わたしはかもめ2001年鴎の便り(3月)

便

3月24日

西武3−6千葉ロッテ(西武ドーム)

3点ビハンドのロッテは、2回、3四球と清水将、サブローの連打で2点を挙げ、3回には、三塁打の諸積をボーリックが返して同点。佐藤の犠飛で勝ち越した。黒木は、1回に2暴投などで3点を失ったが、2回から立ち直り、9回は小林雅が締めた。

123456789R
千葉ロッテ0220020006
西武3000000003
ボーリック
「いい場面で打ててよかった。何とか早めに追いつきたかったんだ。」(3回1死一、三塁で同点の右前打)
小坂
「ストレートでしょう。自然にバットが出ていいところに飛んだ。サブローに続ければと思っていた。」(6回にダメ押しの右前適時打)
清水将
「タイムリーは必死でした。ジョニーが立ち直ってよかった。初回はストライクが入らないのでどうしようと思った。立ち直れたのは気持ちの強さでしょう。」(2回に反撃の口火を切る右前適時打。黒木を好リード)
高沢打撃コーチ
「松坂の初回を見たときはどうなるかと思った。フォークが凄くよかったよ。でも、2回以降はフォークを投げるカウントを整えられなかったね。今日はうちの打線がよかったというより松坂が悪かったよ。」

◇前年Bクラスの勝ちは97年以来

24日のパ・リーグはオリックス、ロッテ、近鉄の昨年Bクラスチームが揃って白星。開幕試合でパの前年Bクラスが全て勝ったのは97年以来。ただし、この年は4月5日2試合、8日1試合と開幕日が異なっており、同一日開幕でのBクラス全勝は68年4月6日以来33年ぶり。

前年順位スコア前年順位
4位南海6−2阪急1位
5位東京4−1東映3位
6位近鉄3−1西鉄2位

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21世紀の白星1番乗り

黒木が、3年連続で開幕投手を務め、初めて勝利投手になった。1回に3失点したが、2回から立ち直った。これで松坂との直接対決は2勝2敗の五分。

黒木
「僕が抑えていれば、味方が逆転できると思った。キャンプから投げていて、今日は1番いいボールが出ていた。この1勝は3勝分の価値があると思います。これでチームを乗せていければね。」
山本監督
「3度目の正直。よう勝ってくれた。意地でも5回まで持ってくれと思ったが、おれの意地より、あいつの意地が勝ったな。」
清水将
「初回はストライクが入らなくてひやひやした。でも、2回以降は変化球が決まり始めたから手応えはあった。最後は気持ちの強さでしょう。」

◇松坂vs黒木Tシャツ完売

松坂vs黒木Tシャツが、西武ドーム限定300枚で発売されたが、15分で完売した。

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サブロー大当たり

サブローが開幕初スタメンで4打数3安打2打点。松坂攻略で同期入団の黒木を援護した。オープン戦では2番での出場が多かったが、この日は9番二塁でのスタメン出場。これは、山本監督が、開幕初スタメンのプレッシャーを気遣い、9番での起用を決めたもの。

サブロー
「9番という打順はおいしい。2番を打つより気持ちよかった。」
山本監督
「気楽に打たせようと思ったら1番打ってくれた。」

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小林雅初S

小林雅が9回に登板し、西武打線を3連続ショートゴロに仕留め、初セーブを挙げた。

小林雅
「楽な場面でしたからね。ジョニーさんが8回を抑えてくれたんで助かりました。」

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黒木“男の美学”、松坂に勇気勝った

松坂に勝るもの、それは勇気だった。エースの称号を背負う男の美学。マウンド上の黒木は「ウッ!」という叫び声を出しながら必死にカーブを投げ続けた。

黒木
「大成には打たれたけど、そんなに悪い球じゃなかった。今までなら怖いからあまり投げなかったけど、今日はとにかくカーブを意識して投げた。」

初回2死一、三塁、5番・高木大に内角低めのカーブを右翼線へ2点二塁打された。さらに暴投で3点目を献上したが、黒木は逃げない。手痛い一打を浴びたそのカーブをあえて要所で投じた。投手にとって最も勇気がいるのは緩い球。MAX146キロだったストレートに対し、カーブは120キロ前後だ。持ち球の中でも最も遅い球。そのカーブで要注意の3番・松井を4打数無安打に封じた。3回1死無走者で二ゴロ、5回2死三塁では右飛。「初回は緊張したけど、切り替えていけた」と笑うが、勇気を持ってカーブを投げることだけは変えなかった。

昨年は開幕前に右太腿の肉離れを起こし、前半戦はわずか3勝。しかし、それ以上に緩急を使えず、投球の幅が狭くなったことが不振の要因だった。特にカーブを試合の序盤に痛打されるとそのまま封印し、ストレート系のボールだけで勝負して打ち込まれた。そんな昨季を猛省。今キャンプはカーブを磨いた。その信念の球で2回以降はわずか2安打。9回こそ小林雅の救援を仰いだが、8回を126球3失点に「今日の投球で打たせて取る球が分かっただろう」と小野投手コーチは言い、山本監督は「5回ぐらいまで意地でも投げてもらうつもりだったが、あいつの意地の方が勝っていたね」と笑った。

22日に武蔵村山市内の焼き肉店で行った決起集会でのこと、黒木はこう決意表明した。「開幕戦は2年続けて負けているし、今年こそは僕がやります。だからファンのためにも絶対優勝しましょう」と。それ故に勝ちたかった。「ゲーム前は鳥肌が立った」という3回目の開幕戦。松坂に投げ勝ち、ウイニングボールを初めて山本監督に贈った。

「最高です」そう言って見せた笑顔も、投球も今年の黒木は一味違う。

◇黒木&松坂、先発対戦

黒木は3度目の開幕投手で初勝利。松坂との先発対戦は

年月日球場
99-04-21千葉マ
99-04-27西武ド
99-07-31西武ド
01-03-24西武ド

西武ドームで投げ勝ったのは初めてだ。この日はカブレラ、マクレーンを無安打。昨年は外国人打者に被打率.306と打ち込まれたが、今季は助っ人キラーになるか。

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サブロー大爆発!3安打2打点

開幕戦初スタメンのサブローが松坂KO劇の主役になった。「巧く開き直れましたね。相手は日本一の投手。打てなくて当然ですから」。2回2死一、三塁から1点差に迫る左前打。1点リードの6回には2死二塁から左中間二塁打。1死一塁から清水将に送りバントを命じたベンチの期待に応えた。オープン戦では2番だったが「重圧をかけないように」と9番に入れた山本監督の采配が的中し、3安打2打点の爆発だ。

昨秋に外野から二塁へ転向。PL学園の1年先輩、西武・松井を手本にしてバットも重心をヘッド寄りにした松井モデルを採用した。「やっと自分に合うのが見つかった」4打数無安打の“先輩”の前で最高の恩返しだ。

新たな支えもある。2月のキャンプ中に長女・唯奈ちゃんが誕生。「子供も生まれたし、それが1番頑張れること」と心強い援軍を得た。イチローが去った新世紀の日本球界でサブローが輝き始めた。

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山本監督、初白星スタート

3年契約の最終年の山本監督は勝負の年に初めて白星スタート。過去2年とも開幕は黒木で黒星だっただけに「疲れた。しびれたね。全員がよくやってくれた」と満面に笑みを浮かべた。昨季は開幕から4連敗を喫し、その借金が最後まで響いて5位。「初回に(松坂の)150キロを見せられたときにはどうなるかと思ったけど、打線がよく打ってくれた」と最後までご満悦だった。

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松坂攻略、陰の立役者

96、98年に続いて3度目の開幕4番に座った初芝が松坂攻略の陰の立役者になった。2回先頭で2−3からの際どい外角スライダーを見逃して四球。松坂の自滅を誘った。だが、微妙な球だっただけに判定については無言。開幕4番は22日の練習中から山本監督に伝えられ「言われたからにはやるけど、昨夜はほとんど眠れなかったよ」と告白していた。

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15年目佐藤も勝利に貢献

89年以来12年ぶりに開幕スタメンに名前を連ねた15年目の佐藤が渋い働きで勝利に貢献した。ボーリックの右前打で同点とした3回1死満塁できっちり勝ち越しの左犠飛。「直球に絞っていた。1流ならホームランだけど、僕は3流だから犠飛でした」と満面の笑み。2四球も選び、つなぎ役を果たしたが「僕のときはストライク、ボールがはっきりしていたから」とどこまでも控えめだった。

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川島コミッショナー「鳴り物がないのがいい」

観戦に訪れた川島コミッショナーが最高のスタートを切った21世紀のパ・リーグに表情をほころばせた。この日は3球場合計でパ・リーグ史上最多の13万6000人を動員。「球春到来という実感が沸いてきた。たくさんのファンが訪れてくれて本当に満足」と満面の笑み。左翼芝生席を埋めつくしたロッテ応援団に「鳴り物がないのがいい。相手の好プレーにも拍手を送るし、上品だ。素晴らしい」と手放しだった。

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