ロッテは、3−3の10回、福浦の安打と2四球で2死満塁とし、サブローがデニーから試合を決める満塁本塁打を放った。7回途中から今季初登板した清水直は、1安打無失点で最後まで投げきり、勝利投手になった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | |
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千葉ロッテ | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 4 | 7 |
西武 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
延長10回2死満塁、サブローがプロ入り初の満塁弾で混戦にケリをつけた。4回にも同点2塁打。1点ビハインドで迎えた9回にはヒットで出塁し、足で同点のホームを奪った。ボークと犠打で三塁へ進むと、豊田の暴投で本塁に突入した。ロッテはゲーム差なしの4位浮上。
7回途中から登板したプロ2年生が、3回2/3を1安打無失点と好投。
オレもPL戦士だ。サブローが北の大地に鮮やかなアーチを架けた。混パ生き残りの瀬戸際のロッテは9回に追いつくと、延長10回2死満塁からサブローが今季1号本塁打だ。くしくもこの夜にサヨナラ満塁弾を放った巨人・清原と同じPL学園の出身。暴力事件で夏の大会は不参加になった後輩達を勇気づける劇砲でロッテも貯金1だ。
歓声は耳に入らない。サブローは打球の行方だけを必死に追い続けた。延長10回2死満塁、西武・デニーの143キロ直球を全身全霊の力を込めて叩いた。高さ5.75メートルの左翼フェンスを越え、スタンドの最前列に消えた今季1号は何とプロ入り初の満塁弾。ダイヤモンドを回る背番号2の足取りはもう夢心地だ。
きっかけは試合前だ。練習で自らティーを上げてくれた山本監督から「とにかくボールを強く叩け」とアドバイスされた。その言葉を忠実に守り、4回2死一、三塁では遊撃・松井の右を痛烈に破る同点の二塁打。1点を追う土壇場の9回には先頭打者で左前打を放った。そして相手のボークなどで三塁に進むと、豊田の暴投で果敢に本塁へ突入して同点のホームを踏んだ。決勝満塁弾の前にもサブローは十分過ぎるほどの活躍を見せていた。
そう、PL魂は不滅なのだ。くしくも偉大な先輩の巨人・清原と同じ日の満塁弾。部員の暴行による出場停止処分にはほかのOBと同様に心を痛めていた。暑い夏が始まっても後輩の活躍は届いてこない。ならば自分が打つ。6月25日の西武戦ではこちらもPL学園の先輩である西武・松井からバットを譲り受けた。さらに試合前には正座をしてフリー打撃を見つめ「あまり考えすぎるなよ」とのアドバイスをされての快打連発だった。
9日のダイエー戦でも3点を追う延長10回にボーリックがサヨナラ満塁弾を放った。わずか5日後に再びやってきた“歓喜の10回”。山本監督はサブローの頭をポンポン叩いて「素晴らしい!こんな凄い試合をするとは思わなかったよ」と大興奮だ。借金生活転落の危機がこれで再び貯金1。サブローの、そしてロッテの暑い夏はこれからが本番だ。
サブローの打球を追った左翼手の大友は「お客さんが捕ったように見えた」と口をとがらせた。1番前にいたファンがグラブを持って身を乗り出していたように見えたという。すぐに審判にアピールしたが、受け入れられず「あの場面で4点と1、2点では大きく違いますから」と納得のいかない様子だった。
今季初登板の清水直が嬉しい白星だ。2点を追う7回1死からマウンドへ。いきなり2死満塁となったが、このピンチで松井を一ゴロ。逆転劇のお膳立てをし、8回以降は無安打に抑えた。課題の制球難のため、6月29日にようやく1軍初昇格。チャンスをものにしての白星に「最初はちょっと緊張した。でもいいところで使ってもらえましたから」と大喜びだった。