思いをつなぐ−。ロッテ藤原恭大外野手(22)が10日、神奈川・川崎市内で開催された「アンダーアーマー ベースボールフェスタ2022 ベースボールクリニック」に参加し、少年少女と技術指導などを通して交流した。
まだ不慣れではある。「短い時間でしたけど楽しくやれました。教えるのは難しいなと思いました」と率直に口にする。ただ、受け手の気持ちは知っている。
「間近で見るのはすごく緊張な経験でしたし、プロってすごいんだって感じたので。小中学生の時に見るだけでも全然違うと思うので。見るだけでも経験になったと思います」。
広い背中が記憶に残る。伊丹空港に隣接する大阪・豊中出身。着陸する飛行機が間近に見える街だが「生まれた時からあるので。特に何も思ってなかったですね」。迫力の景色を日常茶飯事として視界に入れながら、野球をやってきた。
小学生の頃からよく、兵庫・尼崎のバッティングセンターに行った。オリックスジュニアでプレーしていた時期に、運命のようにそこにいた。「T−岡田さんと何度かお会いして。バッティング用のグローブとかをいただきました」。特に深い会話はしていないというが、何年たっても記憶に色濃い。「プロって本当にすごいんだ」。
見て学ぶのは今もなお。子供達に背中を見せたこの日から、さかのぼること48時間ほど。メジャー挑戦が決まった吉田正尚外野手(29)の練習に1日入門した。その朝、レッドソックス入りが大々的に報じられたばかりだった。
「打撃練習を真横で見たりして。プロの中でも1番2番の選手だと思っているので、本当に勉強になったというか。来期につながる1日だったと思います」。
特に、体の使い方の上手さに感嘆したという。
「トレーニングからして、全然違うなと。ウエートトレーニングも打撃につながる動きをした方がいい、と言われて。ただ重いものを挙げるだけでなく、動作というか、野球につながる動きをもっと勉強してやれれば、もっとよくなるかなと思いました」。
低く、強く。実績こそまだ大きな差があるものの、藤原の理想像がメジャーリーガーに重なる。
「あれだけフルスイングしてミートできるというのは日本球界でも数えるくらいしかいないですし、僕もそこを目指してやってきているので」。
背番号1で臨んだ今季は、わずか1本塁打。大学を卒業し同学年達がいよいよプロ入りしてくる。高卒ドラフト1位で入った藤原は「後がない」とも口にする。「高部さんや荻野さんに数字でしっかり勝って、レギュラーを取りたいというのはあります」。背中からの学びを、いかに数字につなげるか。
プロ5年目は近い。ジェット機の離陸を思わせる強弾道で、低空飛行を卒業したい。
ロッテの来季首脳陣に光山英和氏(57)が入閣することが10日、分かった。
ルーキー松川、佐藤都ら期待の若手捕手も多いバッテリー部門を中心に、チーム全体を総合的に管轄する職域を任されることになりそうだ。今季までは楽天で1軍バッテリー兼守備戦略コーチを務め、すでに退団が発表されている。光山氏は吉井新監督とは近鉄でのドラフト同期入団組でもあり、バッテリーを組む機会も多かった。旧知の仲として、吉井監督の考えをチームに浸透させていく役割も期待される。
ロッテ藤原恭大外野手(22)が、メジャー挑戦する吉田正尚外野手(29)から学んだ。「1日道場」への入門はレッドソックス入りが報じられた8日のこと。「プロの中でも1番2番の選手だと思っているので、本当に勉強になったというか、来季につながる1日だったと思います」と手応えを口にした。
理想像を真横で拝んだ。「あれだけフルスイングしてミートできるというのは日本球界でも数えるくらいしかいないですし、僕もそこを目指してやってきているので」。打撃に限らず、備えも学びだらけ。「トレーニングからして全然違うなと。体を使うのが本当にうまくて。ウエートトレーニングも打撃につながる動きをした方がいい、と言われて」。背番号1に変えた今季、わずか1本塁打。「後がない」と焦るオフに大きな刺激になった。
10日は川崎市内で野球教室に参加。子供達相手にも「タイミングを取るのは難しいです」と苦笑したが、藤原もそこをクリアできればチームの顔になれるだけの存在だ。派手な数字は掲げず「数字で勝ってレギュラーを取りたい」と、1軍定着を何より求める。正念場のプロ5年目は近い。
ロッテ・藤原恭大外野手(22)が10日、川崎市内で開かれた野球教室で小中学生を指導。終了後に取材に応じ、8日に米大リーグのレッドソックスと契約合意したオリックス・吉田正尚外野手(29)と東京都内で一緒に練習を行ったことを明かした。
「自分の体の仕組みを理解して、体の使い方がうまいなと感じた。本当に勉強になりました」。
打撃につながるウエートトレーニングなども教わった。「ただ重いものを上げるのではなく、動作が大切。真横で見て、本当に来季につながる1日になった」と収穫を口にした。
4年目の今季は出場49試合で打率.209、1本塁打。来季に向け「もう後がない。(外野のレギュラーに)荻野さん、高部さんがいる。数字でしっかり勝ってレギュラーを取りたい」と意欲的に語った。
ロッテ・藤原恭大外野手(22)が10日、川崎市内で『アンダーアーマー ベースボールフェスタ2022 藤原恭大選手 ベースボールクリニック』に参加し、少年少女に打撃指導などを行った。
イベント後に報道陣の取材に応じ、「小さい頃からずっと夢と目標を持って、それに向かってやってきて、いい結果につながった」と夢を持つ大切さを強調した。
自身がオリックス・ジュニアに在籍していた小学時代のエピソードを披露。「T−岡田さんとバッティングセンターでよくお会いして、打撃をみてすごいなと思いながらやっていた。打撃用の手袋をいただいた」とプロ野球選手を目指すきっかけになったという。
8日には東京都内でオリックスから米大リーグ、レッドソックスに移籍が決まった吉田正尚外野手(29)と練習を行った。「練習から全然違う。自分の体の仕組みを理解して、本当に体の使い方がうまいなと感じました。本当に勉強になりました」と大きな刺激を受けた。
来季に向けて「(外野のレギュラーに)荻野さん、高部さんがいる。ポジションが空いているからではなくて、数字(成績)でしっかり勝ってレギュラーをとりたい」と口元を引き締めた。
ロッテが、今季楽天でバッテリー兼守備戦略コーチを務めた光山英和氏(57)をバッテリーコーチとして、同じく今季楽天でプロスカウトを務めた栗原健太氏(40)を2軍打撃コーチとして招聘することが10日、分かった。
光山氏は現役時代は近鉄、中日、巨人、ロッテ、横浜(現DeNA)でプレーし、引退後は西武、DeNAでコーチを務めた。松川、佐藤都らの育成に加え、今季わずか2試合出場に終わった田村の再生も期待される。
今季終了後に就任した吉井監督と光山氏は同い年で、83年ドラフトで近鉄に入団した同期。長年バッテリーを組んできた間柄だ。リーグ優勝を目指し、新指揮官は「自分の頭で考えて、行動できる選手を育てたい」と話している。吉井監督の野球観、性格を熟知する光山氏には、ベンチワークでも女房役を求められる。
この日、楽天から退団が発表された栗原氏は、現役時代は広島の主砲として153本塁打をマークし、09年WBCでは世界一も経験。引退後は楽天、中日の打撃コーチを歴任しており、若手育成を担うことになる。
元オリックス投手で、今季は独立リーグのBC新潟でプレーした吉田一将投手が10日、自身のツイッターを更新。11月に受けたロッテの入団テストが不合格だったと明かした。
「お待たせしました。千葉ロッテのテスト結果ですが不合格でした」と書き出し、「まだ今後のことについては未定ですので決まり次第ご報告させていただきます」とした。
吉田は11月、ロッテの秋季練習にテスト参加。シート打撃に登板するなどしていた。
ロッテ・藤原恭大外野手が10日、神奈川県川崎市内のアンダーアーマーベースボールハウス川崎久地で、「アンダーアーマーベースボールフェスタ2022 ベースボールクリニック」を開催した。
小中学生を相手に、打撃指導やトークショーなどを行い、「教えるのは難しかった」と苦笑いを浮かべながらも、「小さい頃からずっと夢を持って、それに向かってやってきて、いい結果につながった。目標を持って野球をすることが大切」と甲子園優勝、ドラフト1位など、自身の経験から夢を持つことの大切さを語った。
8日にはオリックスからレッドソックスに移籍が決まった吉田正尚と青学大で合同練習も行った。勝負を掛けた4年目は49試合出場で打率.209と結果を残せなかった。球界トップクラスの打撃を誇る吉田正の練習を目の当たりにし、「トレーニングから全然違う。体の仕組みを理解して、本当に体を使うのがうまいなと感じました。打撃も教えてもらって、間近で見ることがないので、本当に勉強になりました」と刺激を受けた。
偶然にも、その日に吉田正のメジャー移籍が決まった。藤原は「(自分も)野球をやっているならば、1度は体験してみたい」と目を輝かすが、その前にまずはレギュラー奪取が必要となる。「(外野レギュラーには)高部さん、荻野さん、ポジションが空いているからではなくて、成績を残してレギュラーをとりたい」と気合を入れていた。
ロッテが来季の2軍打撃コーチとして、広島で通算153本塁打をマークした栗原健太氏(40)を招聘することが10日、分かった。
栗原氏は広島で右の長距離砲として活躍。プロ17年で打率2割9分3厘のハイアベレージを残し、1082安打、153本塁打、586打点をマークした。引退後は楽天、中日の打撃コーチを経て、今季は楽天でプロスカウトを務めていた。
ロッテの今季チーム打率2割3分1厘、97本塁打はともにリーグ5位。1軍では安田、山口らが成長を示している一方、ファームにも来季高卒3年目となる右のスラッガー候補・山本、西川ら有望株がいる。栗原氏は2軍監督を務めるサブロー氏とともに若手の育成を託される。
ロッテが「1、2軍統括コーチ兼コーディネーター」のポストを新設し、楽天で今季1軍バッテリー兼守備戦略コーチを務めた光山英和氏(57)を招聘することが10日、分かった。
光山氏は83年にドラフト4位で近鉄に入団。NPB5球団を渡り歩き、現役引退後は西武、DeNA、楽天でコーチを務めた。DeNAでは当時のラミレス監督から「マイ・ベスト・コーチ」と称されるなど、指導者としての球界屈指の評価を受けている。今オフも複数球団からオファーを受ける中、近鉄時代にバッテリーを組んだ吉井監督率いるロッテを選択した模様だ。
ロッテのコーディネーター部門は昨年新設され、「1、2軍監督、コーチと状況共有」「中長期的強化策の策定」「データを活用した課題抽出」などを目的に、チームの強化を図るために現場とフロントをつなぐ重要な役割を担う。吉井監督が今季まではピッチングコーディネーターを務めていたことからも、チームの要といえるポスト。メジャーではコーチ以上のポストとされており、1、2軍統括コーチと兼務するという要職を名伯楽に託す。
光山氏は来季、1、2軍を横断的にチェックしながら、並行して若いコーチらの育成にも尽力するとみられる。豊富な経験と知識を生かし、グラウンド内外で就任1年目の吉井監督を支えていく。
ロッテの来季1・2軍統括部門コーチに前楽天バッテリー兼守備戦略コーチの光山英和氏(57)が、2軍打撃コーチに前楽天プロスカウトの栗原健太氏(40)がそれぞれ就任することが10日、明らかになった。
チーム力の底上げへ吉井新監督を支える右腕として、チーム戦略作成に定評がある光山氏招聘に踏み切った。吉井氏とは近鉄時代にバッテリーを組み、リーグ制覇を遂げた経験もある。西武、DeNAでもコーチとしてチーム強化を成功させており、組織全体の意思疎通を束ねる重要ポストとして託すことになった。
また、栗原氏は和製大砲育成を託された。現役時代は06年から4年連続20本塁打以上をマーク。08年以降は広島の4番を務め、長距離砲として君臨。09年にはWBC世界一のメンバーにもなった。
練習量の多さは当時チームメートだった前田智徳氏も一目置いていたほど。今季チームトップのイースタン12本塁打を放った山本ら右の大砲候補の育成に期待がかかる。
ロッテの藤原恭大外野手(22)が10日、アンダーアーマーベースボールハウス川崎久地で開催された『アンダーアーマー ベースボールフェスタ2022 ベースボールクリニック』に参加し、少年少女に打撃指導やトークショーを行った。
マシン打撃ではバットを振る少女に「(体が)前につっこまないように」など、優しくアドバイス。少年少女の質疑応答コーナーでは「目標を高く、夢を持って」と大事さを説いた。イベント後は「短い時間だったんですけど、楽しくやれました。教えるのは難しい」と振り返った。
自身も小学生時代に、自宅近くのバッティングセンターでオリックス・T−岡田と対面したときのエピソードを明かし「特に喋ってはないですけど、バッティングセンターでプロはすごいんだなと感じたときだったので、見るだけでも全然違う。いい経験になったなと思います」と当時のプロを志すきっかけを明かした。
5年目の来季はレギュラー奪取をと意気込む。今季から背番号1を付け期待を受けるも49試合の出場に終わり「大学生の同級生も入ってくる。監督も変わって、新たな気持ちというか、後がないというか、絶対に活躍しないといけないと思います。来年は1軍で出ることを目標にやっていきたい」と気持ちを引き締めた。
元オリックスで今年はBC新潟でプレーした吉田一将投手が9日、11月にロッテの入団テストを受けた結果、不合格だったことを自身のツイッターで明かした。
吉田は11月に行われたロッテの秋季練習にテストのため参加。シート打撃に登板するなどしていた。この日、自身のツイッターで「お待たせしました。千葉ロッテのテスト結果ですが不合格でした」と明かし、「まだ今後のことについては未定ですので決まり次第ご報告させていただきます」とつづった。
ロッテの安田尚憲内野手はプロ5年目の今季、打率、本塁打、出塁率、OPSといった各種の数字において、いずれも自己ベストの成績を記録した。終盤戦に見せた打棒は目覚ましく、来季以降のさらなる飛躍にも期待を持たせている。具体的にどのような点が向上したのか。「今季の月別打率」「年度別の指標」「球種別打率」「コース別打率」の4部門を紐解く。
安田の年度別成績は下記の通り。
安田尚憲選手年度別成績 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 死球 | 打率 | 出塁率 | OPS |
2018 | 17 | 53 | 8 | 1 | 7 | 7 | 0 | .151 | .250 | .514 |
2019 | 1軍出場なし | |||||||||
2020 | 113 | 393 | 87 | 6 | 54 | 62 | 1 | .221 | .326 | .647 |
2021 | 115 | 351 | 85 | 8 | 55 | 43 | 1 | .242 | .323 | .685 |
2022 | 119 | 388 | 102 | 9 | 47 | 45 | 4 | .263 | .343 | .740 |
通算 | 364 | 1185 | 282 | .24 | 163 | 157 | 6 | .238 | .327 | .683 |
安田は2017年のドラフト1位でプロ入り。2年目の2019年は2軍で4番を務め、イースタン・リーグで本塁打王と打点王の2冠に輝いた。翌2020年にはそのまま1軍の4番にステップアップし、全120試合中113試合に出場。自身初の規定打席にも到達するなど、貴重な経験を積んだ。
2021年も開幕戦で4番を務めるなど中軸として期待されたが、チームが1試合も落とせないほどの激しい優勝争いを繰り広げたこともあり、前年に比べて打席数はやや減少。それでも打率と本塁打の双方で前年を上回る数字を残し、打者としての着実な成長を示した。
2022年はオープン戦で8打数無安打と結果を残せず、開幕は2軍スタートに。それでも徐々に状態を上げてスタメンを奪還し、最終盤には再び4番に座った。規定打席にはわずか3打席届かなかったものの、自身初のシーズン100安打に到達。キャリアベストのOPS.740にも達した。
安田尚憲選手年度別指標 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 試合 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 三振率 | 四球率 | IsoD | BB/K |
2018 | 17 | .151 | .250 | .264 | .514 | .333 | .117 | .099 | .350 |
2019 | 1軍出場なし | ||||||||
2020 | 113 | .221 | .326 | .321 | .647 | .230 | .135 | .105 | .585 |
2021 | 115 | .242 | .323 | .362 | .685 | .206 | .108 | .081 | .524 |
2022 | 119 | .263 | .343 | .397 | .740 | .195 | .102 | .080 | .523 |
通算 | 364 | .238 | .327 | .355 | .683 | .216 | .116 | .089 | .534 |
次に、年度別の指標を見る。
じっくりと球を見ていく打撃スタイルの持ち主といえる。2018年はちょうど3打席に1回は三振を喫していたが、三振率の高さは年を経るごとに改善。2022年には初めて.200を下回る水準に到達している。四球率は4年連続で.100超えと一定の水準を保ち、打率と出塁率の差を示す「IsoD」も優秀な数字を記録。選球眼を示す「BB/K」も、2022年はリーグ平均の数字(.402)よりも.100以上高い。
一方で、1軍に定着した2020年は四球率とIsoDがキャリア最高ながら、打率や三振率は厳しい数字で、打席での積極性に欠けるきらいがあった。今季は.100を超える四球率と.080を超えるIsoDを維持しながら、弱点だった三振率を改善。いい意味で積極的な姿勢を身に着けつつあることも、今後のポジティブな要素となっている。
安田尚憲選手2022年月別成績 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
月 | 試合 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | OPS |
4月 | 9 | 6 | 0 | .214 | .290 | .505 |
5月 | 24 | 18 | 0 | .247 | .276 | .578 |
6月 | 20 | 17 | 2 | .258 | .355 | .780 |
7月 | 17 | 13 | 0 | .236 | .348 | .639 |
8月 | 23 | 24 | 4 | .320 | .388 | .948 |
9月 | 25 | 21 | 3 | .241 | .343 | .745 |
10月 | 1 | 3 | 0 | .750 | .750 | 2.000 |
続いて2022年の月別成績を確認する。
6月に出塁率.355、OPS.780と復調すると、8月に入ってからはまさに絶好調に。試合数を上回る安打数を記録し、打率.320、出塁率.388、OPS.948という出色の活躍を披露した。10月2日のシーズン最終戦では2本の二塁打を含む4打数3安打と大活躍。8月と9月の2か月だけで7本塁打を記録し、9月18日には本塁打の出にくい札幌ドームで9回に値千金の勝ち越し3ランを放った。長打力の面でも、終盤戦には大きな進歩を垣間見せていた。
4月と5月の出塁率はいずれも.200台だったが、6月からは5か月連続で出塁率.340を上回った。7月と9月のIsoDは.100を超えており、6月のIsoDも.097とそれに近い数字に。持ち味の選球眼も6月を境に大きく良化した。
安田尚憲選手2020年球種別成績 | ||
---|---|---|
球種 | 打率 | 本塁打 |
ストレート | .218 | 0 |
シュート | .200 | 0 |
フォーク | .152 | 1 |
チェンジアップ | .280 | 0 |
カットボール | .346 | 3 |
カーブ | .310 | 1 |
スライダー | .104 | 1 |
シンカー・ツーシーム | .324 | 0 |
安田尚憲選手2021年球種別成績 | ||
---|---|---|
球種 | 打率 | 本塁打 |
ストレート | .236 | 3 |
シュート | .273 | 0 |
フォーク | .154 | 0 |
チェンジアップ | .389 | 0 |
カットボール | .200 | 0 |
カーブ | .375 | 2 |
スライダー | .232 | 3 |
シンカー・ツーシーム | .438 | 0 |
安田尚憲選手2022年球種別成績 | ||
---|---|---|
球種 | 打率 | 本塁打 |
ストレート | .249 | 4 |
シュート | .100 | 0 |
フォーク | .250 | 1 |
チェンジアップ | .343 | 2 |
カットボール | .174 | 1 |
カーブ | .100 | 0 |
スライダー | .350 | 1 |
シンカー・ツーシーム | .474 | 0 |
ここからは、2020年以降の球種別打率を見ていく。
基本的に最も多く投じられる球種であるストレートに対して、2020年は打率.218、0本塁打と苦手としていた。ただし、2021年は3本塁打、2022年は4本塁打と速球を捉えた本塁打が増えており、2022年は球種別打率も.249と上向き。徐々に速球に力負けしなくなりつつある点は、成長を見せた部分の1つとなっている。
2021年まで苦手としていたフォークとスライダーへの打率も、2022年は揃って改善を見せている。2020年から2年続けて打率.300を超えていたカーブの打率低下は気になるが、そうした点も含めて、今後はさらなる苦手の克服に期待したいところだ。
2020年 | ||||
---|---|---|---|---|
.000 | .000 | .125 | .000 | .000 |
.000 | .360 | .192 | .139 | .000 |
.000 | .250 | .351 | .283 | .250 |
.500 | .222 | .343 | .209 | .200 |
.000 | .125 | .125 | .059 | .000 |
2021年 | ||||
---|---|---|---|---|
.000 | .000 | .286 | .308 | .000 |
.000 | .250 | .240 | .097 | .200 |
.400 | .400 | .250 | .261 | .571 |
.000 | .200 | .455 | .194 | .000 |
.000 | .400 | .154 | .083 | .000 |
2022年 | ||||
---|---|---|---|---|
.000 | .400 | .286 | .111 | .000 |
.000 | .250 | .294 | .261 | .000 |
.000 | .240 | .349 | .345 | .667 |
.000 | .133 | .381 | .242 | .250 |
.000 | .000 | .125 | .173 | .000 |
最後に、2020年以降のコース別打率を見る。
2020年までは得意・不得意がはっきりと分かれており、特にストライクゾーン内の高めと外角の球を総じて苦手にしていた。しかし、2022年はゾーン内では内角低め以外の8つ全てで打率.240以上と、弱点は確実に少なくなっていることがわかる。
それでいて、真ん中低めの球を得意とする傾向は一貫しており、2021年にいったんは下がったど真ん中への打率も、2022年は再び向上。高めのボールゾーンの球を強引にヒットにする「悪球打ち」も含め、失投を逃さない点は大きな強みだ。あとは、3年間を通じて苦手としている内角低めに対応できるようになれば、より打者としての完成度も高まってくる。また、三塁の守備でも、終盤戦で守備固めを出されるケースが皆無となるなど、確かな成長を見せていた。
外れ1位ながら3球団が競合した2017年のドラフトから5年。将来を嘱望される俊英は、苦悩を経ながら少しずつステップを踏み、いよいよ覚醒の兆しを見せている。この流れのまま来季は開幕から猛打を見せ、4番の座を不動のものとできるか。今季の終盤戦で見せた打撃を継続できれば、期待に応えるだけの可能性は十二分にある。
ロッテの先発陣のチーム先発防御率は4月終了時点でリーグトップの「1.47」だったが、終わってみればリーグ5位の「3.35」。今季規定投球回に到達した投手が小島和哉、また2桁勝利を挙げたのは美馬学のみだった。
ロッテOBの清水直行さんに、ロッテ投手陣について“8つのテーマ”で語ってもらう第2回のテーマは「先発投手」。
清水さんはロッテの先発陣に「規定投球回に到達しているのが小島だけなんですよね。先発投手の突き上げがないので、ロッテとしては来年も大変な作業だと思っています。美馬、石川に頼っているとまた同じことになる。ロッテは結構厳しいです。河村も怪我上がりなので、今年使ってもらった先発が復活してこないと難しいかなと思います」と指摘した。
2年連続で規定投球回に到達した小島だが、今季は3勝11敗と黒星が先行。清水さんは「いつ打たれているのかというところだけ。与えた四球が43個あって被本塁打は10本。1年間ローテーションピッチャーで、(被本塁打を)10本で抑えているのはそこそこ優秀なんですよね」と話す。
「小島に関してはピッチャーとしてどうやって勝ち星を拾っていくか、試合の流れの中で、どこで踏ん張らなければいけないのか、というところの勘、嗅覚がもっともっと養われていくと、この数字は逆になってもおかしくないと思っています。スピードは入団当初より上がっているので、そういうところかなと見ています」と分析した。
先発は美馬、石川歩、ロメロ、小島といった経験のある投手に頼り、二木康太、河村説人、本前郁也、佐藤奨真など若手、中堅にもチャンスが回ってきたが、先発のポジションを掴む投手が出てこなかった。
「本当にそういう意味では停滞しているなと見ていますね。佐々木朗希にウエイトがかかりすぎているのか分からないんですけど、その部分では伸びてきていないと見ています。その中で先発投手はどんどん若手投手を使って欲しかったんですけど、結局は目先の勝ちじゃないですが、若手ではなくて経験豊富なベテランで何とかしてくれるだろうというところに期待値をかけすぎた。結局、若手に何とかしてこいというところがなかった。吉井監督がどうやって組み立てていくのか、黒木コーチが入ってそう言ったところは期待したいですね」。
清水さんが話したようにクライマックスシリーズ進出を争っていたシーズン最終盤の9月23日のソフトバンク戦では、4回まで1失点に抑えていた先発・本前郁也が2−1の5回1死一、二塁でデスパイネを迎え、岩下大輝にスイッチしたこともあった。
また、清水さんは若い先発投手に“投球術”の重要性についても説いた。
「投球術がない投手を先発に回しても難しい部分があります。2廻り目は絶対に抑えてもらわないといけないのが先発ピッチャー。そういう意味では、2廻り、3廻りまで抑えられる球種、メンタル、投球術を持っているピッチャーを探し出して、投げ切らしていかないといけないんじゃないかなと思います」。
「パッと見て誰が(その能力を)持っているのと思って見たときに、もう1度教育しないといけないと思っているので、教育となるとファームでローテーション投げさせるとか。打たれてもローテーションで投げて、長いイニングを投げる術を自分で見つけないといけない」。
佐々木朗希が今季9勝をマークしたが、若い投手陣は育っているようで、育っていないのが現実だ。
「佐々木朗希投手をうまく育てているから育成上手みたいなのがありますけど、全然育てていない。ドラフトのバランスも悪い、ウィークポイントとか、世代がバラバラだし、防御率だけ見れば3.39で何とかピッチャー陣というけど、みんなちょこちょこ頑張りの3.39なので、誰かが柱にいる人間がいるかと言ったらいない。ずっとそうなので、かなり危機感を持ってやって欲しいなと思います」。