開幕先発枠入りを狙う中日の松坂は6安打3四球と苦しみながらも5回3失点だった。高橋が2戦連続複数安打と調子を上げてきた。ロッテは酒居が6回2失点と試合をつくった。新人の藤岡裕は2安打で、正遊撃手へアピールした。
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 7 |
中日 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
ロッテ福浦和也内野手(42)の開幕スタメンに当確ランプがともった。この日は「7番DH」で先発、松坂から左越え適時二塁打を放って存在感を示した。
打った印象を聞かれると「印象を言うのは失礼だよ。でも名前のある投手だから」とうれしそうな表情を見せた。福浦が42歳3ヶ月で開幕スタメンとなれば、78年野村克也に次ぐ、チーム2番目の年長記録だ。
対照的な答えだなと思った。オープン戦の最後まで開幕遊撃スタメンを争うことになった、ロッテ平沢大河内野手(20)とルーキー藤岡裕大内野手(24=トヨタ自動車)のコメントだ。
3月7日の巨人戦で2安打した直後、藤岡裕について聞かれた平沢はこう答えた。
「藤岡さんどうこうじゃなく、自分。藤岡さんっていうよりも僕がちゃんとしなきゃっていう意識です。2軍にいるくらいの気持ちでやる。危機感はあります」。
対して3月15日、藤岡裕は平沢についてこう話した。
「気になりますよ。ちょっと焦ってますね。結果を見るのが怖いくらい。(ライバルが)気にならない人なんていないんじゃないですか」。
藤岡裕の言う通り、平沢も全く気にならないなんてことはないのだろう。年齢は4歳若いが、プロでは2年先輩。チャンスは有限だと知っている。この発言も、自分に言い聞かせているようにも聞こえた。ハタチと言えば、大学生なら何の職に就くかも決まっていないころだ。その年齢で「今年ダメなら最後くらいの気持ちです」と真っ直ぐな目で続ける。強い意志から言葉を紡いでいた。
逆に藤岡裕は、首痛でこの時まだ2軍戦にも復帰していない段階だったが、とても素直な言葉だと思った。大学社会人を経由して入った即戦力。キャンプでは井口監督に「頭ひとつ抜けている」と評され、ケガがなければあっさりレギュラーに内定していたかもしれない。オープン戦で猛アピールした平沢に「でも自分が与えたチャンスですから。またつかみにいくしかないです」と笑顔も見せた。
昨年まで数年間、遊軍として各球団の取材に行った。一昨年まで西武は「決定的なショートがいない」と言われていたのを思い出す。その穴にぴったりはまったのが、昨季新人王の源田であり、中日では京田だった。内野がコンバートされ、正遊撃手不在のチーム事情は、逆に言えば我慢強く若手を使い続けられる環境でもある。
実力社会の厳しさを感じさせる平沢の覚悟の言葉には「剛」を、ルーキーながら冷静さと少しの余裕を忘れない藤岡裕の言葉には「柔」を感じた。意気込み方が異なるライバル2人の、勝負のシーズンがいよいよ始まる。半年後「ロッテはショートがいない」なんて、きっと言わせない。
ロッテのドラフト2位藤岡裕の「2番遊撃」での開幕スタメンが当確となった。
井口資仁監督は明言こそ避けたが「実戦でも結果を残してますし」と納得の様子。
「5番三塁」で先発した鈴木大地内野手(28)が松坂からの2安打を含む3安打2打点と活躍した。
松坂との対戦について「僕らからしたら、本当にもうスターなんで。松坂さん3年夏の甲子園の準決勝、決勝を見に行ってるんで。純粋な野球ファンとしてすごく幸せでした」と感激。
その上で「相手どうこうというより、キャンプからしっかりセンター中心に振り切っていこうと金森打撃コーチのもとでやってきて。どのピッチャーでも変えずにやっているつもりなので、その中で良いスイングが出来たと思います」と話した。
4月1日の開幕第3戦・楽天戦で先発が予定されているロッテ酒居知史投手(25)が、中日打線を6回5安打2失点に封じた。
この試合までオープン戦無失点。この日は4回に3安打を集められて2点を失ったが、それでも防御率1.06の好成績でシーズンへ臨むことになった。
「失点しましたけど、それをしっかり次に生かせれば。4回も押し負けたとか投げる球がなくなったとか、そういう訳ではなかった。球自体はそれほど悪くなかった」と話し、試投したカットボールについては「今後、助かってくる球になるかもしれないですし、余裕があれば使っていきたい」と説明した。
今季の目標は規定投球回達成。「1年間投げられれば達成できると思うが、とりあえず1試合1試合自分のできることを精一杯やっていきたい」と意気込んだ。
ロッテナインが井口資仁監督(43)の目指す「どんどん走る野球」を体現した。
サインで走ったのは6回に菅野が二盗し、鈴木が本盗を成功させたダブルスチールの場面だけ。積極的に次の塁を狙い続け、結局計8回盗塁を企て、うち6個を成功させた。
井口監督は「今日みたいに打てれば良いですけど、打てない時もある。色んな策で1点を取っていかないと勝てない。行けるピッチャーにはどんどん走れと言っていますし、それが今年のチーム。今日みたいに足を使って勝てるゲームを1試合でも多くやりたい。アウトになっても良いから走っていこうと言ってますから」と説明した。
ロッテの新人2人、ドラフト2位藤岡裕大内野手(24=トヨタ自動車)とドラフト4位菅野剛士外野手(24=日立製作所)が、そろって開幕でスタメン出場することが確実になった。
中日戦に「2番遊撃」で先発した藤岡裕は「今までテレビで見ていた選手。まさか対戦できると思っていなかったので緊張しました」という中日松坂から2安打。
第1打席は球種の多さに戸惑い、自分のスイングができなかったが、第2打席は中堅右への打球で一気に二塁に到達し、第3打席は内角のカットボールを右前へ運んだ。「第2打席以降は割り切っていくしかないと思ったんで。追い込まれてからしっかりセンターに強く振れて良かった。3打席目はカットボール。うまく拾えた」と話した。
2軍の試合で調整して開幕に臨む藤岡裕は「ルーキーらしく積極的に失敗を恐れずにやっていきたい」と意気込んだ。
また中日戦に「6番左翼」で出場した菅野も、吉見と伊藤準から1安打ずつ。「オープン戦を通じていろんな投手と対戦できたので、その経験をシーズンに生かしていきたい。プロの投手はみんな決め球を持っていて、それを使って攻めてくる。でもその中でも本当に手も足も出なかったということはなかった。監督が決めることですが開幕スタメンで行くとなれば全力でプレーしたい」と話した。
2人が同時に開幕先発出場となれば史上4度目の快挙。前身の毎日が創設年の1950年に新人5人を開幕スタメンで起用したことはあるが、それ以降は複数新人が1試合目から先発した例は少なく、65年の井石礼司(右翼)&山崎裕之(遊撃)、97年の小坂誠(遊撃)&清水将海(捕手)しかない。
オープン戦最終戦を完勝で締めくくり、8勝4敗2分けの2位で終了。井口監督は25日「勝ち負けどうこうより、やりたい野球の形ができてきた」と手応えをつかんだ様子。キャンプから強化してきた走塁面も盗塁19と結果を出した。6回に重盗を成功させた鈴木は「やってきたことが試合でできているので、シーズンでも続けていきたい」と意欲的だった。
「2番・遊撃」で先発出場のD2位・藤岡裕(トヨタ自動車)は、松坂相手に4回は右中間二塁打、5回にも右前打を放ち「まさか対戦できるとは思っていませんでした。緊張したけど強く打ち返せた」と首痛からの復調をアピール。「6番・左翼」の同4位・菅野(日立製作所)も2安打と結果を残し、井口監督は新人2人の開幕スタメンについて「可能性はあるでしょう」と合格点を与えた。
先発したロッテの酒居は、新たに覚えたカットボールを試しつつ6回5安打2失点と無難にまとめた。「球の質もバランスも良くなった。オープン戦が始まった時よりかなりいい」と自信に満ちた表情だった。
井口監督は「任せられる」と話し、初の開幕ローテーションの座をつかんだ。昨季終盤に台頭して5勝した2年目右腕は「今季は規定投球回を投げることが目標。1試合ずつできることを精一杯やっていく」と主力の自覚が芽生えている。
ロッテのドラフト2位・藤岡裕大内野手(24=トヨタ自動車)が25日、オープン戦最終戦となった中日戦で、憧れの松坂から2安打を放ち、「2番・遊撃」での開幕スタメンを決定的にした。また、同4位・菅野剛士外野手(24=日立製作所)も2安打でスタメンが濃厚。新人2人が3月30日の開幕・楽天戦(ZOZOマリン)で井口新監督に初勝利をプレゼントする。
0−0の4回無死、2打席目だが、藤岡裕の鼓動は高鳴ったままだった。マウンドにはあの松坂がいる。初回1死の第1打席は変化球で遊ゴロ。雑念を振り払い、センター返しだけを心掛けた。内角142キロを右中間二塁打。5回1死でも右前にはじき返した。
「緊張しました。(目の前に)テレビで見ていた人がいる。まさか、対戦できると思っていませんでした」。
4歳で野球を始めた藤岡裕が「松坂」を知ったのは5歳の夏。98年夏の甲子園、準々決勝の横浜−PL学園戦は生中継に加え、実家のビデオで繰り返し見てきた。「延長17回、3時間37分の激闘。めっちゃ見ていました」。試合時間さえ言えるほど憧れた「平成の怪物」から放った格別の2安打。そしてこの2本で開幕スタメンへの道を切り開いた。
春季キャンプから存在感を示し、井口監督からは「誰が見ても抜けている」と絶賛された。だが、3月3日の日本ハム戦の7回に二盗を狙い、スライディングした位置が二塁ベースに近すぎ、むち打ちのような形で首を痛めた。軽症と思われたが、再発。23日の中日戦が復帰戦だった。
不在期間に3年目・平沢の台頭もあり「2番・遊撃」争いは混沌としたが、復帰後は3試合連続安打し、オープン戦打率は.538。「実戦でも結果は残したし行けると思う。あとは試合勘だけ。火曜日(27日)からは下(2軍)で試合に出させる」と井口監督も30日の開幕・楽天戦へ太鼓判を押した。イースタン・リーグでさらに感覚を研ぎ澄ませる。
ドラフト4位の菅野も腰痛の角中が守備に就けるかの回復次第で右翼、もしくは左翼での開幕スタメンが濃厚だ。複数新人野手の開幕スタメンは、球団では21年ぶり。指揮官も「まだ1週間ある。どうでしょう」としながらも「その可能性はある」と言った。
オープン戦は巨人に次ぐ2位。キャンプから実戦重視を貫いた新監督の下で、若手が着実に結果を出し、戦う態勢は整った。
「ルーキーらしく、積極的に失敗を恐れずにやりたい」。
そう話した藤岡裕、そして菅野がチームに無限の可能性を生む。
ロッテ・菅野は「6番・左翼」で出場し、藤岡裕に負けじと2安打1盗塁。
0だったが、野手の正面を突く当たりも多く、井口監督も「チームで1番、打撃の内容はいい」と高く評価している。明大では東京六大学新記録の28二塁打を放っている24歳は「スタメンで行くとなれば全力でやりたい」と意欲的だった。
ロッテ・井口監督の掲げる「走塁改革」を象徴する締めくくりだ。
松坂のクイックモーションが速くないと判断し、全選手に自主判断での盗塁を許可。松坂からは3盗塁し、6回1死一、三塁では2番手・吉見から重盗も成功させるなど計6盗塁。「シーズンも続けてできるようにしたい」と指揮官は手応えを口にしていた。
ロッテの平沢大河内野手(20)がオープン戦初の一塁の守備についた。6回に井上と交代して途中出場した。井口監督は「今は井上の調子が悪いので、ああいう形になることはある。(平沢は)打撃がよければ1軍で使いたい選手。色んなシチュエーションがあると思います」とシーズン中も平沢の一塁での起用を示唆した。
3年目の平沢はオープン戦14試合で打率3割1分3厘、0本塁打、3打点と成長を示していた。一方の井上は中日との3連戦で、10打数2安打の打率2割と調子を落としていた。
ロッテが機動力を生かした攻撃でオープン戦最終戦を白星で飾り、8勝4敗2分けの勝率6割6分7厘の2位で終えた。
3−2と1点リードの6回1死から鈴木が右前打で出塁。菅野も右前打で続き、1死一、三塁へとチャンスを広げた。福浦の3球目に一塁走者・菅野がスタート。捕手が二塁へ送球した瞬間に三塁走者・鈴木が本塁へ突入した。遊撃手・京田からの送球が高めに浮き、4点目を奪った。仮にストライク送球でも完璧にセーフのタイミングだった。ダブルスチールを成功させ接戦をものにした。井口監督は「選手にはああいうところで点を取っていこうと話している。今日みたいに打てればいいですけど、なかなか打てないゲームもある。1点でも多く取る作戦をしないとこのチームは勝てない。シーズン中も(ダブルスチールは)増えると思う」と手応えを口にした。
打線は13安打の猛攻で、7度目の2ケタ安打。打線は水物といわれるが、走塁にはスランプがない。井口監督は「積極的な走塁のアウトは責めない」としていおり、「1つ先の塁を狙う」意識を選手間に浸透させてきた。8度の盗塁を企図し、5度成功させ、7点のうち4点を足を絡めて奪った。
長打力不足を「機動力」でカバーし、得点力アップにつなげる“井口野球”の神髄が垣間見えた最終戦だった。
ロッテ・福浦和也内野手(42)が平成の怪物・松坂との“レジェンド対決”を制した。
2−0の4回2死二塁から外角140キロの直球を振り抜いた。打球は左翼線へ飛び、ワンバウンドでフェンスに当たる適時二塁打で3点目を奪った。プロ25年目、球界最年長野手が日米通算164勝右腕打ちで貫禄を示した。
開幕ローテをつかんだロッテの酒居知史投手(25)がオープン戦初失点を喫した。
3−0の4回、2死二塁から左前適時打を浴びるなど2失点。4戦15イニング目でゼロ行進が途切れた。
楽天との開幕戦でロッテの新人2人の名前がスタメンで呼ばれる可能性が出て来た。
ドラフト2位の藤岡裕(トヨタ自動車、写真)はこの日も遊撃でスタメン出場。2安打を放ち、結果を出した。97年の小坂誠(現2軍コーチ)以来となる新人としての遊撃スタメンをほぼ手中にし「しっかりとアピールできた。守備からリズムを作って打撃につなげていきたい」。自信をみなぎらせた。
また、同4位の菅野(日立製作所)も外野の一角に食い込みそうな勢いだ。最後まで出場して第3、4打席で結果を出した。角中、清田の負傷の影響を受け30日まで外野陣がどうなるか波乱含みだが、菅野は「(スタメンなら)全力で頑張っていきたい」と語った。井口監督は「可能性はあります」と含みを持たせていた。
ロッテは開幕3戦目の先発が予想される2年目の酒居が6回を投げ、5安打で2失点とまずまずの投球を見せた。
3回まで1安打に抑えてきた酒居だったが、4回につかまった。1死後、ビシエドに143キロのストレートを右中間に運ばれ、二塁打。福田をフォークで空振り三振に仕留めたが、高橋に左へ適時打を運ばれ、さらに松井雅にも左への適時打を浴びた。
酒居は前回までオープン戦計11回で無失点。15イニング目にして初めて得点を許したが、それでもこの2点だけ。球数も99球で、100球をメドに登板しており、うまくまとめた。開幕3戦目の4月1日・楽天戦(ZOZOマリンスタジアム)へ向け、順調に仕上げてきた。
打線は6回、2番手・吉見を相手に“足攻”を見せた。1死後、鈴木と菅野の連打で一、三塁。一走・菅野が二盗を成功させる間に、三走・鈴木が本塁を陥れた。
さらにたたみかけた。田村の適時打と荻野の2点打で一気に4点を奪った。
ロッテは2番手・田中、3番手・益田、抑え候補のシェッパーズがともに1回を三者凡退で退けた。