わたしはかもめ2001年鴎の便り(3月)

便

3月23日

24日開幕…エース黒木健在

◇ミンチー中4日OK!フル回転約束

3年契約の3年目で真価が問われるロッテ・山本功児監督(49)は、確かな手応えを感じ取っている。「投打ともやっとコマが揃った。高いレベルでの競争が芽生えてきた」。

昨年はリーグワーストのチーム防御率4.73。チーム打率も.259の5位で、投打共に精彩を欠いた。このオフ、最大の補強は広島から移籍したミンチー。低めの制球力は抜群、カットボールを有効に使う頭脳的な投球は、中4日で先発OKという頼もしさ。「黒木も体調が万全な時は中4日で行きたいと言っているし、ミンチーと両輪で先発ローテーションが組めそうだ」と山本監督の表情は明るい。

そのエース・黒木は、今季から選手会長に就任。キャンプ入りするなり投球練習を始めるなど意欲的だ。「ジョニーが伝統を作る」と率先垂範でチームを引っ張っている。

黒木、ミンチーに、昨年大ブレークした小野を加えた3本柱は他球団にひけを取らない。それに即戦力のリーキー左腕・加藤(日大)やサブマリン・渡辺俊(新日鉄君津)が加わり、投手陣を刺激。中抑えの左腕・藤田、抑えの小林雅にいかにつなぐか、指揮官の手腕がみものだ。

攻撃陣は、4番・ボーリックを中心に石井、福浦の2人一塁手をどう起用するかが指揮官の頭を悩ませるところ。新外国人のメイも戦力として期待できそうだし、34歳のベテラン・初芝も健在。打撃で急成長のサブローを外野から二塁に、腰痛に悩む堀を外野にコンバートしたことがどう結びつくか。

今季の最大の強化ポイントはバッテリー部門。チームの昨年の暴投は57、捕逸も15でどちらもリーグ最多。こではここ数年、解消されていないテーマで、ナインの信頼関係にもつながっていくだけに、大きなカギを握る。

今季は千葉移転10年目の区切りの年でもある。12球団で最も長く、1974年から遠ざかっている優勝に向け、もう後戻りはできない。

山本監督
「とにかく選手には持っている力を100%出せるように持って行く。この1、2年とは違った雰囲気でやる。あれだけの応援で結果が出ないのも恥ずかしい。12球団でNO.1の応援。それに見合うような試合でファンの声援に負けないようにやらないかん。」
王監督
「リーグ3連覇は通過点で、今年の目標は日本一奪還。投手陣は山村と山田が加入したことで層が厚くなり、2人が入り競争も激しくなった。打線も小久保と待つ中が競い合いながら引っ張ってくれている。あとは選手に油断が生まれないようにしないといけない。」
東尾監督
「投手陣には自信を持っている。松坂も20勝期待できるし、西口、石井、豊田は信頼しているし、ほかの投手も順調に仕上がっている。打つ方は故障者が多く、頭が痛い。でも、ダイエーに3連覇は許さないよ。うちもいい思いをしたいからね。」
大島監督
「優勝します。目標は優勝以外にありません。開幕ダッシュして逃げ切りたい。投手は肉体改造して、シーズン通じて投げられるであろう金村を軸に考えています。打線は、昨年の力を維持してくれれば十分です。心配はしていません。」
仰木監督
「イチローが抜けた穴を全員で埋めていく。投打とも新戦力が加入したが全員野球が基本であることは変わりない。粘り強く1試合、シーズンを通して相手チームに嫌がられる野球を目指す。1つ1つのプレーを細かく積み上げていく。」
梨田監督
「昨年と比べれば、投手陣のコマは揃った。打線の法は21世紀型いてまえ打線。中村、ローズ、吉岡らが健在で、絶対に打ち負けない自信がある。昨年は最下位だったが、今年はいっきに優勝を狙っていく。その戦える戦力は揃った。」

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黒木は緊張

開幕先発の黒木は、口数も少なく緊張気味だった。2戦目先発が濃厚のミンチーは、ジョークを飛ばしつつご機嫌。対照的だった。黒木は、過去2年連続で開幕マウンドに立ったが、共に敗戦投手。オープン戦は10回を投げて9失点と、結果を出せないままのぶっつけ開幕。キャンプ中は茶髪だった髪を、開幕を前に短く刈って黒に戻した。

黒木
「2年続けて負けているから3度目の正直という気持ちは強いですね。彼(松坂)は普通の選手じゃない。点を取るのは難しいだろうから先に点をやらないようにしたい。」
山本監督
「課題だったバッテリーの強化は図れた。投手が試合を作り、打線の援護を待つ形にしたい。去年は日本ハムにやられた。五分で戦っていたなら上位を狙えた。同じ失敗を繰り返さないように工夫しながら戦いたい。何とか借りを返したい。」

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黒木「3度目の正直だ」

引き締まった表情の中にも心なしか余裕が感じられる。3年連続開幕投手に指名されたエース黒木は決戦前日、キャッチボールとランニングの軽いメニューで練習を切り上げた。「2年続けて負けているから3度目の正直という気持ちは強いですね」と言いながら気負った様子はない。

初めて開幕投手を務めた99年4月3日のオリックス戦(GS神戸)では8回を投げて4失点。昨年4月1日のダイエー戦(福岡ドーム)では初回に6失点を許し、5回で8失点。いずれも敗戦投手に終わっている。「2年前は緊張しすぎ。去年はしなさすぎて失敗した」と過去2年間を振り返る。人一倍責任感の強い男。昨年までは1人でチームの不振の責任を背負ってきた。

ところが選手会長に就任した今年は違う。「もちろん最後まで投げれればいいけど、僕がコケてもうちには後ろにいいピッチャーがいっぱいいますから」とチームメートを信頼。過去3度対戦して1勝2敗と負け越している松坂との対決にも「彼は普通の選手じゃない。点を取るのは難しいだろうから先に点をやらないようにしたい」とあくまで自然体で臨むつもりだ。

打倒松坂、そして自身初の開幕白星に向けてエース黒木が21世紀最初の大舞台で躍動する。

山本監督
「気分は十分高まった。明日はジョニー(黒木)次第。エースだし、気持ちで投げる方だからやってくれる。信頼している。松坂に対してはとにかく塁に出てプレッシャーをかけること。悪球に手を出して助けるようなことをしちゃいかん。」

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