わたしはかもめ2001年鴎の便り(7月)

便

7月9日

千葉ロッテ10x−9福岡ダイエー(千葉マリン)

ロッテがサヨナラ勝ちで3連勝。3点を追う延長10回に3連打で無死満塁と攻め、ボーリックがこの日2本目となるサヨナラ満塁ホームランを放った。小林宏が今季初勝利。1点リードの9回には小林雅、10回には藤田が打たれたが、打線が帳消しにした。

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福岡ダイエー01020200139
千葉ロッテ0001230004x10x

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ボーリックの逆転サヨナラ満塁弾

ボーリックが延長戦では史上初となるサヨナラ満塁ホームラン。外国人としても史上初のサヨナラ満塁ホームランのおまけ付きだ。9回、1点リードで小林雅が登板。誰もが勝ちを疑わない展開が、小久保の犠飛で同点とされた。さらに延長10回、藤田が代打・大道に3ランを浴び、敗色濃厚となった。しかし、その裏、小坂、サブロー、福浦と3連打で無死満塁となったところで、ボーリックが打席に入った。ペドラザの2球目をスタンドへ運んだ。

8日の日ハム戦の試合前、自分の注文したバットが紛失し、メイのものを借用していた。その試合で1発、今日は2発を放ち、本塁打を量産する魔法のバットに感謝感激。千葉マリンでのダイエー戦は、これで8連勝。

ボーリック
「あそこは外野フライで1点を取ろうと思っていたんだ。こんなにエキサイティングなホームランは初めて。」
山本監督
「大道の1発で死んだ。それが、打線が粘ってくれて、ボーリックが打つんじゃないかと思ったら本当に打ちやがったよ。訳が分からん。本当に勝ったのか。」

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福浦5の5

福浦が5打数5安打で打率を.354まであげた。

福浦
「最後はつなぐことだけを考えた。チームの雰囲気に乗せられました。それにしてもボーリックが見事に実らせてくれましたね。」

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小林宏3球で白星

ボーリックの奇跡の1発で、5年目の小林宏がプロ初勝利。延長10回に井口を遊ゴロに仕留めただけで嬉しい勝利投手となった。

小林宏
「こんなに簡単に勝てるなんて、普段から努力していた賜物です。」

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ボーリック、逆転満塁サヨナラ弾

筋書きのないドラマをその力強いスイングで完結させた。6−9の延長10回無死満塁、決めたのはボーリックだった。ぺドラザの2球目の132キロをフルスイング。美しい軌道を描いた打球がバックスクリーン左に吸い込まれた。一瞬の静寂。そして大歓声。奇跡の男がナインにもみくちゃにされる。

ボーリック
「ダブルプレーだけは避けたかった。打った球は分からない。スライダーかシュートかも。米国でもこんな経験はない。遅くまでファンも残ってくれていたからね。」

これが死闘だ。1−3で迎えた5回にボーリックの左越え19号2ランで同点に追いついた。しかし、6回に2点を奪われる。その裏、福浦、メイの適時打で3点を奪って6−5としたが、9回に小林雅が同点に追いつかれた。そして延長10回に代打・大道の3号3ランで勝利は遠のいたかと思われた。だが、絶対に諦めない男達がいた。その裏、小坂、サブローがしぶとくつなぐ。そして腰痛で2軍落ちし、11日ぶりに1軍に戻ってきたばかりの福浦がこの日5本目の安打を放った。奇跡への準備は整ったのだ。10回の打席に向かう福浦に一塁コーチの佐藤内野守備走塁コーチは「お前が出ればボーリックがサヨナラ本塁打を打ってくれるぞ」と耳打ちした。それは夢物語などではなかった。

これでボーリックは4試合で4本塁打の量産態勢。新たに注文したバットがまだ届かないため、前日からメイにバットを借りている。そのメイに並ぶ20号がパ・リーグに空前の混戦をもたらした。首位・近鉄から5位・ロッテまでたった3ゲーム差の中にひしめく大混戦だ。

山本監督は「ひょっとしたらと思ったけど、本当に打つとは。訳分かんないよ。本当に勝ったのか?」と興奮を隠せない。3連勝で貯金1。ミラクル・ロッテが戦国パ・リーグを熱くする。

ボーリックの逆転満塁サヨナラ本塁打はプロ野球23本目になるが、この日のように3点差の場面で打った「釣銭なし」の1発は過去に8本しかなく、9本目の快打で助っ人では初めて。今季の満塁サヨナラ弾は5月31日の稲葉(ヤ)今月7日の谷繁(横)に次いで早くも3本目。

打者(所属)スコア相手
49川上(巨人)6−5南海
54青田(洋松)9−8巨人
56樋笠(巨人)4−3中日
82長崎(大洋)10−9中日
83松永(阪急)4−3ロッテ
90大石(近鉄)6−5ロッテ
94伊東(西武)4−3近鉄
97緒方(広島)7−6阪神

年間3本は88年に藤田(阪急)福良(阪急)田尾(阪神)がマークしたのに並ぶ最多記録。月間2本も84年6月に加藤、柳原(ともに近)が打って以来2度目だ。

メイ
「ボール球だったけど、強引に打った。チャンスに打ててよかった。」(6回に一時は勝ち越しとなる右前打)
福浦
「最後の打席ではつなぐことだけ考えていた。チームの雰囲気がいいからついていっただけです。」

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3球プロ初勝利小林宏「まさか」

延長10回2死から7番手で登板した5年目の小林宏がわずか3球でプロ初勝利を飾った。「よく分からないです。まさか打者1人に投げただけで勝てるとは思っていませんでした」。感激にひたる様子もなく、目の前で起きたサヨナラ劇が信じられないといった表情だ。サヨナラ勝ちのためにウイニングボールも手にできなかったが「頑張ってきた甲斐がありました」と最高の笑みを浮かべていた。

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