位と好調。キャンプ中には助っ人の逮捕騒動もあったが、そろそろ優勝の手応えがあるのでは?胸のうちに迫った。
(1)ドラ1平沢、慣れれば1軍
- ≫2013年からロッテの指揮を執って4年目。過去は3、4、3位でした。そろそろ優勝…という手応えがあるのではないですか。
- 伊東監督
- 「感触は悪くないです。昨年もいい戦いをしているので『うまくいけば』とは思っていますが、なかなかそううまくはいかせてくれません。」
- ≫今季は今江とクルーズが抜けて、ナバーロとスタンリッジを獲得しましたね(注1)。
- 伊東監督
- 「三塁(今江)、二塁(クルーズ)と2つ枠が空いて、そこを争って高校生(ドラフト1位・平沢大河=仙台育英高)が出てきたり、控えの選手が出てきたりして、すごく競争が激しくなって。なぜこれが今までできなかったのかなと思っているんです。」
- ≫平沢は早め(13日)にファームに行かせましたね。
- 伊東監督
- 「僕の中では、ギリギリまで我慢した方なんですよ。でも、彼はすぐに出てきますよ。それぐらいの素質があります。1軍にポーンとほうり込んでも、遜色なかったですからね。あとはゲームの中の感覚なんです。高校では普通にさばけていたボールが1つ分差し込まれたり、アウトを取れていた当たりが打者の足が速くてセーフになったりしていましたから。その辺を経験を積んでクリアしていけば、すぐ(また1軍)でしょう。」
- ≫スピードとパワーに慣れれば…。
- 伊東監督
- 「そうです。何かが劣っているという訳ではなくて、慣れだけなんです。1打席目に打ち取られた球になんとか対処しようとか、そういう姿勢は見えますから。」
(2)ナバーロ不在…1番に荻野期待
- ≫ナバーロが当面出場できなくなったことは、呆然としたんじゃないですか(注2)。
- 伊東監督
- 「鹿児島に行く飛行機に乗って、着いたらマネジャーが『捕まりました』って言うんですよ。『実弾が出てきたらしいです』って。えらいことなっているって。」
- ≫しかもクリーンアップを打つ助っ人がねぇ。腰を抜かしたでしょう。
- 伊東監督
- 「そりゃあそうですよ。まだ(試合に)出られないですけど、帯同はさせているんですよ。試合だけ出ていないという感じで。」
- ≫打線はどうされるんですか。
- 伊東監督
- 「今のところ、デスパイネを4番に置いて、角中を5番に入れているんです。清田は3番ですね。(ナバーロは)二塁を守らせるんですけど、今は中村を入れて。ナバーロが出られるようになったら中村を三塁へ。今のところ問題はないですね。」
- ≫うちの評論家の土井正博さんは『ロッテに優勝のチャンスがある』とおっしゃっているのですが。
- 伊東監督
- 「ハッハッハ…。そうですね、打線の真ん中はしっかりしていますからね。ただ、前(1、2番)がなかなか…。僕はクリーンアップの前の打者を重要視しているのですけど。」
- ≫荻野は?
- 伊東監督
- 「う〜ん、荻野は1年間もたないし、ケガも多いですからね。開幕を迎えても、まだ落ち着かないと思いますね。」
- ≫ナバーロが帰ってきたら、角中は2番に入れるんですか。
- 伊東監督
- 「そうなれば打線のつながりはよくなりますね。」
(3)エースをタカ戦に「リスク背負わないと」
- ≫以前、インタビューさせていただいたときに『涌井を復活させたい』と話されていて、見事に実現させました。そこは安心しておられるんですか?
- 伊東監督
- 「去年、188回2/3を投げて、15勝で最多勝利のタイトルも獲ってくれた。文字通りエースとしてチームを引っ張ってくれている。オープン戦できっちり仕上げていますからね。元々力のあるピッチャーですが、それを今まで出せなかったのが、僕は不思議で仕方なかった。」
- ≫今季は外国人投手が3人いますね。
- 伊東監督
- 「ナバーロがいないから今は登録しやすいんですけど、チェンとイ・デウンの調子がなかなか上がってこないのがね…。今の段階ではスタンリッジは(1軍に)入っているんですけど、あとは2人の争い。チェンは昨年はよかったのですが、(現時点で)そこまで状態が上がっていないんです。」
- ≫オフにパ・リーグの監督とインタビューしたり、お話をさせてもらったりしたのですが、どこの監督も『ソフトバンクが…』と言うのですよ。あそこをたたかないとどうにもならないと。伊東監督は戦略としては、どのように考えておられますか。
- 伊東監督
- 「他の5球団がソフトバンクを倒しにいかないと、去年みたいな感じになってしまう。だから、エース級がソフトバンク戦に当たるようにローテを組む必要があるでしょう。終盤になってクライマックスシリーズ(CS)圏内を目指すとなれば、また変わってくるとは思いますが。」
- ≫楽天の梨田監督は『エースをソフトバンクにぶつけよう』と、包囲網の必要性を訴えておられますが。
- 伊東監督
- 「基本はそうでしょう。ただ、それにはリスクを背負わないといけないんですよね。エースで負けたときのリスクをね。勝てばいいんですけど。」
- ≫オリックスの福良監督は『金子ばかりをぶつける訳にはいかない』と。
- 伊東監督
- 「そうですね…。でも、やるからにはCS狙いなんてしませんよ。中盤以降、優勝が狙えるなら当然、優勝を意識した戦い方をしていきますから。その辺は臨機応変という感じですね。シーズンは長いので、その辺を見越してゲームプランを作っていかないといけないですね。」
(4)開幕戦ハム先発の大谷、チャンスある
- ≫4年目を迎えて、チーム全体を掌握している感じに見えます。
- 伊東監督
- 「そうですね。僕がどうこうよりも、選手が僕の考え方を理解してくれて、その考え方が浸透してきたのもあると思いますね。」
- ≫25日の日本ハムとの開幕戦(QVC)で、相手先発は大谷。どう攻めますか。
- 伊東監督
- 「確かにハマったときは打てないです。160キロの直球があって、フォークがあって、スライダーもいい。簡単には崩せないけど、どこかにスキはある。オープン戦では、立ち上がりが悪いこともあった(注3)。(開幕戦なら)力みも入ってくると思うので、チャンスをいくつかはくれると思うんですよ。それを逃さないように、初回から集中していかないといけない。受け身にならず、ストライクを好球必打でいく中で、ボール球をいかに振らないか。当たり前のことですけれど。」
- ≫受け身になってはいけない。
- 伊東監督
- 「それに、涌井が点をやらなければいいんですよ。そうすれば負けはないですから。そういうふうに考えています。」
- ≫本拠地ですしね。
- 伊東監督
- 「まあ、頑張ってやります。」
- ≫頑張ってください。今日はありがとうございました。
◇取材後記
「今年はチャンスやんか」とふると、伊東監督は「そうですかぁ〜」と言いながらも、表情はまんざらではなかった。
「このチームは…」と以前の会話ではロッテの個人主義的な体質に首をひねっていた。それが、今回の取材ではグチっぽい言葉が出ない。就任4年目を迎えて「自分がやりたいことを選手が分かってきた」という。
評論家諸氏のパ・リーグの順位予想では、ソフトバンク優勝が並ぶ。それでも伊東監督は言う。「戦っていて差はないですよ。もちろん優勝を狙います」。常勝西武で育った男が、どういうV戦略を描いているのか。
- 伊東勤(いとう・つとむ)
- 1962(昭和37)年8月29日生まれ、53歳。熊本県出身。熊本工高、所沢高、西武球団職員を経て82年D1位で西武入団。正捕手として活躍し、ベストナイン10度、ゴールデングラブ賞11度獲得。2003年に引退。通算2379試合で打率.247、156本塁打、811打点。04年に西武監督に就任し、日本一。09年WBC日本代表総合コーチ。12年10月にロッテ監督に就任。1メートル81。右投げ右打ち。
- 植村徹也(うえむら・てつや)
- 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長を経て現在、代表補佐兼特別記者。
- [注1]
- 三塁レギュラーとして活躍した今江は楽天にFA移籍。二遊間を守ってきたクルーズは巨人に移籍した。一方、韓国で強打者として活躍していたナバーロと、前ソフトバンクのスタンリッジを獲得した。
- [注2]
- 沖縄から宮崎に移動した2月21日、ナバーロは那覇空港で実弾1発を所持していたとして、銃刀法違反の現行犯で逮捕された。球団は3月の全試合と、パ・リーグとイースタンの開幕から各4週間の出場停止に加え、制裁金50万円の処分を下した。
- [注3]
- 大谷は、開幕前最終登板となった17日のソフトバンクとのオープン戦(鎌ケ谷)で初回に3点を失い、5回6安打4失点。
↑ページトップ