わたしはかもめ2000年鴎の便り(9月)

便

9月26日

黒木残念

五輪野球準決勝で、日本はキューバに0−3で完敗し、3位決定戦に回った。先発の黒木は3回まで1安打に抑えていたが、4回1死二塁から1点を先制されると、6回にも2死二、三塁から2点を失った。黒木は、うつむき加減でマウンドからベンチへ戻った。最も警戒していたはずの赤い稲妻・キンデランに2度もやられた。2度の暴投もキンデランの打席だった。

黒木
「自分としては気持ちが入っていたし、1球たりとも気を抜いた球はなかった。ただ、(キューバは)世界一のチームだし、やっぱり球が高めに行くと打たれる。ちょっとした失投と言うか…。5センチから10センチ高かった。世界一の打者は、やはり失投を見逃してくれない。」

ページトップ

ノットに戦力外通知

26日、ノット投手に対し、戦力外通知を行った。ノットはシーズン途中の6月に入団したが、5試合に先発して1勝1敗、防御率は11.02。

ページトップ

黒木、主砲への2球に泣く

事実を受け入れるのに時間が必要だった。歓喜に沸くキューバと言葉を失った日本。先発した黒木はベンチで敗戦を見届け、首に巻いた白いタオルをそっと外した。全員が引き揚げた後もグラウンドを見つめたまま動かなかった。「自分を信じて投げることしか考えなかった。1球も気持ちが抜けた球はなかったと思います」。

魂の投球で勝利を挙げたオーストラリア戦から中6日。前日に願をかけていた髭をそり、自らの右腕を信じて臨んだ。初回の日本の攻撃後に降雨のため1時間8分中断したが、その間もキャッチボールを黙々と行い、集中力を持続させた。毎回胸の日の丸に手を当てて祈りを込め、オリャーッと叫びながら気迫を前面に押し出した。 初回、3番リナレスをMAX148キロの内角直球で見逃し三振。ひたすら内角を強気に攻めた。

だが、4回に味方の失策でピンチを招き、4番キンデランに左前適時打を許すと、6回も連打と自らの暴投で招いた2死二、三塁で再びキンデランに左前2点適時打。打たれた球はいずれも内角への速球で「内に弱いという対策通りに投げたけど、5〜10センチ高かった。 世界一のチームの4番ですから失投は見逃してくれない」。7回0/3を83球、8安打4奪三振の3失点。常にベンチで声を出し、ナインを鼓舞してきた男は気持ちで攻めながらキンデランへの2球に泣いた。

だが、まだ五輪は終わっていない。27日の3位決定戦は松坂が先発する。黒木は「行けと言われれば行きます」と言った。正真正銘のラストゲーム。この1戦に全てをかける。

◇山本監督「よく投げた」

山本監督は千葉マリンでの練習後に黒木の力投をテレビ観戦。日本の敗戦にがっかりした様子だったが、黒木については「少し甘く入ったところを打たれたけど、キューバ相手にあれだけのピッチングができたんだからいいでしょう」と絶賛。帰国後の登板について「状態を聞いてみてからだが、日本ハム戦にいってもらうつもり。メダルを持って帰れるといいね」と10月3日の日本ハム戦(千葉マリン)に“凱旋登板”させるつもりだ。

ページトップ