ロッテ河合克美代表取締役社長オーナー代行(68)は17日、海外FA権の行使を検討している沢村拓一投手(32)唐川侑己投手(31)らへの交渉に言及した。2位躍進に大きく貢献した2人をはじめ、来季の選手契約について「選手達には色々な権利があり、彼らの考え方を尊重していきます」とした上で「ここまで支えてくれた選手は全員、継続して残留して欲しい。日本一をみんなで勝ち取りたい」と願った。
一方で、FA戦線について河合オーナー代行は「明快に候補を絞っているのはないです」としており、新戦力獲得には消極姿勢になりそうだ。昨オフは美馬、福田秀をFAで獲得しているが、今年は例年よりオフシーズンが短い。沢村、唐川に加えてチェン・ウェイン投手(35)フランク・ハーマン投手(36)鳥谷敬内野手(39)らへの残留交渉が最優先事項になる。現時点での支配下選手枠も、ドラフト指名5選手の入団前提で「69人」となり、現実的に今オフのFA補強は考えにくい。現有戦力との契約更新に、まずは全力を尽くす構えだ。
ロッテ井口資仁監督(45)の来季続投が正式決定した。
17日、河合克美代表取締役社長オーナー代行(68)が「来季に関しては井口監督に継続してやっていただく、ということです」と報道陣に明言。契約期間は明かさなかった。鳥越裕介ヘッドコーチ(49)吉井理人投手コーチ(55)ら1軍首脳陣も留任が基本路線となっている。
ロッテ河合克美代表取締役社長オーナー代行(68)が17日、シーズン総括として報道陣に対応した。
コロナ禍による入場規制に伴い、球団の今シーズンの観客動員数は前年比マイナス約76.6%に。減り幅はリーグで最も少ないものの「結果として数十億単位の赤字になることは、今期の見通しとしてハッキリしています、残念ながら」と明かした。
オフの契約更改については「そこで縮こまることはしません。例えば全員何%減額、というようなことも一切しません」と断言。その上で「ただし、強いチームを作る上で、言葉はきつく“信賞必罰”になりますが、貢献してくれる選手にはきちっと評価するし、そうでない場合には逆にマイナス評価も厳しくする」と、評価や査定にこれまで以上にメリハリをつけていく方針を明かした。
ロッテ河合克美代表取締役社長オーナー代行(68)が17日、今季総括として報道陣に対応した。
リリーフとして今季チームの2位躍進に貢献した沢村拓一投手(32)唐川侑己投手(31)が、海外FA権の行使を検討している。
河合オーナー代行は「ここまで支えてくれた選手は全員、我々は継続して残留して欲しい。選手達には色々な権利があり、個人事業主でもあるので、彼らの考え方を尊重していきます。ぜひ残留していただいて、日本一までみんなで勝ち取りたい」と話した。
また、ブランドン・レアード内野手(33)レオネス・マーティン外野手(32)との複数年契約を結んでいることを改めて明かした上で、それ以外の選手の契約更新については「これからです。具体的なことは今の状況ではお話しできない」とした。
ベテランの鳥谷敬内野手(39)はCS敗退後に「球団がどういう風に考えているかは分からないので、この先がどうなるかは全然分からないです」と話していた。
ロッテ河合克美取締役社長オーナー代行(68)が17日、今季の総括として報道陣に対応し、井口資仁監督(45)について「来季に関しては井口監督に継続してやっていただく、ということです」と来季続投を明言した。
今季が3年契約の最終年だった。新規契約の期間については「何年契約などは元々うちは一切お話ししていないので」と明かさなかった。
井口監督は17年に現役引退し、18年に監督就任。17年に最下位だったチームは18年に5位、19年に4位となり、就任3年目の今季は2位と躍進した。
レアード、マーティン、種市など故障者が相次ぐ中でのCS進出を果たした。「3連投禁止」など吉井投手コーチらと救援陣の登板管理を徹底し、シーズン終盤まで戦える策を講じた。打線でも高卒3年目の安田を4番に固定し、成長を促した。その手腕を球団としても高く評価しているようだ。
ロッテの河合克美オーナー代行兼球団社長は17日、ZOZOマリンスタジアムで報道陣の取材に応じ、海外フリーエージェント(FA)権を今季取得し、米大リーグに挑戦するか注目される沢村拓一投手に「引き続きチームの一員として頑張ってもらいたい」と残留を希望した。来季も続投する方針が固まっている井口資仁監督については「もちろん継続してやっていただく」と明言した。
選手との契約状況は既に来季の契約が確定しているレアードとマーティン以外は現時点で具体的なことは決まっていないとした上で、海外FA権を持つ唐川侑己投手や今季から加入した鳥谷敬内野手に「(今季を)支えてくれた選手は全員残留して欲しい」と話した。
ロッテの河合克美オーナー代行兼球団社長が17日、ZOZOマリンスタジアムで会見し、井口監督の来季の続投を明言した。
今季で3年契約が満了した指揮官について「来季に関しては継続して井口監督にやっていただく」とした。契約年数などは明かさなかった。
2018年から指揮を任された井口監督は、就任1年目は5位、2年目の19年は4位。3年目の今季は、一時はソフトバンクと優勝争いを繰り広げ、最終的に2位となってチームを4年ぶりのクライマックスシリーズ進出に導いた。
日本野球機構(NPB)は17日、フリーエージェント(FA)有資格者として97選手を公示した。国内FAの資格を新たに得たのはヤクルト・山田哲人内野手(28)、小川泰弘投手(30)、DeNAの梶谷隆幸外野手(32)と井納翔一投手(34)ら計21人。海外FAはロッテの沢村拓一投手(32)ら13人が新たに資格を手にした。日本シリーズ終了日の翌日から土、日曜日と祝日を除く7日以内に在籍球団に意思を伝えればFA権を行使でき、「FA宣言選手」として公示された翌日から契約交渉が可能となる。
ロッテ・河合克美オーナー代行兼球団社長が、海外FA権を使用しメジャー挑戦の可能性がある沢村を全力慰留する意向を示した。
「色んな権利を持っているが、チームを支えてくれた選手達には全員残留して欲しい」。この日、ZOZOマリンで今季を総括。沢村同様、海外FA権を持つ唐川、今季加入した鳥谷についても残留交渉を行うとした。また外国人選手は「来季残留が決定しているのはレアードとマーティンだけ」と説明。去就が未定のハーマン、チェン・ウェインらとも交渉を進める。
3年契約3年目だった井口監督には「来季もやってもらう」と改めて続投を明言した。
ロッテの河合克美オーナー代行兼球団社長が17日、ZOZOマリンで今季総括を行った。
2位で進出したソフトバンクとのCSに敗れたが、「コロナで開幕ができるか分からない状況だったが、120試合の短縮となって、最初は無観客で経営的にも厳しかった。選手もパフォーマンスを1年間維持するのは難しい中で、2位に入ってくれた」と奮闘したナインをねぎらった。
これから始まる契約更改については「(総年俸の予算が)縮まることはしません。信賞必罰というか、貢献してくれた選手にはきっちりと評価するし、そうでない選手にはマイナスになる。それについてはこれまで以上に厳しくなる」との見解も口にした。
また、今季が3年契約3年目だった井口監督の去就については「もちろん継続してやってもらう。何年というのは言わないが、来季についてはやってもらう」と明言。新加入となったベテラン鳥谷についても「本当のレジェンド。チームメートもみんな尊敬していて、例えば、安田が打てないときはバックアップもしてくれた」と称賛した。
FA権を持っている沢村、唐川らについても言及。「現時点で来季残留が決定しているのはレアードとマーティンだけ。具体的な話をしていない。選手たちは色々な権利を持っている。それは尊重するが、チームとしてはここまで支えてくれた選手達には全員に残留して欲しい」と、メジャーからも高い評価を得ている剛腕リリーバーらの慰留にも全力を注ぐ構えだ。
石川歩を応援してきたロッテファンなら「らしいね」と頬が緩んだはずだ。球団のメジャー挑戦容認から、まさかの本人の断り。昨オフの契約更改でポスティング・システムを利用して米球界移籍を希望。球団は真っ直ぐに受け止めようとしたが、寸前で宝刀シンカーのように軌道がずれていった。
12球団の投手で誰の球が本当に凄いか。オリックス・山本、ソフトバンク・千賀、巨人・菅野の名前はすぐに浮かぶが、個人的には石川を挙げたい。「石川さんの投げる球なら捕手は誰でも勝てる」という意見を聞いた女房役の田村は「あのシンカーが捕れるならな」と呟いた。まさに魔球。石川にその握り方を聞くと、簡単に教えてくる。門外不出のはずだが、頼めば「いいですよ」と写真も撮らせてくれる。もちろん、真似しようにも一朝一夕には身につかない。
「肌が弱くてカミソリ負けするから」と伸ばしている髭の量が増えた以外にも近年の石川には変化が現れている。最優秀防御率を達成した16年シーズンは、直球の割合が全体の54.1%。今季は30.5%まで落ちた。昨季くらいから積極的に使い始めたツーシームの割合が16.9%に増えた影響もある。投手として今、過渡期なのだ。そんな大事な時期は環境を変えない方がいい。日本残留はキャリアとしても正しい選択だと思う。
前回CSに進出した16年のオフ、ZOZOマリンの室内練習場で話していると石川が突然に「僕、優勝したいんです」と言い出した。その年、シーズン3位で終えたロッテはCSファーストステージでソフトバンクの前に敗れた。今回、2位で進出したCSで、石川は左ふくらはぎ痛のために登板できなかった。どれほど悔しい思いを抱えているか想像に難くない。
勝利投手になっても「今日の投球は全然よくなかった」と答え、こちらの構えたところを飄々と外してくる。だが、「優勝したい」という純粋な思いは150キロを超える直球のようにズバッと突き刺さる。好きな言葉を聞かれ「千葉ロッテマリーンズ」と答える男が、今オフのメジャー挑戦を断念した理由は「いい仲間のいるこのチームで優勝したい」。それしかないと思っている。
ロッテの河合克美オーナー代行が17日、井口監督の来季続投を明言した。今季の総括として取材に応じ「もちろん継続して井口監督にやっていただきたいということです」と説明。今季は3年契約の最終年で「何年契約ということは一切話してないので」と来季からの契約期間については明かさなかったが、2年契約を提示しているとみられる。
就任3年目の今季は優勝争いを演じ、4年ぶりにCSにも出場した。種市やレアード、マーティンら故障者が相次いだ中でも「3連投禁止」など吉井投手コーチと投手陣の管理を徹底し、シーズン終盤まで上位をキープ。その手腕を高く評価しているようだ。
ロッテの松永昂大投手(32)が今季取得した国内フリーエージェント(FA)権の行使を検討していることが17日、分かった。唐川侑己投手(31)も18年に取得した海外FA権の行使を検討している。
松永は昨季発症した左肘炎症の影響で今年のキャンプは2軍スタート。7月下旬に昇格し、5試合に登板して3ホールド、防御率0.00だったが、左肘が万全でなく、8月上旬に抹消された。だが、回復して10月末まで登板するなど2軍では計8試合で1敗1セーブ、防御率0.00だった。
大阪ガスから12年のドラフト1位で入団し、1年目から58試合に登板。変則フォームから力強い球を投げ込み、通算359試合で16勝15敗1セーブ、135ホールドをマーク。今年8月にFA権を取得した際は「ここ2、3年の目標の1つだった」と話していた。年俸7500万円は人的補償が必要なBランクとみられるが、経験豊富なセットアッパーで、FA宣言すれば他球団が獲得に乗り出すことが予想される。
また、今季セットアッパーを担った唐川は人的補償が発生しないCランクとみられる。
沢村も10月に海外FA権を取得し、宣言するかを熟考する姿勢。河合オーナー代行はこの日、「ぜひ残留して欲しい」とラブコールを送り、ほかの選手についても「全選手、色んな権利を持っているのでそれは尊重。ただ、頑張ってくれた選手に対しては残留して欲しい」と話した。球団はそれぞれと近日中に残留交渉を行う見込みだ。
ロッテの河合克美オーナー代行兼球団社長が17日、今季の総括として取材に応じ、今年10月に海外フリーエージェント(FA)権の資格取得条件を満たした沢村拓一投手(31)の今後について言及した。
本人とは今後について直接話していないと明かした上で、「我々としてはぜひ残留してチームの一員として頑張って欲しい」と残留交渉していくことを明言。沢村本人はCS敗退が決まった15日に「これからゆっくり考えます」と熟考する姿勢を明かしていた。
10月下旬には米メディアが、メジャーの複数球団が沢村に興味を示していることを報道しており、河合オーナー代行は「全選手色んな権利を持っているのでそれは尊重。ただ頑張ってくれた選手に対しては残留して欲しい」と本人の意思を尊重した上で話し合いを進めていく方針だ。
日本プロフェッショナル野球組織(NPB)は17日、2020年度フリーエージェント(FA)有資格者として、今季国内FA権を取得したヤクルトの山田哲人内野手(28)、海外FA権を取得したロッテの沢村拓一投手(32)ら97選手を公示した。
日本シリーズ終了日の翌日から土日祝日を除く7日以内に在籍球団に意思を伝えればFA権を行使でき、「FA宣言選手」として公示された翌日から契約交渉が可能となる。
FA有資格者全97選手は以下。○は国内FA、◎は海外FA。※は今季取得または再取得。
昨季限りで阪神を退団し、今年3月に入団したベテランを「本当のレジェンドの選手」と高評価。今季は若手らにも助言を送るなどチームを支えた。「チームメートがみんな尊敬している。チームにとっては、なくてはならない存在であった」と大絶賛した。
鳥谷は15日のCS敗退後、「(現役を)続ける可能性もあるし、辞める可能性もある」と語った。今後は球団と話し合いの場を持つが、現役続行での残留が決定的な状況。河合オーナー代行は「支えてくれた選手は全員、継続して残留して欲しい」と球団としての方針を明かした。
今季が3年契約最終年となった井口監督の来季続投を明言した河合オーナー代行。CS進出を支えた鳥谷ら選手達に残留を要請し、「来季こそは優勝、日本シリーズまで、みんなで勝ち取っていきたい」と青写真を描いた。
プロ野球の斉藤惇コミッショナー(81)が再任される方向であることが17日、分かった。斉藤氏は東京証券取引所の社長などを経て2017年11月に就任。
今年は、新型コロナウイルスの感染拡大の中、3月にJリーグと合同で「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設立。球界の先頭に立ち、不透明だったシーズンの開催へ尽力するなど手腕を発揮した。現在の任期は18日のオーナー会議までで、同会議で再任が承認される見通しとなっている。
ロッテの河合克美オーナー代行兼球団社長は17日、ZOZOマリンスタジアムで報道陣の取材に応じ、海外フリーエージェント(FA)権を今季取得し、米大リーグに挑戦するか注目される沢村拓一投手に「引き続きチームの一員として頑張ってもらいたい」と残留を希望した。来季も続投する方針が固まっている井口資仁監督については「もちろん継続してやっていただく」と明言した。
選手との契約状況は来季契約が確定しているレアードとマーティン以外は具体的に決まっていないとした上で、海外FA権を持つ唐川侑己投手や今季加入の鳥谷敬内野手に「支えてくれた選手は全員残留して欲しい」と話した。
日本プロフェッショナル野球組織は17日、2020年度のフリーエージェント(FA)有資格者を公示した。
公示されたのは97選手。海外FA権を取得してメジャー挑戦の可能性があるロッテ・沢村拓一投手、国内FA権を持つヤクルト・山田哲人内野手らの動向に注目が集まる。阪神では岩田稔投手や糸井嘉男外野手ら8人が公示された。
FA権は日本シリーズ終了の翌日から土日祝日を除く7日の間に行使が可能となる。
公示された選手は以下の通り。◎は国内FA、○は海外FA、※は今季取得者。
ロッテの河合克美オーナー代行兼球団社長が17日、今季の総括として取材に応じ、去就が注目を集める沢村拓一投手についても言及した。
来季の米大リーグ移籍を視野に入れている沢村。今年10月に海外フリーエージェント(FA)権の資格取得条件を満たした。球団では来季も残留するマーティンと来季が2年契約の2年目となるレアード以外で、FA権利を取得している選手らについては「まだ、どの選手とも具体的な話に入っていない」と説明。その上で「チームとしての希望はぜひ残留して引き続きチームの一員として頑張っていただきたい」と“ラブコール”を送った。右腕とは今後、交渉を行う。
沢村はCSで敗退した15日のソフトバンク戦後、「(海外FA権の行使は)終わったばかりなので、これからゆっくり考えます」と熟考すると明かしていた。
11月15日。マリーンズの2020年は終わった。季節はすでに立冬。福岡の街は冬の匂いに包まれていた。イレギュラーなシーズンは6月19日にこの地で開幕し、ここで終わった。リーグ優勝のホークスと14ゲーム差の2位。挑戦者として臨んだクライマックスシリーズは2敗で王者に、はじき返された。
「勝って1年を終えたかった。悔しい。まだまだチーム力を上げないといけない。個々もレベルアップをしないといけない。それは選手達も感じていると思う」。
ゲームを終えた井口資仁監督は悔しい想いを口にした。グラウンドからはホークスとファンの歓声が漏れ聞こえてくる。その中で冷静に試合を振り返った。
「突ッパ」のスローガンを掲げ、チーム一丸で挑んだシーズン。目標としていた優勝は夢と消えた。立ちはだかったのは絶対王者。日本シリーズを懸けて再度、相まみえた敵地でのCSも壁は高く険しかった。戦い終えた今こそ、その差を全員でしっかりと考え、分析する必要があると井口監督は考えた。
だからこそ宿舎に戻った指揮官は全員をミーティングルームに招集した。壇上から全員を見渡した。予期せぬ形で開幕が遅れ、先が見えぬ戦いを強いられた一年。逆境続きの中、ファン、選手、コーチ、スタッフで心を1つにして前に進んだ1年でもあった。まずは一緒に戦った仲間を見渡した。そして語り始めた。
「よく戦ってくれた。最後は勝ち上がってくれた。一回りも二回りも強くなっている。ただこの経験を来年、必ず生かさないといけない。今が1番、しっかりと自分と向き合うことができる時。自分の課題を考えて、それぞれが明確な目標設定をして欲しい。今日、ここから来年のスタートを切る」。
昨年は最終戦で敗れて4位。悔しい気持ちを忘れずに日々、挑むこと。全員が同じ夢を見て、それに向かってまい進すること。それらを井口監督は選手達に伝え、気持ちを1つにしてのぞんだ1年だった。
シーズンを終えた今は自分達の弱かった部分を見つめ直す時となる。目をそらすのではなく弱かった点を認め、向き合う段階だ。成長途上のマリーンズはまさに今年の経験を糧に大人への階段を駆け上がろうとしている。そのためにはまず今年の1年を振り返り、良かった点には自信を持ちながらも、課題から逃げずにピックアップしていく作業に入る。
指揮官の想いを選手達はしっかりと受け止めていた。それぞれの1年と向き合っていた。CSで最年少本塁打を放った安田尚憲内野手は「まだまだ課題は多い。力不足」と結果を出したCSではなく、シーズンにおいて期待され4番に起用されながらも期待に応えることができなかった自分の弱さと向き合った。CS最年少の猛打賞を記録した藤原恭大外野手は「143試合、戦える体力がない。そして大事な場面で盗塁失敗をした。もっと速く走れるように励みたい」と唇をかんだ。弱さと向き合い成長を望む若武者は休む間もなく教育リーグが行われている宮崎へと飛んだ。
シーズンは終わった。開幕ダッシュに成功をしたが終盤は主力の故障も相次ぎ、厳しい戦いを余儀なくされた。様々な重圧がのしかかる。指揮官は心の内の苦しみを誰にも打ち明けることなく毅然と指揮を続けた。「後半は野球の夢しか見なかった。そんな経験初めてだった」。リーグ戦が終わった時、井口監督はポツリと呟いた。寝ても起きても野球の日々。それはマリーンズを愛しているからこそ。1つでも上の順位となり、チームがファンから誇られる存在となれるよう全身全霊を注いだ日々であった。
悔しい経験をした。嬉しいこともたくさんあった。その両方を来年に生かしたい。喜びと悔恨の想いの両方が未来のマリーンズの礎となる。2位で終わった。大きく前進した。来年こそは今年の想いをさらに生かす。みんなの想いを1つにしてリーグ優勝へと向かうのだ。
(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)
シーズン終盤に失速はあったものの、リーグ王者のソフトバンクとリーグ優勝争いを繰り広げ、2007年以来となる2位になったマリーンズ。
先発陣のチーム防御率はリーグ4位の「4.07」。防御率は4点台ではあるが、石川歩、美馬学は規定投球回に到達し、2年目の小島和哉は規定投球回に到達しなかったが1年間先発ローテーションで投げ、二木康太はシーズン自己最多の9勝、岩下大輝も新型コロナウイルス感染で離脱するまで先発ローテーションを守った。さらにシーズン終盤に加入したチェン・ウェインが打線の援護に恵まれなかったものの、4試合に先発して、いずれもQS(6回3自責点)以内を達成した。
開幕先発ローテ入りが確実視されていた西野勇士、シーズン途中に種市篤暉が右肘の故障で離脱したなか、数字以上に奮闘した印象がある。先発投手の指標のひとつにあたるQSも、リーグトップの62だった。石川がリーグトップタイの14QS。特に石川は今季21試合に先発したが、5イニング以上投げた試合は20試合で、6イニング以上投げた試合は19試合と、シーズン通して長いイニングを投げた。美馬、二木、小島の3人も10QSを達成し、10QSを4人以上達成したパ・リーグのチームは、マリーンズだけである。
※()はQSを10回以上達成した投手
シーズンを細かく振り返ると、石川、種市篤暉、美馬、二木、小島、岩下の6人が開幕ローテーションでスタートを切った。石川、美馬といった実績組が不安定だったことに加え、先発ローテの一角として期待された二木が開幕直後に2軍落ちと、苦しい台所事情のなか、シーズン序盤先発陣を引っ張ったのが種市と岩下の若手コンビだ。
昨季チームトップタイの8勝を挙げた種市は、白星に恵まれなかったものの、開幕から3試合全てQSを達成し、4試合目の登板となった7月11日の西武戦で、6回を10奪三振3失点で今季初勝利をマーク。この日の試合後に奪三振数もリーグトップに浮上した。7月18日の日本ハム戦で2勝目をマークし、7月25日の西武戦では136球の熱投で、プロ初完封勝利も飾った。
岩下は2、3月の練習試合、オープン戦、6月の練習試合もピリッとしない投球内容だったが、西野の故障で“先発6番手”で開幕を迎える。昨季も開幕前に調子があがらず、シーズン入ってから素晴らしい投球を見せた岩下は、今季も全く同じだった。初登板となった6月25日のオリックス戦、5回2/3を投げて無失点で初勝利を挙げると、7月2日の楽天戦、7月16日の日本ハム戦でも白星を挙げ、開幕3連勝。降雨のためノーゲームとなった7月9日の西武戦も、4回まで無失点に抑える内容だった。
種市と岩下は連敗の中で先発登板が回ってくることが多かったが、連敗ストッパーにもなった。チームの勢いが止まっていた7月に大型連敗をしなかったのは、種市と岩下の好投によるところが大きかったと言えるだろう。
先発陣を支えていた種市が右ひじの故障で8月2日に1軍登録を抹消されると、8月以降は美馬、石川、二木の3人がチームに勝ち星を多くもたらした。
石川は7月31日の楽天戦から9月4日のソフトバンク戦にかけて6連勝。8月は4試合に登板して、4勝0敗、防御率3.46で月間MVPにも輝いた。美馬も8月11日の日本ハム戦から10月4日の西武戦にかけて自身7連勝。7連勝前は2勝2敗、防御率5.71だったが、8月11日以降は8勝2敗、防御率3.07と安定した。
6月30日の楽天戦でノックアウトされて以降ファームで調整が続いていた二木も、8月8日のオリックス戦で7回を5安打2失点に抑え今季初勝利を挙げると、続く8月15日の日本ハム戦は敗戦投手になったが7回を投げた。8月29日のオリックス戦から自身6連勝と、種市が故障で離脱した穴を埋め、シーズン自己最多の9勝をマークした。シーズンの防御率は3.40だったが、再昇格を果たして以降の防御率は2.63だった。
美馬、石川、二木の3人が安定していたことで、チームも8月(16勝8敗1分)と9月(15勝11敗1分)は月間リーグトップの成績を残した。9月まで1度も同一カード3連敗がなかったのも、勝ちが計算できる投手が3人いたことが非常に大きい。
2年目の小島の存在も忘れてはならないだろう。
小島は2年連続で開幕ローテ入りを果たすと、昨季はプロ初登板・初先発となった4月4日の西武戦で2回8失点と悔しいマウンドになったが、今季は初登板となったオリックス戦で5回4失点ながらも白星を手にする。
今季2度目の登板となった7月1日の楽天戦は、4回5失点と不安定な投球だったが、登板を重ねるごとに安定感が増していき、8月26日の楽天戦では開幕8連勝中だった涌井秀章に投げ勝つなど、同試合から3試合連続で7イニング以上投げた。
チームに勢いがあった8、9月は9試合に登板し、4勝3敗、防御率2.78と、白星を積み重ねた石川、美馬、二木のような派手さはなかったが、堅実な投球を見せた。
規定投球回には届かなかったものの、シーズン通して先発ローテーションに穴を開けなかったのは立派だ。
ソフトバンクと熾烈な優勝争いを演じていた9月に、中日や大リーグのオリーオルズなどで活躍したチェン・ウェインが加入。実戦不足が心配されたチェン・ウェインだったが、それも杞憂に終わる。移籍後初登板となった10月14日の楽天戦で6回を2失点に抑えると、10月21日の西武戦も6回を1失点。
先発した4試合全て6イニング以上投げ、3失点以内に抑えていたが、打線の援護に恵まれず、0勝3敗という成績だった。援護があれば、4試合全て勝利していてもおかしくない投球内容だった。
種市の離脱、シーズン終盤にチェン・ウェインの加入もあったが、シーズン通して先発陣が試合を作った。ただ、岩下が新型コロナウイルス感染で離脱した直後、岩下に代わる先発投手がいなかったのも事実。
昨年でいえば土肥星也、佐々木千隼、中村稔弥などファームも先発陣が充実していたが、今季は再昇格を果たした二木に続く先発投手の候補が少なかった。ファームの開幕投手を務めた古谷拓郎は、7月24日の巨人との2軍戦から約2ヶ月近く登板がなかった時期があり、9月はファームの先発で6イニング以上投げた投手が支配下選手では有吉優樹しかいないという状況だった。この時期1軍が好調だったため、あまり目立たなかったが、故障者や不振の投手が続出していたら、また違った展開になっていただろう。
そんな中で、育成選手の森遼大朗と本前郁也は先発でアピールを続けた。森は1勝6敗と黒星が先行したが、ファームではチームトップの61イニングを投げた。9月9日の楽天戦では敗戦投手になったが、8回を1安打1失点に抑える好投を見せた。本前は開幕直後、リリーフで投げていたが、8月17日以降の7試合は先発。9月は3登板・16イニングを投げて、防御率0.56という成績だった。
今季は美馬、石川、二木、小島、岩下、さらには故障で離脱してしまったが種市、途中加入のチェン・ウェインがいたが、来季以降に向けてさらなる先発の強化、若手投手の台頭が必要になってくるといえそうだ。