小野が、7日、別メニューで調整した。6日の練習中に右腰に訴えた違和感が残っているため、大事をとり、2、3日様子を見ることになった。山本監督は「ストップする勇気も必要」と、故障を未然に防ぐことを最優先していた。
ドラ4・渡辺俊が、7日、フリー打撃に初登板した。橋本、初芝に計55球を投げ、2人合わせて許したヒット性の当たりはわずか3本。まず打席に立ったのは橋本。内角直球に手を出すが、ことごとく三塁方向へファール。いかにもタイミングが取りづらそう。23球中、12球しかバットを出すことができず、打球は内野ゴロと平凡な飛球ばかり。続く初芝も、内角直球でバットを折ったり、飛球を打ち上げたりとバットの芯に当たらない。
新外国人デリック・メイが、志願して特打を行った。サク越えを連発し、心配された打撃も復調の兆しが出てきた。石井と並んでのフリー打撃で場外弾を放ち、ケタ外れのパワーを見せた。
ドラフト4位・渡辺俊介投手(新日鉄君津)が7日、室内練習場で行われたフリー打撃に初登板。高めの速球で初芝のバットをへし折った。下手から浮き上がる球は今季から約20センチ高めにずれた新ストライクゾーンを意識したもの。“ライズボール”を武器に渡辺が開幕1軍を引き寄せる。
下手から投げられた速球がうなりを上げて浮き上がってくる。渡辺のプロ初めてのフリー登板。橋本に続いて主砲・初芝が打席に入ると威力が増した。高めの直球を詰まらせる。13球目、バットをへし折った渡辺は不敵な笑みを浮かべた。
登板を前に渡辺は仁科投手コーチから高めの使い方をテーマに与えられていた。金属バットを相手にしていた社会人時代は高めは厳禁。いかに低めにボールを集めるかが課題だった。だが、木製バットのプロは違う。高めで詰まらせれば、これまで“折れない”金属バットで外野まで運ばれていた打球がポップフライになる。橋本、初芝相手に49球。許した本塁打性の当たりは初芝の2球だけだった。
高めを意識したことにはもう1つ理由がある。パ・リーグでは1月17日の理事・監督合同会議で今季から高めのストライクゾーンを厳密に取ることが確認された。実際にはこれまでよりも約20センチ高くストライクゾーンが広がると見られている。これを生かさない手はない。下手投げから胸元に浮き上がる速球は効果絶大。初芝は「プロの厳しさを教えるつもりが逆に自信をつけさせちゃったね」と舌を巻いた。
渡辺の投球を打撃ケージの後ろから見ていた山下打撃コーチは「あの高さはバッターが1番さばきづらいところなんだ」と言い「審判がキャンプに来たらどこまで(ストライクを)取るか確認する」と“高め対策”の検討に入ったほどだった。
シドニー五輪女子ソフトボールでは高山、増淵両投手が浮き上がる“ライズボール”を武器に銀メダルを獲得した。同じ五輪戦士の渡辺が“野球版ライズボール”で存在を強烈にアピールした。
異色のサブマリンが新ストライクゾーンを追い風に開幕1軍へ大きく前進した。
疲労性の腰痛のため、前日の練習をリタイアした小野がストレッチなどで体をほぐしただけで練習を切り上げた。黒木、ミンチーと並ぶ先発の柱と期待をかける山本監督は「骨折や肉離れだったら大変だが、キャンプ中に1、2度はあることだから」というものの心配そう。小野は「以前から腰痛と付き合いながらやってきたので大丈夫」と話し、投球再開は10日の第3クール以降になりそうだ。