ロッテ松川虎生捕手が目指すのは「止める男」だ。高卒1年目捕手として76試合に出場。佐々木朗の150キロに迫るフォークを止め続けた一方で、リーグワーストの6捕逸を記録。「ブロッキングは大きな課題だと思っています。数の上では6つですが、記録に残っていないものも含めてしっかりと対応して、投手陣から信頼してもらえるよう」と危機感を持つ。
不慣れなプロ生活で、体力面の課題にも直面した。「交流戦ぐらいにガクッと来た印象です。毎日、試合があることはもちろん、移動がしんどかったです。新幹線は寝られるからまだよかったのですが、飛行機はきつかったです」と吐露。まだ19歳ながら、正捕手候補として球団の期待も高く、求められるのも大きい。年明けにはヤクルト中村らと愛媛・松山で自主トレ予定。歴戦の捕手達から極意を学び取る。
ロッテ担当記者を務めた3年間、いろいろあった。完全試合も目撃したし、警察署にも電話した。川崎球場跡地からZOZOマリンまで歩いたりもした。やり切った感はある。悔いを挙げるならば、種市篤暉投手(24)の躍動に立ち会えなかったことだ。
初対面からして、私は失礼千万だった。16年秋のドラフト会議当日。当時、日刊スポーツ販売局で東北担当をしていた私は、東北総局の1日助っ人記者として、岩手から青森へ車を走らせた。行き先は八戸工大一高。詰め襟姿で純朴そうな高校3年生の種市が、ドラフト会議を待っていた。まずは名刺を渡した。
もう1つ、会社からのミッションがあった。その日、同校から1キロ弱離れている八戸学院光星高でも、田城飛翔外野手(3年)がドラフト指名を待っていた。候補選手は広大な東北の各地に点在し、取材記者の数にも限りがある。1日助っ人の私が任されたのは「種市と田城、2人のドラフト指名取材を行う」だった。
そんな訳で八戸工大一に車を置かせていただき、田城のもとへ挨拶に。約10分。スーツで歩くと実際より長い距離に感じる。冷気をたっぷり吸い込んで光星に到着した私に、田城は「本日はわざわざありがとうございます」とお茶までいれてくれた。指名は種市の方が先、という情報を得ていた。とはいえ、そこまでもてなしていただくと、営業マンの誇りにかけて簡単には辞去できない。
八戸学院光星の1部屋で、運命のドラフト会議が始まった。田城は仲井監督にちょくちょくいじられつつ、吉報を待っている。早く指名されて欲しいな−。せっかくのご縁。心から願ったし、大人の事情的にも「早く」と願った。やがて私が焦る。画面に出た。「千葉ロッテ6位 種市篤暉 投手 八戸工大一」。
目をつぶった。今ここで立ち上がるのは、社会人としてどうなのだろう。でも業務遂行するには、種市のもとに戻るべきではないだろうか。今すぐ田城が指名されれば、両方をハシゴできるかも−。結局、葛藤への正解が出ない。田城の指名はないまま、支配下選手のドラフトは終わった。小休憩。私は心の中で詫びて八戸工大一へ駆けた。
確か雪も残っていて、気にせず走った。種市の会見は一通り終わり、仲間からの胴上げが始まっていた。関係者に詫びる。「せっかくお越しいただいたので」と取材を許してもらえることになった。ありがたい。でも。「申し訳ありません、あと15分だけお時間をいただけませんか?」。
快諾をいただき、また走った。写真撮らなきゃ。スポーツ紙っぽく。八戸の冷気はさすがにしんどい。社会人になってから、あの時ほど走ったことはない。近所の商店でロッテのお菓子を爆買いし、ぜいぜいと声にしながら戻った。
白い息を吐いていた種市は温かく、単独取材に応じてくれた。爆買いしたお菓子は、チームメートたちに持ってもらって写真撮影。「自分、本当に写真撮られるの苦手なんです…」。笑顔を求めると、なぜかウインクでお菓子をかじってしまう18歳。お菓子はそのまま野球部員達に差し入れ。喜んでもらえて何よりだった。取材はかなわなかったが、田城のソフトバンク育成指名を知って、ホッとした。
そこから4年少々が過ぎ、だいぶ大人びた種市に再会したのが21年新春。「あ、あの時、走ってましたよね!」。バタバタした変な大人を覚えてくれていた。「またよろしくお願いします!」。
種市は後日、ドラフト当日のことを「ドラフト6位なので1時間半くらい待ちました。待っている間の記者会見場の雰囲気がだんだん重くなってきて、つらかったです」と回想している。こちらの勝手な都合で、指名後に至るまで待たせてしまったお詫びに、活躍の記事で倍返ししたかった。私にとっても、二択の難しさに迫られ、仕事人としての生き様や振る舞い方を考えさせられたあの日。来季は本格的に先発復帰。かげながら期待したい。
今季までロッテでプレーしたエニー・ロメロ投手(31)が韓国プロ野球のSSGと契約したと、球団が28日までに発表した。
韓国メディアなどによると、年俸は80万ドル(約1億800万円)、出来高は最大で20万ドル(約2700万円)になるという。
ドミニカ共和国出身のロメロは2013年にレイズでメジャーデビューし、18年までのメジャー5年間で通算137試合に登板、4勝6敗、防御率5.12をマークした。
19年から2年間は中日に所属し、21年にメキシカンリーグを経て同年6月にロッテに入団。今季はロッテで20試合に登板し8勝9敗、防御率3.39。日本では1軍で通算45試合に登板し17勝19敗、防御率3.60だった。
今季のプロ野球の10大ギモンを解き明かす「年越しまでに知りたい!プロ野球の大ギモンSP2022」(日本テレビ)が、30日午前8時から放送される(関東地区と一部地域)。
28年ぶりに完全試合を達成したロッテ佐々木朗希投手(21)と、セ・リーグ新人王の巨人大勢投手(23)との対談や、日本選手最多56本塁打を放ったヤクルト村上宗隆内野手(22)へ贈る王貞治氏(82)のエールなどで構成。現役を引退した元日本ハム杉谷拳士氏(31)も第2の人生の夢などを語る。
日本野球機構(NPB)は28日、年内最後の業務日を迎えた。
新型コロナウイルスの影響で中止・延期試合もあったが、開幕から日本シリーズまでシーズンを完走。井原敦事務局長は「大変厳しい1年だった」と率直に受け止めつつ、「143試合、入場制限なしにやるのが今年の大目標だった。何とかゴールにたどり着いたかなと思う」と述べた。
9月以降は、観客動員も増加。来季は、さらに緩和の方向へ進むことが期待される。準備が進む新たな感染予防のガイドラインについて、同事務局長は「基本的には制限をかなり減らした形になっていると思うが、現状、第8波の感染状況がまだ数字を見れば拡大している。収まってはいない。その状況を見極めてからガイドラインは最終的なものを出していこうと思う。もう少し様子を見る」と慎重に話した。
ロッテ・松川が28日、来季のキーワードに「成長」を掲げた。1年目の今季は76試合に出場し、打率.173、14打点。本塁打はなかった。「周囲から褒めてもらえるが、悔しい気持ちしか残っていない」と振り返った。両リーグ最多の6捕逸を記録し、「ブロッキングは大きな課題。年末年始も追い込みながら練習する」と決意。1月は愛媛・松山市で行われるヤクルトの合同自主トレに参加する。
日本野球機構(NPB)は28日、東京都内の事務局での年内業務を終えた。今季は球界で選手、関係者を含めて1032人が新型コロナウイルスの陽性判定を受け、19試合が延期されながらも、レギュラーシーズン143試合とポストシーズンを完遂した。
今秋に行われた秋季キャンプからは定期検査を撤廃した。12月5日に元経団連会長の榊原定征新コミッショナーが就任し、来年はよりコロナ対策の緩和を進めていく。
残り3日となった2022年。プロ野球界では新たな1年を前に、ドラフト会議で126選手(育成含む)が指名された。一方で、多くの選手たちがユニホームを脱ぎ、新しい人生をスタートさせる。年末恒例の「惜別球人」で去りゆく選手を紹介する。
11月20日に開催されたファン感謝デーで、田中靖は「ライオンズで10年、マリーンズで7年、たくさんの出会いに恵まれました。幸せな選手生活を送ることができました」と現役引退の挨拶を行った。
決して派手な野球人生ではない。通算209試合に登板し、10勝9敗2セーブ、防御率3.81。西武で1軍デビューを飾った10年に、発熱した西口(現2軍監督)の代役として1試合だけ緊急先発したが、残りの208試合は全て救援登板だった。15年に戦力外。そんなときに拾ってくれたのが、5歳年上の兄・良平氏もかつて所属したロッテで「縁を感じますよね」と振り返った。
19年のことだ。守備練習中に左目の下を10針縫うケガを負った中村奨が、風呂場で洗髪するのに苦労している姿に気づき、田中靖が傷口を避けながら洗ってあげた、ファンの間で有名なエピソードがある。生え抜きではないが真面目で、後輩たちに優しく、時には厳しくできる。そんな性格が球団にも評価された。来季からはストレングストレーナーに就任し、若手のトレーニングを指導する。
「今年まで現役だったので、選手の気持ちを理解しながら、しっかりとサポートしたい」。まさに適材だ。
ロッテ・松川が来季の目標に「成長」を掲げた。
高卒1年目の今季は佐々木朗とのコンビで完全試合を達成するなど奮闘。しかし、「周りからは褒められるが、自分の中では悔しい気持ちしか残っていない」。捕逸もリーグワーストの6を数え「ブロッキングは大きな課題。投手陣から信頼してもらえるよう磨いていきたい」と誓った。
体力不足も反省点だといい、年明けの愛媛・松山自主トレを前に「年末年始も追い込んでいく」と力を込めた。
ロッテ・松川虎生捕手(19)が28日、2023年のキーワードを「成長」と定め、2年連続の開幕スタメンも含めて飛躍を誓った。
ルーキーイヤーだった今季は、開幕からスタメンマスクをかぶり、76試合に出場して存在感を示した。ただ、打率.173、6捕逸という結果に納得はいっていない。「打撃はもちろん、ブロッキングも大きな課題。体力面も含めてやることはいっぱいある」と反省点を挙げた。
そんな課題を克服するため、年末年始も気が抜けない。「来年も開幕スタメンを最初の目標に掲げている。年末年始も追い込みながらやっていきます」。1月からは愛媛県松山市内でヤクルト・川端らと自主トレ。「成長」した姿でキャンプ初日から猛アピールする。
ロッテの佐々木朗希はプロ3年目の今季、規定投球回に届かなかったものの、20試合・129回1/3を投げて9勝4敗、防御率2.02、リーグ2位の173奪三振をマークした。本拠地・ZOZOマリンスタジアムでの登板で三振を奪うと、“K”ボードが掲げられ、マリーンズファンは佐々木朗希のスピードボール、そして奪三振にワクワクした。
20歳5ヶ月と史上最年少で完全試合を達成した4月10日のオリックス戦では、1回裏2死走者なしの吉田正尚から5回3アウト目の西村凌にかけてNPB新記録となる13者連続奪三振、95年4月21日のオリックス・野田浩司(対ロッテ[千葉マリンスタジアム])に並ぶ1試合最多となる19奪三振を挙げた。
今季の佐々木朗希は173奪三振のうちフォークでの奪三振が106(空振り:98個、見逃し:8個)、ストレートが57(空振り:32個、見逃し:25個)、スライダーが9(空振り:7個、見逃し:2個)、縦スライダーが1(空振り:1個、見逃し:0個)。
ちなみに昨季は68奪三振奪ったが、フォークが36(空振り:29個、見逃し:7個)、ストレートが23(空振り:11個、見逃し:12個)、スライダーが8(空振り:6個、見逃し:2個)、縦スライダーが1(空振り:1個、見逃し:0個)。
今季はストレートでの空振り三振を奪う割合が増えた。8月10日のソフトバンク戦では、1試合に10個の三振を奪ったが、そのうち5奪三振が空振りのストレート。それも、試合の序盤ではなく、試合中盤以降に奪ったものだ。昨季はストレートで空振り三振を奪った11個のうち7個が3回までだったことを考えると、今季は試合中盤以降でもストレートで空振り三振を多く奪えたのは大きな進化といえる。
また少ない球数で三振を奪うことが多く、173奪三振中141奪三振が5球目以内。3球三振は36度あった。NPB新記録となる13者連続三振目となる西村から奪った三振、NPBタイ記録となる1試合19奪三振目となる杉本裕太郎から奪った空振り三振は3球三振。5月20日のソフトバンク戦の4−0の3回1死走者なしで、甲斐拓也に対して初球161キロのストレートで見逃しストライク、2球目の162キロストレートで空振り、3球目の164キロストレートで見逃し三振と、3球オール160キロ超えで3球三振を奪ったこともあった。
打者別ではソフトバンクの牧原大成に対し、今季最多の7個の三振を奪った。7奪三振のうち6個が空振り三振で、3球三振も3回。ただ牧原との今季対戦打率は.300(10−3)だった。
今季はシーズン序盤は三振の山を築いたが、夏場以降は少ない球数で打者を抑えていく投球が目立った。ただ、三振で欲しいところで三振が取れるのは大きな武器。来季は規定投球回に到達し、チームに勝利を数多くもたらすと共に、奪三振数も200を超えていって欲しいところだ。
※筆者調べ。ZOZOマリンスタジアムでの風が強い登板時は判別が難しくストライクゾーンのフォークがスライダー、スライダーがストライクゾーンのフォーク、フォークが縦スライダーの可能性あり
※筆者調べ。ZOZOマリンスタジアムでの風が強い登板時は判別が難しくストライクゾーンのフォークがスライダー、スライダーがストライクゾーンのフォーク、フォークが縦スライダーの可能性あり
昨季はチーム51年ぶりとなる優勝マジックが点灯するも、惜しくも優勝を逃したロッテ。「頂点を、つかむ。」のチームスローガンを掲げて臨んだ今季だったが、スタートダッシュに失敗。一時は盛り返したものの、最終的には3年ぶりのBクラス転落となる5位に終わった。ここでは今季の先発陣を振り返る。
今季のロッテを語る上で欠かせない存在といえば、佐々木朗希投手。今季は開幕ローテーション入りすると、初登板で自己最速の164キロを計測するなど、シーズン序盤から自慢の速球を武器に躍動。4月10日のオリックス戦では令和初となる完全試合の快挙を13者連続奪三振、日本記録タイの19奪三振とともに達成した。最終的には20登板で9勝4敗、防御率2.02の好成績を収めた。突出していたのが奪三振率。129回1/3で173奪三振。その割合は12.04に達した。これは最多奪三振のタイトルに輝いたオリックス・山本由伸投手の9.56を上回る。イニング数が増えれば、来季のタイトル獲得も十分にあるだろう。
開幕投手を務めたのは石川歩投手。自身2年ぶりの大役を白星で飾ると、3、4月は6登板で防御率0.87の好成績を残した。その後も先発としての役割を十分に果たし続け、20試合の先発で7勝7敗、防御率2.93、うち15試合でクオリティスタート(QS)を記録した。シーズン最終盤はコンディション不良の影響で離脱しただけに、来季は1年間投げ抜き、3年ぶりとなる規定投球回到達を目指したいところだ。
小島和哉投手はチームで唯一、2年連続規定投球回に到達。昨季10勝を挙げた活躍から背番号を「14」に変更して臨んだ今季は安定した投球を続けながらも勝ち星には恵まれず。6月10日のDeNA戦でようやく今季初勝利を挙げた。しかしその後も苦しい投球は続き、リーグ6位の防御率3.14、QS率62.5%とローテーション投手として十分な数字を残しながらも3勝11敗の成績。来季こそ2年ぶりの2桁勝利を果たしたいところだ。
投手陣最年長である美馬学投手の働きも光った。前半は開幕4連敗と厳しいスタートとなったが、後半戦は大車輪の活躍。一時は新型コロナウイルス感染で離脱も、7月下旬からは6連勝、特に9月は4勝0敗、防御率0.83の成績を残し、最終的には2年ぶりの2桁勝利となる10勝6敗、防御率2.91をマークした。移籍4年目となる来季も、ベテランとしてチームを引っ張る投球を見せられるか。
来季は吉井理人監督が就任する。2年ぶり現場復帰となる新指揮官が、どのようにシーズンを通して安定した先発陣を築き上げ、運用していくのか注目される。