3点ビハンドのロッテは、2回、3四球と清水将、サブローの連打で2点を挙げ、3回には、三塁打の諸積をボーリックが返して同点。佐藤の犠飛で勝ち越した。黒木は、1回に2暴投などで3点を失ったが、2回から立ち直り、9回は小林雅が締めた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 6 |
西武 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
24日のパ・リーグはオリックス、ロッテ、近鉄の昨年Bクラスチームが揃って白星。開幕試合でパの前年Bクラスが全て勝ったのは97年以来。ただし、この年は4月5日2試合、8日1試合と開幕日が異なっており、同一日開幕でのBクラス全勝は68年4月6日以来33年ぶり。
前年順位 | スコア | 前年順位 |
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4位 | 南海6−2阪急 | 1位 |
5位 | 東京4−1東映 | 3位 |
6位 | 近鉄3−1西鉄 | 2位 |
黒木が、3年連続で開幕投手を務め、初めて勝利投手になった。1回に3失点したが、2回から立ち直った。これで松坂との直接対決は2勝2敗の五分。
松坂vs黒木Tシャツが、西武ドーム限定300枚で発売されたが、15分で完売した。
サブローが開幕初スタメンで4打数3安打2打点。松坂攻略で同期入団の黒木を援護した。オープン戦では2番での出場が多かったが、この日は9番二塁でのスタメン出場。これは、山本監督が、開幕初スタメンのプレッシャーを気遣い、9番での起用を決めたもの。
小林雅が9回に登板し、西武打線を3連続ショートゴロに仕留め、初セーブを挙げた。
松坂に勝るもの、それは勇気だった。エースの称号を背負う男の美学。マウンド上の黒木は「ウッ!」という叫び声を出しながら必死にカーブを投げ続けた。
初回2死一、三塁、5番・高木大に内角低めのカーブを右翼線へ2点二塁打された。さらに暴投で3点目を献上したが、黒木は逃げない。手痛い一打を浴びたそのカーブをあえて要所で投じた。投手にとって最も勇気がいるのは緩い球。MAX146キロだったストレートに対し、カーブは120キロ前後だ。持ち球の中でも最も遅い球。そのカーブで要注意の3番・松井を4打数無安打に封じた。3回1死無走者で二ゴロ、5回2死三塁では右飛。「初回は緊張したけど、切り替えていけた」と笑うが、勇気を持ってカーブを投げることだけは変えなかった。
昨年は開幕前に右太腿の肉離れを起こし、前半戦はわずか3勝。しかし、それ以上に緩急を使えず、投球の幅が狭くなったことが不振の要因だった。特にカーブを試合の序盤に痛打されるとそのまま封印し、ストレート系のボールだけで勝負して打ち込まれた。そんな昨季を猛省。今キャンプはカーブを磨いた。その信念の球で2回以降はわずか2安打。9回こそ小林雅の救援を仰いだが、8回を126球3失点に「今日の投球で打たせて取る球が分かっただろう」と小野投手コーチは言い、山本監督は「5回ぐらいまで意地でも投げてもらうつもりだったが、あいつの意地の方が勝っていたね」と笑った。
22日に武蔵村山市内の焼き肉店で行った決起集会でのこと、黒木はこう決意表明した。「開幕戦は2年続けて負けているし、今年こそは僕がやります。だからファンのためにも絶対優勝しましょう」と。それ故に勝ちたかった。「ゲーム前は鳥肌が立った」という3回目の開幕戦。松坂に投げ勝ち、ウイニングボールを初めて山本監督に贈った。
「最高です」そう言って見せた笑顔も、投球も今年の黒木は一味違う。
黒木は3度目の開幕投手で初勝利。松坂との先発対戦は
年月日 | 球場 | 黒 | 松 |
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99-04-21 | 千葉マ | ○ | ● |
99-04-27 | 西武ド | ● | ○ |
99-07-31 | 西武ド | ● | ○ |
01-03-24 | 西武ド | ○ | ● |
西武ドームで投げ勝ったのは初めてだ。この日はカブレラ、マクレーンを無安打。昨年は外国人打者に被打率.306と打ち込まれたが、今季は助っ人キラーになるか。
開幕戦初スタメンのサブローが松坂KO劇の主役になった。「巧く開き直れましたね。相手は日本一の投手。打てなくて当然ですから」。2回2死一、三塁から1点差に迫る左前打。1点リードの6回には2死二塁から左中間二塁打。1死一塁から清水将に送りバントを命じたベンチの期待に応えた。オープン戦では2番だったが「重圧をかけないように」と9番に入れた山本監督の采配が的中し、3安打2打点の爆発だ。
昨秋に外野から二塁へ転向。PL学園の1年先輩、西武・松井を手本にしてバットも重心をヘッド寄りにした松井モデルを採用した。「やっと自分に合うのが見つかった」4打数無安打の“先輩”の前で最高の恩返しだ。
新たな支えもある。2月のキャンプ中に長女・唯奈ちゃんが誕生。「子供も生まれたし、それが1番頑張れること」と心強い援軍を得た。イチローが去った新世紀の日本球界でサブローが輝き始めた。
3年契約の最終年の山本監督は勝負の年に初めて白星スタート。過去2年とも開幕は黒木で黒星だっただけに「疲れた。しびれたね。全員がよくやってくれた」と満面に笑みを浮かべた。昨季は開幕から4連敗を喫し、その借金が最後まで響いて5位。「初回に(松坂の)150キロを見せられたときにはどうなるかと思ったけど、打線がよく打ってくれた」と最後までご満悦だった。
96、98年に続いて3度目の開幕4番に座った初芝が松坂攻略の陰の立役者になった。2回先頭で2−3からの際どい外角スライダーを見逃して四球。松坂の自滅を誘った。だが、微妙な球だっただけに判定については無言。開幕4番は22日の練習中から山本監督に伝えられ「言われたからにはやるけど、昨夜はほとんど眠れなかったよ」と告白していた。
89年以来12年ぶりに開幕スタメンに名前を連ねた15年目の佐藤が渋い働きで勝利に貢献した。ボーリックの右前打で同点とした3回1死満塁できっちり勝ち越しの左犠飛。「直球に絞っていた。1流ならホームランだけど、僕は3流だから犠飛でした」と満面の笑み。2四球も選び、つなぎ役を果たしたが「僕のときはストライク、ボールがはっきりしていたから」とどこまでも控えめだった。
観戦に訪れた川島コミッショナーが最高のスタートを切った21世紀のパ・リーグに表情をほころばせた。この日は3球場合計でパ・リーグ史上最多の13万6000人を動員。「球春到来という実感が沸いてきた。たくさんのファンが訪れてくれて本当に満足」と満面の笑み。左翼芝生席を埋めつくしたロッテ応援団に「鳴り物がないのがいい。相手の好プレーにも拍手を送るし、上品だ。素晴らしい」と手放しだった。