3年契約の3年目で真価が問われるロッテ・山本功児監督(49)は、確かな手応えを感じ取っている。「投打ともやっとコマが揃った。高いレベルでの競争が芽生えてきた」。
昨年はリーグワーストのチーム防御率4.73。チーム打率も.259の5位で、投打共に精彩を欠いた。このオフ、最大の補強は広島から移籍したミンチー。低めの制球力は抜群、カットボールを有効に使う頭脳的な投球は、中4日で先発OKという頼もしさ。「黒木も体調が万全な時は中4日で行きたいと言っているし、ミンチーと両輪で先発ローテーションが組めそうだ」と山本監督の表情は明るい。
そのエース・黒木は、今季から選手会長に就任。キャンプ入りするなり投球練習を始めるなど意欲的だ。「ジョニーが伝統を作る」と率先垂範でチームを引っ張っている。
黒木、ミンチーに、昨年大ブレークした小野を加えた3本柱は他球団にひけを取らない。それに即戦力のリーキー左腕・加藤(日大)やサブマリン・渡辺俊(新日鉄君津)が加わり、投手陣を刺激。中抑えの左腕・藤田、抑えの小林雅にいかにつなぐか、指揮官の手腕がみものだ。
攻撃陣は、4番・ボーリックを中心に石井、福浦の2人一塁手をどう起用するかが指揮官の頭を悩ませるところ。新外国人のメイも戦力として期待できそうだし、34歳のベテラン・初芝も健在。打撃で急成長のサブローを外野から二塁に、腰痛に悩む堀を外野にコンバートしたことがどう結びつくか。
今季の最大の強化ポイントはバッテリー部門。チームの昨年の暴投は57、捕逸も15でどちらもリーグ最多。こではここ数年、解消されていないテーマで、ナインの信頼関係にもつながっていくだけに、大きなカギを握る。
今季は千葉移転10年目の区切りの年でもある。12球団で最も長く、1974年から遠ざかっている優勝に向け、もう後戻りはできない。
開幕先発の黒木は、口数も少なく緊張気味だった。2戦目先発が濃厚のミンチーは、ジョークを飛ばしつつご機嫌。対照的だった。黒木は、過去2年連続で開幕マウンドに立ったが、共に敗戦投手。オープン戦は10回を投げて9失点と、結果を出せないままのぶっつけ開幕。キャンプ中は茶髪だった髪を、開幕を前に短く刈って黒に戻した。
引き締まった表情の中にも心なしか余裕が感じられる。3年連続開幕投手に指名されたエース黒木は決戦前日、キャッチボールとランニングの軽いメニューで練習を切り上げた。「2年続けて負けているから3度目の正直という気持ちは強いですね」と言いながら気負った様子はない。
初めて開幕投手を務めた99年4月3日のオリックス戦(GS神戸)では8回を投げて4失点。昨年4月1日のダイエー戦(福岡ドーム)では初回に6失点を許し、5回で8失点。いずれも敗戦投手に終わっている。「2年前は緊張しすぎ。去年はしなさすぎて失敗した」と過去2年間を振り返る。人一倍責任感の強い男。昨年までは1人でチームの不振の責任を背負ってきた。
ところが選手会長に就任した今年は違う。「もちろん最後まで投げれればいいけど、僕がコケてもうちには後ろにいいピッチャーがいっぱいいますから」とチームメートを信頼。過去3度対戦して1勝2敗と負け越している松坂との対決にも「彼は普通の選手じゃない。点を取るのは難しいだろうから先に点をやらないようにしたい」とあくまで自然体で臨むつもりだ。
打倒松坂、そして自身初の開幕白星に向けてエース黒木が21世紀最初の大舞台で躍動する。