ロッテが開幕2連勝。1回、メイの2ランで先制。その後も小坂の三塁打やサブローの適時打などで着実に加点して差を広げた。ミンチーはテンポ良く、打たせて取る投球で、7回を6安打1失点。移籍後、初登板で初勝利を手にした。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
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千葉ロッテ | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 6 |
西武 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
1997年以来の開幕2連勝。新外国人の2人が立役者。ミンチーが7回まで1失点に抑え込み、前日の5番から3番に昇格したメイが先制ツーラン。
ミンチーが、7回で降板するまで奪った内野ゴロは13、外野飛球は5という頭脳投球で、史上4人目の外国人投手セ・パ両リーグ勝利の栄冠を獲得した。ミンチーは、2月の鹿児島キャンプでは、宿舎の温泉大浴場に入り、日本人選手と裸の付き合いをし、ナインに溶け込んだ。これがバックとの信頼感を生んだ。
ロッテが強い。4年ぶりの開幕連勝だ。セ・リーグより一足早く幕を開け、2日目を迎えたパ・リーグ。前日エース黒木で勝ったロッテは広島から移籍した先発ミンチーが内野ゴロ13と打たせて取る自在の投球を演じる。バックも盛り立て藤田−吉田の継投で西武に完勝。前川が力投した近鉄も開幕連勝と熱パが春からヒートアップしている。
真っ白に染まった西武ドームのレフトスタンドが揺れている。響きわたる「ヤーマーモート」のコール。その大歓声を受けて三塁側ベンチを飛び出した山本監督がファンに右手を振る。歓喜と感謝の思いが交錯する開幕連勝。97年以来4年ぶりの出来事にファンもナインも熱くなる。
「連勝の要因?三本柱の2人がしっかり投げてくれたことが全て。バッターも集中力が出てきた」と山本監督。前日の開幕戦がエース黒木ならこの日のヒーローは広島から移籍してきたミンチーだった。
初めてのパ・リーグ。それも開幕2戦目を任せられた来日4年目の右腕は燃えた。最大の武器は打者の手元で微妙に変化する「ムービング・ファストボール」右打者にはスライドし、左打者にはシュートする決め球で、ことごとくバットのシンを外した。「スライダーが狙われている感じがしたのでムービングを使い、内外角をついたんだ」セ・リーグで鍛えた観察眼。それは奪三振はゼロながら21アウト中、内野ゴロが13個という数字が証明している。
チームのためなら中4日もOKという“超優良”助っ人。キャンプからすっかりチームに溶け込んだミンチーをバックも盛り立てる。指揮官が「熱くなって崩れかけた」と振り返る2点リードの5回、2死満塁で5番・高木大を迎えた場面だ。左中間への痛烈なライナー。誰もが抜けたと思った次の瞬間、予め左中間を詰めていた左翼手の佐藤が好捕した。「ベンチの指示通り守っていただけです。ミンチーが感謝?そう言ってもらえると嬉しいですね」と佐藤は笑う。
開幕前に西武打線を徹底研究した成果。そしてベンチと選手が一体となってピンチを救う。これこそが21世紀のロッテの姿だった。開幕直前、山本監督はこんな話をした。「ここ数年チームの成績が不振にもかかわらず12球団一の応援を続けてくれるファンに恩返しを」と。ファンのためにと投打が噛み合い、ロッテは白星を2つ重ねた。
27日からは地元・千葉マリンで昨年6勝20敗の“天敵”日本ハムとの2連戦。「連勝でやれるのは大きい」と山本監督は言った。開幕3連勝となると毎日オリオンズ時代の57年以来44年ぶり。「ファンへの恩返し」はまだ始まったばかりだ。
ロッテが97年以来の開幕連勝。過去ロッテの開幕連勝スタートは
連勝 | 3 | 7 | 2 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
年度 | 50 | 52 | 56 | 57 | 65 | 69 | 74 | 81 | 82 | 97 |
と10度あるが、3連勝まで伸ばしたのは毎日オリオンズ時代の57年が最後。27日の日本ハム戦で44年ぶりの開幕3連勝に挑戦する。
小坂とサブローが理想的な逃げ切り劇を演出した。2点差とされた6回1死一、二塁から小坂が中越えの三塁打を放って中押しの2点を加えると、8回2死三塁ではサブローがダメ押しの左前打。4回の好機で併殺に倒れていた小坂は「何とかしたかったので」3安打2打点の前日に続き、2安打1打点と活躍したサブローは「連勝スタートで最高ですね。次の日本ハムにも勝って5連勝ぐらいしたい」と鼻息が荒かった。